第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、「データと一緒にワクワクする未来へ!」をありたい姿として定義し、社会インフラを支えるソフトウエアを提供することで、社会の利便性や生産性向上の実現を目指してまいります。この目的を達成すべく、2028年3月期までの中期ビジョンとして「個人と組織がともに成長し続ける DIGITAL WORK を実現する」を掲げております。

(2)経営戦略等

当社グループは、経営方針に基づく中期経営計画における経営戦略として、以下の3つを基本方針として定めております。

・DIGITAL WORK の実現と企業成長を両立するべく3本の柱「事業領域の拡大・開拓」「収益安定性の向上」「人的資本経営の推進」から構成する事業戦略

・業績伸長及び重要事業戦略指標に加え、戦略的投資を実現する上で収益性を正確にはかる指標で構成する計数計画

・資本コストや株価を意識しつつ、株主還元基本方針は変更せず、ROE目標値・配当下限額で構成する財務方針

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2025年5月12日に公表いたしました2026年3月期から2028年3月期までの3カ年を対象とする中期経営計画において、最終年度である2028年3月期の目標を以下のとおりとしております。

 

目標とする経営指標

項目

2028年3月期目標値

売上高(連結)

60億円

EBITDA(連結)

10億円

※EBITDA=営業利益+償却費+株式報酬費用

 

財務方針

 

2028年3月期目標値

ROE

15%以上

 

 

水準

DOE

3.5%

配当下限額

25円

 

詳細は、2025年5月12日公表の「中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)策定のお知らせ」をご参照ください。

 

(4)経営環境

当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費や設備投資を中心に内需主導の回復が進みました。一方で、中国経済の減速や欧州の景気低迷、米国の金利上昇に加え、「トランプ・ショック」とも呼ばれる米政局の混乱や商政策の不透明化により、外需の先行きには不透明感が残りました。こうした中、円安基調が輸出の一部を下支えしました。

IT業界では、生成AIやクラウドの導入が進み、企業のDX推進が競争力向上に貢献しました。特にデータ活用や業務効率化が広がり、通信インフラの高度化や5Gの普及も進展しました。一方で、IT人材不足やレガシーシステム維持によるコスト増が課題となり、サイバー攻撃の高度化を受けたセキュリティ投資も拡大しました。また、米国の通商政策の不透明感は、日本のIT企業の海外展開に慎重姿勢を促す要因となりました。連結会計年度におけるわが国経済は、経済活動正常化に伴う好調なインバウンド需要や価格転嫁の進展などを背景に、需要の回復が続くなかで円安進行や海外経済の減速、物価上昇による需要減やコスト増、人手不足の深刻化などへの警戒感が台頭し、経済全体での先行きは引き続き不安定かつ不透明な状況が続いております。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、ソフトウエア製品の開発・販売・保守を中核事業とする研究開発型の企業集団であり、今後の事業成長において、以下の項目を優先的に対処すべき課題と認識し、企業価値の向上に取り組んでまいります。

 

① 市場動向への対応

企業間のデータ交換である電子商取引は、従来通信網からインターネット通信網を利用した電子商取引へ転換しており、さらに、企業間データ交換も含めたシステムの全体最適化を目指して、分散化する企業内のシステム間におけるプロセス連携、データ連携といったデータ統合需要が拡大することが予想されます。従いまして、当社グループでは、当該分野に対してのソフトウエア製品の開発及び販売を強化し、売上の拡大を図ってまいります。

 

② 研究開発体制の強化

当社グループは、研究開発型企業集団であり、市場における製品の優位性を確保し向上し続けることが経営の重要な課題となっております。これを担う研究開発業務が抱える課題としては、「研究開発の効率化」、「品質管理の強化」が挙げられます。従いまして、研究開発業務プロセスの改善や製品開発における標準化技法の改善を推進するとともに、他企業との共同研究や共同開発等にも柔軟に対応可能な体制とすべく、今後の事業成長のための研究開発基盤の強化を行っていく方針であります。

 

③ 人材の確保と育成

当社グループは、ソフトウエア製品の開発・販売・保守を主たる事業として行っておりますので、ソフトウエア製品の研究開発のための高度な専門技術や知識を有する技術者が必要不可欠となっております。従いまして、事業の状況に応じて、適時、適切な人材を確保していくことは重要であり、当社グループでは、計画的な採用活動を通じて新卒採用及び中途採用を実施し、市場の優秀な人材の確保に注力していく方針であります。また、人材育成面においても、教育研修を計画的に実施し、専門性の高い技術者の育成に取り組んでおります。

 

④ 業務提携・資本提携等

近時の情報技術の発展・進化やそれに伴う顧客要望の変化等、事業環境の変化は著しいものがあります。当社グループは、これらの環境変化に迅速に対応し市場における競争力を維持・強化するために、事業展開の速度を重視し、必要に応じた他企業との業務提携あるいは資本提携も課題と認識し、課題解決に向けて取り組んでおります。

 

⑤ 財務上の課題

財務基盤の安定性を維持しながら、様々な事業上の課題を解決するための事業資金を確保し、また、新たな事業価値創出のために機動的な資金調達を実行できるよう、内部留保の確保と株主還元の適切なバランスを模索していくことが、財務上の課題として認識し、課題解決に向けて取り組んでおります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、当社グループにおける連結での目標値等につきましては、今後継続的に議論していく所存です。

