第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営の方針

当社グループは、「全方位の物流機能を有する3PL(サードパーティ・ロジスティクス)企業集団」として、その卓越した提案力、専門性、課題解決力をもとに、サプライチェーンの一翼を担うことでお客様の効率的な企業活動をサポートしております。

また、物流という生活の重要な社会インフラに携わる当社グループは、その社会的責任の重要性を認識し、安全、環境、人的資本に関わるサステナビリティ経営に真摯に取り組むことで、持続的な社会の実現と企業価値向上の両立を目指してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

 当社グループは、中長期的な視点から事業の持続的成長、収益力及び資本効率の向上を図る方針であります。また、重要な事業戦略、投資戦略の一環として、物流施設の自社開発と流動化サイクルを計画的に循環させることで、3PL及び4PL事業の安定的成長を図る独自のビジネスモデルを推進しております。利益を伴ったバランスのよい事業拡大、すなわちHarmonized Growth(調和のとれた成長)を志向し、連結売上高7,000億円、物流セグメントの営業利益率4.5%の達成を中期的な目標として掲げ、これを判断指標と位置づけております。

 

(3) 経営環境、中長期的な会社の経営戦略

構造的な人手不足や技術革新、脱炭素社会の到来など、物流業界はかつてないほどの変革期を迎えております。ドライバーなどの労働力不足が深刻化する一方、LT(ロジスティクス・テクノロジー)、IT(情報技術)、AI(人工知能)を活用した先端技術の実装が進んでいます。また、インターネット通販(EC)市場の急拡大により商流が変わりゆく中、物流企業もそれに呼応する形で大きな変革を求められています。

当社グループは、このような経営環境のパラダイムシフトも追い風に、自ら変化し続けることで激化する企業間競争に勝ち残ってまいります。“ロジスティクス×IT”で成長するメガベンチャーとして、強みとする柔軟性とスピードを最大限発揮しつつコーポレートガバナンスの充実にも取り組み、物流の未来を創造する集団であり続けます。このために、次の基本方針を掲げます。

① グループ総合力の強化(グループプラットフォーム戦略とグループ各社の独自戦略のハイブリッド)

 3PL及び4PL事業では、グループ各社の特長を生かした独自の事業展開に加え、物流施設や輸配送網、顧客基盤など当社グループ共通のプラットフォームを活用することにより、お客様に対する最適な物流ソリューションの提供とスケールメリットの実現を目指します。国際物流、EC物流の事業領域でも同様に、グループ横断で築き上げた共通基盤に立脚したビジネスモデルで、成長市場を取り込んでまいります。

② ロジスティクス事業基盤の整備及び拡充

3PL及び4PL事業拡大とサービス品質向上のため物流施設を自社開発する一方、財務安全性の維持に向け既存施設の流動化を計画的に推し進めます。

 必要に応じM&Aも利用しながら、ラストワンマイルも含めた国内の輸配送網を整備するとともに、グローバルベースでの一気通貫体制を構築してまいります。

③ LT×ITによる業務生産性の向上と差別化

物流施設への最先端技術の実装など物流DX(デジタルトランスフォーメーション)化を加速することで、業界トップクラスの省力省人化を実現し競争優位性を確保します。

④ サステナビリティ経営及び人的資本経営の強化

社会インフラを担う当社グループにとっての重要課題(マテリアリティ)である「安全、環境、人材」を重視した経営に取り組み、社会課題の解決に積極的に貢献します。グループの人材力及び組織力を最大限に引き出し、中長期的な企業価値の向上につなげてまいります。

 

(4) 対処すべき課題

中東イラン情勢の緊迫やロシアによるウクライナ侵攻の長期化など地政学リスクの高まりに加え、内向き志向を強める米国の通商政策や鉱物資源を巡る経済安全保障上の摩擦を背景に世界的な政治・経済の分断が進んでおり、物流を含めたサプライチェーンは地球規模での再構築を迫られています。国内でも、人件費や資材価格をはじめとするインフレの進行、日銀の金融政策や財政拡張懸念に起因する金利の上昇などにより、物流企業を取り巻く経営環境の先行き不透明感が強まっています。

このような中、当社グループは、当事業年度を最終年度とした3カ年経営計画「SBS Next Stage 2025」のもと、社会インフラを担う企業として一歩先の成長ステージの到達を目指し邁進してまいりました。さらに、2030年度に向けてはその取り組みの成果刈り取りを最大化すべく、利益をより重視する成長目標を掲げた次期中期経営計画「Harmonized Growth 2030」を策定しました。事業環境の激しい変化をむしろ飛躍の好機と捉え、AI革命に伴う物流革新にも挑むことで、“ロジスティクス×IT”をテコに業界トップティアの地位を固め、あらゆる顧客の物流ニーズに応えながら社会と共生し信頼される企業を目指してまいります。

次期中期経営計画においても、中核に位置づける3PL事業の推進、成長が期待できる海外での事業拡大、および国内外において市場拡大が続くEC事業への注力を成長戦略の3本柱とするとともに、非連続な成長についてもこれまで同様、積極的に追求してまいります。利益を伴う持続的成長の実現に向けて、当社グループにとって競争優位性が高い事業領域とM&Aに経営資源を集中配分するとともに、それらを支える事業基盤の強靭化にも取り組み、3PL・EC事業をけん引する物流人材や海外展開に備えたグローバル人材の育成、物流施設の開発や将来のイノベーションを見据えたLTの実装を加速します。同時に、物流事業のベースを支えるドライバーをはじめ人的資本の充実を重要な経営課題と捉え、そのための人事制度の整備、優秀な人材の採用とリスキリングを促進させるほか、社員一人ひとりが働きがい・誇り・生きがいを持てる環境作りに努めてまいります。

