文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。なお、業績の見通し等の将来に関する記述は、当社が現時点で入手している情報や合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により、大きく異なる可能性があります。
「田岡化学は、化学技術を基盤として時代が求める新たな価値を創造し、生み出された化学製品を社会に供給することで、快適で豊かな暮らしの実現と社会の持続的な発展に貢献します。」
2024年度は、地政学的リスクの継続や金融資本市場の変動等、経済環境は不透明な状況が続いていましたが、当社を取り巻く事業環境を見ると、世界的なスマートフォン市場の回復に伴い関連製品の需要が戻りつつあるなど、徐々にではありますが改善の動きが見られます。こうした中、当社は従来から①既存事業の収益改善、財務体質の改善、②中期経営計画で掲げる事業戦略の遂行と早期収益化、③中期経営計画のアクションプランの一つである新規受託品の早期事業化の実現、④研究開発および新規事業の探索強化に注力することで、収益の早期回復を図るとともに、中期的な成長の実現に向けた取り組みを推進してまいりました。2024年度の業績は、原料価格高騰に対応した価格施策の進展、原料調達における原価低減努力等の業績改善諸施策のほか、懸案であったスマートフォン関連製品の顧客在庫調整が進み、年度後半から出荷数量が増加に転じたことにより、中期経営計画の目標達成には至らなかったものの、前年度と比べ、営業利益、経常利益、当期純利益の各利益段階で増益となりました。
当社は、2025年度より3か年の新中期経営計画「TCG as one2027」をスタートしています。足元の事業環境は回復途上にはあるものの、引き続き既存事業の一層の強化や原燃料価格の変化に応じた適切な価格施策の推進、各種合理化によるコスト削減、受託事業の強化等に取り組み、更なる収益の回復に努めてまいります。また、当社の将来の成長の源泉となる研究開発・新規事業開発に加え、さらなる生産性向上を目指したDXの推進にも積極的な投資を進めることで、企業として競争力の向上を目指してまいります。
中期経営計画については当社のホームページ(https://www.taoka-chem.co.jp/ir/note/2025_0512d.pdf)にも詳しく記載していますのでご参照ください。
業績目標についてはROIC、営業利益率ともに目標未達となりましたが、2022年度を底に改善してまいりました。
投融資計画(着工基準)は、3か年で100億円を目標にしていましたが、3か年累計で36億円となりました。
研究開発費については、10億円/年としていましたが、一部経費の執行減等などにより8億円程度となりました。
新製品開発目標(新製品上市後5年間の売上高)は年間70億円を目標にしていましたが2023年度および2024年度は未達となりました。
海外事業規模についても年間70億円を目標にしていましたが、未達となりました。

2025年度を初年度とした新中期経営計画の中長期の事業目標は、2030年代初頭において、売上高500億円の達成、営業利益40億円の達成、ROIC10%以上の継続としています。
基本方針として、これまで蓄積してきた有機合成技術と生産技術をベースに継続的に新製品開発を行い、事業規模の拡大を図ります。また既存製品の収益構造の底上げを追求し、全ての事業においてROIC・営業利益率の改善を目指し、企業価値を持続的に向上させます。

”TCG as one 2027”(TCGはTaoka Chemical Group の略)
「田岡化学グループ」が一丸となって中長期ビジョンの実現に向けて中期経営計画を推進していきます。
経営指標は、売上高目標を400億円、ROIC10%以上、定常投資として3か年累計で100億円、さらに戦略投資として60億円を計上し、新製品売上高率は20%を目標とします。
これらのうちROICと戦略投資を経営課題としています。
・ROIC
既存事業の深耕、新規開発品の早期上市、新規事業の開拓、海外事業の拡大等、全事業部門での収益向上に取組みます。
既存プラントの縮小・撤退を含めた再構築とともに、効率化を追求して生産数量の最大化を図る一方で、成長投資としてマルチプラントの新設を計画します。

コンプライアンスの徹底と安全・安定操業継続を最優先したうえで、以下の基本戦略を設定します。
・新規開発品目の導入と低採算品目の損益改善対策の実行による総合的な収益力の向上の達成
・新製品の早期導入に向けたプラント再編計画
・将来の人員不足に備えた工場自動化の推進
・生産終了工場跡地の活用
・新製品売上高率20%
・効率的な研究開発体制の構築
・持続的成長の為の研究開発における総合力の強化
・マテリアルズインフォマティクスの導入による研究開発の効率化、高速化
・設備、保全管理への活用
・原料購買関連のビッグデータ活用
・働きやすい職場風土の醸成
・自ら学び自ら成長する社員のキャリアを支援
・多様な価値観を認め合い創造性を発揮
・健康経営の推進
・生分解性・バイオマス可塑剤の開発
