第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針・経営戦略等

①会社の経営の基本方針

 当社グループのサービスは日本人の視点に立った、細やかな「ジャパンスタンダード」のアシスタンスです。グローバル化が進む今日、日本人のお客様のみならず世界のお客様へ一人一人の気持ちになって真に求められているサービスを提供していく必要があると考えております。

 社会経済活動が活性化する中で、お客様が世界のあらゆる場所で活躍される機会が増えるとともに、慣れない場所での自然災害や、テロなど予期しない出来事に遭われる可能性が高まります。また、先般の新型コロナウイルス感染症のような新たなパンデミックが起こる可能性も十分に考えられます。このような事態に迅速に対応するために、世界の隅々までサービスを提供できるオペレーション能力の向上とサービス体制を構築しつつ、アウトバウンドやインバウンドの医療アシスタンス体制や運用コストの見直しを行い、組織再編を進めるとともに、少数精鋭化の業務運営を目指します。

 また、厚生労働省の受託事業から得た経験やノウハウを生かし、新規事業の立ち上げと拡大に注力してまいります。

 遠隔診療やヘルスケア市場の拡大は続き、多くの企業が新規に参入してくるものと思われる中、当社におきましてもヘルスケア市場への取り組みをより一層強化し、収益の計上を目指します。データやデジタル技術を活用したDX化への取り組みについても、早急に進め、ビジネスモデルの変革を目指します。

 

