(1)変わることと変わらないこと
新型コロナウイルス感染症は、世界を、そして人々の暮らしを大きく変えました。その中で、働く人を取り巻く環境も大きく変化し、徐々に進展すると考えられていた「いつでもどこでもはたらく」という新しいワークスタイルへの変革が、グローバルで加速されることとなりました。一方で、出社を義務化するような動きが出始めており、ワークスタイルの変化に直面した企業やそこで働く人々は、オフィスに集うことの意義を見直し、いかに創造性を発揮するかを改めて考える必要が出てきました
このように働き方が変わっていく中で、私たちが変わらずに大切にし続けることが2つあります。
1つは、私たちは徹底的にお客様に寄り添い続けるということです。当社は1977年にオフィスオートメーションを提唱して以来、半世紀近くにわたりオフィスの効率化や生産性向上のお手伝いをしてきました。今後、仕事の価値が業務の効率化から人にしかできない創造力の発揮へと移っていく中で、私たちは変わらずにお客様の“はたらく”に寄り添い続け、すべてのお客様が“はたらく”を通じて歓びや幸せを感じることにお役立ちする会社でありたいと考えています。
そして、もう1つ変わらずに大切にするもの、それはリコーの創業の精神である「人を愛し 国を愛し 勤めを愛す」からなる「三愛精神」です。三愛精神を根底とし、お客様の“はたらく”に寄り添い、“はたらく”を歓びに変えるお手伝いをする会社になるという姿勢をより明確にするため、2023年4月1日に企業理念であるリコーウェイを改定しました。「“はたらく”に歓びを」を新たに「使命と目指す姿」と定め、“はたらく”に寄り添い変革を起こし続けることで、人ならではの創造力の発揮を支え、持続可能な未来の社会をつくることを目指します。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。

(2) 当社の中期展望
当社は、2023年3月に、同年4月からスタートする第21次中期経営戦略(以下、21次中経)を発表しました。
当社の使命と目指す姿である「“はたらく”に歓びを」の実現に向けて、中長期目標として「はたらく人の創造力を支え、ワークプレイスを変えるサービスを提供するデジタルサービスの会社」となることを目指しております。デジタルサービスを提供するワークプレイスについて、複合機の販売を中心としたオフィス領域から現場・社会へと拡大すると同時に、それぞれのワークプレイス(オフィス・現場・社会)におけるお客様価値を拡げ、デジタルサービスの会社への変革を進めます。

◆将来財務(ESG)の視点
ESGの取り組みは、将来の財務を生み出すために不可欠なものと位置づけ、サステナビリティやESGに関してグローバルでトップレベルの評価を受ける会社であることを基本とした上で、お客様や株主・投資家の皆様からの高まるESG要求に応えるべくバリューチェーン全体を俯瞰した活動を進めます。
21次中経のスタートにあわせマテリアリティ(重要社会課題)を一部改訂し、事業活動を通じた4つの社会課題解決と、それを支える 3つの経営基盤の強化に取り組みます。また、これら 7つのマテリアリティに対する評価指標として 16の将来財務目標(ESG目標)を設定しております。マテリアリティとESG目標は、グローバルなESGの潮流への対応と経営戦略の実行力向上の観点で設定されており、16のESG目標は各ビジネスユニット、機能別組織にブレークダウンして展開されます。
事業を通じた社会課題解決では、お客様の“はたらく”を変革するデジタルサービスを提供し生産性向上と価値創造を支援します。また、脱炭素社会、循環型社会の実現にも引き続き注力し、当社グループの強みである技術力と顧客接点力を活かし、地域・社会システムの維持発展、効率化に貢献していきます。
また、経営基盤の強化では、人権問題への対応の強化、デジタルサービスの会社への変革に向けたデジタル人材の量・質の確保、デジタルサービス関連特許の強化等に取り組みます。
さらに、21次中経では、社会課題解決に貢献する事業とその業績影響の明確化に挑戦し、ESGと事業成長の同軸化の取り組みをステークホルダーの皆様に分かりやすく示していきます。

◆財務の視点
21次中経では、顧客起点のイノベーションでデジタルサービスの会社として成長を実現し、企業価値の向上を目指します。21次中経最終年度である 2025年度の財務目標は、売上高 2兆3,500億円、営業利益 1,300億円、ROE 9%超です。20次中計発表時(2021年3月)は、2025年度の財務目標について営業利益 1,500億円、ROE 10%超と示していましたが、昨今の不測の経営環境変化やオフィスプリンティング事業のノンハードウエア売上高の回復が当初想定していたほど見込めないこと等を考慮し、目標達成の時期が将来にずれ込むと判断し、目標を修正しました。ROE 10%超の実現は継続して目指します。

同時に、分野(ビジネスユニット)別の売上高・営業利益目標を一部見直しました。オフィスのデジタルサービスを担うリコーデジタルサービスが全社の成長を牽引しながら、現場のデジタル化として、製造や流通等の現場や社会へも成長領域を拡げ、お客様が働く場所でサービスを提供する会社としてお役立ちするとともに、新たな収益の柱の確立を目指します。

また、デジタルサービスの会社への変革の実現について進捗を管理するために、4つの主要指標と 2025年度目標を設定しました。1つ目は、事業ポートフォリオの変革において、成長領域であるデジタルサービスへの事業転換を図り、デジタルサービスの売上高構成比を 60%超にすることです。2つ目は、ビジネスモデルの転換と収益力の強化において、継続的に対価を得られるビジネスモデルを伸ばし、ストック利益 18%増(2022年度比)を目指します。さらに、3つ目として、そのストック利益において、オフィスプリンティング事業以外の事業分野で稼ぐストック利益の構成比を 54%に引き上げます。最後の4つ目は、人的資本のポテンシャル最大化として、リスキル*による成長領域への人的資本の再配分や組織の生産性向上により、社員1人当たりの稼ぐ力を 2022年度比で 70%増やします。
* リスキル(reskill):既存の人材が新しい資格や技術を習得する取り組み

掲げた21次中経の財務目標を達成するため、「① 地域戦略の強化とグループ経営の進化」「② 現場・社会の領域における収益の柱を構築」「③ グローバル人材の活躍」という3つの基本方針に基づき取り組んでいきます。
●21次中期経営戦略 基本方針
① 地域戦略の強化とグループ経営の進化
② 現場・社会の領域における収益の柱を構築
③ グローバル人材の活躍
基本方針① 地域戦略の強化とグループ経営の進化
オフィスプリンティング以外の収益を積み上げ高収益な体質にしていくために、顧客接点における価値創造能力の向上、当社グループ内でのシナジー発揮、継続した収益改善のために環境変化への対応力をつけていくことの 3つが重要になります。
当社は日本、欧州、米国、アジア、ラテンアメリカ等のグローバルの地域で事業を展開していますが、それぞれの顧客層には違いがあり、お客様の課題や要望も同じということはありません。そのため、各地域のお客様の“はたらく”を変革するお手伝いをするために顧客接点機能を強化し、お客様に寄り添いながら素早くソリューションを提供する地産地消型の開発体制が必要になります。21次中経においては、各地域のお客様特性や既存の組織力を加味して顧客接点機能を強化し、価値を生み出す体制の強化を図ります。
その上で、グローバルでグループとしてのシナジーを発揮するため、共創プラットフォーム(RICOH Smart Integration)によるエコシステムの構築、自社ソフトウエアの拡充とグローバル展開、競争力のあるエッジデバイスの開発・供給は、本社が主導して進めます。

基本方針② 現場・社会の領域における収益の柱を構築
現在はオフィス領域での収益が中心となっていますが、デジタルサービスの領域を拡げ、より幅広いお客様に価値を提供していくため、現場領域の事業拡大を進めます。製造や物流の現場は、まだまだアナログの業務が多く、当社のテクノロジーをもって新たなビジネスを開発していきたいと考えています。さらに、社会課題の解決に直結するビジネスの創出に取り組みます。
21次中経で重点的に取り組む事業には、印刷業のお客様を中心とした商用印刷、食品・物流業等の外装表示に対してソリューションを提供するサーマル、廃棄物による環境汚染低減に貢献する新素材PLAiR(プレアー)等社会課題の解決に寄与する事業があります。注力する事業領域を見極め、現場・社会の領域における収益の柱を構築していきます。
基本方針③ グローバル人材の活躍
事業構造を変化させ、グローバルでの提供価値を拡大させるためには、社員の活躍が不可欠です。当社では社員の能力やスキルを資本と捉え、人に対して積極的に投資をしていく人的資本戦略を策定しました。

人的資本戦略は「自律」「成長」「“はたらく”に歓びを」の3つの柱があり、社員が当社で働くことを通じて得られる体験を積み重ねることにより、社員の「“はたらく”に歓びを」と、事業成長の同時実現を目指すことが、人的資本の考え方です。

当社グループ全体の社員のスキルの底上げに加え、デジタルサービスの創出・加速に貢献するデジタル人材の専門性の向上を進めます。21次中経では、地域ごとの顧客接点から先進的なサービスを創り上げ、モデル化したサービスをグローバルに展開することができる人材の強化を進めます。さらに、将来の経営人材の育成に向け、デジタルサービスのビジネス経験者に対する早期育成プログラムの実施や、複数のプロジェクトをグローバルに経験させています。

◆成長を支える資本政策
当社は、ステークホルダーの皆様の期待に応えながら、株主価値・企業価値を最大化することを目指しております。株主の皆様からお預かりした資本に対して、資本コストを上回るリターンの創出を目指します。ROIC*経営、事業ポートフォリオマネジメントの資産効率向上等を推進し、ROEの改善に努めます。なお、当連結会計年度のROICは、4.9%となりました。
* ROIC(投下資本利益率) = (営業利益-法人所得税費用+持分法による投資損益) / (親会社の所有者に帰属する持分+有利子負債)

デジタルサービスの会社への変革に向けて、リスク評価に基づき適切な資本構成を目指し、投資の原資に借入を積極的に活用しながら、負債と資本をバランスよく事業に投資していきます。オフィスプリンティング事業等の安定事業には負債を積極的に活用し、リスクの比較的高い成長事業には資本を中心に配分する考えです。
なお、2025年度に向けては、経営環境の不確実性が残る想定のもと、格付や資金調達リスクを鑑みた資本構成で、成長のための資本を確保します。2025年度以降は、成長投資領域の安定事業化とあわせ、新たな成長投資戦略に伴う事業構造変化を考慮し、柔軟に最適資本構成を調整していく考えです。
事業投資によって創出した営業キャッシュ・フローは、さらなる成長に向けた投資と株主還元に対して計画的に活用していきます。デジタルサービスの会社への変革に向けた成長投資については、20次中計発表時に掲げた 5年間(2021~2025年度)の成長投資枠 5,000億円から変更はありません。当連結会計年度はお客様のドキュメントワークフロー変革支援、ITマネジメントサービス機能強化に向けたPFUの買収、オフィスサービス事業成長のための欧米におけるM&A投資等、事業成長のための投資を着実に進めています。投資原資は、営業キャッシュ・フローを中心に有利子負債も活用しながら、メリハリを利かせて戦略的に実施します。

なお、2023年5月8日の 2022年度決算説明会において、PBR 1倍以上の実現に向けた特別プロジェクトを立ち上げ、活動を開始したことを公表しました。理論株式価値と現在の評価のギャップ分析を行い、PBR 1倍割れの要因を洗い出すことで、21次中経施策の加速も含め、企業価値向上に向けたアクションプランを策定、実行していく考えです。対象は、事業ポートフォリオの見極めから資本政策まで広くカバーしていく予定です。
株主還元方針については、引き続き総還元性向 50%の方針を堅持していきます。総還元性向 50%を目安とした上で、配当利回りを意識し毎年利益拡大に沿った継続的な増配を目指します。さらに、自己株式取得等の追加還元策は、経営環境や成長投資の状況を踏まえながら、最適資本構成の考え方に基づき、機動的かつ適切なタイミングで実施し、TSRの向上を実現していきます。
この株主還元方針を踏まえ、2023年度の配当見通しについては、当連結会計年度から 1株当たり 2円増配し年間 36円を予定しております。

