文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
~社会インフラの整備に貢献する企業を目指します~
当社グループは、「事業投資」という行為を通じて、全国の地域社会に利益還元し、地方経済の活性化と発展を促す循環型社会の実現を目指します。
また、5G/IoT時代に必要な「高周波技術」と「デジタル技術」を融合した製品開発を通じて「人・モノ・コト」が自在につながる豊かな社会を実現するのと同時に「再生可能エネルギー事業」の事業開発により、「地球温暖化」や「日本のエネルギー自給率の向上」で社会に貢献してまいります。
また、当社は企業理念として、以下の3つの「再」に取り組むことを掲げております。
・企業「再」生
・「再」生エネルギーの普及
・生まれたキャッシュの「再」投資
上記企業理念を重視し、また、常にコンプライアンスに重点をおいた経営を行いESG(Environmental=環境、Social=社会、Governance=企業統治)及びSDGs(持続可能な開発目標)の視点を十分に取り入れた企業として、株主様、取引企業様のご期待に応えられますよう邁進してまいります。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
(経営環境)
電子通信用機器市場では、官公庁向け製品が量産化フェーズに入り、受注残高も国家予算の増加に呼応して拡大していく中、5G市場の拡大、気候変動の進行による自然災害の激甚化に対応するライフラインの確保など、社会インフラに関するニーズが年々高まっており、市場の拡大が進んでおります。
こういった状況下において、当社は新たな課題や市場の動向を的確に捉え、既存の技術をさらに進化させ革新的な技術の開発に積極的に取り組むと共に、量産化にしっかり応えていくことが求められています。これにより、既存事業の拡大と新たな分野への進出により、価値あるソリューションを社会に提供、事業のさらなる拡充を目指してまいります。
再生可能エネルギー市場では、各国政府や金融業界で脱炭素化の動きが強まっていることに加え、国内のデータセンター、半導体工場の新増設などで、一層のエネルギー需要の増加が見込まれております。2025年2月には経済産業省から第7次エネルギー基本計画が発表され、再生可能エネルギーによる発電電力量を2022年の0.218兆kWhから2040年には0.44~0.60兆kWhに高める等、再生可能エネルギーの主力電源化・長期安定電源化を目指す計画が示されています。一方、国内市場では太陽光発電所を中心に、再生可能エネルギーの固定価格買取制度による売電価格が見直され、下落し続けている状況となっております。当社ではこれまでに高価格の案件を積み上げるほか、小形風力発電所の開発、および再生可能エネルギー事業の拡大に不可欠な調整力の確保、系統・需給運用の高度化を担うための系統用蓄電所の開発など、新しい再生可能エネルギーの創出を推し進め、これらの案件が今後の収益拡大に寄与すると見込んでおります。
このような経営環境の中で、ESG経営を推進し「脱炭素社会」の実現に向け、通信(5G)、環境、災害対策をキーワードとし、スマートシティのインフラとなる「通信」・「エネルギー」分野で、ソリューションを提供する企業へ進化してまいります。
こうした社会情勢の変化や再生可能エネルギーに関する政策を機敏にとらえ、新たな社会的価値を創出し続けながら、社会と企業の持続的な成長を目指してまいります。
(中長期的経営戦略)
当社グループの電子・通信機器事業では、5G関連市場、官公庁、及び公共プロジェクト関連市場を中心とした拡販施策に加え、新規の市場や顧客開拓にも注力し、業績の拡大を目指してまいりました。昨今の国家予算増加による官公庁関連需要の増大や社会インフラ市場の拡大を重要な機会と捉え、持続的な競争力の強化を目指しております。受注残高が過去最高となる中、この需要に迅速かつ確実に対応するため、技術人材の確保や生産フロアの拡充、プロセスの高度化に取り組み、お客様への安定的、かつ高品質での製品提供を最優先に対応しております。また、コア技術である「アナログ高周波技術」と「デジタル信号処理技術」を融合させた高度なソリューションを提案し、より付加価値の高い製品の提供を強化してまいります。加えて、海外市場も含めた価格競争優位性を高めるべく、ベトナム工場を移転し、生産キャパシティを2倍に拡大して生産体制の充実を図るとともに、従業員の教育・訓練を通じて通信インフラに求められる「最高レベルの品質」を実現し、コスト競争力の強化による受注拡大を目指しております。今後はインドネシア市場への進出も視野に入れ、東南アジア地域での事業拡大を図ってまいります。また官公庁の中長期にわたる需要に応えるために国内で工場を建設するなど、生産能力の拡充にも努めてまいります。以上のような経営戦略を講じることにより、今後も技術革新と生産力強化を軸に付加価値の高い製品を提供することで高い収益性を実現、安定した経営基盤の確立と事業領域の拡大を進めてまいります。
