第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社の経営方針は、工作機械メーカーとして「独創的で、精度良く、頑丈で、故障しない機械、自動化システム、デジタル技術を、最善のサービスとコストでお客様に供給すること」です。コネクテッド・インダストリーズ(IoT、インダストリー4.0)の高まりを背景に、工作機械(5軸加工機、複合加工機、横形・立形マシニングセンタ、ターニングセンタ、グラインディングセンタ、ボーリングマシン、アディティブ・マニュファクチャリング機及びその他の製品)、ソフトウエア(ユーザーインタフェース、テクノロジーサイクル、組込ソフトウエア等)、計測装置他周辺装置、MRO(メンテナンス・リペア・オーバーホール)、スペアパーツ、エンジニアリング等トータルソリューションの提供を行い、全世界のお客様にとってなくてはならない企業を目指しております。

 

(2) 経営戦略及び経営環境

2025年の連結受注額は5,234億円となり2024年度比5.5%増となりました。四半期ベースでは第3四半期(2025年7-9月)に前年同期比16%増とプラスに転じ、第4四半期(2025年10-12月)は同24%増と伸び率が拡大しました。MX(マシニング・トランスフォーメーション)戦略は順調に進展しています。自動化比率の向上、大型機の需要増、お客様への高付加価値提供による値引率の低減により、工作機械の受注平均単価は79.6百万円(2024年度:71.0百万円)へ上昇しました。MRO(メンテナンス、リペア、オーバーホール)、スペアパーツ、エンジニアリング事業の受注は年度では1,259億円と前年度比1.5%増になりました。地域別には、EMEAの受注が好転し、米州の受注も高水準で推移しました。産業別には、航空、宇宙、防衛、メディカル、電力、エネルギー関連向け受注の好調が続きました。加えて、第4四半期からは、データプロセス、半導体、通信関連向けの受注回復が寄与しました。2025年12月末の機械受注残高は2,400億円(2024年12月末:2,180億円)と増加し、MRO、スペアパーツ、エンジニアリング事業の安定成長とともに2026年度の増収への確度を高めています。

2026年は連結受注額を2025年度比3.2%増の5,400億円と予想しています。EMEA、米州、インドの受注が好調に推移するものと予想しています。産業別には、航空、宇宙、防衛、電力、エネルギー、データプロセス、半導体、通信関連向けの受注増を期待しています。

持続的な売上成長に向けては、航空・宇宙・防衛、データプロセス関連、エネルギー関連といった成長分野におけるお客様の開拓・維持を進めるとともに、工程集約機や自動化による差別化をさらに進化させ、ベーシック・マシンにおいても高品質かつ競争力のある製品を提供してまいります。また、my DMG MORIを通じたDMQP(DMG MORI認定周辺機器)の拡販により周辺装置・消耗品の供給体制を強化するとともに、加工高度化やサイクルタイム短縮などのニーズに対応するためエンジニアリング事業を拡充します。コスト管理においては、ノーコードの製造現場向けIoTプラットフォームTULIPによる生産性向上に加え、生成AIやAIエージェントを活用し、間接業務およびMROプロセスの効率化を進めます。さらに、製造プロセスの改善と内製技術の強化により、QCD(Quality、Cost、Delivery)の最適化を図ります。財務構造の改善については、棚卸資産の最適化や前受金の回収を通じて運転資本の改善を進め、キャッシュ創出力の向上を目指します。加えて、拠点単位のみならずグローバル全社レベルでキャッシュ・在庫・人員の最適配置を推進し、バランスシートのスリム化を進めてまいります。

また、当社は業界のリーディング・カンパニーとして、幅広いステークホルダーの期待に応えるべく、持続可能な社会を目指した取り組みを強化しております。グループ最大の生産拠点である三重県伊賀事業所では、年間電力需要の約30%を賄える国内最大級の自家消費型太陽光発電システムを設置し、2025年2月より全量の発電を開始しました。さらに、7月には国際連合が提唱する世界最大のサステナビリティイニシアティブである「国連グローバル・コンパクト(UNGC)」に署名、参加企業登録すると同時に、UNGCに署名する日本企業などで構成される「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)」に加入いたしました。加えて、8月には事業活動に必要な電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目標とした国際環境イニシアティブであるRE100へ正式に加盟いたしました。温室効果ガス排出削減に向けた当社のこれらの取り組みや実績が高く評価され、2026年2月に国際環境非営利団体CDPによる調査「CDP2025」において、気候変動分野で2年連続となる最高評価の「Aリスト企業」に認定されました。さらに水セキュリティ分野でも「Aリスト企業」に認定されました。

また、2021年に「DMG森精機健康経営宣言」*を発表し、2026年3月には経済産業省と日本健康会議により、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する「健康経営優良法人 2026」の大規模法人部門「ホワイト 500」に4年連続で認定されました。加えて、健康経営に優れた上場企業として、経済産業省と東京証券取引所による「健康経営銘柄 2026」にも3年連続で選定されました。

コーポレート・ガバナンスにおいては、引き続き取締役の多様性を強化しております。2026年3月27日開催の株主総会での承認により、取締役会の構成は、取締役12名中、社外取締役が6名(構成比:50%)、女性取締役が3名(同:25%)、外国人取締役が2名(同:17%)となっております。取締役会及び執行役員会において、より多様な意見を反映させ、企業価値向上につながることを期待しております。

以上のように、顧客価値創造と社会との共生を実現し、事業規模、収益性、財務基盤において、継続的な企業価値向上に努めてまいります。

* 『健康経営』は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。

 

(3) 目標とする経営指標

需要変化の激しい工作機械業界の事業環境や市場動向に迅速に対応し、工作機械業界におけるグローバルワンの地位を維持・継続するためには、利益率の向上、財務体質の強化、資本収益性の向上が最重要課題であると考えております。中長期的な目標として、2030年度をめどにROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)で15%以上を目標としております。

来期は連結受注高5,400億円、売上収益5,350億円、営業利益225億円(営業利益率:4.2%)、当期利益105億円(当期利益率:2.0%)を、それぞれ計画しております。当社グループでは、顧客価値創造並びに企業価値のさらなる向上のために、たゆまぬ努力を継続してまいります。

 

