文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、産業防災保安機器メーカーとして、「人々が安心して働ける環境づくり」を永久のテーマとして社会の発展に貢献することを経営理念とし、良き企業市民として、法令遵守と環境保全に努め社会的責任を果たすため、以下の5つの経営方針を掲げております。
・技術の開発と経営の合理性から、適正な利益を追求し、持続的な発展を目指す
・お客様には、高品質の製品と充実したサービスを提供し、安全な環境づくりに貢献する
・株主には、長期的視点に立った企業価値の向上をもって報いる
・取引先とは、安定した取引を目指し、共存共栄を図る
・従業員には、生活の安定と労働環境の向上をもって報いる
(2)目標とする経営指標
事業活動における収益性の向上と同時に、資本効率の向上を図るため、営業利益及び自己資本当期純利益率(ROE)を重視しております。
(3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
当社グループを取り巻く経営環境は、エネルギー価格や原材料価格の高止まりに加え、為替変動の影響や、米国による関税政策が特に米中間の貿易摩擦を増幅させていることから一部の市場で停滞が懸念されており、依然として厳しい経営環境が続くものと思われます。当社の主要顧客である半導体業界では、設備投資再開への前向きな兆しはあるものの、先行きについては当面の間は不透明な状況が続くと見込まれます。
このような状況のもと、当社グループは、『見えない危険を、見える安心に』をテーマに、産業用ガス検知警報機器開発のフロントランナーとして、世界の人々が安心して働ける環境づくりに引き続き貢献してまいります。また、2026年3月期は、「中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)」の最終年度でありますが、グローバルカンパニーへの進化を遂げるべく、国内市場でトップシェアを強固にするとともに、海外市場での理研計器グループのブランド認知度向上を図ってまいります。
中期経営ビジョン
IoTや脱炭素化など持続的な社会とお客様のニーズに対応し、理研計器グループとして新たな技術開発と海外市場の拡大によって、「人」と「技術」の力で持続的成長を実現するグローバルカンパニーへと進歩する。
事業成長戦略
1.国内市場戦略
―国内市場におけるシェア拡大に向けた販売・製品開発の強化―
・近年の需要急増と無理のない生産体制構築のため、人材投資、設備投資により供給体制の再構築
・コスト削減や生産性向上による、価格競争力の強化
2.海外市場戦略
―理研計器グループブランドのグローバル展開の推進・強化―
・海外子会社の人員増員・教育体制を始めとする仕組みの整備
・販売スピードとエリアの拡大に向け、海外向け製品企画から規格認定までのサイクルを早め、先手で市場開拓をする
・製品売り上げと共に、海外メンテナンス体制も強化する
3.新領域戦略(サステナビリティ戦略)
―業界変化に対応した新技術開発による市場の創出―
・市場調査など、需要情報収集力向上のために組織全体としてマーケティング体制の強化に取り組む
・業界全体の脱炭素化、カーボンニュートラルなど、市場要求に基づいた新製品起案力を高める
基盤戦略
1.人材戦略
―グローバル化に向けた、さらなる人的資本経営の推進―
・技術力の底上げを図る
・教育環境や働く環境の整備
・人的資本経営のさらなる推進
2.サプライチェーン戦略
―生産体制とサプライチェーンの再構築―
・BCPの整備・見直しを行い、生産リスクの低減に向けた取り組みに注力
・外注先との持続的関係性構築と生産キャパシティの見直し
3.DX戦略
―データの利活用による攻めと守りのDX―
・ガス検知警報機器に付帯するデータの利活用による、攻めのDXを推進
・保守管理業務のメンテナンス帳票電子化システムの活用やERP、営業支援ツールの導入など、データマネジメントの向上を図り、守りのDXを推進
4.IoT戦略
―モノ売りからサービス提供へ―
・製品から得られるデータによる、予防保全・データ活用
・モノ売りからサービス提供という新しいビジネスモデルによる収益の創出に挑む
5.ガバナンス戦略
―グローバルカンパニーとしてのガバナンス対応の見直し―
・理研計器グループとして海外子会社の統制体制も見直し、グローバルカンパニーとしてガバナンスを強化
・リスク管理、コンプライアンス遵守、ガバナンス強化、ITセキュリティーの向上に努め、企業価値向上を図る
中期経営計画において、当社グループに課せられた課題を通し、当社グループの持続的成長の実現を目指し、未来を切り拓くべく、グループ一丸となって取り組んでまいります。
「理研計器グループはよき企業市民として『人々が安心して働ける環境づくり』の経営理念に基づく事業を通して、持続可能な社会の発展に貢献する」ことで、社会的責任を果たしてまいります。そして従業員一人一人が、企業理念・スローガン・テーマを理解し、それを会社と共有し、いきいきと働き、それが社会の役に立ち、企業としてさらに成長していくことを目指しております。
サステナビリティ活動の方向性を示す「サステナビリティポリシー」を制定し、サステナビリティへの取り組みを具体的に方向づける大きな起点としました。サステナビリティポリシーでは、以下の3つを大きな柱としています。
①産業基盤を支えるサステナビリティ
②開発・生産活動におけるサステナビリティ
