第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは「技翔創変」を経営理念とし、技術集約型精密製品の創造を通じてお客様の問題解決を図り社会に貢献することを基本方針としております。

 当社グループといたしましては、お客様の海外現地調達の加速、激化する価格競争や為替の変動、その他いかなる環境の変化にも耐えうる経営体質の構築が不可欠と考え、持続的成長を支えるため経営効率を高めることにグループ一丸となって積極的に挑戦してまいりました。

 そのような状況下、当社は新中期経営計画GGP24(GLOBAL GROWTH PLAN 2024)~変化から成長へ~を策定し、2022年2月に発表いたしました。新中期経営計画では「2030年の事業ポートフォリオ確立に向けた実効的な戦略の加速」を基本方針に掲げ、ステークホルダーの皆さまの期待に応えるため、資本コストを上回る資本収益性を意識し、ポートフォリオ改革を実行してまいります。前中期経営計画で実施した先行投資分野の確実な利益成長を実現するとともに、売上拡大、利益貢献が見込める分野には積極的に投資を行うなど「成長」を意識した企業価値向上に取り組んでまいります。

 また、当社は2022年4月からプライム市場への上場となり、今後、より透明性、効率性のある経営と環境・社会に貢献できる企業への進化を目指してまいります。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 新中期経営計画GGP24において策定した最終年度(2024年度)の連結売上高630億円、営業利益45億円、営業利益率7.1%、当期純利益35億円、ROE9.0%を重要な経営指標として、達成に向け資本コストを上回る資本収益性を意識し、事業ポートフォリオ改革を実行してまいります。なお、事業ポートフォリオ改革に関しては、「EV等電動化関連成長事業および電子情報通信関連成長事業」の構成比を2021年度の39%から、2024年度には52%まで引き上げる計画をしております。

 

(3)経営環境

 世界経済は、新型コロナウイルス感染症からの回復が一巡する一方で、ロシアのウクライナ侵攻長期化によるエネルギー・食料価格の高騰や、各国の金融引き締めにより景気後退懸念が深まってまいりました。

 一方で、カーボンニュートラル実現に向けた自動車電動化の急速な拡大と5G・IoT・デジタル社会進展によるクラウドストレージ需要の爆発的な伸びは、今後も確実に進んでいくと認識しており、当社の事業環境は大きな変革期を迎えております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

ア 事業上の対処すべき課題

①  EV等電動化関連成長事業(グローバルに売上拡大・次世代主力事業へ)

 EVおよびHVやPHV等を含めた電動車の需要が大きく増加することから、高精度に電流を検出するニーズが増してきています。これに対して当社グループでは以下の重点戦略を実行してまいります。

・電動車ニーズに応えるべく「バスバー」、「シャントバスバー」の量産拡大

・EV等電動化製品の欧州・中国・米国での拡販の展開

 

②  電子情報通信関連成長事業(飛躍的成長の実現・利益成長の追求)

 データセンターではIoTの拡大や映像データの蓄積など、ニアラインドライブと呼ばれる大容量ハードディスクドライブ(HDD)の高い需要が継続しています。また、光情報通信産業の三大用途市場であるデータセンター/テレコム/ワイヤーレス市場は、5G・IoT関連の強い需要により、今後も拡大していく見通しです。これに対して当社グループでは以下の重点戦略を実行してまいります。

・顧客需要への対応に向けた設備投資継続と生産効率向上

・大容量ハードディスクドライブの需要に応えるべくサスペンションの生産能力強化

・通信関連/プリンター関連は製品開発、工法改善を通じ、生産効率を向上させる

 

③  自動車関連既存事業(産業構造の変化に対応・収益力改善)

 電動車の需要増加が予想される中で、当社の自動車関連既存事業のうちエンジンやミッション系精密機能部品は、2030年以降の減少を見据える必要があります。これに対して当社グループでは以下の重点戦略を実行してまいります。

・製品別に市場成長性と収益性を検証

・徹底的な製品別採算管理により、既存案件の収益力改善に注力

・生産・営業拠点の最適化を検討

 

④ その他次世代事業への取組み(医療・介護分野)

 歩行学習支援ロボット「オルソボット」は現在国内のリハビリテーション施設で使用されており、その使いやすさと歩行機能改善効果から好評をいただいております。現在はリハビリテーション施設だけでなく、老人ホーム等介護施設での採用実績ができてきており、更に幅広い分野での普及を進めております。