②会社の経営戦略

  2026年度は、2025年6月に策定・公表いたしました『EAJ Next Vision中期経営計画2025-2027』の2年度目にあた

 ります。この中期経営計画の実現に向けた経営方針の実行方策を推進する3つの柱を積極展開してまいります。

  まず、一つ目の柱である「生成AIによる業務改革」につきましては、生成AI等の導入によるDX化を推進し業務の

 効率化、省力化を図り、少人数でもより多くの業務を受けることができる体制の整備が不可欠であることから、それ

 を実現するためのDX化の設備投資を積極的に行います。まずはライフアシスタンス事業セグメントでの導入を先行

 し、次のステップとして医療アシスタンス事業セグメントへの拡充を進めることを予定しております。

  また、更に昨今委託先から求められる高い精度の情報セキュリティ要件を満たすことが継続受託には必須となるこ

 とから、情報システム関連基本インフラ等に係る設備投資の資本投下を行う計画を進めており、高度なセキュリティ

 要件の具備という差別化を武器に新たな業務受注の拡大を図ります。

  次に二つ目の柱である「インバウンド事業の拡大」につきましては、まず医療ツーリズム事業において、当社の強

 みである高度医療・専門治療のコーディネート機能をさらに強化します。加えて、予防医療の観点から、健康志向の

 高い富裕層向けに未病段階でのヘルスケア、ウェルエイジング、アンチエイジングなどのウェルネスサービスを拡充

 し、医療と観光を融合した滞在型プログラムの開発を進めてまいります。

  また、訪日外国人向け緊急対応型医療アシスタンス事業においては、インバウンド需要の継続的な拡大が見込まれ

 る中、2026年度より積極的な事業拡大フェーズへと舵を切ります。2024年度から取り組んでまいりました不採算・高

 リスク案件の整理による契約ポートフォリオの再構築およびオペレーション体制の刷新により、高収益かつ安全性の

 高いビジネスモデルへの転換を進めております。2026年度は、この盤石な基盤の上で既存顧客との関係強化を図りつ

 つ、新規の海外損害保険会社及びアシスタンス会社等の開拓を積極的に推進し、売上及び利益ともに持続的な成長を

 実現させてまいります。

  最後に三つ目の柱である「顧客基盤拡大の積極展開」につきましては、当社グループの主要事業である海外旅行保

 険付帯の医療アシスタンスサービスにおいて、出国日本人数や訪日外客数の増加傾向により、堅調な推移を見込んで

 おります。また、各損害保険会社との契約更新時における価格交渉を実施してまいります。

  法人向け医療アシスタンスサービスにおいては、新たなサービスの提供、顧客紹介マッチング提携企業からの紹介

 案件の契約獲得、インバウンド医療アシスタンスサービスの提案営業を推進します。

  留学生危機管理サービスにおいては、法人向け医療アシスタンスサービスとのアプリの統合による利便性を図り、

 新規顧客獲得と既存大学からの加入会員数の増加を目指すとともにOSSMAインバウンドアシスタンスサービスの提案

 営業を促進します。

  セキュリティ・アシスタンスサービスにおいては、コンサルティング案件の受注促進、医療アシスタンス案件から

 のクロスセル受注機会を活かして契約獲得につなげます。

  救急救命アシスタンスサービスにおいては、これまでの事業実績と当社ノウハウを整理し、新規プロジェクト・ア

 シスト契約受注に向けた提案営業を展開してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、事業の継続的な拡大を通じて、企業価値を向上させていくことを経営の目標としております。経営指標としては利益の確保に加え、現金の動きを把握するキャッシュ・フロー経営を重視するとともに、資本効率の観点から、ROE(自己資本利益率)向上による企業価値の増大に努めてまいります。

 

(3)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①経営環境

 当連結会計年度は、海外大手損害保険会社から海外旅行保険に付帯するアシスタンス業務を受託したこと、厚生労働省から受託しました「令和6年度EMIS(広域災害・救急医療情報システム)代替サービス事業」及び「令和7年度EMIS(広域災害・救急医療情報システム)サービス事業」等の売上を計上したことより、前期比で売上高が増加しました。2026年度は、2025年6月に策定・公表いたしました『EAJ Next Vision中期経営計画2025-2027』の2年度目であり、戦略的投資と収益体質の抜本的強化による企業価値の最大化を加速する核心的フェーズにあたります。

 

②優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社の最大の強みである24時間運用のオペレーション体制で培った豊富な経験値と高度な専門知識及びヒューマンタッチのサービスと、生成AI導入という新たなテクノロジーを融合させた「次世代型エマ―ジェンシーアシスタンス」の実現を目指します。

 

<優先的に対処すべき課題>

A.中長期的な企業価値向上と持続的成長の実現

  資本収益性を意識し、中長期的な企業価値向上に資する経営資源の適切な配分を行い、持続的成長を実現する

B.事業ポートフォリオの最適化

  既存事業の収益力を強化するため、採算性改善が見込めない事業の統合、縮小や撤退を含めた抜本的な見直し

  を進めるとともに、顧客ニーズに基づいた商品ラインアップを拡充する。

  これにより、収益構造の改善を実現し、資本効率と会社全体の収益性向上を図る

C.業務プロセスの抜本的改革~業務品質の向上による事業拡大

  会社全体で業務プロセスを見直し、AI導入等DX化を積極推進、業務効率・採算性と働きやすさを大幅に改善、

  レベルアップしたサービス品質で既存事業を拡大する

D.成長分野への戦略的資本投資

  EAJの強みを最大限に活かし、インバウンド事業をはじめとする成長が見込まれる事業領域や、新たなエマー

  ジェンシーアシスタンス分野への資本投資を行い、環境変化に強い成長ドライバーを育成することで、持続的

  成長を実現する収益体質の構築を目指す

 

<経営方針の実行方策>

A.生成AIによる業務改革

 ~AIイノベーションチームを社長室に設置し、生成AIツール導入による業務効率化とサービス品質向上を推進~

 ・既存ビジネスの効率化・働き方改革

 ・オペレーションサービス品質の均一化・安定化

 ・AIによる新たな収益創出

B.インバウンド事業の拡大

 ~インバウンド医療ツーリズムの拡大による収益の確保~

 ・医療機関・医療者とのアライアンス構築・ネットワーク拡大

 ・メディカル・ヘルスケアサービスのラインナップ拡充

 ・コーディネート力の強化および集客チャネルの拡大

 ・海外(特にアジア)におけるEAJ認知度向上

 

