第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

 

回次

第12期

第13期

第14期

第15期

第16期

決算年月

2021年12月

2022年12月

2023年12月

2024年12月

2025年12月

売上高

(千円)

708,245

374,477

61,112

54,446

230,999

経常利益又は

経常損失(△)

(千円)

144,914

433,165

586,187

869,747

761,301

当期純利益又は

当期純損失(△)

(千円)

142,905

473,962

589,211

872,238

763,843

持分法を適用した

場合の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

100,000

1,272,005

1,283,445

1,364,728

1,828,543

発行済株式総数

 

 

 

 

 

 

普通株式

(株)

1,001

7,773,300

7,894,300

8,184,800

9,611,800

A種優先株式

 

1,637

B種優先株式

 

3,125

C種優先株式

 

3,337

D種優先株式

 

1,910

E種優先株式

 

110

純資産額

(千円)

1,900,114

3,769,801

3,203,469

2,542,406

2,757,627

総資産額

(千円)

2,646,232

4,815,337

4,214,809

3,518,001

4,266,026

1株当たり

純資産額

(円)

5,183.91

484.88

405.71

304.60

276.42

1株当たり配当額

(1株当たり中間

配当額)

(円)

()

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

285.53

177.67

75.42

108.34

86.78

潜在株式調整後

1株当たり

当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

71.8

78.3

76.0

70.9

62.3

自己資本利益率

(%)

8.3

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動による

キャッシュ・

フロー

(千円)

161,537

403,596

562,296

760,553

534,793

投資活動による

キャッシュ・

フロー

(千円)

50,583

430,674

19,474

8,637

397,564

財務活動による

キャッシュ・

フロー

(千円)

229,206

2,658,538

18,236

52,012

1,256,323

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

1,613,040

3,437,307

2,873,773

2,052,570

2,376,535

 

 

従業員数

〔外、平均臨時

雇用者数〕

(名)

22

21

21

21

23

2

1

1

1

3

株主総利回り

(比較指標:東証グロース指数)

(%)

58.6

34.7

45.3

(%)

(-)

(-)

(96.7)

(88.2)

(92.4)

最高株価

(円)

2,468

1,797

883

1,412

最低株価

(円)

1,230

668

430

438

 

(注) 1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。

2.第12期及び第13期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和38年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づき、第12期から第15期は東邦監査法人、第16期は太陽有限責任監査法人の監査を受けております。

3.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社がないため記載しておりません。

4.1株当たり純資産額については、優先株主からの払込金額を控除して算定しております。

5.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため、記載しておりません。

6.第12期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であり、期中平均株価が把握できないため、記載しておりません。また、第13期から第16期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、1株当たり当期純損失であるため、記載しておりません。

7.当社は、2022年8月12日開催の取締役会決議により2022年9月2日付で株式1株につき500株の株式分割を行っておりますが、第12期の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益金額又は1株当たり当期純損失金額を算定しております。

8.第13期、第14期、第15期及び第16期の自己資本利益率については、当期純損失を計上しているため記載しておりません。

9.第12期の株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。第13期から第16期の株価収益率については、当期純損失のため、記載しておりません。

10.定款に基づき、2022年8月19日付でA種優先株主、B種優先株主、C種優先株主、D種優先株主及びE種優先株主の株式取得請求権に応じたことにより、すべてのA種優先株式、B種優先株式、C種優先株式、D種優先株式及びE種優先株式を自己株式として取得し、対価として当該A種優先株式、B種優先株式、C種優先株式、D種優先株式及びE種優先株式1株に対し普通株式1株を交付しております。また、その後、2022年8月19日付で当該A種優先株式、B種優先株式、C種優先株式、D種優先株式及びE種優先株式をすべて消却しております。なお、当社は2022年9月2日付で種類株式を発行する旨の定款の定めを廃止しております。

11.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第13期の期首から適用しており、第13期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

12.第12期及び第13期の株主総利回り及び比較指標については、2022年12月1日に東京証券取引所グロース市場に上場したため、記載しておりません。第14期、第15期及び第16期の株主総利回り及び比較指標は2022年12月期末を基準として算定しております。

13.最高・最低株価は、東京証券取引所グロース市場における株価を記載しております。ただし、当社株式は2022年12月1日から東京証券取引所グロース市場に上場したため、それ以前の株価については該当ありません。

 

 

2 【沿革】

株式会社サイフューズは、再生・細胞医療分野、創薬支援分野等をはじめとする先端医療分野においてヒトの細胞のみから作製した組織・臓器を新しい製品として、患者さまへの移植や新薬開発等の先端医療の現場へご提供し、医療に貢献することを目指して、創業いたしました。

当社設立以降の会社沿革は、以下のとおりであります。

 

年月

概要

2010年8月

東京都新宿区に株式会社サイフューズを設立

2010年9月

骨軟骨再生の細胞製品開発プロジェクトが国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)の委託事業(橋渡し研究開発促進事業)に採択