(4) 優先的に対処すべき課題

①開発と品質

・MXの推進

 当社が提唱するMX(マシニングトランスフォーメーション)が多くのお客様で受け入れが進んでまいりました。これにより複合加工機、5軸加工機を主体とした工程集約と自動化が進んでいます。MXにおいては、夜間や休日に無人運転をさせることで、従来の平均稼働時間の約3倍にもなる月間に500時間、年間で6,000時間もの稼働時間になることが多くあります。

 MXを実現するための重要な要素はいくつかありますが、最初に実現すべきは「独創的で、精度良く、頑丈で、故障しない機械」です。これはDMG森精機の経営理念の最初の文言で、当社が最も大切にしている機械の設計理念になります。

 工作機械は長期にわたって使用されます。長期間にわたる過酷な使用でも、精度良く、安定した加工ができる工作機械が最も重要です。当社はこれまでも長期にわたり、安定した稼働を実現するために手厚いサービス体制でお客様をサポートしてきましたが、MXにおいてはこれが更に重要になります。

 

・ネットワーク接続のグローバル化

 2026年の第4四半期より当社工作機械にグローバル携帯モジュールを搭載し、更なる安定稼働を実現します。すなわち世界中に出荷する工作機械と当社をグローバル携帯モジュールで接続し、安定稼働に有効に使用します。具体的にはコアユニットである、主軸やボールねじの遠隔モニタリングを行い停止する前に予知保全を実施し、機械のアラーム情報から異常を判断するものです。また実際にサービス依頼を受けた時には制御装置の診断情報などを遠隔で確認し、早期復旧を行います。

 このインフラを利用して、ソフトウェアの遠隔アップデートも実施します。導入いただいた機械に対して新しいソフトウェアがリリースされたタイミングでアップデートすることが可能になっており、お客様は常に最新のソフトウェアを使用いただくことが出来ます。

 例えば購入いただいたときには開発されていなかったソフトウェアを購入いただいたのちにも使用いただくことが可能になり、最新のテクノロジーサイクルを使用してこれまで対応できなかった加工を実現するなどの付加価値を提供いたします。

 2024年から2025年にかけて新しいヒューマンマシンインタフェースERGOline X with CELOS Xを主要機種に搭載しリリースしました。この際に操作盤の変更だけではなく、新機種として機能面やデザイン面でも大きく改善しております。更に日本生産機についても主要機種において電源電圧を400V化しています。これにより特に主軸の高出力化を図りました。高出力主軸を利用することでサイクルタイムの短縮が可能になり、生産性の向上と合わせて大幅な省エネも実現しています。

 ERGOline X with CELOS Xの操作性は多くのお客様に好評に受け入れられており引き続き搭載を進めてまいります。

 

・サイバーセキュリティ

 DX、自動化の進展に伴い工作機械がネットワークに接続される機会が増えてきており、工場における情報漏洩や生産停止などのサイバー攻撃のリスクも高まっており、実際にセキュリティ被害の例も発生していることから、産業機器製品にはセキュリティに対する信頼性が不可欠です。

 当社のソフトウェア開発の中核を担う、グループ会社のDMG MORI Digital株式会社は2024年に国際標準規格IEC 62443 4-1(産業用オートメーション及び制御システムのセキュリティ 第4-1部:安全な製品開発ライフサイクル要求事項)の認証を取得し製品セキュリティ品質の向上を図っています。

 更に欧州では2023年7月19日に機械規則(Machinery Regulation (EU) 2023/12/30)が発効され2027年1月20日より義務化されます。これまでの機械指令では加盟国が国内法に移管していましたが、今回の機械規則では加盟各国に直接適用されます。機械規則では新たにサイバーセキュリティ要件が規定され、制御システムの安全性の維持に対して要件が定められました。また並行して欧州サイバーレジリエンス法(EU Cyber Resilience Act:CRA)が2024年12月10日に発効され、2027年12月11日から完全に施行されます。CRAは製品ライフサイクル全体を通じたサイバーセキュリティを義務付ける規制で、セキュリティ設計(Security by Design)と脆弱性報告を義務付けられます。

 工作機械のDX化は急速に進んでいますので、サイバーセキュリティへの対策強化は非常に重要です。当社では自動化やDXを積極的に推進してきたことから制御セキュリティに対しても従来から最重要案件として取り組んでまいりました。安全で信頼性の高い工作機械をこれからも提供してまいります。

 

・基幹ユニットの共通化

 工作機械のコアコンポーネントである、主軸、ボールねじ、刃物台、ATC、自動化装置、ソフトウェアなどは、日本側は内製、欧州側は購入品が主体でしたが、日欧とも共通化を進め内製にすることで高品質のものを適正なコスト、納期で調達することが出来ています。また主軸、刃物台やATCなどは日本・ポーランドでユニットとして完成したものを世界の工場に供給しています。これらの基幹ユニットを各国の工場で多く利用することで品質に対する要求も高まっています。代表ユニットとしてspeedMASTERやpowerMASTERと呼ばれるMASTER主軸においては日欧での共同開発によりその品質を大幅に向上しております。当社では多岐にわたる機種と、基幹ユニットがありますが、それらを2030年までには統合の内製ユニットに置き換える計画で進めています。高品質の内製基幹ユニットによりMX機の安定稼働を実現します。

 

②安全保障貿易管理

 2025年も前年同様、世界各地で紛争が続くなど情勢は混とんとしており、こうした環境に対応するために、世界各国は軍事防衛力を強化する方向に向かっております。

 こうした環境の中、以前にも増して軍事関連事業を行う企業や軍事目的と思われる引合いが増えてきており、軍事転用可能な高性能工作機械を製造・販売している当社グループは、今まで以上に身を引き締めて厳格な審査を含む輸出管理を行う必要があり、日々努力を重ねております。

 具体的には、グループとして統一の審査運用・判断をするために、2023年から全ての欧州製造機についても、グループの輸出管理最高責任者が決裁をするように審査体制を変更しました。翌24年には、この体制の強化のために、日本の輸出管理を熟知した実務経験者2名を欧州に派遣し、欧州と日本の法律の両方を確認・遵守し審査する体制を構築しております。更には、日欧だけではなく、米国の輸出管理遵守もグローバルに経営をするうえで重要であることから、米国の輸出管理担当者を日本に派遣し、日米欧の相互補完をしつつ、社員教育を行い、グループ全体の意識と管理体制の強化をしております。