(3)翌連結会計年度の見通し
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の影響による行動制限が緩和され、緩やかな景気回復基調が見られました。しかしながら、継続する国際情勢の緊迫化、資源価格の高騰やインフレ、円安の進行等により、グローバルビジネスにおける景気の先行きは依然として不透明な状況となっています。翌連結会計年度においてもこのような厳しい外部環境が続きますが、21次中経においては、デジタルサービスの会社として、従来のオフィスプリンティング事業を主とした収益構造からの変革を加速し、収益性の向上を図っていきます。また、柔軟な生産供給体制を構築し、環境変化への対応力を向上させていくとともに、現場のデジタル化領域において新たな収益の柱を構築していきます。
翌連結会計年度の業績見通しについては、連結売上高 2兆2,500億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は 500億円としました。当連結会計年度実績に対し減益となっていますが、これは主に当連結会計年度に発生した資産売却や政府支援金等の一過性収益、そして翌連結会計年度に含まれている構造改革のための一過性費用の影響によるものであり、これらを除くと実質増益となります。この見通しを確実に達成するために、デジタルサービスを中心とする事業成長と体質強化による収益構造の変革を引き続き進めていきます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
基本的な考え方-ビジネスの力で持続可能な社会を実現
当社グループは、三愛精神に基づき、経済(Prosperity)・社会(People)・地球環境(Planet)の3つのPのバランスが保たれている目指すべき社会「Three Ps Balance」の実現に向け、「事業を通じた社会課題解決」「経営基盤の強化」と「社会貢献」の3つの活動に取り組み「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に貢献していきます。

(1)ガバナンス
環境・社会・ガバナンス分野における課題を経営レベルで継続的に議論し、グループ全体の経営品質向上につなげる目的でESG委員会を設置しております。ESG委員会はCEOを委員長とし、社内取締役を含むGMC*1メンバーとビジネスユニットプレジデントから構成*2され、四半期に一度開催する意思決定機関です。
ESG委員会では、サステナビリティ領域における事業の将来のリスク・機会や、重要社会課題(マテリアリティ)の特定、ESG目標の設定等について審議しております。ESG目標の進捗状況については、ESG委員会や取締役会等を通じ、経営レベルで監督が行われています。2023年度からスタートする21次中経に合わせて設定された新しいマテリアリティ・ESG目標についても、財務指標と同軸で目指すべき指標として、取締役会の承認を経て決定されました。
また、ESGの取り組みや目標達成に対する経営責任を明確にするため、取締役や執行役員の報酬にESG指標を組み込んでいます。2023年度からは社内取締役及び執行役員が対象となる役員株式報酬制度において、「全社ESG目標の達成率」が役員株式報酬の2割に設定されます。役員株式報酬制度の詳細については
*1 GMC:グループマネジメントコミッティ。経営について全社最適の観点で審査及び意思決定を迅速に行うため取締役会から権限
移譲された社長執行役員が主催する意思決定機関。
*2 社内監査役がオブザーバーとして参加をしております。

(2) ESG戦略
当社グループでは、ESGの取り組みは将来の財務を生み出すために不可欠なものと位置づけています。目指すべき持続可能な社会の姿(Three Ps Balance)を描いた上で、当社グループが、中期経営戦略において特に重点的に取り組むマテリアリティを特定し、そのKPIである全社ESG目標を設定します。21次中経で設定した7つのマテリアリティと16の全社ESG目標は、「グローバルなESG潮流への対応」と、全社戦略である「デジタルサービスの会社への変革」の後押しの2つの視点で設定しております。具体的には、世界共通の課題である気候変動や人権問題に関する目標や、デジタルサービスの会社への変革に必要になるデジタルサービス関連特許や情報セキュリティ、デジタル人材育成などの目標を設定しております。また、21次中経では、事業を通じた社会課題解決をさらに強化し、その業績影響の明確化に挑戦すること、ESGと事業成長の同軸化の取り組みをステークホルダーの皆様に分かりやすく示していきます。
<7つのマテリアリティと戦略的意義>

<7つのマテリアリティに紐づく16の全社ESG目標の設定>


<事業を通じた重要社会課題解決に貢献する当社グループの注力事業領域>

(3) リスク管理
当社グループのリスク管理は経営に大きな影響を及ぼすリスクを「重点経営リスク」と位置づけその特性によって「戦略リスク」と「オペレーショナルリスク」に分けて管理しております。サステナビリティに関するリスクは企業の中長期的な成長に大きく影響を与えることから「ESG/SDGsへの対応」を戦略リスクの1つとして位置づけ気候変動や人権問題に関するリスク管理を経営レベルで行っています。気候変動への対応で掲載している気候変動リスクごとの影響度・緊急度については全社リスクマネジメントの枠組みに則って評価されています。リスクマネジメント詳細については
(4)指標と目標
20次中計におけるESG目標の実績は以下の通りです。17指標中13指標で中期経営計画を達成しました。


(5)気候変動への対応
当社グループでは、マテリアリティの一つとして「脱炭素社会の実現」を定め、経営戦略においても気候変動への対応を経営課題の1つとして取り組んでいます。2020年からは「GHG*排出削減目標」を「ESG目標」の1つに位置づけ、役員など経営幹部の報酬と連動させることで実効性のある取り組みを推進しています。特に、激甚化傾向にある自然災害に対しては、リスクマネジメント計画・BCP(事業継続計画)の策定と実行によりリスクの低減に努めています。さらに、製品のエネルギー効率向上及びビジネスパートナーや顧客との協働などを通じてバリューチェーン全体での脱炭素社会づくりの貢献に努めています。
詳細はTCFDレポートをご確認ください。 https://jp.ricoh.com/sustainability/report/tcfd
*GHG(Green House Gas):温室効果ガス
①気候変動への取り組みと2022年度の進展状況

◆指標と目標
当社グループでは、「2050年にバリューチェーン全体のGHG排出ゼロを目指す」という長期環境目標を設定しております。加えて、「2030年にGHG排出スコープ1、2 で63%削減、スコープ3(調達・輸送・使用カテゴリー)で40%削減(いずれも2015年比)」という挑戦的な環境目標を定めており、この目標は気候変動の国際的なイニシアチブであるSBTイニシアチブから「SBT1.5℃」水準として認定されています。この目標達成に向け徹底的な省エネ活動を進めるとともに、再生可能エネルギーの積極的な利活用を進めるべく「RE100」に日本企業として初めて参加し、2021年3月には再エネ使用率の2030年目標を50%に引き上げました。2022年度の実績としては、スコープ1、2で、2015年度比45.5%削減、スコープ3は、2015年度比31.4%削減と、2030年目標に向け順調に削減が進んでおります。
また、2030年目標の達成に向けては、スコープ1、2及び3の脱炭素ロードマップを策定し各施策の進捗を管理しております。


②気候変動リスクの認識
シナリオ分析により、各リスクにおける財務影響と緊急度について評価を行っています。評価にあたってはシナリオ分析の結果を全社のリスクマネジメントの枠組みに照らして、影響度・緊急度を具体的な金額や本格化する発生度合い50%を超える年限で示しております。年々増加する自然災害は、当社グループにとって喫緊の課題であり、特に自社拠点を含むサプライチェーンの寸断は大きな事業インパクトが発生しかねないリスクと捉え、毎年モニタリングしながら適切な対策を進めています。
気候変動におけるリスク

③気候変動における機会の認識
当社グループにとって気候変動は、事業リスクのみならず、自社製品・サービスの提供価値及び企業価値を高める機会につながると認識しております。気候変動への取り組みは、省エネ技術・サービス等を活かしたお客様の脱炭素化を支援する製品やソリューションの提供、感染症対策につながるソリューション販売の拡大、環境・エネルギー分野における事業拡大、新規事業創出等の機会をもたらしています。

脱炭素貢献製品
当社グループでは、当連結会計年度に発売した画像機器の94.2%が国際エネルギースター認証を取得しております。加えてブルーエンジェルやEPEAT等の環境ラベル認証を積極的に取得し、脱炭素に貢献しております。また、省エネ・省資源・汚染予防・快適性・使いやすさを独自の厳しい基準で製品評価する「リコーサステナブルプロダクツプログラム」を運用し環境に貢献するものづくりを進めています。
ESG対応を伴う商談
欧州を中心に公共機関やグローバル企業からの商談、入札におけるESG要求が増加傾向にあり、その要求レベルも高まってきています。国内外の入札・商談におけるESG要求に対しては、お客様接点の販売部門で対処できる案件もありますが、より難易度が高い案件については本社ESG部門にて対応を進めています。ESG対応の良否が入札・商談に影響を及ぼすため、ESG要求内容、納期や商談規模などをリスト化、分析し積極的な対応を進めています。
製品再生・部品再生事業
当社グループでは、独自の循環型社会実現のコンセプト“コメットサークル”に基づきリデュース・リユース・リサイクル(3R)を推進しており、市場から回収した使用済み複合機を再生し、再びお客様に提供するなどグローバルに製品再生・部品再生事業を展開しております。
[ ご参考 ]「サーキュラーエコノミーレポート2022」(2022年8月発行)
https://jp.ricoh.com/sustainability/report/ce
省エネ・創エネ関連事業
日本では省エネ・創エネ関連事業も拡大しています。IT/ネットワーク機器の分野で培った監視サービスを活用しお客様の太陽光発電設備のO&M(オペレーション&メンテナンス)やEV充電設備の保守・照明空調制御システム等省エネ・創エネ関連事業を進めています。
環境に配慮した剥離紙レスラベルの販売
当社グループでは、長年培った感熱紙の技術により剥離紙を用いない感熱ラベルとしてシリコーントップライナーレスラベル(SLL) を販売しております。SLLは、剥離紙を用いないため、紙の使用量を削減し廃棄物を減らすと共にCO2排出削減に貢献します。
新しい働き方を支援するソリューション
当社グループが提供する課題適応型ソリューションパッケージは自社及び協業パートナーのエッジデバイスやソフトウエア・クラウドサービス等を組み合わせてお客様の新しい働き方・業務のデジタル化を支援しております。ニューノーマル時代に即したサービスを提供することでお客様の生産性向上に伴うCO2排出量削減にも貢献しております。
(6)人的資本・多様性への対応
グローバル人材の活躍
事業構造を変化させ、グローバルでの提供価値を拡大させるためには、社員の活躍が不可欠です。当社では社員の能力やスキルを資本と捉え、人に対して積極的に投資をしていく人的資本戦略を策定しました。

当社の人的資本戦略は「自律」「成長」「“はたらく”に歓びを」を 3つの柱とし、社員が当社で働くことを通じて得られる体験を積み重ねることにより、社員の「“はたらく”に歓びを」と、事業成長の同時実現を目指します。

当社グループ全体の社員のスキルの底上げに加え、デジタルサービスの創出・加速に貢献するデジタル人材の専門性の向上を進めます。21次中経では、地域ごとの顧客接点から先進的なサービスを創り上げ、モデル化したサービスをグローバルに展開することができる人材の強化を進めます。さらに、将来の経営人材の育成の為、デジタルサービスのビジネスリーダーを早期に育成するプログラムの実施や、複数のプロジェクトを国内外において経験させていきます。