 

⑤ その他次世代事業への取組み(環境・エネルギー分野)

 当社が製造した過熱水蒸気利用の連続炭化装置では、素材を燃やさず炭化させることが可能でCO₂削減効果を発揮します。この装置により量産する竹炭は、高級車のインパネ塗装やタッチパネル塗料として採用が始まっています。今後は、キャパシタ極剤等のより付加価値の高い微粒子炭の用途開発に挑戦してまいります。

 

イ 財務上の対処すべき課題

 企業価値向上の為には事業収益性の改善とともに、自己資本の積み増しを抑制しレバレッジを有効活用するなどB/Sマネジメントを推進することが必要になってきます。

① 資本コストを意識した投資判断の徹底

② 最適な資本構成を意識したB/Sマネジメントの推進

③ ROE9.0%を超過するまでは配当性向75%を維持

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

[気候変動への取り組みとTCFD提言への対応について]

 当社グループは、気候変動に関するリスクと機会を重要な経営課題と認識しております。気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に基づいた情報開示を進めるため、気候変動問題が当社グループに及ぼすリスクと機会を特定・評価し、対応の検討を進めております。

 今後、TCFDのフレームワークに沿った分析を実施し、脱炭素社会に向けた取り組みの開示を拡充してまいります。

<ガバナンス>

サステナビリティ経営方針

□サンコールグループ企業理念に基づくサステナビリティ経営の推進は、お客様や社会にとって、かけがえのない存在となるよう、社会課題の解決に挑み、新しい価値を創造し続けることにつながります。

□サステナビリティ経営のフレームワークの中で、事業を通じた環境・社会への貢献と持続的成長を追求し、事業ポートフォリオの再構築と事業マネジメントの強化を図ります。

 

 サステナビリティ経営に向けては、サステナビリティを経営課題の一つとして組織的・体系的に取り組む必要があると考えており、経営会議の下部組織としてサステナビリティ委員会を設置しています。

 サステナビリティ委員会は当社グループが優先的に解決すべき気候変動を含むマテリアリティ(重要課題)を特定し、各部門の年度実行計画に落とし込み、各事業活動を通じた課題解決を推進することを目的に設置しています。

 サステナビリティ委員会は社長執行役員を委員長とし、取締役、執行役員、本部長、部門長により構成し、サステナビリティに関連した内容について審議、検討を行っています。①環境(カーボンニュートラル)②社会③従業員(ダイバーシティ)④人権⑤情報セキュリティ、サイバーセキュリティなど、全般にわたる事項を掌握し、適宜担当部門へ指示する対応を行っています。

 委員会は原則年5回開催し、原則年2回取締役会に活動状況と今後の課題について報告する形で、取締役会において管理・監督を行っています。

 また、サステナビリティ経営をグループ全体で推進していくため、サステナビリティ委員会で審議、検討を行った決定事項等は各部門に対し実行計画に展開するとともに集合研修やe-learningを通して周知するよう努めております。

 

図:サステナビリティ推進体制図

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<リスク管理>

 当社では、気候変動対応を含むサステナビリティについて重要課題と捉えており、リスク管理プロセスを定めています。

 TCFD対応、並びに気候変動関連リスクと機会については、サステナビリティ委員会メンバーである各部門長が抽出を行っています。

 サステナビリティ委員会にて重要項目を列挙した上でどのようなリスクがあるのかを認識し、当社にとっての重要リスクの優先順位付けを行っています。その上で、気候変動に関するリスクの対応を検討し、進捗状況を適時モニタリングしています。

 なお、特定・認識された気候変動に関するリスクは、リスク管理委員会にも連携され、グループ全体のリスク内容も含めて協議する体制を構築することで、全社的なリスク管理体制を整えてまいります。

 また、当社ではサステナビリティ経営をより効果的に推進するため、長期的な視点で様々な社会課題の中から、経営資源を重点的に投入するマテリアリティを特定し、マテリアリティマトリクスという形で全社的なリスクを列挙しています。

 様々なマテリアリティ課題の中でも気候変動対応については「価値創造に繋がるマテリアリティ」として位置づけ、具体的な取り組みとして「資源循環対応、環境に配慮したモノづくり」、「技術の開発・応用による課題の解決」、「EV製品、竹炭応用品の開発・提供によるカーボンニュートラルへの貢献」、「環境負荷を低減する製造ラインの採用」などを想定しています。

