第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針・経営戦略等

 「動物にも人間と同じような高度な医療を受けさせたい」というニーズが、飼い主の間で年々高まっています。

 当社グループは、このような社会のニーズに応え、動物医療を通じて広く社会に貢献するとともに、企業価値並びに株主価値の増大を図ることを経営方針としております。

 当社グループは、当該経営方針に基づき、新技術の導入、設備の充実を図ることにより顧客満足度を高めるとともに、全国的に拠点を展開することを中長期的な経営目標としております。

 なお、創業以来当社の基本となっている経営理念は以下の3つであります。

 

① 高度医療(二次診療)

地域の動物病院と連携して「高度医療(二次診療)」を提供する

② 臨床研究

動物医療の現場で直接役に立つ「臨床研究」にチャレンジする

③ 人材育成

動物医療の現場を支える「人材育成」に力を注ぐ

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループでは、「初診数」(新規に受け入れた症例数)を最も重要な経営指標であると考えております。
 これは、当社グループがこれまでに行った診療サービスに対する飼い主及び一次診療施設の満足度が現れたものと認識しており、役職員一同「初診数」を増やすことを目標に業務にまい進しております。また、初診数増加の結果としての「売上高」、「経常利益」も重視しております。

 

(3) 経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等

 当社グループが属する動物医療業界におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でペットとの生活に癒しを求める動きが強まり、これまで減少傾向にあった犬猫飼育頭数は2021年に微増となりました。2022年には微減となりましたが、犬猫の高齢化に伴い、疾病が多様化する中で飼い主の動物医療に対する多様化・高度化要請は高まってきております。

 このような状況の下、当社グループは、動物の二次診療施設として「動物医療における「できない」をなくし、動物と生きる人の希望になる」というコーポレートアイデンティティのもと、顧客のニーズに応えることで社会に貢献できるよう、以下の具体的な課題に取り組んでまいります。

① 人材の確保と育成

 当社グループの継続的な発展に必要となる優秀な人材を確保するため、積極的な採用活動を行い、給与・賞与水準の向上、福利厚生の充実等、待遇面の改善を通じて定着を図るとともに、技術面のみならず、人物面・サービス面についての研修を充実させるなどの人材育成に、最優先に取り組んでまいります。

② 質の高い動物医療サービスの提供

 「高度医療」を実践する施設として、診療技術の向上、設備の充実を図ることにより、より高品質な動物医療を提供できるように努めてまいります。診療科の新設を含め、顧客に必要とされる診療領域にサービス範囲を拡大してまいります。

 また、診療受入れの迅速化や、ホスピタリティの向上など、「サービス業」としての品質を向上させることで顧客満足度を高めてまいります。

③ 二次診療施設の展開

 できる限り多くの顧客にサービスを提供するために、二次診療施設を全国主要都市に展開してまいります。2023年6月に関西エリアに大阪病院を開業いたしましたが、今後は第5病院新設に向けて準備を行ってまいります。

④ 動物医療への貢献

 新型コロナウイルス感染症の第5類移行に伴い、集合型の学会開催が再開され、当社積極的に研究成果の学会等における発表数の増加、地域の獣医師会等と協力したセミナーの開催を行うとともに、診療・非診療分野における大学等との共同研究を積極的に展開し、動物医療の発展に貢献してまいります。

⑤ 事業領域の拡大

 2022年3月に子会社化いたしましたテルコム株式会社につきましては、従来どおり飼い主や一次診療施設へのサービス提供に努めつつ、当社グループ各社との協力体制構築による経営効率改善等により、収益性を高めてまいります。

 今後も飼い主や一次診療施設の利便性を高めるシステムやサービスの開発・販売を進めつつ、事業領域拡大のためM&Aを積極的に活用し、動物医療業界における総合的企業として成長を図る方針であります。