再生可能エネルギー事業では、再生可能エネルギーの普及拡大と脱炭素社会の実現に貢献すべく、小形風力発電所や太陽光発電所の開発を積極的に推進し、これまで主に北海道において小型風力発電所の開発に注力しております。
一括で開発してきた小形風力発電所30基についての連系が2024年2月末までに完了し、当連結会計年度において1年を通じて全基が順調に売電を継続しております。また当連結会計年度においては新たに太陽光発電所、小形風力発電所各1基が連系して売電を開始しております。今後は売電による安定的な収益の確保を目指して、従来から開発している太陽光発電所や小形風力発電所に加え、再生可能エネルギーの普及に不可欠で、再生可能エネルギーの変動性に柔軟に対応できる系統用蓄電所事業などに注力してまいります。また、固定価格買取制度による売電価格が見直され、下落している現状ではありますが、太陽光発電所、小形・中形風力発電所、及び系統用蓄電所の新規開発に取り組んでおり、発電所用地の確保から電力会社を経由し需要家への送電までを一貫して企画・開発するビジネスモデルの高度化を進めております。地域に密着した再生可能エネルギーに由来した発電所の開発を推進すべく、発電所用地の確保から、電力会社への運転開始まで、一貫した管理体制を整えることに加え、新しいビジネスモデルへの挑戦を設置地域の皆様と共に推進し、地域社会に貢献してまいります。さらに保守メンテナンスや保険代理店業務、発電所の建設業務など、再生可能エネルギーに関する様々な面から事業を進め、利益の確保、および増収増益を目指してまいります。
(3) 会社の対処すべき課題
電子・通信用機器事業におきましては、世界的な半導体需給は徐々に改善していますが、AIや電気自動車(EV)需要の高まりにより材料費は高止まりが続いており、円安の影響も加わり、コストが大きく上昇しています。非鉄金属は需給の不安定さが依然として課題であり、原油価格も中東情勢やエネルギー政策の影響で高騰しており、エネルギーや物流コストへの上昇懸念が継続しています。これらの要因により部品材料費や輸送費の上昇が予想され、事業運営の効率化が今後ますます重要となってまいります。
このような状況下で、地政学的緊張の高まりにより国家予算の増加が進んでおり、この結果官公庁関連の需要が急速に拡大しています。当社では生産能力の強化を最重要課題として位置付け、特に技術人材(設計人員、生産人員)の確保においては、業界全体で人材不足が深刻化しており、優れた技術者の確保が競争力を左右する重要な要素となっています。加えて、受注の拡大に対応するために、設備やスペースの拡充を進めるとともに、生産ラインの効率化や最適化も並行して進めてまいります。これらの取組みによって急速に変化する市場に対応し、顧客の期待に応える高品質な製品を安定的に供給する体制を確立してまいります。
再生可能エネルギー事業におきましては、環境配慮に対する世界的な社会の要請は年々高まっており、そのニーズに応えるべく新たな再生可能エネルギー発電所の開拓とその拡大を継続し、持続的な成長を続けることが経営課題であると考え、発電所の保有基数を増やし、売電収入の増強を目指してまいります。
太陽光発電所においては、日本の国際公約「2050年度カーボンゼロ」、「2030年度脱炭素目標2013年度比▲46%」に伴い、お客さまから太陽光発電所を中心に開発の引き合いが増えていることに応え、これまでに蓄積した開発ノウハウを活用し、低コストでの開発が実現できるよう進めております。
また小形風力発電所においては、開発を加速させるために、世界的な経済環境の変化にも対応できる開発体制の構築を、一層強化するとともに、今まで培った再生可能エネルギー発電所の開発ノウハウを活かして、中形風力発電所、系統用蓄電所の開発も進めてまいります。
系統用蓄電所においても、早期の稼働を目指して売電収入の増強につなげてまいります。
当社といたしましては、再生可能エネルギー発電所の開発推進を通じて社会の要請に応え、同時に中長期に向けて企業価値の拡大並びに利益の最大化に努めるべく引き続き尽力してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社及び当社グループ各社において、サステナビリティへの取り組みの進捗確認やリスク・機会の内容の精査・評価に関して、適宜議題して採り上げ、各社役員にて積極的な議論を行います。各社で決議された案件は、当社取締役会での審議を経て、最終的に決定されます。
(2) 戦略
企業方針は「人と地球の未来のために」であり、国連が2015年に定めた持続可能な開発目標(SDGs)に取り組み、ESG経営を掲げ、サステナビリティに取り組んでおります。
