第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

 文中の将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末時点の情報を踏まえ判断したものであり、今後の様々な要因により記載内容と異なる可能性があります。

 

(1)経営の基本方針

BIPROGYグループは、以下の企業理念に基づき、これからも社会の期待と要請に応えてまいります。

 

 

<BIPROGYグループ 企業理念>

・わたしたちが社会に果たすべきこと

すべての人たちとともに、人と環境にやさしい社会づくりに貢献します

・わたしたちが目指すこと

社会の期待と要請に対する感性を磨き、そのためにICTが貢献できることを考え抜く集団になります

・わたしたちが大切にすること

1.高品質・高技術の追求

社会に役立つ最新の知識を有するとともに、技量を高めます

2.個人の尊重とチームワークの重視

相手の良い点を見いだし、それを伸ばすことを奨励し合い、互いの強みを活かします

3.社会・お客様・株主・社員にとり魅力ある会社

ステークホルダーの声に真摯に耳を傾け、企業価値向上に努めます

 

 

(2)経営環境および経営戦略

当社グループを取り巻く事業環境は、デジタル化が急速な進展を見せる中、ICTサービスに対する顧客ニーズの高度化と多様化が進み、さらには異業種参入による競争激化など、益々厳しくなっております。

予測困難で先が見通せない不確実性の高い状況下、持続的成長企業として価値を提供し続けるために、時間軸や環境変化に左右されない企業価値を見つめ直し、Purpose(目的)、Corporate Statement(目的達成に向けたスローガン)およびPrinciples(目的を達成するための原則)を新たに定め、中長期的な視点でPurposeを実現するための視点および目標としてVision2030を策定いたしました。

また、Vision2030の実現に向けて当社グループのサステナビリティへの取り組みを経営に統合していくため、Materiality(重要課題)が経営の長期ビジョンに対応したものとなるよう、Materialityの改訂を行いました。

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<Purpose>

先見性と洞察力でテクノロジーの持つ可能性を引き出し、

持続可能な社会を創出します

先見性・洞察力 × テクノロジー × ビジネスエコシステム

 = 社会的価値創出

 

<Corporate Statement>

Foresight in sight

「先見性」でいち早くキャッチしたお客様や社会の課題を、経験や常識にとらわれない

「洞察力」で深く理解する

 

<Principles>

原理・原則

主義・信条

■人権の尊重と社会的包摂

 

■善良な社会の一員として真摯、且つ熱意ある取り組み

■多様性の受容と獲得

■次世代へウェルビーイングをつなげる取り組み

■自己研鑽と主体性の発揮

■ビジネスエコシステム形成による価値の創出

■透明性高い企業活動と健全な企業体質

■高品質・高技術・卓越性の追求

■誠実な履行

■社会的価値の創出と持続的成長の実現

 

<Vision2030>

わたしたちは、デジタルコモンズを誰もが幸せに暮らせる

社会づくりを推進するしくみに育てていきます

 

<Materiality>

■デジタルの力とビジネスエコシステムを活用した課題解決の仕組みづくり

■ゼロエミッション社会の実現に向けた、デジタルを活用した環境貢献と事業活動に

 ともなう環境負荷の低減

■バリューチェーン全体で取り組む、安心・安全な製品・サービスの持続可能な調達と提供

■新たな未来を創る人財の創出・強化とダイバーシティ&インクルージョンの進化

■コーポレート・ガバナンスの強化とインテグリティの向上

 

 

 

 

 

PurposeおよびVision2030のもと、社会的価値の創出を追求することを通じて経済的価値の創出を図り、当社グループ全体の企業価値を持続的に向上させる新たなステージに向け、当社グループは新たに経営方針(2021-2023)を策定いたしました。

社会変化に対する先見性・洞察力、ICTを核としたテクノロジー、そして様々なビジネスパートナーとのビジネスエコシステム形成を掛け合わせ、ICTサービス提供だけに留まることなく、近年取り組んできた社会を豊かにする新しい価値の創造と社会課題の解決の取り組みを加速させ、社会的価値創出企業に変革してまいります。

 

<基本方針>

社会的価値の創出により顧客の持続的成長を支える顧客DXと、様々な業界の顧客、パートナーと共に社会課題解決を進める社会DXの両面からビジネスを推進し、Vision2030の実現を目指してまいります。

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また、新たなPurposeに掲げた社会的価値創出企業の実現に向け、コーポレートブランドを刷新し、2022年4月に商号を日本ユニシス株式会社からBIPROGY株式会社へ変更いたしました。

「BIPROGY(ビプロジー)」は、光が屈折・反射した時に見える7色(Blue、Indigo、Purple、Red、Orange、Green、Yellow)の頭文字を使った造語であり、これには様々なビジネスパートナーや多種多様な人々がもつ光彩を掛け合わせ、混とんとした社会の中で新たな道を照らし出すこと、および光彩が状況に応じて変化するように、社会や環境変化に応じて提供する価値を変えていくことの2つの意味を込めています。

ボーダレスな視座で社会的価値を創出する唯一無二のブランドとなることで、多種多様な人々へと働きかけるとともにビジネスエコシステムを形成し、持続可能な社会実現へ向けて取り組んでまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、持続的成長のために、サービス型ビジネスに比重をさらに移していくことを重視するとともに、アウトソーシングにおけるビジネス拡大を重点指標とし、2024年3月期の計画は、調整後営業利益率:連結10%以上、売上収益:連結3,400億円、うち、アウトソーシングにおける売上収益:連結1,000億円としております。

なお、調整後営業利益率は、「売上収益」から「売上原価」並びに「販売費及び一般管理費」の額を減算して得られた金額の「売上収益」に対する比率を指します。

 

<連結数値目標(IFRS)>

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(4)対処すべき課題

当社グループは、経営方針(2021-2023)のもと、ICTサービス提供だけに留まることなく、社会を豊かにする新しい価値の創造と社会課題の解決の取り組みを加速させ、社会的価値創出企業に変革するとともに、持続的に企業価値を向上させることが求められております。

当社グループ全体におけるESG・SDGsへの積極的な取り組みによるサステナブルな経営をより一層推進するための体制として、2020年度よりSDGs貢献への取り組みおよびサステナビリティ経営戦略の統括責任者であるCSO(チーフ・サステナビリティ・オフィサー)を委員長とする意思決定機関「サステナビリティ委員会」を設置するとともに、下部組織として、環境、および、社会・人権に関する委員会である「環境貢献委員会」「ソーシャル委員会」を設置して、サステナビリティを巡る課題への取り組みにおけるマネジメントとガバナンスの強化を図っています。

また、外部有識者に参加いただいている「生命科学研究倫理審査委員会」を諮問機関とした責任ある研究開発の推進や、AIが人や社会に与える正負の影響を認識し、適切に対応するための「AI倫理指針」の策定と運用など、科学技術の急速な進展に伴って生じる倫理的・法的・社会的課題(ELSI:Ethical, Legal and Social Issues)への対応を進めています。

持続可能な社会の実現のために、当社グループがテクノロジーを活用して貢献できる領域は非常に多いと考えています。今後も引き続き、エネルギーマネジメントシステムや、気候変動等の環境問題など、一企業だけでは解決が難しい社会課題をビジネスエコシステムによるイノベーションや新たなサービスで解決することで、新しい豊かな社会づくりに貢献していくことを目指してまいります。

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<事業活動における取り組み>

海外経済の減速やエネルギー・原材料価格の高騰など、国際的な社会情勢の変化による事業活動への影響を注視し、継続的に対策の見直し・改善を図ってまいります。

 

■顧客のICT戦略を実現する技術力・サービス力の進化・深化

当社グループが強みとする重点領域の見極めを行い、顧客業務や業界に関する知見の深化と知財化を加速するとともに、価値創出の源泉となるエンジニアリング技術の深化と利用技術や組合せ技術の進化を加速します。

 

■DXパートナーとして先見性のある顧客価値創出力の強化

領域横断のマーケティング活動やオープンイノベーションを組み合わせ、ユースケース化する活動を強化し、顧客・業界DXを通じて付加価値の高い事業を拡大します。また、各種ラボを中心とした、UI/UXやプロダクトの開発、改善プロセスの確立と実行の強化に加えて、DXビジネスの型の確立とDXを短期間で実現するプラットフォームの確立を推進します。

 

■社会課題解決マーケット創出と持続的成長ストーリーの開発

これまでの取り組みで獲得したさまざまなアセットを統合し、業種・業態を超えた活動を促進することにより、社会システム全体を捉えた、より大きな社会課題解決へのアプローチを進めます。また、社会課題解決につながるDXビジネスにおける知財の蓄積と、標準プロセスの確立を推進します。

 

■グループバリューチェーンの再設計によるグループ経営の進化

価値創出サイクルの観点から、グループバリューチェーンの見直しと強化を図り、グループ経営の再設計を推進します。

 

■組織資本、人財の強化および投資戦略の推進

社員の多様性や強みを可視化する取り組みを軸に組織資本・人的資本の強化施策を加速するとともに、社員が社会課題解決に向けてチャレンジしていけるよう、環境貢献やダイバーシティ&インクルージョン、業務改革など、さらなる風土改革を推進してまいります。また、戦略に基づき投資ポートフォリオの見直し・組み換えを行い、戦略投資・事業投資の強化を図ります。

 

<その他の課題>

当社グループは情報システムの開発提供にあたり、当社グループ自身の情報はもとより、多くのお客様が保有する情報に接する機会を有しております。このため、個人情報をはじめとする情報管理は当社グループの最重要課題と位置づけ、情報管理体制の維持運用と、社員および委託先協力会社に対する教育指導を行ってまいりました。しかしながら、2022年6月21日に、当社協力会社の委託会社社員が暗号化処理された個人情報データを記録したUSBメモリーを紛失する重大な事故が発生いたしました(同メモリーは3日後の6月24日に発見され、個人情報漏洩は確認されませんでした)。このような事態を繰り返さないよう、グループ全体のガバナンス強化に取り組み、再発防止に努めております。さらに、委託先管理においても教育指導、管理を徹底するため運用プロセスを見直し、モニタリング機能の強化を図っております。引き続き、信頼回復に向け全力を尽くしてまいります。