⑥ コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の強化

 当社事業の継続的な発展を実現させるためには、コーポレート・ガバナンス機能を強化し、社会的信用を維持・向上させていくことが重要であると認識しております。

 コーポレート・ガバナンスに関しては、内部監査室による定期的モニタリングの実施と監査等委員会や監査法人との良好な意思疎通を図ることにより適切に運用しておりますが、経営の適切性や健全性を確保しつつ、全社的に効率化された組織体制の構築に向けて、さらなる内部管理体制の強化に取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

 当社グループは、あらゆる外部環境の変化によるリスク及び機会を把握し、特に経営に影響を及ぼす課題を基に、取締役会において、当社グループが取り組むべきマテリアリティ(重要課題)の特定及び解決に向けた施策の方向性を決定しております。このマテリアリティに対する取組を事業部門と連携するため、代表取締役社長及び各事業部門の責任者は、年に1回、事業部門と連携して目標設定や計画に対する進捗状況のモニタリング、実施内容の評価を行います。この内容は、取締役会に報告されることで、取締役会の監督が適切に図られるような体制としております。

 

(2) 戦略

 当社グループは、「動物医療の「できない」をなくし、動物とともに生きる人の希望になる」というコーポレートアイデンティティに基づき、以下に掲げる項目を重点方針とし、実効性のある取り組みを推進してまいります。

・社会・地域への貢献

 国内、海外の学会、講演会、ワークグループへ研究成果の発表を行い、獣医師及び学生の研修や見学の積極的な受け入れ等の教育活動を通し獣医療業界の発展の推進力となってまいります。

 また災害時の一時避難場所提供等、活動地域での社会貢献にも取り組んでおります。

・生物多様性の保全

 当社の専門性を活かして、環境省、大学、研究施設、団体等と連携し、希少種の保全施策に取り組んでおります。具体的には絶滅危惧IA類であるツシマヤマネコ、希少な日本在来馬である木曽馬に当社グループの開発製品を利用した行動調査の効率化・繁殖行動の定量的測定・同定生殖生態研究が進められております。

・環境配慮・脱炭素社会への取組

 当社グループの事業で使用している紙の使用量の削減を行っております。また、24時間365日稼働している医療機器、事業所等の電気使用量の削減のため、省電力製品の選択、切り替えを行っております。

・人材活躍の推進及び労働環境の整備

 日々技術が進歩している動物医療業界におきましては、継続的な知識のアップデートが必要であります。学会やオンラインセミナー等への参加の促進や、2023年に第1回の国家試験が実施された愛玩動物看護師資格の取得推進等、当社グループの成長を支える従業員の教育や、生涯学習の活性化などの様々なキャリア開発をサポートしております。

 当社グループでは基本的人権を保護し、人種、国籍、性別、宗教、信条、出生、年齢、心身の障がい、性的指向、その他の法的要件による差別やハラスメントを行わず、従業員の自主性と創造性を最大限に発揮できる機会の拡大、従業員が最大限に能力を発揮できる職場環境の整備をしてまいります。

 また少子化が深刻な社会問題となっている中、当社においては女性、男性ともに育児休業取得率が100%、女性の育児休業後の復職率も100%となっております。今後も出産・育児支援を充実させてまいります。

 女性管理職比率、男性の育児休業取得率においては厚生労働省による令和3年度雇用均等基本調査結果における全国の企業の平均を上回っております。また労働者の男女の賃金の差異につきましては、職種、勤続年数、役職等が同じ男女労働者間での差異はありません。具体的な数値につきましては「第1企業の概況 5従業員の状況」に記載しております。

 

 

(3) リスク管理

当社グループでは、事業部門別にリスクの識別と評価を行っており、それらは内部監査部門において監査され、監査等委員会及び取締役会に報告されております。事業活動に関する一般的なリスク及び当社グループ特有のリスクなどを把握し、継続的にモニタリングできる体制を構築しております。

詳細については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

 

(4) 指標及び目標

環境配慮・脱炭素社会への取組

 

目標値(2030年度)

実績(当連結会計年度)