③よき企業市民であることのサステナビリティ
すべての従業員が事業活動を通じて取り組み、社会の持続可能性に貢献するサステナビリティ経営に努めてまいります。
(1)ガバナンス
当社では、気候変動を含む環境問題をはじめ、多様性の尊重や人的資本等の社会課題など、サステナビリティ課題への対応を経営上の重要課題と認識しております。サステナビリティ課題に関するリスク・機会の評価と管理、指標及び目標の設定、施策の実施について、サステナビリティ(SDGs活動)を推進する部門にて議論します。その結果は、経営の意思決定機関である取締役会へ適宜報告されます。
(2)リスク管理
当社では、サステナビリティ課題に関連するリスクについて、サステナビリティ(SDGs活動)を推進する部門がリスクの特定・評価を実施し、取締役会に対して報告しています。
(3)気候変動に対する取り組み
―気候関連財務情報タスクフォース(TCFD)への対応―
①ガバナンス
当社では、気候変動への対応を経営上の重要課題と認識しております。気候変動に関するリスク・機会の評価と管理、KPIの設定、及び施策の実施について、サステナビリティ(SDGs活動)を推進する部門にて議論します。その結果は、経営の意思決定機関である取締役会へ適宜報告されます。
②戦略
(a)気候変動に関するシナリオの策定
当社では、TCFD提言に基づき、気候変動関連のリスク、機会が事業へ与える影響の把握を目的に、外部コンサルタントの協力のもとシナリオ分析を行いました。
シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)等の科学的根拠等に基づき、1.5℃シナリオと4℃シナリオ、それぞれの気温上昇時の世界観を定義し、2020年度より将来までの間に事業に及ぼす可能性がある気候関連のリスクと機会の重要性を定性評価しました。
<シナリオ群の定義>
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1.5℃の世界観 |
4℃の世界観 |
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気候変動に関する積極的な国内政策・法規制が進み、炭素税の導入や再生可能エネルギーの積極的な活用が想定される。その結果、再エネ・省エネ設備の導入対応コストが増加することが予想される。 一方でEVや再生可能エネルギーの普及に伴う半導体需要の更なる拡大による、半導体業界向けの製品の売上拡大も想定される。 |
気候変動に関する国内政策・法規制が進まず、異常気象の激化が進むことが予想される。その結果、拠点の被災や物流網の寸断が起こり、売上機会の損失や復旧費用が発生することが想定される。 |
(b)気候変動関連リスク・機会の一覧
当社における気候変動関連リスクと機会の一覧については、以下のとおりです。
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区分 |
事業インパクト |
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移行 |
政策・法規制 |
炭素税導入 |
リスク 炭素税の導入により、燃料調達コストへの課税や電力料金の高騰、原材料への価格転嫁が起こり、操業コストが増加する。 |
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温室効果ガス排出量規制 |
リスク 温室効果ガス排出量の規制により、省エネ設備の導入や再エネへの転換等の対応コストが増加する。 |
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市場 |
エネルギーミックスの変化 |
リスク 電源構成に占める再生可能エネルギーの比率が高まることで、電力価格が(平均的に)上昇し、操業コストが増加する。 機会 電源構成の占める再生可能エネルギーの比率が高まり、再生可能エネルギーの調達が容易になる。 |
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原材料価格の変化 |
リスク 電化が進むことで、銅や白金についての需要が増加し、需給のバランスの変動による調達コストが増加する。 |
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技術 |
再エネ・省エネ技術の普及 |
機会 EVや再エネの普及により、半導体需要が高まり、半導体産業向けの製品需要が拡大する。 機会 化石燃料に代わりリチウムイオン電池が一般化し、EV等への利活用によりリチウムイオン電池の需要が高まり、リチウムイオン電池製造市場向けの製品需要が拡大する。 |
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次世代技術の発展 |
機会 AI・IoTを活用した次世代インフラの普及によるスマートシティ化の進展により、半導体の需要が高まり、半導体産業向けの製品需要が拡大する。 |
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評判 |
投資家の評判変化 |
機会 脱炭素化への移行を積極的に行うことで、投資家からの評価が高まる。 |
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物理 |