多様な人材の活躍
「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」と「ワークライフ・マネジメント」
当社がデジタルサービスの会社へと変革するために不可欠なイノベーションは、多様な人材が個々の能力を活かし、協働することで創出されると考えております。それには、多様な人材が活躍でき、社員それぞれが自身のパフォーマンスを最大化できる環境が必要となります。この実現のために、多様な人材の活躍(「ダイバーシティ&インクルージョン(以下D&I)」と「ワークライフ・マネジメント」)を経営戦略の1つと位置づけて取り組みを進めてきました。
2023年度からD&Iを一歩進め、多様な人材が真に活躍して頂くために、インクルーシブな組織風土の醸成に欠かせないエクイティ(公平)という概念を目的のひとつに据え、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(以下DE&I)として取り組みを強化していきます。



今後、当社がデジタルサービスの会社として更に発展していくためには、グローバル人材の活躍が不可欠と考えます。2022年度に発足した日本及びグローバルのDE&I Councilでは、当社が抱える様々なDE&Iの課題や今後の方向性についてグローバルとローカルが連携しながらそれぞれで議論しております。その中でも、女性活躍は全世界で重点的に取り組む課題の1つであり、ESG目標を設定し強化してまいりました。
2022年度の女性管理職比率は目標値(PFU除く)16.5%に対し、16.3%でした。日本においては目標値(PFU除く)7.0%に対し僅か0.1%届かず6.9%という結果となりました。特に日本では、ジョブ型人事制度における適所適材の考え方により、女性だけでなく年齢にかかわらない管理職ポジションへの積極的な登用が進み、30代の管理職割合においても大きく伸長しております(参考:当社における30代の管理職登用数:2022年3月末→2023年4月1日時点で2.8倍)。今後も、多様な人材の活躍に一層取り組み、特に女性活躍については「創業 100年となる 2036年までに女性社員比率と女性管理職比率を同等にする」という長期目標を掲げ、その中間マイルストンとして 21次中経では、日本での女性管理職比率を 10%以上に、国内外あわせたグローバルでの比率を 20%以上に引き上げることを目指し、引き続き重点的に取り組みを進めてまいります。
また、障がい者雇用においては、職域を拡大し、障がいの有無に関係なく、新しい価値創造のための変革を加速する人材を求めています。
他にも、リコー式ジョブ型導入により、社員一人ひとりの仕事自律を促し、また社内公募を活用し人材流動性を高めることで、多様な経験を組織に活かす機会が広げています。
ジェンダーや障がいの有無など属性の違いだけでなく、知識や経験といった従業員のあらゆる多様性を活かすために、DE&Iを企業カルチャーにする取り組みを今後一層強化してまいります。
事業の状況、業績の状況等に関する事項のうち、株主・投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のとおりです。
(1) 当社グループの経営上重要なリスク(重点経営リスク)
(2) 事業領域固有の重要なリスク(ビジネスユニットリスク)
(3) その他のリスク(機能別組織リスク)
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響があると経営者が認識しているリスクを以下で取り上げていますが、すべてのリスクを網羅している訳ではありません。当社グループの事業は、現時点で未知のリスク・重要と見なされていない他のリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。なお、事業等のリスクは、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
■「重点経営リスク」の決定プロセス
GMCとリスクマネジメント委員会は、経営理念や事業目的等に照らし、利害関係者への影響を含めて、経営に大きな影響を及ぼすリスクを網羅的に識別した上で、重点経営リスクを決定し、その対応活動に積極的に関与しております。(図1:重点経営リスク決定プロセス)
・重点経営リスクは、その特性から「戦略リスク」と「オペレーショナルリスク」に分類し管理しております。戦略リスクについては、短期の事業計画達成に関わるリスクから中長期の新興リスクまで経営に影響を与えるリスクを幅広く網羅しております。
・リスクマネジメント委員会は、GMCの諮問機関として、より精度の高い重点経営リスク候補を提案するため、委員会メンバーそれぞれの専門領域の知見・経験則を活かし、十分な議論のもと、リスクの識別・評価を行っております。
なお、当社グループのリスクマネジメントシステムとリスクマネジメント委員会については、「第4提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 (Ⅷ) リスクマネジメントシステムとリスクマネジメント委員会」を参照ください。
図1:重点経営リスク決定プロセス