限られた地球資源を有効に活用しつつ、私たちが豊かに生活するためには、様々な技術を組み合わせる必要があり、事業活動を通じて、1968年から半世紀にわたり電子通信機器事業に、2006年から再生可能エネルギー事業に取り組んでいます。
電子・通信用機器事業において、アナログ高周波無線技術を基盤とした多様な製品を開発・生産し、社会に欠かすことのできない通信インフラを支えています。当社の技術は、モバイル通信、官公庁、防災、交通、放送、鉄道、宇宙・衛星など幅広い分野で活用されており、社会・産業活動を下支えする不可欠な無線通信の一部として機能しています。これらの事業領域を通じて、当社は社会に不可欠な通信インフラの「高品質化・高信頼化・強靭化(レジリエンス向上)」に継続的に貢献し、持続可能で安心・安全な社会基盤の構築に努めてまいります。
再生可能エネルギー事業において、太陽光発電所や風力発電所を建設し、発電所を自社で保有して発電した電力を販売しているほか、発電所、もしくは開発途中の段階での開発候補用地・権利の売却も進めています。また再生可能エネルギーの普及に不可欠な系統用蓄電所の保有に向けた開発も行ってまいります。
地球温暖化の原因であるCO2を大量に排出する石炭や石油、天然ガスなどの炭素エネルギーに代わり、太陽光発電所や風力発電所などの再生可能エネルギー事業を積極的に行うことで、CO2削減、地球温暖化への対策に積極的に取り組んでまいります。
人的資本については、当社グループは、「人」が最大の財産と考え、社員一人ひとりがプロフェッショナルな人財となれるよう、多様性を尊重し、それぞれが個性と能力を発揮できる企業づくりに取り組んでおります。
・人材の育成方針
当社グループでは、入社研修の実施に加え、専門分野の自律的なキャリア構築を支援する教育制度を実施しており、特に技術者(エンジニア)として必要な専門知識習得とスキルの研鑽を主とした教育システムの促進やコンプライアンス、インサイダー防止などの必要な知識を浸透するための研修など、継続的な人材育成に取り組んでおります。
・社内環境の整備
当社グループでは、多様な属性、才能、経験等をもった人材を積極的に採用しており、また、性別や年齢、国籍などに関係なく様々な人材が活躍できるような採用活動を実施しております。
また、社内環境の整備にも力を入れており、時差通勤勤務に加え有給休暇や育児休業取得等を促進し、多様な人材がやりがいをもって働ける組織の構築を推進しております。
事業全般に関わるサステナビリティのリスクと機会は、当社の経営企画部門が当社及び当社グループ各社より抽出した内容を、経営への影響度、発生可能性などを踏まえて重要度を精査し、管理すべき内容を多摩川ホールディングスのリスク・コンプライアンス委員会に対して上程しています。
現状はリスク・機会の重要度の把握に留まっており、財務面への影響などの定量的な分析は十分とは言えませんが、今後外部の知見等を有効活用し、TCFDが推奨する情報開示に内実ともに沿えるように務めます。
サステナビリティの指標、目標は現時点で設定はしておりませんが、今後の戦略に基づき、適切な内容を設定する予定です。
なお、当社開発再生可能エネルギーによるCO2排出削減量は以下のとおりとなります。
人的資本において、当社グループでは、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、データ管理とともに、具体的な取り組みを行ってまいります。
なお、本年度は現状の掌握を主としており、
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経済状況
当社グループの営業収入のうち、重要な部分を占める電子・通信用機器事業の製品需要は、国内外の経済状況の変化による通信設備投資需要の影響を受ける可能性があります。また、海外企業の国内市場への参入や、国内企業の海外生産へのシフトによる低価格での製品提供により、価格競争の熾烈化が起こり、当社の市場競争力が低下し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。世界的な半導体や非鉄金属材料の不足、原油高による部品材料や輸送費の高騰、またロシア/ウクライナ情勢や中東情勢の悪化が加わることにより、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 価格競争
携帯電話設備をはじめ、当社グループの得意とする高周波無線技術を必要とする市場において、国内だけでなく海外企業の参入など、当業界における競争は激化しております。