紙の使用量削減

30%削減

電気使用量の削減

(施設内電球のLED化)

100%

25%

 

 

人材活躍の推進及び労働環境の整備

 

目標値(2025年度)

実績(当連結会計年度)

女性管理職割合

35%

28.1%

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の概況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、当社グループとして必ずしも重要なリスクとは考えていない事項及び具現化する可能性が必ずしも高くないと想定される事項についても、投資判断の上で、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家及び株主に対する情報開示の観点から、積極的に記載しております。

 なお、文中における将来に関する事項は、別段の表示がない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 事業環境に由来するリスク

① 事業環境の変化について

 当社グループは、動物医療関連事業を主たる事業領域としていることから、飼育動物の頭数の影響を大きく受けると考えられます。飼育動物の頭数は、人口動態、景気動向等の影響を受けると考えられ、一部の調査におきましては近年は減少傾向にあります。一方で動物の平均寿命は伸びてきており、高齢化による疾病が多様化していること、ペット保険の加入率が増加傾向にあること、動物1頭あたりにかける飼育費(診療費を含む)が増加傾向にあること等から、当社グループが手掛ける「動物の高度医療」に対するニーズはむしろ高まっていると認識しております。しかし上記の事業環境が悪化した場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合について

 当社グループが主たる事業領域としている動物医療業界におきましては、動物病院の数は増加傾向にあります。その大部分は地域に密着した病院(一次診療施設)であり、当社グループのような一次診療施設から紹介を受ける診療施設(二次診療施設)は、人的資源及び多額の資金を必要とすることから比較的参入障壁が高いと思われ、これまでのところ急速に増加しているとは認識しておりません。また、当社グループは多くの専門診療科を有するいわゆる総合診療施設を志向しており、複数の専門診療科の連携によって患者動物に最適な診療サービスを提供することで、他の二次診療施設との差別化を図っております。

 現行の画像診断施設におきましても、当社の豊富な診療ノウハウの導入及び積極的な設備投資により、顧客のニーズに沿ったサービスの向上を図ってまいります。

 しかしながら、今後当社グループが十分な差別化やサービス向上を図れなかった場合や、新規参入等により競争が激化し、診療数の減少が進んだ場合等には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事業内容に由来するリスク

① 診療サービスの過誤について

 当社グループは、提供する動物医療サービスの品質管理に細心の注意を払っておりますが、提供するサービスに過誤が生じるリスクがあります。その場合、当社グループは、サービスの過誤が原因で生じた損失に対する責任を追及される可能性があります。さらに、サービスに過誤が生じたことにより社会的評価が低下した場合は、当社グループのサービスに対するニーズが低下する可能性があります。これらの場合、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

② 診療動物間での感染症の流行について

 当社グループでは、患者動物の感染症についても、診察時に患者動物の感染の有無の確認を行うことや感染症にかかった患者動物用の入院室を有していること等、厳重に対応しておりますが、患者動物の間で犬ジステンパー感染症、ケンネルコフ、猫のウイルス性上部気道感染症などの感染症が流行したことにより当社グループの社会的評価が低下した場合、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 施設の展開及び設備投資について

 当社グループは日本の各地に積極的に施設(病院等)の展開を推進していく予定です。当社グループがサービスを提供していなかった地域に新たに施設を開設した場合、通常、顧客は徐々に増加してまいりますが、開設する地域によっては損益分岐点を上回るまでには相応の時間を要するため、開設からある程度の期間は赤字を計上する可能性があります。

 また、既存施設においても、今後の顧客増加に備えるため、あるいは医療サービスの品質の向上を図るため、継続的な医療機器等の設備投資が必要であると認識しています。施設の新設や設備投資を行ったものの、顧客数、症例数が想定を下回った場合には、稼働率が低下することになり、減価償却費等の費用の増加を吸収できず、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 法的規制及び知的財産等に関するリスクについて

