第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は、以下のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

《ミッション》

「すべての人を、創造する人に。」

すべての人が創造性を発揮し、人の数だけ世界を変えていく。

チームスピリットは、変化を巻き起こす機会を創る会社であり続けます。

 

《ビジョン》

「個を強く。チームを強く。」

一人ひとりの挑戦するチカラに加速力をもたらし、一人ひとりが主人公となって動く。

強い「個の集団」が生まれ、あらゆる壁を超えていく世の中を実現します。

 

《コアバリュー》

Customer Value
  お客様自身が気付いていない価値の創造にこだわります
Team Spirit
  誠実にリスペクトの気持ちを持って、関係者と貢献の輪を創ります
Innovation
  理想のビジョンを描き、光速で実験し、失敗から学びます
Re:Start-up
  毎日スタートアップ初日に戻り、未知を探索します

 

 当社グループはこのようなミッション、ビジョン、コアバリューにより「働く人の創造的な時間を生み出し、チームの力を最大限引き出す」ことを基本方針に、「お客様の成功」を判断基準として経営しております。

 

《経営方針》

今、DXという大きな波が押し寄せています。DXはITを活用した単なる業務の効率化ではなく、デジタル技術を駆使してビジネスの仕組みを変革することを意味しています。時代の変化に対応し新しい挑戦を続けることは、全ての企業にとって最も根源的な経営課題であります。

 当社グループも、創業当時の受託開発型ビジネスから現在のSaaSビジネスへ移行するという「強烈な変化」を体験しました。「変化を恐れるのでなく、自ら変化を創り出す」ことが当社グループの経営方針の根幹です。

 当社グループが提供するサービスは、多くのお客様によって支えられています。また、安定的に事業を持続・拡大できるのは株主の皆様のご理解・ご支援があってのものです。従業員が成長し創造的に仕事に取り組むことがサービスの進化につながり、それがお客様と当社グループの成功につながり、企業価値の向上を通じて株主の皆様に利益を還元していく、この循環を持続して全てのステークホルダーの成功を実現していくことが当社グループの経営方針です。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループのSaaS事業は、サブスクリプション型リカーリングレベニューモデルであるため、ARR及び契約ライセンス数を増加させ解約率を低位に留めることで、売上高及び利益の成長を実現し、継続的な企業価値の向上と株主への利益還元を目指します。

 

(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

 我が国は、少子高齢化による労働力人口の減少という大きな社会課題に直面しており、多くの日本企業にとって生産性の改善や多様な人材が活躍できる労働環境の整備が重要な経営課題となっています。加えて、テレワークやハイブリッドワークが急速に広まったことで、働き方そのもののパラダイムシフトが起こり、高度な労務管理や働き方の可視化による生産性の改善の重要性は今後もさらに高まっていくものと考えております。

 

 このような状況の中で、当社グループはQoW(Quality of Work = 「働くコト」の質)の向上を実現するためのツールやソリューションの市場が急拡大すると考えており、幅広い業種や規模の企業の「働くコト」を巡る経営課題の解決に貢献するべく、当社主力サービスであるERPフロントウェア「チームスピリット」をさらに強化し、営業活動を拡大していく方針であります。特に、エンタープライズ企業のフロントウェア領域で現在主流となっている、手組みのスクラッチシステムやカスタマイズされたパッケージシステムを「チームスピリット」でリプレイスしていく「エンタープライズ市場開拓」を中期的な経営戦略として位置付けております。

 

 なお、このような経営環境における当社グループの商品、ビジネスモデルは「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載しております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループが提供するサービスは、ポストコロナ時代の多様な働き方への対応やDXの推進による生産性の改善といった、「働くコト」を取り巻く企業の課題意識の高まりを背景に、今後もますますの需要増加が期待されます。当社グループのさらなる成長を実現するため、優先的に対処すべき課題は以下のとおりであります。

 

①エンタープライズ市場の拡大

 当社は、「エンタープライズ市場開拓」を成長戦略の柱に据えて、製品開発、マーケティング、営業の各領域に積極的な投資を行っております。2023年8月期においても、従業員1,000名超の複数のエンタープライズ企業から新規受注を獲得し、エンタープライズ市場開拓は着実に前進しております。同戦略を成功させることが中長期的な企業価値・株主価値の向上に資すると考えており、費用対効果の検証を行いながら、戦略的に先行投資を増大させていく方針です。

