文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「Sansanのカタチ」と称する企業理念において、「出会いからイノベーションを生み出す」というミッション(注)を掲げています。このミッションの下、企業やビジネスパーソンが抱えるさまざまな課題の解決につながるサービスを生み出すことを目指して事業活動に取り組んでおり、これらの活動が株主価値及び企業価値の最大化につながると考えています。
(注)当社グループのミッションは、以下のとおりです。
「出会いからイノベーションを生み出す」
いつの時代も、世界を動かしてきたのは人と人の出会いです。
私たちは出会いが持つ可能性を再発見し、
未来につなげることでビジネスを変えていきます。
イノベーションにつながる新しい出会いを生み出す。
出会いの力でビジネスの課題にイノベーションを起こす。
そして、名刺からはじまる出会い、そのもののあり方を変えていきます。
(2)目標とする経営指標
Sansan事業においては、売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するため、契約件数や契約の継続率(解約率)等を重要指標としています。また、Eight事業においては、ユーザーネットワークの構築・拡充を目的として、ユーザー増加数等を重要指標として運営を行っています。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループの事業や事業領域には次のような特徴があり、これらに基づいて中長期的な経営戦略を立案しています。
①名刺の持つユニークな価値と市場機会
名刺は、ビジネスの出会いのシーンで交換される慣習が根強く、そこには、氏名や所属する会社、組織、役職、連絡先等のビジネスパーソンを表す正確な情報が記載されています。また、名刺交換の履歴情報自体にもユニークな価値があるほか、現在でも紙のままで日常的に利用されていてデジタル化が進んでおらず、業務効率化や有効活用の余地が大きく残されていると考えています。
当社が2007年の創業当時から手掛ける、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」は、名刺管理サービス市場を自ら創り上げてきたことで、当該市場で81.9%(注1)のシェアを有しており、パイオニアとして市場をリードしています。また、2012年に開始した名刺アプリ「Eight」のユーザー拡大とあわせて、当社及び当社サービスのブランド認知度は高まっているものと考えています。
しかしながら、日本国内に存在する企業数や従業者数でみた場合には、「Sansan」のカバー率は未だ低水準です。例えば、国内における総従業者数に占める「Sansan」利用者数の割合は、約1%程度に留まっており、利用者数ベースでは潤沢な開拓余地が残されていると考えています(注2)。加えて、働き方改革やデジタル・トランスフォーメーション(注3)の加速によって、名刺に対するクラウド管理ニーズが後押しされる可能性も高いものと捉えています。
(注)1.株式会社シード・プランニング「名刺管理サービスの市場とSFA/CRM関連ビジネス」(2018年11月)より引用
した2017年の金額シェアベースの値
2.2019年5月期末における「Sansan」合計ID数を分子とし、分母となる国内の総従業者数は、総務省統計「2016
年経済センサス活動調査」をもとに算出
3.クラウドやモバイル等のテクノロジーを利用した新しい製品やサービス、更には経営の在り方やビジネスプ
ロセス等により、企業をより良い方向に変化させるという概念
②ビジネス・プラットフォームとしての価値
当社グループの提供する「Sansan」と「Eight」は、業界や職種を問わず数多くのビジネスパーソンがあらゆるシーンで活用するサービスとなっています。名刺管理という極めて基本的なビジネスニーズと、そこに自律的に蓄積されるデータや情報が土台となっていることから、他のサービスやデータベースとの連携性・拡張性が高く、ビジネスにおけるプラットフォームになり得る要件を兼ね備えているものと捉えています。したがって、ビジネス・プラットフォームとしての価値を高めていくことで、さまざまなビジネス機会にアクセスしやすいという特徴を有していると考えています。
③名刺データ化精度99.9%を実現する仕組みとテクノロジー
名刺管理サービスにおける名刺データ化の精度は、サービスの本質的な品質・競争力に資するものであり、「Sansan」では99.9%の精度を、そして「Eight」でもそれに準ずる高い精度を有しており、事業共通の強みとしています。当社グループのサービスでは、機械学習等によって日々進化するテクノロジーと、人力の組み合わせによって名刺のデータ化を行っており、創業以来、人力による名刺データ入力を中心に、膨大な名刺をデータ化してきたことで、現在では、大量の名刺を正確かつ効率的にデータ化する独自システムの開発・運営が可能となりました。この技術力と独自の仕組みが競争力の源泉であり、継続的なサービス品質・競争力の向上に向けて、新技術の開発やオペレーションの改善を追求し続けています。
④高い安定性を誇る財務・収益モデル
