文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、高い技術力を活かした製品を顧客に提供し社会に貢献するために以下を企業理念とし、この企業理念のもと当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けて企業活動を進めております。
・ 世界市場で顧客の信頼に応える企業グループ
・ 常に技術の先端を行く企業グループ
・ 地球環境保全、循環型社会に貢献する企業グループ
(2) 経営環境
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える大きな要因として、紙素材事業の構造的な需要減退、木材チップ、製紙用パルプ・重油・石炭・諸薬品等の原燃料価格変動があります。
販売体制の効率化に向け、ダイヤミック株式会社を三菱王子紙販売株式会社に統合し、当社グループの販売代理店を1社に統合いたしました。これにより同社は、分野にかかわらず当社グループ製品の販売を担う唯一の販社として、グループ全体の販売最適化を進めてまいります。
機能商品事業は原燃料高騰の影響を受けておりますが、販売数量の回復や価格修正によりこの影響を最小限に抑えるべく対策を進めております。エアフィルター、メルトブロー不織布、機能性濾材、超耐熱ガラス繊維不織布など、安全かつ快適なサステナブル社会の実現に貢献する機能性不織布関連事業の拡大を目指します。又、自動車、省エネ・通信機器向けに規模の拡大が見込まれるバッテリーセパレータ事業、情報・通信技術の高度化に伴う電子工業材料事業等のエレクトロニクス関連分野においても更なる規模の拡大を図ってまいります。
紙素材事業は機能商品事業同様の原燃料価格の高騰影響に加え、需要減退など厳しい環境にありますが、需要動向に合わせた生産体制最適化と在庫適正化を進めると共に製品の価格の適正化を図ってまいります。更には需要減少に対応するため品揃え拡充により外販パルプを拡販、紙袋用途で需要が堅調なクラフト紙、減プラ・脱プラの加速化により需要拡大が見込めるバリアコート紙等の環境配慮型の商品の拡販を図ります。加えて、生産・販売体制の構造改革を実現し、紙素材事業を安定した収益を生み出す基盤事業にしてまいります。
当社グループは、2023年3月期より新たな中期計画として「中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)」に取り組んでおります。「中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)」では最終年度(2025年3月期)の経営数値目標を以下の通り設定しております。
○ 経営数値目標
(4) 会社の対処すべき課題
<中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)>
新型コロナウイルスによる生活様式の変化は、デジタル化の進展による紙需要の減少を加速させましたが、この市場の変化への対応のため当社グループは収益基盤強化のための構造改革をこれまでにないスピードで推進してまいります。
その実現のため、当社グループでは「新しい三菱製紙グループの創造」とのスローガンを掲げて2023年3月期より中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)を開始しております。
中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)の基本方針及び諸施策実施状況は以下の通りです。
① 「選択と集中」「新事業拡大」による収益力の強化
成長事業である、機能性不織布関連事業やエレクトロニクス関連分野の拡大を強力に推進し、事業を伸長させています。今後も『機能商品事業』に集中的にリソースを投じ、売上・利益を着実に伸長させ、当社の主力事業にしてまいります。『選択と集中』による構造改革を進めるなか、販売子会社や工場サイト子会社の統合などのグループ組織再編を行ったほか、ドイツ事業フレンスブルグ工場の事業売却を決定いたしました。今後も収益性向上施策として組織合理化を進めてまいります。
② グリーン社会への貢献
脱プラ・廃プラ、安全かつ快適なサステナブル社会の実現に寄与する環境配慮型製品の拡販に加え、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みなど、グリーン社会に貢献する活動に取り組んでおります。YouTubeチャンネル「Green Webcast」を開設、「Green」をテーマに、当社製品やイベントのご紹介、体験型森林環境学習「エコシステムアカデミー」の活動の様子などを発信し、ステークホルダーの皆様に当社グループの取り組みと当社製品について理解を深めていただけるよう努めてまいります。
③ サステナビリティ向上のための組織変革
コーポレートガバナンス強化、サステナビリティ推進、ダイバーシティー&インクルージョン、コンプライアンスの徹底、働き方改革等の各種取り組みを推進するための組織変革に取り組んでおります。ガバナンス向上、関連部門間での連携強化、各工場・子会社を含めた全社統制機能の強化を図ること等を目的に、2023年4月1日より本部制を導入しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) ガバナンス
① サステナビリティ基本方針
三菱製紙グループは、社会価値を創造することで持続的に成長するとともに、事業を通じて持続可能な社会に貢献してまいります。
1. バイオマス資源の活用と先端技術の創出により、持続的に成長できる事業モデルを構築します。