緊急物理 |
異常気象の激甚化 |
リスク 台風等の異常気象の激甚化に伴い、生産拠点の被災や物流網の寸断等のリスクが増加する。 |
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慢性物理 |
海面の上昇 |
リスク 海面上昇が発生した場合、沿岸部にある拠点を移転する必要が生じる。 |
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この結果、リスクとしては炭素税の導入による操業コストの増加、銅・白金の需要拡大に伴う調達コストの増加、異常気象の激甚化による生産拠点の被災及び物流リスクなどが懸念されます。
また、機会としては、再生可能エネルギー調達の容易化やEV等の普及に伴う当社の主要顧客である半導体業界の活況が見込まれます。
③リスク管理
当社では、気候変動に関連するリスクについて、サステナビリティ(SDGs活動)を推進する部門がリスクの特定・評価を実施し、取締役会にて報告しています。
④指標及び目標
(a)気候関連リスク・機会の管理に用いる指標と目標
当社は、気候関連のリスク・機会を管理するため、以下のとおり指標と目標を定め、カーボンニュートラルの実現を目指してまいります。
<気候関連リスク・機会の管理に用いる指標と目標>
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指標 |
目標年度 |
目標内容 |
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温室効果ガス排出量 (Scope1・2) |
2030年 |
温室効果ガス排出量の90%削減(2019年度比) |
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2050年 |
カーボンニュートラル |
(b/c)温室効果ガス排出量(Scope 1・2)
当社における温室効果ガス排出量実績は以下のとおりです。
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温室効果ガス排出量(t-CO2) |
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2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
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Scope 1 |
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Scope 2 |
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Scope 1・2 合計 |
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算定範囲:当社単体 指標及び目標は、当社グループにおける記載が困難であることから、当社グループにおいて主要な事業を営む提出会社単体の記載としております。 電力の排出係数:環境省・経済産業省「電気事業者別排出係数」の各年度分 電力以外の排出係数:環境省・経済産業省「温室効果ガス算定・報告マニュアル」を参照 |
(4)人的資本に関する取り組み
①戦略
(a)採用及び人材の育成について
採用では、性別や国籍、価値観などにとらわれることなく、多様な経験・技能・キャリアを有する人材を積極的に採用しております。
人材の育成では、階層別研修や教育訓練、部門ごとのスキルアップ研修など目的別に成長機会を提供しております。また、自立的な成長支援として、人事制度によるキャリアパスの提示や語学や多岐に渡る資格取得奨励金制度などを導入しております。
キャリアプランと階層別研修については、当社ウェブサイトの採用ページに掲載されておりますのでご覧ください。
(b)社内環境整備について
従業員個々のバックグラウンドやライフスタイルに応じた多様な働き方(リモートワーク、短時間勤務、時間単位年休など)を整備し、研修や教育訓練、社内イントラを通じて多様性の受容に関する啓蒙や諸制度の情報発信を行うことで、従業員同士の相互理解を深め、多様な人材が働きやすい環境や組織風土の醸成に取り組んでおります。
②指標及び目標
―中核人材の登用等における多様性の確保に関する指標と目標―
(a)
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2024年度実績 |
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理研計器株式会社 |
|
|
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株式会社理研計器奈良製作所 |
0.0% |
5.0% |
積極的な採用や中核人材への登用を推進し、2030年までに中核人材に占める女性割合を上記のとおり目指しております。
(b)外国人の中核人材への登用等について
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2024年度実績 |
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従業員比率 |