また、新型コロナウイルス感染症の再拡大や大規模自然災害等による経済活動の自粛および停滞の長期化により、お客様における情報システム投資の見直しなどが生じ、当社グループの事業活動に影響を与える可能性があります。この課題に対して当社グループは、グループ社員、協力会社、お客様およびお取引先の安全確保を最優先に考え、安否確認の運用徹底やテレワークの活用など働き方改革を進めています。また、お客様の業務継続やリモートワーク、デジタルトランスフォーメーションなどを全力で支援し、レジリエントな社会の実現に向けた取り組みを加速させてまいります。

なお、当社グループの持続的な成長のためには、適切な事業戦略を検討するとともに、その事業戦略を支える強固な経営基盤が必要であると考えています。そのため、コーポレート・ガバナンス体制をさらに充実させるとともに、グループ会社管理に関する意識を強化し、加えて、テレワークの活用や業務のデジタル化推進など会社を取り巻く環境が常に変化する中で、コンプライアンス違反の予兆をより早期に把握していくため、取締役会で決議した業務の適正を確保するための体制(内部統制システム)に基づき、グループ会社全体の内部統制システムの継続的な運用改善とコンプライアンス意識のさらなる浸透・徹底を図っております。これらにより、引き続き適正な業務運営を実施してまいります。

また、今後の当社グループ内における連携の更なる強化や、事業の成長に伴うビジネスリスクの多様化などがリスクとして想定されています。当社グループは、現行のビジネスリスクマネジメントを更に拡充し、対応してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 

 文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(1)サステナビリティ

 当社グループは、企業理念である「人と環境にやさしい社会づくり」への貢献のもと、Purposeを「先見性と洞察力でテクノロジーの持つ可能性を引き出し、持続可能な社会を創出します」と定めました。その実現に向け、環境・社会・ガバナンスの視点を考慮した企業活動を基本に、さまざまな社会課題解決に真摯に取り組んでいます。持続可能な社会の発展への貢献を通じた価値創造により、当社グループの持続的成長サイクルを確立し、サステナブルな企業グループとなることを目指します。

 そのため、当社グループは、一人ひとりが長期的な視野と志を持ち、社会課題解決の実績・知見と、志を共にする人々とのネットワーク、長年の経験に基づくデジタル技術を組み合わせて、「デジタルコモンズ」の社会実装を推進していきます。社会的価値、経済的価値双方を創出することで、環境・社会および当社グループ相互のサステナビリティを追求していきたいと考えています。

 当社グループ全体のサステナビリティ課題への取り組みにおいては、マネジメントとガバナンスの強化が重要であるとの考えのもと、推進体制を整備しています。SDGs貢献への取り組みおよびサステナビリティ経営戦略の統括責任者であるチーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSO)を委員長とする意思決定機関「サステナビリティ委員会」を設置するとともに、下部組織として、環境・社会の各分野別の委員会である「環境貢献委員会」「ソーシャル委員会」を設置しています。

 

① ガバナンス

 環境と社会のサステナビリティを巡る課題への取り組みのうち重要な事項に関しては、経営会議または各委員会にて審議・報告を行っています。

 また、取締役会においては、各委員会や各組織からのサステナビリティ課題への対応を含む主たる活動状況についての報告を受け、多角的な視点に基づいた議論と意思決定が行われています。

 

■サステナビリティ推進体制図

 

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② 戦略

 当社グループは、「Purpose」および「Vision2030」のもと、グループ全体の企業価値を持続的に向上させるための次なるステージに向け策定した「経営方針(2021–2023)」の基本方針において、顧客DXの推進「For Customer」と、社会DXの推進「For Society」の2つの視点を定め、ビジネスエコシステム拡大による社会的価値創出への取り組みを行っています。「For Customer」では、価値創出の強化を図り、社会的価値の創出を通じて顧客の持続的成長につながるDXを推進し、「For Society」では、多様な業界の顧客・パートナーとのリレーションシップやベストプラクティスを活かし、社会や地球全体最適で捉えたビジネス構想の実現による社会課題解決を目指しています。当社グループはこれまで、顧客・パートナーとの関係性を強化し、業種・業界の垣根を越えて連携することでビジネスエコシステムを創出し、社会課題の解決を目指してきました。ビジネスエコシステムでは、1社ではつくれない競争優位性を多様なパートナーとともに構築していきますが、特定のパートナーが参加するため、そこには一種の排他性も生じます。一方、デジタルコモンズは誰もがオープンに利活用でき、知識を共有するコミュニティです。私たちは、お客様へのサービス提供を通じて獲得したアセットをもとに、ビジネスエコシステムを加速する価値創出サイクルを回すことで、社会実装ハンズオンカンパニーへと成長していきます。そして、2030年には、社会的価値と経済的価値の創出という両輪を回しながら、持続可能な社会づくりを実現するデジタルコモンズの提供者となります。

 「Vision2030」の実現に向けて、取り組んでいくべき重要課題をマテリアリティとして定め、KPIと目標を設定しています。当社グループのサステナビリティへの取り組みを経営に統合していくため、マテリアリティが経営の長期ビジョンに対応したものとなるよう、2021年度に改訂を行いました。

 当社グループは人財をビジネスの原動力と捉えています。「ビジネスプロデュース人財」の拡充やダイバーシティ&インクルージョンの進化なくして当社グループの成長はないとの考えのもと、ROLESを軸とした人財の可視化、タレントマネジメントシステムの構築、人事制度改革を進めています。2021年度に「なでしこ銘柄」に初選定されたのは一つの成果であり、今後も持続的成長を実現する人的資本の構築に注力し、経営戦略と人財戦略を連動させ、スピード感を持って取り組んでいきたいと考えています。

 一方、環境側面では、温室効果ガス排出量のScope3の算定や、気候変動シナリオの分析によるビジネス機会とリスクの抽出を行いました。今後環境ビジネスの機会の拡大がますます見込まれるなか、国産木材の利活用および流通を促進させる「キイノクス(KIINNOX)」などの新しいビジネスも生まれています。ゼロエミッション社会の実現に向け、デジタルを活用した環境貢献をますます拡大していきたいと考えています。

 他にも小売・メーカーとのSDGs企画を生活者へ発信することで継続的な社会貢献をサポートするソーシャル・アクション・プラットフォーム「BE+CAUS」や、顧客DXから社会DXに発展する事例など、「Vision2030」実現に向け、着実に進んでいます。

 

③ リスク管理

 当社グループは、リスクマネジメントに関する国際標準規格 ISO31000を参照し、リスク管理を統括する責任者その他必要な機関を設置し、以下の取り組みを行っています。

・損失の危険(リスク)管理に関する規程の策定

・リスクの発生を未然に防止するために必要な仕組みの構築・運営

・有事における対応

・リスク管理項目・体制の見直し

・取締役会への活動状況の報告

 また、適切な対応策を講じるための体制として、チーフ・リスク・マネジメント・オフィサー(CRMO)を委員長とするリスク管理委員会を設置しています。万が一、重大リスクが発生した際は、発生部署または各委員会などからリスク管理委員会へ速やかに報告され、そのリスクの影響度に応じて「対策会議」または「対策本部」を招集・設置し、迅速かつ的確に対処する体制を構築しています。各組織の責任者は、自部門のリスク管理のための役割・責務を担い、重大なリスク発生時には被害を最小化し、事業継続のために全社員が一体となって危機対応が行える体制を整備しています。

 中長期的なリスクマネジメント戦略としては、「グループ全体のリスクマネジメント機能の強化」「グループ役職員のリスク管理能力向上」「リスクマネジメントシステムの改善・高度化」を重点施策としています。これらの施策を着実に推進するため、年間を通じたリスク事案の把握とモニタリング、新たに顕在化した課題を踏まえた改善策の立案、全社員へのリスク意識・知識の啓発など、PDCAサイクルを実践しています。

 

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④ 指標及び目標

 当社グループは、「Vision2030」の実現に向けて、社会からの要請を考慮して抽出した重要項目をもとに社会や当社グループへの影響度を踏まえ、新たなマテリアリティとして特定し、2021年度より取り組みを進めています。

 

■マテリアリティ概要

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(2)個別項目

① 気候変動

 地球温暖化に起因する気象災害の激甚化や生態系の破壊など、現在および将来世代の生存基盤への脅威に対する関心が高まっています。国際社会においては、今世紀半ばでのカーボンニュートラルに向けて、資源の有効活用と地球環境への負荷ゼロを目指すゼロエミッションの取り組みが加速しています。

 こうした状況のなか、当社グループでは、環境課題への対応は将来世代に対する責務であると認識し、ゼロエミッション社会の実現に向けた想いや方向性を示した「環境長期ビジョン2050」や「Vision2030」のもと、環境経営の強化を図ってきました。また、RE100やTCFDなどのイニシアチブやパートナーシップへの参加を通じた協働や、従業員の環境意識向上に向けた教育等の施策を推進しています。そうしたなか、2021年からは、マテリアリティの取り組みとして、環境貢献の見える化や負荷低減の施策を強化しており、新たにGHGプロトコルに準拠した温室効果ガス排出量(Scope1,2,3)の算定とその第三者保証を取得しました。

 さらに、2022年度には、当社グループの環境経営のさらなる強化のため、マネジメントの基盤となるISO14001に準拠したグループ環境マネジメントシステムの運用を、環境貢献に関する対応方針の検討、環境貢献を推進するための仕組みの設計と実行状況の管理・監督を行う「環境貢献委員会」の活動に統合しました。

 

■環境長期ビジョン2050

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a.ガバナンス

 当社取締役会における気候関連課題の責任者は、当社グループの「持続可能な開発目標(SDGs)」貢献への取り組みおよびサステナビリティ経営戦略の統括責任者であるCSOが担当しています。