 

(1)サステナビリティ全般

先の読めない時代において、サステナブルな社会の実現は世界各国での喫緊の課題です。当社は自社製品の提供価値により、お客様の労働環境整備に貢献しておりますが、ステークホルダーの皆様からの信頼に応えるべく、更なる課題解決を目的として、サステナビリティ方針を策定の上、マテリアリティ(重要課題)を特定しております。

 

<サステナビリティ方針>

当社は「未来情報社会創造はひとりひとりの喜びから」を企業理念とし、社会インフラを支えるソフトウエアの提供によって社会の利便性・生産性向上に寄与することを目的に事業活動を行っております。社員一人一人が、お客様や社会の課題に向き合い、持続可能な社会の実現に向けて貢献し、「データと一緒にワクワクする未来へ!」を実現していくことを方針としております。

 

<マテリアリティ>

・サービスを通じた環境負荷の軽減

・社会課題解決に向けた新分野での技術革新

・DE&Iの推進

・社員の能力開発と育成

・多様な働き方の推進

・地域の雇用創出

・サプライチェーンの人権尊重

・持続可能な事業基盤づくり

 

① ガバナンス

当社のサステナビリティに関する議論をまとめ、PDCAサイクルを循環させながら目標達成を推進する組織として「SDGs推進委員会」を設置しています。SDGs推進委員会は、管理本部管掌取締役を委員長として、各部門から推薦されたメンバーが中心となり、サステナビリティに関する議論を深めております。

また、リスクマネジメント活動とコンプライアンスの推進を図る組織として、管理本部管掌取締役を委員長とする「リスク管理委員会」を設置しておりますが、特に当社として重要性の高いリスク(情報セキュリティ)については、専門的に審議する組織として、リスク管理委員会内に「情報セキュリティ委員会」を設置しております。

 

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② 戦略

当社はSDGs推進委員会を中心に、環境・社会・ガバナンスの観点から8つの重要課題(マテリアリティ)を特定し、当マテリアリティへの取り組み指標となるKPI及びその達成期限を決定の上、取締役会に報告しております。なお、SDGs推進委員会におけるマテリアリティ策定プロセスとして、社員に対し社会課題、SDGsにおけるアンケートを実施し、バリューチェーンのリスクと機会の側面から課題の洗い出しを行い、その結果をもとにマテリアリティとなる候補を抽出し、その候補に対して財務的な影響、非財務的な影響を分析し、議論を行った後にマテリアリティを特定しております。

今後、KPIを継続的にモニタリングし、マテリアリティへの取り組みの進捗状況を確認するとともに、Webサイトにて進捗状況の開示を行いますが、サステナビリティを巡る課題、社会のニーズ、ステークホルダーからの期待の変化に応え、環境・社会・経済情勢と事業活動との相互のインパクトを適切に見極め、確実に経営に反映させるために、マテリアリティおよびKPIについて、適宜見直しを行ってまいります。

 

③ リスク管理

・リスクの識別、評価プロセス

(1)サステナビリティ全般 ② 戦略」をご参照ください。

 

・リスク管理のプロセス及び総合的リスク管理への統合プロセス

当社のリスク管理は、「外部環境・マーケットの変化」や「資本政策」等、経営や事業戦略執行に大きな影響を及ぼす「経営リスク」と、「内部統制」や「情報セキュリティ」等、業務プロセスが機能しないことにより発生する「オペレーションリスク」とに分けて管理しております。「経営リスク」については取締役会にて随時審議し、「オペレーションリスク」についてはリスク管理委員会の審議対象として、管理状況を取締役会に報告しております。サステナビリティに関するリスクは「経営リスク」であると同時に「オペレーションリスク」でもあることから、SDGs推進委員会がマテリアリティに紐づき作成したKPIをKPI主管部門と連携し、経営会議及び取締役会に対して必要に応じて付議・報告を行っております。なお、リスクマネジメントの詳細については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

当社は以下のとおり、策定したマテリアリティにおいて、指標と数値目標(指標によっては定性評価)を定めております。

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※1 2020年3月対比(東京本社と鹿児島オフィスを対象)

※2 ダイバーシティスコア:JobRainbow社が開発した企業の多様性推進を可視化する指標で、「ジェンダーギャップ」「LGBT」「障害」「多文化共生」「育児・介護」の5つの項目で構成。各項目は「行動宣言」「教育・理解促進」「人事制度」「コミュニティ」「働き方」の5つの要素に細分化され、さらに4つの基準を合わせた全100項目で企業のD&Iが評価される。ダイバーシティスコアのアドバンス水準は~80点

※3 スキルズコンピテンシー:当社が等級別に設定している職務(スキル)基準

※4 エンゲージメントスコア:従業員が企業のビジョンや目標に共感し、業務に取り組む意欲や生産性が高いことを示す指標

 

 

(2)人的資本・多様性

当社にとって人材(人財)は、長期的な成長と成功のための重要な資産であり、当社は、優秀な人財の獲得、人財育成の強化をはじめとして、持続的成長の根幹である人財への投資に取り組んでいきます。

 