2011年4月

本店を東京都新宿区から東京都千代田区へ移転

2011年11月

立体組織再生に関する基本特許(三次元細胞積層技術)に関し、国立大学法人九州大学と独占ライセンス契約を締結

2012年12月

細胞版の3Dプリンタ(バイオ3Dプリンタ)「regenova®(レジェノバ)」の販売開始

2013年4月

本店を東京都文京区へ移転し、東京大学アントレプレナープラザ内に「東京ラボ」を開設

2014年4月

NEDOの委託事業(橋渡し研究開発促進事業)(2015年から国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下、AMED)の委託事業に移行)「立体造形による機能的な生体組織製造技術の開発/細胞を用いた機能的な立体組織作成技術の研究開発」(代表:佐賀大学)に採択

2014年4月

NEDO(2015年からAMED委託事業に移行)の委託事業「再生医療の産業化に向けた細胞製造・加工システムの開発」(代表:京都大学)に採択

2015年5月

ベンチャー起業への国際的表彰「アジア・アントレプレナーシップ・アワード2015」(主催:アジア・アントレプレナーシップ・アワード運営委員会、共催:三井不動産株式会社、国立大学法人東京大学産学協創推進本部、一般社団法人TXアントレプレナーパートナーズ、一般社団法人日本ベンチャー学会、独立行政法人日本貿易振興機構)にて事業の革新性や事業の実行力に対する評価を受け、優勝

2015年9月

北米でバイオ3Dプリンタ「regenova®(製品名:レジェノバ)」の販売開始

2017年6月

AMEDの委託事業「革新的医療技術創出拠点プロジェクト/HDMAC技術応用による変形性膝関節症における広範囲骨軟骨再生」(代表:九州大学)に採択

2017年7月

AMEDの委託事業「革新的医療シーズ実用化研究事業/バイオ3Dプリンタにより作製した三次元神経導管(Bio 3D Conduit)を用いた革新的末梢神経再生法の臨床開発」(代表:京都大学)へ参画

2017年8月

「大学発ベンチャー表彰2017」(主催:国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)/ NEDO)にて優れた大学発ベンチャーとしての評価を受け、「科学技術振興機構理事長賞」を受賞

2017年8月

「第15回産学官連携功労者表彰」(主催:内閣府、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、一般社団法人日本経済団体連合会、日本学術会議)にて産学官連携活動の推進に多大な貢献をした優れた企業としての評価を受け、「日本学術会議会長賞」を受賞

2017年10月

富士フイルム株式会社と血管再生の細胞製品開発に関する業務提携

2018年8月

積水化学工業株式会社と肝臓構造体の細胞製品開発に関する業務提携

2018年10月

肝臓構造体の細胞製品開発プロジェクトが、NEDO公募事業「研究開発型ベンチャー支援事業/企業間連携スタートアップに対する事業化支援」に採択

2019年1月

新型のバイオ3Dプリンタ「S-PIKE®(製品名:スパイク)」の販売開始

2019年2月

「Japan Venture Awards 2019」(主催:独立行政法人中小企業基盤整備機構)にて革新的かつ潜在成長力の高い事業や、社会的課題の解決に資する事業を行う、志の高いベンチャー企業の経営者としての評価を受け、「中小機構理事長賞」を受賞

2019年2月

太陽ホールディングス株式会社と再生・細胞医療分野における再生医療等製品の製品製造に関する資本業務提携

2019年5月

東京都の「TOKYO働き方改革宣言企業」に認定

2019年6月

経済産業省のスタートアップ支援プログラム「J-Startup」企業に選定

2019年7月

本店を東京都文京区へ移転

 

 

年月

概要

2019年11月

AMEDの委託事業「バイオ3Dプリンタを用いて造形した小口径Scaffold free細胞人工血管の臨床研究」(代表:佐賀大学)へ参画

2020年5月

AMEDの委託事業「末梢神経損傷を対象とした三次元神経導管移植による安全性と有効性を検討する医師主導治験」(代表:京都大学)へ参画

2020年6月

岩谷産業株式会社と再生・細胞医療分野における技術開発に関する業務資本提携

2020年10月

太陽ホールディングス株式会社と再生・細胞医療分野における包括的パートナーシップ契約締結

2020年11月

京都大学医学部附属病院とバイオ3Dプリンタを用いた末梢神経損傷に対する三次元神経導管の医師主導治験を開始

2020年12月

藤森工業株式会社(現 ZACROS株式会社)と再生・細胞医療分野における技術開発に関する業務資本提携

2021年12月

株式会社メディパルホールディングスと再生・細胞医療分野における再生医療等製品の安定流通に関する開発投資契約締結

2022年3月

福岡地所株式会社と地域創生を目的とした業務資本提携

2022年4月

本店及び東京ラボを東京都港区へ移転

2022年4月

AMED 橋渡し研究プログラム「バイオ3Dプリンター技術を用いた膝関節特発性骨壊死に対する骨軟骨再生治療」(代表:慶應義塾大学)へ参画

2022年9月

福岡ラボを福岡県福岡市中央区へ移転

2022年12月

東京証券取引所 グロース市場に上場(証券コード:4892)