 抽出したマテリアリティに添った各部門の課題は、年度毎の実行計画に「サステナビリティ課題」として含め、委員会にて進捗確認および推進の後押しを行い、PDCAを推進しています。

図:マテリアリティ(重要課題)

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(2)個別のサステナビリティに関する取組

① 環境(カーボンニュートラル)

 2050年カーボンニュートラル達成を見据えた計画的なCO2排出量の削減を目標に掲げ、省エネ活動、生産性向上、技術革新、再エネ導入などの切り口で、太陽光発電の導入など取組みを計画し、進めています。

 

② 社会

 自動車事故時のリスクを低減する製品の販売、当社拠点周辺の美化活動の実施、地域協議会、連絡会等への参加を通じて、安心できる社会生活への貢献を目指しております。

 

③ 従業員(ダイバーシティ)

 契約社員を含む当社全社員のうち、女性社員・障がい者・外国人社員の合計比率を2032年までに20%以上とする目標を掲げており、新卒採用・経験者採用を通じて実現していけるよう職場環境の見直しを含め取組みを進めております。

 

④ 人権(人権尊重)

 2022年度「ビジネスと人権」講演会を役員・管理職対象に実施し、それに引き続き各部署における人権リスクの洗い出しを目的に「人権リスク実態調査」を行いました。それらを踏まえ、サステナビリティ委員会で、「サンコールグループ人権方針」の制定及び「重点課題」の選定を行い、外部公表しました。

 当社グループの人権リスク重点課題は次の通りです。

1.差別・ハラスメントの排除

2.労働時間の適切な管理

3.安全に配慮した労働環境

4.児童労働・強制労働の禁止

5.プライバシーの保護

 

⑤ 情報セキュリティ、サイバーセキュリティ

 当社では「情報セキュリティ」とは、当社グループが取り扱う情報資産を情報の機密性、完全性および可用性を維持すること(サイバーセキュリティを含む)をいいます。また、「サイバーセキュリティ対策」とは、情報の漏えい、滅失または毀損の防止など、当該情報の安全管理のために必要な措置、および情報システムや情報通信ネットワークの安全性・信頼性の確保のために必要な措置を講じ、その状態が適切に維持管理されるための施策をいいます。

 2021年度~2022年度にかけて、オンプレミスでのリモートワークPC向けデータ漏洩防止ソリューションを社内PCに導入しました。PCの紛失・盗難時のデータ漏えいを防ぐことができます。また出張・在宅勤務での情報漏えいリスクを軽減しています。

 情報セキュリティ事件・事故対応訓練を実施しました。架空のインシデントに対して、話し合い、インシデント対応プランを決定する模擬訓練です。情報セキュリティ対応は経営課題であり、有事において速やかに対応できる体制の構築が課題であることを経営幹部で共有しました。訓練結果も踏まえ、「グループ情報セキュリティ基本方針」「情報セキュリティ規程」を見直し、サイバー攻撃の最新情報の社内共有を含め、体制整備・運用を始めております。

 

⑥ サステナビリティ関連の教育・訓練

 次のテーマで研修会を開催しました。対象者は内容により役員、管理職、一般社員の中から選抜しました。

  「ダイバーシティの推進」講演会

  「アンコンシャスバイアス&ダイバーシティ」講演会

  「当社のサステナビリティへの取組み」説明会

  「ビジネスと人権」講演

  「情報セキュリティ事件・事故対応訓練」

 また「SDGs」「ビジネスと人権」に関する書籍を経営層および社内各部署に配布しました。

 

(3)人的資本に関する戦略と指標および目標

 長期的な視点で多様な人材が活躍できる環境を提供し、制度・風土面の観点からも取組みを進めています。2023年5月に「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定「くるみん認定」を受けました。今後も従業員一人ひとりの個性や働き方を尊重し能力を最大限に発揮できる職場環境づくりを目指します。

<戦略>

① 管理職に誰もがチャレンジし易い人事制度の整備

② 女性活躍に関する研修の実施

③ 男性女性問わず従業員が育児休業を取得し易い職場環境の整備と広報活動等の実施

④ 職場の活性化と言える化を推進するためのアクションプランの実施

⑤ 有給休暇の取得促進に取組み、従業員のモチベーション向上や働き易い職場環境の実現に向けての風土づくり

 