 

②ミッド・スモール市場の成長再加速

 ミッド・スモール市場には多くの競合が存在しており、足もとの成長率はやや鈍化傾向にあります。運用利便性を向上させるUIの改善や継続的な機能強化及び新機能のリリースに加え、インサイドセールスやWebマーケティングの強化等、ミッド・スモール市場の成長を再加速させるために各種施策を推進してまいります。また、カスタマーサクセスの継続的な強化を行い、解約率の削減にも取り組んでおります。

 

③優秀な人材の確保と育成

 当社グループの中長期的な企業価値の向上に向けて、優秀で意欲的な人材を採用し、その定着を図ることは経営基盤を強固にしていくために非常に重要な課題であると認識しております。当社グループとしては積極的な採用活動を継続するとともに、適切な目標管理と人事評価を行い、優秀な人材の確保と活用に努めてまいります。また、従業員の職位、職務に応じた適切な研修を積極的に行い、人材の教育・育成を進めてまいります。

 

④「チームスピリット」の知名度向上と契約ライセンス数の拡大

 当社グループが提供する「チームスピリット」は、2023年8月末時点で契約ライセンス数456,716ライセンス、契約社数1,800社と、クラウド・IT業界で一定の知名度を構築できているものと考えておりますが、日本国内企業の従業員数と当社契約ライセンス数を比較した場合、そのシェアは約1%程度と未だ低水準であり、大きな拡大余地が残されております。一層の認知拡大のために、戦略的かつ積極的なPR・マーケティング活動、セールス活動に取り組んでまいります。

 

⑤中長期的な収益性の向上と安定したキャッシュ・フローの創出

 当社グループは、中長期的なARR成長のために製品開発、マーケティング、営業の各領域に積極的な先行投資を進めており、2024年8月期は営業損失を計上する見通しとなっております。「エンタープライズ市場開拓」を成功させることで、中長期的な収益性の向上と安定したキャッシュ・フローの創出を目指してまいります。なお、先行投資に関しては、その費用対効果を見極めながら規律を持った投資を行い、2026年8月期において営業利益率15%以上を目指していく方針です。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものです。

 

 当社グループは、「すべての人を、創造する人に。」をミッションに掲げ、「働くコト」の質を向上させて労働生産性を改善するという大きな社会課題の解決を目指しています。当社グループが持続的に高品質なサービスを提供し企業価値を向上させていくために、サステナビリティへの取組を重要な経営課題と位置づけ、社会全体の持続的な発展と当社グループの成長のために様々な課題に対し積極的かつ優先的に対応をしてまいります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループのサステナビリティ上の重要な課題やリスクについては、取締役会の監督の下、執行役員会や各種委員会等で対応方針や取り組み内容を審議し決定しています。

 

(サステナビリティ上の重要な課題の検討・審議に関連する主な会議体)

会議体

開催頻度

主な構成メンバー

主な役割

取締役会

原則月1回

取締役、執行役員、内部監査担当

サステナビリティに関する取り組み全般の監督

監査等委員会

原則月1回

取締役、内部監査担当

重要な課題に関する審議

指名委員会

報酬委員会

適宜

取締役

経営層及び中核人材のサクセッションプランの推進と報酬の適正化に関する審議

執行役員会

原則月2回

取締役、執行役員等

重要な課題に関する審議・決議

衛生委員会

毎月1回以上

COO、人事・労務・総務、衛生委員、産業医

労務管理、職場衛生環境の整備に関する報告・審議

コンプライアンス委員会

半期毎

CEO、COO、監査等委員会議長(社外取締役)、執行役員、法務

コンプライアンス・内部統制に関する報告・審議

 

(2)戦略

 当社のグループのサステナビリティを実現するため、第1企業の概況 3事業の内容に記載した《サブスクリプション型リカーリングレベニューモデル》をビジネスモデルとして採用しております。

 また、中期経営目標としては「2026年8月末時点におけるARR70億円以上、営業利益率15%以上」を掲げており、これを実現するために次の3点を重要な成長戦略として位置付けております。

①エンタープライズ市場開拓

②フロントウェア事業の総合力強化

③新市場・新事業領域の開拓

 

 これらを実現するために、サステナビリティ分野においては下記のテーマを重要な戦略と位置付けて重点的に取り組んでおります。

 