2. 森林の持続可能な管理に努めるなど、かけがえのない地球環境を維持し、循環型社会の構築に貢献します。
3. 世界市場に向けて、持続可能な社会に貢献する製品・サービスを提供します。
当社は、企業が社会の一員として存続するためには、利益を確保することだけでなく、様々なステークホルダーの皆様に対して社会的な責任を果たすことが必要と考えております。サステナビリティの目的は皆様からの信頼と共感を得ることを通して企業価値を上げることにあります。社会の要請に応えるため、サステナビリティを事業活動の中で取り組むべき重要な経営課題であると認識しています。
三菱製紙グループの企業理念は、世界市場でお客様の信頼に応える企業グループ、常に技術の先端を行く企業グループ、地球環境保全、循環型社会に貢献する企業グループであり、事業を進める上での基本的な考え方を示しています。企業行動憲章は、企業理念を具体化する際の指針を示しており、サステナビリティはそれを具体化する活動と考えています。
② サステナビリティ推進体制
サステナビリティを重視した企業グループ経営の推進のため、担当役員を任命するとともに社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設け、当社グループのサステナビリティ推進活動(コンプライアンス、リスクマネジメント、人財マネジメント、安全・衛生、環境、製品安全、製品品質、人権・労働、情報開示・広報、社会貢献、気候変動など)を組織横断的に統括しています。

(2) リスク管理
企業価値を維持向上していくためには、企業が活動していくうえで生じる様々なリスクを的確に管理していくことが重要です。当社グループでは、サステナビリティ推進体制のもとで総務部が所管するリスクマネジメント委員会がグループ全体のリスクマネジメントを統括し、本社各部署や各委員会、各事業場では、関連リスクに対応するための諸規則・マニュアルの整備、事前予防体制の構築と訓練、問題発生時の再発防止策の策定など、様々なリスク管理強化策に取り組んでいます。

① リスクマップの充実
リスクマネジメント委員会では、現在200件を超えるリスクを組織横断的に監視しています。それぞれのリスクの影響度と発生頻度を分析してリスクマップに整理し、定期的に特定と分析評価を実施して、リスクマネジメントの実効性向上を図っています。
② 危機管理体制の構築
当社グループでは、重大な人的被害や設備被害、周辺地域への影響を伴う恐れのある事故や災害が発生した際、企業の社会的責任を果たすとともに社会的信用を確保することを念頭に、迅速な対応にあたるために『三菱製紙グループ 危機管理対応マニュアル』を定めています。さらに、実効性のある危機管理体制を構築するために、各場所や全社規模でさまざまな訓練や運用テストを定期的に実施し、課題を抽出して改善に努めています。安否確認システムを用いた訓練を各場所・国内グループ関連会社でも実施し、当社グループ全体での危機管理体制を構築しています。また、新型コロナウイルス感染対策の経験を活かし、新たな感染症が発生した場合には拡大の防止に努めます。
③ 情報管理の強化
事業活動において取り扱う情報の管理と保全に関する措置を『情報管理規定』に定めるとともに、この規定を運用するうえでの指針となる『情報取扱に係るガイドライン』を策定し、情報の効率的・統合的な運用と適正な管理を図っています。
④ 「事業継続計画」(BCP)の構築
当社グループは、阪神淡路大震災、東日本大震災の経験から緊急時の対応力強化が必要と認識しています。甚大な被害から復興してきた経験を活かし、実効性のある事業継続計画の構築を進めています。
2023年度は、中期経営計画と企業行動憲章改定に合わせてマテリアリティ及びアクションプランを見直しました。2022年度活動実績を踏まえ2023年度最重要アクションプランは、「社会に有用で安全な製品の開発」、「気候変動問題への対応」及び「安全衛生に関する活動の強化」の3点を掲げました。「社会に有用で安全な製品の開発」ではグリーン社会への貢献を意識した商品の開発、「気候変動問題への対応」ではエネルギー起源CO2排出量の削減や省エネルギー推進、「安全衛生に関する活動の強化」では設備の本質安全化と危険の見える化・DX化の推進、を強化してまいります。
2022年度活動実績及び2023年度活動計画に関する詳細な情報については、2023年9月に当社ウェブサイト(https://www.mpm.co.jp/env/report.html)において公表予定の
※網掛けは最重要アクションプランを示しています。
世界的な課題である気候変動は、企業にとっても深刻な影響をおよぼす要因と考えられ、その要因は中長期的な事業活動を行う上での“リスク”および“機会”へと変わりつつあり、企業が持続的な成長を果たすためには、気候変動での影響を経営戦略に織り込む必要が出てきています。
三菱製紙グループは、2022年4月にTCFDへの賛同を表明するとともに「TCFDコンソーシアム」へ加入しています。当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向け、また、社会に貢献することを目指して、気候変動が事業に与えるリスク・機会の両面に関してTCFDの提言に沿った情報開示を進めてまいります。三菱製紙グループは社会価値を創造するとともに事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
① ガバナンス
・気候変動問題を重要な経営課題の一つとして認識していますので、気候変動に係る基本方針や重要事項は取締役会において審議、決定いたします。またそのリスクと機会は取締役会においてサステナビリティ推進担当役員が少なくとも1回/年で付議、報告いたします。