 また、2006年10月に日本製造機を皮切りに搭載を始め、今では全世界で製造される全ての工作機械に搭載している移設検知装置(不正な輸出を防止する目的で、据付場所からの移設を検知すると稼働できないようにする装置)についても、厳格な管理をするとともに、更なる機能と効率性の向上に取り組んでおります。

 ここ数年続く混とんとした世界情勢下において、世界各国で輸出規制品の製造・販売をする当社グループは、今まで以上に、各国の法令順守、販売先管理、技術管理が必要となりますが、たゆまぬ努力を続け、お客様をはじめとしたステークホルダーの皆様に安心していただけるよう、引き続き厳格な輸出管理体制の維持・強化を、重点課題として取り組んでまいります。

 

③法令遵守

 経営者自ら全従業員に対し法令及び企業倫理に基づいた企業活動の徹底を指示し、役員・従業員のコンプライアンス意識の向上と浸透を図っております。当社グループでは、グローバルな事業展開に対応したコンプライアンス体制を構築するために、日本を含む各国においてコンプライアンス担当者を選任し、これらを連携させることにより、各国の制度に適応しながら統制の取れた体制の確立に取り組んでおります。また、コンプライアンスに関する問題の予防、早期発見・対策のため、2020年より多言語対応の通報窓口を設置し、海外グループ企業も含めたグローバルでのコンプライアンス体制を強化、さらに2024年からは全・国内子会社に対して外部のハラスメント相談窓口の利用を可能といたしました。以上のほか、内部監査部を主管部署とした定期的な法令遵守活動のモニタリングも継続しております。

 国内の従業員の労働時間の管理については、各事業所にセキュリティゲートを設置し、また2018年より勤務間インターバル制度を導入しています。2020年度からは在社時間の制限も設定し原則在社10時間、勤務間インターバルを12時間として従業員の健康維持、ワークライフバランスの適正化に取り組んでおります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(サステナビリティ全般)

DMG MORIは、1948年の創業以来、工作機械の精度向上への挑戦を続けてきました。

工作機械の精度を上げる、工作機械が精密であるということは、CO2排出量削減、循環型社会の実現、食料問題などの様々な社会的課題の解決につながります。工作機械産業は、世界中のお客様によりよい商品を提供すればするほどSDGsの実現に近づき、事業活動そのものが社会に貢献する産業であるということに、誇りと責任を感じております。

私たちは、経営理念に掲げている「責任ある企業市民として地域、社会に貢献する」「環境資源を大切にし地球環境を守る」「高い倫理観を持って、社会良識に準拠した企業活動を行う」を基本的考え方としております。基幹産業である工作機械産業に携わるものとしての責任を果たすことが、持続可能な社会と中長期的な企業価値の向上につながると考えております。

 

<ガバナンス>

DMG MORIは、株主や投資家の皆様をはじめとしてお取引先、社員、地域社会の皆様等、社会全体に対する経営の透明性を高め、公正かつ効率的な企業運営を行うために、コーポレート・ガバナンスの充実、経営監視機能の強化を最も重要な課題として取り組んでおります。今後とも長期安定的な企業価値の向上を図り、より高い企業倫理観に根ざした事業活動の推進に努めます。

当社は、サステナビリティを経営の重要議題と位置づけ、専任部門として「サステナビリティ推進部」を設置しております。また、特に気候関連の課題に関しては、取締役会・サステナビリティ会議において定期的に審議しております。詳細につきましては、以下「気候変動」をご覧ください。

 

<リスク管理>

サステナビリティ課題に関わるリスクについては、「サステナビリティ推進部」が日常的にモニターしており、定期的にサステナビリティ会議にて所管の取締役に状況を報告し、リスクの評価と対応を協議しております。取締役会では、サステナビリティ関連のリスク・機会に関する監視・監督を行っております。

当社では、抽出した社会課題のうち、当社の事業との関連性や当社および社会へ与える影響度を勘案して、後述の気候変動への対応のほか、以下の2項目を、特に重要なサステナビリティ関連リスクと認識しています。

項目

内容

リスク管理のプロセス

バリューチェーンにおけるサステナビリティ

(サプライヤーエンゲージメント)

当社のサプライヤーおよび取引先における気候変動対応、人権保護などのサステナビリティ課題への対応もバリューチェーン全体での重要なサステナビリティ課題と認識しております。

・組織体制:購買部門とサステナビリティ推進部が協働で所管しています。

・リスクの評価と運用:ドイツINTEGRITY NEXT GmbHが提供するプラットフォームを利用し、全世界で同一の基準に従ったサプライチェーン・デューデリジェンス(適正評価手続き)を、随時実施し、リスクの識別と評価を実施しています。デューデリジェンスの結果に応じ、購買部門とサステナビリティ推進部が協働して、個別のサプライヤーと改善の為の対話・エンゲージメント活動を実施しています。

事業継続計画

(Business Continuity Plan)

基幹産業である工作機械は、多種多様な製造業において使用される製品であり、持続可能な社会を実現するために必要な高精度な工作機械を製造する当社には、お客様に安定して製品を供給する責務があると考えています。

特に、地震や台風など大規模自然災害が起こる可能性が高い日本においては、事前に可能な限りの対応を想定しておくことが重要と認識しております。

・組織体制:サステナビリティ推進部が大規模自然災害や感染症パンデミック等を想定したBCP基本計画を策定・所管しております。

・リスクの評価と運用:定期的にサステナビリティ会議にて担当部門とリスクの評価と対応を協議しております。

 

(気候変動)

当社は、2021年7月に、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に準拠した気候変動関連リスク及び機会に関する項目について積極的に開示するという趣旨に賛同し、統合報告書および当社Webサイトにて当社の取組みを開示しています。(https://www.dmgmori.co.jp/corporate/sustainability/esg/tcfd.html

 

<ガバナンス>

気候変動による事業へのリスクと機会を評価しその対策を計画、実行、監視する部門として「サステナビリティ推進部」を設置しております。同部門は、適宜、取締役会にて当社のCO2排出量の算定結果を報告し、CO2削減計画及びそれに係る重要な設備投資額の承認などを求めます。