物流企業としての社会的責任を果たすため、交通事故の防止や作業の安全確保などの安全対策はもちろん、エコドライブの推進や車両・施設に関わる環境負荷の軽減などの地球環境の保全策にも積極的に取り組みます。さらに内部統制、コンプライアンス、リスク管理の徹底によりコーポレートガバナンス体制を強化することを通じ、グループ全体でサステナビリティ経営を実践し持続可能な社会への貢献と企業価値向上の両立を図ってまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

SBSグループでは、企業を取り巻く環境が大きく変化し、社会課題の解決による持続可能な社会の実現と、持続的な企業価値の向上の両立を図ることの重要性が一層増していることを踏まえ、重要課題(マテリアリティ)を再定義するとともに、従業員が大切にするべき価値と目標を示すことを目的として「サステナビリティ方針」を制定いたしました。また、新中期経営計画「Harmonized Growth 2030」において、サステナビリティ経営を支えるガバナンスの強化と重要課題(マテリアリティ)への対応強化を掲げ、経営戦略とサステナビリティの統合を図りました。今後も企業価値の向上と持続可能な社会の発展を目指し、サステナビリティ経営を推進していきます。

 


 

(1) サステナビリティ基本方針

SBSグループでは、以下のサステナビリティ方針を2023年1月に定めました。サステナビリティ経営を推進するにあたり、従業員が大切にするべき価値と目標を示すとともに、ステークホルダーに向けた方針の適切な開示を行うことを目的としたものです。物流を生業にする企業らしく、“つながり”を方針のテーマとしています。「人・社会・地球」の3つの“つながり”というテーマは、重要課題とも共通です。SBSグループが賛同する国連グローバル・コンパクトとも通底する内容としています。

 

[基本理念]

SBSグループは人を尊重し、社会的責任を貫くという経営理念の精神に基づき、社会インフラである物流を通じて、人々の暮らしの安定と持続可能な社会の実現に貢献するため、以下の方針のもと、グループ全従業員が国際社会の一員である自覚を持ち、積極的にサステナブルな取り組みを推進します。

 

[基本方針]

●SBSグループは、人とつながり、人の想いを大切にします。

・私たちは、あらゆる企業活動において人権および多様な価値観を保護・尊重します。

・私たちは、多様な人財が互いを認め合い協働できる風土と、安全で健康に働くことができる環境を提供します。

・私たちは、適時・適切な教育を実施し、価値創造をもって社会に貢献できる人財を育成します。

●SBSグループは、社会とつながり、社会の期待に応えます。

・私たちは、法令・国際ルールを遵守し、公正・誠実に業務を遂行するとともに、徹底した腐敗防止に取り組みます。

・私たちは、社会のルールを尊重し、地域社会と相互に信頼しあい、事業活動を通じて社会に貢献します。

・私たちは、適切な情報開示と責任ある対話を実施し、全てのステークホルダーの要請や期待に誠実に応えるよう努力します。

●SBSグループは、地球とつながり、地球の未来に配慮します。

・私たちは、環境経営の徹底を重要課題とし、あらゆる事業活動で環境負荷の低減を進め、地球の環境保全に最善を尽くします。

・私たちは、気候変動のリスクを常に意識し、脱炭素社会の実現に向けた温室効果ガス排出削減の取り組みを推進します。

 

(2) 重要課題(マテリアリティ)

サステナビリティ経営における重要課題(マテリアリティ)は、「自社のビジネスモデルの持続可能性にとっての重要性」を意味します。これを示す(重要課題を特定し、取り組みをすすめ、開示する)ことは、ステークホルダーにとって企業の中・長期的な持続可能性を見極めるうえで非常に有用な情報となります。企業としての価値観(経営理念)とビジネスモデルに基づき、企業活動を行う上で、影響(リスクと機会の観点から)のある課題を整理しました。なお、重要課題についてはステークホルダーの重要度評価(投資家の評価・評価機関の指標など)、また、当社グループにおける重要度評価(事業戦略上の注力事項・実際の取り組みなど)に照らし合わせながら再評価を行うとともに、重点事項を確認していくものとします。

 

 

■安全

事故ゼロを目指した安全への取り組み強化。

社会インフラを支える物流事業者として、その発展を実現するために。

主な重点事項

車両事故/労災事故/施設火災/サイバー攻撃/自然災害

主な取り組み

重大事故および車両加害事故の削減/物流施設の防火対策徹底/従業員の健康管理強化/車両燃費の向上促進

主要KPI

車両1台当たりの事故率/従業員一人当たりの労働災害率

主なリスク

信用失墜/ビジネス活動への支障/労働災害/資金調達への影響

主な機会

信頼向上/外部の評価向上/新たなビジネスチャンス

 

 

■環境

"シンシアチャレンジ2030"の完遂と次期展開「次の成長につなぐ」。

脱炭素・環境対応および資源循環の可能性探索による環境経営の確立。

主な重点事項

気候変動/炭素削減/資源循環/大気汚染/環境保全/規制対応/燃費向上

主な取り組み

車両の低炭素化/物流施設の低炭素化/その他の物流サービスグリーン化/資源循環の促進/天然資源の保全

主要KPI

売上高当たりのCO排出量削減率(Scope1・2)/排ガス含有のNOx・PM値(kg)

主なリスク

対応コスト増大/社会的評判の失墜/事業活動停止/資金調達への影響

主な機会

燃料改善によるコスト抑制/先進性による差別化

 

 

■人財

"SBS Well-being & Pride 2030"(働きがいと誇りの醸成)

人が集まる、人が育つ、人が辞めない SBSグループへ。

主な重点事項

人財確保・維持/人財育成/働き方改革/健康経営/ダイバーシティ

主な取り組み

利用力の強化(新卒、中途、外国人ドライバー等)/グループ人財の育成/人材の定着とモチベーション向上/グループ人事ガバナンスの強化

主要KPI

管理職女性比率/年次有給休暇取得率/男性育児休暇取得率

主なリスク

競争力の低下/ビジネスチャンスの逸失

主な機会

多様な人財による新たなる価値創出/イノベーション推進/新たなビジネスチャンス

 

 