・サステナビリティ推進担当役員も含めた全社横断的なTCFD対応プロジェクトチームを発足させています。
・サステナビリティ推進委員会(年2回開催)を設け三菱製紙グループ全体のサステナビリティ推進活動を組織横断的に統括するとともに、その傘下にあるリスクマネジメント委員会の下で、TCFD対応プロジェクトチームの進捗を管理しています。
・脱炭素に係る投資判断は、その重要度に応じて経営会議・取締役会で審議します。
② リスク管理
・サステナビリティ推進委員会の傘下にあるリスクマネジメント委員会が認識している項目から、気候変動に関連したリスクの抽出をしています。またTCFD対応プロジェクトチームで気候変動に関連したリスクを管理しています。
③ 戦略
・TCFD対応プロジェクトチームで洗い出したリスクと機会に対し担当部署で検討の上、対応策を定めています。
・環境省が創設した「生物多様性のための30by30アライアンス」に参加しています。また白河社有林を活用した体験型森林環境学習「エコシステムアカデミー」において、生物多様性や森のめぐみを学ぶ機会も提供しています。
・三菱製紙グループの製品及びグリーン社会への貢献に向けた取り組みについてご理解いただくため、「三菱製紙株式会社公式チャンネルGreen Webcast」を開設し、動画配信を始めています。「Green」をテーマに、当社製品やイベントのご紹介、「エコシステムアカデミー」の活動の様子など、さまざまな動画配信を行っています。
④ 指標と目標
・2050年のカーボンニュートラルを目指す「三菱製紙グループ環境ビジョン 2050」を策定しています。三菱製紙グループは、再生可能エネルギー等の最大利用、炭素固定技術の活用、環境配慮商品の開発を通じてカーボンニュートラルの実現を目指し、日本政府が目指す長期目標「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする脱炭素社会・カーボンニュートラルの実現」に貢献してまいります。
・2021年度のエネルギー起源CO2国内排出量は797千tです。2013年度エネルギー起源CO2国内排出量948千tと比較して16%(151千t)減とすることが出来ました。2030年までにエネルギー起源CO2国内排出量を2013年比で40%削減し568千t以下を目指します。
・エネルギー起源CO2国内排出量を2013年度比で40%削減する具体的取り組み体制として、「2030年度CO2削減タスクフォース」を立ち上げました。具体的な施策としては、省エネルギーの取り組み及び既存ボイラーの石炭からの燃料転換を推進し、石炭使用量の削減を進めてまいります。
・SCOPE1+2のCO2を含む2021年度温室効果ガス国内排出量は906千tです。2013年度温室効果ガス国内排出量1,064千tと比較して15%(158千t)減とすることが出来ました。2030年度までに2013年比で36%削減し681千t以下を目指します。
・サプライチェーンを含めたCO2削減につきましては、SCOPE3の算定方法を継続調査し、今後の開示について検討を進めてまいります。
・紙の生産には大量の水資源を使用します。2021年度の工業用水取水量は122百万tになりましたが、工程内の水リサイクル(水の循環利用)などを進め、有効利用に取り組んでまいります。尚、各工場には排水処理施設を設置し、工場内で使用した水は法律で定められた基準に基づききれいな状態にした上、放流することで地域に還しています。水質保全にも努め、基準を遵守し、その地域の環境保全に努めています。
・東北地方を中心に約2千haの森林を保有しています。積極的な北東北産の木材使用により国産材自給率向上と森林保全に今後とも継続して努めます。
⑤ シナリオ分析の実施
・人間と地球が共生するため、気候変動による深刻な影響を抑えるためには、地球の平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5℃未満に抑えることが必要だと考えられています。
・今回の分析で設定したシナリオは、IEAのWEO SDS(持続可能な開発シナリオ)や気候変動に関する政府間パネルIPCCが示す外部シナリオを参照しました。温室効果ガスが排出できないために、社会システムが気候変動の緩和に移行する「カーボンニュートラルな世界」におけるシナリオでは移行リスクが大きくなり、自然の猛威に立ち向かうために物理的な影響への適応が必要な「気候変動の影響が甚大な世界」におけるシナリオでは物理的リスクが大きくなりました。
・想定する複数の世界における移行リスクおよび物理的リスクに対し、対応策を講じることで、将来のリスクに対するレジリエンスを高められると考えています。また、それらが組み合わさった厳しい世界でも、それぞれの対応策の組み合わせによって、リスクを低減できると考えています。また、リストアップした機会を捉え、今後の事業拡大を進めてまいります。
・具体的には、以下のような商品群を拡充・増販することにより、中期経営計画に則った事業ポートフォリオ転換の加速による強固な経営基盤の確立を目指してまいります。
〇安全かつ快適なサステナブル社会に貢献する機能商品事業製品
・安全・安心な水の確保に貢献する水処理膜基材
・空気の最適化に貢献するフィルター
・電力の有効利用に寄与するバッテリーセパレータ
・電子工業材料関連など
〇脱プラ・減プラに貢献する木材由来新製品
・クラフト紙やバリア紙など
⑥ シナリオ分析の結果
表1:シナリオ分析の実施とリスクに対応する戦略・対応策

表2:機会に対する戦略・対応策

※戦略・対応策の網掛けは、重点施策を示しています。