① ガバナンス

当社の人材戦略は、経営戦略と連動し、経営戦略実現のための課題を取締役会及び経営会議で審議した上で、人事担当部門がその課題に向けての方策を策定しております。

 

② 戦略

2025年5月12日公表の中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)では、経営方針に基づく事業戦略として「個人と組織がともに成長し続けるDIGITAL WORKを実現する」をテーマに、当社の持続的な成長と企業価値向上を実現すべく「事業領域の拡大・開拓」「収益安定性の向上」「人的資本経営の推進」を3つの柱として定めておりますが、特に「人的資本経営の推進」においては、「人財ポートフォリオの構築」、「人財の多様性向上」、「エンゲージメント向上」、「自由な働き方」、「経営目標・課題の組織全体での共有」を通して、企業価値向上を促進していきます。

 

・人材育成方針

当社は社員数130名規模の少数精鋭で運営されている組織であり、採用も職種別に行われ、現状で発揮される顕在能力と実績を評価した、専門性の高い中途採用者が構成人員の中心となっていることにより、

1.その組織風土を反映した、専門的・実践的な教育の実施

2.自律型人材の育成(自ら考え判断し、行動するとともに、結果責任を負える人材の育成)

を人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針としております。

 

<人材育成方針に則った施策例>

育成施策のレイヤー

概要

Development(人材開発)

後継者選抜・抜擢に伴う育成施策

Training(職種別スキル訓練)

職種別の戦力化施策、マネジメント面でのコンピテンシー強化施策等

Learning(自発的な学習)

e-learning、ウェルビーイング手当の活用等

 

・社内環境整備方針

労働環境の整備等、ウェルビーイングの推進に関しましては、当社はコンピテンシーによる人事評価制度を導入しており、成果を上げ、活躍している社員のコンピテンシーが「自律的」、「自己統制(自らをコントロールできる)」、「自己確信(自らの行動に自信がある)」の点で優れていることから、このような特性を持った社員のコンピテンシー向上を支える労働環境の整備を、持続的成長実現のためのキーファクターとして、柔軟な働き方の選択肢を増やし、健康管理を推進していくこと、更に、報酬水準や福利厚生等の待遇を向上させる施策を継続的に実施していくことを社内環境整備に関する方針としております。

 

<社内環境整備方針に則った施策例>

・リモートワークの推進

・フル・フレックス制度の導入

・副業・兼業制度の導入

・社員持株会奨励金の増額(投資額の10%を補助)

・社員持株会処分型株式給付信託の導入

・管理職以上の社員に対する譲渡制限付株式報酬制度の導入

・ウェルビーイング手当の支給

・平均3%のベア実施

 

③ リスク管理

(1)サステナビリティ全般 ③リスク管理」をご参照ください。

 

 

④ 指標と目標

当社の人的資本リスク及び評価に用いる指標は、「(1)サステナビリティ全般 ④指標及び目標」のうち下記のとおりであります。

指標

目標(2024年5月開示)

実績(2025年3月期)

ダイバーシティスコア

2027年3月までに80点

80点取得までの準備完了

スキルズコンピテンシー

2027年3月までに前年度対比向上

2024年3月期スコア対比で向上

エンゲージメントスコア

2027年3月までに前年度対比向上

エンゲージメントサーベイ実施済

人権方針の策定

2024年9月までに策定

2024年9月開催の取締役会にて決議、当社Webサイトにて開示済

また、ダイバーシティを推進する上で、女性社員比率も重要な指標ですが、下記の数値は当社単体のものを記載しており、今後はグループとしての連結目標値を策定していく所存です。

 

指標

2025年3月期

(目標)

2023年3月期

(実績)

2024年3月期

(実績)

2025年3月期

(実績)

女性社員比率(%)

20.0

18.8

18.9

22.0

 

(3)気候変動

① ガバナンス

当社は、気候変動への対応も経営におけるマテリアリティの一つと位置付けていることより、SDGs推進委員会が主体となり、CO2排出量削減を指標とした取組みの進捗管理を行っております。

 

② 戦略

当社は、気候変動によるリスク及び機会を認識し、将来の事業戦略へと活かすことを目的として、気温上昇を1.5℃に抑えることを目指すパリ協定と整合した温室効果ガス排出削減目標を立てております。

 

③ リスク管理

(1)サステナビリティ全般 ③リスク管理」をご参照ください。

 

④ 指標と目標

当社の主たる事業がミドルウエア開発であるため、事業活動にあたって把握しやすい電気使用量を指標としてそれに排出係数を掛け、CO2排出量を算出しております。これを2030年3月までに62.75t-CO2(2020年3月期対比で42%削減)とするための活動を行うとともに、今後はScope3における間接排出の測定をテーマとした活動を推進していく所存です。

なお、現在開発を進めております「ACMS Cloud」は、IaaSとして提供することで、効率的にエネルギーを使用でき、炭素排出量を抑えることに貢献していく所存です。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業内容に関して