① 法的リスク

 当社グループの動物医療関連事業につきましては、「獣医師法」、「獣医療法」、その他法令により規制を受けておりますが、今後、それらの法令の改廃または新たな規制が設けられる場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、現時点においては、行政処分に該当する事象は発生していないものと認識しております。

イ.獣医師法

 獣医師法では、獣医師の任務、免許の取得、免許の取消・業務の停止、義務等について定められており、同法の規制の動向によっては当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ロ.獣医療法

 獣医療法は、飼育動物の診療施設の開設及び管理に関し必要な事項並びに獣医療を提供する体制の整備のために必要な事項を定めること等により、適切な獣医療の確保を図ることを目的とした法律であり、診療施設の構造設備の基準、診療施設の管理、獣医療を提供する体制の整備のための基本方針等について定められており、同法の規制の動向によっては当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

ハ.その他法令、及び法令改正対応

 前記獣医師法・獣医療法を始め当社グループが運営する事業に関係する法令改正については、管理部企画課を中心に情報収集を行っており、各部署において必要に応じた対応を行っています。

 特に農林水産省より「獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針」(第四次の基本方針/2020年5月27日付)が公表され、当社グループの主な事業分野である小動物分野における獣医療に関して、「獣医師の養成と獣医療技術に関する研修体制の体系的な整備」、「小動物診療におけるチーム獣医療提供体制の充実」、「小動物分野の獣医療に対する監視指導体制の整備及び獣医療に関する相談窓口の明確化」等を図ることとされております。この基本方針に基づく法改正等の動向により、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当基本方針に沿うものとして2022年5月に施行された「愛玩動物看護師法」は、今後ますます重要性が増していくことが想定される愛玩動物を対象とした動物看護師の資質向上・業務の適正を図ることを目的に、愛玩動物看護師の国家資格化を定める法律で、2023年2月に最初の国家試験が行われました。当社グループが実践している獣医師と動物看護師の役割分担と連携を通じた「チーム獣医療」の提供の体制を充実させるため、取組を推進してまいります。

 

② 情報管理に関するリスク

 顧客や取引先の個人情報や機密情報を保護することは、企業としての信頼の根幹をなすものと認識しております。当社グループでは、社内管理体制を整備し、従業員に対する情報管理やセキュリティ教育等、情報の保護について様々な対策を推進しておりますが、万一、情報の漏洩が起きた場合、当社グループの信用は低下し、顧客等に対する賠償責任が発生するなど、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 知的財産等に関するリスク

 当社グループは、当社グループが運営する事業に関する知的財産権の獲得に努めるとともに、第三者の知的財産権を侵害しないように取組んでおります。当社グループは、本書提出日現在において、第三者より知的財産権に関する侵害訴訟等を提起されたり、またそのような通知を受けておりません。しかしながら、今後当該事業分野において第三者の権利が成立した場合または認識していない権利が既に成立している場合は、第三者より損害賠償及び使用差止め等の訴えを起こされる可能性並びに使用料等の対価の支払が発生する可能性があります。また、当社グループが使用する商標権が、第三者より侵害された場合には当社グループのブランドイメージが低下する可能性があるほか、解決までに多くの時間と費用を要する可能性があります。それらの場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) その他のリスク

① 人材の確保及び育成について

 当社グループにおいて専門性の高い獣医師をはじめとする優秀な人材の確保、育成及び定着は今後の業容拡大のための重要課題であります。これまで、給与・賞与支給水準の向上、退職金制度の創設などの待遇改善に努めてまいりました。また、新入社員及び中途入社社員に対する研修や、リーダー層となる中堅社員への幹部教育を通じ、将来を担う優秀な人材の育成に努め、社内研修・カンファレンス、症例報告会、学会発表の指導等を通じて役職員間のコミュニケーションを図ることで、定着率の向上を図っております。

 しかしながら必要とする人材を採用できない場合、また採用、育成した役職員が当社の事業に寄与しなかった場合、あるいは育成した役職員が社外に流出した場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 特定人物への依存について