2023年6月

京都大学医学部附属病院とバイオ3Dプリンタを用いた末梢神経損傷に対する三次元神経導管の医師主導治験を完了

2023年8月

PHC株式会社と再生・細胞医療分野における業務提携

2023年9月

AMED委託事業「バイオ3Dプリンターで作製した三次元移植組織を用いる革新的歯周再生療法の開発」(代表:広島大学)へ参画

2023年10月

NEDO事業で開発した創薬支援向けの3D細胞製品「ヒト3Dミニ肝臓®」の販売開始

2024年3月

末梢神経再生の医師主導治験終了後、社会実装に向けて協創(京都大学/太陽ファルマテック)

2024年4月

令和6年度知財功労賞にて「経済産業大臣表彰」を受賞

2024年5月

AMED 橋渡し研究プログラム「バイオ3Dプリンター技術を用いた膝関節特発性骨壊死に対する骨軟骨再生治療」(代表:慶應義塾大学)の採択及び参画

2025年4月

2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)「大阪ヘルスケアパビリオン」に展示参加

2025年11月

AMED再生医療等実用化研究事業「末梢神経損傷に対する同種臍帯由来間葉系細胞を用いた三次元神経導管移植治療の医師主導治験に関する研究開発」(代表機関:京都大学)に参画

2025年12月

福岡証券取引所 Q-Board市場に重複上場

 

脂肪性肝炎(MASH)の新薬開発向けの3D細胞製品「ヒト3Dミニ肝臓®/疾患モデル」の販売を開始

 

株式会社クラレと再生医療及びライフサイエンス分野における業務資本提携契約を締結

 

 

 

3 【事業の内容】

1.当社の事業概要

当社『サイフューズ(Cyfuse)』は、2010年の創業以来、「革新的な三次元細胞積層技術の実用化を通じて医療の飛躍的な進歩に貢献する」という企業理念のもと、細胞のみから作製した立体的な組織・臓器を新しい「3D細胞製品」として、再生医療・創薬分野をはじめとする先端医療の現場へお届けすることで、社会に貢献することを目指す再生医療ベンチャーです。

当社では、従来技術・従来製品との比較優位性を背景に、世界初の革新的な「3D細胞製品」の実用化を主軸とした戦略的な事業展開を進めております。

当社事業領域は、細胞製品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであり、(1)再生医療領域において、再生医療等製品の実用化へ向けたパイプライン開発及び研究用3D細胞製品の各種受託、(2)創薬支援領域において、製薬企業・非臨床試験受託企業等の創薬活動を支援する3D細胞製品の開発・販売、(3)デバイス領域において、基盤技術を搭載したバイオ3Dプリンタ等の三次元細胞積層システム機器の開発・販売等を行い、複数領域において、多面的に事業展開しております。

当事業年度における、各事業領域の事業活動及び製品開発の進捗概況は、以下のとおりです。

 

(1) 再生医療領域

① 当社の開発する再生医療等製品

再生医療とは、細胞や組織を用いて、病気やケガ等により機能を失った組織や臓器を修復・再生させる医療であり、患者さまに対して新たな治療法の選択肢を提供し、国民の健康増進に大きく寄与することが期待される新しい医療領域です。ヒト又は動物の細胞に培養等の加工を施し、身体の構造・機能の再建・修復・形成するものや疾病の治療・予防を目的として使用するものを総称して「再生医療等製品」といいます。

従来、再生医療に用いることを目指した組織や臓器の開発では、ゲルやコラーゲンといった人工材料が用いられることが一般的でしたが、当社では人工材料を使用することなく、細胞のみで立体的な組織や臓器を作製することを可能にする独自の基盤技術を有しております。

当社では「ヒトの細胞のみを材料とし、バイオ3Dプリンタを使用して立体的な組織・臓器を作製し、患者さまへ移植することで、移植先の組織や臓器の機能を回復・再生させる」という新しい治療コンセプトの再生医療等製品の開発を進めております。

当社が開発を進める製品は、液体状での細胞を投与する製品(1D製品)やシート状に加工した細胞製品を組織や臓器に貼付する製品(2D製品)等の従来の再生医療等製品と異なるコンセプトの、立体的な組織・臓器(3D製品)です(図1)。


図1.再生医療等製品例

 

当社が開発する再生医療等製品(3D細胞製品)は、細胞のみから成る細胞塊(スフェロイド)及び自社で製品化した細胞版の3Dプリンタ(バイオ3Dプリンタ)を使用して立体的な組織や臓器を作製するという独自の基盤技術に特徴と強みを有しております。