① 事業内容について

当社グループは、データ交換系ミドルウエアを中心とした企業の業務プロセスを支える基盤型ソフトウエア製品の開発、販売、保守及び製品関連サービス事業を行っております。また、子会社である株式会社WEELを通じて、AI専門メディア運営、AIコンサルティング及びシステム受託開発事業も展開しております。当社グループのソフトウエア製品及びAIソリューションは、ますます分散化するコンピュータ・システム環境下におけるデータ連携やプロセス連携等で業務プロセスを支えるソフトウエア基盤として利用していただくことにより、ユーザーのシステム開発コストや業務コストの低減を実現し、AI技術の活用による業務効率化を支援することで、ユーザーに高い投資収益率を提供することを目指しております。しかしながら、国内景気の悪化・低迷等の外的要因、あるいは当社グループ固有の問題発生等により、当該事業の展開に何らかの支障が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループの自己資本比率は当連結会計年度末現在で77.3%となっており、企業活動を維持するために必要な資金を確保しております。

 

② 新技術や外部環境について

近時のネットワーク技術やソフトウエア技術等の情報技術の発展・進化に伴う技術環境の変化は急激であり、特に生成AIや大規模言語モデルなどの技術革新により、ソフトウエア市場においても、日々、激しい開発競争、販売競争が行われております。このような状況下、当社グループは常に市場動向、技術動向を分析し新技術や製品の研究開発に努めております。子会社である株式会社WEELを通じて、AI技術の最新動向を取り入れ、データ連携基盤へのAI技術の融合も進めております。しかしながら、事業を取り巻く市場環境や技術環境が当社グループの予測を超える速度で変化していくことも想定されます。さらに、新規参入者を含めた競争激化による価格低下の圧力の高まり、競合会社の競争優位な新製品の投入や競合会社同士の戦略的提携といったことも想定され、当社グループの技術や製品の陳腐化が発生すること、あるいは何らかの要因で技術変化への対応が困難となることにより、当社グループの市場での競争優位性が確保できず、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、本リスクに対して、研究開発体制を強化し、市場環境や技術環境の変化をいち早く察知し、柔軟に対応できるように努めております。2020年4月に技術探求室を設置し、この活動を推進した後、NP開発室へと組織名を変更し、ワークマネジメントプラットフォーム「Placul」を開発する等、新たな事業化の推進を実施してまいりました。さらに、2024年7月に株式会社WEELをグループに迎え入れることで、生成AI技術の活用に関する研究開発体制を強化し、データ連携ビジネスの加速と製品・サービスの機能向上を図っております。

 

③ 製品の致命的不具合(バグ)の発生による販売への影響の可能性

当社グループのソフトウエア製品及びAIソリューションにおいて、ソフトウエアの不具合を無くすことは重要な課題であります。当社グループでは、自社製品の開発工程においてソフトウエアを厳格に試験することに努めておりますが、一般的に今日のような高度で複雑なソフトウエア上で不具合を皆無にすることは不可能と云われております。特に子会社である株式会社WEELが提供する生成AI技術を活用したシステムやソリューションについては、AIの特性上、従来型ソフトウエアとは異なる不確実性を含むことがあります。そのため、顧客が当社グループ製品を導入後に不具合を発見する可能性があります。顧客との契約において、このような不具合が発見されたとしても当社グループに直接的な損失は生じないことになっておりますが、該当製品やサービスのその後の売上が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、本リスクに対して、ISO9001の取得や品質管理室の設置等、製品の品質管理体制を強化することでその発生を最小限に抑えられるよう努めております。また、AI関連製品・サービスについても、適切なテスト手法の導入や品質管理プロセスの確立を進め、信頼性の高いAIソリューションの提供に努めております。

 

 

④ 間接販売(パートナーモデル)への依存について

当社グループの製品及び保守サービスは、主に、システムインテグレーター等のパートナー(販売代理店等)との協業によって販売されております。当社グループの顧客は、製造業、流通業、金融業、通信業、サービス業等業種、業態を問わず多岐にわたっており、規模的にも大企業から中小規模事業者まで広範囲となっております。当社グループでは、これらの幅広い顧客ニーズにきめ細かく応えるため、パートナーを経由した間接販売に注力しており、ソフトウエア製品における間接販売による売上高は、当連結会計年度においても大部分を占めております。従いまして、パートナーとの継続的信頼関係の維持は、当社グループの将来にとって重大な意義を持ちます。例えば、パートナーとの関係が悪化した場合、競合会社が当社グループのパートナーと戦略的提携を行った場合、パートナーの財政状態が悪化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

当社グループは、本リスクに対して、パートナーとの積極的なコミュニケーションを図り、その関係性を深化させ、強固なものとなるように努めております。また、株式会社WEELのグループ参入により、パートナーに対してデータ連携とAI技術を組み合わせた付加価値の高い提案が可能となりました。こうした新たな価値提供を通じて、パートナーとの関係強化を図っております。

 

(2)組織・管理体制に関して

① 小規模組織による管理体制について

当社グループは、2025年3月31日現在で従業員数150名の小規模な組織であり、社内管理体制もこの規模に応じたものとなっております。従いまして、経営陣はもとより、管理部門社員に業務遂行上の支障が生じた場合に、代替要員の確保の遅延、事務引継手続の遅滞等の理由によって当社グループの業務に支障が生じる恐れがあります。

当社グループは、本リスクに対して、今後とも人員の増強や社内管理体制の一層の充実を図ることで対応してまいります。

 