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<戦略>

当社が推進する「工程集約→自動化→DX化」を中核とするマシニングトランスフォーメーション(MX)は、お客様の生産性向上と経営資源の節約になり、CO2排出量の削減につながります。すなわち、MXの推進こそがグリーン・トランスフォーメーション(GX)の実現に貢献するものと考えており、工作機械事業の深化を追求することで、気候変動というグローバルな課題への対応に貢献していきます。また、自家消費型太陽光発電の導入や、「サーキュラーエコノミー」による資源循環に積極的に取組み、スコープ2とスコープ3でのCO2排出量の削減を目指します。

 

1.気候変動リスク・機会の特定と気候変動シナリオに基づく事業・戦略・財務への影響について

当社グループの事業・戦略・財務に影響を及ぼす気候関連リスク・機会の特定にあたり、①脱炭素が進展する1.5℃の世界観(移行リスク)、②成り行きで温暖化が進行する4℃の世界観(物理的リスク)を整理し、それぞれの世界において、当社事業への影響度が大きいと想定される気候変動起因のドライバーと当社事業に関わるリスクと機会について、以下のように評価・整理いたしました。

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影響の程度について、「収入・費用・投資・資金調達面に与える影響額」が500億円以上と評価される事象を「(影響度)大」、50億円以上・500億円未満と評価される事象を「中程度」、50億円未満と評価される事象を「低」と、それぞれ定義しています。

 

 

2.1.5℃の世界に整合する移行計画

・1.5℃目標の達成

当社グループは、パリ協定に整合した1.5℃目標の達成に向けて、SBTイニシアティブの温室効果ガス削減目標の認定を取得し、サプライチェーン全体の排出量削減に取り組んでおります。CO2排出削減に向けて、グループ全体で、太陽光発電やCOフリー電力などの再生可能エネルギーの導入、鋳物の製造工程の電気炉化など様々な取り組みを積極的に実施しております。また、製品の工程集約、自動化、DX化を中核とするマシニング・トランスフォーメーション(MX)を推進し、お客様先での当社製品使用時のCO2排出量の削減に取り組んでおります。サーキュラーエコノミーによる資源循環の取り組みも積極的に進めております。

 

<リスク管理>

気候変動に関連するリスクについて、サステナビリティ推進部が日次的に識別・評価し、毎月1回社内取締役に報告します。取締役会では、少なくとも半期に一度、もしくは、事業に重要な影響を及ぼす可能性がある気候関連の事項が生じた場合には随時、気候変動関連の議案を討議、意思決定するプロセスを確立しております。

 

当社グループの事業・戦略・財務に影響を及ぼす気候関連リスク・機会の特定にあたり、①脱炭素が進展する1.5℃の世界観(移行リスク)、②成り行きで温暖化が進行する4℃の世界観(物理的リスク)を整理し、それぞれの世界において、当社事業への影響度が大きいリスクを特定しております。

 

<指標及び目標>

気候変動への対応にさらなる実行性を持たせるため、当社は中長期目標として2030年までの温室効果ガス排出削減目標を設定し、2021年11月に国際的な環境団体「SBTイニシアティブ」による認定を取得いたしました。SBT認定では、2019年の温室効果ガス排出実績値を基準として、2030年までにスコープ 1及びスコープ 2で46.2%の排出削減、スコープ 3で13.5%の排出削減を、それぞれ目標値として設定しておりました。

この目標をさらに拡大し、2024年6月に、SBTネットゼロ認定を取得し、取り組んでおります。SBTネットゼロ認定目標では、2030年までのスコープ 3での排出削減を27.5%に引き上げたほか、長期目標として、2050年までにスコープ 1からスコープ 3全体での排出量を90%削減する計画です。

また、再生可能エネルギーの利用拡大については、RE(Renewable Energy)100に基づき、2035年までに90%、2040年までに再生可能エネルギー使用率100%を目標にしております。

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(人的資本)

<戦略>

1.人材育成方針

当社は、グローバルで128の販売・エンジニアリング拠点と18の製造拠点を有し、様々な言語・国籍・性別・専門分野を持つ71国籍、約13,500名の従業員が働いています。様々なバックグラウンドを持つ人材を迎え入れ、互いに尊重し協力して仕事を進めることで、世界各地のお客様のニーズに正確に応える技術的イノベーションを生み出しています。

また、当社の掲げるMXを実現するためには、最も効率的な加工方法を提案し、製品の据付けを行うことのできるアプリケーションエンジニアの充実が急務です。加えて、導入後の修理復旧に対応できるMROエンジニアの充実も不可欠です。欧米では独自の職業訓練生の制度を活用し、アジアでは日本同様に新卒採用に重点を置いた採用活動をスタートさせました。

各部門や機能に対し重要な職責を担う執行役員については、年齢、国籍などに多様性を持たせています。グローバルな人材登用システムの構築が不可欠と考え、2025年度にはグループ会社や部門間で異なっていた職位や職種を標準化し、統一的な枠組みを構築しました。具体的には、職位を6グレードに統一するとともに従来50種類あった職種をより実態に即した65種類に再定義しました。これにより、国内外を問わず、異動・出向を円滑に進めるための基盤が整いました。さらに、人事マネージャーが連携し優秀な人材をグローバルに発掘するためのグローバル人事会議およびリ―ジョナル人事会議を定期的に開催しています。加えて2018年からスタートしたグローバル・リーダーシップトレーニングの卒業生は累計約200名に達し、年間100時間の座学研修や年4回のワークショップなど、各国の拠点に集まった参加者が実践的な学習を重ねています。

 

2.社内環境整備方針

家庭と仕事の両立を迫られている従業員に対して、安心して働き続けるためのサポートに加え、自身や家族の状況、性別に関係なく個人の能力を最大限発揮でき、自己実現できる環境の提供を推進しております。

当社では、出産・育児支援制度の充実に力を入れております。伊賀事業所、奈良事業所に企業主導型保育園であるDMG MORI保育園を常設しており、合計100名の未就学児を受け入れる体制を整えております。また、看護休暇(有給扱い)は小学校を卒業するまでの子を育てる従業員が取得でき、業務の合間で時間単位の利用も可能なため、様々な働き方に柔軟に対応しております。