この基盤技術及びバイオ3Dプリンタを使用してヒトの細胞のみで作製された組織や臓器は、移植後の拒絶反応や感染症のリスク等、患者さまに対する負担を軽減することができる点、また、人工材料や生体材料を使用しないため生体との親和性が高く、患者さまご自身の組織や臓器が持つ組織・臓器本来の機能を再生させる可能性が大きい点、既存の医薬品や医療機器等にはない再生能力を有する点等において、これまでの製品とは大きく異なる性質や機能を有しております。

当社では、「患者さま自身の」生きた細胞を用いて3D細胞製品を製造し、自身の細胞を自身の体内に戻す自家細胞移植をターゲットとした「自家細胞製品」を第一世代製品として、様々なパイプライン開発を進めており、非臨床試験(動物への移植試験)において、安全性と有効性を十分に確認し、再現性のあるデータを取得した上で、臨床試験(患者さまへの移植)の段階へ開発を進めております。

また、当社の基盤技術には、使用する細胞の種類に制限はなく、細胞塊を作製することができるあらゆる細胞から立体的な組織・臓器を作製することが可能であるという独自の技術的特徴があります。

この特徴を活かし、患者さま自身の細胞(自家細胞)以外の、他人の細胞やiPS細胞等を用いて作製した立体的な組織・臓器を患者さまに移植する同種(他家)細胞移植をターゲットとした「同種細胞製品」についても、第二世代製品候補として開発を進めております。同種細胞製品については、疾患に応じて原料となる細胞を十分に検討した上で、非臨床試験(動物への移植試験)を実施し、安全性と有効性を十分に確認したのちに、臨床試験(患者さまへの移植)へと開発を進めております。

当社独自のバイオ3Dプリンタによって、様々なサイズ(口径・長さ)、任意の形状・立体構造を有する組織・臓器を、様々な疾患への治療法として応用展開することも視野に入れた製品開発を行っております。

このように当社では、独自の基盤技術を用いて、ヒト細胞のみから成る移植可能な臓器を再生医療等製品として患者さまへお届けすることで、病気やケガで機能不全になった組織・臓器等を再生する新しい治療法の選択肢を提供し、再生・細胞医療分野の発展に貢献することを目指しています。

現在開発を進めている細胞製の神経、骨軟骨、血管のような新たな「再生医療等製品」の実用化により、従来の治療法では困難であった組織・臓器再生という新たな治療法の選択肢が誕生することで、QOL(Quality of Life)を大きく向上させることが期待されています。

 

② 主要パイプライン

本領域では、主要な再生医療パイプライン(末梢神経再生、骨軟骨再生、血管再生等の革新的な再生医療等製品)について、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下、「AMED」という。)等の公的機関による支援のもと、再生医療等製品の承認取得・実用化を目指し、各大学・研究機関及び連携企業等の共同開発パートナーとともに臨床開発及び研究開発に注力しております。

当事業年度においては、主要パイプラインの着実な開発進展と将来的な技術の社会実装や製品の商業化を見据えた戦略的提携が大きく前進いたしました。

具体的には、これまでに当社のバイオ3Dプリンタを用いた再生医療等製品に係る臨床開発において、世界で初めて実際の患者さまへ、患者さまご自身より採取した細胞から製造した三次元神経導管を移植することに成功し治療効果を高める等、産学官一体で取り組む新たな再生医療等製品の製品開発が順調に進展しております。

また、当社のパートナー企業との協業を通じたパートナーシップの拡大により、本分野における事業基盤(サプライチェーン)の整備・確立に向けた取り組みが進んでおります。

さらに、本臨床試験の成果を含む当社の再生医療等製品の開発に関しては、国際学術誌への掲載や学会での発表等を通じて、学術的・科学的なエビデンスを国内外に広く公表し、また、展示会等においても製品周知及び価値向上に向けて様々な活動を行いました。その結果、当社の製品開発活動やバイオ3Dプリンティング技術をはじめとした基盤技術に対するメディアでの取り上げが増加する等、今後の製品上市へ向けた事業化活動も進展いたしました。

本書提出日現在での開発計画に基づく、当社のパイプラインの開発ステータスは以下のとおりです(図2)

 


図2.当社のパイプラインの開発ステータス

 
a.末梢神経再生

末梢神経再生については、外傷により神経損傷を受けた患者さまの四肢の機能を再生・回復させることが可能となる「細胞製神経導管」の開発に取り組んでおります。

末梢神経再生については、京都大学医学部附属病院において実施した「末梢神経損傷を対象とした三次元神経導管移植による安全性と有効性を検討する医師主導治験」が完了したことを受け、国立大学法人京都大学及び当社のパートナー企業である太陽ホールディングス株式会社並びに太陽ファルマテック株式会社とともに、企業治験開始に向けた準備を進めております。