当社グループの「Sansan」の課金モデルは、継続収入が見込めるサブスクリプションモデル(月額課金)が中心であることから、安定的かつ継続的な事業進捗が見込める収益モデルです。また、サービスの月次解約率は直近12か月平均で1.0%以下に留まっており、契約当たり売上高の拡大に努めることで、顧客LTV(ライフタイムバリュー)の最大化を推進しやすい魅力的なモデルであると捉えています。
具体的な当社グループの経営戦略は、以下のとおりです。
(ⅰ)Sansan事業の更なる成長
マーケティング活動から新規受注までの一連の業務プロセスが確立し、安定的な成長を続けていますが、今後の更なる成長に向けて積極的な施策を実施していきます。大企業向け営業体制の確立や国内外の拠点を通じた広範な営業活動の展開等により、契約件数の拡大に取り組みます。同時に、ユーザー企業の全社員によるサービス利用(全社利用)を前提とした大型契約の獲得や既存顧客の利用拡大の促進、新たな付加価値を提供するサービスの推進等によって、契約当たり売上高の拡大にも取り組んでいきます。
(ⅱ)Eight事業のマネタイズ(収益化)
一部利用機能を拡充した個人向け有料サービス「Eightプレミアム」を展開していますが、事業全体でのマネタイズを加速すべく、「Eight」における名刺共有を企業内で可能にするサービスである「Eight 企業向けプレミアム」や「Eight」のユーザーに対して広告配信が可能な「Eight Ads」、転職潜在層のユーザーにアプローチが可能な採用関連サービス「Eight Career Design」といった企業向け有料サービスの開発・展開に注力していきます。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループの対処すべき主な課題は以下のとおりです。
①優秀な人材の採用と育成
当社グループの持続的な成長のためには、多岐にわたる経歴を持つ優秀な人材を多数採用し、営業体制や開発体制、管理体制等を整備していくことが重要であると捉えています。当社グループのミッションや事業内容に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用していくために、積極的な採用活動を進めるとともに、高い意欲を持って働ける環境や仕組みの構築に取り組んでいきます。
②情報管理体制の継続的な強化
当社グループは多くの個人情報を扱っており、情報管理体制を継続的に強化していくことが重要であると考えています。現在も個人情報保護に係る施策には万全の注意を払っていますが、今後も社内体制や管理方法の強化・整備を行っていきます。
③技術力の強化
名刺データ化等に係る技術力は当社グループの競争力の源泉であり、Sansan事業及びEight事業の成長を支える共通基盤でもあることから、継続的な改善、強化が重要であると考えています。優秀な技術者の採用や先端技術への投資・モニタリング等を通じて、技術力の向上に取り組んでいきます。
④Eight事業のマネタイズ(収益化)
上記「(3)中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおり、事業全体でのマネタイズを加速すべく、企業向け有料サービスの開発・展開に更に取り組んでまいります。
以下において、当社グループの事業及び財務・経理の状況等に影響を及ぼす事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しています。当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社グループの株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えています。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
(1)インターネットの利用環境について
当社グループはインターネット関連事業を主たる事業対象としているため、インターネットの利用環境は当社グループ事業の基本的な条件です。インターネットの利用に関する新たな規制の導入や弊害の発生、その他予期せざる要因により、今後、インターネットの利用環境に大きな変化が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)クラウド事業について
クラウドとは、アプリケーション機能をインターネット経由で提供するサービスで、ソフトウェア販売における新しい方法・概念として認知され、浸透が進みつつあります。その一方で、今後クラウドを扱う企業レベルの競争も激化する可能性があります。このような事業環境のもとで、他社においてより画期的なコンセプトをもった商品・サービスが出現した場合、又はクラウド自体の需要が当社グループの予測を大きく下回る場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)競合について
当社グループは、機械学習等によって日々進化するテクノロジーと、人力の組み合わせによって名刺のデータ化を行っていますが、創業以来、大量の名刺を正確かつ効率的にデータ化する独自のシステムの開発・運営をし続けてきたことが競争力の源泉となっています。しかしながら、既存事業者との競争の激化や、新たな参入事業者の登場により競争が激化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)技術革新への対応について