管理職比率 |
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理研計器株式会社 |
1.3% |
0.0% |
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株式会社理研計器奈良製作所 |
1.3% |
0.0% |
海外市場シェア拡大の事業戦略の下、適宜、外国人の採用を行っております。
現在は、外国人従業員の比率が低く、中核人材への登用が進んでおりませんが、事業戦略に基づき、外国人採用を強化し、外国人従業員の比率を高めて中核人材への登用を推進してまいります。
(c)
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2024年度実績 |
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理研計器株式会社 |
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株式会社理研計器奈良製作所 |
35.7% |
即戦力の専門人材や経験者を積極的に採用しており、各部門や海外子会社の中核人材への登用を行っております。なお、キャリア採用者は、現状一定の採用数を確保できており、中核人材への登用等も一定数いることから、特段の目標は設定しておりません。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)法的規制について
当社グループが取り扱うガス検知警報機器類の設置義務及び保守点検については、主に以下の法的規制があります。新たな法規制や改廃は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
上記の法的規制に関するリスクが顕在化する可能性を推測することは困難ですが、当社は業界内外からの情報収集に努め、あらかじめ備えることにより当社グループの業績への影響を抑えてまいります。
(2)製品の欠陥について
当社グループは、品質管理の国際規格に基づく製品製造並びに内部基準による保守・点検業務を行っておりますが、製品の欠陥や製品設置時の調整ミス等に起因する誤作動により、ユーザーに物的・人的損害を与える可能性があります。
また、製造物及び完成作業リスクを対象とした総合賠償責任保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。
製造物責任賠償につながるような重大な製品の欠陥や調整作業ミスは、多額の費用や当社グループの評価に重大な影響を与え、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)研究開発について
当社グループは、電気・物理・化学など幅広い技術力をベースに、ガスセンサーの研究開発から、最先端技術を駆使した新製品の開発を最も重要な経営課題としております。
製品の開発には、ユーザーニーズに沿った使用目的・使用場所に応じた新技術開発を行っておりますが、当社グループの経営成績に寄与する保証はありません。
(4)設備投資動向の変動について
当社グループが取り扱うガス検知警報機器の需要は、主に半導体・石油化学・船舶業界等の民間設備投資、電力・ガスを含む公共設備投資の動向に左右されます。
よって、経済環境の変化による設備投資の変動は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)海外事業展開について
当社グループでは、日本における事業活動に加え、製品の輸出をはじめとする事業活動を海外にも展開しております。これらグローバルな事業展開に関するリスクとして、事業を展開している国及び地域における、政治経済情勢の悪化、輸出入・外資の規制、予期せぬ法令の改変、治安の悪化、国家間の経済制裁、テロ・戦争・感染症の発生その他の要因による社会的混乱等が考えられます。当社グループとしては、当該政治経済情勢や、各国・地域の規制動向に注視し、状況に応じた対応がとれるよう努めていますが、これらの事象の発生により、海外における当社グループの事業活動に支障をきたし、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(6)資材等の調達について
当社グループの生産活動において調達先が限られる特殊な材料、資材等を一部使用しており、代替材料の検討並びに該当材料・資材等の複数購買の推進に努めております。しかしながら、これらの供給の逼迫や遅延、価格変動等が生じた場合には、購入費用の増加、生産の遅延等により当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(7)情報セキュリティに関するリスクについて
複雑化・高度化していく情報システムは、ハッキング、コンピューターウイルス等の外的要因や人為的ミスにより情報システムの不具合、故障、情報漏洩につながる危険性があります。当社グループにおいても同様の理由により、業務が一時的に中断し、経営成績に影響を受ける危険性があります。これらに対し当社グループでは、外部からの不正アクセスを監視・防止する措置、情報漏洩防止策や社員教育を講じており、その対策強化についても見直しを図っております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の売上高は、主要顧客である国内及び東アジア地域の半導体工場の在庫調整、中国の経済不況の影響を受けた一方で、定置型ガス検知警報器の国内の更新案件が堅調に推移したこと、可搬型ガス検知警報器の主力機種であるポータブルガスモニター「GX-3Rシリーズ」が国内・海外の工場、船舶、ガス業界向けを中心に幅広く売上を伸ばしましたこと等から、490億3千8百万円(前連結会計年度比7.6%増)となりました。