また、同種細胞を用いた再生医療等製品の研究開発についても順調に進展しており、AMED事業「末梢神経損傷に対する同種臍帯由来間葉系細胞を用いた三次元神経導管移植治療法の開発」において、開発パートナーである国立大学法人京都大学及び国立大学法人東京大学とともに非臨床試験等を実施し、神経再生の有効性と安全性を確認した研究成果が米国の国際学術誌「PLOS One」及び「Cell Transplant」に掲載されました。

当事業年度においては、AMED事業「末梢神経損傷に対する同種臍帯由来間葉系細胞を用いた三次元神経導管移植治療の医師主導治験に関する研究開発」の支援のもと、治験製品の製造体制及び臨床体制を整備し、製造施設において製造試験を実施の上、治験届を提出し、治験開始に向け準備を完了いたしました。これを受け、2026年1月より国立大学法人京都大学及び国立大学法人東京大学とともに医師主導治験を開始いたしました。

このように当社では、再生医療業界では初となる、同一基盤技術に基づいた自家細胞製品及び同種(他家)細胞製品の同時開発並びに製品化の実現を通じ、再生医療等製品の価値最大化を図り、再生・細胞医療への貢献を目指して、引き続き開発に取り組んでまいります。

 

b.骨軟骨再生

骨軟骨再生については、変形性膝関節症等により軟骨だけでなく軟骨下骨まで損傷が進行している患者さまへ軟骨と軟骨下骨とを同時に再生させることが可能な「細胞製骨軟骨」の開発に取り組んでおります。

当事業年度においては、AMED橋渡し研究プログラム「バイオ3Dプリンター技術を用いた膝関節特発性骨壊死に対する骨軟骨再生治療」において、開発パートナーである慶應義塾大学病院及び藤田医科大学病院とともに治験製品の製造体制を整備し、製造施設での製造試験を行う等、治験開始に向けた準備を進めました。

また、経済産業省「令和4年度第二次補正予算『再生・細胞医療・遺伝子治療の社会実装に向けた環境整備事業』」により基盤整備を進めた神奈川県川崎市殿町及び東京都大田区羽田エリアにおいて、藤田医科大学及び慶應義塾大学病院、慶應義塾大学再生医療リサーチセンターを中心とするコンソーシアムCReM TONOHANE(殿町・羽田再生医療拠点)を立ち上げ、当社の骨軟骨再生の社会実装及び日本発の再生医療を国内外の患者さまに広くお届けできるよう継続して基盤整備に取り組んでおります。

 

c.血管再生

血管再生については、腎不全等により血液透析を必要とされる患者さまへ移植可能な細胞製の血管構造体「小口径細胞製人工血管」の開発に取り組んでおり、国立大学法人佐賀大学とともに臨床試験を継続し開発を進めております。

今後も、開発パートナー及び医療機関並びにパートナー企業と協働し、細胞製神経導管をはじめとする複数パイプラインについて、革新的な再生医療等製品としての製造販売承認取得及び社会実装を目指し、新たな治療法の選択肢を増やすべく、引き続き開発を進めてまいります。

 

③ 次世代パイプラインの開発

主要パイプラインに加え、次世代パイプラインの育成及び探索開発についても進捗しており、共同研究先である国立大学法人広島大学が採択されたAMED事業「バイオ3Dプリンターで作製した三次元移植組織を用いる革新的歯周再生療法の開発」に引き続き参画し、歯周組織再生療法に関する研究開発を進め、第24回日本再生医療学会総会(2025年3月)、第68回秋季日本歯周病学会学術大会(2025年10月)において共同研究パートナーとともに開発成果の公表等を行いました。また、末梢神経再生の領域拡大として、顔面神経再生についての開発を進めており、東京女子医科大学と東京医科大学との共同研究成果について、第24回日本再生医療学会総会(2025年3月)、TERMIS‑EU Congress 2025(2025年5月)に発表し、論文「Stem Cells International」にも公表されました。

今後も引き続き、次世代パイプラインの研究開発を進めるとともに、新たなシーズ探索・基礎研究を進めてまいります。

 

④ パートナーシップ戦略に基づく事業基盤構築 

当社が実用化を目指す細胞製品の開発においては、基盤技術を用いて細胞のみで立体的な構造体を作製するコアプロセス(細胞塊の作製~三次元細胞積層による立体化~立体構造体の組織化)が極めて重要です。当社では、細胞製品の実用化・産業化に向け、このコアプロセスの機械化及び生産設備開発に取り組んでおり、製造設備及び製造設備等のインフラに関する技術・ノウハウ等を有する企業とのパートナーシップ強化を加速し、必要となる培養技術やプロセス開発等、商業化に必要となる技術開発を進めております。

パートナー企業との連携に関しては、細胞製品の製造に関する包括的パートナーシップ契約を締結している太陽ホールディングス株式会社及びその子会社である太陽ファルマテック株式会社とともに、将来の再生医療等製品の実用化を見据えた、製造販売体制構築に向けて準備を進めました。その他にも、ZACROS株式会社とともに細胞の大量培養に関する共同技術開発を、岩谷産業株式会社とともに3D細胞製品の凍結保存に関する共同開発を進める等、当社が開発を進める再生医療等製品及び3D細胞製品の実用化に向けたパートナー企業との共同開発の進展により、将来的な産業応用も視野に入れた産学官エコシステムでの取り組みも加速しております。