■事業等のリスク一覧
(1) 当社グループの経営上重要なリスク
(2) 事業領域固有の重要なリスク
(3) その他のリスク
*1 ELSI(Ethical, Legal and Social Issues):倫理的・法的・社会的課題。
*2 NIST SP800-171:米国国立標準技術研究所(NIST: National Institute of Standards and Technology)が発行するガイドラインの一つ。
*3 DX (Digital Transformation デジタルトランスフォーメーション):企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会ニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
*4 GDPR:General Data Protection Regulation。
*5 ISO/IEC:International Organization for Standardization/International Electrotechnical Commission。
*6 RBA(レスポンシブル・ビジネス・アライアンス):150社以上の大手企業が参加するアライアンスで、サプライヤーに対する統一的な行動規範と監査手順に合意している。
*7 コンティンジェンシープラン(Contingency Plan):不測の事態に備え、事業への影響を最小限にとどめるために実施する施策や行動指針を記した緊急時対応計画。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、株式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3 重要な会計方針」に記載しております。
(2) 経営成績
経営を取り巻く経済環境
当連結会計年度の世界経済は、オミクロン株による新型コロナウイルス感染症拡大や、欧米でのインフレの進行、中国のロックダウンの実施と終了、半導体や部材の不足とその後の緩やかな回復、為替レートの大幅な変動等、経済活動は一進一退の状況となりました。
このような経済情勢の中で、当社のメイン市場であるオフィスにおいても、リモートワークをはじめとする新しい働き方の定着により、オフィスの出社率が引き続き低調に推移し、プリンティング需要は限定的な回復にとどまりました。また、輸送コストや部材不足、ICT*商材の調達については改善傾向が見られたものの、金融業界の経営への不安や、欧米でのインフレに対する金融引き締めによる景気後退の懸念等、世界経済は依然として不透明な状況です。
主要通貨の平均為替レートは、対米ドルが 135.49円(前連結会計年度に比べ 23.13円の円安)、対ユーロが 140.91円(同 10.36円の円安)となりました。
*ICT(Information and Communication Technology):情報通信技術
当連結会計年度の業績
当社グループは、第20次中期経営計画(以下、20次中計)期間の2年間で「“はたらく”の生産性を革新するデジタルサービスの会社への変革」の実現を目指しました。
20次中計の最終年度となる当連結会計年度は、2021年4月より移行した社内カンパニー制のもと、各ビジネスユニットの自律的な事業運営を進め、それぞれの市場で起こる変化に迅速に対応しながら、体質強化に向けた取り組みを加速しました。デジタルサービスの会社を支える人材の育成や、基幹システムの刷新への取り組み等、変革に邁進し全社一丸となってデジタルサービスの成長実現に努めました。
当連結会計年度の連結売上高は、前連結会計年度に比べ 21.4%増加し、21,341億円となりました。(為替影響を除くと 12.4%の増加)。オフィスプリンティング事業では部材逼迫や、中国におけるロックダウンにより工場稼働率が低下する等、製品供給に遅れが生じましたが、外部要因に対する生産諸施策の展開により当連結会計年度末に向けて供給が改善し、エッジデバイス*の販売が増加しました。ノンハードウエア売上高は前連結会計年度に比べて増加したものの、想定よりも緩やかな回復にとどまりました。オフィスサービス事業においても、ICT商材不足等による販売活動への影響が発生していましたが、ICT商材に依存しないサービス・ソリューションの展開や、欧米での買収効果、また 2022年9月に実施した株式会社PFU(以下、PFU)の連結子会社化、円安の影響等により増収となりました。
地域別では、日本において、オフィスプリンティング事業の売上高はA3複合機の販売台数の増加により、前連結会計年度に比べ増加しました。また、オフィスサービス事業では部材不足により当社製品やICT商材の供給の遅延の影響を受ける中、電子帳簿保存法改正対応等、ICT商材に依存しない中小企業向けサービスが堅調に推移し、売上高の増加に貢献しました。加えて、PFUの買収効果等もあり、前連結会計年度に比べ 14.0%の増加となりました。米州においては、当連結会計年度末に向けてA4複合機等の供給不足が改善したことでA3複合機を含めた一括商談の納入が進み、オフィスプリンティング事業のエッジデバイスの売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。オフィスサービス事業では、マネージドサービスを提供している既存顧客への新たなサービス・ソリューションを強化し、コミュニケーションサービス領域でCenero,LLC.(以下、Cenero)の買収もあり、売上高が増加しました。また、商用印刷事業では、ハードウエア、ノンハードウエアともに販売が回復しました。加えて、円安の影響もあり、前連結会計年度比 35.4%の増加となりました(為替影響を除くと 13.0%の増加)。欧州・中東・アフリカにおいてもオフィスプリンティング事業ではA4複合機等の供給が改善しエッジデバイスの売上高が増加しました。また、ノンハードウエアも前連結会計年度から回復し、売上高が増加しました。オフィスサービス事業では、買収効果やパッケージ販売等により引き続き堅調に推移しました。加えて、円安の影響もあり、前連結会計年度に比べ 21.4%の増加となりました(為替影響を除くと 12.6%の増加)。その他地域においては、中国でのロックダウンによる行動制限の影響、またその後の政策変更による新型コロナウイルス感染症の拡大により一時、販売が停滞しましたが、円安の影響もあり前連結会計年度比 14.7%の増加となりました(為替影響を除くと 2.6%の増加)。
以上の結果、海外売上高全体では前連結会計年度に比べ 26.3%の増加となりました。なお、為替変動による影響を除いた試算では、海外売上高は前連結会計年度に比べ 11.3%の増加となりました。
売上総利益は、前連結会計年度に比べ 19.7%増加し 7,454億円となりました。売上高の増加による利益の増加のほか、物価やエネルギーコストの上昇、部材不足による仕入原価高騰に対し、各ビジネスユニットでの価格転嫁を含めたプライシングコントロール(売価政策)により利益を確保したことに加え、継続的な開発・生産の体質強化や円安の影響により利益が改善し、前連結会計年度に比べ増益となりました。
販売費及び一般管理費は、販売の増加や事業成長に伴う経費の増加に加え、PFUの買収や円安の影響等により前連結会計年度に比べ 14.6%増加し 6,881億円となりました。
その他の収益は、前連結会計年度に比べ増加しました。前連結会計年度に米国子会社の土地売却益等の収益を計上し、当連結会計年度では日本の土地売却益等の収益を計上しました。
以上の結果、営業利益は、前連結会計年度に比べて 386億円増加し 787億円となりました。
金融収益及び金融費用は、支払利息の増加や為替差損の増加により、前連結会計年度に比べ金融収支が悪化しました。持分法による投資損益は、持分法適用会社の業績改善により前連結会計年度に比べ増加しました。
税引前利益は 813億円となり、前連結会計年度に比べて 369億円増加しました。
法人所得税費用は税引前利益が増加したこと等により、前連結会計年度に比べて 119億円増加しました。
以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は 543億円となり、前連結会計年度に比べて 239億円増加しました。
当期包括利益は、当期利益や在外営業活動体の換算差額の増加等により、1,017億円となりました。
* エッジデバイス:文字・写真・音声・動画等のさまざまな情報の出入り口となる複合機やカメラをはじめとしたデータ処理機能を持つネットワーク機器
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。 (単位:百万円)
a. デジタルサービス
当連結会計年度のデジタルサービスの売上高は、前連結会計年度に比べ 15.6%増加し 16,504億円となりました(為替影響を除くと 7.2%の増加)。
オフィスサービス事業は、ICT商材不足により営業活動や関連したサービスの販売に影響が出たものの継続的に成長しました。
国内においては電子帳簿保存法改正やインボイス制度対応等ICT商材に依存しないソリューションの本格導入、教育による提案力強化を行い、特にシステム導入後の運用代行、仮想化集約、セキュリティ関連サービスを中心にスクラムシリーズの販売が堅調に推移しました。
2022年4月、サイボウズ株式会社(以下、サイボウズ)とデジタルサービス事業に関する業務提携に合意しました。2022年10月、サイボウズとの戦略的協業に基づき共同開発したクラウド型の業務改善プラットフォーム「RICOH kintone plus」の販売を開始しました。「RICOH kintone plus」は、当社の共創プラットフォーム「RICOH Smart Integration」や複合機との連携が可能です。さらに、2022年12月にサイボウズと資本提携契約を締結し、デジタルサービス分野の強化に取り組んでいます。
米州においては、セキュリティ対策サービスが引き続き堅調に推移しました。コミュニケーションサービスを展開する米国のCenero社の買収を完了し、オフィスサービス事業の提案力強化を進めました。
欧州においては、パッケージ型ソリューションの販売や買収したITサービス会社のシナジー創出により売上高を伸ばしました。イギリスのPure AV社、デンマークのAVC社、フランスのCorelia SAS社の3社を買収、社内ではオフィスサービスを担うシステムエンジニアやセールスの育成を進め、オフィスサービス事業の基盤強化、販売・サポート体制を拡充しています。
オフィスプリンティング事業においても、部材逼迫や中国におけるロックダウン等による製品供給遅れの影響を受けましたが、当連結会計年度末にかけてA4複合機等の供給不足が改善し、A3複合機を含めた一括商談時の納入が進む等、エッジデバイスの売上高が前連結会計年度に比べ増加しました。また、ノンハードウエアの売上高は想定よりも緩やかな回復となりました。加えて、海上運賃等のコスト上昇があったものの、価格転嫁を含むプライシングコントロール(売価政策)や保守サービス体制の改革等の利益改善策を実施しました。
その結果、セグメントとしてのデジタルサービス全体の営業利益は前連結会計年度から 120億円増加し、282億円となりました。
b. デジタルプロダクツ
当連結会計年度ではデジタルサービスを支えるエッジデバイスの製品群を強化しました。紙文書をデジタル化するデバイスとして、2023年2月、お客様のDX(デジタルトランスフォーメーション)とサステナビリティの両面で価値を提供するA3フルカラー複合機「RICOH IM C6010/C5510/C4510/C3510/C3010/C2510/C2010」を発売しました。働き方の変化や法改正に伴い、注文書や請求書等、文書の電子化が推し進められるなか、複合機はアナログである紙とデジタルをつなぐエッジデバイスとなっています。本製品は、エッジデバイスとしての機能強化を図り、名刺や領収書などの小サイズ原稿を含めた多様な紙文書を電子化することができます。さらに、省資源・省エネルギー化によりライフサイクル全体での環境負荷を削減し、お客様の事業活動での環境負荷低減に貢献します。
映像・音声のデジタル化では、2022年6月、WEB会議での臨場感をより高めるためのエッジデバイスとして、360°カメラ搭載一体型マイクスピーカー「RICOH Meeting 360 V1」を発売しました。また2022年11月、タッチ機能搭載の軽量ハンドアウト型ディスプレイ「RICOH Portable Monitor 150BW/150」を発売しました。
これらのエッジデバイスは、共創プラットフォーム(RICOH Smart Integration)を介し、さまざまなアプリケーションと連携することで、お客様のワークフロー全体の効率化や新たな価値創造を実現します。
デジタルプロダクツの売上高は、前連結会計年度に比べ 9.1%増加し 267億円となりました(為替影響を除くと 2.1%の増加)。またセグメント間売上高を含む売上高では 16.7%増加の 4,403億円となりました。部材不足や中国での新型コロナウイルス感染症対応でのロックダウンや感染者増加により、工場の稼働に影響が出たものの、柔軟な生産施策を展開し、生産が回復したことで前連結会計年度と比べて増収となりました。営業利益は、当連結会計年度度末にかけて一時的にA4複合機の出荷割合が増加したことによる利益率低下や、継続する部材価格高騰等に対し、ものづくり体質強化による原価改善活動等により利益を確保しました。デジタルプロダクツ全体の営業利益は前連結会計年度に比べ 99億円減少し 315億円となりましたが、前連結会計年度に計上した米国子会社の土地売却益等を含めた一過性要因を除くと、営業利益は実質的に横ばいとなります。
c. グラフィックコミュニケーションズ
当連結会計年度の商用印刷事業では、2022年7月、デジタルフルカラー広幅複合機「RICOH IM CW2200/CW2200H/CW1200/CW1200H」を発売しました。フルカラーやモノクロの高速出力はもとより、スキャンスピードが大幅に向上しました。図面の印刷や図面情報の伝達等の生産性を大きく向上させ業務の効率化を促進します。
また、2022年9月、印刷業の現場に向け、印刷の色合わせ・色調整作業を効率化する新たなソリューションとして、カラーマネジメントソリューション「RICOH Auto Color Adjuster」を発売しました。
当連結会計年度のグラフィックコミュニケーションズの売上高は、前連結会計年度に比べ 25.5%増加し 2,348億円となりました(為替影響を除くと 11.3%の増加)。商用印刷事業では、欧米の経済活動の回復により売上高が増加しました。部材不足の影響を受けましたが代替部品を市場調達する等、生産数量の確保に努めプロダクションプリンターの販売が増加しました。ノンハードウエアは堅調に推移し、新型コロナウイルス感染症拡大以前の水準まで回復しました。産業印刷事業では、主力市場である中国でロックダウンの影響を受けましたがインクジェットヘッドの売上高は好調に推移しました。グラフィックコミュニケーションズ全体の営業利益は、商用印刷事業において代替部品調達による原価上昇が利益を圧迫しましたが、開発・生産・サービス活動の改善と円安により前連結会計年度に比べ 150億円増加し 145億円となりました。