営業利益は、主として販売費及び一般管理費に計上した給料及び手当が4億5千3百万円増加及び支払手数料が2億6千5百万円増加したこと等により、106億4千2百万円(前連結会計年度比7.3%減)となりました。
営業外損益は、主として前連結会計年度に3億5千5百万円計上した為替差益が為替差損2億4千9百万円に転じたことにより、前連結会計年度7億9千6百万円の利益(純額)から当連結会計年度1億8千8百万円の利益(純額)となり、経常利益は108億3千万円(前連結会計年度比11.7%減)となりました。
特別損益は、主として投資有価証券売却益を4億9千2百万円計上したことにより、前連結会計年度2千6百万円の利益(純額)から当連結会計年度5億1千7百万円の利益(純額)となりました。この結果、税金等調整前当期純利益は113億4千8百万円(前連結会計年度比7.7%減)となりました。
「法人税、住民税及び事業税」と「法人税等調整額」を合わせた税金費用は、前連結会計年度の39億1千9百万円から当連結会計年度は33億4千1百万円と、5億7千8百万円減少しました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は80億7百万円(前連結会計年度比4.4%減)となりました。
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末と比較して41億7千1百万円増加し、927億6千3百万円(前連結会計年度末比4.7%増)となりました。
流動資産につきましては、現金及び預金が16億7千8百万円増加、受取手形、売掛金及び契約資産が10億5千1百万円増加しております。
固定資産につきましては、ソフトウエア仮勘定が11億2千7百万円増加、土地が6億3千9百万円増加した一方、投資有価証券が6億7千6百万円減少しております。
負債につきましては、流動負債その他に含まれる未払金が8億5千4百万円増加、未払法人税等が3億8千9百万円増加、流動負債その他に含まれる未払消費税等が3億7百万円増加した一方、支払手形及び買掛金が20億3千5百万円減少したこと等により、前連結会計年度末と比較して8億7千8百万円減少し、152億5千9百万円(前連結会計年度末比5.4%減)となりました。
純資産につきましては、前連結会計年度末と比較して50億5千万円増加し、775億4百万円(前連結会計年度末比7.0%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ、18億6千5百万円増加し、190億3千3百万円(前連結会計年度末比10.9%増)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益113億4千8百万円、減価償却費18億5千9百万円計上した一方で、仕入債務の減少29億4千5百万円、法人税等の支払額32億4千1百万円、売上債権の増加9億6千1百万円があったこと等により、前連結会計年度と比べ収入が36億8千1百万円(140.9%)増加し、62億9千5百万円となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入による支出22億3千4百万円、有価証券の取得による支出13億9千2百万円、無形固定資産の取得による支出10億1千4百万円、有形固定資産の取得による支出8億3千2百万円があった一方で、定期預金の払戻による収入20億2千5百万円、有価証券の償還による収入18億1千5百万円、投資有価証券の売却による収入7億2百万円があったこと等により、前連結会計年度と比べ支出が18億1千3百万円(73.6%)減少し、△6億5千万円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額18億6千万円、自己株式の取得による支出17億2百万円があったこと等により、前連結会計年度と比べ支出が17億4百万円(69.1%)増加し、△41億6千8百万円となりました。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
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2021年3月期 |
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
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自己資本比率(%) |
79.3 |
78.4 |
79.5 |
81.8 |
83.5 |
|
時価ベースの自己資本比率 (%) |
99.6 |
159.3 |
165.8 |
201.1 |
127.5 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
0.9 |
0.4 |
0.6 |
1.2 |
0.5 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