①人的資本

 当社グループが持続的に企業価値を向上していくためには、従業員一人ひとりが創造性を発揮し革新的なソリューションを提供し続けることが必要不可欠です。

したがって、当社グループは従業員一人ひとりを重要な資本として捉え、各々がその個性や能力を存分に発揮し自律的に成長できるように、多様性が尊重される組織風土の醸成や専門性を高めるための人材育成などの人的資本投資を継続的に実施してまいります。

 人的資本に関する主な取り組みは下記のとおりです。

 

テーマ

取組内容

多様性

年齢、性別、人種、障害等に捉われない雇用

リモート&オフィスのハイブリッドワーク推進

育児・介護等にフレキシブルに対応可能な雇用形態やフレックス制度

副業制度

新卒採用(2023年4月より第1期生が入社)

人材育成

専門性やベーススキル向上のための各種研修プログラム

充実した新入社員向けのオンボーディングプログラム

メンター制度

Salesforce資格取得支援

業務関連図書費の補助制度

従業員の健康と安全

「チームスピリット」を活用した適切な労務管理

健康診断、各種予防接種の補助制度

ストレスチェック、産業医と連携した従業員のメンタルケア

エンゲージメント&カルチャー形成

コミュニケーション活性化のための各種イベント

部活動制度

アワード制度

持株会制度

人権の尊重

人権方針を公表

https://corp.teamspirit.com/ja-jp/ir/esg_human_rights_policy

 

②情報セキュリティ

 当社グループのサービスを継続的に提供していくためには、情報セキュリティの強化が必要不可欠であります。当社では、ISO27001及びプライバシーマークを取得し、情報セキュリティを強固に保つために適正な管理・運用を行っております。また、情報セキュリティ及びプライバシー基本方針を定め、すべての役職者・従業員向けに社内研修を実施する等、情報セキュリティの強化のための施策に取り組んでいます。

 

③環境問題

 当社グループでは、持続可能な社会の実現に向けて、事業活動を通じた自然環境保護を推進してまいります。具体的には「チームスピリット」の提供を通じて、自社並びにユーザー企業のペーパーレス化やリモートワークの促進に貢献することで、不要な資源やエネルギーの使用を抑制し、社会全体の環境負荷軽減を目指してまいります。

 

(3)リスク管理

 当社グループでは、サステナビリティに関する重要な課題やリスクは、「第2事業の状況  3事業等のリスク」に記載している内容と同様であると捉えており、当該箇所にその内容を記載しております。

 サステナビリティ関連のリスク及び機会を上記の主な会議体において識別し、評価・管理しております。

 

(4)指標及び目標

 当社グループは、持続的な成長を実現するために、サステナビリティ分野における取り組みを積極的に行いつつ、経営状況やステークホルダーの要請に応じて開示項目の充実を検討してまいります。その中でもとりわけ重要度の高い人的資本に関連する指標・目標は次のとおりです。

 

項目

実績(%)

中期的な目標(注)1

管理職に占める女性労働者の割合(注)2

22.7

女性活躍の推進に向けた改善を促進する

労働者の男女の賃金の格差(注)2

75.2

男性労働者の育児休業等と育児目的休暇の取得率(注)2

80.0

取得対象者の100%取得を目指す

離職率(注)3

15.9

10%程度を目指す

(注)1.3~5ヵ年を想定しております。

2.詳細は第1企業の概況 5従業員の状況に記載しております。なお、実績について連結子会社が外国法人であるため提出会社のみ記載しております。

3.提出会社における直近2年間の平均値としております。

 

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営環境の変化について

 当社グループのSaaS事業は、企業を主要顧客としており、勤怠管理など顧客企業の従業員が毎日使用する機能を提供しています。国内外の経済情勢の変動や景気動向等を理由として直ちに契約が解約される性質の商品ではないため安定的な収益を見込んでおりますが、顧客企業のIT投資マインドが減退するような場合には、新規契約数が鈍化する可能性など、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)クラウド市場の動向について

 当社グループが事業を展開するクラウド市場は着実な成長を続けております。当社グループはこの市場成長傾向は継続するものと見込んでおり、その中で一定のシェアを獲得するべく、商品や営業組織の拡充を図っております。しかしながら、国内外の経済情勢の変動や景気動向等を理由として予期せずクラウド市場の成長が鈍化するような場合には、新規契約数の鈍化など、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)株式会社セールスフォース・ジャパンに関するリスク