 当社の代表取締役社長である平尾秀博は、経営方針及び事業戦略等を決定するとともに、診療現場の運営にも携わっており、当社グループのビジネス全般について重要な役割を果たしております。

 当社グループは、経営ノウハウの共有、権限委譲や組織の整備などにより、同氏に過度に依存しない事業体制の構築に努めてまいりますが、今後何らかの理由で同氏が業務を執行することが困難となった場合は、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 自然災害・火災・事故への対応について

 地震、風水害等の自然災害により、事務所・設備・社員とその家族等に被害が発生した場合には、当社グループの財政状態及び業績等が悪影響を受ける可能性があります。また、当社グループは安全を第一とし、労使間において安全衛生委員会を設けて、安全対策の推進、安全教育の実施等を行っておりますが、万一、重大な労働災害、事故等が発生した場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 有利子負債依存度について

 当社グループは、設備投資費用や運転資金に必要な資金を主に金融機関からの借入で調達しており、有利子負債が3,998,834千円(2023年3月末現在)、有利子負債依存度が46.6%と高い状況にあります。現状は借り換えも含め順調に調達ができておりますが、今後、金利水準が上昇した場合や計画どおりに資金調達ができなかった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 配当政策について

 当社グループは、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして位置付けております。経営基盤の強化及び積極的な事業展開のために内部留保の充実を図りつつ、株主への利益の還元を検討する方針でありますが、

通期業績、財政状態及びその他の状況の変化によっては、利益還元に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 潜在株式について

 当社は、当社グループの役員及び従業員に対するインセンティブを目的として、新株予約権(以下、「ストック・オプション」といいます。)を付与しており、今後も新たなストック・オプションの付与を検討する可能性があります。当期末におけるストック・オプションによる潜在株式数は62,000株であり、当期末の発行済株式総数の2.2%に相当いたします。このストック・オプションが行使された場合には、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。また、株式市場で売却された場合は、需給バランスに変動が生じ、株価形成に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 財務制限条項について

 当社が複数の金融機関との間で締結している借入にかかわる契約の一部には、財務制限条項が定められております。今後、当社の経営成績が著しく悪化するなどして財務制限条項に抵触した場合、借入先金融機関の請求により当該借入についての期限の利益を喪失し、一括返済を求められるなどして、財政状況及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国の経済は、一進一退の動きとなりました。鉱工業生産は、供給制約や海外経済減速に伴う輸出の低迷を受けて弱い動きとなりました。設備投資は、高水準の企業収益を背景に底堅く推移しました。個人消費は、外食・宿泊・娯楽などの対面型サービスを中心に持ち直しの動きが見られました。また、消費者物価(生鮮食品を除く総合)は、エネルギー価格の高止まりが続く中、食料(生鮮食品を除く)を中心に原材料コストを価格転嫁する動きが広がったことから、2023年1月には前年比4.2%と約40年ぶりの高い伸びとなりました。

 当社グループが属する動物医療業界におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でペットとの生活に癒しを求める動きが強まり、これまで減少傾向にあった犬猫飼育頭数は2021年に微増となりました。2022年には微減となりましたが、犬猫の高齢化に伴い、疾病が多様化する中で飼い主の動物医療に対する多様化・高度化要請は高まってきております。