 また、当社グループの気候変動を含む環境課題への対応は、CSOが委員長を務める意思決定機関「サステナビリティ委員会」または下部機関の「環境貢献委員会」にて審議・意思決定を行います。そのうち、経営上重要な事項や年間活動実績・進捗の経営会議、取締役会への報告は、当社のコーポレート・ガバナンス体制に則り、CSOが行います。主な報告事項には、気候関連課題への対応を含むマテリアリティの各種施策の定性的目標と定量的目標の進捗などがあり、助言や指導に基づく監督を受けています。

 気候関連目標などに対するインセンティブについては、2021年6月より導入した役員報酬制度にて、長期業績条件を盛り込んでいます。長期業績におけるKPIの条件には、マテリアリティのKPIである温室効果ガス排出量削減目標を含むESG指標などを設定しています。

 

b.戦略

 当社グループは、気候変動への対応は、企業価値にさまざまな形で影響を及ぼす重要な経営課題であり、不確実な状況変化に対応し得る戦略と柔軟性を持つことが重要であると考えています。また、当社グループの主要事業であるデジタル領域のサービスは、今後の環境課題の解決において重要な役割を果たすとともに、当社グループの企業価値向上に寄与する成長機会であると認識しています。このような認識のもと、「Vision2030」の実践において道しるべとして掲げた3つの社会インパクト(ゼロエミッション、リジェネラティブ、レジリエンス)の創出を最大化し、中長期的な企業価値の向上を目指しています。

 2021年度からは、マテリアリティを中核とした取り組みの推進に加え、環境貢献委員会の活動の一環として、全社横断型のプロジェクトによる気候関連シナリオ分析によるビジネス機会とリスクの抽出およびそのインパクト評価を継続して実施しています。2022年度の評価では、当社グループの気候関連のビジネス機会の最大化とリスク低減において、特定した環境貢献領域を中心とした社会課題解決型ビジネス創出力や技術力の強化とともに、戦略投資や情報開示の重要性を再確認しました。

 これらの評価結果を適切に事業戦略に反映していくことで、マテリアリティの実効性を高め、カーボンニュートラルやサーキュラー・エコノミーなど、気候関連課題の解決に貢献する新たな製品やサービスの開発・提供への取り組みを加速し、ゼロエミッション社会の実現への貢献を通じた収益拡大を目指していきます。同時に、再生可能エネルギーの調達や自社の事業活動の低炭素化への取り組み強化など、温室効果ガス排出量削減施策の強化により、今後の炭素排出関連コスト上昇の抑制を図ります。

 

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c.リスク管理

 当社グループは、気候関連リスクのグループリスクマネジメントシステムへの統合を実施しました。当該システムを統括する「リスク管理委員会」が整備する、グループ全体のリスクを一元的に把握可能な共通管理基盤である「リスク分類体系」に「気候変動リスク」を追加し、「気候変動シナリオ分析によるビジネス機会とリスク(インパクト評価)」の抽出で特定された気候関連リスクのうち、当社グループの事業に対し重要度が高いと評価された項目を、管理対象として登録しています。なお、当社グループのリスクマネジメントに関する体制やプロセスは、「リスク管理委員会・事業継続プロジェクト規程」およびその他関連規程にて明文化され、イントラネットなどを通じてグループ内に広く周知されています。

 

d.指標及び目標

 当社グループは、2021年にマテリアリティで設定した温室効果ガス排出量削減などの目標達成に向けた取り組みを着実に進めています。

ITサービスを中核とした当社グループの温室効果ガスの排出量の多くは、電気の使用によるものです。そのため、RE100に加盟し、購入する電気の再生可能エネルギーへの転換を進めており、2022年度末時点の再生可能エネルギー調達率は23.4%となりました。加えて、オフィスや機器の効率利用などによる省エネルギー施策も推進しています。これらの取り組みの結果、2022年度の当社グループScope1+2(マーケットベース)温室効果ガス排出量は、2019年度と比較して25.1%削減となりました。

 なお、当社グループは、パリ協定の目標に基づいた温室効果ガス排出量の削減目標であるSBT(Science-BasedTargets)認定の取得を目指し、2022年にコミットメントレターを提出しています。

 

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KPIと目標(達成年度)

2022年度実績と今後の取り組み

環境貢献型製品・サービスの提供を通じたゼロエミッションへの貢献として、ゼロエミッション達成率100%以上

(2030年度まで年次)

174.6%

モニタリング指標「ゼロエミッション達成率」の算定ロジックと社内管理の仕組みを整備し、当社グループによるお客様や社会に対する温室効果ガス削減貢献量の見える化を実施した。引き続き、事業活動におけるGHG排出量の削減に努めるとともに、環境貢献型製品・サービス提供の拡大を図っていく。

気候変動シナリオ分析によるビジネス機会とリスク抽出(インパクト評価)およびリスク対応率100%

(2030年度まで年次)

100%

全社横断型のプロジェクトによる、気候変動関連のビジネス機会とリスクの抽出とインパクト評価を実施するとともに、抽出した気候変動リスクを当社グループのリスクマネジメントシステムに統合した。今後も、機会とリスクの見直しとリスク対応を継続していく。

グループの事業所における再生可能エネルギー調達率50%以上(2030年度)

23.4%

2021年度より再生可能エネルギーの調達を開始。調達電力の23.4%を再生可能エネルギー化し、目標の達成に向けて計画通り順調に進捗中。今後も、再生可能エネルギー需給を積極的に推進していく。

GHG排出量(Scope1+Scope2)削減率(2019年度比)50%以上(2030年度)

25.1%

調達電力の再生可能エネルギーへの転換を進めるとともに、テレワークの推進やオフィス・機器の効率利用等による省エネルギー施策を推進した結果、基準年比で25.1%を削減。今後も同様の取り組みを継続し、排出量削減を図っていく。

サプライチェーンGHG排出量のScope3の情報開示と目標設定(2022年度)

2021年度より収集・集計ルールを明文化し、Scope3を算定した。算定値については、第三者の独立した保証声明書を取得のうえ、情報開示し計画通りに進捗。

2022年度にScope3排出量削減の目標設定を計画通りに進捗。

購入した製品・サービス(カテゴリ1)の調達金額の40%を占めるサプライヤーがSBT相当の目標を設定する(目標年:2027年度)

※ゼロエミッション達成率=(環境貢献型製品・サービスの売上× GHG 削減貢献係数)÷(BIPROGYグループのScope1+2GHG 排出量)

 

 「2022年度までにサプライチェーンGHG排出量のScope3の情報開示と目標設定」については、2021年度からGHGプロトコルに基づきScope3の算定を開始し、第三者による環境データに関する保証声明書を取得し公開しました。なお、Scope3排出量削減目標を2022年度に設定しました。

 

Scope3排出量削減目標:

 購入した製品・サービス(カテゴリ1)の調達金額の40%を占めるサプライヤーがSBT相当の目標を設定する

 (目標年:2027年度)

 

■データ

 

2022年度

再生可能エネルギー調達率(%)

23.4%

温室効果ガス排出量

 

 

直接的温室効果ガス排出量Scope1(t-CO2e)

1,406.01

 

間接的温室効果ガス排出量Scope2(t-CO2e)(マーケットベース)

9,347.43

 

間接的温室効果ガス排出量Scope2(t-CO2e)(ロケーションベース)

12,370.24

 

間接的温室効果ガス排出量Scope3(t-CO2e)

615,597.43

※集計範囲は、BIPROGY㈱ほか投資事業有限責任組合を除く連結対象の25社(国内外主要拠点)です。

なお、2021年度からGHGプロトコルに準拠して算定しています。Scope2のロケーションベースとマーケットベースは、GHGプロトコルScope2ガイダンス2015年版の定義によります。

 

(3)人的資本

 当社グループは、「Vision2030」の実現に向けて、「新たな未来を創る人財の創出・進化とダイバーシティ&インクルージョンの進化」を掲げ、競争優位の源泉である「人的資本」の強化を行い、「社会的価値と経済的価値の創出」を推進します。

 

① ガバナンス

 当社グループでは、社会からの要請を考慮して抽出した重要項目をもとに社会や当社グループへの影響度を踏まえ、マテリアリティとして特定し、取り組みを進めており、事業成長を支える基盤となるマテリアリティとして、「未来に向けたイノベーションを創出することができる個の多様性、専門性、価値観を認め合い受容する人財・組織・企業風土を醸成する」ことを目指す姿として全グループで人的資本の強化を推進しています。

 また、2023年度からは、人的資本におけるグループ全体戦略を管理対象とし、グループ全体での統制を図る組織として、人的資本マネジメント部を新設し、人財のポートフォリオ管理を行い、人的資本を可視化するとともに、グループ人財戦略の立案・推進を行います。

 

② 戦略

 当社グループでは、人財は企業における重要な資産(アセット)であり、人財こそが企業の持続的成長と中長期的な企業価値向上の原動力であると捉え、多様な価値観とバックグラウンドを持つ社員が個々の能力を最大限に発揮できる職場や環境づくりに努めるとともに、イノベーションを継続的に創出できる人財改革・風土改革に取り組み、社会的価値創出企業の変革を着実に進めています。

 

■ROLESを軸とした人的資本サイクル

 先見性と洞察力、テクノロジー、ビジネスエコシステムを掛け合わせ、社会課題解決を目指していくには、顧客・パートナーを巻き込み、ビジョンや価値観を共有して、ともに新しい社会価値を創出していける人財が必要です。

 当社グループでは重点施策の一つとして人財戦略に取り組んでおり、2018~2020年度の中期経営計画「Foresight in sight 2020」では、「思考変革・スキル変革」「ビジョン・戦略の浸透」「イノベーションの創出」の3点を重視した施策に取り組んできました。具体的には、自力で新規事業創出ができる人財育成プログラムや、社員のチャレンジを重視した人事考課、働き方改革の実施のほか、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の風土浸透などです。