当社グループは新技術の積極的な投入を行い、適時に独自のサービスを構築していく方針ですが、技術革新等への対応が遅れた場合や、予想外に開発費等の費用が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)広告宣伝活動等の先行投資について
当社グループの手掛ける事業では、先行者メリットを活かしつつ売上高拡大を目指すため、広告宣伝活動や開発活動、営業体制の強化等において一定の先行投資が必要となります。特に、当社グループの知名度を高めるためのテレビコマーシャル等を中心とした広告宣伝投資は、新規ユーザー獲得に直接的に寄与することから、これまでも積極的に実施しています。
しかしながら、その結果として2018年5月期及び2019年5月期においては営業損失を計上しているほか、累積損失を抱えています。また、今後の広告宣伝活動について、その費用対効果を見ながら慎重に行っていく方針ではありますが、広告宣伝投資を縮小する場合には、新規受注や新規ユーザーの獲得に影響が出る可能性があり、広告宣伝投資の方針によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、2018年5月期における広告宣伝費は4,478,273千円、人件費は1,689,398千円、営業損失は3,061,454千円です。また、2019年5月期における広告宣伝費は2,831,283千円、人件費は2,411,237千円、営業損失は849,739千円です。
(注)人件費は、給料手当及び賞与並びに賞与引当金繰入額の合計額です。
(6)Eight事業について
当社グループのEight事業は、無料アプリをベースとした個人向け事業を運営していますが、過年度においては広告宣伝活動等を含む先行投資を実施した結果、前連結会計年度及び当連結会計年度においてセグメント損失を計上しています。
現在、Eight事業においては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)事業上及び財務上の対処すべき課題 ④Eight事業のマネタイズ(収益化)」に記載のとおり、有料サービスの開発・展開に注力していますが、今後ユーザーの獲得やマネタイズ(収益化)方策の進捗等が計画通りに推移しない場合には、Eight事業の黒字化が遅滞し、当社グループの事業及び業績に影響が及ぶ可能性があります。特に、企業向けのマネタイズメニュー(Eight 企業向けプレミアム、広告サービス、採用関連サービス)に関しては、サービス立ち上げ後の過程にあるため、過年度の業績のみでは今後の業績を判断する情報としては不十分な可能性があります。
(7)海外展開について
当社グループは、高い成長を実現するため海外展開を進めていく方針ですが、海外における名刺に関わる商習慣や事業環境の差異等を含め、国内における事業展開以上に高いリスクが存在することは否めず、そのリスクに対応しきれない場合や国内と比較してマーケットの開拓や収益化が想定通り進まない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)個人情報の取り扱いについて
当社グループは、当社グループ従業員の個人情報に加えて、当社グループが提供するサービスにおいてユーザーの個人情報、更にはユーザーが保有する第三者の個人情報に関与するケースがあります。当社グループは個人情報の取り扱いに関する重要性を十分に認識し、個人情報保護マネジメントシステムを構築・運用し、個人情報の管理に最大限の注意を払っており、また、2005年4月に全面施行された「個人情報の保護に関する法律」や、当局となる個人情報保護委員会が制定した「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」の要求事項の遵守に努めています。当社は、2007年10月、「個人情報保護マネジメントシステム‐要求事項(JISQ15001:2006)」を満たす企業として、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)より「プライバシーマーク」付与の認定を受け、その後2007年11月12日より2年毎に登録を更新しています。更に当社グループは、全従業員に一般財団法人全日本情報学習振興協会が認定する個人情報保護士の資格取得を強く推奨しています。
また、個人情報の取り扱いについては、国内の法令のみならず、EU一般データ保護規則(GDPR)をはじめとする海外における法令や規則(以下、「海外法令等」という)の適用を受けることがあります。当社グループでは適用可能性のある地域について現地法律事務所等を通じて必要な調査を実施し、加えて海外法令等の動向調査レポート等を利用する等して、海外法令等の情報を適宜収集し、これらを踏まえた必要な対策を講じています。
当社のサービスの提供に際しては、名刺のデータ化業務の一部を当社の責任において第三者となる業務委託先に再委託する場合があります。その場合においても、国内の法令及び海外法令等を遵守し、適切かつ合理的な方法で業務委託先の安全管理を行っています。
しかしながら、上記の取り組みにも関わらず、自然災害や事故、外部からの悪意による不正アクセス行為及び内部の故意又は過失による顧客情報の漏洩、消失、改ざん又は不正利用等、万一当社グループ又は当社グループの業務委託先から個人情報が漏洩した場合には、信用の失墜又は損害賠償による損失が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)法令について