C.顧客基盤拡大の積極展開

 ~潜在的ニーズの発掘および顧客基盤の拡大~

 ・コーポレートアシスト(企業向け海外医療アシスタンスサービス):プレミアムプラン検討・拡販

 ・OSSMA(留学生危機管理サービス):留学生の多い私学等積極取組

 ・セキュリティアシスタンス(海外セキュリティ・リスク管理サービス):セミナー、赴任前講習、訓練開催

 ・プロジェクトアシスト(救急救命アシスタンスサービス):進行中プロジェクトの二期工事取組

 ・コンシェルジュサービス/ノンメディカル:クレジットカード業界の国際セキュリティ基準に準拠したセキュ

  リティ体制を構築することにより、他社との差別化を図り、さらなるビジネス基盤の拡大を目指す

 ・官公庁事業:インバウンド事業の経験値を基にした外国人対応政策関連の新規企画・立案・政策提言まで含め

  た新規案件の受託

D.戦略的人的資本経営の推進

 ~企業価値向上を実現する人材戦略の構築と、従業員エンゲージメントを高める人事制度改革の推進~

 ・人事評価制度の仕組みの見直し

 ・人材育成の施策

 ・業績連動型報酬の導入

 

 なお、今後の当社グループの経営・事業環境及び業績動向をしっかりと見極めつつ、適宜計画の見直しと必要な施策を実施してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

  当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティを巡る取組みについての基本的な方針の策定は行っておりませんが、役員・従業員の行動の指針である「EAJ行動規範」において、「法令の遵守」、「環境保全への寄与」、「お取引先との信頼関係の確立」、「従業員の自己実現への環境づくり」等を定め、コンプライアンス体制を構築し、地球環境問題への配慮、取引先との公正・適正な取引及び従業員の健康・労働環境への配慮等を目指しております。基本的な方針の策定については、今後、必要に応じて検討してまいります。

 また、人的資本・知的財産への投資等の重要性に鑑み、これらをはじめとする経営資源の配分や、事業ポートフォリオに関する戦略の実行が、企業の持続的な成長に資するよう、実効的に監督を行ってまいります。

 

(2)戦略

  当社グループでは、現時点でサステナビリティ関連のリスク及び機会に対処するための取組みのうち、重要なものについては、該当事項がありませんので記載を省略しております。

 当社グループは、社内に異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点や価値観が存在することは、会社の持続的な成長を確保する上での強みとなり得る、との認識に立ち、人材戦略において、社内における女性の活躍推進を含む、多様性の確保を推進しております。

 当社グループは、女性活躍推進法に基づく「一般事業主行動計画」を策定しており、また、育児を支援する環境整備として、従業員の育児休業、子の看護休暇、育児のための時間外労働の制限、育児短時間勤務制度等を実施するなど、社内環境整備を図っております。

 

(3)リスク管理

 リスクに関して、全社的な立場で的確に管理するとともに、リスクが具体化したときにおいては、迅速な意思決定を行い的確な対応を行うために、社長直属の組織として、リスク管理を統括するリスク管理委員会を設けております。リスク管理委員会は、社長を委員長とし、全常勤取締役及び組織長を委員として構成し、リスクに対する日常的な体制及び緊急時における対応策を講じる体制にしております。

 当社グループにおけるサステナビリティ関連のリスクの内容は以下のとおりです。

①法令・規制の変更について

 現在、当社グループが関連する業界においては特定の許認可制度などはないものの、今後、新たな自主規制が設けられたり、公的、準公的資格の取得が義務付けられたりする可能性があります。当社グループの想定を超えた法的規制及び自主規制等が設けられた場合、当社グループのビジネスモデル等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、業界動向等については十分に注意を払ってまいります。

②人材の確保及び育成について

 医療アシスタンス事業における、二カ国語以上を話し、医療や保険などに関する深い知識を持ったアシスタンスコーディネーター及びライフアシスタンス事業における、二カ国語以上を話し、コンシェルジュサービスに関する豊富な知識と経験を持つ従業員は、当社グループの重要な資産であります。しかし、サービス提供に必要な人材が早期に確保・育成できなかった場合には事業展開の速度に影響を及ぼす可能性があります。そのため、年齢、性別にこだわらず間口を大きく広げた採用活動や内部での研修強化により人材の確保と育成に努めております。

 