・プラスチックリサイクル活用研究(光学樹脂レンズ廃材の再利用等)
・高機能絶縁材料の開発(BEV,HEV,PHEV等のモーター用)

これらの基本戦略に基づいた新中期経営計画の設備投資は、維持・更新投資として60億円、DX投資で5億円、増強合理化投資で35億円と合わせて100億円を予定しており、さらに新製品対応の生産プラント新設や既存プラントの再構築費用として60億円を加えた160億円を3か年の設備投資計画としています。

この中期経営計画3か年において産出される営業キャッシュフローは100億円とみており、これに加えDEレシオ0.4倍の範囲内において資金調達を行い、設備投資の160億円ならびに株主還元を30%程度とする3か年合計約15億円の配当に充当します。

当社は従来より「安定的な配当を行う」ということを配当政策としていましたが、今後はより株主還元を明確にするため、本中期経営計画では、「配当性向30%程度を維持する」という方針を掲げています。

2025年度の業績予想については、売上高は精密化学品事業の増収を中心に前期から60億円増収の360億円としています。利益面では、播磨新多目的工場の減価償却費の増加や、ベースアップなどによる労務費増加はあるものの、販売数量増加による利益の増加により、営業利益は6億13百万円増益の25億円、経常利益は5億36百万円増益の25億円、当期純利益は2億22百万円増益の17億円を予想しています。
配当予想は、配当性向30%程度の維持という方針に則り、中間配当18円、期末配当18円として1株当たり年間配当は36円としています。

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(基本的な考え方)
当社グループは、当社自身がサステナブルな企業であり続けること、良き企業市民として社会のサステナブルな発展に貢献することにより社会的責任を果たすことを、当社経営の重要な目標と位置づけています。こうした考えにもとづき、サステナビリティに関する諸課題に取り組んでいます。
当社グループは、中長期的な企業価値向上の観点から、サステナビリティに関する取り組みを全社的に検討・推進する組織として、「サステナビリティ委員会」を設けています。本委員会は、当社のサステナビリティに関わる施策を計画・推進し、当該計画と推進状況を取締役会に適宜報告し、その指導・監督を受ける体制としています。(注1、2)
このような体制のもと、当社の中長期的なサステナビリティに関する重要な課題を検討しました。重要な課題のうち、気候変動問題への対応と、人的資本への投資に関しては、以下に記載の通りです。これら以外の重要な課題であるコンプライアンス、レスポンシブルケア、リスククライシスマネジメント、内部統制、コーポレートガバナンス等については、当有価証券報告書および統合報告書等において開示していますのでご参照ください。
(注) 1.当社のサステナビリティに関する体制は、当有価証券報告書「コーポレートガバナンスの状況等」において、体制図を開示していますのでご参照ください。
2.統合報告書2024年度版は、https://www.taoka-chem.co.jp/sustainability/library.htmlに掲載しています。
当社は、親会社の住友化学株式会社が推進する気候変動対応への取り組み方針に則り、自社のGHG排出削減を目的として、SBT推進委員会を設置し、2030年度を目標設定年度とする取り組みを推進しています。具体的なGHG排出削減の取り組みとして、①ボイラー、変電設備、ポンプ、熱交換器等エネルギー消費の大きい設備の高効率機器への更新、②製品の製法・設備の改良による生産効率向上によるエネルギー効率化、③太陽光発電の導入、④全社の照明のLED化、エアコン等の更新によるエネルギー高効率機器への変換、⑤再生可能エネルギーを含むエネルギー源の見直し、等があります。中長期的な取り組みとして全社的に実行し、適宜進捗状況を確認し、必要に応じて取り組み方法を見直す等により、着実に目標を達成していきたいと考えています。
当社グループは、GHG排出量(Scope1+2)に関して、2030年度に2017年度比で15%削減することを目標と掲げています。また、エチレン換算製品生産量当たりの原油換算エネルギー原単位、及びCO2発生量原単位を1%/年の比率で削減します。なお、2023年度実績は、基準年の2.26万トンから1.60万トンへGHG排出量削減となりましたが、生産量低下が主要因です。2024年度は生産量増加に伴いGHG排出量も増加の見込みですが、まだ最大稼働に至らず目標値を下回る見込みです。なお、2024年度見込みから国の制度改定に伴い基礎排出係数を用いて算出しています。引き続きGHG排出量削減の諸取り組みを進め、2030年の目標達成を目指してまいります。

当社グループでは、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難です。このため、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しています。