d. インダストリアルソリューションズ
当連結会計年度のサーマル事業では、当社のサーマル印字技術「ラベルレスサーマル」が、複数の大手コンビニエンスストアで採用されました。。「ラベルレスサーマル」は、当社が開発したサーマルインクを包装材であるフィルムに部分コーティングし、コーティング部にサーマルヘッドやレーザー装置で熱を加えることにより直接印字するものです。「ラベルレスサーマル」の導入により、商品名や原材料などの情報が天面の包装資材に直接印字できるため、これまでパッケージに貼り付けられていた紙ラベルが不要となり、環境負荷低減に貢献します。さらに製造工程においても、紙ラベルの貼り付け作業や消耗品であるインクリボンの交換の手間が不要になり、小売・流通業界など幅広い分野で生産性の向上を実現します。
産業プロダクツ事業では、2022年9月、生産現場や物流現場において、狭小スペースや多様なレイアウト、荷物形状に対応して物品の搬送を行う無人搬送車「RICOH AGV* 3000」を発売しました。現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)に貢献します。
当連結会計年度のインダストリアルソリューションズの売上高は、前連結会計年度に比べ 14.1%増加し 1,135億円となりました(為替影響を除くと 5.2%の増加)。サーマル事業ではエネルギー価格や原材料価格・輸送費等のコストアップが継続しましたが、価格転嫁を含めたプライシングコントロールを機動的に実施して影響を吸収しました。また、剥離紙を使用しないラベルの販売や、欧米での物流・流通需要が拡大し増収となりました。産業プロダクツ事業では、中国のロックダウンによる自動車関連顧客の減産影響等を受け、減収となりました。インダストリアルソリューションズ全体の営業利益は、プライシングコントロール等で利益の確保の効果もあり、前連結会計年度に比べ 16億円増加し 31億円となりました。
なお、当連結会計年度よりエレクトロニクス事業についてデジタルプロダクツへ事業区分変更を行いました。これに伴い、エレクトロニクス事業の業績は当連結会計年度及び前連結会計年度共にデジタルプロダクツに含めております。
* AGV(Automated Guided Vehicle):床面のテープを認識しながら走行する無人搬送車のこと
e. その他
2022年9月にPFUの株式を取得し、連結子会社化しました。PFUは、近年加速する紙文書のデジタル化において、入り口となる業務用スキャナで世界No.1のシェアと顧客基盤を有しています。業務用スキャナの強化により、既存の複合機では読み取りが難しい特殊なドキュメントへの対応が可能となります。これにより、オフィス領域にとどまらず、医療機関や公的機関の窓口業務、金融機関や企業のバックヤードにおける各種書類の処理業務等、より専門的な領域に対して価値提供が可能になります。また、国内ではクラウド構築やマネージドセキュリティサービスを展開しており、当社のITマネジメントサービス能力の増強につながります。お互いの得意分野を補完・強化することでシナジーを生み出し、デジタルサービスの会社へ向け成長を加速させる取り組みを進めています。
Smart Vision事業では、スパイダープラス株式会社とともに、建設業界のDX加速を目的に、協業を開始しました。
当連結会計年度のその他の売上高は、前連結会計年度に比べ 461.5%増加し 1,086億円となりました(為替影響を除くと 454.5%の増加)。PFUの買収等により売上高が増加しました。また、創薬支援事業ではElixirgen Scientific Inc.への追加投資を実施、社会インフラの点検サービスでは実証実験や案件開拓等の事業化に向けた活動推進等、新規事業の創出に取り組んでいます。
これらの活動を含めた新規事業創出のための先行投資により、営業損益は 32億円(損失)となりましたが、PFUの買収やカメラ事業の収益改善による貢献により前連結会計年度に比べ 122億円改善しました。
(注) 事業セグメントとしてのデジタルサービスはオフィスサービス事業及びオフィスプリンティングの販売を主とした事業に限定した事業セグメントであり、当社グループが目指す「はたらく場をつなぎ、はたらく人の想像力を支えるデジタルサービスの会社」への変革、として掲げるデジタルサービスすべてを網羅しているものではありません。当社グループが「デジタルサービスの会社」として掲げる「デジタルサービス」は、事業セグメントではデジタルサービスの他、すべてのセグメントの事業内容に含まれております。
前連結会計年度及び当連結会計年度における生産実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。また、サービスに係る生産実績は含まれておらず、製造に係る生産実績としております。
2 PFUの生産実績はその他セグメントに計上されております。
3 当連結会計年度よりインダストリアルソリューションズのエレクトロニクス事業について、デジタルプロダクツへ事業区分変更を行いました。この変更に関して、前連結会計年度についても遡及適用した数値で表示しております。
当社グループは見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しております。
前連結会計年度及び当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、以下のとおりです。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が10%以上の主要な相手先はありませんので、記載を省略しております。
3 PFUの売上高はその他セグメントに計上されております。
4 当連結会計年度よりインダストリアルソリューションズのエレクトロニクス事業について、デジタルプロダクツへ事業区分変更を行いました。この変更に関して、前連結会計年度についても遡及適用した数値で表示しております。
(3) 財政状態
資産合計は、前連結会計年度末に比べ 2,967億円増加し 21,499億円となりました。PFU等の買収に加え、前連結会計年度末と比較して為替レートが円安となったことから海外資産の換算差額が発生し、資産が増加しました。為替影響を除いた試算では 2,210億円の増加となりました。当連結会計年度の主要通貨の期末日レートは、対米ドルが 133.53円(前連結会計年度に比べ 11.14円の円安)、対ユーロが 145.72円(同 9.02円の円安)となりました。
資産の部は、当連結会計年度末にかけての売上高の増加等により、営業債権及びその他の債権が 792億円増加しました。また、販売在庫の増加、安全在庫の確保、買収や円安等により棚卸資産が 818億円増加しました。さらに、PFUや欧米でのサービス事業会社の買収、円安等によりのれん及び無形資産が 1,069億円増加しました。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ 2,444億円増加し 11,918億円となりました。負債の部では、仕入の増加により営業債務及びその他の債務が 438億円増加しました。また、シンジケートローン等による資金調達を実施し、流動負債と非流動負債をあわせ社債及び借入金が 1,275億円増加しました。
資本合計は、前連結会計年度末から 522億円増加し、9,580億円となりました。株主還元策として 300億円の自己株式取得を行い、取得した自己株式の消却を実施しました。これにより資本が減少しましたが、一方で、円安により在外営業活動体の換算差額が 407億円増加しました。
親会社の所有者に帰属する持分は、前連結会計年度末に比べ 295億円増加し 9,315億円となりました。親会社所有者帰属持分比率は自己株式取得等の資本政策や新規借入の実施等により前連結会計年度末に比べ 5.4ポイント減少し 43.3%となりましたが、引き続き安全な水準を維持しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金収入が 157億円減少し 667億円の収入となりました。当期利益は前連結会計年度に比べ大幅に増加したものの、棚卸資産や当連結会計年度の販売の増加により営業債権及びその他の債権が増加しました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金支出が 745億円増加し 1,339億円の支出となりました。当連結会計年度においては、PFUを始めとした積極的な買収投資や出資により現金支出が増加しました。
以上の結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計となるフリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金収入が 903億円減少し 672億円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ現金支出が 1,671億円減少し 354億円の収入となりました。300億円の自己株式の取得を実施し現金支出が増加しましたが、借入等の資金調達を実施し現金収入が増加しました。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ 231億円減少し 2,108億円となりました。
リコーグループでは、事業投資によって創出した営業キャッシュ・フローは、さらなる成長に向けた投資と株主還元に対して計画的に活用していきます。資本政策の詳細ついては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 当社の中期展望 ◆成長を支える資本政策」をご覧ください。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
親会社所有者帰属持分比率:親会社所有者帰属持分/資産合計
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計
債務償還年数:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/支払利息
※いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち社債及び借入金を対象としております。
当社グループの流動性と資金源泉は次のとおりです。
事業発展に充分な資金流動性を確保し、堅固な財務体質を維持することが当社グループの方針です。この方針に従って、当社グループはここ数年、連結子会社が保有する流動性資金残高の効率的運用に努めてまいりました。その方策のひとつとして実施しているのが、各地域及びグローバルにおけるキャッシュマネジメントシステムの推進です。各地域にキャッシュマネジメントの要として設置している金融子会社を中心に地域内外のグループ企業間で手元流動性を有効活用するグループ内の資金融通の制度を構築、推進しております。この一環として、グローバルキャッシュプーリングシステムを導入し、グローバルベースでの更なる資金効率向上を実現しました。
また、当社グループは資産並びに負債の管理においてデリバティブを締結しております。為替変動が外貨建て資産と負債に与える潜在的な悪影響をヘッジするため、為替予約等を設定しております。当社グループはリスクの低減を目的として、定められた方針に従ってデリバティブを利用しております。自己売買、あるいは投機目的でデリバティブを利用しておらず、またレバレッジを効かせたデリバティブ取引も行っておりません。
当社グループは主に手元資金及び現金同等物、様々な信用枠及び社債の発行を組み合わせて資金を調達しております。流動性と資金源泉の必要額を判断する際、連結キャッシュ・フロー計算書の現金及び現金同等物の残高、並びに営業活動によるキャッシュ・フローを重視しております。
当連結会計年度末において、現金及び現金同等物の残高は 2,108億円、信用枠は 3,762億円であり、そのうち未使用残高は 3,462億円でありました。当社は 1,500億円(信用枠 3,762億円の一部)のコミットメント・ラインを金融機関との間に設定しております。これらは信用枠の範囲内で、各国市場の金利で金融機関から借入が可能です。
当社及び一部の連結子会社は、銀行借入及び社債の発行により資金を調達しております。また、当社グループはグローバルでキャッシュマネジメントシステムを活用してグループ資金を効率的に管理しております。
当社は大手格付機関(スタンダード・アンド・プアーズ・レーティング・サービス(以下「S&P」)、及び格付投資情報センター(以下「R&I」))から格付を取得しております。2023年6月20日現在、当社の格付はS&Pが長期BBB及び短期A-2、R&Iが長期A+及び短期a-1となっております。
当社グループは現金及び現金同等物、営業活動により創出が見込まれる資金、並びに借入金・社債等の調達資金で少なくとも翌連結会計年度の必要資金を充分賄えると予想しております。お客様の需要が変動し、営業キャッシュ・フローが減少した場合でも、現在の手元資金、及び当社グループが満足できる信用格付けを持つ金融機関に設定している信用枠で少なくとも翌連結会計年度中は事業用資金を充分賄えると考えております。さらに、足元の業務にとって必要な資金、及び事業拡大並びに新規プロジェクトの開発に関連する投資に対し、充分な資金を金融市場又は資本市場から調達できると考えております。各国の経済動向等による金利の変動は、当社グループの流動性に悪影響を及ぼす可能性がありますが、手元の現金及び現金同等物は充分であり、営業活動からも持続的にキャッシュ・フローが創出されキャッシュマネジメントシステムを活用していることから、こうした影響はあまり大きくないと考えております。
(1) 技術の導入及び供与に関する契約等
(2) 複合機等の開発・生産の統合に関する事業統合契約及び株主間契約
当社と東芝テック株式会社は、各社の2023年5月19日付け取締役会決議において、2024年4月1日から同年6月30日の間の別途定める日(予定)を効力発生日として、会社分割等により複合機等の開発・生産に関する事業を統合するに当たっての諸条件を定めた契約、及び本事業統合に係る株主間契約を締結することを承認しました。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 37 後発事象 (業務提携並びに事業統合契約及び株主間契約の締結)」をご参照ください。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、世の中の役に立つ新しい価値を生み出し、提供し続けることで、人々の生活の質の向上と持続可能な社会づくりに積極的に貢献することを基本理念としております。