(4)指標及び目標

  当社グループでは、現時点でサステナビリティに係る基本方針を策定していないことから、サステナビリティ関連の指標及び目標の記載を省略しております。

 当連結会計年度末において、女性社員比率が68.3%、女性管理職比率が56.5%と、女性比率が高くなっております。外国人については、海外拠点において管理職への登用の実績があります。今後も、現在の水準を維持することを目標といたします。

指標

目標

実績(当連結会計年度)

管理職に占める女性労働者の割合

2026年12月31日まで50を維持する

56.5

 (注) 上記指標及び目標については、当社における指標及び目標であります。

 

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 当社グループは、継続的な事業活動に影響を及ぼすおそれのあるあらゆるリスクを未然に防止、軽減し経営基盤の安定化を図るとともに、万一これらのリスクが顕在化した場合に迅速かつ的確に対応するため、リスク管理基本規程を定め、全体的なリスク管理を推進する組織としてリスク管理委員会を設置し、リスク管理に関する社内教育・啓蒙策の企画及び実施、経営上重要なリスクの抽出・評価・見直しの実施、対応策の策定、管理状況の確認を定期的に行っております。

 また、法務及びコンプライアンスに係るリスク管理につきましては、コンプライアンス規程に基づき、コンプライアンス委員会を設置し、リスクマネジメントの体制強化を推進しております。

 なお、以下の各リスクが顕在化する可能性の程度や時期、リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

 

(1)特に重要なリスク

①在外駐在者、海外渡航者数の急激な減少について

 当社グループの中核的な事業は、主に海外駐在者、海外渡航者に対するアシスタンスサービスの提供であります。そのため、国内外の不況、急激な円安、海外の政情不安や治安悪化、地域紛争、戦争、航空運賃の高騰、先般の新型コロナウイルス感染症のようなパンデミックや伝染病の流行などにより、海外駐在者、海外渡航者数が急激に減少した場合、アシスタンスサービス提供件数が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 日本と諸外国の往来が正常化し、海外渡航者数も増加傾向にあるものの、新型コロナウイルス感染症拡大前の水準まで完全に回復するには至っておりません。この状況が更に長期化する可能性も否定できず、その場合、当社グループの経営成績に対する悪影響が継続するリスクがあります。

 

②官公庁からの受託業務に係るリスクについて

 官公庁からの受注事業であるワンストップ相談窓口事業、EMIS(広域災害・救急医療情報システム)サービス事業につきましては、官公庁からの発注は一般競争入札にもとづいており、当社グループが落札できない場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、計画どおりに予算が執行されず受託業務が縮小した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③個人情報の漏洩について

 当社グループは、業務の性質上多数の個人情報を保有しており、いわゆる個人情報保護法に定める「個人情報取扱事業者」に該当し、個人情報の取扱いに関して一定の義務を負っており、「プライバシーマーク」を取得するとともに、個人情報保護関連の諸規程を整備し運用するなど、社内の管理体制には万全を期しております。また、特に要配慮個人情報を扱う部署への入室資格者の制限とビデオカメラ撮影による記録の保存、自社サーバー内のデータへのアクセス権限の厳格な管理、従業員への定期的な個人情報保護関連研修などを実施しております。しかしながら、想定外の理由により万一個人情報が外部へ漏洩するような事態が発生した場合には、当社グループの信頼低下による大口顧客の契約解除、業務範囲の縮小による売上の減少や損害賠償による費用の発生などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④システムトラブルについて

 当社グループの基幹業務システムのトラブルを防止及び回避するために、データベースサーバ及びWEBサーバーの外部データセンターへの外出し、冗長化や定期的なバックアップ等を実施しております。しかしながら、万が一予期せぬ大規模災害や人為的な事故等によるシステムトラブルが発生した場合には、システム改修費用や損害賠償等の費用発生により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤立替金について

 当社グループでは、医師・医療機関への事前の支払のため保険会社等に対する立替金が発生し、事業拡大にともないその金額も大きくなる傾向があります。保険会社に対する立替は、信頼ある保険会社との間の契約に従い実施しているものであり、回収にかかるリスクは限定的と考えております。また、保険会社以外につきましては、原則、顧客より予想される立替金額を上回る前受金を収受するか、もしくは信用ある法人に対しては当社グループの与信管理基準に従いつつ、顧客から支払い確約書を入手した上で行う等の対応を行っております。しかしながら、万が一多額の立替金の回収遅れや回収不能な事態が生じた場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)重要なリスク