<指標・目標・実績>

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(注)1.連結グループに属する全ての会社が必ずしも同様の取組みを行っていないため提出会社のみ記載をしております。

2.従業員向けにエンゲージメントサーベイ(5段階評価)を実施し、会社施策や職場の改善につながる言える化を推進するためのアクションプランです。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループは、リスク管理委員会を設置し、年4回の定期的開催により事業運営に重大な影響を与えるリスクの統括管理を行っております。当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへの影響が大きいリスクを以下で取り上げていますが、すべてのリスクを網羅している訳ではありません。当社グループの事業は、現在は未知のリスク、又は重要と見なされていない他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 市場環境の変化

 当社グループは、連結売上高の約64%を自動車分野が占めている他、データセンター向けHDD用サスペンション、プリンター関連部品もそれぞれ大きな比率となっております。これら最終製品の国際的市場動向の変化や業界再編は当社製品の生産販売量の変動につながり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 特に、ニアラインと呼ばれるデータセンター向けHDDはSSD(Solid State Drive)への置き換えが進むリスクがあり、その場合当社グループの業績に大きな影響を及ぼします。

 対応策として、当社グループはニアライン向けデータストレージに関する技術動向について慎重な分析を行うとともに、中長期的には精密塑性加工技術を応用した新規事業分野(自動車電動化対応、医療介護、環境エネルギ-)拡大への取り組みを加速させてまいります。

 

(2) 競争の激化

 当社グループが関連するそれぞれの事業分野において、競合会社との競争激化により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 具体的には 競合会社による競争力のある新製品の発売、価格競争の激化、低価格品などへの需要シフト等がリスクとして考えられます。

 対応策として、当社グループは主要製品において材料から製品までの一貫生産を行うことに加え、金型の内製化等による、独自の製品開発・生産技術・品質保証体制を生かし、競合会社との差別化を図っております。

 

(3) 為替変動による影響

 当社グループは、北米・中国・東南アジアにおいて生産及び販売活動を行っており、連結ベース海外売上高比率は約64%となっております。外貨建て取引が増加しており、為替レートの変動が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 具体的には、当社グループの外貨建て取引及び連結財務諸表作成の際における海外子会社財務諸表の外貨から円貨への換算は為替レート変動影響等を受けるリスクが考えられます。

 対応策として、リスク管理方針を定め、その範囲内で主要通貨の短期的な変動の影響を最小限に抑えるため、金融機関等と為替予約等のヘッジ取引を行うことに加え、海外子会社の資金調達を現地化しております。

 

(4) 原材料市況の変動

 世界的な原油・原材料価格変動の影響による当社の主要材料である特殊鋼市況の大きな変動は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 対応策として、当社グループは材料の市況変動に柔軟に対応するべく、材料調達における複数購買化を推進すると共に、吸収できない市況変動に関しては適切に売価反映を行っていく活動を推進しております。

 

(5) 災害等/感染症によるパンデミックの影響

 当社グループは、国内7拠点・海外12拠点で生産活動を行っており、地震等大規模な自然災害や感染症によるパンデミックが発生した場合は、最終製品の需要減、当社グループ・顧客・サプライヤーの生産活動の中断などにより事業に影響を及ぼす可能性があります。

  具体的には、自然災害(地震、津波、洪水、暴風雨、竜巻、大雪、噴火等)

        事故(火災、爆発、危険物の漏洩等)

        事件・情勢変化(内乱、戦争、テロ、誘拐、脅迫等)

        感染症の発生と流行、等が想定されます。

 対応策として、当社グループは、非常時の初期対応他災害発生の際に適切な対応が取れるよう仕組みを構築しております。

 また災害の発生を防ぎ、万が一災害が発生した場合の被害を最小限に抑えるために、防災・危機管理マニュアルを定め、定期的に設備点検、防災訓練等を実施しており、事業に応じたBCP(事業継続計画)を作成し、被災時でも重要な事業を継続し、早期に事業復旧できるよう準備を行っております。

 

(新型コロナウイルス感染症に関するリスク情報について)

 当社グル-プは日本・北米・中国・アジアにおいて生産及び販売活動を行っております。新型コロナウイルス感染から回復が一巡する一方で、今後世界各地、又は当社グル-プが事業展開している地域で新型コロナウイルス感染症が再拡大する場合には、以下のリスクの拡大が想定されるとともに、当社グル-プの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