 「Vision2030」では、デジタルコモンズの創出・提供による持続可能な社会の実現のため、ビジネスエコシステムのパートナーと共に、新たな価値が創出できる人財の輩出を目指しています。そのため、タレントマネジメントシステムの構築・運用を進め、ROLESを軸とする「HRアーキテクチャ」を基に、人財マネジメント(HRM)、人財開発(HRD)施策を推進しており、「事業戦略と人財戦略の連動強化」「キャリア自律・リスキリングの促進」「DX人財やビジネスプロデュース人財など、重点分野をリードする人財の獲得と育成」を主要施策として推進しています。

 これらの取り組みの積み重ねが、数々の新規事業創出につながっています。今後も「Purpose」を指針とし、自律的・主体的に対話でき、周囲の社員はもちろん、社外の人財も巻き込みながら、より大きな価値を生み出せる力を持った人財の育成を戦略的に進めていきます。

 

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■ビジネスプロデュース人財

 ビジネスエコシステムをさらに拡大させていくには、社会インパクトを自ら創出でき、事業創出に関する専門性を持つ人財が必要です。当社グループではこうした人財を「ビジネスプロデュース人財」と呼び、マテリアリティのもとでもKPIを定めて育成に取り組んでいます。2010年度より継続してNext Principalプログラムを実施しており、同プログラムの参加者は2010年度~2022年度で延べ約397名となりました(2022年度の参加者は17名)。また、2019年度から継続して、毎年、顧客企業、協力企業を招いてのアイデアソン/ハッカソンを実施しているほか、海外派遣、国内大学への留学、フィールドワーク体験など、外部への人財の派遣も行っています。さらに、サービスビジネス推進のため、プロダクトオーナー育成プログラムを企画、施行しています。

 

■キャリア自律・リスキリングの促進

 当社グループでは、人的資本への継続的な投資は、時代とともに変化する社会課題を解決していくうえで、欠かすことのできないものだと考え、社員のスキル・能力開発や組織力強化などに投資し、イノベーションを生み出す多様な人財およびシステム実装力を備えた人財の能力のさらなる強化を図っています。今後も引き続き社員のキャリア自律、リスキリングの促進を進めていきます。

 

■働きがいのある職場づくり

 当社グループでは、自律的に考え、イノベーションを創出できる多様な人財が、最大限に能力を発揮することができる働きがいのある組織・職場づくりを行うことは、成長と競争力の源泉となると考えています。そこで、当社グループでは、「残業メリハリ活動」などの施策推進により、平均残業時間の削減に努め、働き方改革および健康経営を実践するとともに、社員のモチベーション向上に努めています。

 

1)働き方改革

 当社グループでは、働き方改革として、社員が自分自身のライフスタイルや社会の環境変化に柔軟に対応しながら、成果を出し続けられる働き方を実現することを目指しています。働き方改革の目的として「社員一人ひとりの最大限のパフォーマンス発揮」と「新たな価値の創出」の2つを設定し、様々な取り組みを展開しています。2022年度には、テレワークをコロナ対策としての一時的措置ではなく多様な社員のパフォーマンス発揮を促す働き方の一つと位置付け、テレワークの制度化を実現しました。これにより、テレワーク実施日数の上限が撤廃されるとともに、テレワーク実施場所の制限も緩和され、テレワーク活用の機会が広がりました。また、通院などによる業務時間内の中抜けを可能とするため、時間単位年休の制度を導入しました。時間単位年休は介護に加え育児の事由でも取得可能とするなど、柔軟な働き方を工夫しています。

 

2)健康経営

 当社グループでは、CEOがチーフ・ヘルス・オフィサー(CHO)となり、社員の健康の保持・増進・管理に取り組んでいます。「生活習慣病予防」「メンタルヘルス対策」「オープンイノベーションの取り組み活用」の3つをテーマに、「健康増進」「早期発見・対応」の強化による社員の健康増進に取り組んでおり、特に「予防」「早期発見・早期対応」の観点から、血圧リスク者への対応や、メンタルヘルスを原因とする休職者の休職日数減少を目指した取り組みなどを通じて、より積極的に社員の健康増進に寄与していきたいと考えています。

 

■多様な人財の活躍

 当社グループでは、一人ひとりが「個」の多様性を高め、互いの個性を尊重しあい、自らの個性や想像力を発揮できる風土の醸成を目指しています。D&I強化に向けては、KPI(女性管理職比率、障害者雇用率)と目標を掲げ、以下の施策を推進しています。女性従業員比率はもとより、女性管理職比率、障害者雇用率は過去6年間で着実に伸びています。

 

1)女性活躍推進

 マテリアリティにおいて、2026年4月1日時点で女性管理職比率を18%以上にするというKPIを設定しており、組織およびグループ各社ごとの組織長登用計画を策定し、ソーシャル委員会やその上位のサステナビリティ委員会、取締役会におけるモニタリングや報告の仕組みを構築して人財パイプライン形成を強化しています。なお、当社単体目標としては、女性活躍推進法に基づく行動計画において、2025年度までに「女性管理職を2020年度の2倍」「女性役員比率20%」としており、役員比率は2022年度に20.6%となり目標を達成しました。また、WEPs(Women’s Empowerment Principles)への賛同、日経ウーマンエンパワーメントコンソーシアムへの加入、日本経済団体連合会の「2030年30%へのチャレンジ」への賛同など、社外イニシアチブに積極的に参加しています。

 

2)トップダウン/ボトムアップ双方からのD&I推進

 現場部門の社員による対話を通じた主体的な取り組みにより、D&I 自走化を目指す活動を拡大しています。役員や組織長からなる「スポンサーチーム」が現場部門での活動を支援し、D&I推進のムーブメントを起こすことを目指しています。一方、取締役会や経営リーダーが一堂に会する会議などにおいて、ダイバーシティの課題や取り組みについてディスカッションの場を設けるなど、トップダウン/ボトムアップの双方からD&I推進を展開しています。

 

3)社員の意識・行動変革を促す研修プログラム

・ダイバーシティ・マネジメント研修

・女性向けダイバーシティ育成プログラム

・全社員向けダイバーシティeラーニング

 

4)ライフイベントを前提とした両立やキャリア構築支援

 女性社員の育児休職の取得率・復職率は10年以上ほぼ100%を継続しており、男性社員の育児休職取得率・平均取得日数も継続的に上昇しています。また、介護・育児と仕事を両立するための情報提供やセミナー、育児休職取得前後の三者面談(本人・上司・ダイバーシティ推進担当)を実施。ライフイベント等により制約のある社員が、昇進・登用にあたり不利にならず、能力に応じた適切な評価がされる制度設計と運用を徹底しています。

 

5)LGBTへの理解・支援施策

 グループ・コンプライアンス基本方針、人権方針などでセクシュアル・マイノリティに関する方針を明文化するとともに、配偶者およびその家族に関わる制度に同性パートナーへの適用を追加するなど、人事制度への対応を拡大しています。また、全グループ社員が受講可能なeラーニングの実施や、理解者・支援者を表すAlly(アライ)シール、LGBTハンドブックの配布など理解浸透のための施策を実施しています。2022年4月にはBusiness for Marriage Equalityに賛同、PRIDE指標2022ではGOLDを受賞しました。

 

6)障害者雇用の維持・拡大

 当社グループでは、障害がある方の採用から入社後のフォローまで、一貫してサポートを行う体制を構築しています。2018年2月にBIPROGYチャレンジド(株)を設立し、ICTを活用したWebアクセシビリティ検査を主業務とした完全在宅型の勤務により、障害がある方の就業を実現しています。また、障害がある方が農作業を通じて心身の健康を保ち、やりがいのある仕事に取り組んでもらうことを目的に、2020年8月に屋外農園「ワクワクふぁーむ」を開園しました。

 

③ 指標及び目標

 当社グループでは、マテリアリティとして「新たな未来を創る人財の創出・強化とダイバーシティ&インクルージョンの進化」に関して、KPIと目標を設定し推進をはかっています。

 

KPIと目標(達成年度)

2022年度実績と今後の取り組み

事業創出に関する専門性を備えた「ビジネスプロデュース人財」数

2021年度比2倍(2023年度)

37人

経験者採用の強化と人材育成を並行して実施。ビジネスプロデュース関連のeラーニング、セミナーを実施。また実践型の事業創出ハンズオン、伴走型の実践ワークショップを実施。今後は、業務アサインメントの推進および人財のパイプライン化を図る等、さらなる実効性のある仕組みの検討、実施が必要。

女性管理職比率 18%以上(2026年4月1日時点)

10.2%

(2023年4月1日時点)

目標達成に向けた各社の組織長登用計画をまとめた。

モニタリングの信頼性向上のため、算出値について第三者の独立した保証声明書を取得。

障害者雇用率 法定雇用率+0.1%以上(年次)

2.84%

障害者雇用施策の推進、特例子会社の活動、グループ会社での雇用促進により雇用目標2.4%(2021年度の法定雇用率2.3% +0.1%)以上を達成。モニタリングの信頼性向上のため、算出値について第三者の独立した保証声明書を取得。

エンゲージメント調査における働き方関連項目の加重平均スコア2019、2020年度のスコアを平均した値(3.36)以上(2023年度)

3.47

コロナ禍のためテレワークの拡大に伴い人事制度を整備し、活用が進んでいる。一方で、テレワークの長期化に伴うコミュニケーション不足などの新たな課題が生じ始めており、対策を検討し順次進めている。

健康診断での血圧リスク者への診療所での診察 および保健師による生活習慣指導率Ⅱ度・Ⅲ度高血圧者への対応100%(2023年度)

Ⅱ度 100%

Ⅲ度 100%

Ⅲ度高血圧者への産業医面談、保健指導、診療所での投薬を実施。また、社員の健康管理意識の醸成のため情報発信、eラーニング、イベント、ヘルステック活用、安全衛生管理規程の規程化を実施。

今後、さらに社員の健康管理の実行動へつなげていくため、インセンティブや安全衛生管理規程の適用を検討していく。

メンタル休職者の総休職日数 2019・2020年度の平均日数比

△5%(2023年度)