①法令・規制の変更について

 現在、当社グループが関連する業界においては特定の許認可制度などはないものの、今後、新たな自主規制が設けられたり、公的、準公的資格の取得が義務付けられたりする可能性があります。当社グループの想定を超えた法的規制及び自主規制等が設けられた場合、当社グループのビジネスモデル等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、業界動向等については十分に注意を払ってまいります。

 

②人材の確保及び育成について

 医療アシスタンス事業における、二カ国語以上を話し、医療や保険などに関する深い知識を持ったアシスタンスコーディネーター及びライフアシスタンス事業における、二カ国語以上を話し、コンシェルジュサービスに関する豊富な知識と経験を持つ従業員は、当社グループの重要な資産であります。しかし、サービス提供に必要な人材が早期に確保・育成できなかった場合には事業展開の速度に影響を及ぼす可能性があります。そのため、年齢、性別にこだわらず間口を大きく広げた採用活動や内部での研修強化により人材の確保と育成に努めております。

 

③カントリーリスクについて

 当社グループでは、現在、米国、中国、タイ国、シンガポール、カナダに子会社、英国に支店を置き、世界各国をサービス提供エリアとした事業展開を行っております。そのため、これらの国々で軍事クーデター、内乱・大規模な騒乱、国家経済の破綻、法的制度の大幅な変化などが生じた場合、当社グループの業務執行に影響が生じる場合があります。また日本人の海外滞在者の多い地域や全世界を範囲とするような上記の事象が生じた場合にも、海外渡航者数の減少により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④自然災害について

 重大な自然災害が発生し当社グループの事業所が被災した場合には、円滑な業務遂行に影響が出ることは避けられず、その結果、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。そのため、このような場合に備えて日本と海外の6カ国に設置しているアシスタンスセンター間を結ぶ高機能電話システムを導入し、特定のセンターが被災して受電できなくなっても、他センターで受電し顧客への通常サービスを提供できる体制としています。また、日本に設置して海外センターと共同で使用するコンピューターサーバーは万全の安全対策を施したサーバーセンターに外出しし、高機能電話システムと合わせて被災時にも顧客への通常サービスを提供できる体制を整えております。

 

⑤訴訟・クレームに関するリスクについて

 これまで当社グループが国内外で行っている事業に関連した重要な訴訟は発生しておりませんが、万一当社グループの提供するサービス等をめぐる重要な訴訟やクレーム等が発生した場合には当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があるため、適切な保険の付帯等によりリスクヘッジ策を講ずるとともに、有力弁護士をかかえる法律事務所と顧問契約を締結し、適切なアドバイスを得て、こうしたリスクの顕在化防止に注力しております。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、企業収益及び雇用環境の改善が続く中、景気は穏やかに回復を示すものの、物価上昇の継続、米国の通商政策、金融資本市場の変動、資源エネルギー価格の高騰など、留意が必要な状況です。

 

 当社グループの主要事業の業績に影響を与える出国日本人数につきましては、2025年通年では前年比13.3%増の14,731千人と前期比で増加しております(日本政府観光局(JNTO)調べ、12月分のJNTO推計値を含む)。

 海外からの訪日外客数については、2025年通年では前年比15.8%増の42,683千人となり、過去最高であった2024年の36,870千人を580万人以上上回り、年間過去最高を更新しました(日本政府観光局(JNTO)調べ、11、12月分のJNTO推計値を含む)。

 

 医療アシスタンス事業の売上高は、海外大手損害保険会社から海外旅行保険に付帯するアシスタンス業務を受託したこと、厚生労働省から受託しました「令和6年度EMIS(広域災害・救急医療情報システム)代替サービス事業」及び「令和7年度EMIS(広域災害・救急医療情報システム)サービス事業」等の売上を計上したことより、前期比で増加となりました。

 