・生産継続に関するリスク

 当社グループ従業員の感染や生産地域の感染状況により、従業員の自宅待機や消毒などに必要な期間が発生したり、材料等調達先や物流面の問題により生産継続が出来なくなる可能性があります。

・顧客の生産動向に関するリスク

 当社グループが販売活動を行っている顧客及びその地域の感染状況により、当社の販売に大きな影響を及ぼす可能性があります。

・消費動向に関するリスク

 当社グループ連結売上高の約64%を自動車分野、約35%を電子情報通信分野が占めております。新型コロナウイルス感染拡大及びそれに起因する景気後退等が、最終製品の消費動向を減退させ、当社グループの販売に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 なお当社グループは社長執行役員を委員長とし、常勤取締役・執行役員によって構成される「新型コロナ対策本部」を組織し、全グループの情報共有を図り、対応策を協議推進しております。

 

(6) コンプライアンス等に関するリスク

 当社グループの事業活動を行う上で、各国の法令・規制・基準や社会通念が関係しており、これらの不遵守により社会的に信用が毀損され、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 具体的には、

   ・人事関連の各種コンプライアンス違反(ハラスメント、雇用関連、人権等)発生

      ・輸出入関連法違反の発生による輸出停止等の行政制裁による生産・販売への影響

      ・独占禁止法/競争法の違反発生による課徴金(行政処分)の負担等の影響

      ・各種環境関連法の違反発生による行政処分、生産影響

 等が想定され、また国内外の行政・司法・規制当局等による予期せぬ法令の制定や改廃が行われる可能性や、社会・経済環境の著しい変化等に伴う各種規制の大幅変更の可能性で、コンプライアンスに関するリスクもしくは社会的に信用が毀損されるリスクを排除できない場合があります。その場合には当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 対応策として、当社グループは法令遵守を極めて重要な企業の責務と認識しており、経営会議の諮問機関としてコンプライアンス委員会を設置し、「行動規範書」や「ホットライン通報制度」を策定し法令遵守の徹底を図っております。

 

(7) 情報セキュリティに関するリスク

 当社グループは、事業を展開する上で、顧客情報(個人情報を含みます。)やその他の機密情報を取り扱っております。当社グループ(委託先の関係者を含みます。)の故意・過失、または悪意を持った第三者によるサイバー攻撃、ハッキング、その他不正アクセスなどにより、これらの情報の流出や消失などが発生する可能性があります。

 こうした事態が生じた場合、具体的には当社グループの信頼性や企業イメージが低下し顧客の維持・獲得が困難になるほか、競争力が低下したり、損害賠償やセキュリティシステム改修のために多額の費用負担が発生する可能性があります。その結果、当社グループの事業展開、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 対応策として、当社グループはすべての役員、従業員等に対し、情報の取扱いに関する管理規程を定めることで、情報のセキュリティを確保することを重要な課題として認識しており、情報管理の徹底に取組んでいます。

 

(8) 訴訟に関するリスク

 当社グループは、事業を遂行するうえで、訴訟等を提起されることがあり、その結果、予期せぬ多額の損害賠償を命じられる可能性があります。その額によっては、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 対応策として契約審査等を通じて、訴訟その他法的手続きの発生を未然に防止するよう努めるとともに、万が一訴訟その他法的手続きが発生した場合には、外部専門家と連携しながら当社グループへの影響を最小限に抑えることに努めております。

 

(9) 人材確保や育成に関するリスク

 当社グループは、今後の事業拡大に伴う適切な人材確保が必要であると考えております。また、当社の経営理念は「技翔創変」であり、当社グループの持つ技術を伝えていく為の適切な人材確保と育成が重要な課題であると認識しております。しかし、少子高齢化や働き方の変化などにより、十分な人材確保や育成ができない可能性があります。

 対応策として、当社グループの企業価値を高めていく活動を強化していくとともに、適切な人材確保・育成体制の強化を図ってまいります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症からの回復が一巡する一方で、ロシアのウクライナ侵攻長期化によるエネルギー・食料価格の高騰や、各国の金融引き締めにより景気後退懸念が深まってまいりました。

 また、わが国経済においては社会経済活動の正常化が進みつつある中、非製造業で改善が見られるものの、製造業においては不安定な為替相場・原材料価格の高騰・エネルギー価格高騰が継続しており、収益の下押し要因となっております。