(戦略)
ビジネス環境の変化のスピードが加速し、事業構造が高度化、複雑化していくなかで当社の競争力と持続的な成長の源泉となる「人材」の重要性はかつてなく高まっており、当社では多様な人材を確保し、一人ひとりが働きがいを感じながら勤務できる制度や環境を整え、持てる能力・資質を最大限に引き出して育成していくことを最重要の事業戦略のひとつと位置付けています。
この基本戦略のもと、当社においては社員が健康であることをベースとして、働きやすい職場風土の醸成、自ら学び自ら成長する社員のキャリアを支援、多様な価値観を認め合い創造性を発揮することで、当社の成長がひいては社会の発展に貢献していくこととしています。
働きやすい職場とは、上司と部下、同僚との人間関係が良好であるとともに、社員一人ひとりの業務量が適正(生産性が高く仕事が進められる)であることによって、職場の成果が最大化し、社員と会社双方に良い効果をもたらすものと考えています。そのためにも会社は社員の声にしっかりと耳を傾けて働きやすい職場風土を作っていくとともに、他部署との交流によって会社全体に活気を生み出し、新たな価値の創造へとつなげていきたいと思います。
そのための施策として「人事諸制度の適切な運用」や「人権尊重」、「コミュニケーションの活性化」、「良好な労使関係の維持・発展」等について、具体的な取組みを展開しています。
人材は最重要の経営資源であり、高い意欲と能力を持つ人材を確保することは事業運営の礎です。ビジネス環境がより複雑かつ高度なものとなるなか、経営戦略の達成に必要な人材ポートフォリオを策定し、採用すべき人材の質と量を毎年全社的に洗い出しています。ここで把握したギャップに基づき採用と育成を計画的に行っています。
こうしたなか当社では、社員が自らの人生観・仕事観を当社の中で実現していくことで、エンプロイアビリティの高い社員からも“選ばれる会社”になっていこうと考えています。そのために社員一人ひとりと会社がともに企業価値を高めていくことを目標とした研修・育成施策の充実により、自身のキャリアを自ら描き、経験学習サイクルを回していくことができる「自立・自律」した社員を目指すべき姿として人材育成を進めています。

会社が持続的に成長するためには、常に新しい価値を創造し、世の中から必要とされる存在でなくてはなりません。その担い手はもちろん社員一人ひとりであり、社員の成長なくして組織の成長はありません。
当社がこれからも継続的に価値を創出するには、多様な人材が価値観を共有し、切磋琢磨しながら成長していくことが不可欠です。当社では、社員が主体的に事業活動に参画し、プロの仕事人として自律的にキャリアを実現できるようダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを推進するとともに、多様な「個」を活かした組織づくりを通じて、社員個人と会社が共に成長することで、豊かな生活の実現を目指します。そのほか、グローバル経営の一層の推進を図るうえで必要な能力・資質をもった人材については、国籍を問わず採用し登用することを基本方針としており、2025年5月時点で日本国内で勤務する外国出身者は6名(うち管理社員4名)となっておりますとともに、退職した社員の再雇用や系列転換制度、有期雇用者の正社員登用や障がい者雇用の推進等働きやすい職場づくりなどを進めています。
また当社では、仕事と、育児や介護、趣味、学習、休養、地域活動といった仕事以外の生活との調和を取るだけでなく、その両方を充実させることで仕事以外の生活から仕事への波及効果も期待し、「安心して働き続けられる休暇・休業制度」や「柔軟な働き方を実現するコアタイムのないフレックスタイム制度、短時間勤務制度、在宅勤務制度」、「副業」などさまざまな取り組みを行っています。
当社では個人の成長や人生観・仕事観の実現には、土台として健康があると考えております。当社が考える‘健康’とは、単に病気でない、ということだけではなく、心身の健康を基盤として、働きがい・生きがいを持って日々の仕事に取り組むことができてこそ‘真の健康’であると考えています。社員が自ら前向きに健康であり続けようとする「きっかけづくり」に注力することで、さらに健康人材を育成していきます。
このため当社グループでは、従業員の健康保持・増進のため、定期健康診断項目の追加、生活習慣病健診対象年齢の引き下げ、自己負担健診項目費用補助金支給など、当社診療所とともに様々な健康推進支援を積極的に行うとともに、会社と産業医、診療所医師が情報共有し、症状の改善や重篤化の防止に努めております。
また、ストレスチェックを継続して実施しており、診療所、産業医との面談指導により従業員の心身症状の改善に努めています。ほか、専門医による研修会を実施し、ラインケアの充実に取り組んでいます。
女性活躍推進法に基づく行動計画として男性の育児休業取得率(当事業年度中に配偶者が出産した従業員のうち、当事業年度中に育児休業を取得した男性従業員の割合)を2020年度から5か年目標として7%以上と掲げ、育児休業制度のニーズを調査し、拡充した制度「育児休業(一部)有給化」を導入しました。