当社グループでは、通信用機器をはじめ太陽光モジュールにおきましても、技術力に裏打ちされた高品質、高信頼かつ高付加価値製品を提供する一方で、徹底したコスト削減により、市場でのシェアを維持・拡大してまいりますが、将来においても優位性を保ち、競争できるという保証はありません。価格面での競争に十分に対抗できないことにより顧客離れが起こることも想定され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 人材の確保及び育成
当社グループの㈱多摩川電子の将来の成長は、有能なエンジニアに依拠するところが大きく、積極的な人材の採用と育成に注力してきましたが、引き続き、技術力の高いエンジニアの確保、育成は同社の重要な課題であります。
特に、基幹技術である高周波領域に係るアナログ無線技術者の育成には、長期間を必要とするため、その育成コストや人材採用に係る費用は、人件費の押し上げ要因になり、業績に影響を及ぼす可能性があります。再生可能エネルギー事業に関しましては、太陽光発電所等の用地確保から、発電所の建設、実際の売電開始に至るまで、専門的な知識を有する人材が必要不可欠です。また小形風力発電所も含めて開発・保有を強化するにあたり、管理体制の増強が必要です。そのため、当該人材の確保にコストがかかり、業績に影響を与える可能性があります。
(4) 出荷後の製品の欠陥
当社グループの㈱多摩川電子の製品は、携帯電話設備、防災無線設備、放送関連設備、各種通信設備等公共性の高い設備に使用されておりますので、厳格な品質管理のもとに各種の製品の開発・製造を行っております。しかしながら、精密な製品のため戸外での気象条件や設置状況など使用されている環境により、その性能に影響が出る可能性があります。
また、万一、設計・製造に起因する性能劣化が発生した場合には改修等による費用が発生し、業績に影響が及ぶ可能性があります。
(5) 品質低下
当社グループの再生可能エネルギー事業における再エネ関連のシステム、並びに太陽光・小形風力発電所の販売つきましては、納める商品の品質管理には万全を期しておりますが、劣化等に伴い、当初計画との予期せぬかい離が発生する可能性があり、その場合には補償等の問題が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 法的規制
当社グループの再生可能エネルギー事業における太陽光発電所事業については、発電所の規模が大きくなればなるほど、森林法、環境法等の法令や条例の規制を受け、その申請手続も複雑かつ多岐にわたると共に、許認可がおりるまでの期間が長引くことが考えられます。
上記の状況から、用地確保から発電所建設に至るまでの期間が予想以上に長引いたり、途中で当該案件を断念せざるを得ない状況に陥ったりすることで、当社グループの業績に影響を与える可能性がありますが、顕在化の可能性は低いと認識しております。
(7) 政府の施策
当社グループにおける再生可能エネルギー事業は、「再生可能エネルギー特別措置法」施行後、産業用太陽光発電システム分野での市場拡大に大きく寄与しておりますが、電力の固定価格買取制度における買取価格の見直し(2013年4月から実施済)や買取年数の短縮等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応策として、太陽光発電所に加え、売電単価の高い小形・中形風力発電所の開発、及び系統用蓄電所などの発電所新設にも注力しております。
(8) 新規事業投資に伴うリスク
当社グループは、かねてより環境関連事業分野への進出を検討しておりますが、当初の計画どおり事業展開が進まなかった場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 海外取引に関するリスク
当社グループは、M&Aにより今後も海外子会社等を取得・売却する可能性があります。こうした海外投資、海外事業会社との取引については、次のとおり業績に影響を及ぼす可能性があります。
a.カントリーリスク
当社グループは、中国製の太陽光モジュールや風力発電所機器を取り扱っております。当該地域における市場動向、競合会社の存在、政治、経済、法律、文化、宗教、慣習、テロ等の様々な要因により、今後の事業戦略や当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
b.法的規制リスク
海外取引の拡大により、税率、関税など監督当局による法令の解釈、規制などが強化され、あるいは予期せぬ変更が生じた場合、新たな費用が発生する可能性があります。このような事態が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
c.為替変動リスク
海外事業に関し、為替相場の急激な変動により為替差損が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
d.大規模災害等のリスク