<主要KPIの目標と実績>

当社グループの主要KPIの目標と実績については、「統合報告書(Integrated report)2025年度版」のP53.59.63に記載していますので、以下のURL からご参照ください。

 https://www.sbs-group.co.jp/sbshlds/csr/report/

 

(3) ガバナンス

SBSグループは、サステナビリティ方針に則った経営体制の整備・強化を行い、グループ全体でサステナビリティ経営を実践して持続可能な社会の実現と持続的な企業価値の向上の両立を図るため、2023年1月にサステナビリティ推進委員会を設置しました。本委員会は、取締役会の諮問機関と位置付け、SBSグループ全体のサステナビリティ戦略・活動方針の立案と、KPI指標およびグループ内活動の連携状況のモニタリングを行います。本委員会は、当社の代表取締役を議長とし、当社の取締役、執行役員およびグループ各社の代表取締役により構成されます。同委員会の下部組織には、リスク管理会議、コンプライアンス会議、環境経営推進会議、運輸安全推進会議、CSIRT会議の5つの会議体が設置されており、これらの会議体では、同委員会の活動方針のもとで、それぞれの領域での施策が立案、実施されています。リスク管理会議、コンプライアンス会議、環境経営推進会議はサステナビリティ推進部が、運輸安全推進会議は物流品質管理部が、CSIRT会議はIT企画部が事務局を担当し、グループ各社との実務連携を行っています。SBSグループは、これらの体制のもと、気候変動問題を含むESG課題についての対応を企画・決定・実施しております。

 

 


(4) 戦略

新中期経営計画には5カ年重点施策として「サステナビリティ経営を支えるガバナンスの強化」「安全、環境、人財の3分野における重点課題(マテリアリティ)の取り組み」が盛り込まれており、さらに重要課題(マテリアリティ)に基づいた注力事項が設定されています。こうして、経営計画とサステナビリティ計画の統合を図ることにより、持続可能な社会の実現と企業価値向上の両立を目指した体制の構築を目指しております。

 

■新中期経営計画(「Harmonized Growth 2030」)におけるサステナビリティ重点課題

持続可能な社会の実現と企業価値向上の両立を目指した体制の構築

●サステナビリティ経営を支えるガバナンスの強化

●安全、環境、人財の3分野における重要課題(マテリアリティ)の取り組み

・安全:AIドラレコによる安全運行強化

SBSロジコム等でトラックへの導入を開始、850台以上の装着が完了、事故削減等の効果

→2030年度までにグループ事業用車両70%以上の導入を目標

・環境:中古トラックEV化、置き配サービスでCO₂削減

・人財:外国人ドライバーの活用促進

  SBS自動車学校と連携した外国人ドライバー採用パッケージの構築とグループ内展開を推進

  →持続可能な物流体制へ

 

(5) リスク管理

SBSグループでは、「SBSグループリスク管理規程」を定め、経営活動の脅威となり得るすべてのリスク事象の管理を図っています。影響が直ちに現れる事象はもちろん、中・長期的な視点から対処すべきだと判断されるリスクについても、管理の対象としています。

グループ全体でのリスク管理を継続的に行っていくために、グループ各社から選任された委員で構成される「SBSグループリスク管理会議」を設置しています。原則として年間2回開催する同会議では、リスクをグループ全体とグループ各社に分け、各々のリスク対策状況のモニタリングを実施し、リスク発生の未然防止と、緊急事態によって発生する被害の抑制に取り組んでいます。

 

 

(6) 気候変動への取り組み

気候変動問題への対応は、企業価値と持続可能な社会の構築との双方にとって重要な課題であるとの認識のもと、主要な経営リスクのひとつに掲げてまいりましたが、TCFD提言への賛同を2022年12月に表明するとともに、提言内容に基づき以下のとおり気候変動対応を推進しています。

 

① 気候関連課題のガバナンス構成

サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)ガバナンスに記載の「サステナビリティ推進委員会」を中心にリスク評価・戦略の決定を行っております。

 

② 気候変動にかかわるリスク評価と戦略

・リスク評価

サステナビリティ推進委員会では、当社グループにおける環境分野の実施状況を確認・評価しています。環境についてはCO排出量における削減状況、環境法違反件数等を対象とし、目標達成状況の確認・評価を行っています。また環境経営推進会議では、気候変動に関わるリスクと機会の評価、環境主要KPIや中長期目標の策定やモニタリング等の環境経営推進上の重要事項について審議、または変更、改善の必要性を評価し、委員長であるSBSホールディングス代表取締役がレビューを行い承認しております。

・戦略

気候変動リスクを、最重要リスクと位置付け、以下〈気候変動シナリオ分析〉記載のとおり気候変動シナリオの分析を行い、気候変動に関するリスクと機会による影響を把握しております。また、気候関連課題を含むサステナビリティ領域を担当する取締役については、気候変動課題を含んだサステナビリティ領域での業務経験を有し、SBSグループサステナビリティ推進委員会および取締役会において提案や説明が可能であることを条件としています。

 

③ シナリオ分析

気候変動に伴うリスクと機会は、自社の事業戦略に大きな影響を及ぼすとの認識により、サステナビリティ推進委員会を中心とする推進体制のもと、1.5℃シナリオおよび4℃シナリオを用いて以下のプロセスを通じて気候変動に伴うリスクと機会を特定および重要性評価を実施しました。

・1.5℃シナリオ

炭素税の導入を含む規制強化によるコスト増や、エネルギー源の価格上昇リスクが想定されます。当グループは、「シンシアチャレンジ2030」の達成に向け、次世代自動車の導入・再生可能エネルギー由来の電力調達・太陽光発電設備増設と再生可能エネルギーの自家利用率向上を重点課題として取り組みます。

・4℃シナリオ

自然災害が激甚化することで、物理的リスクがこれまで以上に高まることに備え、気象災害を含むBCP対策(各拠点のハザード情報管理、リスク情報の分析・検知など)を含む災害対策関連投資の促進の検討を行います。また、物流事業は、屋外や倉庫内での人力作業を伴うため、気温上昇に伴う生産性の低下や従業員の健康被害が懸念されます。職場環境の整備ならびにDX化による省人化・効率化を進めていきます。