その結果取得率2020年度には0%であったものが、2022年度62.5%、2023年度63.0%、2024年度には112.5%となりました。更なる取得促進を図るため、行動計画を見直し2027年度からは男性社員の育児休業取得率90%以上を目標に鋭意取り組んでいきます。
※ 「5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載の男性労働者の育児休業取得率73.0%の算出方法は、下記の通りとなっており、上記の育児休業取得率とは異なっています。
算出方法
分母 当事業年度において配偶者が出産した労働者数
分子 当事業年度において育児休業等をした男性労働者数及び育児目的休暇を利用した男性労働者数の合計の割合
対象期間:2024年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで)
賃金:基本給、超過労働に対する報酬、賞与等を含み、退職手当、通勤手当等を除く。
正社員:出向者については、当社から社外への出向者を含み、他社から当社への出向者を除く。
パート・有期社員:パートタイマー、嘱託を含み、派遣社員を除く。
■差異についての補足説明:
<正社員>
当社の生産部門においては、交替勤務制を採っており、交替勤務者については休日・深夜労働等により交替勤務手当が支給されています。(現時点における女性の交替勤務従事者は0名)
そのほか、女性社員(制度対象者)の育児休業、育児短時間勤務制度の利用率は100%で、利用者の給与は減額となることや、管理職の男女比率も賃金差に影響しています。
当社としては、製造職場を含めて女性が働きやすい職場環境・制度の整備を推進し、①に掲げるKPI目標の達成に取り組んでいきます。
<パート・有期社員>
有期社員・パートの賃金についてはその職務内容等に応じて個別に設定しています。有期社員の多くを占めているのは、定年退職後再雇用嘱託社員であり、当社の年齢構成上、該当者は男性のみとなっています。一方、パートの職務には全員女性が従事しています。定年後再雇用嘱託とパートの職務内容はジョブサイズが異なり、前者の方が比較的賃金水準が高いため、賃金格差に影響しています。
* 人的資本への投資に関する指標及び目標については、当社の
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。ただし、投資家の判断に影響を及ぼす可能性のあるリスクは、これらに限定されるものではありません。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループではこのようなリスクを最小化するとともに、これらの機会として活かすためのリスク管理体制の整備・充実に努めています。詳細は「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項 (ロ)当社および当社グループ会社の損失の危険の管理に関する規程その他の体制」に記載しています。
当社グループの売上高のうち、一部の取引先に対しての依存度が高く、それらの会社とは、納入数量、価格等に関する長期納入契約等は結んでいません。取引先の製法転換等による製品の需要減退が発生した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、具体的対策としては、新製品等の開発や既存製品の競争力を強化しシェアの維持向上を図ることや、海外事業比率の向上等の施策を行っています。
当社グループは、直接的または間接的に製品を国内外に供給しているため、日本国内やアジアをはじめとする主要市場の景気動向から影響を受け、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、原油・ナフサ価格に連動する石油化学製品のほか数多くの原料を国内外から直接または間接的に調達しています。原油価格の高騰や異常気象、感染症のまん延等、予測困難な問題によりさらなる原材料価格の上昇および調達が困難となった場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
購入原料価格の変動には、タイムリーに製品価格へ転嫁するように努力しており、調達が困難にならないよう代替原料、生産地域が異なる同一原料、複数の調達ルートの確保を図っていますが、影響を完全に回避するものではありません。
(4) 為替相場の変動によるリスク
当社グループは、原材料の調達、製品販売における外貨建て取引等を行っており、為替リスクが存在します。当社は、海外からの原材料の調達が海外への製品販売を上回っているため、外国通貨に対して、円安になると当社に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、当社では、外貨建て営業債権の一部は日本円に両替せず、外貨建て営業債務の支払いに充当していますが、為替リスクをすべて回避できる保証はありません。