新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延が継続しておりますが、ワクチンの普及等により徐々に経済活動が再開されつつあります。一方で、部材不足の継続やロシア/ウクライナ情勢の長期化等によるインフレの加速等、当社を取り巻く環境は不透明さを増しております。
その状況の中でも研究開発分野においては、アフターコロナを見据えた変革加速として、「OAメーカーからの脱皮」及び「デジタルサービスの会社への変革」に力をいれてまいりました。
当社グループの2036年ビジョン「“はたらく”に歓びを」の実現に向け、デジタルサービスの会社として、ワークプレイスを変化させていく商品やサービスを提供してまいります。
体制面では、CTO(Chief Technology Officer) 及び CDIO(Chief Digital Innovation Officer) の下、社内外でのデジタルとデータを活用した基盤及び価値創出の機能を強化しております。お客様のカスタマーサクセスを当社グループの提供価値と定め、既存ビジネスの深化と新たな顧客価値の進化、及びこれらを持続的に可能にする社内外でのデータ活用基盤、機能を強化しております。グローバルに広がる約140万社の顧客基盤を生かし、デジタルサービスの会社としてさらなる拡大を目指しております。
2021年度より導入された社内カンパニー制下においては、事業ドメインごとのビジネスユニットそれぞれが受け持つお客様・商品ごとに向けたリソースを集約運用するという考え方から、研究開発についても将来に備えた中長期的な研究から直近の製品開発・設計・生産までを一貫として事業分野ごとに集約した体制へと変更しております。
上記の体制変更に伴い、本社研究開発の役割・内容も変更しております。
本社での研究領域として、当社の現事業ドメイン以外での中長期的な成長を支える技術戦略として「ワークプレイスではたらく人の働き方を進化させるデジタルツイン」と「マスカスタマイゼーション時代のデジタルプリンティング」の2つの領域を定めました。これらの実現に向けた研究開発及び当社グループの共通基盤技術開発は「先端技術研究所」にて進めております。
また「RICOH Smart Integration(RSI)」 を支えるデジタル基盤技術の研究開発は「デジタル戦略部」にて進めております。AI/ICT技術の開発や”はたらく”をデジタル化する技術の開発、それらに携わるデジタル人材の育成・強化を担い、デジタルサービスの会社としての拡大を支えております。
更にこれらの本社研究所の技術開発からの事業インキュベーションはリコーフューチャーズビジネスユニットが担い、早期の事業化に向けて開発体制の強化を行っております。
研究開発の進め方としては、グローバルに拠点間の連携を深めながらそれぞれの地域特性を活かした市場ニーズの調査・探索、研究・技術開発を行っております。また、世界各地にテクノロジーセンターやカスタマーエクスペリエンスセンターを開設し、お客様のサポートを通じて直接把握したニーズを製品開発へフィードバックする仕組みにより、お客様と一体となった価値共創活動を展開しております。
オープンイノベーションにおいては、大学・研究機関、企業の力を積極的に活用し、最先端技術の開発を効率的に進めており、当連結会計年度では新たに東京大学や慶応義塾大学等と共同研究を開始しました。
また、スタートアップ企業や社内外の起業家の成長を支援して事業共創を目指すアクセラレータープログラム「TRIBUS(トライバス)」を2019年度より実施しております。4年目を迎えた当連結会計年度においては142件の応募の中からコンテストを開催し、そこを通過したテーマには当社グループ内に登録されている約250名のサポーターをはじめとした様々なリソースを活用可能とし、チャレンジする人の支援・育成、新規事業の創出を促進する文化のさらなる醸成を目指しております。
IFRSの適用に伴い、当社グループでは開発投資の一部について資産化を行い、無形資産に計上しております。無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発投資は
(1) デジタルサービス
当社グループでは、お客様への提供価値を「EMPOWERING DIGITAL WORKPLACES」と定め、働く現場のデジタルトランスフォーメーションを支援することで、お客様の業務効率化や生産性向上に貢献しております。
近年、時間や場所にとらわれない多様な働き方が求められており、当社グループでは、オフィス業務のペーパーレス化だけでなく、企業間取引業務を支援するトレードエコシステム、遠隔機器による現場作業支援、人手不足が課題となっている社会インフラ点検業務の効率化等、様々なワークフローにおいて、デジタルトランスフォーメーションによりお客様の課題解決に貢献できるサービス開発に取り組んでおります。
当社グループでは、クラウドサービス等と親和性の高いMFPをはじめとした各機器がつながり、お客様がいつでも最新のサービスを利用可能な「RICOH Smart Integration(RSI)」を提供しております。このプラットフォームを活用し、あらゆるワークプレイスではたらく人の創造力を支えるデジタルサービスを提供することで、お客様の成功に貢献し続けます。
当連結会計年度は、サイボウズ株式会社とOEM業務提携による「RICOH kintone plus」の開発・発売、資本提携等の戦略的協業を進めました。両社のコラボレーションにより、デジタルの力で様々な業務に関わる情報共有や業務プロセスの効率化を支援し、お客様の将来の成長や競争力強化を支え、企業や組織の未来における“はたらく”のDX(デジタルトランスフォーメーション)に貢献してまいります。
また、コミュニケーションサービス、ビデオ会議システムの設計・導入を行い、統合AV(Audio Visual)ソリューションを提供するCenero,LLCの全株式を取得し、コミュニケーション・コラボレーションサービスによる「EMPOWRING DIGITAL WORKPLACES」の提供価値拡大を図っております。
さらに、日本ガイシ株式会社との電力事業に関する合弁会社「NR-Power Lab株式会社」の事業を開始し、日本ガイシ株式会社が保有するNAS®電池及び蓄電池制御技術と、当社が開発するブロックチェーン技術を活用した再生可能エネルギー流通記録プラットフォームを組み合わせることで、カーボンニュートラル達成に不可欠な再エネの普及拡大のための電力デジタルサービスを提供し、持続可能な社会の実現に貢献しております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
業務改善プラットフォーム「RICOH kintone plus」を日本市場及び米国市場向けに提供開始
~現場のデジタル活用を伴走型でサポートし、中堅中小企業のDX化を加速~
・当社の「RICOH Smart Integration(RSI)」と連携
・当社が中小企業向けのスクラムパッケージや中堅企業向けのスクラムアセットの提供を通じて培ってきた業務改善ノウハウや、これまで「kintone®」を提供するなかでお客様からいただいたご要望をもとに、オリジナルプラグインアプリ、当社製複合機連携機能を追加
オールインワンの印刷インフラソリューション「RICOH Print Management Cloud」の各極での展開を開始
~クラウド化により印刷関連のサーバーレス化を実現~
・プリントサーバーへの依存をなくすことで、集中管理が可能
・ユーザー保護、データ保護、プロセスコンプライアンス、データセンターのセキュリティまで、グローバルなセキュリティコンプライアンスに対応した設計(GDPR、ISO27001、NCSC、OWASP、SOC2)
オフィス、現場、ホームをつなぐクラウドストレージサービス「RICOH Drive」を提供開始
~エッジデバイス・アプリケーションと連携、セキュアなデータ共有で企業のデジタル化を支援~
・ファイル暗号化や通信経路暗号化はもちろん、ユーザーごとのアクセス制限やログ管理等のセキュリティ機能により、社内・社外に関わらず安心してデータを共有可能
・「RICOH Drive」のIDを持たない外部ユーザーとのファイル送受信では、メールアドレス認証とワンタイムパスワードの発行により誤送信を防止
・「RICOH Smart Integration(RSI)」を介して、複合機をはじめとする様々なエッジデバイスやアプリケーションと連携し、お客様の業種や業務ごとのワークフローに合わせた使い方が可能
企業間の商取引の業務を効率化するクラウドサービス群を統合、「トレード帳票DXシリーズ」として提供を開始
~「RICOH Cloud OCR シリーズ」をはじめとする6サービスを統合~
・シリーズ商品同士や他社サービスとも連携し、商取引にまつわる業務フロー全体のデジタル化を提供
・クラウドサービスによる最新法令への常時アップデート
・サービスの運用開始準備から運用の定着まで、お客様に寄り添いながら伴奏型サポート体制を提供
「DocuWareバージョン 7.6/7.7」を提供開始
~強化されたコンテンツ管理・ワークフロー機能、及びAPIを利用した様々な外部システムとの連携機能を通じ、企業の業務プロセス効率化を支援~
・サードパーティ製ソフトウエアの要件に合わせた転送データのカスタマイズ機能、アーカイブ済み文書の Microsoft Teams へのリンク共有機能を提供(バージョン7.6)
・One Click Indexingによる請求書項目の自動入力機能強化、iPaaS Connectorによる他のビジネスアプリケーションとの連携機能を提供(バージョン7.7)
「Axon Ivy バージョン 10」を提供開始
~スケーラビリティと使いやすさを極限まで追求~
・クラウド環境に完全対応。新たなプロセスエディター、サードパーティのITシステムとの連携を可能にするシステムインターフェースの「マーケットプレイス」、カスタマイズ可能なダッシュボード、Microsoft Teamsとの統合機能を提供
映像と音声のリアルタイムな双方向配信サービス「RICOH Remote Field」を提供開始
~高品質/低遅延/4K360度の映像で現場とオフィスをつなぎDXに貢献~
・当社の「RICOH Smart Integration(RSI)」を活用したサービスとして、安定した接続品質を実現した映像・音声のリアルタイムかつ双方向な配信を実現
・当社がこれまでテレビ会議・Web会議システム等で培ってきた動画や音声等のメディア帯域制御の技術により、映像の高品質と低遅延を両立し、4G等のモバイルネットワーク環境においても安定した接続が可能
・映像と音声の双方向配信によって様々な空間と空間をリアルタイムにつなぐことで、遠隔地同士のコミュニケーションを支援
製造業実践ソリューション「RICOH フレキシブルイメージチェッカー」を新発売
~手持ちカメラによる多彩なアングルで、目視でのチェック作業の効率化を実現~
・カメラで検査対象物を撮影すると、検査アプリが部品の欠品や完成品との相違をパターンマッチングで解析し、自動で合否判定を実施
・手持ちでのカメラ撮影により、様々なアングルから対象物の確認が可能であり、同時に手持ち部カバーを装着することで、傾きやブレを抑制可能
・国内外の当社生産現場での使用実績から、撮影した画像に傾きやブレが生じた場合も、自動補正してパターンマッチングをかける技術を実装
なお、当連結会計年度の当事業分野に係る研究開発投資は
(2) デジタルプロダクツ
新型コロナウイルス感染症の影響が一段落してオフィスに戻る方々が増加する一方、在宅あるいはワーケーションとの組み合わせ等、多様なはたらき方の形態が定着してきました。コロナ禍前のように一カ所に集まって仕事をする形が大多数を占める状況には戻らないと考えております。デジタルプロダクツビジネスユニットでは、この多様なはたらき方を支援するデジタルエッジデバイスの技術開発に引き続き力を注いでおります。
当連結会計年度においては、お客様のDX(デジタルトランスフォーメーション)とサステナビリティの両面で価値を提供することが可能な主力のA3カラー複合機を刷新しました。アナログとデジタルをシームレスにつなぐため、当社の「RICOH Smart Integration(RSI)」を介し、「RICOH kintone plus」等様々なアプリケーションとの連携が可能となっております。また、省資源及び省エネルギー化を進めることで、製品ライフサイクル全体での環境負荷(カーボンフットプリント)を前身機より27%削減しているほか、本体樹脂総重量の50%に再生プラスチックを使用、さらに製品の梱包材においても紙材料の活用で包装プラスチックを54%削減しました。このような環境貢献技術を今後も進化させてまいります。
当連結会計年度、当社は株式会社PFUの株式を80%獲得し、連結子会社化しました。株式会社PFUは世界No.1のスキャナシェアとそれを支える優れた紙搬送技術を持ち、今後、当社の複合機やプリンターとの技術シナジーも期待されます。
プリンティング/スキャニング以外のエッジデバイスでは、インタラクティブホワイトボード(電子黒板)及びプロジェクターに加え、新たに360°会議システム及びポータブルモニターをリリースしました。オフィスというはたらく場におけるこれまでの知見と経験を踏まえ、はたらき方全般においてお客様への価値提供をさらに広げてまいります。
コロナ禍による長期工場停止や原材料価格の高騰継続等、生産面における困難は当連結会計年度も継続しました。2021年度から取り組んでいる代替部品への迅速な切り替えや多拠点での並行生産等、外部環境変化に左右されないものづくり体制の構築を引き続き進めております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
業種業務ごとの課題解決に貢献し、DXを支援するフルカラー複合機
「RICOH IM C6010/C5510/C4510/C3510/C3010/C2510/C2010」を発売
~ソリューション連携と業界最高の環境性能でお客様へ価値を提供~
・エッジデバイスとしての機能強化を図り、名刺や領収書等の小サイズ原稿を含めた多様な紙文書の電子化が可能
・「RICOH Smart Integration(RSI)」を介し、「RICOH kintone plus」等のアプリケーションと連携
・紙折りや針なし綴じオプション機能の強化
・環境負荷削減で循環型社会及び脱炭素社会の実現に貢献
臨場感あふれるリモート会議を実現
360°カメラ搭載マイクスピーカー「RICOH Meeting 360 V1」を発売
~会議室の雰囲気をまるごとキャプチャーするWEB会議デバイス~
・360°カメラで会議室全体・参加者全員の様子を映し出すことが可能
・発言者を自動認識し瞬時にクローズアップ
・約6mの距離まで集音可能な全方位マイクと高品質なスピーカーユニットを搭載
有機EL採用、タッチ機能搭載の軽量ハンドアウト型ディスプレイ「RICOH Portable Monitor 150BW/150」を新発売
~コミュニケーションの共創を促し、ハイブリッドワークを支援~
・持ち運びしやすいうえにタッチ操作も可能な15.6インチのポータブルディスプレイ