120.6 |
195.2 |
126.4 |
60.8 |
120.0 |
自己資本比率 :自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により算出しております。
(注3)営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの事業は、各種産業用測定機器の製造・販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の状況につきましては、機種別の情報を記載しております。
a.生産実績
|
機種別 |
生産高(千円) |
前連結会計年度比(%) |
|
定置型ガス検知警報機器 |
18,055,692 |
101.6 |
|
可搬型ガス検知警報機器 |
10,796,500 |
128.7 |
|
その他測定機器 |
1,285,625 |
118.7 |
|
合計 |
30,137,818 |
110.6 |
(注)金額の表示は、販売価格換算で表示しております。
b.受注実績
|
機種別 |
受注高 (千円) |
前連結会計年度比 (%) |
受注残高 (千円) |
前連結会計年度比 (%) |
|
定置型ガス検知警報機器 |
32,425,997 |
117.6 |
8,019,731 |
118.3 |
|
可搬型ガス検知警報機器 |
15,829,540 |
94.7 |
4,610,346 |
87.2 |
|
その他測定機器 |
1,354,627 |
105.9 |
545,748 |
101.2 |
|
合計 |
49,610,164 |
108.9 |
13,175,826 |
104.5 |
c.販売実績
|
機種別 |
販売高(千円) |
前連結会計年度比(%) |
|
定置型ガス検知警報機器 |
31,185,422 |
103.8 |
|
可搬型ガス検知警報機器 |
16,505,625 |
115.1 |
|
その他測定機器 |
1,347,900 |
114.3 |
|
合計 |
49,038,948 |
107.6 |
(注)総販売実績に対し販売実績が10%以上に該当する販売先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における我が国経済は、コロナ禍の影響から脱却し、個人消費や企業の設備投資が持ち直し、景気は緩やかな回復傾向が継続しました。世界経済は、欧米の高い金利水準の継続や中国経済の減速による下振れリスクはあるものの、持ち直しの動きがみられました。一方で、米国の政策動向、米中の対立による半導体輸出管理規制強化、ウクライナ情勢や中東情勢などの地政学リスクには注視が必要な状況で、引き続き先行き不透明な経済情勢が続いております。
当社グループを取り巻く経営環境としては、主要顧客である半導体業界の在庫調整局面からの回復はまだらに推移していますが、生成AI向け半導体の需要急増に向けた先端半導体投資等中長期的には成長が見込まれております。
このような情勢のなか、当社グループは「中期経営計画 2024年3月期~2026年3月期」の2年目において「変化への対応・海外市場の強化」を方針に掲げ、人と技術の力による、マーケティング体制の強化と新領域の開拓とともに、脱炭素・カーボンニュートラルやIoTに対応する新技術の開発への取り組みを進めてまいりました。
顧客の納期要求や製品に求められる認証取得に適確に応えるべく、品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)の維持向上に取り組むとともに、中長期的な視点に立って海外半導体業界で主流の多点テープ式ガス検知警報機器の開発や、営業部門の組織変更や認証管理部門の新設を行い競争力の強化に努めております。さらに海外市場シェアの拡大を図るため、海外子会社へ当社人材を積極的に派遣するなど、海外子会社の体制の充実を進めました。
また、中長期的な企業価値向上の観点から、サステナビリティを巡る課題にも積極的に取り組み、SDGs、脱炭素化を意識した開発・生産・販売・アフターメンテナンスサービス活動に努めてまいりました。
これらの諸施策の結果、当連結会計年度の売上高は490億3千8百万円(前連結会計年度比7.6%増)、営業利益は106億4千2百万円(前連結会計年度比7.3%減)、経常利益は108億3千万円(前連結会計年度比11.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は80億7百万円(前連結会計年度比4.4%減)となりました。
当社グループの事業は、各種産業用測定機器の製造・販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容に代えて、以下に機種別の売上の概況を記載いたします。
定置型ガス検知警報機器
定置型ガス検知警報器は、主要顧客である国内及び東アジア地域の半導体工場の在庫調整、中国の経済不況の影響を受けたものの、国内の更新案件等が堅調に推移したことから、売上は増加しました。
この他、ガス業界、船舶業界向けの売上が堅調に推移しました。
アフターメンテナンスサービスも好調に推移したことから、売上高は311億8千5百万円(前連結会計年度比3.8%増)となりました。
可搬型ガス検知警報機器