また、海外の関係会社の経営成績は、連結財務諸表作成のために円換算しています。換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。その場合、当社グループの経営成績並びに財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの研究開発は、中長期的な視点も織り込んで取り組んでいます。その範囲は既存製品群の改良研究から新規分野における研究まで多方面にわたっていますが、研究開発という性格上、開発のスピードやタイミング、競争相手の存在等からの影響も受けるため、必ずしもその成果が直接的に経営成績へ反映されない場合があります。なお、具体的な研究開発活動は「第2 事業の状況 6研究開発活動」をご覧ください。
当社グループは、生産設備における定期検査、要員の教育、防災訓練等、適宜実施していますが、工場における火災等の事故や停電、地震、洪水等が生産活動へ影響することを完全に排除できる保証はありません。
当社グループは、世界的に認められている厳格な品質管理基準に従って、各種製品を製造していますが、すべての製品について予期し得ない重大な品質問題が発生しないという保証はありません。製造物責任賠償については、PL保険に加入し、万一の事故に備えていますが、賠償額が保険の補償範囲を超える大規模な製造物責任につながるような品質問題が発生した場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、他社と差別化できる技術とノウハウを蓄積し事業の競争力を強化してきましたが、当社グループ独自の技術・製品とノウハウの一部は、厳正な管理を行っているものの、第三者が類似製品を製造することを効果的に防止できない可能性があります。また、将来、知的財産に係る紛争が生じ、当社グループに不利な判断がなされる可能性があります。
当社グループは、海外拠点に生産拠点や販売拠点を有し活動していますが、進出先において、予期しない法律または規制・制度等の変更、当社グループにとって不利な政治的または経済的要因、テロ、戦争その他の要因による社会的混乱等の発生により財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、国内および海外事業に関連して、訴訟、係争、その他の法律的手続きの対象となるリスクがあり、将来重要な訴訟等が提起された場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 工場立地上のリスク
当社グループの工場を取り巻く立地環境は、結果的に市街地となっています。騒音、臭気問題等に対して対策は取っているものの、それらに対するクレームや住民による反会社運動、係争事件への発展による賠償義務等予期できないリスクが存在し、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に悪影響を及ぼす可能性は否定できません。
当社グループは、会社運営の全般に亘ってコンピューターによる業務処理を実施しており、地震・火災等の災害によるハードウェアやネットワークの損傷、ならびに外部からのコンピューターウイルス攻撃やハッキングによるシステムトラブルやデータ破壊に対して、外部との接続制限、侵入防止、マルウエア感染防止、バックアップの確保、従業員の教育などの各種対策を取っています。しかしシステムトラブル、データ破壊、更には情報の盗難・漏洩等を完全に防げる保証はありません。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、地政学リスクの継続、金融政策の変動等の不透明感や一部の国における停滞があったものの、インフレの鎮静化と貿易の持ち直し等を背景に底堅い成長を維持しました。日本でも、物価上昇が継続したものの、景気は緩やかな成長を維持しました。
この結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は、樹脂原料やワニスの増収により299億30百万円(前連結会計年度比13億86百万円、4.9%増)となりました。損益面におきましては、営業利益は18億87百万円(同8億12百万円、75.6%増)、経常利益は19億64百万円(同8億22百万円、72.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は14億78百万円(同6億58百万円、80.2%増)となりました。

セグメント別の売上高の概況
<化学工業セグメント>
当セグメントの売上高は、293億12百万円となり、前連結会計年度と比べて13億85百万円の増収となりました。

(精密化学品事業)
医農薬中間体の出荷数量は減少したものの、樹脂原料や電子材料の出荷数量が増加したことにより、売上高は132億33百万円となり、前連結会計年度と比べて5億60百万円の増収となりました。
(機能材事業)
接着剤の出荷数量は減少したものの、ゴム薬品の出荷数量の増加により、売上高は34億76百万円となり、前連結会計年度と比べて87百万円の増収となりました。
(樹脂添加剤事業)
ワニスの出荷数量の増加により、売上高は126億3百万円となり、前連結会計年度と比べて7億37百万円の増収となりました。