年間1.4%増

健康ポータルの見直しと安全衛生管理規程を新設し、カウンセリングへの誘導を進めるためにeラーニングを通じた相談窓口の認知向上を実施。外部リワークプログラム活用や、外部Employee Assistance Program(EAP)、サーベイツール導入に向けた検討を実施し、外部リワークプログラムについては導入に向け準備中。今後は休職日数の減少を図るとともに、休職を予防する観点からも施策を検討し、実施していく。

社会貢献活動への役職員参加人数 2020年度比20%増

(2023年度)

70%増

オンラインによる寄付先との交流などコロナ禍でも参加しやすい社会貢献の企画を拡充。今後、行動制限緩和など社会状況も注視しつつ、 「知る・気づく」オンラインプログラムや「参加する・行動する」対面型のプログラムを組合せ、参加しやすい柔軟な社会貢献プログラムの企画を進める。

※女性管理職比率は、BIPROGY㈱、ユニアデックス㈱、UEL㈱、㈱国際システム、エス・アンド・アイ㈱、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ㈱、USOLベトナム㈲の7社を対象とし、BIPROGY㈱、ユニアデックス㈱は業務執行役員及び組織長を、他5社は役員・業務執行役員及び組織長相当を集計。

 

 従業員意識と組織課題を可視化する重要な取り組みとして、エンゲージメントサーベイを実施しています。全グループ社員を対象に、2013年度から定期的に実施しており、サーベイの結果は経営陣も含めて分析し、分析結果と外部コンサルタントのアドバイスのもと、各部門の責任者が自組織の課題に対するアクションプランを設定・推進し、組織づくりに活用しています。2021年度からは、さらに各組織の取り組みを支援する施策も追加しました。

 上司と部下との対話を行う「ユアタイム(1on1)」の実践により、テレワーク主体の業務においても、より深いコミュニケーションを図っています。管理職に対しては、「ユアタイム」を効果的に進めるスキル(コーチング、ティーチング、フィードバック)の向上と支援を目的として、ユアタイム説明会・ガイドやツールの提供・悩みについて情報交換を行うワークショップなどの施策も実施しています。また、人事評価の制度においても、企業理念の遵守・実践、コンプライアンスの遵守という視点に加え、自己啓発、自立志向、チャレンジ、チームワークや情報発信の姿勢や働き方変革力の観点から行動評価を行っており、社員が高い意識を持つことができるよう多角的に取り組んでいます。

 

 

■人権への取り組み~人権デューデリジェンスの実施

 近年、人権に関する指針やガイドラインが日本の関連機関や経済団体から示され、日本企業においても人権尊重への取り組みが経営上の必須課題となっています。当社グループは、「世界人権宣言」および「ILO中核的労働基準」等の国際規範を支持し、人権尊重を企業活動における重要な要素と認識しています。

 当社グループでは、バリューチェーン全体における人権に関する事業リスクを低減させるため、人権デューデリジェンスを実施しています。2020年6月には、「ビジネスと人権に関する指導原則」をもとに、「BIPROGYグループ人権方針」を公表しました。マテリアリティにおいて「BIPROGYグループにおける人権課題への対応着手率」を2023年度に100%にするKPIを設定しており、2021年度においては、当社グループ全体を対象に、事業に関わる人権リスクについて、現状の把握および特定を行いました。当社グループ共通の人権課題は以下の通りとなり、順次対応策を検討し、着実に取り組みを進めています。

 

BIPROGYグループ共通の人権課題

・人権方針の周知徹底

・責任ある調達とその管理

・ステークホルダーエンゲージメントの実施

・外部からの苦情処理メカニズムの整備

・「表現の自由」への取り組み

・「倫理的/責任あるマーケティング」への取り組み

 

 

■第三者保証

報告データの信頼性を高めることを目的に第三者保証機関による保証を受けています。

 

独立保証声明書 https://sustainability-cms-biprogy-s3.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/pdf/IAS_2023_ja.pdf

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものです。

⑴ 経済動向および市場環境による影響について

新型コロナウイルス感染症の状況変化や米中対立の激化、ウクライナ情勢等による経済環境の悪化、企業の情報システムへの投資抑制や投資戦略の変更、異業種からの参入による競争の激化等により事業環境が悪化した場合、当社グループの経営成績および財政状態は影響を受ける可能性があります。

また、ESGの浸透を背景とした気候変動対策などの環境意識の高まりや社会意識の急速な変化、それらに伴う世界的な環境規制の強化や災害対策など政府が推進する各種政策の変更により、事業戦略の見直しが発生する可能性があります。外部環境の動向や変化を逐次見極めながら、迅速な対応に努めてまいります。

 

⑵ 調達について

当社グループは国内外の取引先からハードウェア・ソフトウェアおよびサービスを調達し、お客様に提供しております。このため取引先各社の事業戦略の予期せぬ変更、経営状況の悪化等による製品仕様の変更、製品・サービス供給の遅延や停止、および調達するサービスの不具合やセキュリティインシデント等による重大な障害の発生等が社会的信用やブランドイメージの低下など当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。このような事態を回避するための施策として取引先定期審査や取り扱うサービス商品の品質管理に努めております。

 

⑶ 知的財産権について

当社グループでは事業の遂行にあたり、自社の技術や製品・サービスに関わる特許権、商標権等の知的財産権を取得することなどにより自社の知的財産の保護を図るとともに、第三者の知的財産権を侵害することのないよう細心の注意を払っております。しかしながら、第三者により当社グループの知的財産権が侵害される可能性があるほか、当社グループの製品やサービスが第三者の知的財産権を侵害しているとの主張に基づき係争に発展し、その結果、費用が発生する可能性があります。

また、当社グループが事業を遂行する上で必要となる知的財産権等の権利につき、当該権利の保有者よりライセンス等を予定どおり受けられなかった場合や第三者との間で知的財産に係る紛争等が発生した場合は、特定の製品またはサービスを提供できなくなる可能性があります。

さらに、オープンイノベーションにむけたスタートアップ企業等との資本提携や業務提携において、相手方企業の知的財産権確保の不備等により、想定していた知的財産権の活用ができないリスクがあります。

これらの結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

このため、当社グループでは、知的財産権の取得に加え、提携先企業の知的財産権に関する十分な調査や、提携契約における必要な権利の確保に努めております。

 

⑷ プロジェクト管理について

当社グループは、従前からの多数のシステム開発に加えて、アウトソーシングビジネス等の多数のプロジェクトに取り組んでおります。市場競争激化の中で、お客様の要求の高度化、案件の複雑化が進んでいるため、プロジェクトにおいて問題が生じた場合、その修復に想定以上の費用や時間を要し、コストオーバーやリリース期日の延伸を引き起こすリスクが高まります。また、取り扱う製品やサービスの多種多様化により、プロジェクトが管理しなければならないセーフティとセキュリティのリスクも高まります。このため、当社グループでは、プロジェクトのリスク内容を多角的にアセスメントし、システム開発およびアウトソーシングビジネスの実行可否を、「ビジネス審査委員会」において評価し、予実を管理する運用に徹底して取り組んでおります。

また、システム開発手法の体系化・標準化による生産性の向上、プロジェクト課題早期発見制度であるプロジェクト検診等の施策も継続して実施しています。問題プロジェクトの振り返りを通して真の原因を見極め、根本対策や再発防止策を打ち出し、改善のためのPDCAサイクルを回すことによってコストオーバーの予防と問題の早期発見に努めております。

 

⑸ システム障害について

 当社グループが提供するシステムや各種サービスは、お客様の業務の基幹システムや、金融や電力などの社会インフラに関わるものから、決済サービスやEC(Electronic Commerce:電子商取引)などコンシューマー向けのサービスまで多様化しています。これらシステムや各種サービスにおいて、システムの不具合やサイバー攻撃等により重大な障害が発生した場合、その影響範囲は当社グループのお客様にとどまらずサービスをご利用いただくコンシューマーまで広範囲に及ぶため、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下といったレピュテーションリスクと、発生した損害に対する賠償金の支払等により、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

このため当社グループでは、システム障害による計画外のサービス停止時間の品質目標を設定しているほか、システム開発時の品質保証レビュー等によって、機密性・障害許容性・回復性・安定性といった品質特性の向上に努めております。また、本番稼働後にシステム障害が発生した際には、障害管理システムによる社内関係部門への情報展開によって、迅速な対応とリスク顕在化防止にも努めております。

 

⑹ 情報セキュリティについて

当社グループは、事業活動を通じ、当社グループ自身の情報はもとより、情報システムの開発、提供にあたり、多くのお客様の秘密情報、お客様が保有する個人情報に接する機会を有しております。そのため、個人情報をはじめとする情報管理はICT産業に身をおく当社グループの最重要課題と認識し位置づけ、情報管理体制の維持・運用と、当社グループ全役職員および委託先協力会社に対する教育・指導を行っております。

しかしながら、2022年6月21日に、お客様から受託した業務において当社協力会社の委託会社社員が、暗号化処理された個人情報データを記録したUSBメモリーを紛失する重大な事故が発生いたしました。2022年6月24日に、同メモリーは発見されており、個人情報漏洩は確認されませんでした。本件に関して、個人情報保護委員会から2022年9月21日に、法律に基づく指導を受け、改善状況を報告しております。

今後、このような事態を二度と繰り返さぬよう、そして、安心して当社グループの提供サービスをご利用いただけるよう、個人情報の適切な取り扱いに関して当社グループ全体のガバナンス強化に取り組み、情報管理体制および運用の改善ならびに全役職員および委託先協力会社に対する教育、指導の再徹底を行い、再発防止に努め、信頼回復に全力を尽くしてまいります。

上記の通り、当社グループとして、取り組みを進めておりますが、今後、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下といったレピュテーションリスク、および発生した事故に対する対応費用等により、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

一方、サイバー攻撃は日々高度化、巧妙化しており、サイバーセキュリティリスクは重要な経営課題となっております。このような事業環境を踏まえ、当社グループでは情報セキュリティ基本方針においてサイバー攻撃を重大な経営リスクとして位置づけ、グループ全体の情報セキュリティマネジメントを統括する総合セキュリティ委員会のもとに、サイバーセキュリティリスクに対応するための戦略を策定し推進するプロジェクト体制を構築しております。当社グループのサイバーセキュリティ戦略では,サイバーセキュリティ経営を継続的に実践するためビジョン、目標、活動計画等を定め、広範囲かつ多様なセキュリティ施策を実施しております。