当事業年度においては、PHCホールディングス株式会社及びその子会社であるPHC株式会社と、第24回日本再生医療学会総会(2025年3月)において学術セミナーを共催するとともに、再生医療等製品の商業生産へ向けた共同開発の成果として、3D細胞製品の商業化へ向けた新生産技術についての成果発表及びプレスリリースを行いました。また、再生医療パイプライン開発の順調な進捗を受け、再生医療の産業化及び社会実装に向け、株式会社クラレ、ZACROS株式会社及び千代田化工建設株式会社との4社による「細胞の挙動を解析・予測する新規シミュレーションソフトを駆使した効率的な大量培養プロセス構築法の確立およびプラットフォーム化に関する共同開発」を開始しました。

さらに、当社独自の基盤技術「バイオ3Dプリンティング」と株式会社クラレの精密かつ信頼性の高い「高品質なモノづくり力(素材開発力)」を戦略的に融合させ、再生医療及びライフサイエンス分野における新事業の創出を目的として、業務資本提携を締結いたしました。革新的な再生医療等製品の事業化フェーズへの移行という重要なタイミングで本業務提携が実現したことにより、今後は、新たな再生医療の実現へ向けた事業化が大きく加速することが見込まれます。

これらの国内での事業展開に加え、バイオ3Dプリンタのマーケティングをはじめ、様々な関係機関や企業等とのコラボレーションの機会探索の拡大等、今後の商業化及びグローバル展開へ向けた協業も進捗しております。

具体的には、日立グローバルライフソリューションズ株式会社、MetaTech (AP) Inc.及びTaiwan Hitachi Asia Pacific Co., Ltd.との台湾地域での協業展開や、Centre for Immunology & Infection Limited(C2i)の子会社であるC2iTech Limited(香港)、及び日立グローバルライフソリューションズ株式会社との間で、当社独自の基盤技術「バイオ3Dプリンティング」を活用した今後のアジア地域における戦略的協業に向けた交渉を進める等、バイオ3Dプリンティング技術をはじめとする当社の基盤技術のアジア展開が進展いたしました。

また、これらの事業活動と並行して、成長産業市場である日本の再生医療に関する情報を世界へ向けて発信する取り組み等の事業化活動も推進しております。当事業年度においては、厚生労働省が推進する情報発信事業への協力を通じて、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)にて、バイオ3Dプリンタや基盤技術を用いて作り出される新たな3D細胞製品等の展示を行いました。

以上のように、今後もパートナー企業との間で戦略的パートナーシップの強化を進め、革新的な再生医療等製品の早期の実用化に向けた開発を進めるとともに、商業化へ向けた企業間連携をより一層強化してまいります。

 

(2) 創薬支援領域

本領域では、独自の基盤技術「バイオ3Dプリンティング」により、人工材料等による足場(スキャフォールド)を使用せず、ヒト細胞のみから成る3D細胞製品の開発を進めており、「ヒト3Dミニ肝臓®」をはじめとした、臓器が有する機能を体外で再現する3D細胞製品「機能性細胞デバイス(Functional Cellular Device:FCD®)」の製品開発に注力しております。

当事業年度においては、本3D細胞製品のラインナップ拡充と、それらを活用した共同研究及び受託試験のプロモーション活動を積極的に展開いたしました。

具体的には、すでに販売を開始している第1弾FCD製品「ヒト3Dミニ肝臓®」について、MPS実用化推進協議会第2回学術シンポジウム(2025年1月)の企業展示ブースへの出展やウェビナーの開催による製品周知等によりマーケティング及び販路拡大に向けた活動を行うとともに、極東製薬工業株式会社、オリエンタル酵母工業株式会社と新たに販売提携契約を締結し、販路拡大を進めました。

また、これらの販売活動と並行して、本製品に関する米国における特許権を取得したことで、今後は、日本に加え米国市場での更なる展開へ向けたマーケティング活動にも本格的に着手いたします。

本製品は、製薬企業や非臨床試験受託企業等から、創薬研究のニーズに応える高いユーザビリティに対する評価をいただくとともに、将来的には、サステナビリティの観点からも動物実験代替法としての活用可能性等の大きな社会的意義を有しており、今後はグローバルを含め広く周知していく予定です。

さらに、「ヒト3Dミニ肝臓®」に続くFCD製品のラインナップ拡充に関しても、APPW2025(第130回日本解剖学会/第102回日本生理学会/第98回日本薬理学会合同大会)(2025年3月)、第52回日本毒性学会学術年会(2025年7月)、第9回バイオ医薬EXPO(2025年7月)、日本動物実験代替法学会第38回大会(2025年11月)並びに統合医療機能性食品国際学会第33回年会(2025年11月)における、研究成果の発表及び企業展示ブースでの紹介を行う等、事前のマーケティング活動を経て、2025年12月より「ヒト3Dミニ肝臓®/疾患モデル」の販売を開始いたしました。