<化学分析受託事業セグメント>
当セグメントの売上高は、土壌調査は減少したものの、作業環境測定や組成・構造解析が増加したため、6億18百万円となり、前連結会計年度と比べて1百万円の増収となりました。
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末と比べて10億59百万円増加し、162億26百万円となりました。これは、棚卸資産は減少しましたが、現金及び預金の増加や預け金の計上によるものです。
固定資産は、前連結会計年度末と比べて3億72百万円減少し、141億81百万円となりました。これは、主として減価償却が進んだことによるものです。
この結果、当連結会計年度末の総資産額は304億7百万円となり、前連結会計年度末と比べて6億88百万円の増加となりました。
流動負債は、その他に含まれる未払金や設備関係未払金は減少したものの、買掛金や未払法人税の増加により、前連結会計年度末と比べて4百万円増加し、82億82百万円となりました。
固定負債は、前連結会計年度末と比べて6億5百万円減少し、36億26百万円となりました。これは、主として長期借入金の減少によるものです。
この結果、当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べて6億1百万円減少し、119億8百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産額は、前連結会計年度末と比べて12億88百万円増加し、184億99百万円となりました。これは、主として利益剰余金の増加によるものです。
③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、資金という)は、前連結会計年度に比べて20億10百万円増加し、29億82百万円となりました。
営業活動の結果、43億71百万円の収入(前連結会計年度は36億28百万円の収入)となりました。主な収入は、税金等調整前当期純利益19億63百万円、減価償却費14億87百万円、棚卸資産の減少額10億59百万円、主な支出は、法人税等の支払額309百万円等です。
投資活動の結果、14億18百万円の支出(前連結会計年度は11億42百万円の支出)となりました。主なものは、有形固定資産取得による支出14億円等です。
財務活動の結果、9億97百万円の支出(前連結会計年度は23億90百万円の支出)となりました。主なものは、短期借入金の減少額1億円、長期借入金の返済による支出6億20百万円、配当金の支払額2億58百万円等です。
④ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 金額は、販売価格で表示しています。
2 セグメント間の取引については、相殺消去しています。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。なお、化学工業セグメントは、受注生産は行っていません。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。
2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下の通りです。
(2) 経営者の視点における経営成績等の状況に関する分析・検討内容
本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
経営成績
当連結会計年度の売上高は、樹脂原料やワニスの増収により、前連結会計年度に比べ13億86百万円の増収となり、299億30百万円となりました。
営業利益の主な増減要因は下記の通りです。なお、当社グループでは全社での営業利益分析を行っています。
当連結会計年度の営業利益は、全般的な交易条件の改善による6億2千万円の増益、労務費や補修費や経費などの固定費の増加による2億6千万円の減益、樹脂原料やワニスなどを中心に数量差による1億3千万円の増益、低価法損益の改善等によるその他差3億2万円の増益により、結果として、前連結会計年度に比べ8億12百万円の増益の18億87百万円となりました。
当連結会計年度の営業外収益は、為替差益が増加したことにより、前連結会計年度より9百万円増加の86百万円となりました。営業外費用は支払利息が減少したことから、前連結会計年度より1百万円減少の9百万円となりました。
当連結会計年度の特別利益は、災害保険金1億6百万円を計上いたしました。これは2024年4月に播磨工場にて発生した雹被害に対応するものです。
当連結会計年度の特別損失は、経常的な固定資産の除却などによる固定資産除却損19百万円の計上や、2024年4月に播磨工場にて発生した雹被害による災害による損失87百万円の計上です。