可搬型ガス検知警報機器は、主力機種であるポータブルガスモニター「GX-3Rシリーズ」が、国内・海外の工場、船舶、ガス事業者向けを中心に幅広く売上を伸ばしました。
アフターメンテナンスサービスも堅調に推移したことから、売上高は165億5百万円(前連結会計年度比15.1%増)となりました。
その他測定機器
その他測定機器の売上高は、13億4千7百万円(前連結会計年度比14.3%増)となりました。
幅広い業界並びに学術分野におけるこれまでの活用実績を、脱炭素社会実現並びに地球温暖化防止に対するソリューション提供に展開し、引き続き市場開拓に取り組みます。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、設備投資、法人税等の支払い、借入金の返済、配当金の支払い等であり、財源は主として自己資金(営業活動によるキャッシュ・フロー)または金融機関からの借入によっております。財務政策といたしましては、常に最適な財務比率と資金効率をバランスよく維持し、財務体質のより一層の健全化を図ることとしております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(a)繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。
(b)固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
該当事項はありません。
当社グループは、創立以来「人々が安心して働ける環境づくり」を永久のテーマとし、電気・物理・化学など幅広い技術力をベースに、センサの研究開発から、最先端技術を駆使した新製品の開発を最も重要な経営課題としております。
製品の開発では、ユーザーニーズにそった使用目的・使用場所に応じた新技術開発を行っており、世界で最も信頼されるトップブランドとしての地位を維持し続けるように、積極的な研究開発活動を行っております。
(1)研究開発目的
・ガスセンサの高機能化(高感度化・対象ガス選択性向上・インテリジェント化)の研究開発
・産業災害(ガス爆発・ガス中毒・酸欠)を防止する製品・システムの開発
・環境汚染・公害を防止する製品・システムの開発
・各種センサを応用した新市場向けの製品開発
・新技術・各種ソフトを取り入れた新分野向けの製品開発
(2)主要課題
・高信頼性センサの確立
・製品の小型化・多機能化の追求、操作性・メンテナンス性の向上
・新技術・新ソフト・各種通信技術の導入
(3)研究開発体制
当社グループの研究開発は、当社の技術開発本部が担い研究開発に係わるスタッフは総従業員数の15.1%に当たり、当連結会計年度における研究開発費は、
基礎研究については、理化学研究所をはじめ大学等の研究機関との交流を積極的に行い、基礎技術の向上と先端技術の導入を図っております。
なお、ガスセンサ及びその他のセンサの研究開発は当社研究一部/二部が担当し、製品・部品の研究開発は当社技術一部/二部が担当し、システムの研究開発は当社カスタムエンジニアリング部が担当し、新製品の開発についてはプロジェクト体制により行っております。
(4)研究開発成果
当連結会計年度における機種別の主な研究成果は、次のとおりであります。
① ポータブルガス検知警報機器
・ポータブルマルチガスモニターGX-6000及びガス会社向けGX-2012GTの後継機であるGX-6100を開発しました。デザイン性はGX-6000を踏襲し、鉛を使用しない酸素センサ、ENパフォーマンスに適合するセンサを使用しました。従来のGX-6000と比較し、電池容量・連続使用時間は2倍となり、Bluetooth®を搭載することでスマートフォンでの管理もできるようになりました。
② 定置型ガス検知警報機器
・半導体工場向けの最大80点のサンプリングポイントが測定できるカセットテープ式の検知器FPM-80の後継機種であるFPM-80Aを開発しました。主な改良点としては15%の小型化、20%の軽量化、ポンプと電源の冗長化に加え、PLCの冗長化、検知用LEDを2倍の長寿命化、センサ部の光学部品の故障検知機能追加を実現しました。
③ ガスセンサ
・ポータブル型ガス検知器GX-9000の拡販を図るため、接触燃焼式センサ(NCF-6322P,NCF-6322P M)、赤外式センサ(IRF-4341,IRF-4342,IRF-4345)、熱伝導式センサ(TEF-7520P)、酸素センサ(ESR-X13P)のEN認証およびMED認証を取得しました。
・代替エネルギー市場に向けてガス検知部SD-3の拡販を図るため、接触燃焼式センサ(NCF-6320 水素)のFM認証、電気化学式センサ(ESF-B22 アンモニア)のNK鑑定書を取得しました。
④ その他
・都市ガス・LPG兼用、半導体材料ガス用のガスリーク検知器SP-230の定期点検や使用前点検を自動で行う自動ガス調整器SDM-230を開発しました。
点検結果には点検保証が付属するため、安心してガスリーク検知器を使用することができます。さらに、付属のPCソフトで検知器の点検履歴の確認や、機器管理表、点検成績表の印刷が可能な機能も追加しました。
・RTGMS(リアルタイムガスモニタリングシステム)において、セミオーダーシステムで代替エネルギー関連ガス(水素、CH3OH、NH3等)のガス組成分析システムを8件実現しました。
(注) Bluetooth®はBluetooth SIG, Inc.の登録商標であり、理研計器株式会社はライセンスに基づき使用しています。