 当社グループが顧客に提供しているアプリケーションは、株式会社セールスフォース・ジャパンが提供するクラウドプラットフォーム(Lightning Platform)上に構築されております。なお、同社との契約における解除条項は以下のとおり定められておりますが、現状で解除条項に抵触しておりません。

・相手方が本契約の重大な違反をして、違反のない当事者からの書面の通知の受領後30日以内に、その違反を是正しなかった場合。

・特定の四半期において、当社グループの有効なユーザー合計数が25%以上減少し、さらにその後2ヶ月連続して10%以上減少した場合。

・相手方に、解約しようとする当事者の直接競合者による支配権の変更があった場合。

・相手方が、破産又は、支払不能、管財人による財産管理、清算、債権者への財産譲渡に関するその他の手続の申し立ての対象となった場合。

 また、現状では株式会社セールスフォース・ジャパンに日本からの撤退の予定はなく、今後の契約関係も安定して継続する見込みであります。しかしながら、同社の経営戦略の変更により日本でのLightning Platformの提供が廃止・停止となった場合、Lightning Platformの機能に障害が発生して当社グループのアプリケーションに影響が生じた場合、Lightning Platformの競争優位性が失われた場合、Lightning Platform利用料(当社グループのプラットフォーム仕入価格)の引上げを要求された場合、同社とのOEMパートナー契約の解除事由に抵触し契約を解除された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)営業活動に関するリスク

 当社グループはこれまで、クラウド市場や働き方改革市場の拡大などを背景として事業の拡大をしてまいりました。今後は、より幅広い業種や事業規模の企業との契約を増やしていく予定でございますが、商談日数の長期化や段階的な導入などにより、売上計上時期が変動し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)想定を上回る解約が生じるリスク

 当社グループのSaaS事業は、サブスクリプション型リカーリングレベニューモデルであるため、顧客満足度を高めることで解約率を低く維持するための施策を行っております。しかしながら、顧客企業の利用状況や経営環境の変化などの理由により、毎年一定の解約が発生しております。予算及び経営計画には将来の解約を見込んでおりますが、想定を超える解約が発生した場合には、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(6)新規契約数の季節変動について

 当社グループの売上は顧客企業の人事及びIT予算により構成されるため、新規契約時期は顧客企業の予算策定スケジュール、システム刷新計画、人事部門の繁忙期などの影響を受けます。また、既存顧客における人員増加による追加契約時期については、多くの顧客企業の会計年度末である3月末前後となる傾向が見られます。したがって、季節に依らず契約数が推移する業種に比べて、顧客毎の年間スケジュールに依存するほか、契約の獲得件数の変動が大きく下振れ幅が顕著な場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
 

(7)競合について

 当社グループが提供する勤怠管理や経費精算等のフロントウェアソリューション領域においては、特にミッド・スモール市場を中心に多くの競合企業が存在しておりますが、当社グループのサービスは単一機能を提供することに止まらず、勤怠管理、就業管理、工数管理、経費精算、電子稟議、カレンダー、SNSといった従業員が日々利用する機能をひとつに集約することで、複合的な視点で従業員の活動記録(ワークログ)をリアルタイムに可視化し、より効率的で生産的な働き方を実現することを目指しております。また、より幅広いお客さまニーズに対応するため、2023年9月にサービスラインナップを刷新し単機能プランを新設しました。

 エンタープライズ市場においては手組みのスクラッチシステムやカスタマイズされたオンプレ型のパッケージシステムの利用が主流となっており、当社と同じクラウドサービスの競合企業はミッド・スモール市場と比較しても少ない状況です。しかしながら、競合企業の技術力の向上や予期しないサービスの登場などにより、現在以上に競争が激化する場合には、新規契約数の鈍化や既存契約先の解約数増加など、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)単一事業であることのリスク

 当社グループの売上は、「チームスピリット」とその関連サービスで構成されており、SaaS事業の単一事業となっております。国内の労働力人口の現象により、企業の生産性向上に寄与するシステムに対する需要の成長傾向は継続するものと見込んでおりますが、当該市場の成長が鈍化するような場合、事業環境の変化等への対応が適切でない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)海外子会社について