当社グループは、電気通信事業法はもとより、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」等、企業活動に関わる各種法令の規制を受けています。また、今後国内において新たにプライバシー関連法規の制定やインターネット関連事業者を規制する新たな法律等による法的規制の整備が行われる可能性があります。更に、インターネットは国境を超えたネットワークであるため、海外諸国からの法的規制による影響を受けることも想定されることから、それらが将来的に当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)設備及びネットワークの安定性について
当社グループの事業を支えるサーバは、当社グループが契約するクラウドサービスプラットフォームで管理され、複数のサーバによる負荷の分散、定期的なバックアップの実施等を図り、システム障害を未然に防ぐべく取り組みを行っています。障害が発生した場合に備え、リアルタイムのアクセスログチェック機能やソフトウェア障害を即時にスタッフに通知する仕組みを整備し、また、障害が発生したことを想定した復旧訓練も実施しています。
しかしながら、上記の取り組みにも関わらず、火災、地震等の自然災害や外的破損、人的ミスによるシステム障害、その他予期せぬ事象の発生により、万一、当社グループの設備及びネットワークの利用に支障が生じた場合には、サービスの停止等を余儀なくされることとなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)システムインフラ等への投資について
当社グループは、事業の拡大に応じて、システムインフラ等への投資を実施、計画していますが、当社グループの想定を超える急激なユーザー数やアクセス数の増加や、インターネット技術の急速な進歩に伴い、予定していないハードウェアやソフトウェアへの投資等が必要となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)サービス等の不具合について
一般的に、高度なソフトウェアは不具合の発生を完全に解消することは不可能であると言われており、当社グループのアプリケーション、ソフトウェアやシステムにおいても、各種不具合が発生する可能性があります。
今後も信頼度の高い開発体制を維持・構築してまいりますが、当社グループ事業の運用に支障をきたす致命的な不具合が発見され、その不具合を適切に解決できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)知的財産権の侵害等について
当社グループで開発・設計しているソフトウェアやプログラムは、当社グループが独自に開発・設計したものであり、当社グループは特許権侵害の調査等を、特許事務所を通じて行っています。
更に、当社グループはサービスの名称等について商標の出願、登録を行う等、第三者の商標権を侵害しないように留意しています。一部の商標については、第三者が類似商標を登録している等の理由により、商標の登録が承認されていないもの等がありますが、これらについては当社グループとして必要な対応を行っているものと認識しています。
しかしながら、第三者から特許権侵害や商標権侵害を理由とする損害賠償請求や差止請求を受ける可能性は完全には否定できず、その場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが保有している知的財産権が第三者により侵害された場合には、法的措置を含めた対応を要するなど、当社グループの事業運営に影響が及ぶ可能性があります。
(14)経営管理体制の確立について
当社グループは、業容の拡大及び従業員の増加に合わせて内部管理体制の整備を進めており、今後も一層の充実を図る予定ですが、適切な人的・組織的な対応ができずに、事業規模に応じた事業体制、内部管理体制の構築が追いつかない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)人材の育成及び確保について
当社グループは、積極的に優秀な人材を採用し、社内教育等を行うことによって体制の拡充を図っています。しかし、適切な人材を十分に確保できず、あるいは在職中の従業員が退職するなどした場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、Sansan事業においては、今後の事業拡大に向け、特に営業人員の確保が必要となりますが、採用が計画どおり進まなかった場合、あるいは営業人員の流出が生じた場合には、事業拡大の制約となり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)特定の人物への依存について
当社代表取締役である寺田親弘は、当社の設立者であるとともに、大株主であり、経営方針や事業戦略の決定において重要な役割を果たしています。このため、当社グループは、同氏に過度に依存しない体制を作るために、取締役会等における役員間の相互の情報共有や経営組織の強化を図っています。しかし、現状において、何らかの理由により同氏が当社グループの業務を継続することが困難になった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(17)名刺及び名刺交換の位置づけについて