② 情報セキュリティ管理について

当社グループは、事業遂行に関連して取引先役職員、顧客企業役職員、協力会社役職員等の情報を有しております。これらの個人情報については、予期せぬ事態により流出する可能性が皆無ではなく、このような事態が生じた場合、当社グループの社会的信用に影響を与えるとともに、その対応のための多額の費用負担が発生する可能性があります。

当社グループは、本リスクに対して、社内規程の制定、従業員への教育等管理を徹底しており、情報管理体制の更なる強化を図ることで対応してまいります。

 

③ 人材の確保と育成について

当社グループの主力事業でありますソフトウエア製品の開発は知的集約型の業務であり、一定水準以上の専門技術、知識を有する技術者要員を確保する必要があります。当社グループは、計画的な採用活動を通じて新卒採用及び中途採用を実施し、人材の確保を図ると同時に、人材育成面においても、教育研修を計画的に実施し、専門性の高い技術を有する人材の育成に注力しております。しかしながら、計画通りの人材を確保できない場合、人材の流出等があった場合や、想定通りの人材育成ができなかった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、本リスクに対して、学習機会の増強や、より積極的な求人活動を実施することで対応してまいります。

 

(3)財政状態等に関して

① 財政状態及び経営成績の異常な変動に関わるものについて

当社グループを含めたパッケージソフトウエア事業の特徴として、人件費等の固定費水準が高く、変動費比率が低いことが挙げられます。そのため、売上高が増加した場合の増益額が他の事業形態に比べ大きい一方、売上高が減少した場合の減益額も他の事業形態に比して大きく、利益の変動額が大きい傾向にあります。一方、子会社である株式会社WEELが行うAI専門メディア運営、AIコンサルティング及びシステム受託開発事業においては、プロジェクトごとに要件や規模が異なり、また、先端技術領域であるため開発の不確実性も存在します。このような事業特性から、AIプロジェクトの進捗状況や技術的課題により、計画と実績に乖離が生じる可能性があります。

グループ全体としては、システムインテグレーター等のパートナー(販売代理店等)との間接販売が主体であることにより、販売計画立案時に行政機関等からの秘匿性の高い案件を事前に察知することが困難な場合があり、開示している業績予想との乖離が発生する可能性があります。さらに、AIプロジェクトのように新規性の高い案件については、売上規模や納期の予測が難しい側面があり、業績の変動要因となる可能性があります。

② 有価証券投資による影響について

当社グループは、上場の株式及び債券を保有しております。このため、株式市況や債券市況の動向により減損処理の対象となる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)法的規制・その他に関して

① 知的財産権等について

当社グループは、業務遂行にあたり、第三者の知的財産権の侵害を行わないように留意しておりますが、不可抗力により第三者の知的財産権を侵害する可能性は皆無ではありません。また、いわゆるビジネスモデル特許についても、米国等において既に一般化していること、及び今後国内においても当該特許の認定が進むと想定されることから、第三者の知的財産の侵害予防の重要性は増大すると考えております。

特に子会社である株式会社WEELが行う生成AI関連事業においては、AI技術の急速な発展に伴い、関連特許の出願・登録が世界的に活発化しております。AIモデルの学習手法、アルゴリズム、さらには学習データの利用権など、AI領域における知的財産権の範囲や解釈は流動的であり、法的見解や判例も発展途上の段階にあります。そのため、当社グループが提供するAIソリューションにおいて、意図せず第三者の知的財産権を侵害するリスクが存在します。

従いまして、当社グループの事業分野において第三者の特許等が成立した場合、又は現在当社グループの事業分野において当社グループが認識していない特許等が成立している場合、当該第三者より損害賠償及び使用差止等の訴えを起こされる可能性並びに当該特許等に関する対価の支払等が発生する可能性があり、この場合は当社グループの経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、本リスクに対して、法務部門を中心として適切な知的財産の管理に努めております。また、AI関連技術については、特許動向の定期的な調査や、業界標準的なライセンス形態の採用、AIモデルの利用条件の遵守など、知的財産権侵害リスクの低減に向けた取り組みを強化しております。

 

② 災害や未知の感染症等について

地震等の自然災害や火災等により、従業員や設備が被害を受ける可能性があります。また、未知の感染症のまん延等により、従業員が罹患するリスクや販売代理店等の販売活動が影響を受ける可能性もあります。特に、子会社である株式会社WEELが行うAIコンサルティングやシステム受託開発事業においては、クライアント企業との綿密なコミュニケーションが重要であり、対面での打ち合わせや現場での導入支援が制限される状況下では、プロジェクト進行の遅延や顧客満足度への影響が生じる可能性があります。従いまして、これらに伴う受注活動の低下等による売上高の減少、設備の修復又は代替のための費用発生等、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、本リスクに対して、テレワークの推進やサテライトオフィスの検討等、労働環境の充実を図り、安全に企業活動を継続できるよう努めてまいります。また、株式会社WEELのAI技術を活用したオンラインコミュニケーションツールの導入や、リモート環境下でも効率的に業務を遂行できる体制の構築を進めることで、災害や感染症等の有事においても事業継続性を確保する取り組みを強化してまいります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。

なお、当社は当連結会計年度より連結財務諸表を作成しております。そのため、前連結会計年度との比較分析は行っておりませんが、参考情報として一部、前年同期の提出会社個別の財務諸表との比較を記載しております。