 


 

 

■シナリオ分析(想定されるリスク・機会)

区分

類型

想定されるリスク・機会

発生

時期

1.5℃シナリオ

影響度

×

発生可能性

4℃シナリオ

影響度

×

発生可能性

移行
リスク

政策法規制

国内環境規制強化に伴う炭素税の本格導入により、エネルギー消費量(温室効果ガス排出量)に比例した課税がなされ、事業支出増加の可能性

中期

技術市場

リスク

炭素削減施策コストが増加する可能性

中期

グリーンファイナンス等の活用ができず、競合他社に比して競争力に劣る条件で資金調達が行われる可能性

中期

評判リスク

気候変動を含む環境関連情報開示および取り組みの遅れにより企業評価が低下する可能性(資本アクセスへの減少・企業競争力の低下)

短期

物理
リスク

急性

豪雨、洪水、台風等の気象災害による社員の被災/事業復旧の遅れ、事業活動の停滞やサービス停止のリスクや収益に影響する可能性

短期

気象災害による自社資産損傷に伴うコストが増加する可能性

短期

慢性

平均気温上昇による従業員の健康への悪影響および生産性が低下する可能性

短期

機会

エネルギー源

次世代自動車導入によるCO排出量削減と燃料費の削減機会

短期

再生可能エネルギー使用によるCO排出量の削減機会

中期

市場

環境優位性の確保により、グリーンファイナンスを活用し資金調達コストを低減できる機会

中期

レジリエンス

太陽光発電自家利用に伴う、電力調達コストの削減および非常時の電源確保の機会

中期

 

 

■シナリオ分析(想定されるリスク・機会に対する施策)

区分

類型

想定されるリスク・機会に対する対策

移行
リスク

政策法規制

・CO排出量削減目標を設定し、排出量削減の取り組みを推進(次世代自動車の導入、グリーン電力の調達、再生可能エネルギー創出と自家利用強化)

・社内炭素価格(ICP)導入による財務影響の可視化

技術市場

リスク

次世代自動車導入時の補助金の活用、アライアンス協力による導入コスト圧縮、市場動向等も踏まえた計画的に導入

サステナビリティの継続強化(環境・社会・企業統治に配慮した体制整備)を行う

評判リスク

気候変動課題およびサステナビリティ情報の適切な開示体制の強化

物理
リスク

急性

自然災害に対するBCP対策強化(①拠点の分散化②太陽光発電・蓄電池等の設置③低リスク地域への移転等)

ハザード情報に応じた施設の強化・補強

慢性

・冷房設備の充実、屋外作業時の保冷ツールの利用・ファン付きウェア着用など、涼化対策の実施

・物流オペレーションの推進(①自動化・省力化・無人化の推進②快適な労働環境の提供)

機会

エネルギー源

次世代自動車(EV/水素など)の導入

再生可能エネルギー由来の電力調達と太陽光発電自家利用推進

市場

グリーンボンド等のグリーンプロジェクトに関する資金調達へのアクセス

レジリエンス

再生可能エネルギー導入による電力調達コストの削減および非常時の電源確保

 

 

 

■主な財務への影響(2030年時点の仮説に基づく想定)

リスクと機会

種類

期間

発生可能性

財務影響(年額)

※算出ファクター

対応策

リスク1

国内環境規制強化に伴う炭素税の本格導入により、エネルギー消費量(温室効果ガス排出量)に比例した課税がなされ、事業支出増加の可能性

政策法規制

長期

高い

やや大きい

1.5℃ 約19億円の増加

4℃  約12億円の増加

※2023年度排出量より仮算出

中長期環境計画に基づく重点課題対応

・次世代自動車導入

・再生可能エネルギー由来の電力の導入

・太陽光発電設備継続増強と自家利用率の向上

リスク2

気候変動を含む環境関連情報開示および取り組みの遅れにより企業評価が低下する可能性

評判

中期

高い

大きい

141億円の減少

※2023年度排出量より仮算出

気候変動課題およびサステナビリティ情報における適切な指標・目標の設定と速やかな情報開示体制の強化

リスク3

平均気温上昇による従業員の健康への悪影響および生産性が低下する可能性

慢性の物理リスク

中期

高い

大きい

47億円の減少

※2023年度排出量より仮算出

現業職員(運転職・構内職)の労働環境の整備(空調・作業)

機会1

次世代自動車導入によるCO排出量削減と燃料費の削減機会

費用の減少

中期

ほぼ確実

やや大きい

66%程度の費用削減

1/3-2/3の排出削減

次世代自動車の導入

機会2

再生可能エネルギー使用によるCO排出量の削減機会

低排出エネルギー

長期

非常に高い

やや大きい

電力調達方法により、コストインパクトが異なる

再生可能エネルギー由来の電力調達と太陽光発電自家利用推進

 

※気候関連リスクを特定・評価する際の「重大な財務上または戦略上の影響」の定義

気候関連リスク・機会を特定・評価する際に事業に対する財務または戦略面での重大な影響については、SBSグループサステナビリティ推進委員会において、資金、人的資源、財務諸表の規模、各事業部門における事業計画などの側面から代表取締役を議長とするサステナビリティ推進委員会のメンバーで、売上に一定の影響を及ぼすなどの財務的な観点を含め総合的に審議し、重大な財務影響となりうるリスクおよび機会を決定した上で、最終的に取締役会で承認を得ております。なお、事業に対する重大な財務上または戦略上の影響の大きさは、売上やコスト等における一定規模の財務への影響と発生確率をもとに定義しております。

 