 当社グループの主な事業領域である自動車分野は、半導体不足等供給制約は緩和し始めているものの、自動車生産の回復については停滞感が継続しております。

 また、電子情報通信分野では、デジタル社会進展によりデータセンター向け投資に旺盛な需要が続いておりましたが、9月以降各国の金融引き締めや地政学的リスクによる景気後退の懸念が強まり、データセンター向け投資抑制の影響が継続しております。

 当社グループの業績もこのような外部環境の影響を強く受け、売上高は533億99百万円(前連結会計年度比12.6%増)となりました。

 利益面では、鋼材値上げやエネルギー・輸送コストアップ、HDD用サスペンションでの新機種増産準備にかかる費用の増加及び訴訟対応に要する弁護士費用・その他の費用などの影響により営業利益は3億4百万円(同53.1%減)、為替差益の発生や受取配当金により経常利益は8億48百万円(同17.0%減)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、2022年12月16日に公表致しました連結子会社の補償費用や投資有価証券売却益を計上した結果、5億57百万円(同38.4%減)となりました。

 

≪セグメント別の業績≫

[日本]

 電子情報通信分野でHDD用サスペンションの上期需要増や円安の影響から、セグメント売上高は354億35百万円(前連結会計年度比8.5%増)となりました。利益面では自動車分野での鋼材値上げやエネルギー・輸送コストアップ、HDD用サスペンションでの新機種増産準備にかかる費用の増加及び訴訟対応に要する弁護士費用・その他の費用などの影響により、セグメント損失は2億28百万円(前連結会計年度は5億83百万円のセグメント利益)となりました。

 

[北米]

 メキシコ子会社、米国子会社の自動車関連製品は、自動車減産の影響を受け回復が鈍化しておりますが、円安及び鋼材価格アップ分の価格転嫁により、セグメント売上高は81億66百万円(前連結会計年度比26.4%増)となりました。利益面ではセグメント損失は2億23百万円(前連結会計年度は3億97百万円のセグメント損失)となりました。

 

[アジア]

 自動車分野は、自動車減産の影響を受け回復が鈍化しておりますが、通信関連及びプリンター関連が増加しました。

 結果として、セグメント売上高は118億36百万円(前連結会計年度比16.1%増)、セグメント利益は16億30百万円(同31.4%増)となりました。

 

≪製品区分別の売上業績は次のとおりであります。≫

製品区分の名称

前連結会計年度

当連結会計年度

 

 

自 2021年4月1日

自 2022年4月1日

増  減

至 2022年3月31日

至 2023年3月31日

 

 

金  額

構成比

金  額

構成比

金  額

前期比

 

 

百万円

百万円

百万円

 

材料関連製品

6,447

13.6

7,430

13.9

983

15.2

 

自動車関連製品

24,330

51.3

26,487

49.6

2,157

8.9

自動車分野

30,777

64.9

33,918

63.5

3,140

10.2

 

HDD用サスペンション

10,948

23.0

12,931

24.2

1,983

18.1

 

プリンター関連

3,694

7.8

4,239

8.0

544

14.7

 

通信関連

1,228

2.6

1,563

2.9

334

27.3

電子情報通信分野

15,871

33.4

18,734

35.1

2,862

18.0

その他製品

789

1.7

746

1.4

△42

△5.4

 合 計

47,438

100.0

53,399

100.0

5,960

12.6

 

(自動車分野)

 

[材料関連製品]

 材料関連製品は、メキシコ子会社の売上が為替影響により前連結会計年度から増加しました。その結果、売上高は74億30百万円(前連結会計年度比15.2%増)となりました。

 

[自動車関連製品]

 自動車関連製品は、中国のロックダウン(都市封鎖)や半導体不足等供給制約の継続による自動車生産の減産影響がありましたが、バスバー等電動化関連やLED関連製品等一部の製品で大きく増加し全体としては前連結会計年度から増加しました。その結果、売上高は264億87百万円(前連結会計年度比8.9%増)となりました。

 

 

(電子情報通信分野)

 

[HDD用サスペンション]

 HDD用サスペンションは、上期旺盛なデータセンター向け投資の高い需要が継続しておりましたが、9月以降各国の金融引き締めや地政学的リスクによる景気後退の懸念が強まり、データセンター向け投資抑制の影響が発生しております。結果、通期としては上期需要増と円安の影響から、売上高は129億31百万円(前連結会計年度比18.1%増)となりました。