三菱製紙グループでは、「人権・労働に関する理念と指針」に基づき、従業員一人ひとりが持てる能力をフルに発揮し、働きやすく充実感を持てる職場環境を作り続けていけるよう、様々な取り組みを行っています。
<人権・労働に関する理念と指針>
理念:
私たちは、従業員の人間性を尊重し、職場においては安全を最優先に考え、各人が能力をフルに発揮し、働きやすく充実感を持てる職場環境を作ります。
指針:
1.人権の尊重と差別の禁止
健全な職場環境を維持することに努め、従業員各自の人権を尊重し、セクシャル・ハラスメント、パワー・ハラスメントなど人権を無視する行為や、出生、国籍、人種、民族、宗教、性別、年齢、各種障害、学歴などに基づく差別につながる行為は一切行わない。児童労働・強制労働は行わない。また、従業員の個人情報については、個人情報保護法に従い、適正に取り扱う。
2.職場の安全衛生の確保
職場においては、安全・衛生の確保を最優先とし、安全で衛生的な職場環境の整備に努め、労働安全衛生法のほか関係法令を理解し、これを遵守する。
3.労働関係法令の遵守
労働基準法ほかの労働関係法を遵守し、働きやすい健康な職場環境の維持に努める。
<人的資本の取り組み>
より活力的で働き甲斐のある企業グループとして発展し、企業価値の持続的向上を目指していくため、働きやすい職場環境づくりと人財育成の強化について、様々な取り組みを進めています。
グローバル競争の激化や日本における超高齢化社会の潮流の中で、技術技能の継承と多能工化推進に向けて採用活動を実施し、適材適所な人財配置に取り組んでいます。
① 人財育成の取り組み
(1) 教育制度の充実
階層別教育、専門職教育、目標設定研修、課題解決研修等、教育体系の充実
(2) コンプライアンスの徹底
国内グループ全従業員を対象とするコンプライアンス教育を毎年実施
2022年度は内部通報制度について国内グループの全社全部署で展開(参加者:2,822名)
(3) 活躍機会の多様化
高度専門職(スペシャリスト)制度の制定・活用
(4) 自己啓発の推進
通信教育制度について補助金支給、多種多様な講座より各自の業務・興味にあった教育受講、英会話補助制度
② ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組み
(1) 女性の活躍推進
女性社外取締役(1名)、女性常勤監査役(1名)の選任
「女性活躍のための行動計画策定」による女性採用比率向上等の取り組み
(2) 外国人雇用の推進
外国人雇用の推進(営業要員確保による海外販売戦略推進、工場操業要員の社員受け入れ)
(3) 障がい者雇用の促進
法定障がい者雇用率充足に向けた取り組み実施
③ ワークエンゲージメント向上の取り組み
(1) ワークエンゲージメントサーベイ実施と調査結果に基づく職場ごとの強みや課題の共有
(2) 職場環境改善ワークショップの実施によるアクションプランの立案・実行
④ 働き方改革
(1) フリーアドレス導入による業務の効率化、コミュニケーション活性化
(2) 在宅勤務制度・時差出勤制度導入によるワークライフバランスの充実と生産性の向上
(3) 会議体の運用見直しによる会議時間短縮、業務の効率化推進
(4) 健康保険組合との連携(健康経営・コラボヘルス推進委員会)による特定健康指導の推進等
<労働安全衛生の取り組み>
三菱製紙グループの事業活動に携わるすべての人の安全と健康を最優先に考え、安心して働ける災害のない職場環境を実現することを目的に、「安全と健康を最優先に考える」を基本理念とする「安全衛生推進計画」を策定し、各工場トップと安全管理者(安全担当者)、本社安全担当部門(安全環境品質保証部・人事部)が連携して、安全衛生の取り組みを進めています。
① 2022年安全成績
労働災害度数率
三菱製紙グループ(協力会含む)の労働災害度数率は、2019年以降、横這いで推移しましたが、2022年は災害の減少により、前年比で0.8ポイント減少し1.14となっています。また、2022年の休業災害度数率は、前年比0.15ポイント減少し0.38となっています。
② 2023年三菱製紙グループ安全衛生推進計画
三菱製紙グループで働くすべての従業員が、作業時の安全確保を自ら考える様、危険感受性向上の取り組みを進めています。
また、各工場トップと安全管理者、本社安全担当部門が連携し、機械・設備の本質安全化も進め、「死亡・重篤災害ゼロ」を達成していきます。
③ 心とからだの健康保持増進
心身の健康管理の取り組みとして、過度な疲労やストレスを引き起こす過重労働の防止に向けて、長時間労働の管理基準を設定して管理を強化しています。
(1) 心身の健康管理
・有所見者に対する二次健診を推奨し、受診率(前年比)を向上させ健康保持に努める
・メンタル疾患者について、産業医との面談実施。上長は1ヵ月に1回以上のコミュニケーション実施
・管理職を含む全従業員の長時間時間外労働防止および健康管理ルール順守
・ストレスチェックの結果を踏まえ、職場環境改善のための高ストレス対象職場の研修(ラインケア)等を実施
(2) 職場衛生環境の改善整備
職場巡視(パトロール)による点検と指摘箇所の改善(衛生面)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。
(1) 市場及び事業に関するリスク
① 国内需要の減少及び市況価格の下落
国内景気の大幅な後退により、当社グループ製品の機能性材料、インクジェット用紙、写真感光材料、紙・パルプ等の国内需要が大幅に減少した場合や、製品市況が下落した場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 原燃料価格の上昇