④ 指標と目標

世界的にカーボンニュートラルに向けた潮流が加速する中、2015年にパリ協定が採択され、2020年には日本が2030年の削減目標(46% ※業種別目標含む)および2050年にカーボンニュートラルを宣言するなど、企業における排出削減の取り組みが重要視されています。当社グループは総合物流事業を展開し、多くの貨物自動車を使用しています。脱炭素に向けた取り組みは、物流という社会インフラを担う企業グループとしての責務であると認識しています。また、2050年のカーボンニュートラルを見据え、2030年をターゲットにしたScope1・2の抜本的なGHG削減を目指し、以下の2点に注力した「SBSグループ脱炭素プラン」により、目標達成を目指します。なお、プランの推進は、車両メーカーの開発動向や、国のエネルギー基本計画におけるエネルギーミックスの考え方などにも影響を受けます。

 

■SBSグループ脱炭素プラン

車両:排出されるGHG(温室効果ガス)の削減

メーカーの開発動向による(EVを始めとする次世代自動車の導入、その他技術の導入、エコドライブ)

施設:再生可能エネルギー由来の電源利用の推進

(グリーン電力の調達・太陽光発電による再生可能エネルギー創出増強と自家利用率向上・省エネ照明導入などの対策推進)

 

■削減目標

対象 Scope

排出削減目標

Scope 1・2

2030年:CO₂排出量35%減(2013年度比)を目指します。※3

2050年:カーボンニュートラルを目指します。

Scope 3

サプライチェーンにおける排出削減に取り組みます。

 

※3:日本の業種別削減目標である「運輸部門:▲35%」に基づく

 

<環境取り組み詳細および環境実績データ>

当社グループの環境取り組み詳細および環境実績データについては、「統合報告書(Integrated report)2025年度版」のP53-P58に記載していますので、以下のURL からご参照ください。

https://www.sbs-group.co.jp/sbshlds/csr/report/

 

<参照シナリオ>

● 1.5℃シナリオ:SSP1-1.9、RCP2.6

● 4℃シナリオ:SSP5-8.5、RCP8.5

● その他参考:IEA「Net Zero Emissions by 2050 Scenario」

 

(7) 人財戦略への取り組み

 

[SBSグループの人財戦略]

SBSグループでは、“企業の永遠の繁栄は、人を大事にすることにある”という理念に基づき、“人財”こそが企業の価値創造の最重要源泉と位置付けております。この考えのもと、人権尊重を基本に『多様性への理解』、『ハラスメント行為根絶への取り組み』、『働き方改革』を一体的に推進し、“人財”の育成と価値創造力の最大化を図ってまいります。

 

[人的資本経営に関わる取り組み]

SBSグループでは、新中期5カ年計画(Harmonized Growth 2030)において、グループ内人財力、組織力の強化による企業価値・競争力の向上を目指し、人的資本経営に関わる基本戦略を定めました。当基本戦略に基づき、これからの人的資本投資およびその開示に向けた基盤整備を進めてまいります。

 


 

※SBSホールディングスは、金融庁および経済産業省がオブザーバーとして参加する「人的資本経営コンソーシアム」に参加しています。同会参加企業との情報共有や意見交換を通じて人的資本経営への理解を深め、SBSグループの次世代を担う人財への投資を一層加速し、持続的な成長と企業価値の向上に努めております。

 

<人的資本経営に関わる基本戦略>

① 従業員の能力向上とキャリア開発の支援

SBSグループは、人財育成基本方針に則り、グループ各社で働くすべての社員を対象に各種教育研修を実施しています。

研修は階層別研修、テーマ別研修、専門テーマ別研修、自己啓発支援で構成・体系化され、社員の能力向上とキャリア開発を支援しています。

 

人財育成基本方針

・経営戦略ならびに人財戦略の一環として実施し、グループの成長・発展に貢献できる人財を育成します。

・多種多様な教育研修により”人財”を育成して、人的資本の蓄積を図ります。

・生涯教育を通じて社員の自己実現目標の達成を支援します。

 

具体的な取り組み

・事業戦略に沿った人財の適切な確保

・SBSグループ共済会のグループ各社へのさらなる展開

・各種研修の実施(階層別研修、自己啓発研修、次世代育成研修等)

 

② 従業員のワークライフバランス向上

SBSグループでは、ダイバーシティ・働き方改革の推進を軸に、“誰もが安心して働ける、能力を発揮できる”職場づくりに取り組んでいます。その一環として、産後休暇中の配偶者がいる男性従業員に対して、2024年7月から育児支援休暇(特別休暇)を制定し、男性育児休業取得を促しました。今後もそれぞれの事情に応じた多様で柔軟な働き方を提供できるよう、ワークライフバランスの推進を図ります。

 

具体的な取り組み

・在宅勤務制度、フレックスタイム制度の体制整備

・グループ標準(骨格)となる福利厚生制度の展開

・男性育児休暇取得率の向上(育児支援休暇の制定)

・年次有給休暇取得率の向上

 

年次有給休暇取得率の目標と実績

2023実績

2024実績

2025実績

2026目標

55.7%

55.3%

63.1%

前年比増

 

 

③ ライフイベントと仕事の両立を柔軟に行うための環境整備

SBSグループでは、「SBSグループダイバーシティ方針」を定め、ダイバーシティ&インクルージョンを重要な経営戦略に位置付け、3つのアクションプランによって誰もがいきいきとして能力が発揮できる環境づくりを推進しています。

 

3つのアクションプラン

 ・従業員の多様な個性を尊重します。

 ・従業員が個性をより輝かせることが出来るように支援します。

 ・従業員の多様性を活かす組織風土の醸成に努めます。

 

具体的な取り組み

・女性活躍推進活動の強化

・女性が活躍しやすい環境づくり

・認証制度の取得

 


  女性活躍推進企業認定      子育てサポート企業認定       働きやすい職場認証制度

       「えるぼし」              「くるみん」            (自動車運送事業者)

  SBSホールディングス      SBSホールディングス     SBSリコーロジスティクス

                                    SBSゼンツウ

 

多様性啓発推進研修参加者数の目標と実績

2023実績

2024実績

2025実績

2026目標

280人

508人

507人

500人

 