 当社グループは、2017年11月に海外子会社(シンガポール)を設立し、現在は開発業務を中心に事業を行っておりますが、現地の法令、制度・規制、社会情勢等のカントリーリスクが顕在化し、円滑な事業展開を行うことが困難になった場合、当社グループの経営成績及び事業活動に影響を与える可能性があります。

 

(10)人材の確保について

 当社グループのビジネスの成長持続には、優秀なエンジニア、コンサルタント及びセールス人材を安定的に確保することが重要と認識しております。当社グループでは継続的に従業員の採用及び教育を行っておりますが、従業員の採用及び教育が計画どおりに進まないような場合や人材流出が進むような場合には、サービスの円滑な提供及び積極的な受注活動が阻害され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)訴訟について

 本書提出日現在において、重大な訴訟を提起されている事実はございません。しかしながら、当社グループが事業活動を行う中で、顧客等から当社グループが提供するサービスの不備、アプリケーションの不具合、個人情報の漏洩等により、訴訟を受けた場合には、当社グループの社会的信用が毀損し、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)知的財産権に係る方針について

 当社グループは、販売する商品の名称につき、商標登録を行っており、将来展開を計画している商品についても商標権の取得を目指す方針であります。当社グループの保有する知的財産権を保護するために細心の注意を払うと共に、他社の知的財産権を侵害しないように顧問弁護士等と連携し必要な措置を講じてまいります。ただし、当社グループの知的財産権の侵害や当社グループの他社侵害を把握しきれずに、何らかの法的措置等が発生した場合、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)システムトラブルについて

 当社グループが顧客に提供しているアプリケーションは、クラウドという特性上、インターネットを経由して提供されており、その可用性をインターネットに接続するための通信ネットワークやインフラストラクチャーに依存しております。当社グループはシステムトラブルを最大限回避すべく、企業向けクラウドプラットフォームとして多くの企業から信頼されているSalesforce,Inc.が運営するLightning Platform上にアプリケーションを構築しております。しかしながら、自然災害及び事故等による予期しえないトラブルが発生し、大規模なシステム障害が起こるような場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)重大な不具合について

 当社グループが提供するアプリケーションは、開発計画から本番リリースに至るまでの開発プロセスが定められております。顧客へ提供する前に、厳しい品質チェックを行った上で本番リリースしておりますが、顧客への提供後に重大な不具合(バグ等)が生じ、補修等追加コストの発生や信用の失墜、損害賠償責任が発生した場合、当社グループの事業活動及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)情報管理体制について

 当社グループでは、業務に関連して多数の顧客企業の情報資産を取り扱っております。情報セキュリティ基本方針を策定し、役員及び従業員に対して情報セキュリティに関する教育研修を実施する等、情報管理体制の強化に努めております。しかしながら、何らかの理由により重要な情報資産が外部に漏洩するような場合には、当社グループの社会的信用の失墜、損害賠償責任の発生等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)内部管理体制の構築について

 当社グループは、今後の事業拡大に対応するため、内部管理体制をさらに強化する必要があると認識しております。今後は人材採用及び育成を行うこと等により内部管理体制の強化を図っていく方針であります。しかしながら、内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)我が国における働き方の変化について

 当社グループの主力商品である「チームスピリット」は、勤怠・就業管理機能を主要機能の1つとして構成しており、今後、勤怠・就業管理を必要としない成果管理主義型の働き方が浸透した場合や、法規制の改正等により勤怠・就業管理の位置づけに変化が生じた場合、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

①経営成績の状況

 当社グループは、「すべての人を、創造する人に。」のミッションのもと、勤怠管理、工数管理、経費精算、電子稟議など、従業員が毎日使う社内業務システムを一元化したクラウドサービス「チームスピリット(注1)」を提供しております。

 

 当社グループが提供するサービス領域における短期的な事業環境といたしましては、新型コロナウイルスの感染拡大を契機にして、フルリモートワークやハイブリッドワーク等の多様な働き方への対応が求められるようになったことで、高度な「勤怠管理」への需要は継続的に高い関心を集めております。また、最近では、労働時間の正確な把握だけでなく、仕事の見える化によるチームの活性化や非対面でのマネジメントの最適化を可能にする「工数管理」への需要も高まっています。

 