また、当社は法律上の水準を上回る休暇制度等の導入に取り組んでおります。性別にとらわれず誰もが働きやすい環境を実現するため、職場で働く全員の考え方の変革を目指し、男性従業員の育児休業の取得についても積極的に奨励しております。介護休暇については、従来は要支援・要介護認定後のみが対象でしたが、2025年からは介護認定取得に関わる手続きや付き添いのためにも、先んじて介護休暇を利用できるように制度を変更しました。さらに2025年に新たに、感染症疾患と診断された場合に医師の診断に基づき出勤停止期間を特別休暇とする病気休暇と、年間12日を限度に有給で取得できる生理休暇を導入したほか、忌引休暇については遠隔地の親族への訪問等に配慮し、取得可能期間の延長および分割取得を認める制度へ変更いたしました。

 

 

<指標及び目標>

指標

目標

実績(2025年度)

1人当たり年平均有給休暇取得日数

20.0

18.5

1人当たり平均総労働時間

2,000時間

1,994時間

男性従業員の育児休業取得率(注2)

100.0

106.3

女性管理職比率(注2、3)

2027年12月まで12.0

9.9

(注)1.日本単体の従業員を集計対象としております。

   2.詳細につきましては、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」をご参照ください。

   3.算出基準:育児・介護休業法に基づく年度内に育休を開始した男性従業員数 / 年度内に配偶者が出産した者の人数

 

 

(水資源)

<リスク管理>

当社は、「環境資源を大切にし地球環境を守る」との経営理念の下、以下の環境方針を掲げて、日々の事業活動を行っています。水資源の効率的な利用、水汚染の制御・削除・排除、取水量の削減、水の消費量の削減など持続可能な水利用を促進し、環境への影響を最小限に抑えるように取り組んでまいります。

・生産者として地球環境を守るために、事業活動に伴うエネルギー消費の削減、資源の有効利用などを含む汚染の予防を行い、環境に配慮する。

・資源・エネルギーを大切に利用し、環境にやさしい製品を造る。

・社員の環境保護意識を高め、社会の一員として、当社の環境側面に関連する法規制および要求事項を遵守し、環境政策に協力する。

・環境保全についての情報公開に努める。

また、法規制ならびに要求事項を遵守するとともに、独自の環境リスクアセスメント規定に基づき、事業が生態系へ及ぼし得る影響を評価し、最小限に抑えるよう努めております。

 

<戦略>

近年は環境への関心の高まりから、製品購入時の判断基準として、CO2排出量の削減や、資源の有効利用などにも考慮されるお客様が増えてきております。こうした傾向、ニーズを受けて、工程集約による生産性向上を通じてCO2排出量の削減にも寄与する5軸・複合加工機や、「ゼロスラッジクーラントタンク」に代表される節水機能にも優れた当社独自の周辺機器装置などを開発し、商品化してまいりました。こうした取り組みは、潜在的な水ストレスを懸念する国々での販売機会の拡大にも繋がると考えています。

また、水資源の保全にも繋がる取り組みとして、事業所周辺の生物多様性の維持のため、

・伊賀事業所近郊の耕作放棄地を開墾して、ワイン用の葡萄栽培を開始

・伊賀・奈良事業所周辺の桜植樹などの緑化推進

・伊賀事業所バイオマス発電では、木質チップ燃料として伊賀周辺の間伐材を利用(森林整備、林業振興にも貢献)

などを実施しております。

 

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性のあると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 主要市場(日本、米州、欧州及び中国・アジア等)の状況

当社グループの地域別連結売上収益の構成比は、当連結会計年度において、日本15.2%、米州20.0%、欧州55.8%、中国・アジア9.0%となっております。当社グループが製品を販売、又はMROを提供するいずれかの地域において景気動向の悪化や関税政策の変更等によって当該製品又は修理復旧に対する需要が低下した場合は、当社グループの業績は悪影響を受ける可能性があります。

 

(2) 設備投資需要の急激な変動

工作機械産業は従来から景気の変動に左右されやすいと言われており、当社グループは販売地域の多様化、顧客業種の分散を図ってまいりましたが、グローバルな景気後退により、世界的に設備投資需要が減退する可能性があります。当社グループの主要市場である、日本、米州、欧州各地域の工作機械市場は中長期的には安定的に成長してきておりますが、当社グループの業績は景気変動による設備投資の増減の影響を大きく受ける傾向にあり、何らかの要因で各地域の設備投資需要が落ち込んだ場合には、製品単価、販売台数ともに急速かつ大幅に下落することがあり、当社グループの事業、業績及び財務状況は悪影響を受ける可能性があります。

 

(3) 市場競合の影響

工作機械業界は参入企業数が多く、低コストで製品を供給する海外の会社も加わり、当社グループはそれぞれの市場において厳しい競争にさらされており、当社グループにとって有利な価格決定を行うことが困難な状況になっております。当社グループとしては、技術力強化による差別化製品の開発、原材料等のコスト削減、営業力強化のための諸施策を推進しておりますが、将来的に市場シェアの維持及び拡大又は収益性の保持が困難となった場合は、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 企業合併・買収及び資本・業務提携

当社グループは、企業の合併・買収や資本・業務提携を事業基盤の強化を図るための重要な戦略の一つと位置付けており、今後、かかる企業合併・買収や資本・業務提携の成否によっては、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。また他社による工作機械業界への新規参入・業界再編の動向は、当社グループの経営戦略、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) ユーロ、米ドル等の対円為替相場の大幅な変動

当社グループの事業、業績及び財務状況は、為替相場の変動によって影響を受けます。為替変動は、当社グループの外貨建取引から発生する資産及び負債の日本円換算額に影響を与えます。また、為替変動は外貨建で取引されている製品・パーツ及びMROの価格及び売上収益にも影響を与えます。この影響を低減するため、日本、中国・アジアの円建取引及びユーロ建取引、欧州のユーロ建取引、米州の米ドル建取引のバランスをとるように努めておりますが、それでもなお、為替相場の変動によって当社グループの事業、業績及び財務状況が悪影響を受ける可能性があります。

 

(6) 天然資源、原材料費の大幅な変動

想定を大幅に超えた原材料価格の急激な高騰に見舞われた場合は、当社グループの業績は悪影響を受ける可能性があります。原材料価格の高騰に対しては、仕入先への価格交渉等によるコストダウンの推進や製品価格への転嫁によってカバーする方針ですが、価格の高騰が続く場合や仕入先への価格交渉等が実現しない場合は、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 安全保障貿易管理