② 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中期経営計画 」に記載の通りです。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、国内外における事業遂行のための設備投資計画等に照らして必要な長期資金を金融機関等からの借入により調達しています。また、短期的な運転資金は銀行借入による調達や自己資金を充当することとしています。調達にあたっては、必要な資金を適切な時期に過不足なく機動的に調達することを旨とし、資金の安定確保と金融費用の極小化を目指すこととしています。
資金調達に係る流動性リスク(支払期日に支払いを実行できなくなるリスク)の管理については、当社は、年度毎に資金繰り計画を作成するとともに、資金繰り表を日々更新したり、銀行と当座貸越契約を締結することで管理しています。
資金の配分方針については、適正な手許現金および現金同等物の水準を定め、企業価値向上に資する資金の配分に努めており、水準を超える部分については、成長投資、株主還元等への原資といたします。
2024年度の設備投資は11億30百万円となり、銀行借入による調達や自己資金を充当しています。
株主還元については、株主の皆様への利益還元を重要な経営方針として位置づけ、財務体質の強化と今後の事業展開への対応を図るために必要な内部留保を確保しつつも、安定配当を実施していくことを基本方針としています。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載の通りです。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、過去の実績や当連結会計年度の状況に応じて合理的に考えられる方法に基づき、貸倒引当金、賞与引当金、退職給付に係る負債、繰延税金資産等に関する見積りおよび判断を行っています。これら見積り等については、見積り特有の不確実性を伴うため、実際の結果は見積りと異なる場合がございます。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5〔経理の状況〕の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しています。また、以下の会計上の見積りについては、経営者の判断が、財政状態および経営成績に重要な影響を及ぼすと考えています。
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しています。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性および将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しています。収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度および繰戻・繰越期間における課税所得を見積っています。当該見積りおよび当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等の見直しが必要となった場合、認識する繰延税金資産および法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、投資の決定単位である各社の事業別に資産のグルーピングを行っており、遊休資産等については、個々の資産を1つの単位として資産のグルーピングを行っています。減損の兆候がある資産グループについては、当該資産グループから得られる割引前キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定に当たっては慎重に検討していますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、追加の減損損失が発生する可能性があります。
該当事項はありません。
セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりです。
当連結会計年度の化学工業セグメントの研究開発トピックスは、下記の通りとなります。
光学レンズ用樹脂モノマーに関しては、開発に際して着色の少ない新規製法による製品を提供し、顧客から高評価を得ました。また、樹脂の成型工程で発生する廃樹脂を化学分解し、樹脂モノマーとしてリサイクルする技術開発にも注力しています。
ワニスに関しては、中国での製造が本格化し、新たなグレード開発にも鋭意取り組んでいます。可塑剤に関しては、生分解性樹脂の伸長を睨んで、生分解性バイオマス可塑剤の開発を行ったところ、多くの引合いを頂戴し、積極的なサンプルワークを展開しています。
瞬間接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム用添加剤に関しては、それぞれグローバルニーズに視点を置いた新規品目の開発を行っており、海外マーケットの開拓も合わせて取り組んでいます。
グラフェンナノリボンに関しては、量産化製法を開発すると共に、類似の炭素系材料への応用展開も実施中であり、ナノパピヨンの商標を取得し試薬としての販売も開始しました。
当連結会計年度末における化学工業セグメントの研究開発人員は61名であり、研究開発費は
特記事項はありません。