特にテレワークやクラウドサービス利用の増加に対応するため、ゼロトラストアーキテクチャの考え方に基づくセキュリティ対策基盤を強化しております。また、サイバー攻撃の未然防止と事故対応を専門とする技術対応チームCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を対象としたサイバーセキュリティ演習、ならびにグループ内のネットワーク、サーバ等に対する脅威監視や分析を行うグループ内SOC(Security Operation Center)の監視範囲拡大など、インシデント検知・対応能力の強化を図っております。

さらに、万が一の予期せぬ事態による情報流出に対応するため、一定額までの保険を付保しております。

 

⑺ 人財について

国際競争の激化や急速な少子高齢化による労働人口の減少、デジタルトランスフォーメーションの進展により、IT人財の獲得競争は厳しさを増しております。また、ビジネスを取り巻く外部環境や企業に対する要請の変化は著しく、技術力に加え、持続的なイノベーション創発や多様化する社会課題・顧客ニーズに対応可能な人財を確保することは重要な課題となっております。当社グループが必要とする人財を確保できない場合、持続的な成長力の維持に影響を与える可能性があります。

そのため、当社グループでは、経営戦略に基づいた人財の獲得・育成のため、中長期視点での新卒採用・第二新卒などのポテンシャル人財や即戦力となるキャリア採用などの経験者採用を実施し、人財がより高度なスキルを習得できるよう、研修・制度の充実を図るなど、各種人財育成施策を展開しております。加えて、女性やシニア・外国籍・障害者等多様な人財の活躍支援、柔軟な働き方を実現させる人事制度やテクノロジーの活用等による職場環境の整備、ROLES(業務遂行上における役割)定義による役職員の個人内多様性「イントラパーソナル・ダイバーシティ」の確立、そのデータを活用した人財の流動性の促進など人財・働き方の多様化と人的資本の可視化を進めております。

また、定期的に役職員サーベイを実施し、分析とフィードバックに基づくアクションにより、エンゲージメント向上に取り組んでおります。

さらに、人財を含む社会分野のマテリアリティに関する意思決定機関としてソーシャル委員会を設置し、人財に関するリスクを軽減し、サステナビリティ経営を推進するための対策を講じております。

 

⑻ 投資について

当社グループは、競争力強化および事業拡大のため、新しい製品・サービスの提供を目的とする多額の投資を行っております。

また、先端技術や知見を有するパートナーに対するグローバルを含めた出資やM&A、ならびに、スタートアップやファンドへの出資を継続・拡大しております。

これらの投資に際しては、投資に対する十分なリターンが常に保証されるわけではなく、パートナーとの経営戦略の不一致や、当初の想定どおりに事業が成長しないことにより、経営成績に影響を与える可能性があります。

このため当社グループでは、投資案件ごとに投資委員会および上位機関である経営会議において、事業計画の妥当性等を慎重に検討し、投資判断によるリスクを最小限にするよう努めております。

 

⑼ コンプライアンスについて

新たなビジネスの創出などに伴い、コンプライアンスに関するリスクの多様化・複雑化が予想されます。長時間労働やパワーハラスメント、セクシャル・ハラスメントなどの人事・労務問題に加え、今後、データ利活用ビジネスやサービス提供型ビジネスが増加していく中で、データの取り扱いに不備があった場合や、その他重大なコンプライアンス違反の発生により、当社グループの社会的信用の低下や、発生した損害に対する賠償金の支払い、重要取引先からの取引見直しなどに至った場合、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

このようなリスクを回避するため、当社グループでは、「企業行動憲章」、「グループコンプライアンス基本規程」および「グループ役職員行動規範」を策定し、コンプライアンス推進体制を構築することで、グループ全役職員の法令、社会規範および社内規則の遵守ならびに倫理的な活動の実践に努めております。

 

⑽ 災害・感染症等について

地震等の自然災害やテロにより社会インフラや当社グループの主要な事業所等が壊滅的な損害を被った場合、その対応には巨額の費用を要することが余儀なくされます。また、感染症の発生等により、取引先・従業員の多くが安全確保・健康維持・感染拡大防止のために行動が制限される場合には、サービス提供等事業活動に大きな影響が生じるため、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、地震や感染症等による事業継続リスクに対応するため、「事業継続プロジェクト」にて、安全確保、社内業務復旧、顧客対応の各観点から事業継続計画(BCP)の策定と継続的な見直し・改善を実施しております。また、災害発生時に備え、社員、組織長、災害対策本部メンバーを対象とした安否確認訓練や具体的な発生事象のシナリオに沿って被災状況報告、対応指示、対応状況報告を役割ごとに実施する総合シミュレーション訓練などの訓練・演習を計画的に実施しております。
 なお、先般の新型コロナウイルス感染症の流行に対し、以前より策定済みの「新型インフルエンザ対策行動計画」に準じ、当社グループ社員・協力会社社員・お客様をはじめとした社会全体の感染拡大防止に努めつつ事業継続に取り組んでまいりました。新たな感染症の流行・拡大に際しても、新型コロナウイルス感染症への対応で得られた知見を活かし、お客様、パートナー、社員の安心と安全を最優先に事業継続に努めてまいります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要については「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に含めて記載しております。

 

②生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月 1日

至 2023年3月31日)

前期比(%)

システムサービス(百万円)

114,825

10.3

ソフトウェア(百万円)

15,223

41.8

合計(百万円)

130,049

13.2

(注)1.ソフトウェアには、ソフトウェア製品マスター制作までの研究開発費に該当する金額を含んでおります。

2.システムサービスの金額は、販売価格によっております。

3.上記の金額には、消費税等を含んでおりません。

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前期比

(%)

受注残高

(百万円)

前期比

(%)

システムサービス

118,965

8.8

36,409

9.8

サポートサービス

54,305

1.5

45,781

4.3

アウトソーシング

75,996

27.6

159,274

6.2

ソフトウェア

37,710

8.3

8,080

3.9

ハードウェア

63,118

5.5

19,536

49.3

その他

11,997

21.1

4,798

27.5

合計

362,094

10.7

273,880

8.8

(注)上記の金額には、消費税等を含んでおりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月 1日

至 2023年3月31日)

前期比(%)

システムサービス(百万円)

115,726

12.2

サポートサービス(百万円)

52,401

1.7

アウトソーシング(百万円)

66,730

5.2

ソフトウェア(百万円)

37,410

9.7

ハードウェア(百万円)

56,665

2.7

その他(百万円)

10,963

6.7

合計(百万円)

339,898

7.0

(注)上記の金額には、消費税等を含んでおりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されています。なお、詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「3.重要な会計方針」および「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載の通りです。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループは、経営方針(2021-2023)の最終年度である2024年3月期の数値目標として、調整後営業利益率10%以上、売上収益3,400億円(うち、アウトソーシング1,000億円)を掲げており、ROEは15%、連結配当性向は40%を目途としております。

これに対し2年目である当期は、調整後営業利益率8.8%、売上収益3,300億円の計画に対し、実績は、調整後営業利益率8.6%、売上収益3,399億円(うち、アウトソーシング667億円)となり、調整後営業利益率は計画を下回ったものの、売上収益は計画を上回っております。また、ROEは15.0%、連結配当性向は39.8%となりました。

なお、最終年度である2024年3月期の連結業績は、調整後営業利益率9.1%、売上収益3,500億円(うち、アウトソーシング750億円)を計画しております。売上収益は、引き続きデジタルトランスフォーメーションへの旺盛な需要を取り込み、システムサービスを中心としたサービスビジネスが好調に推移すると見込み、目標額を超える3,500億円を計画しております。また、現在はお客様のデジタルトランスフォーメーション推進に対応するため、システムサービスにリソースを集中投下していることから、アウトソーシングビジネスの売上計画は750億円としております。利益面は、売上収益の増収による増益を見込むものの、新たなサービス創出を加速するための研究開発投資や、優秀な人材を獲得するための費用などを織り込み、調整後営業利益率は9.1%を計画しております。

 

b.経営成績等の状況に関する経営者の視点による認識・分析・検討(事業全体)

当連結会計年度におけるわが国経済は、インバウンド需要や個人消費などに穏やかな持ち直し傾向がみられるものの、海外経済の減速やエネルギー・原材料価格の高騰などの影響を受け、依然として先行きの不透明な状況が続いております。

国内の情報サービス市場においては、デジタルトランスフォーメーション(DX)領域への投資意欲は強い傾向にあるものの、国内経済の先行き不透明感もあり、引き続き動向を注視していく必要があります。

このような環境の中、当社は、社会的価値創出企業の実現に向け、2022年4月にBIPROGY株式会社に商号変更しました。「Purpose注1」および「Vision2030注2」のもと、社会的価値の創出を通じて、グループ全体の企業価値を持続的に向上させる、新たなステージに向けて策定した経営方針(2021-2023)に基づく取り組みを行っております。

中長期の成長に向けて、お客様の持続的成長に貢献する顧客DXの推進「For Customer」での豊富な知見を元に、各業種・業界のお客様、パートナーと共に社会課題解決を進める社会DXの推進「For Society」への取り組みへと展開しております。

金融分野では、オープン技術を用いた地域金融機関向けフルバンキングシステムの採用が拡大しております。共同利用型勘定系サービス「OptBAE®」はこれまでに11金庫で稼働し、新規の採用も決定しております。また、大手地域金融機関10行で稼働している「BankVision®」は、さらに2行で稼働準備を進めております。今後は、クラウドを含むオープン環境で展開している実績を活かし、「ファイナンシャル・サービスプラットフォーム」として展開いたします。AIやデータ活用などのサービス提供に加え、異業種サービスやSaaSなどと連携し、地域経済の活性化に向けた取り組みを推進してまいります。