 中長期的な事業環境といたしましては、人的資本経営に対する関心の高まりを背景に、多様で生産性の高い働き方の実現や、従業員エンゲージメントの向上に注力する企業がますます増加することが予想されます。また、特にエンタープライズ企業(注2)では、2000年頃に一斉導入されたERP並びに、それに付随したデータのエントリー機能を担う「勤怠管理システム」や「経費精算システム」といったERPのフロントウェアシステムのリプレイス需要が高まっています。従来、エンタープライズ企業では、これらのシステムは各社独自の仕様で構築されるケースが一般的でしたが、昨今は更新投資やシステム保守費をかけることなく最先端のサービスを利用することができるSaaS(注3)への関心が高まっています。

 

 このような事業環境の下で、当社グループは、「エンタープライズ市場開拓(注4)」を成長戦略の柱に据えて、製品開発、セールス&マーケティング、サポートの各領域に積極的な投資を行い、エンタープライズ企業を中心に幅広い企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)ニーズに応えてまいりました。最近では、「勤怠」や「工数」データといった「ワークログ(業務における活動ログ)」を収集・分析し、それらを人的資本経営に生かすソリューションについても関心が高まってきております。

 また、2023年9月1日よりサービスブランドを「TeamSpirit」から「チームスピリット」に一新し、さらにサービスラインナップについても、従来から提供している勤怠管理、工数管理、経費精算などの複数機能を統合した「パッケージプラン」に加えて、ユーザー企業のニーズに合わせて利用機能を選択できる「単機能プラン」を新設しました。エンタープライズ企業を中心に、単機能から利用を開始して段階的に機能拡張をしたいといったニーズが増加傾向にあり、ユーザー企業が自社の状況にあわせてプランを選択できるようにいたしました。

 

 2023年8月期の経営成績は以下のとおりです。

 

 ライセンスの受注状況に関して、エンタープライズセグメント及びミッドセグメント(注5)において、新規受注及び追加受注が堅調に推移したことで、契約ライセンス数の純増は74,670ライセンスとなり、累計の契約ライセンス数は456,716ライセンス(前連結会計年度末比19.5%増)となりました。これに伴い、ARR(注6)の純増は456百万円となり、累計では3,356百万円(同15.7%増)となりました。また、契約社数の増加は156社となり、累計で1,800社となりました。

 

 以上の結果、当連結会計年度における売上高は3,809百万円(前連結会計年度末比16.8%増)となりました。売上高の内訳で見ると、ライセンス売上高は3,109百万円(同14.9%増)、プロフェッショナルサービス売上高は699百万円(同26.1%増)となりました。営業損失は本社移転に伴う有形固定資産の加速償却による減価償却費の増加や、原状回復に伴う資産除去債務費用の増加に加え、採用加速に伴う採用費、人件費の増加により219百万円(前連結会計年度は営業損失118百万円)となりました。なお、セールスを中心とした重点ポジションの採用やパイプライン増強のためのマーケティング投資等、成長投資は計画どおり進捗しております。親会社株主に帰属する当期純損失は、新規事業の共同開発目的で投資をしたスタートアップ企業との資本関係解消に伴う投資有価証券評価損の計上及び、2023年9月1日以降に発生する現本社の地代家賃について、賃貸借契約期間が終了するまでの期間に対応する地代家賃を特別損失に計上したことにより189百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失90百万円)となりました。

 なお、当社グループはSaaS事業の単一事業であるため、事業セグメント別の記載を省略しております。

 

(注1)チームスピリット:大企業向けの「TeamSpirit EX」及び、幅広い企業規模で利用可能な「TeamSpirit」の2つの製品で構成。

 

(注2)企業規模毎の定義は以下のとおり。

名称

定義

エンタープライズ企業

従業員が1,000名以上の企業

ミッド企業

従業員が200~999名の企業

スモール企業

従業員が199名以下の企業

 

(注3)SaaS:Software as a Serviceの略称で、サービスとしてのソフトウェアを指す。クラウドサーバーにあるソフトウェアを、インターネットを経由して利用できるサービス。

 

(注4)エンタープライズ市場開拓:エンタープライズ企業におけるERPのフロントウェア(勤怠管理、工数管理、経費精算、ワークフロー等)は、手組みのスクラッチシステムやオンプレ型のパッケージシステムなどの利用が大半であり、それらのシステムをリプレイスしていく戦略。

 