 

[プリンター関連]

 プリンター関連は、新型コロナウイルス感染症の影響によるリモートワークへの移行により家庭用(コンシューマ向け)の需要増加があった前連結会計年度から減少が続いておりましたが、下期から増加し、売上高は42億39百万円(前連結会計年度比14.7%増)となりました。

 

[通信関連]

 通信関連は、主な市場である北米・アジアにおける需要回復の影響や新規拡販により、売上高は15億63百万円(前連結会計年度比27.3%増)となりました。

 

(その他製品)

 その他製品では開発品の量産移行による製品区分の変更影響があり、売上高は7億46百万円(前連結会計年度比5.4%減)となりました。

 

 

②財政状態の状況

[資産]

 総資産は637億35百万円(前連結会計年度末比58億3百万円増)となりました。これは主に、棚卸資産が23億50百万円、HDD用サスペンションの能増投資等により有形固定資産が15億84百万円、関係会社株式の取得等により投資有価証券が13億89百万円増加したことによります。

 

[負債]

 負債は256億96百万円(前連結会計年度末比49億46百万円増)となりました。これは主に、流動負債のその他に含まれる設備投資等に係る未払金が9億15百万円増加したほか、短期借入金及び長期借入金が40億10百万円増加したことによります。

 

[純資産]

 純資産は380億38百万円(前連結会計年度末比8億56百万円増)となりました。これは主に、利益剰余金が配当により6億68百万円、投資有価証券の売却等によりその他有価証券評価差額金が2億16百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が5億57百万円、為替変動等により為替換算調整勘定が12億63百万円増加したことによります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1億97百万円増加し、当連結会計年度末には77億7百万円となりました。

 

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

 営業活動によるキャッシュ・フローは、16億91百万円の収入(前連結会計年度比14億78百万円の収入減)となりました。増加要因としては、主に減価償却費(42億3百万円)のほか、税金等調整前当期純利益(9億34百万円)があり、減少要因としては、棚卸資産の増加額(17億99百万円)、法人税等の支払額(5億46百万円)などがあったことによります。

 

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

 投資活動によるキャッシュ・フローは、49億46百万円の支出(前連結会計年度比1億23百万円の支出増)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入(8億45百万円)があった一方、関係会社株式の取得による支出(17億19百万円)や固定資産の取得による支出(40億7百万円)があったことによります。

 

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

 財務活動によるキャッシュ・フローは、27億80百万円の収入(前連結会計年度比16億26百万円の収入増)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出(5億69百万円)及び配当金の支払額(6億67百万円)があったものの、外部借入れによる収入(42億27百万円)があったことによります。

 

④資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループは手許資金、株主還元、投資への資金配分を重視し、強固な財務基盤を築いてまいりましたが、近年は持続的成長可能な企業の実現に向けて成長投資を加速させております。当方針については今後も継続する予定にしており、事業環境の変動等により一時的に資金の保有水準が低下することも予想されますが、資本コストを上回る厳選した投資判断をいたします。

 また、当社は資金調達の機動性及び安定性の確保を図るため、既に借入枠の設定及び借入実行をしており、機動的かつ円滑な資金調達が可能な体制を構築しております。当社の資金調達余力に問題はないと考えておりますが、今後の事業環境の変化等を注視しつつ、現在必要とされる資金水準を充分満たす流動性を保持し、財務の健全性維持に努めてまいります。

 

⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表及び財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」 及び 「2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

⑥生産、受注及び販売の実績

 当社グループの生産、受注及び販売の実績は売上実績に類似しているため、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」をご参照下さい。

主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

売上高(百万円)

割合(%)

売上高(百万円)

割合(%)

WESTERN DIGITAL STORAGE TECHNOLOGIES (PHILIPPINES) CORP

9,249

19.5

8,861

16.6

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、2022年8月8日付で株式会社アイメスとの間で資本業務提携契約を締結し、同年8月31日付で同社の株式を取得しました。

 

6【研究開発活動】

 当社は、Fine Precision Products(超精密機能製品)の機能拡大を通じてお客様の問題解決を図り、事業を拡大することを使命ととらえております。

 自動車の電動化が加速し、電子化製品の需要増加と素材転換が進む中、当社は得意とする精密塑性加工技術と電子情報通信部品製造技術を応用し、電動車や電子情報通信機器などに搭載されるキーパーツの開発と量産化を進め、将来の中核事業へ育成してまいります。