流通分野では、AI自動発注サービス「AI-Order Foresight®」が、複数の食品スーパーのお客様にて稼働しております。導入店舗では発注作業時間の5割削減や欠品、廃棄削減を実現しており、人手不足や廃棄ロスなどの社会課題の解決に貢献しております。また、インバウンド需要の回復から、当社が手掛けてきたQRコード決済の拡大も見込まれます。

製造分野では、約40年にわたり国産の住宅設計CAD注3システムを大手ハウスメーカーを中心に提供してきたノウハウを元に、住宅オーナー様との関係を強化し、住環境の最適化を実現する「DigiD Prism®」の提供を2023年3月に開始、複数のメーカー様にて適用作業を進めております。技術者不足が深刻化する中で、CADシステムの機能強化に加え、外部事業者との連携効率化など、商談からアフターサービスまでの住宅設計サイクルを統合的に管理できるプラットフォームへと進化しております。今後は、住宅産業に関わる企業間でのデータ連携やAIなどの最新技術を活用し、住宅業界を中心とした社会DXサービスとして展開してまいります。

公共分野では、非化石証書の信頼性担保などの取り組みによる知見や経験を活かし、2022年11月に環境価値管理サービス「Re:lvisTM」(リルビス)の提供を開始しており、取引量の増加が見込まれるカーボンオフセット注4に係る業務の負担軽減を実現しております。2030年までに温室効果ガス排出量を50%削減し、2050年までのゼロエミッション達成を見据え、今後もデジタルの力を活用してカーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。

当社グループでは、マテリアリティ注5の1つとして「新たな未来を創る人財の創出・強化とダイバーシティ&インクルージョンの進化」を定め、多様な人財が能力を発揮できる環境づくりに努めています。その取り組みをさらに加速させるため、2023年4月には人的資本マネジメント部を新設いたしました。

また、2023年2月には、S&P Global社が持続可能性において優れた企業を掲載する「The Sustainability Yearbook 2023」において、評価スコアが業界の上位15%以内の企業として「Sustainability Yearbook Member注6」に選定されました。

以上のように、Vision2030実現に向けた経営方針(2021-2023)に沿って、当社グループ一体となって取り組んでまいりました。今後も、様々なステークホルダーとのコミュニケーションを継続し、持続的な企業価値向上を目指し、サステナビリティ経営を推進してまいります。

 

(注)

1. Purposeについては、当社のウェブページの以下ご参照。

  https://www.biprogy.com/com/purpose_principles.html

2. Vision2030については、当社のウェブページの以下ご参照。

  https://www.biprogy.com/com/management_policy.html

3. CAD:Computer Aided Designの略称で、コンピューター支援による設計/製造のこと。

4. カーボンオフセット:非化石証書などの環境価値で発生させた温室効果ガスの埋め合わせを行うこと。

5. マテリアリティについては、当社のウェブページの以下ご参照。

  https://www.biprogy.com/sustainability/

6. Sustainability Yearbook Memberについては、当社のウェブページの以下ご参照。

  https://biprogy.disclosure.site/ja/themes/99

7. 記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。

 

 

 当連結会計年度の売上収益は、システムサービスが好調に推移した結果、前期に比べ222億97百万円増収の3,398億98百万円(前期比7.0%増)となりました。

 

 利益面につきましては、システムサービスの増収や収益性向上による増益効果などにより売上総利益が増益となったことから、社内基幹システム刷新に係る自社用機械化投資等による販売費及び一般管理費の増加分を吸収し、営業利益は前期に比べ22億48百万円増加の296億73百万円(前期比8.2%増)となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期利益は、ファンド投資に係る評価益の減少等により金融収益が減少したことなどから、前期に比べ2億87百万円減少の202億3百万円(前期比1.4%減)となりました。

 

 なお、当社グループが業績管理指標として採用している調整後営業利益につきましては、前期に比べ27億22百万円増加の293億94百万円(前期比10.2%増)となりました。

 ※調整後営業利益は、売上収益から売上原価と販売費及び一般管理費を控除して算出しております。

 

財政状態

 当連結会計年度末の総資産の状況につきましては、営業債権及びその他の債権、契約資産並びに無形資産の増加等により、前連結会計年度末比117億49百万円増加の2,803億96百万円となりました。

 負債につきましては、リース負債が減少した一方、契約負債等が増加したことにより、前連結会計年度末比8億25百万円増加の1,387億98百万円となりました。

 資本につきましては、1,415億97百万円となり、親会社所有者帰属持分比率は49.9%と前連結会計年度末比1.9ポイント上昇いたしました。

 

c.資本の財源及び資金の流動性について

財務政策

 当社グループの資金需要は、営業活動に関する資金需要として、システムサービスおよびサポートサービスなどの外注費、販売用のコンピュータおよびソフトウェアの仕入の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものがあります。営業費用の主なものは人件費および営業支援費、新規サービスの開発等に向けた研究開発費です。また投資活動に関する資金需要として、新たなビジネス創出に向けた、事業会社、スタートアップ、ファンドへの戦略投資、既存ビジネス遂行のための設備投資などがあります。経営方針(2021-2023)においては、投資を重要な施策と位置づけており、先端テクノロジー活用とイノベーションの持続的な創出を目指しつつ、戦略投資を加速させていく計画です。

 

 必要な資金については、既存のICT領域や今後成長が見込まれるサービス型ビジネスから創出されるキャッシュ・フローおよび手許資金等でまかなうことを基本としており、当年度においても、この方針に変更はありません。

 

 また、機動的な資金調達と安定性の確保を狙いとし、従来、主要取引金融機関と総額105億円の貸出コミットメントライン契約を締結しております。なお、当連結累計会計年度において当該契約に基づく借入実行はありません。

 

 株主還元については業績連動による配分を基本として、キャッシュ・フローの状況や成長に向けた投資とのバランス、経営環境などを総合的に考慮して利益還元方針を定めており、経営方針(2021-2023)においては連結配当性向40%を目処とする利益還元方針を定めております。この方針に沿って当連結会計年度においては、1株当たり80円(連結配当性向39.8%)の配当を実施しております。

キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比50億58百万円減少の436億45百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金につきましては、税引前当期利益300億1百万円に加え、非現金支出項目である減価償却費及び償却費162億27百万円等の収入加算要素および、営業債権及びその他の債権の増加43億93百万円、契約資産の増加額52億75百万円等の収入減算要素により、284億19百万円の収入(前期比10億15百万円収入減)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により支出した資金につきましては、主に営業用コンピュータ等の有形固定資産の取得による支出27億33百万円、アウトソーシング用ソフトウェアに対する投資を中心とした無形資産の取得による支出118億75百万円、ファンド投資や子会社であるCVCファンドの運用を中心とした投資有価証券の取得による支出27億93百万円等により、155億37百万円の支出(前期比45億79百万円支出増)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により支出した資金につきましては、リース負債の返済による支出86億3百万円、配当金の支払額90億39百万円等により、180億43百万円の支出(前期比19億25百万円支出増)となりました。

 

d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

システムサービス

 システムサービスは、ソフトウェアの請負開発業務、SEサービス、コンサルティング等からなり、売上収益は1,157億26百万円(前期比12.2%増)、セグメント利益は396億3百万円(前期比21.4%増)となりました。金融機関やサービス業等、幅広い業種のお客様におけるデジタルトランスフォーメーション案件、基幹システムの刷新案件などが堅調に推移した結果、増収増益となりました。高採算案件の増加や、生産性改善などにより、収益性も向上しております。また、受注高につきましても、デジタルトランスフォーメーション関連案件に対する需要が堅調に推移し、前期比で増加しております。引き続き顧客接点強化や業務改革を中心としたデジタルトランスフォーメーション関連ビジネスを積極的に展開し、付加価値の高いサービス提供により収益の拡大を目指してまいります。

サポートサービス

 サポートサービスは、ソフトウェア・ハードウェアの保守サービス、導入支援等からなり、売上収益は524億1百万円(前年同期比1.7%増)、セグメント利益は160億79百万円(前期比0.9%減)と増収減益となりました。引き続き収益性の維持・改善に取り組んでまいります。

アウトソーシング

 アウトソーシングは、情報システムの運用受託やサービス型ビジネス等からなり、売上収益は667億30百万円(前期比5.2%増)、セグメント利益は170億39百万円(前期比1.5%減)となりました。売上収益は、地域金融機関向け共同利用型勘定系サービス「OptBAE」において順次本番サービスを開始するなど、金融機関向けプラットフォームサービスが収益拡大に貢献したことに加え、EC事業者向けのプラットフォームサービスの拡大などにより増収となりました。セグメント利益は、前期に計上した利益率の高い大型案件の影響等により減益となりました。リモートワークの普及によりデジタルワークプレイス整備につながる収益性の低い他社製のクラウドサービスの引き合いが増加しておりますが、今後は当社グループ独自のサービスを組み合わせた付加価値の高いマネージドサービスの提供を通じて、収益性の向上を図ってまいります。引き続き、お客様のデジタルトランスフォーメーションを推進するサービスの提供や、社会課題の解決に貢献する様々なサービス型ビジネスの拡大に取り組むことで、一層の事業拡大を目指してまいります。

ソフトウェア

 ソフトウェアは、ソフトウェアの使用許諾契約によるソフトウェアの提供等からなり、売上収益は374億10百万円(前期比9.7%増)、セグメント利益は50億97百万円(前期比3.0%減)となりました。前期に比べ収益性の低い他社製ソフトウェア案件が増加したことから、増収減益となりました。

ハードウェア

 ハードウェアは、機器の売買契約、賃貸借契約によるハードウェアの提供等からなり、売上収益は566億65百万円(前期比2.7%増)、セグメント利益は90億43百万円(前期比4.6%減)となりました。前期に比べ増収となったものの、採算性の高い大型案件が減少した影響等により、減益となりました。

その他

 その他は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、回線サービス及び設備工事等を含み、売上高は109億63百万円(前期比6.7%増)、セグメント利益は24億85百万円(前期比10.0%増)となりました。