・対面の場を活かした少人数でのコラボレーションを促進するコミュニケーションデバイス
レーザー光源を採用したデスクトップ型の短焦点プロジェクター「RICOH PJ WXL4960/WXL4960NI」を新発売
~教室の大型提示装置として投写位置を制約しない教卓設置タイプ~
・教室の大型提示装置としてふさわしいスペックと機能を搭載
・当社独自の前面入力端子やオートエコモードを踏襲し教育現場に配慮
・レーザー光源の採用によって明るく鮮明な画質、長寿命、利便性の向上を実現
A3カラープリンター「RICOH IP C6020」「RICOH IP C6020M」を新発売
~7インチフルカラータッチパネルを搭載、ソリューション連携機能強化で業務を効率化~
・「MultiLink-Panel」を搭載し、タブレット端末やスマートフォンのような直感的な操作が可能
・「リコー 個人認証システム AE2」等と連携し、よりセキュアな印刷環境の構築が可能
・大量給紙も実現しながら消費電力を削減する等、充実の機能に加え優れた省エネ性能を実現
なお、当連結会計年度の当事業分野に係る研究開発投資は
(3) グラフィックコミュニケーションズ
当社グループは、現場で働くお客様の課題をDX(デジタルトランスフォーメーション)により解決し、お客様のビジネス拡大や働き方改革に貢献することを目指しており、性能面・価格面に強みをもつ商品とワークフローソフトウエアを組み合わせた革新的ソリューションを提供していきます。
商用印刷事業分野においては、印刷業のお客様に向けて、生産性向上に寄与する印刷機やゴールド、シルバー等高付加価値を可能にする特色トナー、上流から下流まで工程を統合的に管理するワークフローソリューションを組み合わせた提案を行っており、Offset to Digitalを加速して、お客様の現場プロセスのデジタル化を牽引していきます。
そのため、電子写真技術、サプライ技術、光学設計技術、画像処理技術、インクジェット技術、次世代作像エンジン要素技術、最先端ソフトウエア技術の開発を継続して行っております。
また印刷DXを推進するハイデルベルグ社(ドイツ)との長年のパートナーシップや、多様な印刷物を支える加工機ベンダー等とのアライアンス、お客様と連携してソリューション開発する取り組みを通じて、印刷のトータルソリューションを提供していきます。
アップグレードした「RICOH Pro VC70000e」では、より多くのメディアの利用が可能となり、お客様の仕事の幅が広がるとともに、新規ソフトウエアの搭載によって一段と業務の自動化/効率化が進められるようになりました。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
RICOH Pro VC70000eでオフセット及びデジタル印刷事業のビジネスチャンスを拡大
すでに導入済みの前身機RICOH Pro VC70000からアップグレードが可能であり、下記が特徴
・独自の先塗り技術により幅広いメディア・アプリケーションが使用可能になり、全体的に印刷品質が向上
・新しいプリントヘッドの開発によりテキスト、細線もよりシャープに
・ソフトウエアの進歩として、「RICOH Pro Scanner Option」や「RICOH Supervisor」により、マシンとジョブのステータスに関するフィードバックが常に提供され、AIによって正確で効率的なプロセスを生成
カラーマネジメントソリューション「RICOH Auto Color Adjuster」を新発売
~当社独自の高速分光測色技術と色調整処理で、印刷現場の業務を効率化~
・紙面全体を高速に測色し、専用チャートや見本画像から色調整用のICCプロファイルを作成し、これを出力したいカラープロダクションプリンターで使用することで、正しい色の再現が可能。また、専用チャートに基づきプリンターの色の状態を数値化することで、客観的な色の品質管理ができる
・色見本に合わせた印刷において、簡単にカラーマッチングが行える
産業印刷事業分野においては、産業用インクジェットヘッド技術の開発、製品化に注力し、製品ラインナップの拡充に取り組んでまいります。高耐久性と幅広いインク対応力でお客様よりご好評をいただいているMHシリーズヘッドでは、耐久性やシステム適合性を強化した新たなモデルを発売しました。また、MEMS (Micro Electro Mechanical System)技術を活用した小型・高精細印刷に対応するTHシリーズヘッドも新規で採用いただけるお客様が増えております。
また、衣料印刷市場向けには、すでに発売済みの「RICOH Ri 1000/2000」をご利用のお客様が、Direct-to-Filmとして、新たなアプリケーションが利用できるソリューションの提供を開始しました。エントリークラスの「RICOH Ri 100」と合わせ、お客様の用途に応じた製品提供を行っております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
産業用インクジェットヘッド「RICOH MH5422」、「RICOH MH5442」、「RICOH MH5422 Type A」を新発売
~高画質と高生産性を両立し、用途に応じて3モデルから選択可能~
・1,280ノズル、150npix4列のノズルは位置と標準液滴量7plに加えて、着弾精度・吐出的速度の均一性が向上し、高画質印刷を実現。また、高周波駆動時の安定性が高まり、最大50kHzの駆動周波数で使用可能。
・UV、水性、溶剤のすべてのインクに対応。特に水性インクは前身機RICOH MH5421/5441の2倍以上の長寿命化を実現
・高撥水処理技術により、従来ヘッドに比べて撥水膜の強度が向上し、長時間の仕様でも安定した画像品質を提供
・ピンアライメント対応モデルに加え、高精度を追求した面アライメント対応モデルをラインナップ。ヘッド搭載時・交換時の取り付け精度と並べやすさが向上し、位置調整が容易になった
ガーメントプリンターで使用できるDirect-to-Filmソリューションを提供
・RICOH Ri 1000/2000を使用してPETフィルムにプリントを行い、衣服に転写するDirect-to-Filmのソリューションが利用でき、皮革、ナイロン等の素材にもプリントすることが可能
・最初にCMYKを印刷し、その上にホワイトを印刷
・OEKO-TEX基準に対応
・当社グループであるColorGATE社の「Productionserver」によってサポート
なお、当連結会計年度の当事業分野に係る研究開発投資は
(4)インダストリアルソリューションズ
サーマル事業分野においては、世界で圧倒的なシェアを占める高付加価値サーマルペーパー(感熱紙)をはじめ、高い品質の製品・サービスを提供し、さらなるお客様の信頼獲得を目指しております。
高付加価値サーマルペーパーは、近年の環境意識の高まりから、社会課題解決型商品(発色材料の安全性を高めたフェノールフリーラベル*)を欧州市場、日本市場で展開しておりましたが、当連結会計年度は、さらに北米市場で販売を開始しました。順次、グローバル及びラインナップ展開を進めてまいります。
* フェノール含有量0.02%未満の感熱紙を使用(当社基準)
また、長年にわたり培ってきた光学系の独自技術を組み合わせた、半導体レーザー光を用いた「リライタブルレーザーシステム」と「高速印刷ソリューション(FC-LDA Printer)」の事業展開。さらには、包装材に感熱機能を設ける「ラベルレスサーマル」技術の展開により、環境負荷低減と人手不足が深刻な物流現場における省人化や製造業における自動化の進展に貢献しております。
サーマル印字技術「ラベルレスサーマル」が、2022年5月、国内コンビニエンスストア大手に採用されました。発売以降コンビニエンスストアのお客様において「原材料、アレルゲン等の情報視認性が向上」、食品の製造工程においても「環境負荷低減」、「自動化省力化実現」、「包装材在庫のスリム化」が評価され、他のコンビニエンスストアにも導入が拡大しております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
当社のラベルレスサーマルがセブン-イレブンの商品パッケージに採用
~原材料表示等を包装材へ直接印字し、環境負荷低減、作業効率化、生産性向上に貢献~
・透明性が高く高品質なサーマルメディア層
分散技術、高耐性発色技術、層構成技術を活かしてサーマル機能層をインク化、これをコーティングすることで包装デザインと一体化し、可変情報の直接印字と食品包装に求められる耐久性、安全性を実現
・印刷加工適正の高い感熱インク
独自のサーマル素材・処方技術を活かして、包装材のデザイン印刷と同時に加工できるインクを開発し、包装材の生産性を維持
産業プロダクト事業分野においては、生産技術とIoT、AI、画像認識等の最先端技術を融合し、データ認識処理による情報変換を通じた情報の見える化により、様々な産業設備のインテグレーション、車体・外装部品等の塗装外観を中心とした検査ラインソリューションを提供しております。例えば成長著しい車載リチウムイオンバッテリー外観検査や車両塗装外観検査における安全・信頼性を高める検査ラインの生産・販売を行って現場における少人化、自動化に貢献しております。今後、これら検査設備等から得られるデータの活用により、お客様への新たな価値提案へと繋げていく予定です。
また、これまで当社で培ってきた光学技術、画像認識、AI等の最先端技術を融合し、自動車、物流・建機車両の自動制御や安全補助をするステレオカメラの開発を様々なパートナーと進めております。当連結会計年度は、クレーンを使用する建設、土木等の現場において、吊り荷と作業員を自動検出し、立体的にとらえることで、吊り荷と作業者の衝突危険性を検知、クレーン操縦者に知らせることで衝突事故を防ぐシステムを東洋建設株式会社との共同実証実験を通して開発を進め、販売に至りました。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
クレーン作業安全支援システムを開発、東洋建設株式会社と共同実証実験を実施
~クレーン作業における吊り荷と作業者の衝突事故の発生を抑制し、現場の安全性向上に貢献~
・吊り荷と吊り下ろし場所の作業員の位置を、ステレオカメラから取得した映像を用いてAIで自動検出・追尾し、吊り荷と作業員が接近すると警報を発することで、作業員全員の安全作業をサポート
・クラウドと連携することで、遠隔地の管理者への通知や、作業状況の記録・管理も可能
・クラウドを通して現場のデータを蓄積し学習、様々な現場においても高精度に作業員の位置を検出可能
・ブラウザ上で使用できるアプリケーション活用で、各現場の危険シーンの録画を用いて、現場での危機管理の学習に活用可能
・クレーンを使用する現場における安全性向上への有効性が認められ、新技術情報提供システム(NETIS*)に2022年10月に登録
* NETIS:国土交通省が新技術活用のため、新技術に関わる情報の共有及び提供を目的に整備したデータベースシステム
なお、当連結会計年度の当事業分野に係る研究開発投資は
(5) その他事業
当社グループの持つ技術力を活かして、産業向けからコンシューマー向けまで幅広い製品・サービスを提供しております。また、現場、ヘルスケア、環境における社会課題解決に貢献する新たな事業創出を目指しております。
■デジタルカメラ事業
デジタルカメラ事業を担うリコーイメージング株式会社では、PENTAXとGRの2つのブランド価値をより高め、"デジタル"手法を駆使してお客様とダイレクトにつながり、両ブランドの魅力をより一層研ぎ澄ませて深化さております。
当社グループでは、100年に及ぶカメラ開発の歴史で培われた、光学設計、光学部品加工技術を柱に、最先端のデジタル画像処理技術を搭載した画像処理エンジンPRIME VやGR ENGINE 6と、高度なノイズ処理を実現するアクセラレーターユニットI,IIのコンビネーションにより、すべての感度域で優れた階調再現や質感描写を実現したデジタルカメラ製品の開発を行っております。また、これらの技術に加え、当社独自のボディ内手振れ補正機構SR(Shake Reduction)を搭載し、優れた手振れ補正性能を有するとともに、この機構を応用したローパスセレクター機能やリアルレゾリューション機能を開発しております。写真に拘りを持つユーザーの皆様へ、これらの技術を搭載したデジタルカメラを以下のシリーズで提供しております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
水深14mでの水中撮影が可能なコンパクトデジタルカメラ「RICOH WG-80」を発売
・小型軽量ボディに高い防水性能と優れた耐落下衝撃性能、さらに多彩な撮影機能を備えた防水コンパクトデジタルカメラ
・小型軽量のボディに14m防水や高さ1.6mからの耐落下衝撃性能、さらにマイナス10℃までの耐寒構造を備えており、一般的なデジタルカメラやスマートフォンの使用が困難な環境下での撮影に耐えうる高い信頼性を実現しております
ハイエンドコンパクトデジタルカメラ「RICOH GR IIIx Urban Edition」「RICOH GR III Diary Edition Special Limited Kit」を発売
・プロフェッショナルユースにも応える高画質とスナップシューティングに最適な小型軽量ボディのRICOH GR IIIxとRICOH GR IIIに、それぞれ「都会」「日常」をイメージしたボディーカラーを施した特別仕様のハイエンドコンパクトデジタルカメラ
防塵・防滴構造を採用したマクロレンズ「HD PENTAX‐D FA MACRO 100mmF2.8ED AW」を発売
・最新の設計技術により光学系を一新し、絞り開放から高い解像力と高いコントラストが得られ、シャープな描写力を実現するとともに、当社マクロレンズで初の防塵・防滴構造を採用したマクロレンズ
天体望遠鏡用アイピース「smc PENTAX XW16.5」「smc PENTAX XW23」を発売
・視野周辺までシャープな星像が得られる5群7枚構成の新光学系を採用しシリーズ最高の見掛け視界85°の広視野角を実現し、星雲や星団の迫力ある観察が可能な天体望遠鏡用の高性能アイピース(接眼レンズ)
防塵防滴、小型設計のデジタル一眼レフカメラ「PENTAX KF」を発売
・アウトドア撮影に適した防塵・防滴の小型ボディに本格的な光学ファインダーをはじめとする、こだわりの基本性能を備えたスタンダードクラスのデジタル一眼レフカメラ
・視野率約100%でガラスペンタプリズムの光学ファインダー、シャッタースピード換算で4.5段分に相当するボディ内手ぶれ補正等、上位機並みの機能・性能を備えたモデルです
■スマートビジョン事業
ワンショットで360度撮影ができるカメラ「RICOH THETA」を発売以降、360度画像・映像を活用した事業の幅を広げてきました。現在では、クラウドサービスと連携させることでワークフロー全体を効率化するソリューションを提供し、業務効率化と生産性の向上を実現する「RICOH360」プラットフォーム事業を強化し、SaaSビジネスの展開を行っております。