(注5)ユーザーセグメントの定義は以下のとおり。

セグメント名称

定義

エンタープライズ

1社あたりの契約ライセンス数が1,000ライセンス以上の企業

ミッド

1社あたりの契約ライセンス数が200~999ライセンスの企業

 スモール

1社あたりの契約ライセンス数が199ライセンス以下の企業

 

(注6)ARR:Annual Recurring Revenueの略で、集計基準日時点の「TeamSpirit」(関連製品を含む)及び「TeamSpirit EX」(関連製品を含む)のライセンス収入から得られる月間収益の合計を12倍したもの。

 

②財政状態の状況

 当連結会計年度末における総資産は3,516百万円となり、前連結会計年度末から152百万円増加しました。

 

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産は2,875百万円となり、前連結会計年度末から54百万円増加しました。これは主に、前渡金の増加によるものです。

 

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産は641百万円となり、前連結会計年度末から97百万円増加しました。これは主に、本社移転の意思決定に伴い減価償却費が増加したことにより有形固定資産が減少したこと、資産除去債務が増加したこと、及び投資有価証券の減損損失の計上により減少したものの、敷金の差し入れや繰延税金資産の増加により、結果として増加したものです。

 

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債は2,124百万円となり、前連結会計年度末から294百万円増加しました。これは主に、繰延収益の増加によるものです。

 

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債はありません。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は1,392百万円となり、前連結会計年度末から142百万円減少しました。これは主に、譲渡制限付株式報酬としての新株発行により増加したものの、当期純損失を計上したことにより利益剰余金が減少し、結果として減少したものです。

 

 

③キャッシュ・フローの状況
 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は2,364百万円となり、前連結会計年度末に比べ44百万円減少(前連結会計年度比1.8%減)しました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は6百万円(前連結会計年度は4百万円の支出)となりました。これは主に、受注拡大に伴い繰延収益を150百万円、主に本社移転の意思決定による減価償却費を56百万円、投資有価証券の減損損失を49万円計上した一方で、税金等調整前当期純損失295百万円を計上したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は49百万円(前連結会計年度は55百万円の支出)となりました。これは主に、敷金の差し入れによる支出49百万円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は0百万円(前連結会計年度は6百万円の収入)となりました。これは主に、譲渡制限付株式の発行手数料によるものです。

 

(2)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

 当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

② 受注実績

 当社グループは受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。

 

③ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をサービス別に示すと次のとおりであります。

サービスの名称

当連結会計年度

(自 2022年9月1日

至 2023年8月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

ライセンス

3,109,619

14.9

プロフェッショナルサービス

699,932

26.1

合計

3,809,551

16.8

(注)1.当社グループはSaaS事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。上記ではサービス別の販売実績を記載しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び重要な見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。
 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて 記載しています。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて 記載しています。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

 資金需要及び資金調達につきましては、当社グループの事業規模の拡大を進めるために、次世代プロダクト開発に取り組んでいく考えであります。これらの資金需要は手元資金で補うことを基本として必要に応じて資金調達を実施します。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりと認識しており、これらのリスクについては発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。

 

⑤ 経営戦略の現状と見通し

 当社グループは「すべての人を、創造する人に。」というミッションのもと、事業を展開してまいりました。

 働き方改革プラットフォームとしての「TeamSpirit」シリーズを中心に置きながら、幅広い規模や業種の企業に対して適応できるように、商品開発、営業活動の強化などの事業施策に取り組んでまいります。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について

 当社グループの経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後さらなる成長を遂げるためには、さまざまな課題に対処することが必要であると認識しております。

 それらの課題に対応するために、経営者は常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、次世代商品開発による競合との差別化を推進し、さらなる事業拡大を図ってまいります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社グループの経営上、重要な契約は以下のとおりであります。

相手方の名称

契約締結日

契約の名称

契約内容

契約期間

株式会社セールスフォース・ジャパン

2010年6月8日

AppExchange パートナー基本契約書

開発したアプリケーションをAppExchange(注)に公開するための契約

自 2010年6月8日

至 2011年6月7日

1年毎の自動更新あり

株式会社セールスフォース・ジャパン

2010年11月12日

OEMパートナー契約書

Lightning Platformの仕入契約

自 2010年11月9日

至 2013年11月8日

1年毎の自動更新あり

(注)Salesforce,Inc.が提供するビジネス用アプリケーションのマーケットプレイスです。開発者は開発したアプリケーションを公開し、ユーザーはアプリケーションをインストールして利用出来ます。

 

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。