 これらの結果、当連結会計年度の売上高は3,714百万円(前期比27.7%増)と増収になりました。また、当連結会計年度の売上原価も、2,842百万円(前期比34.8%増)と増加し、販売費及び一般管理費は775百万円(前期比3.7%増)、営業利益は96百万円(前期比84.2%増)、経常利益は103百万円(前期比62.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は101百万円(前期比112.1%増)となりました。

 

 セグメントの状況は次のとおりであります。

 

(医療アシスタンス事業)

a.海外旅行保険の付帯サービス

  海外旅行保険の付帯サービスにつきましては、海外大手損害保険会社から海外旅行保険に付帯するアシスタンス業

 務を受託したことから、売上高は前期比で増加しました。

 

b.法人向け医療アシスタンスサービス、留学生危機管理サービス、セキュリティ・アシスタンスサービス

  当社グループは医療アシスタンスサービスとセキュリティ・アシスタンスサービスの両サービスを企業・大学に提

 供しております。

  法人向け医療アシスタンスサービスは、契約料金の見直し、企業の渡航対象人数の増加やインバウンドアシスタン

 スサービスの受注増加により売上高が前期比で増加し、安定的な収益源として寄与しております。

  セキュリティ・アシスタンスサービスは、契約料金の見直しやセキュリティコンサルティング案件の受注増加等に

 より、売上高が前年比で増加しました。

  また大学向けの留学生危機管理サービスにつきましても、契約料金の見直し、夏季休暇シーズンの留学生の増加や

 インバウンドアシスタンスサービスの契約増加により、売上高が前期比で増加しました。

 

c.救急救命アシスタンス事業

  救急救命アシスタンス事業は、民間企業が海外の僻地で取り組む大規模建設工事現場にサイトクリニックを設置

 し、医師・看護師・救急救命士が、病気や怪我人の対応を行う事業「EAJプロジェクトアシスト」です。

  現場サイトでのプロジェクト事業が2024年10月で終了しておりましたが、2025年8月から業務が再開しておりま

 す。期中からの再開のため、売上高は前期比で減少しておりますが、今後は売上増加を見込んでおります。

 

 d.国際医療事業(医療ツーリズム)

  国際医療事業(医療ツーリズム)につきましては、地政学的リスクによる一部地域からの需要減退の影響を受けて

 いるものの、案件単価の適正化や新規顧客開拓により、売上高は前期比で堅調に推移しております。

  訪日治療に対するニーズは依然として旺盛であり、特に高度医療や専門治療への需要が拡大を続けています。人間

 ドック市場については、市場構造の変化により従来型の標準的な健診サービスから、個別化されたプレミアム健診や

 ウエルネスプログラムとの融合型サービスへとニーズがシフトしています。

  こうした環境変化を成長機会と捉え、以下の取り組みを推進してまいります。まず、当社の強みである高度医療・

 専門治療のコーディネート機能をさらに強化します。加えて、予防医療の観点から、健康志向の高い富裕層向けに未

 病段階でのヘルスケア、ウエルエイジング、アンチエイジングなどのウエルネスサービスを拡充し、医療と観光を融

 合した滞在型プログラムの開発を進めます。事業体制面では、変化する市場ニーズに機動的に対応できる組織体制へ

 の刷新を図るとともに、国内の医療機関及び医師との連携を一層強化してまいります。

 

 e.訪日外国人向け緊急対応型医療アシスタンス事業

  日本国内で外国人が病気や怪我など不測の事態が起こった場合の医療アシスタンスサービスの提供機会は、2025年

 度を通じて訪日外国人旅行者が高水準で推移し、医療手配需要が全体的に底上げされました。加えて、当社の主要な

 顧客基盤である欧州系クライアント(保険会社・アシスタンス会社)とのリレーションを強固に維持し、同地域から

 の渡航回復による案件増加を確実に捕捉できたことが業績を牽引しました。結果、アシスタンスサービス提供件数、

 売上高ともに前期実績を大きく上回る結果となりました。

 

 f.官公庁受託事業(ワンストップ相談窓口)