 

 

④ 生産的な雇用と働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)の実現

SBSグループでは、「SBSグループ人権方針」においてビジネスにおける人権尊重への取り組みについて定めるとともに、『SBSグループ「人権尊重ならびにハラスメント行為根絶」宣言』を定め、従業員へ、人権尊重とハラスメント防止の理解と遵守の徹底を図っています。

 

具体的な取り組み

・従業員エンゲージメントの向上(2025年7月実施:スコア平均値47.4)

・障がい者法定雇用率の向上

 

⑤ グループ全体最適に向けた人事受託業務の再編・構築とサービスレベルの向上

 

具体的な取り組み

・業務品質および生産性の向上に向けた仕組みの構築

 

3 【事業等のリスク】

SBSグループの短期および中・長期的な経営成績、株価及び財務状況に影響を及ぼす可能性のあるリスク事象として、現在は15のカテゴリーを設けております。主に外的要因によるもの、内的要因によるもの、その両方の側面を有するものといった違いはありますが、経営の健全性と持続可能性を高める視点から、これらを包括的に管理しています。

 

① 景気の変動によるリスク

 当社グループの事業は、国内外の経済、景気動向及び顧客企業の輸送需要の動向に影響を受けます。特に、国内景気の大幅な落ち込みによる消費の低迷や極端な円高、海外景気の深刻な落ち込みによる輸出入量の減少や輸配送料金の値下げ圧力などが発生した場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、事業の多様化の推進、取引先企業の拡大などによりリスクの分散を図るとともに、事業ポートフォリオの充実と最適化を推進しております。

 

② 燃料価格高騰によるリスク

 当社グループの主力事業である物流事業には、軽油・ガソリンなどの燃料が不可欠です。世界的な原油価格の高騰や為替変動による燃料価格の想定を超えた値上がりは、コストの増加要因となります。燃料価格の想定を超えた値上がりコスト増加相当分を料金に転嫁できない場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、世界的な市場の動向を注視するとともに燃料価格の変動を予測した予算の策定及びエコドライブの推進や段階的な次世代自動車の導入などにより、燃料効率の高い物流サービスへの転換を推進しております。

 

③ 金融環境悪化によるリスク

 当社グループの重要な成長戦略として、M&Aや3PL事業推進のための物流施設の開発を行うにあたり、必要な資金は主に金融機関からの借り入れで調達しておりますが、金融環境の悪化は戦略投資への資金調達が困難となり、調達金利の上昇が起こる可能性があります。また、一部借入金には、財務制限条項が付されておりますが、これに抵触することで当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、物流施設の流動化や営業キャッシュ・フローなどによる有利子負債の返済促進と金利の固定化などの対策を講じております。

 

 

④ M&Aのリスク

 当社グループは、既存事業の規模拡大や新規事業分野へ進出するに際し、事業戦略の一環としてM&Aや資本参加、資本提携などを行っておりますが、予測できない事態により買収や提携後の事業計画の進捗が当初の予定より大幅に遅れた場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、M&Aや資本参加、資本提携などにおいては事前デューディリジェンスを徹底し、被買収企業の経営層との丁寧な調整を行います。

 

⑤ 不動産事業のリスク

 当社グループの不動産事業は、開発事業と賃貸事業で構成されております。開発事業における物流施設の新規開発にあたっては、販売用、賃貸用に関わらず顧客の確保を前提としており、入居者あるいは販売先を決定したのちに、顧客のニーズに合わせた仕様あるいは賃料や賃貸期間などを決定し、着工しております。そのため、受注時期や規模、仕様、完成時期、販売時期によって売上及び利益が一定の時期に偏る場合や遅延が生じる場合があります。

 当社グループでは、顧客の確保を前提とした物流施設の開発を行っております。

 

⑥ 法制度変更によるリスク

 当社グループの主力である物流事業では、貨物自動車運送業や倉庫業、通関業などの物流に関する各種事業法、不動産事業では建築基準法や金融商品取引法、人材事業では労働者派遣法などの様々な法規制を受けております。それらが、社会情勢の変化に応じて改正や強化、解釈の変更などが行われた場合は、新たな費用負担の発生や事業展開の変更を求められる可能性があります。これらの対応に新たな費用負担が発生した場合は、コストの増加要因となります。

 当社グループでは、法令遵守を旨としており、業界団体をとおして情報を収集するほか、法令や制度の変更を予め想定した対策を講じております。

 

⑦ 自然災害等の発生によるリスク

 当社グループは、トラックによる輸送や物流センターの運営を主体に事業を展開しており、大規模な自然災害などが発生した場合は、大きな影響を受けます。当社グループは首都圏に多くの物流施設を有しており、大規模な自然災害が発生した場合は、荷主企業や当社施設の被災、交通網の遮断・混乱、電気・水道などのライフラインの停止などにより、事業の継続が困難となる可能性があります。

 当社グループでは、「事業継続計画(BCP)」において災害状況の想定及び対応策を定め、定期的な訓練の実施や主要な建物の耐震性の確保、事業拠点の可能な範囲での分散化を進めております。

 

⑧ 感染症によるリスク

 当社グループや荷主企業で感染症による発症者が確認された場合は、オペレーションの制限や停止を余儀なくされるなど、当社グループの事業活動に様々な影響を与えます。また、従業員等を感染症から守る感染防止対策費用は、コストの増加要因となります。

 当社グループでは、事業所及びトラックなどの事業用車両の衛生管理を徹底するほか、従業員等には国の指針に従った感染防止・拡大抑制対策の徹底を図っております。

 

⑨ 重大事故発生によるリスク

 当社グループは、トラックなどの事業用車両が公道を利用し、顧客の商品または製品の輸配送を行っておりますが、万が一、人命を失うような重大な事故を起こした場合は、被害者からの訴訟や顧客からの信頼喪失や社会的信用の毀損、営業停止または事業用車両の運行停止などの行政処分を受ける可能性があります。