当社グループが調達する主要原燃料である木材チップ、製紙用パルプ、重油、石炭等の価格は、国際的な需給関係や国際紛争等の影響を受け変動するため、これら主要諸資材の価格が上昇した場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 設備投資
当社グループの主要事業である機能商品事業、紙素材事業はいわゆる装置産業にあたり、多額の設備投資資金を要します。当社グループでは、大型の設備投資は将来の需要予測に基づいて実施いたしますが、市場の動向が変化した場合等においては、新規設備の稼働率が十分に上がらない可能性があります。この場合、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 固定資産の減損
当社グループは生産設備等の固定資産を有しております。これらの固定資産は、事業環境の変化によって将来キャッシュ・フローに悪化が見込まれる場合に、固定資産の減損に係る会計基準の適用により、減損損失が発生する可能性があります。この場合、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得の予測に基づいて繰延税金資産の計上・取崩を行っております。経営成績が大幅に悪化した場合には、繰延税金資産の回収が見込めないと判断をし、繰延税金資産を減少させることにより、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 金融及び経済に関するリスク
① 為替変動
当社グループは、原材料の購入及び製品の販売等において、広く外貨建て取引及び外貨ベースでの円建て取引を行っております。輸入取引と輸出取引のどちらか一方に大きく偏っているということはありませんが、為替レート変動の影響を受けることになるため、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 金利の上昇
当社グループは、主に借入れによる資金調達を行っており、大幅な金利の上昇が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 投資有価証券
当社グループは、政策的に保有している取引先の株式等時価のある投資有価証券を保有しております。当社グループが保有する株式等の投資有価証券の時価が大幅に下落した場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 退職給付債務
当社グループの退職給付費用及び退職給付債務は、割引率や年金資産の長期期待運用収益率等の数理計算上の前提に基づいて算出されております。株式市場の下落などにより前提条件が変動した場合には、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) その他のリスク
① 災害
当社グループの国内外の事業所、社有林等は、地震、津波、火災等の災害に見舞われる可能性があります。また、テロやサイバー攻撃のような人為的な災害に見舞われる可能性もあります。この場合、保険金で補償される金額を除いて、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 新規感染症拡大
新型コロナウィルスの世界的な感染拡大は各国に甚大な影響を及ぼしました。今後も同様に、感染症が世界的に拡大した場合、需要低迷により、生産販売数量が大幅に減少する可能性があります。この場合、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 法規制又は訴訟
当社グループの国内外における事業は、環境、知的財産、製造物責任等各種の法規制を受けており、それに関連し訴訟等を受ける可能性があります。その結果によっては、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 偶発事象
その他偶発事象に起因して費用や損失が発生し、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループにおいて発生しうるリスクをすべて予測することは不可能であり、リスクは上記に限られるものではありません。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営成績等の状況及び経営者の視点による分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、個々の「重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成にあたって、重要な見積りや計画の策定は、過去の実績や現状を勘案して合理的に行っておりますが、これらは不確実性を伴うため、実際の結果は異なる可能性があります。連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産について減損の兆候がある場合、減損損失の認識の判定は、当該資産グループの将来の事業計画に基づく割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって行っております。判定の結果、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回り、減損損失の認識が必要とされた場合、帳簿価額を回収可能価額(正味売却価額又は使用価値のいずれか高い方の金額)まで減額し、当該帳簿価額の減少額は減損損失として認識します。将来キャッシュ・フローの算定は一定の見積り・前提により行っておりますので、将来キャッシュ・フローが想定より減少した場合は、将来の連結財務諸表において、固定資産の減損損失が発生する可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、将来の課税所得について合理的な仮定に基づく見積りを行い、繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得に関する仮定について変動が生じた場合などは、将来の連結財務諸表の繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。