(注)セグメント利益は、当社グループが業績管理指標として採用している調整後営業利益と調整を行っており、上記の全てのセグメント利益合計893億50百万円から、各報告セグメントに配賦していない販売費及び一般管理費を含む調整額△599億55百万円を差し引いた293億94百万円(前期比10.2%増)が調整後営業利益となります。

 

5【経営上の重要な契約等】

契約の名称

相手方の

名称

契約締結日

契約

期間

契約内容

代理店契約

ユニシス・

コーポレーション(米国)

1987年12月(1991年3月および2005年10月に一部改定)

1988年

4月より

期間の

定めなし

ユニシス製コンピュータの日本における総代理店契約。

主な内容は、以下のとおり。

①日本におけるユニシス製コンピュータの輸入販売、保守

②技術情報・技術援助の提供および商標使用権の設定

業務提携等に

関する契約

大日本印刷

株式会社

2012年8月9日

契約締結日より

期間の

定めなし

「クラウド事業」、「新プラットフォームサービス事業」、「マーケティング・販売連携」の各分野における業務提携。

 

 

6【研究開発活動】

当社グループは2030年に向けて、テクノロジーの力で持続可能な社会の実現を可能にするため、様々なサービス、プロダクト、企業、利用者をマッチングできるビジネスエコシステムやプラットフォームを社会の共有材であるデジタルコモンズとして創造し提供する企業となることを目指した「Vision2030」を定めました。

また、「Vision2030」の実現に向けて、顧客の持続的成長に貢献する顧客DXの推進「For Customer」と、様々な業種業界のお客様、パートナーと共に社会課題解決を進める社会DXの推進「For Society」の2つの視点で経営方針(2021-2023)を定め、研究開発活動に取り組んでまいりました。

当連結会計年度の研究開発費の総額は3,953百万円であり、主な研究開発の内容は次のとおりです。なお、これらの成果は、各セグメントに共通することから、研究開発費のセグメント別の配賦は行っておりません。

 

(1)主なサービス・商品等の開発

①当連結会計年度に開発が完了し、商品リリース、サービス開始した開発案件

・内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」の研究成果である自動運転安全性評価のためのプラットフォームDIVP®(Driving Intelligence Validation Platform)を製品化(以下、DIVP製品)し提供開始。自動運転車の安全性評価のためには、「目」の役割をもつセンサーの評価と「脳」の働きをもつ車両制御ソフトの評価の両方が必要となる。DIVP製品は、実現象と一致性の高いシミュレーションモデルやさまざまな道路環境に合わせたシナリオの作成など、一気通貫で自動運転に関する安全性評価を実現する。新会社「V-Drive Technologies株式会社」を設立し、DIVP製品を提供する。

・従業員同士が日頃の協力や行動に対する称賛・感謝の気持ちを、デジタルカードで贈り合うサービス「PRAISE CARD®」の提供を開始(2022年9月)。ブロックチェーン技術が使用されており、デジタルカードの送受信量や保有量データを元に活性度を分析し、コミュニティの状態を可視化することができる。企業の人的資本向上とESG経営における情報開示を支援する。

・非化石証書・環境価値の管理効率化を支援する「環境価値管理サービス」のうち、「購入代行機能」を販売開始。「環境価値管理サービス」は、非化石証書の調達・割当・対外機関への報告までの手続きを一気通貫で行うことができるSaaS型サービスであり、非化石証書・環境価値管理の効率化を通じて、社会のカーボンニュートラル実現を支援する。

・デジタルトランスフォーメーション(DX)につながるクラウド活用を検討されているお客さまに対し、解決策の提示、構築・移行、サポート・運用までをワンストップで提供する専任組織として「クラウドDXセンター」を設立。パブリッククラウドへのシフトを進めDXを実現するお客さまを支援するためのアセスメント、要件確認から導入・構築、サポート/運用といった導入プロセスにおいて一貫したサービスを提供する。

・企業ユーザー様向けのクラウドサービス利用を支援するサービス体系「CLOUDForesight®」を提供。当社がこれまで培ってきたシステム構築ノウハウを活かしてクラウドサービス利用を支援する。サービスの提供は、Microsoft Azureおよびアマゾンウェブサービスが対象。

・アプリケーション開発/運用における技術・経験を統合したサービス「AlesInfiny®(アレスインフィニ)」を提供開始。DXを目指す企業に、クラウド時代の最新アーキテクチャと開発プロセスで、変化に強いアプリケーションの開発と運用を実現し、デジタル技術を活用したビジネス変革をお客様と共に推進することで、持続可能な社会の実現に貢献する。

・お客様のデータAI活用を支援するサービス体系「Rinza®」を提供。長年蓄積した様々な業種業態の業務知見に根差したデータ分析技術と、データを安全に蓄積し繋ぐ技術を基に、意思決定を支援することで、企業の課題解決や新しい価値の創出を支援する。

 

②次年度以降の商品リリース、サービス開始に向けた開発案件

・金融機関の金融機能をアンバンドル化し事業会社のデジタルサービスへ組み込み、生活サービスへの金融取引融合と経済取引の合理化を支援する。生活者との接点を持つ小売業、サービス業、公共交通機関、不動産業等のスマートフォンアプリから金融機関が提供する預金、ローン、保険・証券等の金融サービスをシームレスに接続するAPI機能を提供する。これらの事業会社と金融機関を仲介し、金融サービスの利用を促進し、生活者へ新しい購買体験を提供する。

・国内の酒蔵と海外の輸入事業者をつなぎ、日本酒のクロスボーダー取引を支援するプラットフォーム「J’s Marketplace®」のトライアルサービスを開始。酒蔵や輸入事業者は「J’s Marketplace」を通じて、デジタル取引を行うと同時に輸送や通関に関する手続きを行うことができる。また、輸出経験が少ない酒蔵でも、日本語で注文を受け、簡単に輸出の取引ができるようになると同時に、輸入業者は、英語で酒蔵へ発注ができる。酒蔵や米農家の地域活性化、および、日本酒に代表される価値ある特産物の輸出バリューチェーンのDXを推進する。

・電気自動車(EV)を活用したエネルギー利用の最適化と災害時のレジリエンス向上のためのエネルギーマネジメントの実証を通して、AIによるEVの充放電計画の作成と自動的に充放電を制御するサービスを提供する。業務用車両にEVを導入する法人においては、充放電が適切に行われなかった場合、EVの充電不足による業務の支障や一斉充電による電気料金の上昇といった課題が発生する。また、EVのバッテリーを蓄電池として適切に利用することで災害時の電力供給等、BCP対策に利用することが可能になる。

・データから解くべき事業や業務課題を導くデータコンサルティングサービスを企画開発中。データで事業や業務を変革したい企業やデータ利活用が進まない企業に対して、データを起点として課題を探索するアプローチにてDXの実現を支援する。データインフォームド推進企業である株式会社ギックスと提携し、サービス品質向上およびデータサイエンティストを強化中。

 

(2)新技術に関する研究・開発

①当連結会計年度に研究開発が完了した案件

該当事項なし。

 

②次年度以降も研究開発を継続する案件

・未来における社会変化と技術活用の予測および先端技術の探索マップ整備、技術動向調査と事業機会の探索、技術全体のポートフォリオの整備・評価・運用。

・当社および顧客のサービスビジネスにおいて、市場や顧客のビジネス要求の変化に対し、迅速且つ安全なサービスを開発・提供・運用するための、DevOpsの採用技術の調査・セキュア環境基盤の開発。

・当社サービスビジネスの開発・運用に必要な指針や規約、ガイドドキュメントの開発、および、前提となるクラウドネイティブ開発領域の採用技術の調査・研究開発。

・AI応用領域(画像解析、対話支援、予測)とビッグデータ基盤技術を活かした顧客行動データモデルの分析基盤の開発、データストラテジック関連技術および分析ノウハウの調査・研究。生成AI技術のビジネス活用に向けた応用技術の開発と実装。

・web3関連技術の調査、パブリックなブロックチェーンにおけるウォレット、NFT/SBTの安全な運用方法の研究、分散型経済を実現する新たなビジネスモデルの試行。

・組合せ最適化の領域で実用化に向けた研究を進展させ、古典AI技術と量子アニーリング技術のハイブリッドによる問題解決手法の調査、検証。

 

(3)基盤となる技術や先端技術等の研究・開発

①当連結会計年度に研究開発が終了した案件

・医療従事者を含む地域住民のウェルビーイング向上の拠点としての病院の在り方とその実現のための研究。

 

②当連結会計年度に研究開発を開始した案件

該当事項なし。

 

③次年度以降も研究開発を継続する案件

・システム工学を土台とする、分野や業界を横断する複雑化した社会システム全体の見取り図となる社会システムアーキテクチャの研究開発。

・日常の当たり前を認識する能力(コモンセンスAI)、機械学習と言語学に基づく複合的な自然言語処理、発想や意思決定をサポートする技術の研究開発。

・仮想と現実の融合に関して、空間の認識および空間に情報を表現するための画像処理・画像認識を含むセンシング技術、直感的かつシンプルなインタフェース技術の研究開発。

・当社が培ってきたCAD・CG技術を発展させた、設計データと二次元画像・三次元点群データを利用した物体認識技術の研究開発。

・想定困難な事故が発生するリスクの高まりを見据え、信頼性・安全性を検証するための多面的な特性である“トラストワージネス(Trustworthiness)”に着目した、新たな安全分析手法の研究開発。

・データが不完全な(矛盾、曖昧さ、欠損を含む)場合であっても不合理な判断を引き起こさずに、適切な帰結を得ることができる新たな推論システムの研究開発。

・人の“思考”“動作”“心理”“身体”に基づいた、自らの可能性を知り、より良い選択ができるための技術の研究開発。

・社会課題解決、経済活動活発化等につながる、人の行動変容を導く技術の研究開発、施策立案者の意思決定の質をあげるデータ活用基盤の研究開発。

・その他、量子コンピューターの本格的なビジネス利用に備えた、量子ソフトウェア開発における高水準プログラム言語とそれを用いた開発方法論やツールについての調査・研究。