 当社グループでは、当社と当社グループが協働して設置する「SBSグループ運輸安全推進会議」にて教育・啓発、事故防止、安全運転管理の3つを重点施策としてグループ全体で運輸安全マネジメントを推進しております。

 

⑩ システムダウンによるリスク

 当社グループは、顧客の商品・製品の管理、倉庫管理、通関処理などの業務システムから会計システム、人事給与システムなどの社内システムに至るまでコンピュータやネットワークを使用しております。万が一、コンピュータの故障やウイルスへの感染、外部からのハッキング、大規模な自然災害などによりシステムがダウンした場合は、オペレーションの停止や制限を余儀なくされ、業務処理の遅延や混乱を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、SOC(Security Operation Center)サービスによるネットワークの監視や確認、AIを用いたウイルスの監視、次世代ファイヤーウォールによりセキュリティ強化を図っております。また、当社と当社グループ会社が協働して設置する「SBSグループ情報セキュリティ推進会議」にてグループ全体でセキュリティ対策と教育・啓発を推進しております。

 

⑪ 顧客情報の流出リスク

 当社グループは、個人情報を含む多くの顧客情報を扱っており、潜在的に個人情報や顧客情報の流出、データの喪失リスクがあります。万が一、顧客情報の流出やデータの喪失などの事態を招いた場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、社内規程で顧客情報の適正な管理を定めるとともに、「SBSグループ情報セキュリティ推進会議」のもとで、グループ全体で顧客情報の適正管理のための対策を推進しております。

 

⑫ コンプライアンスによるリスク

 当社グループは、様々な法令や幅広いルール、社会的規範のもとで事業を展開しており、関連規制への抵触や取締役や従業員等による不正行為が発生した場合は、当社グループの信用毀損や取引の停止などにより多額の損害賠償請求などを招き、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、「SBSグループコンプライアンス規程」を定め、当社グループを構成する取締役や従業員等がコンプライアンスに則した行動を取るための体制や仕組みの構築を推進するとともに、「SBSグループ行動基準」を定め誠実で公正・透明な企業風土を醸成するよう努めております。

 

⑬ 国際展開によるリスク

 当社グループは、持続的に成長するために海外での事業展開に取り組んでおりますが、進出国または進出地域の政治体制や法規制の変化、景気の後退による経済状況の変化、感染症にともなう疾病の発生などにより社会的混乱が生じた場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、進出国または地域に関する情報を常に収集し、分析を行っております。

 

⑭ 人財の確保と人財育成のリスク

 当社グループでは、人財の重要性を認識し、採用活動や人財育成に注力しておりますが、必要な人財を確保できない場合や多くの人財が社外へ流出した場合、人財の育成が計画どおりに進捗しない場合などは、当社グループの事業展開や業績及び成長戦略に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、新卒または中途採用に拘らず積極的に採用を行うとともに、人財育成の基本方針にもとづいて、グループ各社の従業員を対象とした様々な人財育成教育を実行し、能力の向上とキャリア開発を支援しております。

 

⑮ 気候変動によるリスク

 当社グループは、気候温暖化にともなう海水面の上昇などにより、港湾部の事業拠点が浸水被害を受ける可能性や異常気象による豪雨や豪雪、台風被害などによる交通網の遮断・混乱、電気・水道などのライフラインの供給停止、熱中症による従業員の健康危害などの影響を受ける可能性があります。また、国際合意にもとづく二酸化炭素の排出規制強化や企業が排出する温暖化ガスに対する「炭素価格」の導入は、コストの増加要因となります。

 当社グループでは、エコドライブの推進や段階的な次世代自動車の導入、省エネルギー設備を導入するなどの低炭素化を前提とした計画的な事業戦略及び環境戦略を策定し、気候変動リスクに長期的な視野で取り組んでおります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度(2025年1月1日~2025年12月31日)は、雇用・所得環境の改善や消費者マインドに持ち直しの動きが見られた一方で、人手不足やエネルギー・原材料価格の高止まり、さらには地政学リスクの高まり等が景気の後退懸念となり、先行きは依然として不透明感が継続する情勢となりました。

 このような状況のなか、当社グループは主力の物流事業において、既存顧客との取引拡大に加え、高い物流機能を求める新規顧客の獲得や、EC物流の需要取り込み、ラストワンマイルにおける置き配サービスの本格導入等、サービスラインナップの拡充に注力してまいりました。また、ここ数年は積極的な営業施策とМ&A戦略によって売上高が大きく拡大した一方で、利益率が伸び悩んでいることから、営業利益率の向上を重要な課題と位置づけ、不採算拠点の収支改善と倉庫の空き坪解消等の収益構造改革の施策に取り組んでおります。

 

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 a. 経営成績

 当連結会計年度の連結業績については、新規顧客の獲得や新規連結効果に加え、収益構造改革の進展等により、売上高は前年同期より421億99百万円増(+9.4%)の4,903億44百万円で過去最高を更新、営業利益は同35億91百万円増(+20.3%)の212億95百万円、経常利益は同26億80百万円増(+14.5%)の211億43百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同21億64百万円増(+22.5%)の117億83百万円でこれも過去最高を更新し、3期ぶりに増収増益を達成しました。

 セグメント別の経営成績は以下のとおりです。

 

(物流事業)

 主力の物流事業では、前述のとおり新規顧客の拡大、不採算拠点の収支改善、料金適正化の進展等に加え、新たにグループ入りしたSBS NSKロジスティクス㈱、オランダのブラックバード ロジスティクスB.V.の新規連結寄与等により、当連結会計年度における売上高は前年同期より399億円増(+9.5%)の4,602億33百万円、営業利益は同26億67百万円増(+28.9%)の118億88百万円となりました。
 

(不動産事業)