 このような環境の中、当社グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に取り組みつつ、日頃の診療活動を通じた一次診療施設とのコミュニケーション強化を継続するとともに、対面での開催が再開された学会における活動を積極的に行うことにより、動物医療業界における信頼の獲得、認知度の向上と、それに伴う紹介症例数の増加に努めてまいりました。全体として初診数(新規に受け入れた症例数)は7,620件(前連結会計年度比5.4%増)、総診療数(初診数と再診数の合計)は28,161件(前連結会計年度比0.5%減)、手術数は2,265件(前連結会計年度比9.8%増)となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高3,872,994千円(前連結会計年度比30.0%増)、営業利益580,548千円(前連結会計年度比32.2%増)、経常利益534,085千円(前連結会計年度比21.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益380,664千円(前連結会計年度比32.7%増)と増収増益となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、営業活動による資金の増加810,922千円、投資活動による資金の減少784,065千円、財務活動による資金の増加820,586千円の結果、前連結会計年度末に比べ847,443千円増加し、1,816,039千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により獲得した資金は、810,922千円(前連結会計年度比45.4%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益533,932千円、減価償却費391,472千円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は、784,065千円(前連結会計年度比45.0%減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出728,305千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により獲得した資金は、820,586千円(前連結会計年度比13.6%増)となりました。これは主に、長期借入による収入625,300千円、長期借入金の返済による支出571,576千円及び株式の発行による収入771,549千円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)は生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b.受注実績

 動物医療関連事業の性格上、受注の記載になじまないため、受注実績に関する記載はしておりません。

 

c.販売実績

 当社グループは、動物医療関連事業の単一セグメントであります。当連結会計年度の販売実績を売上種類別に示すと、次のとおりであります。

 

売上種類の名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

    至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

二次診療サービス(千円)

2,594,751

106.6

画像診断サービス(千円)

472,800

92.2

健康管理機器レンタル・販売サービス(千円)

774,978

その他(千円)

30,463

95.4

合計(千円)

3,872,994

130.0

 (注)グループ間の取引については相殺消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

 当社グループは、この連結財務諸表の作成に当たって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を合理的に勘案し判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は8,578,896千円となり、前連結会計年度末と比べて1,471,298千円増加いたしました。

 流動資産は前連結会計年度末に比べ、856,944千円増加し、2,396,722千円となりました。これは主に大阪病院開院に向けた資金調達による現金及び預金が847,443千円増加、売掛金34,376千円増加、大阪病院開院に向けた貯蔵品21,397千円増加及び未収消費税等46,985千円増加によるものであります。

 固定資産は前連結会計年度末に比べ、614,354千円増加し、6,182,174千円となりました。これは主に大阪病院建物建設工事費用及び医療機器購入により、有形固定資産が623,800千円増加、また主に保険積立金の積立等により投資その他の資産が47,759千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は4,872,858千円となり、前連結会計年度末と比べて275,184千円増加いたしました。

 流動負債は1,269,845千円となり、前連結会計年度末に比べ304,131千円増加いたしました。これは主に大阪病院開院に向けた医療機器購入により未払金が189,817千円増加、未払法人税等が60,510千円増加、1年内返済予定長期借入金が36,141千円増加したことによるものであります。また、固定負債は3,603,013千円となり、前連結会計年度末に比べ28,947千円減少いたしました。これは主に長期借入金が17,582千円増加した一方で繰延税金負債が47,682千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は3,706,038千円となり、前連結会計年度末と比べて1,196,114千円増加いたしました。これは主に第三者割当増資による資本金405,600千円及び資本剰余金405,600千円増加、親会社株主に帰属する当期純利益380,664千円によるものであります。

 

b.経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、3,872,994千円(前連結会計年度比30.0%増)となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

 当連結会計年度における売上原価は、2,430,053千円(前連結会計年度比29.7%増)となりました。

 この結果、売上総利益は1,442,941千円(前連結会計年度比30.5%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、862,392千円(前連結会計年度比29.5%増)となりました。

 この結果、営業利益580,548千円(前連結会計年度比32.2%増)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

 当連結会計年度においては、家賃収入等の営業外収益39,809千円、支払利息等の営業外費用86,272千円を計上しております。

 この結果、経常利益は534,085千円(前連結会計年度比21.8%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度においては、税金等調整前当期純利益は533,932千円(前連結会計年度比26.1%増)となりました。法人税等を215,611千円、法人税等調整額を△62,343千円計上した結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は380,664千円(前連結会計年度比32.7%増)となりました。