当社グループが事業を展開する多くの国及び地域における規制又は法令の重要な変更は、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループのコア事業であります工作機械は各国の輸出関連法規上、規制貨物に分類されており、国際的な輸出管理の枠組みにより規制を受けております。国際情勢の変化により規制が強化されることとなれば、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 取引先の信用リスク

当社グループとしても取引先の信用リスクについては細心の注意を払っておりますが、取引先の業績悪化等により取引額の大きい得意先の信用状況が悪化した場合、当該リスクの顕在化によって、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)財務制限条項

コミットメントライン契約等の一部借入金の契約には財務制限条項が付されております。今後、財務制限条項への抵触等があった場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)知的財産権

当社グループは、研究開発、新製品開発を通じて多くの新技術やノウハウを生み出しており、これらの貴重な技術・ノウハウを特許出願することにより、知的財産権の活用を図っております。しかし当社グループの知的財産権に対して第三者からの無効請求や、侵害差止請求等が提起された場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)訴訟に関するリスク

当社グループは、顧客の要求する機能・仕様を満足し、かつ安全性に配慮した適正品質の追求に努めており、グローバルベースで品質管理の徹底を図っております。しかしながら、当社グループの製品に重大な不具合が存在し、重大な事故やクレーム、リコール等の起因となった場合、多額の製品補償費用等が発生する可能性があります。

この他、当社グループは、国内外において業務を展開しておりますが、こうした業務を行うにあたり、業務上発生する責任に基づく損害賠償請求訴訟等の提起を受ける可能性があります。現時点では当社グループの業績に重大な影響を与えるような訴訟は提起されておりませんが、今後、重大な訴訟が提起され、当社グループに不利な判断が下された場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)自然災害・疫病等の影響

当社グループは、販売及びMRO拠点をグローバルに展開しているため、予測不可能な自然災害、疫病、サイバーアタックといった多くの事象によって引き起こされる災害によって影響を受ける可能性があります。

当社グループの製造拠点は、国内では三重県、奈良県、神奈川県、新潟県及び島根県にあり、海外ではアメリカ、中国、欧州各地等5ヵ国にあります。これらの製造拠点のいずれかが、地震・洪水等の天災の影響や疫病等による工場閉鎖により、製品供給が不可能、あるいは遅延することとなった場合は、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)環境問題

当社グループは、事業の遂行にあたり、様々な環境関連の法令及び規制の適用を受けております。当社グループは、これらの法規制に細心の注意を払いつつ事業を行っておりますが、現在行っている又は過去に行った事業活動に関し、環境に関する法的、社会的責任を負う可能性があります。また、将来、環境関連の法規制や環境問題に対する社会的な要求がより厳しくなることによって、法令遵守に係る追加コストが生じたり、事業活動が制限される可能性があります。したがって、今後の環境関連の法規制の動向によっては、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 地政学リスク

当社グループは、開発・生産・販売等の拠点を世界各国に設け、グローバルに事業を展開しており、特定地域における社会的、政治的、軍事的な緊張の高まりは、地域情勢のみならず、世界的なマクロ経済への影響を通じて、当社の事業へ影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、多様化する地政学リスクがもたらす資源価格変動や輸出入規制、サプライチェーンへの影響等を最小限にすべく、各国の政治・経済情勢や法規制の動向を確認し、状況の分析及び対応を行っています。しかし、グローバルでの政治的分断、軍事的緊張によりサプライチェーンの混乱や金融・経済への影響が生じる可能性があります。当社グループでは、地政学リスクについて適宜取締役会、執行役員会をはじめとする意思決定機関において検討していますが、予期しない事態に直面した場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要は次の通りであります。

①経営成績の状況

当連結会計年度(当期)における業績は、売上収益は5,150億円(3,047百万EUR)(前期比4.8%減)、営業利益は190億円(112百万EUR)(前期比56.6%減)、税引前当期利益は282億円(167百万EUR)(前期比27.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は240億円(142百万EUR)(前期比212.1%増)となりました。(ユーロ建表示は2025年1月から12月の期中平均レート169.0円で換算しております。)

当期の連結受注額は、5,234億円となり前年度(2024年1-12月)比6%増となりました。四半期ベースでは第3四半期(2025年7-9月)から前年同期比でプラスに転じました。第3四半期、第4四半期の受注額は、それぞれ1,333億円(前年同期比16%増)、1,415億円(同24%増)となりました。機械受注平均単価は79.6百万円(2024年度71.0百万円)へと大きく伸長しました。EURベースでも471千EUR(2024年度433千EUR)へと伸長しました。MRO(メンテナンス・リペア・オーバーホール)、スペアパーツ、エンジニアリング受注額が1,259億円と前年度比同水準と堅調に推移しました。MRO、スペアパーツ、エンジニアリング事業の受注構成比は24%となりました。

地域別受注動向は、EMEA、米州、インドが好調でした。EMEAの好調により、ドイツを含む欧州(構成比:55%)は前年度比5%増、米州(同:24%)は15%増となりました。中国(同:6%)も底堅い推移となりました。日本(同:10%)は横ばい、中国を除くアジア(同:5%)は10%減と弱含みました。産業別には、航空、宇宙、防衛、メディカル、電力、エネルギー関連向け受注が堅調に推移しました。さらに、第4四半期(10-12月)からは、データプロセス、半導体、通信関連向けの受注が回復しています。機械本体の受注残高は、2025年12月末時点で2,400億円と前年(2024年12月末:2,180億円)から増加しました。この豊富な受注残高は、2026年度の増収に貢献する見込みです。また、2026年度の連結受注見通しは、2025年度比3%増の5,400億円を計画しています。

当社は工程集約・自動化・DXにより、お客様へより付加価値の高いソリューションを提供し生産性を向上させること、これにより環境負荷を低減させ持続可能な社会にも貢献する(GX)といった、MX(マシニング・トランスフォーメーション)を推進しております。MX推進をさらに加速させ、サステナブルな社会へ貢献すると同時に、お客様とともに持続的成長を目指してまいります。

当社は、2025年4月に世界最大の自動化システムソリューション工場として奈良事業所の改装をいたしました。高品質な自動化システムを一括して提供することにより、お客様工場での立ち上げまでのリードタイムが大幅に短縮可能となりました。今後も、迅速かつ柔軟にお客様からの多様なニーズへ対応できる体制を整えてまいります。