本製品は、世界的にも未充足な医療ニーズ(アンメット・メディカル・ニーズ)が高い「脂肪性肝炎(MASH)」領域の治療薬開発を支援する新たな製品であり、有効な承認薬が未だ存在しない同領域において、新薬開発の加速に大きく貢献することが期待されております。

本製品のような新たな細胞製品を拡大成長を続ける新創薬市場へ投入することにより、従来の安全性評価用の「健常モデル」に加え有効性評価用の「疾患モデル」の提供が可能となりました。これにより、製薬企業の創薬プロセスを安全性・有効性の両軸から強力にサポートできる体制が整い、今後のさらなる販売拡大が見込まれます。

さらに、新たに当社独自の基盤技術を拡張し、ヒトの腸管が有するバリア機能を再現する「3Dミニ腸管モデル」作製技術について開発を完了しました。今後、当社の機能性細胞デバイス(FCD®)シリーズの新たな製品ラインナップとして、世界的に急拡大する腸活等の消化器系健康関連市場や「未病」市場への製品投入を目指して、食品製造分野で最大級の展示会FOOMA JAPAN2025(2025年6月)に出展する等、医療分野以外への製品拡大及び販路拡大を目的としたマーケティング活動にも注力いたしました。

今後も、製薬企業や食品会社等からのニーズに基づく3D細胞製品のラインナップの拡充と各種受託やデバイス製品の売上の積み上げによりベース収益の安定拡大を図るとともに、当社独自の基盤技術が創出する3D細胞製品を通じて、医薬品や食品、動物実験代替法等、多岐に渡る領域進展への貢献に取り組んでまいります。

 

(3) デバイス領域

本領域では、バイオ3Dプリンタを中心としたデバイス及び消耗品販売に加え、当社細胞製品の商業生産を視野に入れた次世代装置の開発に注力しております。

当事業年度においては、PHC株式会社との共同開発による自動化技術の進展等、基盤技術の付加価値向上を図るとともに、再生医療領域における製品製造環境整備や商業生産技術開発が進展いたしました。具体的には、独自の基盤技術を搭載した自動化装置や関連周辺機器及び専用消耗品類の開発・製造・販売等の事業活動を進め、機器・消耗品類によるベース収益の向上に努めました。

将来の再生医療等製品の生産技術の基盤構築に向け、末梢神経再生や骨軟骨再生等の主要パイプラインにおける治験開始に向けた製造環境整備、再生医療領域における次世代パイプラインの研究開発や創薬支援領域のFCD製品の開発を加速させるための生産技術開発も進めており、再生医療等製品をはじめとする各種3D細胞製品の製造工程に関して、バイオ3Dプリンティング以外の工程の機械化・自動化にも着手しております。併せて、製造現場での生産性向上を図るべく周辺機器類の拡充等も並行して進めております。その一環として、業務提携パートナーである日本精工株式会社との間では、3D細胞製品の製造工程の機械化・自動化へ向けた新技術開発を進めました。

加えて、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」(全国中小企業団体中央会/中小企業庁/経済産業省)の支援のもと開発を進めてきた『バイオ3Dプリンタ用資材製造・保守レポート管理システムの構築』に関して、デバイス製品の生産性・品質向上に取り組み、新たに開発した周辺機器類の製品販売を開始いたしました。今後は本事業を通じて得られた開発の成果をもとに、商業生産を見据えた実用化をさらに加速してまいります。

その他、各種学会や展示会へのバイオ3Dプリンタの出展、メディア等の媒体を通じたPRの拡大等、更なる基盤技術の普及・周知に繋げる活動に関しても継続して取り組んでおります。

今後も引き続き、様々なパートナー企業との連携を通じて、各種3D細胞製品の実用化に向けた生産技術開発、製品製造工程に係る様々な技術応用や新技術開発及び商業生産へ向けた機械化・自動化、並びに将来の商業化を見据えた新たな生産技術開発にも積極的に取り組み、再生・細胞医療領域における様々な製品開発に寄与する有力な技術としてのポジション確立を目指してまいります(図3)


 

図3.バイオ3Dプリンタを用いた製造プロセス全体図

 

 

2.事業戦略

(1) 当社の事業戦略

当社では、当社独自のビジネスモデルを発展拡大させ、デバイス普及により「ベース収益の確保」と「シーズ探索の拡大」を図り、創薬支援用途等の研究用組織による「早期マネタイズ」の実現を経て、中長期的には「再生医療等製品の承認取得」を目指し、再生医療ベンチャーとしての事業価値最大化を図ってまいります。