  厚生労働省や自治体より、外国人診療に関する相談窓口を運営し、医療機関向けの相談対応業務を実施しておりま

 したが、2025年4月以降の厚生労働省の事業を失注したため、売上高は前期比で減少しました。今後、地方自治体や

 医療機関との外国人患者受入に関する連携の一層の強化を目指します。

 

 g.EMIS(広域災害・救急医療情報システム)サービス事業

  厚生労働省から受託しました「令和6年度EMIS(広域災害・救急医療情報システム)代替サービス事業」及び

 「令和7年度EMIS(広域災害・救急医療情報システム)サービス事業」の売上を計上したことにより、売上高は前

 期比で増加しました。

 

  これらの結果、医療アシスタンス事業の売上高は3,230百万円(前期比31.4%増)、セグメント利益は516百万円

 (前期比17.7%増)となりました。

 

(ライフアシスタンス事業)

 ライフアシスタンス事業につきましては、既存取引先におけるカード会員数の増加にともなう契約見直し等により、前期比で売上高が増加しました。

 

 この結果、ライフアシスタンス事業の売上高は484百万円(前期比7.7%増)、セグメント利益は114百万円(前期比13.3%増)となりました。

 

  ②キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ115百万円増加し、2,279百万

 円となりました。

  当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・インフローは、295百万円(前連結会計年度は39百万円のキャッシュ・アウトフロー)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益120百万円の計上、減価償却費44百万円の計上、仕掛品105百万円の減少、立替金54百万円の減少、仕入債務41百万円の増加、未払又は未収消費税等の増減額94百万円の一方、為替差益16百万円の計上、新株予約権戻入益18百万円の計上、売上債権及び契約資産45百万円の増加、未払金53百万円の減少、預り金36百万円の減少、法人税等の支払額23百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・アウトフローは、85百万円(前連結会計年度は111百万円のキャッシュ・アウトフロー)となりました。この主な要因は、定期預金の払戻による収入48百万円の一方、定期預金の預入による支出99百万円、有形固定資産の取得による支出23百万円、無形固定資産の取得による支出14百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・アウトフローは、119百万円(前連結会計年度は79百万円のキャッシュ・インフロー)となりました。この主な要因は、短期借入金100百万円の減少、配当金19百万円の支払であります。

 

③生産、受注及び販売の実績

(生産実績)

 当社グループはアシスタンス業務の提供を主たる事業として行っており、生産に該当する事項はありません。

 

(受注実績)

 当社グループの主たる事業であるアシスタンス業務の提供は、提供するサービスの性格上、受注の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

(販売実績)

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2025年1月1日

至 2025年12月31日)

前年増減比(%)

医療アシスタンス事業 (千円)

3,230,344

31.4

ライフアシスタンス事業(千円)

484,330

7.7

合計      (千円)

3,714,674

27.7

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

当連結会計年度

(自 2025年1月1日

至 2025年12月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

損害保険ジャパン株式会社

1,270,858

43.7

1,264,505

34.0

厚生労働省

56,215

1.9

442,712

11.9

American Express International Inc

361,554

12.4

384,925

10.4

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりであります。

 

(売上高)

 医療アシスタンス事業の売上高は、海外大手損害保険会社から海外旅行保険に付帯するアシスタンス業務を受託したこと、厚生労働省から受託しました「令和6年度EMIS(広域災害・救急医療情報システム)代替サービス事業」及び「令和7年度EMIS(広域災害・救急医療情報システム)サービス事業」等の売上を計上したことより、前期比で増加となりました。

 またライフアシスタンス事業につきましては、既存取引先におけるカード会員数の増加にともなう契約見直し等により、前期比で売上高が増加しました。

 この結果、売上高は前年比27.7%増の3,714百万円となりました。

 

(営業利益)

 売上原価は2,842百万円(前期比34.8%増)、販売費及び一般管理費は775百万円(前期比3.7%増)となりました。この結果、営業利益は96百万円(前期比84.2%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 営業外収益において為替差益12百万円(前期比3.9%減)を計上しました。また、特別利益として新株予約権戻入益18百万円の計上がありました。特筆すべき特別損失の計上はありません。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は101百万円(前期比112.1%増)となりました。

 

(財政状態)

 当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ6百万円増加し、3,813百万円となりました。主な増減要因としては、現金及び預金190百万円の増加、売掛金及び契約資産49百万円の増加、仕掛品105百万円の減少、立替金53百万円の減少がありました。