 

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費や設備投資を中心に内需主導の回復が進みました。一方で、中国経済の減速や欧州の景気低迷、米国の金利上昇に加え、「トランプ・ショック」とも呼ばれる米政局の混乱や通商政策の不透明化により、外需の先行きには不透明感が残りました。こうした中、円安基調が輸出の一部を下支えしました。

IT業界では、生成AIやクラウドの導入が進み、企業のDX推進が競争力向上に貢献しました。特にデータ活用や業務効率化が広がり、通信インフラの高度化や5Gの普及も進展しました。一方で、IT人材不足やレガシーシステム維持によるコスト増が課題となり、サイバー攻撃の高度化を受けたセキュリティ投資も拡大しました。また、米国の通商政策の不透明感は、日本のIT企業の海外展開に慎重姿勢を促す要因となりました。

当社は、2024年7月に株式会社WEEL(以下、WEEL社)を完全子会社化し、連結決算へと移行いたしました。さらに、2025年4月にはデジタルトランスコミュニケーションズ株式会社(以下、DTC社)および株式会社メロン(以下、メロン社)を新たにグループに迎え入れ、連結対象会社が増加いたしました。こうした事業環境や体制の変化を受けて、当社は2025年3月期より推進していた中期経営計画を見直し、新たな中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)を2025年5月12日に策定・公表いたしました。

当社は、DX化された新しい働き方を「DIGITAL WORK」と定義し、中期ビジョン「個人と組織がともに成長し続けるDIGITAL WORKを実現する」ことを掲げ、DIGITAL WORKの実現と企業成長を両立するために、以下、3つの事業戦略を設定しております。

 

『事業領域の拡大・開拓』『収益安定性の向上』『人的資本経営の推進』

 

経営指標は以下のとおりであります。

 

2028年3月期目標値

総売上高

60億円

EBITDA※

10億円

※EBITDA=営業利益+償却費+株式報酬費用

 

財務方針は以下のとおりであります。

 

2028年3月期目標値

ROE

15%以上

 

 

毎期の水準

DOE

3.5%水準

配当下限額

25円

 

なお、データ連携ソリューション事業およびEDIソフトウエア事業の中核戦略は、従来の中期経営計画を維持しつつ、新たにグループインした企業を加えた連結目線での中期経営計画となっております。

 

当連結会計年度は、エンタープライズ・データ連携プラットフォーム「ACMS Apex」やデータハンドリングプラットフォーム「RACCOON」の継続的なバージョンアップと共に、データ連携市場に向け、サブスクリプション販売を推進し、さらなる収益性安定を目指しました。さらにクラウド型データ連携プラットフォーム「ACMS Cloud」の発売に向けた開発を行いました。

 

「事業領域の拡大・開拓」を達成するための施策のひとつであるM&Aの実現として、生成AIを活用した受託開発・コンサルティングやAIエージェント開発に特化したWEEL社がグループインしました。同社は、ウェビナーやイベントへの登壇により、営業推進および認知拡大を実施しました。

 

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、6,179百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、1,403百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、4,775百万円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、売上高は2,607百万円となりました。利益面では、売上総利益は1,812百万円、売上総利益率は69.5%となっております。営業利益は329百万円、経常利益は360百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は268百万円となりました。

 

当社グループは、ソフトウエア関連事業の単一セグメントであり、売上区分別の経営成績は、次のとおりであります。

 

リカーリング ※1

サブスクリプション売上が堅調に推移しました。一方、前期比でメンテナンス売上が減少し、売上高総額は、1,979百万円となりました。なお、リカーリング売上比率は75.9%、リカーリング内のサブスクリプション売上比率は45.4%となりました。

 

パッケージ ※2

 売上高総額は、513百万円となりました。

これは、前期の一過性の特需(大型案件をパッケージにて受注、想定を上回るバージョンアップ案件を複数受注)がないことが主な要因であります。

 

サービスその他

売上高総額は、114百万円となりました。

ソフトウエア製品販売に付随するサービスの提供の増加に加え、新たに連結子会社となったWEEL社の寄与が主な要因であります。

 

※1 リカーリング売上とは継続的なサービス提供から得られる収益のこと。パッケージのメンテナンス売上とサブスクリプション売上などを含んでおります。

※2 パッケージ売上とは売り切りの収益のこと。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、3,828百万円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は103百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益344百万円、売上債権の増加148百万円、株式報酬費用21百万円、受取利息及び受取配当金29百万円、仕入債務の減少11百万円、未払金の減少164百万円、前受金の増加168百万円、事務所移転費用16百万円、減価償却費70百万円、のれん償却費19百万円、法人税等の支払160百万円等があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は261百万円となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出112百万円、投資有価証券の償還による収入100百万円、有形固定資産の取得による支出26百万円、子会社株式の取得による支出208百万円があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は162百万円となりました。これは主に、配当金の支払額154百万円、短期借入金による収入50百万円、長期借入金の返済による支出60百万円があったことによるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループの事業内容は、主にソフトウエア製品の開発、販売及び保守の提供であることから、生産実績は記載しておりません。