また、複合加工機NTXシリーズの第3世代となるNTX 3rd Generation、横形マシニングセンタNHXシリーズの第4世代となるNHX 4th Generation及びNLX 2500 2nd Generationの心間1250仕様の販売を開始し、工程集約、省エネルギー化を一段と進めました。これらの新機種は、切削能力や動作速度の向上によりサイクルタイム短縮を実現するとともに、エネルギー効率の改善や切りくず処理技術の高度化により、長時間の安定稼働と環境負荷低減を可能としています。さらに、ワークとパレットのハンドリングを一体化した自動化パッケージシステム「MATRIS WPH」や3Dモデルから加工形状を認識して加工プログラムを作成するソフトウェア「CELOS VISUALprogramming 3D」等、お客様の生産効率化を加速させる商品も多数開発いたしました。今後もMXを推進し、サステナブルな生産現場に貢献する商品を提供してまいります。

加えて、ドイツのEMO ハノーバー 2025や中国のCIMTに出展いたしました。世界各国のお客様に最新機種を含む工作機械や自動化システムをご紹介し、当社のMXを体感いただきました。

2026年1月には国際環境非営利団体CDPによる「CDP2025」において、当社は気候変動分野で2年連続となる最高評価「Aリスト企業」に認定されました。さらに水セキュリティ分野でも「Aリスト企業」に認定されました。また、グループ最大の生産拠点である三重県伊賀事業所では、2025年2月より国内最大級となる自家消費型太陽光発電システムで全量の発電を開始いたしました。伊賀事業所年間電力需要の約30%を賄い、年間約6,000トンのCO2排出量を削減します。この取り組みに関連し、8月には事業活動に必要な電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目標とした国際環境イニシアティブであるRE100へ正式に加盟いたしました。今後、当社グループにおいRE100の技術要件に適合する再生可能エネルギー電力の割合を、2035年までに90%、2040年までに100%にすることを宣言いたします。加えて、7月には、国際連合が提唱する世界最大のサステナビリティイニシアティブである「国連グローバル・コンパクト(UNGC)」に署名、参加企業登録すると同時に、UNGCに署名する日本企業などで構成される「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)」に加入いたしました。企業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献するとともに、他の参加企業・団体との連携を深めながら、ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みを一層強化してまいります。当社は、今後も再生可能エネルギーの活用拡大を図るとともに、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

2026年3月には経済産業省と東京証券取引所による「健康経営銘柄2026」に3年連続で、経済産業省と日本健康会議による「健康経営優良法人2026」の大規模法人部門「ホワイト500」に4年連続で認定されました。当社は健康管理増進センターの設立や「DMG森精機 健康経営宣言」*の発表をはじめ、Webinar研修、運動・栄養教室の開催などを継続しております。今後も「よく遊び、よく学び、よく働く」を理念に、従業員が健康に個々の能力を発揮できるよう邁進いたします。

* 『健康経営』は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。

 

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

売上収益

(億円)

5,409

5,150

営業利益

(億円)

437

190

親会社の所有者に帰属する当期利益

(億円)

77

240

基本的1株当たり当期利益

(円)

43.60

155.60

(注)前連結会計年度より、ロシアの事業拠点であるUlyanovsk Machine Tools oooに係る事業を非継続事業に分類しております。これにより、売上収益及び営業利益は非継続事業を除外した継続事業の金額のみを表示し、親会社の所有者に帰属する当期利益は、非継続事業の損益を含んだ金額を表示しております。

 

セグメントの動向及び業績は以下のとおりであります。なお、以下の売上収益には、セグメント間の取引については相殺消去しております。

マシンツールセグメントでは民間航空機、宇宙、防衛、メディカル、発電関連向けの業績が堅調に推移いたしました。その結果、売上収益は343,277百万円(前期比5.5%減)となり、セグメント損益は8,612百万円(前期比54.1%減)のセグメント利益となりました。

インダストリアル・サービスセグメントでは、補修部品販売、修理復旧の業績が堅調に推移いたしました。その結果、売上収益は171,652百万円(前期比3.4%減)となり、セグメント損益は23,283百万円(前期比45.7%減)のセグメント利益となりました。

 

 

②財政状態の状況

(ⅰ)資産

流動資産は347,844百万円(前期比30,133百万円の増加)となりました。これは、主として営業債権及びその他の債権が14,001百万円、棚卸資産が11,811百万円それぞれ増加したことによります。

非流動資産は521,120百万円(前期比41,264百万円の増加)となりました。これは、主として有形固定資産が10,863百万円、のれんが10,148百万円、その他の金融資産が9,633百万円それぞれ増加したことによります。

この結果、資産合計は868,965百万円(前期比71,397百万円の増加)となりました。

(ⅱ)負債

流動負債は383,124百万円(前期比16,295百万円の減少)となりました。これは、主としてその他の金融負債が7,936百万円、契約負債が6,219百万円それぞれ増加した一方で、社債及び借入金が39,015百万円減少したことによります。

非流動負債は143,684百万円(前期比62,017百万円の増加)となりました。これは、主として社債及び借入金が58,241百万円増加したことによります。

この結果、負債合計は526,809百万円(前期比45,721百万円の増加)となりました。

(ⅲ)資本

資本合計は342,155百万円(前期比25,675百万円の増加)となりました。これは、主としてその他の資本の構成要素が24,321百万円、利益剰余金が7,871百万円それぞれ増加したこと及び自己株式の取得等6,612百万円によるものです。

 

③キャッシュ・フローの状況

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

営業活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

44,579

25,984

投資活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

△38,195

△11,214

財務活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

△5,664

△20,355

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

(百万円)

2,534

△1,887

現金及び現金同等物の期末残高

(百万円)

41,747

39,859

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前期末に比べ1,887百万円減少し、当連結会計年度末は39,859百万円となりました。

(ⅰ)営業活動によるキャッシュ・フロー

「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、25,984百万円の収入(前期は44,579百万円の収入)となりました。主な増加要因は、減価償却費及び償却費34,614百万円、継続事業からの税引前当期利益10,930百万円、金融収益及び金融費用7,738百万円であり、主な減少要因は、営業債権及びその他の債権の増加8,317百万円、法人所得税の支払額8,069百万円であります。

(ⅱ)投資活動によるキャッシュ・フロー

「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、11,214百万円の支出(前期は38,195百万円の支出)となりました。主な増加要因は、非継続事業からの投資活動キャッシュ・フロー17,228百万円であり、主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出16,634百万円、無形資産の取得による支出12,885百万円であります。