当社グループは、中国製の太陽光モジュールや風力発電所機器を取り扱っておりますが、当該地域における大規模な地震や台風、洪水等の自然災害及び、伝染病、新型インフルエンザ等の感染症が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
e.契約不適合責任リスク
海外取引における品質管理には万全を期しておりますが、契約不適合責任等により巨額の損害賠償が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
f.係争・訴訟に関するリスク
当社グループは、業務の遂行にあたり法令遵守などコンプライアンス重視の経営に努めておりますが、国内及び海外事業に関連して、訴訟、その他の法律的手続きの対象となるリスクがあります。また、商品売買契約に基づく出荷数量、納期等について当社グループに不測の事態が発生し、契約不履行となった場合の契約紛争について、将来重要な訴訟等が提起された場合には、当社グループの経営成績並びに財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(10) M&Aにおけるリスク
当社グループにおいては、グループ全体の事業拡大やグループ事業構成の最適化を図り、シナジーを生み出す可能性が高い案件については、M&A・事業提携を検討して進めております。実施に際しては十分な調査等を行いますが、その後の事業環境や市場動向の大幅な変動や不測の事態により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 資金調達、金利変動、格付けの低下
当社グループの借入金に係る金融機関との一部の契約には、財務制限条項が付されております。財務制限条項が付された借入残高は2025年10月末時点において1,512百万円あります。財務制限条項に抵触した場合、当社グループは期限の利益を失い、借入金の一部又は全額の返済を求められる可能性があります。
また、当社グループは、事業の必要資金の一部を金融機関からの借入及び社債の発行により調達しております。市場金利の上昇や当社格付けの引き下げが顕在化した場合には、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
対応策として、当社グループでは銀行借入に加え社債の発行など資金調達手段の多様化やグループ内資金の効率的運用等による財務体質の改善を推進いたします。また、金融機関との良好な関係構築や、経営戦略の着実な進捗に向けた経営努力も継続して行ってまいります。
当社グループでは、2023年3月期から2024年10月期において、継続して営業損失及び経常損失並びに親会社株主に帰属する当期純損失を計上していたことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在すると認識しておりました。
このような状況を解消すべく、電子・通信用機器事業においては、金融機関からの資金調達の目途をつけて、官公庁関連を含む公共インフラ案件の受注拡大と半導体供給環境の改善による受注済案件の生産拡大により、収益環境が大幅に改善する体制の構築を図ることに、また再生可能エネルギー事業においては、当社が保有する長年にわたる同事業についてのノウハウを活用して、太陽光発電所や小形・中形風力発電所及び系統用蓄電所の開発を拡大させて売電収入の増強を図ることに取り組んでまいりました。
その結果、当連結会計年度において、営業利益278百万円及び経常利益231百万円並びに親会社株主に帰属する当期純利益268百万円を計上したことに加え、今後の事業の一層の拡大を見込める状況にあることから、当連結会計年度末において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象または状況は解消したと判断しております。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。なお、決算期の変更に伴い、前連結会計年度は2024年4月1日から2024年10月31日までの7ヶ月の変則決算となっており、そのため、対前年同期比は記載しておりません。
当連結会計年度の日本経済は、米国の通商政策の影響が一部産業に及んだことで企業業績の改善は足踏みし、業況判断も概ね横ばいで推移しました。国内景気は緩やかな回復基調を維持し、個人消費は雇用・所得環境の改善を背景に持ち直し、設備投資も企業収益や省力化投資への対応を受けて回復しました。雇用情勢は人手不足感が続く中で改善し、賃金も増加しましたが、消費者物価は前年比約3%上昇し、企業物価は横ばいでした。先行きは消費・投資の持ち直しが期待される一方、通商問題や消費者マインドの動向に留意する必要があります。