② 経営成績に関する説明
当期は、新型コロナウイルス感染症拡大に対する感染対策と経済活動の両立が進み、経済活動は一定程度の回復が続きました。一方、ウクライナ情勢の長期化、原燃料価格の高騰、為替相場の変動など、依然として不確実性が高い状況が続いております。
当社グループを取り巻く環境におきましては、ウィズコロナへのシフトがみられた一方、原油・石炭・天然ガス・木材チップなどの原燃料価格高騰の影響を大きく受けました。
このような状況下、当社グループは各事業の需要動向に合わせた生産体制により、生産性の向上を図るとともに、販売面では製品価格の改定や新製品の拡販に努めました。
また、当期より当社グループでは「新しい三菱製紙グループの創造」とのスローガンを掲げて「中期経営計画」(2023年3月期~2025年3月期)を開始しております。
「中期経営計画」(2023年3月期~2025年3月期)の基本方針は以下の通りです。
① 「選択と集中」「新事業拡大」による収益力の強化
② グリーン社会への貢献
③ サステナビリティ向上のための組織変革
中期経営計画の方針に沿って、「選択と集中」につきましては、様々な取り組みを進めました。2023年1月30日にドイツ事業フレンスブルク工場の事業売却を決定しました。持分譲渡実行日は2023年度上期を予定しております。また、2023年4月1日付でグループ組織再編を決定し実行しました。販売体制の効率化に向け、ダイヤミック株式会社を三菱王子紙販売株式会社に統合し、当社グループの販売代理店を1社に統合しました。これにより同社は、分野にかかわらず当社グループ製品の販売を担う唯一の販社として、グループ全体の販売最適化を進めてまいります。この他に、当社と北上サイト子会社の統合、八戸サイト子会社同士の統合などを行い、収益性向上施策として選択と集中、グループの組織変革を進めました。
また、「グリーン社会への貢献」につきましては、カーボンニュートラルに向けてのCO2排出量削減や省エネの推進、TCFD提言に沿った情報開示等を実施いたしました。「サステナビリティ向上のための組織変革」では、人材育成のためのキャリアアップ教育の充実や働き方改革の推進、動画投稿サイトを使った社外発信の強化等を進めました。
当期の連結売上高は、原燃料価格高騰に対して行った製品価格改定等により、2,095億4千2百万円(前期比15.2%増)となりました。
損益面では、原燃料価格高騰の影響が大きかったものの、製品価格改定、固定費削減・原単位向上等のコストダウン効果により、連結営業利益は9億6千8百万円(前期は連結営業損失2億4千8百万円)、為替差益等も加わり連結経常利益は30億8千9百万円(前期は連結経常利益19億6千4百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、ドイツ事業フレンスブルク工場の事業売却に伴う事業譲渡損等、「選択と集中」のための特別損失の計上により5億7千1百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次の通りとなりました。
なお、当連結会計年度より、社内組織に合わせたセグメントへ変更し、従来の「イメージング事業」と「機能材事業」を統合して「機能商品事業」、従来の「紙・パルプ事業」に「倉庫・運輸事業」を加えて「紙素材事業」としております。
(単位:百万円)
(注)調整額は主として内部取引に係るものです。
(機能商品事業)
機能材関連製品は、バッテリーセパレータや電子工業材料のエレクトロニクス関連製品、化粧板原紙、テープ原紙などの販売金額は前年を上回りましたが、エアフィルター、水処理膜支持体、壁紙用裏打紙の販売金額は前年を下回りました。
メルトブロー不織布は、抗菌・抗ウイルスなどの機能を持たせた集塵フィルターなどラインアップを拡充しました。また、ヘルスケアカテゴリーの中でも生殖医療分野に向けて、研究用卵子・胚の凍結保存用デバイスとなる「ディアムール」の立ち上げに注力しました。
イメージングメディア関連製品は、印刷製版材料及び写真用原紙の販売数量は減少しましたが、インクジェット用紙の海外向け拡販や販売価格改定及び為替の影響により販売金額は前年を上回りました。
この結果、機能商品事業全体としては、原燃料価格高騰の影響が大きかったものの、成長商品の拡販や価格改定により、増収増益となりました。
引き続き、中期経営計画の重点分野である機能性不織布関連事業においては、水処理膜支持体の新規ユーザー獲得や食品・飲料・医療など特殊膜分野への展開に加え、耐熱不織布、メルトブロー不織布などの拡販、エレクトロニクス関連製品では、需要拡大が見込まれる自動車向け蓄電用セパレータや特殊ドライフィルムレジストを起点とした電子工業材料の拡販に注力してまいります。また、テープ原紙や滅菌紙につきましても、更なる拡販に取り組んでまいります。
画像出力や印刷向けを中心に需要が減少しているイメージングメディア関連製品は、ラベル用途や産業用インクジェットなど新たな需要を取り込み、販売数量の維持に努めると共に、継続して生産体制の見直しを図り、収益向上に取り組んでまいります。