 

c.経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

 

d.経営戦略の現状と見通し

 次連結会計年度における我が国の経済の見通しについては、高水準の家計貯蓄や企業収益を背景とした民間消費、設備投資の増加を主因として、景気は回復基調となるものの、世界経済全体の減速懸念などから、景気の先行きは不透明な状況が続くものと予想されます。

 このような経営環境の中、当社グループは、新型コロナ感染症の再拡大に注意しつつ、日頃の診療活動を通じた一次診療施設とのコミュニケーション強化と学会における積極的な活動を継続することで、動物医療業界における信頼の獲得、認知度の向上に努め、診療数の増加を図ります。

 2023年6月に終了する予定の眼科において診療数が漸減していることや、川崎本院の放射線治療器を最新機種に更新するための入替え工事に伴い4月~7月に放射線治療が休止することなどのマイナス要因はありますが、予てより開院準備を進めておりました大阪病院が、2023年6月1日に診療開始することもあり、初診数は当連結会計年度比10%程度増加すると見込んでおります。なお、大阪病院は診療数の増加に伴い早期に黒字化するものと想定しております。

 既存施設の診療能力の増強と、大阪病院に続く新病院の開院の準備として、診療を行う獣医師や愛玩動物看護師及び事務職員などの確保と育成を図る計画であります。優秀な人材確保に繋がる大学・専門学校・各種団体との関係性強化や人脈形成に努めるとともに、積極的な採用活動を継続してまいります。

 子会社の株式会社キャミック及びテルコム株式会社につきましては、飼い主や一次診療施設のニーズに沿った新サービスの導入を図るとともに、当社グループ内の協力体制構築による経営効率改善等により、収益性を高めてまいります。

 引き続き、中長期的に動物医療業界における総合的な企業となるべく、飼い主や一次診療施設の利便性を高めるシステムやサービスの開発・販売を進めつつ、M&Aを活用した事業領域の拡大を積極的に行う方針であります。

 以上の施策により、次連結会計年度の業績予想につきましては、売上高4,140百万円、営業利益555百万円、経常利益565百万円、親会社株主に帰属する当期純利益385百万円を見込んでおります。

(注)本資料に記載の将来に関する全ての記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、不確実性を多分に含んでおります。当社としてその実現をお約束するものではありません。実際の業績は、様々な要因から業績予測と異なる結果となる可能性がありますことをご留意ください。

 

e.経営者の問題認識と今後の方針について

 当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善な経営戦略の立案、施策の実施に努めておりますが、流動的な市場環境においても継続的に利益を確保するため、顧客満足度及び社会貢献度の高い医療サービスを提供し続けることが重要と認識しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

b.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの必要資金は、主に営業活動によるキャッシュ・フローである自己資金により充当し、必要に応じて外部からの資金調達を実施することを基本方針としております。

 今後の資金需要のうち、主なものは、新病院の開業や既存病院における新医療機器導入等の設備投資や、M&A等の戦略的投資等であります。

 これらの資金については、基本方針に基づき、主に自己資金により充当する予定でありますが、負債と資本のバランスに配慮しつつ、必要に応じて金融機関から借入や増資等の資金調達を実行してまいります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、動物医療関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しておりますが、下記項目において研究開発を行っております。

(1)医薬品、飼料、医療機器

 当社の豊富な臨床症例を背景に、各種企業で開発された医薬品、医療機器の認可に必要な治験業務を受託することにより、広く社会に貢献しております。また、豊富ながん症例を対象に遺伝子解析を行っており、新規薬剤開発に必要なデータの集積に努めております。なお、受託開発については当連結会計年度における研究開発費はありません。

(2)活動量計「プラスサイクル」

 動物医療分野における新技術進展に活用するため、大学や研究機関との共同研究を推進しております。当連結会計年度においては販売活動中心の事業フェーズに移行したため、研究開発費はありません。

(3)動物用健康管理機器

 当期において、1次病院向け販売用動物用健康管理機器「酸素ハウス」にかかる研究開発費は7,992千円であります。