建設業においては、2024年4月より施行予定の改正働き方改革関連法案の中で、残業時間の上限に罰則規定が設けられる等、労働生産性を上げることが急務となっております。このような背景から、建設業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)加速と「RICOH360」プラットフォーム事業のさらなる拡大のため、他社との協業を開始しております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
「RICOH360」プラットフォーム事業で建設テック企業と協業を開始
~建設業向けソリューション提供で現場のDXを加速~
・建設テック企業であるスパイダープラス株式会社と、建設業界のDX加速を目的に、「RICOH360」プラットフォーム事業とスパイダープラス株式会社の建設DXサービス「SPIDERPLUS」事業の協業を開始しております。
・当社が保有する360度画像・映像技術情報や機能をスパイダープラス株式会社へ提供し、建設業界において官民が一体となって推進する「BIM(Building Information Modeling)」に向けたサービスの検証を開始しております
・今後も建設業のユーザーニーズを踏まえた短期の課題解決及び市場動向を踏まえた中長期の課題解決に向けた「RICOH360」の機能強化のために、ワークフローに精通した建設テック企業との協業に取り組んで行きます
■ヘルスケア事業
当社グループでは高齢化社会への対応、医療費削減、ウイルス等の感染拡大防止等が求められるヘルスケア事業を、社会課題の解決に取り組む事業の1つとして位置づけております。
iPS細胞の高速分化誘導技術やmRNAの設計・製造技術をコアとした創薬支援の「バイオメディカル」、脳磁計・脊磁計の活用により脳や中枢・末梢神経の活動を可視化する「メディカルイメージング」を重点領域とし技術開発に取り組んでおります。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
mRNAを活用した創薬支援事業を強化
~バイオテクノロジー企業エリクサジェン・サイエンティフィック(eSci社)と株式追加取得で合意~
・eSci社の株式を過半数取得する契約を締結し子会社化することで、高齢化やパンデミック等の社会課題を解決するための創薬基盤の整備・構築を加速し、人々の健康と安心への貢献を目指しております
・eSci社は、iPS細胞やES細胞(胚性幹細胞)を様々な細胞へ高速分化誘導可能な独自の技術とmRNAの設計や製造に強みを有しており、この技術を当社がこれまで培ってきたデジタル化技術やAI(人工知能)技術で活用領域を拡大し、個別化医療や創薬研究の加速に貢献していきます
日本のmRNA医薬品創薬市場の活性化に向けたファンド設立
~mRNAを活用した創薬スタートアップの研究開発支援を強化~
・日本のmRNA医薬品の創薬市場の活性化に向けて、「リコー バイオメディカル スタートアップ ファンド」を2022年9月に設立し、創薬事業を行う日本国内のスタートアップ企業の研究開発を支援しております
・当社及びeSci社/EsJ社*で培った強みに、スタートアップの持つ技術やノウハウを組み合わせ、日本国内におけるmRNAを用いた創薬基盤の整備・構築を進めていきます
*EsJ社:エリクサジェン・サイエンティフィック・ジャパン
経済産業省の「ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業」に当社及びエリクサジェン・サイエンティフィック・ジャパンの提案が採択
・「ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業」は、国内における新型コロナウイルスワクチンを始めとしたバイオ医薬品の実生産(大規模生産)体制の早期構築を図るとともに、ワクチンの早期供給を促すために経済産業省が公募したものです
・この度の採択により、医療用mRNAの製造能力のさらなる増強を目指しており、ワクチンをはじめとするmRNA医薬品の研究開発をより幅広く支援していきます
・本事業によりmRNA治験薬の国内製造拠点を整備することに加え、ファンドによるスタートアップ企業への投資を行うことで、mRNA医薬品をより自由に創出できる環境を構築し、人々の健康と安心に貢献していきます
■環境事業
当社グループは事業を通じて注力する重要社会課題の1つとして、脱炭素社会の実現を掲げており、国内企業で初めてRE100に参加する等、徹底した省エネや再生可能エネルギーの積極活用に向けた取り組みを強化しております。
製品のエネルギー効率向上、リサイクル材や植物由来原料を用いた素材開発等、脱炭素に向けたイノベーションに取り組んでおります。今後は、ビジネスパートナーや顧客にも協力を働きかけることで、バリューチェーン全体での脱炭素社会づくりに貢献していきます。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
オフィスや商業施設等の環境情報をモニタリング可能な「RICOH EH CO2センサーD101」を発売
~環境発電技術搭載により各種環境情報の取得を電池交換レス・配線レスで実現~
・オフィスや商業施設等の環境情報を、電池交換レス・配線レスで取得できる環境センシングデバイスの新製品として、温度・湿度・照度・気圧に加え、CO2濃度も取得可能な「RICOH EH CO2センサーD101」を、2022年6月中旬より発売しました
・当社が開発した固体型色素増感太陽電池モジュール「RICOH EH DSSCシリーズ」を搭載し室内光で連続動作が可能で、無線通信を利用して環境情報を収集するため、複数台配置することで広いフロアもリアルタイムに一元管理が可能です
・本製品により、感染症対策の一環である人の密集状態・換気状態の確認だけでなく、働く場所の環境管理のDXに貢献し、お客様に安全・安心に働ける環境を提供することを目指していきます
「RICOH EH 環境センサーD202」が、三菱地所株式会社の「警備ロボットを活用したIoT設備点検」に採用
~設備技術員の人手に頼らない点検作業のDX実現に貢献~
・当社が提供する「RICOH EH 環境センサーD202」が、三菱地所株式会社が推進する「警備ロボットを活用したIoT設備点検」に採用されました
・巡回・立哨警備を行う自律移動型ロボットが設備機器に設置したIoTセンサーやカメラからデータを自動収集して設備点検を行うシステムで、「RICOH EH 環境センサーD202」は空調機内部の環境情報を検出するIoTセンサーとなります
・現行の設備機器は設備技術員が目視や定期巡回等で点検しておりますが、空調機器内のフィルター状態を遠隔で確認することで、設備技術員の人手に頼らない点検を実現し、働き方改革に貢献していきます
■事業共創事業
スタートアップ企業や社内外の起業家の成長を支援して事業共創を目指すアクセラレータープログラム「TRIBUS(トライバス)」を2019年度より実施しております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
国土交通省による下水道応用研究にて3Dプリンターを活用したマイクロ水力発電の検討を実施
・新規事業創出の取り組み「TRIBUS(トライバス)」に採択された社内スタートアップである「WEeeT-CAM(ウィットカム)」は、シーベル株式会社、金沢工業大学との連携により、バイオマス*1由来の材料を使用した3Dプリンター製の羽根を組み込んだマイクロ水力発電機を開発し水処理場での活用を検討しております
・数kWの発電に成功し、従来の金属製マイクロ水力発電装置と比較して重量は水車部分25%、装置部分15%の軽量化を実現、水車の作成期間は約1か月から3日と大幅な短縮に成功しました
・水車部分は樹脂製で水中での耐久性も向上。一般に使用されている3Dプリンター材料で作成した場合と比較し、水車羽根の強度は金属製に匹敵する2倍以上*2を実現。水中に長期間つけても強度が維持され従来のマイクロ水力発電にも使用できることが判明しております
*1 バイオマス:化石資源を除く再生可能な生物由来の有機性資源
*2 最大曲げ破壊力が従来材料の樹脂特性が60N/nm²に対して当社が開発した「RD3 New method」で133N/nm²
手持ちで使える小型ハンディプロジェクター「RICOH Image Pointer GP01」を発売
・新規事業創出の取り組み「TRIBUS(トライバス)」に採択された社内スタートアップである「Image Pointer」は小型ハンディプロジェクターを発売しました
・手になじむコンパクトボディ、軽さ220gでポケットに入る大きさを実現しました
・小さくても台形補正や色味変更が可能でスピーカーも搭載。投影サイズは25~80型まで。近づいたり、離れたり、投影場所や人数次第で自由に投影ができます
・Wi-Fi™ですぐに接続、アプリも不要、HDMI®接続も可能。コードレスで机や壁等に投影し、お気に入りの写真や動画を大きな画面でみんなでシェアが可能になりました
なお、当連結会計年度の当事業分野に係る研究開発投資は
(6) 基礎研究分野
当社グループではこれまで、商品の差別化につながる基礎研究分野として、フォトニクス技術、MEMS、画像認識・画像処理技術を融合した高度なセンシング技術・エッジデバイス技術、分析・シミュレーション等の基盤技術や検証、シミュレーション等の技術機能性材料、プリンティング技術の応用研究開発や、お客様の業務の効率化や時間、場所に捉われない新しい働き方に貢献するためのデータ収集・解析技術、人工知能を応用したシステムソリューション開発を進めてきました。
先端技術研究所では、将来に向けてはこれらの技術を核として、2つの提供価値領域にフォーカスして開発を行っております。
・HDT(Human Digital Twin at Work):ワークプレイスで働く人のデジタル化技術。行動センシングやバイタルセンシング等の技術と、認識やAI等の技術とを活用し、働く人の創造力発揮を支援する。
・IDPS(Industrial Digital Printing System):インクの代わりに機能材料を吐出する産業用インクジェット技術を発展させ、製造・生産プロセスをデジタル化し、飛躍的な改善や廃棄物削減、省エネにつなげる。
分析・シミュレーション等の共通基盤技術は、引き続き当社グループの開発生産現場に展開し、さらなる効率化と品質向上を図っていきます。
協業パートナーとの共創も積極的に推進しており、当連結会計年度では30以上の協業パートナーと価値検証を実施しました。
また、研究開発のグローバル化を目指して、海外研究機関・企業との連携体制を構築中。Horizon Europe(現代の重要課題に取り組む研究とイノベーションのための国際的な枠組み )のプログラムに参加し、欧州の代表的な研究機関や有力企業各社と共同研究開発を開始しました。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
次世代インクジェットヘッド技術 「GELART JET ヘッド」
~インクジェット技術の活用領域の拡大により持続可能な社会の実現を目指す~
・高圧対応の独自ヘッドにより、高粘度・大滴サイズの塗料吐出による大面積・厚塗り印刷や、塗料の飛翔距離拡大による曲面・凹凸面への印刷、大粒子含有材料の吐出による印刷以外の用途への展開が可能になり、インクジェット技術の活用領域を拡大
・当技術を活用し、壁面や路面、自動車外装等へのデジタル塗装技術を開発中。塗装工程で発生する材料やエネルギーの無駄を最小化し、環境汚染低減、省エネ等の持続可能な社会の実現に貢献
・2022年11月のIGAS2022(国際総合印刷テクノロジー&ソリューション展)において、当技術を含めたIDPS領域における開発技術を、「機能するJetting」というコンセプトのもと発表
HDT(Human Digital Twin at work)を実現する技術開発
~共創活動による開発加速~
・東京大学との社会連携講座「“はたらく”に歓びを」を開設し、個人やチームの創造性や働きがいを向上させる未来の働き方の共同研究を開始。当社の技術・ノウハウに裏付けられたオフィス向けソリューションの実績と、東京大学の卓越した学術的知見・技術というお互いの強みを連携することで、技術分野における相互の知的・人的・物的資源の交流や、共同研究開発活動の推進による新しい価値の創造を図る
・VIE STYLE株式会社と共同で、ブレインテックの活用による「仕事への内発的動機づけ」の向上に関する共同研究を開始。VIE STYLE株式会社が持つ次世代型ウェアラブル・イヤホン型脳波計とニューロテクノロジーの知見に、仕事に対するゲーミフィケーションを組み合わせることにより、仕事への内発的動機づけ(働きがい)を向上させ、働く個人のウェルビーイングとパフォーマンスの向上を狙う
デジタル戦略部では、顧客価値創出のデジタル基盤として「RICOH Smart Integration(RSI)」を整備、強化しております。
RSIで様々な業務システムやデバイスをつなぐことで業務フローをデジタル化し、業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)に貢献します。具体的には、自社やパートナーの技術をコンポーネントやマイクロサービス、コンテナとして整備し、エッジデバイスと組み合わせて、ワークフローをLow Code/No Codeで構築することで短期間でのサービス開発・提供を可能にしております。
また、RSIに蓄積された画像データをはじめとする様々なデータとAIを組み合わせて利活用することで、顧客や社会の課題解決をするための新たな顧客価値創出を進めております。
当連結会計年度の主な成果は次のとおりです。
人が知覚する光沢感や高級感といった感性情報を定量化し、関係性を可視化する技術
~情動・質感同士の関係性理解による、商品開発工程の効率化に貢献~
・商品開発における定性的で属人性のある情動・質感設計プロセスに対して、最適化手法を用いた感性モデルの構築手法を提案
・官能評価実験によって取得した情動や質感に関する評価点を変数として、構造方程式モデリングに適用するグラフ構造を遺伝的アルゴリズムによって最適化。設定した統計値に基づき、属人性のない感性モデル構築を実現
・本研究では視覚における情動や質感を対象としたが、他感覚(触覚、聴覚、味覚、嗅覚)の感性情報にも応用可能
・以上の研究成果は、2022年10月にチェコ共和国で開催されたIEEE SMC 2022で発表
医療分野に適用可能な画像認識AIの新アルゴリズムを開発
~AIをてんかんの脳波判読へ応用、診断の省力化に向けた研究開発を加速~
・大阪大学との共同研究で、深層学習を用いた画像認識AIの新しいアルゴリズムを開発
・脳磁計で計測した脳波の分析に本研究で開発したアルゴリズムを応用することで、てんかんに特徴的な波形(てんかん波形)を見分けることが可能であることが、研究結果から示された
・本技術をてんかんの手術前に行う脳磁図検査に適用することで、診断の大幅な省力化が期待される
なお、当連結会計年度の当分野に係る研究開発投資は 15,356百万円です。