(紙素材事業)
国内市場は、需要減少が続く印刷用紙を中心に販売数量は減少したものの、価格改定効果もあり販売金額は増加しました。輸出は、販売数量、金額ともに一定程度回復しました。
市販パルプは、原燃料高によるコスト増に対応し国内製品価格の修正を実施、輸出は円安効果もあり、販売数量、金額ともに増加しました。
ドイツ事業は、販売数量は前年を下回りましたが、天然ガス・パルプ価格を中心とする原燃料価格の高騰を受け販売価格改定を実施した結果、販売金額は増加しました。
この結果、紙素材事業全体としては、原燃料価格高騰の影響が大きかったものの、価格改定により、増収増益となりました。
価格改定効果の維持、生産体制最適化と在庫水準適正化の取り組みの継続に加え、脱・減プラスチックに寄与する高機能クラフト紙の拡販、バリアコート紙の品揃え拡大等で、製品ポートフォリオの転換と早期の収益安定化を目指してまいります。
ドイツ事業は、引き続きコストと製品価格のバランスの維持、フレンスブルク工場売却後の生産体制の再構築によるコストダウンに取り組み、安定した収益の確保を目指してまいります。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は販売価格によっております。
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
流動資産は、売掛金、棚卸資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ137億4千2百万円増加しました。
固定資産は、減価償却の進行による有形固定資産の減少等により、前連結会計年度末に比べ25億6千2百万円減少しました。
この結果、当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ111億7千9百万円増加し、2,270億5千8百万円となりました。
負債は、借入金、支払手形及び買掛金の増加等により、当連結会計年度末における残高は、前連結会計年度末に比べ87億5千1百万円増加し、1,550億1千6百万円となりました。
非支配株主持分を含む純資産は、退職給付に係る調整累計額の増加等により、当連結会計年度末における残高は、前連結会計年度末に比べ24億2千8百万円増加し、720億4千1百万円となりました。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.5ポイント減少し、31.7%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ7億2千1百万円減少し、83億2千5百万円となりました。
営業活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ44億2千万円増加し、27億2千1百万円となりました。収入の主な内訳は、減価償却費82億8千7百万円、仕入債務の増加32億9千3百万円であり、支出の主な内訳は、棚卸資産の増加81億1千5百万円、売上債権の増加44億9千8百万円であります。
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ10億7百万円増加し、35億6千5百万円となりました。支出の主な内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出45億4千6百万円、収入の主な内訳は、有形及び無形固定資産の売却による収入7億1千7百万円であります。
財務活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ113億円増加し、52億9百万円となりました。これは主に借入金の増加によるものです。
当社グループの運転資金需要の主なものは、原燃料購入費用、製造諸費用、販売費及び一般管理費等であります。投資資金需要の主なものは、既存設備の改善や効率向上、省エネルギー対応などの性能向上、成長分野での事業拡大と多様な新規事業の確立に向けた設備投資などであります。
当社グループの運転資金及び設備資金については、自己資金、金融機関からの借入金、コマーシャル・ペーパーの発行等により充当することとしております。また、資金調達手段の多様化として売掛債権の流動化も実施しております。長期借入金の資金調達につきましては、金利動向等の市場環境を見ながら、シンジケート・ローンの活用など調達手段や調達時期を適宜判断して実行しております。
また、当社グループ内では、キャッシュ・マネジメント・システムを導入して資金の一元管理を行い、資金効率の向上を図っております。
経営上の重要な契約等は次のとおりであります。
当社は、研究開発本部が統括する研究開発部門において、既存分野の深化および周辺領域との相乗による基盤技術強化、ならびに新規分野の探索・開拓を積極的に行っています。なかでも、豊かな森林資源にその事業基盤を持つ製紙産業にとって、地球環境の保全と循環型社会の構築は、何より重要な課題であり、「グリーン社会への貢献」を意識した商品開発を通して、環境への配慮とより豊かな文化生活の両立を目指しています。
2020年1月に発足した研究開発本部が、全事業分野における新製品開発、技術支援、人材最適化を機動的に行い、「サステナビリティ向上のための組織変革」を進め、経営戦略に沿った研究開発テーマの策定や研究リソース配分の適正化などを行っています。また、未来志向の研究開発テーマの構築にも注力しています。
また、工場で生産している製品および関連製品の研究開発と技術支援をスムーズに行い、開発を加速し、各事業分野の収益に確実に貢献するために、生産場所である工場の敷地内に開発部隊が置かれています。