 負債につきましては、前連結会計年度末に比べ77百万円減少し、1,926百万円となりました。主な増減要因としては、買掛金41百万円の増加、未払法人税等21百万円の増加、短期借入金100百万円の減少、未払金53百万円の減少がありました。

 純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ84百万円増加し1,887百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益が101百万円発生し、利益剰余金1,151百万円(前期比81百万円増)を計上したことによるものと、為替換算調整勘定194百万円(前期比21百万円増)、新株予約権28百万円(前期比18百万円減)によるものです。

 

 以上の結果、当連結会計年度末における自己資本比率は48.7%(前期比2.6ポイント増)となりました。

 当社の事業におきましては、医療機関に対する立替払いの実施など、ビジネスを拡大するにつれて借入が増えるビジネスモデルとなっておりますが、当連結会計年度末の自己資本比率は、一般的な水準である30%以上を維持しております。

 また、重要な経営指標である自己資本利益率を高めるために、より高収益体質へと転換を図ってまいります。

 

 なお、今後の見通しにつきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

 また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(医療アシスタンス事業)

 医療アシスタンス事業においては、当社グループの主要業務である海外における日本人顧客向けの医療アシスタンスサービスについて、海外出国日本人数の増加傾向に伴い、サービス提供数に応じた変動的な売上体系である海外旅行保険の付帯サービス及び留学生危機管理サービスともに着実に回復の兆しが見られたこと、また、訪日外客数についても増加傾向となっており、医療ツーリズム及び訪日・在日外国人向け緊急医療アシスタンスサービスにつきましても、前期比で増加しており、今後の業績回復が期待されます。

 また、海外大手損害保険会社から海外旅行保険に付帯するアシスタンス業務を受託したこと、厚生労働省から受託しました「令和6年度EMIS(広域災害・救急医療情報システム)代替サービス事業」及び「令和7年度EMIS(広域災害・救急医療情報システム)サービス事業」等の売上を計上したことより、前期比で増加となりました。

 これらの結果、当連結会計年度の医療アシスタンス事業の売上高は、前期比31.4%増の3,230百万円、セグメント利益は、前期比17.7%増の516百万円の結果となりました。

 

(ライフアシスタンス事業)

 ライフアシスタンス事業においては、既存取引先におけるカード会員数の増加にともなう契約見直し等により、前年比で売上高が増加しました。

 当連結会計年度のライフアシスタンス事業の売上高は、前期比7.7%増の484百万円、セグメント利益は、前期比13.3%増の114百万円の結果となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの状況の分析)

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、前連結会計年度末に比べ115百万円増加し、当連結会計年度末時点で2,279百万円と十分な水準の手元流動性を確保しております。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

 当社グループの当連結会計年度の資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

 

a.基本的な財務戦略及び経営資源の配分に関する考え方

 当社グループは、財務基盤の強化に努め、自己資本比率を一般的な水準である30%以上を維持するとともに、成長のための投資資金の確保を実現するため、投資計画と立替資金及びリスク対応の留保分を考慮したうえで保有すべき現預金水準を概ね20~30億円と設定し、適正なレンジでの手元流動性を維持しております。

 

b.資金需要の内容

 当社グループは、主力事業である医療アシスタンスサービスにおいて、医療機関に対して立替払いを実施するため、また、事業規模の拡大と収益源の多様化を求めるために必要に応じて資金調達を実施いたします。

 

c.資金調達の方法

 当社グループは、投資のための資金調達は基本的には銀行からの固定金利での長期借入金によっております。

 また、機動的な資金確保のため取引銀行と当座貸越契約を締結し、適正な水準の手元流動性を確保しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められた会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、売掛金等に対する貸倒引当金及び資産・負債の報告数値並びに財務諸表の開示内容に影響を与えるその他の事項について、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる判断や見積りを行っております。従って、実績がこれらの見積り額と異なることで結果として連結財務諸表に影響を与える可能性があります。

 

5【重要な契約等】

   該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループは、研究開発活動は実施しておりませんので該当事項はありません。