 更に、成長分野として医療・環境事業へ新規事業開拓を進め、事業基盤・領域の拡大を目指し、環境・エネルギー関連市場、医療・介護機器市場での取り組みを加速してまいります。

 なお、当連結会計年度の研究開発活動に要した費用は1,076百万円であります。主な研究開発の成果は下記のとおりであります。

 また、下記は主な製品区分ごとに記載し、対応セグメントは[ ]書きしております。

 

(1) 開発グループ[日本]

◎電流センサー

 開発を続けていたシャントセンサーが北米の電気自動車に採用され量産が拡大しました。また新たな電流センサーとして米国CROCUS社より供給されるTMR(トンネル磁気抵抗効果)ICチップを搭載した磁気式電流センサーをラインナップに加え、電動車・省エネ分野への拡大を図ってまいります。

 

◎オルソボット(歩行支援ロボット)

 今年度、サービス/生活支援ロボットの安全規格であるISO13482を取得しました。また使用現場の声を反映した無線タブレット型オルソボットをリリースし有線型・無線タブレット型の2モデル体制とし、それぞれの特徴を生かした活用方法で事業拡大を目指して参ります。今後はロボットリハビリテーションの普及に向け、更なる新機能を追加し多様な使用ニーズに応えてまいります。

 

◎超音波センサー

 展示会で得られた市場ニーズより、フェイズドアレイ式超音波センサーの空中使用用途としての特徴を生かせるアプリケーションを模索中です。

 

◎環境関連製品

 宮津市の竹害対策の一環として伐採された竹を活用した新製品を開発中です。

 従来より取り組んでいる竹炭に関しては、製造時に発生する乾留活性ガスの有効利用や排熱を無駄無く活用するサーマルリサイクルに力を入れながら、カーボンニュートラル・SDG'sを意識した環境配慮型の竹ならではの特徴を活かした素材・複合材の開発を目指します。

 

(2) 材料関連製品[日本]

◎新ワイヤー加工技術の開発

 当社が得意な精密異形ワイヤーにおいて、従来引抜線材の課題であった線材表面性状を改善する新工法を開発し、量産供給を行っています。今後はさらにワイヤー加工技術の開発を進めると共に、より信頼性向上が図れる新規材料開発を行い事業拡大を進めてまいります。

 

(3) 自動車関連製品[日本]

◎バスバー次世代製品の開発

 バスバーは、HEV・EV関連の車載用バッテリーユニット、インバーター、ジャンクションBOX用の電源供給ターミナルとして需要が増加傾向にあり、仕様の多様化も加速しております。複雑な3D形状や短・中・長・超長尺に分類され、また高電流・耐熱仕様の要求も高まっており断面積も大きくなります。22年度は超長尺バスバーの技術開発を経て新たな製品の量産を開始しました。更なる曲げ加工技術力UPと付属部品の仕様及びAssy技術・自動加工技術を導入し、市場価格の先端を走ります。材料では銅価格より安価・軽量であるアルミ材の技術開発にも着手しました。多様な複合技術を交えた加工技術開発により、市場ニーズに沿った様々な仕様の提供を目指し事業の拡販を進めてまいります。

 

◎自動車用シートベルト用ぜんまいの開発

 自動運転時代の到来を想定し、シートベルトの機能が増加していくとともに、ぜんまいに求められる要求事項も高度化していくと考えております。バルブスプリングで培った技術力を応用し、材料組成/素材形状/ぜんまい加工(形状)の各種最適化を図ることで、市場ニーズに対応していくとともに、死亡事故ゼロに向けた取り組みに貢献してまいります。

 

(3) 通信関連

◎光通信用コネクター

 発展する情報通信分野における送受信情報トラフィックの更なる拡大・高速化による、通信システムの小型化へのニーズに応える為、また、高速通信においても光データを支障なく送受信する為に、高密度化と高密度実装環境での利便性の高い製品、及び防塵性・耐環境性の優れた製品の研究と開発を継続して進めて参ります。

 また、携帯端末機器との情報通信の高周波化に伴うEMI対策を施した製品の需要増加や、多芯型のファイバーの商用化の拡大による調芯機能を有した製品の需要増加が見込まれており、新たな課題として研究と開発に取り組んでおります。