 

b.受注実績

当社グループは、主にソフトウエア製品の開発、販売及び保守の事業を行っており、また、販売に付帯する受託開発の割合も少ないため、受注実績は記載しておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績を売上区分別に示すと、次のとおりであります。

区分の名称

金額(千円)

前期比(%)

リカーリング

1,979,279

95.2

パッケージ

513,015

62.4

サービスその他

114,775

683.2

合計

2,607,070

89.3

(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

富士通株式会社

343,887

13.2

株式会社日立システムズ

283,589

10.9

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、連結財務諸表に重要な影響を及ぼす会計上の見積りはありません。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

(資産の部)

当連結会計年度末の資産残高は、6,179百万円となりました。主な内訳は、現金及び預金3,828百万円、売掛金302百万円、のれん255百万円、投資有価証券1,313百万円、差入保証金120百万円であります。

 

(負債の部)

負債につきましては、1,403百万円となりました。主な内訳は、未払金212百万円、短期借入金50百万円、未払法人税等27百万円、前受金731百万円、長期借入金44百万円、リース債務44百万円、資産除去債務75百万円、繰延税金負債62百万円であります。

 

(純資産の部)

純資産につきましては、4,775百万円となりました。主な内訳は、利益剰余金4,106百万円、その他有価証券評価差額金339百万円であります。なお、自己資本比率は77.3%となりました。

 

b.経営成績等の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。

当社単体において、サブスクリプション売上が順調に増加(2025年3月MRR:76百万)、パッケージ売上が、当社グループの戦略であるサブスクリプション売上への移行を実施している中、想定外の大型案件の受注という一過性の特需が発生したこと、子会社の株式会社WEELの売上寄与はあったものの、前期の複数の特需案件の剥落をカバーできない結果となり、当連結会計年度における売上高は2,607百万円となりました。

販売状況は、次のとおりであります。

当社が戦略製品と位置付けている『ACMS Apex』『RACCOON』は、全体で595百万円の結果となりました。また、製品別売上高に占める戦略製品の構成比は42.2%となり、戦略製品の拡販により全体に占める割合は増加いたしました。

各製品の成熟化が進んだことによる製品維持コストの増加に加え、リカーリングビジネスを推進するために「利便性の向上」、「品質の向上」、「安定性の向上」に重きを置いた開発方針への移行を進めた結果、売上原価は794百万円となり、売上総利益率は69.5%となりました。前期比では率では減少しておりますが、売上の減少による影響が大きく、売上原価自体は連結になった上でも減少しており、安定水準と評価しております。販売費及び一般管理費につきましては、新製品・新サービスを創出するための研究開発活動の実施に伴う研究開発費の増加、株式会社WEELの子会社による経費・のれんの増加などはありましたが、移転に伴う家賃・減価償却費の減少により、1,483百万円となりました。総費用については減少しており、これは連結による増加は見込まれましたが、一定のコストコントロールの結果と評価しております。

以上の結果、営業利益は329百万円、経常利益は360百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は268百万円となりました。

今後の課題といたしましては、「ACMS Cloud」「Placul」といったサービス型ビジネスのリリース・安定稼働及び販売強化と、新たな製品・サービスの考案、グループ会社との相互シナジーの発揮による売上・利益の創出に加え、ビジネスを推進する根幹である人財の獲得・教育と認識しております。DIGITAL WORKの実現と当社グループの成長を実現するべく新たな中期経営計画のもと、「事業領域の拡大・開拓」「収益安定性の向上」「人的資本経営の推進」の3つの柱を推進してまいります。

 

c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、当連結会計年度末には3,828百万円となりました。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金需要のうち主なものは、売上原価に係るもののほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。運転資金は自己資金を基本としております。なお、当連結会計年度末における有利子負債残高は155百万円となっておりますが、これは、リース債務及び株式給付信託(J-ESOP)導入に伴う信託E口における金融機関からの借入金並びに連結子会社である株式会社WEELの金融機関からの借入金であります。

当社グループの第三者に対する保証は、信託E口における借入金に対する債務保証であります。保証した借入金の債務不履行が保証期間内に発生した場合、当社グループが代わりに弁済する義務があり、2025年3月31日現在の債務保証残高は44百万円であります。

 

d.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、人件費等の固定費水準が高く、変動費比率が低いことが挙げられます。そのため、売上高が増加した場合の増益額が他の事業形態に比べ大きい一方、売上高が減少した場合の減益額も他の事業形態に比して大きく、利益の変動額が大きい傾向にあります。また、システムインテグレーター等のパートナー(販売代理店等)との間接販売であることにより、販売計画立案時に行政機関等からの秘匿性の高い案件を事前に察知することが困難な場合があり、開示している業績予想との乖離が発生する可能性があります。

 

5【重要な契約等】

当連結会計年度において、新たに締結した重要な契約は以下のとおりであります。

 

(株式取得及び簡易株式交換による株式会社WEELの完全子会社化)

当社は、2024年6月25日開催の取締役会において、株式会社WEEL(以下「WEEL社」といいます。)の発行済株式の一部を取得したうえで、当社を完全親会社、WEEL社を完全子会社とする株式交換(以下「本株式交換」といいます。)を行うことを決議し、同日付で株式譲渡契約及び株式交換契約を締結いたしました。本株式交換は、会社法第796条第2項に基づき、当社の株主総会の承認を必要としない簡易株式交換の手続きにより行いました。また、2024年7月26日付で株式取得の手続きが完了し、WEEL社の株式88.46%を取得した後、同日付で簡易株式交換の手続きが完了し、WEEL社の株式11.54%を取得しており、同社を当社の完全子会社としております。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