当社独自の基盤技術を中核とした中長期的な事業展開としては、以下(図4)を想定しており、現状はSTEP2からSTEP3に移行している段階にあります。

 

<STEP1>

複数の大学等の開発パートナーと共同研究を実施し、それらを通じて当社研究開発の中核となるパイプラインの構築を図ってまいります。また、バイオ3Dプリンタ「regenova® (製品名:レジェノバ)」「S-PIKE® (製品名:スパイク)」「Cystrix® (製品名:サイストリクス)」の販売を通じて当社基盤技術の普及を進めております。

 

<STEP2>

複数の企業パートナーとの提携により、各パイプラインの製品実用化に向けた臨床開発に取り組んでおります。また、細胞製品開発に必要となる基盤技術を応用した臨床用装置や将来の商業生産を想定した新技術の発明や次世代デバイスの技術開発を進めてまいります。

 

<STEP3>

企業パートナーとともに再生医療等製品の承認取得を目指し、再生医療領域の中核パイプラインの実用化に向けた開発を進めてまいります。また、細胞製品実用化に必要となる基盤技術の開発や新技術開発を継続し、細胞製品及びその用途の拡大を図るとともに、当社が培ってきた基盤技術を新たな領域にも拡大するべく、次世代パイプラインの探索及び拡充を図ってまいります。

 


図4.中長期事業戦略(イメージ)

 

(2) 当社のアライアンス戦略

当社では、従来技術・従来製品との比較優位性を背景に、一般的な創薬系ベンチャーとは異なる事業戦略に基づき、世界初の革新的な再生医療等製品の実用化を目指して戦略的・多面的に事業展開を進めております。

再生医療等製品の開発においては、原材料が生きた細胞であることから個体差のある細胞の培養、加工、品質検査、最終製品の出荷、医療機関への輸送、患者さまへの移植まで、製品が届くまでのステップが個別具体的なものとなるという従来の医薬品とは異なる特徴を有しています。

そのため、製品開発プロセスにおいても、単一の化合物についてのライセンスを保有するバイオベンチャー1社の企業が単独で、アウトソーシングやライセンスアウトに依存しながら開発を進めていく一般的な創薬系ベンチャーでの医薬品開発の場合とは異なり、再生医療等製品の製品化にあたっては、企業や医療機関との連携や技術・設備・装置等の共同開発体制構築が必要不可欠です。

また、医薬品におけるアライアンスはライセンスの権利付与を前提とするのに対して、再生医療におけるアライアンスは、単なる権利移転のみならず製品製造に係る技術やノウハウ等の移管を要することから、当社では、将来の製造販売体制構築を視野に入れた共同開発体制を構築する独自のアライアンス戦略をとっています。

そしてそのアライアンス戦略に基づき、製造設備等のインフラに関する技術やノウハウ・設備等を有する複数の医療機関・事業会社・行政機関等の外部パートナーとの共同開発体制(コンソーシアム)を形成することで、製品化へ向け着実に開発を加速させております。

このような当社独自のアライアンス戦略は、①1社単独による開発リスクを低減し、事業化パートナー企業と有機的に連携することにより着実に製品化へ向けた確度の高い開発を進めることで、開発製品の上市の確度を大きく向上させるとともに、②実用化に近いパイプラインを複数有し、かつ、製品ごとにターゲットマーケット及び販売戦略をすみ分けることで、事業リスクを低減し事業計画実現の確度を高めるものです。

再生・細胞医療分野において世界初の製品上市により事業計画を実現することを目指す当社においては、その独自のアライアンス戦略に基づき、最終製品化のためのライセンスパートナーへの技術移管を含めた製造販売体制を構築することが、結果として当社製品の価値の向上、ひいては当社の企業価値向上に大きく寄与していくものと考えております。

したがって、当社の再生医療等製品の上市の蓋然性については、実際の共同開発体制や開発パートナーの開発力・技術力が重要な判断指標となります。今後は当社及びパートナーが保有する技術・ノウハウを融合させることで、製品を安定的に供給できる体制、及び患者さまに新しい治療法の選択肢を安心安全にお届けする体制を共同構築していく方針です。


 

 

4 【関係会社の状況】

該当事項はありません。

 

5 【従業員の状況】

(1) 提出会社の状況

2025年12月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

23

(3)

42.8

5.8

9,351

 

 

事業部門の名称

従業員数(名)

研究開発部

(3)

システム開発部

(―)

事業推進部

(―)

経営管理部

(―)

合計

23

(3)

 

(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時従業員数(嘱託、パートタイマー及び派遣社員は含む。)は、年間の平均人員を( )内に、外数で記載しております。

2.平均年間給与には、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.当社は細胞製品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(2) 労働組合の状況

労働組合は結成されていませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

(3) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

当社の管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異については、現時点においては「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)」及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)」の規定による公表義務の対象ではありませんが、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおり、基本方針に基づく人材育成及び社内環境整備等の取り組みを促進しております。