また、当社の主力である電子・通信機器事業においては、売上高の半分以上を占める官公庁向け製品の対象となる国家予算が増額されています。さらに再生可能エネルギー事業においては、2025年2月に第7次エネルギー基本計画が経済産業省から発表され、2040年に向けて再生可能エネルギーによる発電電力量を、2022年の0.218兆kWhから2040年には0.44~0.60兆kWhに一層高める計画が示されています。
このような経営環境のもと、電子・通信用機器事業につきましては、5G関連市場および官公庁・公共関連市場を中心に拡販を進めるとともに、新規市場や顧客開拓にも注力し、事業領域の拡大を積極的に推進しております。また、「製品の高付加価値化」「事業領域の拡大」「大学・研究機関との共同開発」を継続的に進め、自社開発品の提案強化にも取り組んでおります。
その結果、従来のアナログ高周波無線製品に加え、業務用無線向け光関連製品、高速処理が求められるデジタル信号処理装置、大容量データ伝送に対応するミリ波帯・テラヘルツ帯製品など、成長性の高い分野において引き合いが増加しております。さらに、当社の高周波技術を活かし、半導体製造装置市場への展開も進んでおります。
通信事業者各社は、5G通信の品質向上やネットワーク最適化、カーボンニュートラル実現に向けた設備投資を進めています。その中で、設備重複や過剰投資を避けつつ環境負荷とコストを低減する施策として、インフラシェアリングが本格的に広がっております。当社では、この需要拡大を確実に捉えるため、インフラシェアリング関連機器の販売拡大を重要戦略として位置付けております。ベトナム工場の量産体制と高品質生産を活かし、低コストと高品質を両立した製品供給体制を構築し、市場競争力の強化につなげています。
官公庁・公共関連市場では、国家予算の大幅増加に伴い官公庁向け需要が急拡大しており、当社でも大型プロジェクトの受注が相次いでおります。今後も増加する受注に対応できるよう、必要な人員の確保、設備の増強、及び生産スペースの最適化を計画的に実施し、着実な生産体制の整備に注力しております。これにより、納期と品質を両立した安定的な事業運営を確保し、業績の持続的拡大を目指してまいります。
FA・計測分野においては、半導体信頼性試験装置の需要が増加しており、半導体産業が国策として推進される中、先端プロセスへの投資も今後さらに拡大していくことが見込まれます。当社は通信用半導体に不可欠な高周波技術を強みに、半導体設備市場への展開を進めてまいります。
今後も、積極的な事業領域の拡大と自社開発品の提案強化を通じて、電子・通信用機器事業全体として安定的かつ持続的な事業基盤を確立するとともに、当社グループの収益拡大と企業価値向上に向けた取り組みを継続してまいります。
再生可能エネルギー事業につきましては、金融機関からシンジケートローン方式で調達した資金をもとに開発した小形風力発電所30基が本格的に稼働を開始しているほか、保有している太陽光発電所も順調に売電を行っております。今後も開発基数の増加に向けた取り組みを加速させると共に、保有基数の増加を推し進めることで、売電により安定して収入を確保できる収益基盤の確立を目指してまいります。これに加えて、再生可能エネルギー普及に対する社会の要請により、太陽光発電所、小形風力発電所に対する購入の引き合いが高まっていることも勘案して、お客さまのニーズに基づいた発電所の開発・売却も進めております。
また次世代電力ネットワークの構築に向けて蓄電池やDR(ディマンド・リスポンス)等による調整力の確保、系統・需給運用の高度化を進め、再生可能エネルギーの変動性への柔軟性も確保しつつ、再生可能エネルギーの主力電源化・長期安定電源化を目指すことが、経済産業省の第7次エネルギー基本計画として、2025年2月に閣議決定されています。当社におきましては子会社「株式会社多摩川エナジー」内で、蓄電池を活用した系統用蓄電所事業の調査・検討を進めてまいりましたが、2025年10月に系統用蓄電所を建設することを目的に当該事業用地・発電権利の購入・発注を行うと共に、当社が利用する計画のない系統用蓄電所の事業用地・発電権利の他社への売却も進めております。さらにインドネシア東ヌサ・トゥンガラ州フローレス島の小水力発電所プロジェクトの2026年6月中の完成・連系など、未来へ向けた電源の多様化にも着手し、再生可能エネルギー事業全体として安定した事業基盤の確立を目指しております。当社では従来から進めている太陽光発電所、小形風力発電所の開発を通じて培った発電所開発ノウハウを活用すると共に、収益性・機動性を確保して事業リスクの分散を図ることを目的に、新たな再生可能エネルギー電源の開発に向けて、継続的なCO2の削減に貢献してまいります。