不動産事業は、開発事業と賃貸事業で構成されております。開発事業では、グループ内での3PL、4PL事業を推進するために、顧客の物流ニーズに合った大型倉庫を土地の取得から建設まで一貫して行います。賃貸事業では、グループで保有する倉庫、オフィスビル、レジデンス等から賃貸収益を得ています。当社は、将来の投資に向け物流不動産を流動化し資金を回収しており、流動化に伴い計上する収益は不動産事業に含めております。
 当連結会計年度における不動産流動化の主な実績として、当社連結子会社が所有する販売不動産(野田瀬戸物流センターA棟)の信託受益権の一部譲渡等を実施しております。その結果、不動産事業の売上高は前年同期より13億95百万円増(+7.8%)の193億31百万円、営業利益は同10億28百万円増(+12.7%)の91億42百万円となりました。

 

(その他事業)

 その他事業の主なものは、人材派遣事業、マーケティング事業、太陽光発電事業及び環境事業です。当連結会計年度におけるその他事業の売上高は前年同期より9億2百万円増(+9.1%)の107億78百万円、営業利益は同2億84百万円増(+73.0%)の6億75百万円となりました。

 

 

b.財政状態

 資産、負債及び純資産の主な増減要因は以下のとおりです。

 

(資産)

 当連結会計年度における総資産は3,468億52百万円となり、前連結会計年度末に比べ295億65百万円増加しました。現金預金や棚卸資産等の流動資産が減少した一方で、子会社の新規連結等の影響で固定資産が増加しました。

 

(負債)

 負債は2,202億99百万円となり、前連結会計年度末に比べ159億60百万円増加しました。これは主に、買掛金や1年内返済長期借入金等の流動負債と、リース債務等の固定負債がそれぞれ増加したことによるものです。

 

(純資産)

 純資産は1,265億53百万円となり、前連結会計年度末に比べ136億4百万円増加しました。これは主に、利益剰余金等の株主資本の増加、ならびに非支配株主持分の増加等によるものです
 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という) は、前連結会計年度末に比べ79億97百万円減少し、204億39百万円となりました。各キャッシュ・フローの主な内訳は以下のとおりです。
 
(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は354億32百万円となりました。前連結会計年度の158億7百万円の収入と比べて、税金等調整前当期純利益の増加に加えて、減価償却費や減損損失等の非資金項目の増加、また、売上債権、棚卸資産、仕入債務等の増減により、196億25百万円収入が増加しました。

 
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動により使用した資金は285億42百万円となりました。前連結会計年度の167億23百万円の支出と比べて、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出の増加等により、118億19百万円支出が増加しました

 
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動により使用した資金は148億53百万円となりました。前連結会計年度の12億93百万円の支出と比べて、長期借入金の返済による支出、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出の増加等により、135億59百万円支出が増加しました。

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績及び受注実績

当社グループは、物流事業を中核とするサービスの提供が主要な事業であるため、記載を省略しております。

 

b. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

物流事業

460,233

109.5

不動産事業

19,331

107.8

その他事業

10,778

109.1

合計

490,344

109.4

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 当連結会計年度における販売実績の著しい変動の要因は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.経営成績」に記載のとおりであります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にもとづき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりです。連結財務諸表の作成においては、過去の実績やその時点で合理的と考えられる情報にもとづき、会計上の見積りを行っていますが、見積りには不確実性が伴い、実際の結果とは異なる場合があります。

なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等は「(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載しております。

 

 

④ 資本の財源及び資金の流動性について

 当社グループの主たる運転資金は、傭車費、外注費、人件費等の売上原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要といたしましては、車両の経常的な更新、子会社・関連会社株式の取得等によるもの及び物流施設の自社開発に伴う用地取得、建設工事代金、設備投資等があります。

 資金の財源につきましては、当面の資金需要と設備投資計画に則り自己資金と金融機関からの借入金により調達しております。当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、204億39百万円となり、有利子負債残高は1,067億14百万円となっております。

 当社グループは、グループ全体の資金を有効活用するため、キャッシュ・マネジメント・システムを採用しており、連結子会社の支払い代行業務を行う他、連結子会社の報告にもとづき、グループにおける重要な資金繰りの状況について把握しております。また、取引銀行において、借入金の与信枠の設定を受けており、必要な資金を速やかに確保する基盤を整えております。

 

  ⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況について

 当社グループは、中長期的な視点から事業の持続的成長、収益力及び資本効率の向上を図る方針であります。また、重要な事業戦略、投資戦略の一環として、物流施設の自社開発と流動化サイクルを計画的に循環させることで、3PL及び4PL事業の安定的成長を図る独自のビジネスモデルを推進しております。利益重視のバランスのとれた成長を実現すべく、連結売上高7,000億円、物流セグメントの営業利益率4.5%の達成を中期的な目標として掲げ、これを判断指標と位置づけております。当連結会計年度の売上高は4,903億円(前連結会計年度比+422億円)、物流セグメントの営業利益率2.6%(同+0.4ポイント)となっており、中期的な目標の達成に向けて事業の拡大及び収益性の強化に取り組むとともに、投資と回収の最適なバランスを実現してまいります。

 

5 【重要な契約等】

(タームローン契約の締結)

当社は、金融機関との間で財務上の特約が付されたシンジケートローン方式による実行可能期間付タームローン契約を締結しており、その主な内容は、以下のとおりであります。

 

締結日

2025年3月26日

組成金額

30,000百万円(借入極度額)

相手方の属性

都市銀行、地方銀行、公的金融機関及び系統金融機関上部組織

債務の期末残高

13,500百万円

弁済期限

2030年3月29日

担保の内容

無担保

財務上の特約の内容

①各連結会計年度の決算期の末日における連結貸借対照表上の

 純資産の部の金額を、当該決算期の直前の決算期末または

 2023年12月期末の純資産額のいずれか大きい方の75%以上に

 維持すること。

②各連結会計年度の連結損益計算書に計上される営業損益に

 ついて、2期連続して営業損失を計上しないこと。

 

(注)「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(令和5年内閣府令第81号)第3条4項の定める経過措置により、改正府令施行日前に締結した契約は記載を省略しています。

 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。