(ⅲ)財務活動によるキャッシュ・フロー

「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、20,355百万円の支出(前期は5,664百万円の支出)となりました。主な増加要因は、ハイブリッド資本の発行による収入56,292百万円、長期借入れによる収入55,000百万円であり、主な減少要因は、ハイブリッド資本の返済による支出57,000百万円、長期借入れの返済による支出50,802百万円、配当金の支払額14,183百万円であります。

 

④生産、受注及び販売の状況

(ⅰ)生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2025年1月1日

  至 2025年12月31日)

 前年同期比(%)

マシンツール(百万円)

366,399

△1.1

インダストリアル・サービス(百万円)

27,954

2.2

合計(百万円)

394,353

△0.9

(注)1.上記金額は販売価格によっております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

(ⅱ)受注実績

当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

 

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注実績

523,370

5.5

240,533

10.3

(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

(ⅲ)販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2025年1月1日

  至 2025年12月31日)

 前年同期比(%)

マシンツール(百万円)

343,277

△5.5

インダストリアル・サービス(百万円)

171,652

△3.4

全社(百万円)

46

7.0

合計(百万円)

514,976

△4.8

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①重要性がある会計方針及び見積り

IFRSに準拠した連結財務諸表の作成にあたり、期末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示及び報告対象期間の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積り及び仮定を用いております。重要性がある会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 11.のれん及びその他の無形資産」に記載のとおりであります。

②経営成績の分析

経営成績の分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。

なお、2025年度の目標とした経営指標に対しては、全社受注5,234億円(目標5,150億円)で達成、売上収益5,150億円(目標5,050億円)で達成、営業利益190億円(目標180億円)で達成となりました。

③資本の財源及び資金の流動性

当社は、主に工作機械の製造及び販売事業を行うため、事業活動における資金需要に基づき、必要な資金の一部を新株発行、社債発行、銀行からの借入金及び売掛債権流動化により調達しております。なお、効率的な資金調達を行うため、主要取引金融機関と総額97,000百万円の貸出コミットメントライン契約を締結しております。当期末における当該借入残高は、40,600百万円であります。

当期末における当社グループの有利子負債の残高は、125,676百万円(前期末比19,225百万円の増加)となっております。

 

 

5【重要な契約等】

 当社の連結対象会社であるDMG MORI Europe Holding GmbHとDMG MORI AGとの間でのドミネーション・アグリーメントが2016年8月24日に発効されました。

 詳細については、「連結財務諸表注記 35.ドミネーション・アグリーメント」をご参照ください。

 

 

6【研究開発活動】

当社が提唱するMX(マシニングトランスフォーメーション)が多くのお客様で受け入れが進んでまいりました。これにより複合加工機、5軸加工機を主体とした工程集約と自動化が進んでいます。MXにおいては、夜間や休日に無人運転をさせることで、従来の平均稼働時間の約3倍にもなる月間に500時間、年間で6,000時間もの稼働時間になることが多くあります。

MXを実現するための重要な要素はいくつかありますが、最初に実現すべきは「頑丈で、精度よく、故障しない機械」です。これはDMG森精機の経営理念の最初の文言で、当社が最も大切にしている機械の設計理念になります。

工作機械は長期に渡って使用されます。長期間に渡る過酷な使用でも、精度良く、安定した加工ができる工作機械が最も重要です。当社はこれまでも長期に渡り、安定した稼働を実現するために手厚いサービス体制でお客様をサポートしてきましたが、MXにおいてはこれが更に重要になります。2026年の第4四半期より当社工作機械にグローバル携帯モジュールを搭載し、更なる安定稼働を実現します。すなわち世界中に出荷する工作機械と当社をグローバル携帯モジュールで接続し、安定稼働に有効に使用します。具体的にはコアユニットである、主軸やボールねじの遠隔モニタリングを行い停止する前に予知保全を実施し、機械のアラーム情報から異常を判断するものです。また実際にサービス依頼を受けた時には制御装置の診断情報などを遠隔で確認し、早期復旧を行います。

このインフラを利用して、ソフトウェアの遠隔アップデートも実施します。導入いただいた機械に対して新しいソフトウェアがリリースされたタイミングでアップデートすることが可能になっており、お客様は常に最新のソフトウェアを使用いただくことが出来ます。

例えば購入いただいたときには開発されていなかったソフトウェアを購入いただいたのちにも使用いただくことが可能になり、最新のテクノロジーサイクルを使用してこれまで対応できなかった加工を実現するなどの付加価値を提供いたします。

また、2024年から2025年にかけて新しいヒューマンマシンインタフェースERGOline X with CELOS Xを主要機種に搭載しリリースしました。この際に操作盤の変更だけではなく、新機種として機能面やデザイン面でも大きく改善しております。更に日本生産機についても主要機種において電源電圧を400V化しています。これにより特に主軸の高出力化を図りました。高出力主軸を利用することでサイクルタイムの短縮が可能になり、生産性の向上と合わせて大幅な省エネも実現しています。

ERGOline X with CELOS Xの操作性は多くのお客様に好評に受け入れられており引き続き搭載を進めてまいります。

当期においては、複合加工機NTXシリーズの第3世代となるNTX 3rd Generation、横形マシニングセンタNHXシリーズの第4世代となるNHX 4th Generation及びNLX 2500 2nd Generationの心間1250仕様の販売を開始し、工程集約、省エネルギー化を一段と進めました。これらの新機種は、切削能力や動作速度の向上によりサイクルタイム短縮を実現するとともに、エネルギー効率の改善や切りくず処理技術の高度化により、長時間の安定稼働と環境負荷低減を可能としています。さらに、ワークとパレットのハンドリングを一体化した自動化パッケージシステム「MATRIS WPH」や3Dモデルから加工形状を認識して加工プログラムを作成するソフトウェア「CELOS VISUALprogramming 3D」等、お客様の生産効率化を加速させる商品も多数開発いたしました。

 

以上の研究開発活動の結果、無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発費の総額は31,715百万円となっており、セグメント別としては、マシンツール25,583百万円、インダストリアル・サービス6,132百万円となっております。なお、上記研究開発費の総額には、研究開発活動間接費は含めておりません。