以上の結果、当連結会計年度における受注高は、5,787百万円、売上高は、5,587百万円となりました。損益面については、営業利益278百万円、経常利益231百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等調整額△58百万円の計上などにより268百万円となりました。
電子・通信用機器事業につきましては、需要も安定的に増加し続けており、今後も堅調に推移していくことが予測される移動体通信分野(インフラシェアリング)と官公庁・公共関連市場の販売拡大活動を中核に位置づけ、新規案件の獲得に注力してまいります。また、新たな市場への参入など、積極的な事業領域の拡大を推進していくとともに自社開発品の提案強化により、電子・通信用機器事業全体としての安定した事業基盤を確立するべく、引き続き当社グループの収益拡大に向けた活動を継続してまいります。
再生可能エネルギー事業につきましては、同事業の業容拡大を図るべく、投資活動を積極的に行ってまいります。当社グループは従来以上にCO2削減、地球温暖化への対策にグループ全従業員と共に取り組み、当社を取巻くステークホルダーの皆様にESG経営への積極的な情報開示及びSDGs目標達成に向けて挑戦を進めてまいります。
事業の種類別セグメントの経営成績の状況は、以下のとおりです。
a.電子・通信用機器事業
電子・通信用機器事業については、受注高は5,259百万円となりました。
売上高については、期初計画を超えて、5,029百万円となりました。セグメント利益は574百万円となりました。
また、受注残は5,583百万円であり増加している要因は、世界的な半導体や非鉄金属材料の長納期化により、顧客との契約納期が長期化しているためです。同様に、棚卸資産(部品・材料、仕掛品、及び製品在庫)についても、部品材料の先行手配により増加傾向となっております。
b.再生可能エネルギー事業
再生可能エネルギー事業については、これまで銀行による協調融資、サステナブル融資の資金も活用しながら、太陽光、小形風力発電所の開発を取り組んでまいりましたが、当社が開発・保有している北海道・東北の小形風力発電所や長野県、茨城県、山梨県などの高圧、低圧太陽光発電所は、順調に売電しております。これに加えて、お客さまのニーズに基づいた発電所の開発・売却、当社が利用する計画のない系統用蓄電所の開発権利の売却、並びに今までに売却した発電所の管理・メンテナンス、発電所の建設・修繕に伴う工事請負等により、売上高は558百万円、セグメント利益は74百万円となりました。
財政状態は、次のとおりであります。
(総資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1,433百万円増加し、11,276百万円となりました。
これは主に、売掛金や仕掛品が増加したためであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ647百万円増加し、5,804百万円となりました。
これは主に、賞与引当金や長期借入金が増加したためなどであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の部は、前連結会計年度末に比べ786百万円増加し、5,471百万円となりました。
これは主に、有価証券評価差額や利益剰余金の増加によるものであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、長期借入れによる収入などがあったものの、有形固定資産の取得による支出等により、前連結会計年度末に比べ403百万円減少し、1,332百万円となりました。
営業活動の結果支出した資金は25百万円(前年同期は257百万円の資金獲得)となりました。
これは主に、売上債権の増加によるもの等であります。
投資活動の結果支出した資金は472百万円(前年同期は97百万円の資金支出)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出等があったためであります。
財務活動の結果獲得した資金は76百万円(前年同期は391百万円の資金獲得)となりました。
これは主に、長期借入れによる収入等があったためであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績につきましては、電子・通信用機器事業では、5G関連市場および官公庁・公共分野を中心に営業活動を強化するとともに、新規市場や顧客開拓にも注力し、事業領域の拡大を積極的に進めました。その結果、従来製品に加え成長性の高い製品への引き合いが増加しており、特に官公庁・公共市場においては大幅な需要拡大が見られました。今後の受注増加に対応するため、人員の確保、設備増強、生産スペースの最適化を計画的に実施し、生産体制の安定化に注力しております。これらの取り組みにより、電子・通信用機器事業は事業基盤の拡大と収益性の向上を両立し、当社グループ全体の安定成長を牽引する中核事業として位置付けられております。