当社グループの提供するサービスは、名刺交換というビジネスシーンにおける慣習に依存しています。名刺交換という商習慣の変化及び技術革新等によって、名刺交換の重要性や名刺そのものの価値、文化的背景、顧客企業における名刺管理ポリシーや社会通念上の位置づけ等に変化が生じる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(18)インセンティブの付与について
当社グループは、役員及び従業員のモチベーション向上のためストック・オプションを付与してきており、本書提出日の前月末現在(2019年7月31日)、その数は980,596株、発行済株式総数の3.16%となっています。今後も、役員及び従業員のモチベーション向上のため、ストック・オプションの導入等インセンティブプランを継続する方針です。なお、これらストック・オプションが行使された場合、既存株主の株式価値を希薄化させる可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①経営成績の分析
当社グループは、名刺管理をはじめとした、さまざまなソリューションサービスの提供により、「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションを掲げ、事業活動を展開しています。
当連結会計年度においては、継続的な売上高の成長の実現に向け、人材採用をはじめとした営業体制の強化やテレビコマーシャルを中心とした広告宣伝活動等に取り組みました。
この結果、Sansan事業及びEight事業ともに順調に業績が拡大し、当連結会計年度における売上高は10,206,014千円(前年同期比39.3%増)、売上総利益は8,608,441千円(前年同期比46.2%増)、売上総利益率は84.3%(前年同期比3.9ポイント増)となりました。一方、営業損益以下の段階損益においては、現在は成長の実現に向けた先行的な投資を行っているフェーズであることからそれぞれ損失を計上しており、営業損失849,739千円(前年同期は営業損失3,061,454千円)、経常損失891,689千円(前年同期は経常損失3,077,015千円)、親会社株主に帰属する当期純損失945,539千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失3,085,890千円)となりました。しかしながら、Sansan事業及びEight事業の成長が継続したことや、主にEight事業における広告宣伝費が前年同期比で減少したこと等により、各段階損失は前年同期と比較して縮小しました。
また、事業展開の更なる強化や加速を目的に、2018年12月には3,000,000千円の資金調達(第三者割当増資)を行いました。
セグメント別の業績は以下のとおりです。
(ⅰ)Sansan事業
法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」における契約件数及び契約当たり売上高の更なる拡大に向け、営業人員の採用をはじめとした営業体制の強化やテレビコマーシャルを中心とした広告宣伝活動等に継続的に取り組みました。また、2019年3月には、プロダクトコンセプトを「名刺管理から、ビジネスがはじまる」に刷新し、各種機能の改善やデザインのリニューアルを行う等、製品力の向上に努めました。この結果、当連結会計年度末における「Sansan」の契約件数は5,823件(前年同期比13.1%増)、直近12か月平均の月次解約率は0.66%(前年同期比0.1ポイント減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は9,639,479千円(前年同期比36.8%増)、セグメント利益は2,909,507千円(前年同期比102.4%増)となりました。
(ⅱ)Eight事業
個人向け名刺アプリ「Eight」におけるユーザー数の拡大に継続的に取り組むとともに、事業全体としての本格的なマネタイズを加速すべく、企業向けサービスの展開強化や新サービスの開発等に注力しました。2018年12月にはiOS版、2019年3月にはAndroid版のアプリにおけるアップデートを実施し、ユーザーの利便性向上等に努めた結果、当連結会計年度末におけるユーザー数は244万人(前年同期比30万人増)となりました。また、企業向けの新サービスとして、2018年9月に企業の課題解決を後押しするビジネスイベント「Meets」の提供を開始したほか、2019年1月には採用関連サービス「Eight Career Design」の提供を開始しました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は566,535千円(前年同期比102.8%増)となりました。セグメント損益については、現在は将来の収益化に向けた先行的な投資を行っているフェーズであることから、セグメント損失1,212,980千円(前年同期はセグメント損失2,964,347千円)を計上した一方、ユーザー数の拡大を目的に広告宣伝活動を強化した前年同期と比較して、損失額が大きく縮小しました。