高砂工場内には、機能性不織布の研究開発をメインテーマとする高砂R&Dセンターが2021年に設立されました。イメージングメディア、エレクトロニクス、医療・ヘルスケア関連製品などで当社を支えている京都工場に関わる研究開発は、京都工場内の京都R&Dセンターが担っています。商品開発部の開発部隊は、八戸工場に常駐して、紙素材のポテンシャルを追求することを信条とした用途開発を行っています。また、パルプの用途開発は、研究開発部門が一丸となって探索を進めています。分析部門と知的財産部門は、研究開発本部直轄の組織として、京都R&Dセンター内で戦略的に開発部隊を支援しています。
当連結会計年度の研究開発費は
当社が手掛ける事業分野は、機能商品事業と紙素材事業です。事業分野ごとの研究開発活動は、次のとおりです。
機能商品事業分野においては、機能材関連製品、イメージングメディア関連製品の研究開発を進めています。
1)機能材関連製品
機能材関連製品としては、高機能不織布製品の開発にリソースを集中して投入し、エアフィルター、二次電池・コンデンサ用セパレータ、水処理関連材料、その他の機能性材料の開発に取り組んでいます。
エアフィルターについては、感染症及び地球温暖化対策の観点から、省エネ換気扇である全熱交換器の需要が世界的に伸びており、寒冷地でニーズの高い、結露しにくい全熱交換素子を開発し、北米市場などへの展開を進めています。
二次電池・コンデンサ用セパレータ「NanoBase」については、使用される電子機器の小型化及び高性能化に適応するための要素技術の開発と製品の改良を進めております。水処理関連材料については、逆浸透(RO)膜基材の開発で獲得した技術を横展開し、膜分離活性汚泥法(MBR)膜基材、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維不織布、ポリオレフィン繊維不織布などの開発を進めています。
その他機能性材料については、環境配慮型商品であるリサイクル炭素繊維不織布などの開発にも力を入れています。また、高性能メルトブロー不織布や機能性樹脂からなるメルトブロー不織布の探索も進めています。
子会社のKJ特殊紙㈱では、建材分野及び医療衛生分野への展開、並びに脱プラスチックの観点からの商品開発を進めています。建材分野については、内装材の不燃性能を向上させる無機繊維シートを開発しました。また、医療衛生分野については、ヒートシール性を付与した不織布タイプの医療包装材料を開発しました。さらに、脱プラスチックの観点から、野菜等の食品に直接使用される結束テープ基材の開発を進めています。
2)イメージングメディア関連製品
イメージングメディア関連商品としては、インクジェット用紙、写真感光材料などのイメージングメディア製品、これらイメージングメディア製品の開発で蓄積した技術を活かしたエレクトロニクス関連製品、医療・ヘルスケア関連製品などの成長分野での商品開発を進めています。
インクジェット用紙については、テキスタイル分野において昇華転写用デジタル捺染紙のラインナップを拡充して、国内、北米およびアジアを中心に市場開拓を推進しています。また、高速化、高精細化に対応した、新しい産業用インクジェット用紙の開発に取り組んでいます。
写真感光材料については、スクリーン印刷版、フレキソ印刷版を作製するときに用いる、サーマルレーザー製版用フィルム「TRF-IR830」を製品化し、販売拡大に努めております。「TRF-IR830」は、レーザー描画による感熱反応によって高濃度の画像を形成するため、銀塩フィルムと異なり、薬液による現像処理が不要な完全プロセスレスフィルムであり、環境負荷を大幅に低減した環境配慮型商品です。
エレクトロニクス関連製品については、電子工業向けの機能性フィルムとして、エッチング、エレクトロフォーミング、サンドブラストなどの精密フォトファブリケーション加工に用いる、特色のあるドライフィルムフォトレジストを開発しています。そして、高解像性、高耐薬品性などの機能性を向上させ、情報・通信機器製造をはじめとする電子工業分野への進出を推進しています。
医療・ヘルスケア関連製品については、生殖医療の発展に貢献する、研究用卵子・胚の凍結保存用デバイス「Diamour」、アルコール除菌液「pure Leaf」などの販売拡大を推進しています。
当連結会計年度の機能商品事業での研究開発費は
紙素材事業分野においては、容器包装プラスチックに代わる包装材料、印刷用紙などの紙素材の新規製品の研究開発と、再生可能資源であるパルプ素材の新規用途探索を進めています。
拡販を進めている包装材料については、包装用コート紙「barrisherpa(バリシェルパ)」が大手コーヒーチェーン店の商品パッケージに採用されました。これはコーヒーの豊かな香りと鮮度を保持できる高い酸素/水蒸気バリア性と強度を兼ね備えた包装用紙素材として、環境配慮が高いことが評価されたものです。また、「barricote(バリコート)」と水性インクジェットを組み合わせたパッケージが、世界包装機構(World Packaging Organization)主催の「ワールドスターコンテスト2023」において「ワールドスター賞」を受賞しました。
また、印刷用紙については、需要減少が続く中、「特徴ある印刷用紙を市場に投入することで、ニッチな市場を開拓していく」ことを旨として、顧客ニーズに真摯に取り組み、新たに自紙光沢・印刷光沢に特徴を持たせた印刷用コート紙が、大手出版社に新規採用されました。
パルプ素材については、紙製品用途以外への有効活用技術を探索しています。
当連結会計年度の紙素材事業での研究開発費は