再生可能エネルギー事業においては、金融機関とのシンジケートローン方式で開発した小形風力発電所全30基が通期にわたって稼働して売電収入の増強を図れたことに加え、当連結会計年度には太陽光発電所、風力発電所各1基が連系するなど、順調に売電収入の増強につながっております。一方、お客さまのニーズに基づく太陽光発電所の開発・売却、並びに当社で利用しない系統用蓄電所開発用地の売却を進めております。
これらの内容により、当連結会計年度の売上高は5,587百万円、営業利益は278百万円となりました。
セグメントごとの経営成績等の詳細は、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
当社グループでは、セグメント毎に中期経営計画を策定し、収益の最大化を目指しております。既存事業の体制を強化しつつ、新規事業への積極的な参入も視野に入れ、事業推進を行っており、中期経営計画を策定・公表し、計画の達成に向けてセグメント毎に施策を展開しております。今後も中期の経営収益の最大化を目指し、事業基盤の再構築に取り組んでまいります。
電子・通信用機器事業の受注は拡大傾向にあり、安定した事業基盤を確立するべく、引き続き当社グループの事業領域の拡大を推進していくとともに自社開発品の提案強化により収益拡大に向けて取り組んでまいります。
また、再生可能エネルギー事業においては、自社保有の発電所の安定的な売電収入獲得に加え、発電所用地の確保から電力会社への売電までを一貫して管理するビジネスモデルの構築を推進し、再生可能エネルギー事業全体として安定した事業基盤の確立を目指してまいります。
当社グループは、事業活動に係る短期的な運転資金については営業キャッシュ・フローで獲得した資金の他に外部借入により調達しております。一方、設備投資に係る中長期的な資金については、外部借入、リース取引、割賦購入又は新株予約権の発行などにより必要な資金を調達しております。
今後の投資については、電子・通信用機器事業における生産能力の拡充を目的とした新工場の増設、再生可能エネルギー事業における系統用蓄電所、太陽光・風力発電所及び海外における小水力発電所などを設備投資計画等に照らし、資金効率を検討しながら取り組んでまいります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
米国の通商政策の影響が一部産業に及んだことで企業業績の改善は足踏みし、業況判断も概ね横ばいで推移しました。国内景気は緩やかな回復基調を維持し、個人消費は雇用・所得環境の改善を背景に持ち直し、設備投資も企業収益や省力化投資への対応を受けて回復しました。雇用情勢は人手不足感が続く中で改善し、賃金も増加しましたが、消費者物価は前年比約3%上昇し、企業物価は横ばいでした。先行きは消費・投資の持ち直しが期待される一方、通商問題や消費者マインドの動向に留意する必要があることから、先行き経済に不透明感があります。当社グループでは、各事業拠点において、厳重な対策を実施した上で事業活動を継続しており、当社グループの業績への影響は軽微であると見込んでおります。当社グループでは、上述した仮定に基づき、棚卸資産の評価や繰延税金資産の回収可能性判断等の会計上の見積りを行っております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
2024年4月1日前に締結された金銭消費貸借契約については、「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」附則第3条第4項により記載を省略しております。
電子・通信用機器事業は情報通信社会の発展に貢献していくため、高周波無線通信技術をコアとした、要素技術の研究開発を進めております。
研究開発は、今後予測される市場ニーズやマーケット情報に基づいて、モバイル、官公庁、公共、計測・FAの各分野別に設計部門が中心となって行っております。また、グローバル競争に負けない要素技術の開発や技術改良なども積極的に行い毎月開催される開発会議において、技術情報や開発成果を共有して、いち早く市場投入し受注に結びつけるよう活動しております。
現在従事している技術スタッフは58名で、日常業務をおこなう傍ら研究開発業務を行っております。
研究開発の成果としては、5G関連市場設備向けデバイス、マイクロ波帯デバイス、高電力対応デバイス、アナログ光応用製品、バーンイン試験装置、ミリ波帯製品、デジタル解析技術やソフトウェアなどのアクティブ技術を複合化させた高付加価値の製品です。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、