②財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は9,079,116千円となり、前連結会計年度末に比べ3,780,090千円増加しました。これは主に、2018年12月に実施した資金調達(第三者割当増資)等による現金及び預金の増加2,081,017千円に加え、取得による投資有価証券の増加1,093,800千円によるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は5,706,151千円となり、前連結会計年度末に比べ1,719,648千円増加しました。これは主に顧客企業から契約期間分の料金を一括で受領すること等による前受金の増加1,125,149千円によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産額は3,372,965千円となり、前連結会計年度末に比べ、2,060,441千円増加しました。これは、主に2018年12月に実施した資金調達(第三者割当増資)による資本金及び資本剰余金の増加3,000,000千円、親会社株主に帰属する当期純損失の計上による利益剰余金の減少945,539千円によるものです。また、2018年8月21日開催の定時株主総会決議に基づき、累積損失の早期解消による今後の柔軟かつ機動的な資本政策を実現するために、資本金1,851,627千円及び資本剰余金1,443,034千円を減少し、利益剰余金に振り替えています。
③キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、5,468,495千円となり、前連結会計年度末に比べ1,922,476千円増加(前年同期比54.2%増)しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,072,808千円(前年同期は1,609,791千円の使用)となりました。主な資金増加要因は、非現金支出となる減価償却費の計上459,657千円、前受金の増加1,125,161千円等であり、主な資金減少要因は、税金等調整前当期純損失の計上937,602千円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は2,282,733千円(前年同期比236.1%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出316,310千円、無形固定資産の取得による支出574,297千円、投資有価証券の取得による支出1,093,800千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は3,132,304千円(前年同期比18.1%減)となりました。これは主に、第三者割当による新株式の発行による収入2,989,470千円によるものです。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、提供するサービスについて生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしていません。
b.受注実績
当社グループは、受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績に関する記載は省略しています。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2018年6月 1日 至 2019年5月31日) |
前年同期比(%) |
|
Sansan事業(千円) |
9,639,479 |
136.8 |
|
Eight事業(千円) |
566,535 |
202.8 |
|
合計(千円) |
10,206,014 |
139.3 |
(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しています。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、会計上の見積りを行っていますが、見積りの不確実性により、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しています。
③資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、認知度の向上及びユーザー数の拡大をすべく、積極的に広告宣伝活動を実施してまいりましたが、今後も広告宣伝投資を継続して実施する方針です。当社グループの資金需要の一定割合は広告宣伝投資であり、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としています。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行う予定です。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」をご参照下さい。
⑤経営者の問題意識と今後の方針に関して
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。
該当事項はありません。
該当事項はありません。