(株式取得及び簡易株式交付によるデジタルトランスコミュニケーションズ株式会社の子会社化)

当社は、2025年2月3日開催の取締役会において、デジタルトランスコミュニケーションズ株式会社(以下「DTC社」といいます。)の発行済株式の一部を取得するとともに、当社を株式交付親会社、DTC社を株式交付子会社とする簡易株式交付(以下「本株式交付」といいます。)を行うことを決議し、同日付で株式譲渡契約及び株式交付契約を締結いたしました。本株式交付は、会社法第816条の4第1項の規定に基づき、当社の株主総会の承認を必要としない簡易株式交付の手続きにより行いました。また、2025年4月1日付で株式取得及び簡易株式交付の手続きが完了し、DTC社の発行済株式の51.00%を取得し、同社を当社の連結子会社といたしました。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

(第三者割当増資の引受、株式取得及び簡易株式交付による株式会社メロンの子会社化)

当社は、2025年2月3日開催の取締役会において、株式会社メロン(以下「メロン社」といいます。)の株式に関し、第三者割当増資の引受、既存株主から発行済株式を一部取得するとともに、当社を株式交付親会社、メロン社を株式交付子会社とする簡易株式交付(以下「本株式交付」といいます。)を行うことを決議し、同日付で総数引受契約及び株式譲渡契約並びに株式交付契約を締結いたしました。本株式交付は、会社法第816条の4第1項の規定に基づき、当社の株主総会の承認を必要としない簡易株式交付の手続きにより行いました。また、2025年2月20日付で第三者割当増資の引受が完了し、2025年4月1日付で株式取得及び簡易株式交付の手続きが完了し、これによりメロン社の発行済株式の51.00%を取得し、同社を当社の連結子会社といたしました。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

 

6【研究開発活動】

当社グループは、研究開発企業集団として、市場及び技術動向を的確にとらえるとともに、データ交換系ミドルウエア等の企業の業務プロセスを支える基盤型ソフトウエア製品を中心とした開発を独自に行っており、当該分野における市場優位性を確立、強化することを目的に、研究開発活動に注力しております。

当連結会計年度の研究開発費の総額は280百万円(前年同期比6.9%増)となっており、主な内訳は、研究開発部門の人件費及び開発外注費であります。前事業年度から増加しておりますが、これは、「ACMS Apex」をベースとしたEDIプロトコルによる対外接続と業務システム間連携を統合した、クラウド型データ連携プラットフォーム「ACMS Cloud」の開発に重点的に取り組んだことによるものであります。また、既存製品であるエンタープライズ・データ連携プラットフォーム製品「ACMS Apex」及びデータハンドリングプラットフォーム製品「RACCOON」に国際標準規格ISO20022(※)に準拠したフォーマットでの外国送金に対応した「ISO20022対応外国送金」オプションを追加いたしました。

当社グループは、開発の効率化による生産性の向上を図りつつ、引き続き、最新の技術動向の調査・研究を推進し、企業価値向上に資する新たな市場の開拓を行い、製品・サービスの開発・提供を実施してまいります。特に、クラウドサービスやAI技術を活用した新たなデータ連携ソリューションの開発に注力し、グループ各社の技術を結集した次世代データ連携プラットフォームの構築を進めていく方針であります。

 

当連結会計年度における主要な研究開発活動の内容は、以下のとおりであります。

 

クラウド型データ連携プラットフォーム(ACMS Cloud)

・月間稼働率99.5%の信頼性、4,000トランザクション/時間の処理性能を有するデータ連携基盤の構築

・時系列解析や生成AIとの連携を見据えた運用監視機能の内製化

・カスタマーサポート、コミュニティサイト、ACMS Apexをワンストップでアクセス可能とし、多要素認証といった強固なセキュリティを具備するユーザーコンソールの新規開発

・ITILをベースとしたサービス運用維持業務の設計、開発

 

エンタープライズ・データ連携プラットフォーム製品(ACMS Apex)

・「ISO20022対応外国送金」オプションの追加

・新たなOSへの対応

・新たなJavaへの対応

・バージョンアップされた各種商用データベースソフトへの追随対応

 

データハンドリングプラットフォーム製品(RACCOON)

・「ISO20022対応外国送金」オプションの追加

・フォーマット変換の処理速度を向上

・バージョンアップされた各種商用データベースソフトへの追随対応

 

なお、当社グループの事業は、ソフトウエア製品の開発・販売・保守等及びこれらソフトウエア製品の導入や運用を支援するサービスの提供を行う単一セグメントのソフトウエア関連事業であるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(注)※ ISO20022

ISO20022とは、金融通信メッセージフォーマットの国際標準規格。データフォーマットにXMLをベースとしており、従来の金融メッセージングシステムよりも多くの情報を包含できることが特徴。銀行間や企業間の取引において、より透明性が高く、追跡しやすい取引を可能にし、マネーロンダリング対策が講じやすくなるなどのメリットがある。