以下、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は以下の企業理念を制定し、日本の情報サービス産業において主導的立場を確立し、持続的な事業の成長と高い収益力の実現を通じて、豊かな社会づくりに貢献していくことを目指しております。
①情報技術(IT)を活用した新しく大きく伸びるマーケット(市場)をターゲットとして、先見的なソリューションを企画し、経営資源を優先的に投入することで事業の成長を実現いたします。
②ターゲット市場に対して、製販一体の組織であるビジネスユニットを構え、ビジネスユニットごとの最適なビジネスモデルを構築するとともに、お客様に対して、お客様の事業展開・変革に合わせた最適なサービスを全社横断的に提供する体制を整えることで、事業の差別性と収益性とを実現いたします。
③お客様からの信頼と先進的な技術力こそが競争力の源泉と認識し、その強化・獲得を進めてまいります。
④「業務ソリューション」及び「サービスソリューション」を事業の柱として構成し、コンサルティングからソリューションの設計、開発、運用・保守までの一貫したサービスを提供いたします。
・「業務ソリューション」:特定業種・業務に関する情報システムのソリューションの提供
・「サービスソリューション」:ミッションクリティカルな要求に応えるシステムインフラを中心とするサービス及び情報システムに関するフルアウトソーシングサービス(日本製鉄㈱向け)の提供
(2) 対処すべき課題
①2021-2025年度中期事業方針の実現に向けた事業運営
当社は、2030年頃のデジタル社会の到来を見据え、持続的な事業成長に向け、2021年4月に公表した2021-2025年度中期事業方針の実現に向けた事業推進・実行が課題であると捉えております。
足元のIT投資は引き続き回復傾向が継続しており、お客様のDXニーズの高まりから、IT投資意欲は底堅いと考えております。一方、地政学リスクに伴うエネルギー価格の高騰、原材料価格の上昇、欧米の金融市場の不透明さなど、景気の下振れリスクを注視する必要があります。
(ⅰ)2021-2025年度中期事業方針の概要(2021年4月公表)
(ア)2021-2025年度中期事業方針
中期の事業方針として、以下4点の柱を以て、事業を運営してまいります。
・進展するDXニーズの着実な取り込み
・高付加価値事業と総合的な企業価値の持続的向上
・優秀な人材の獲得・育成の一層の強化
・内部統制・リスクマネジメント徹底の継続
(イ)当社の目指す姿
当社は、中期における目指す姿を「ファーストDXパートナー」と定め、お客様とともにDX実現に向けた課題の解決を目指します。
(ウ)成長戦略
当社は、日本企業のDX本格展開を見据え、顧客との関係性を深化させながら、全社を挙げてDX推進に伴うニーズを最大限に獲得し、事業拡大を目指します。
・注力領域
この中期期間においては、次の4領域について事業成長を牽引する「注力領域」として定め、経営リソースを積極的に投入し、全社成長の加速を図ります。
デジタル製造業
プラットフォーマー支援
デジタルワークプレースソリューション
IT アウトソーシング
・成長に向けた投資
事業基盤強化投資(中期期間投資額:500~750億円)
DX加速投資 (中期期間投資額:100~150億円)
M&A等の投融資
・エンゲージメントの高い組織づくり
(エ)中期事業成長目標
・連結売上成長率:5-6%
・注力領域売上成長率:10%以上
(オ)サステナビリティへの取り組み
(ⅱ)中期事業方針の進捗
中期事業方針の進捗(2021-2022年度累計)は以下のとおりとなりました。いずれも順調に推移しており、中期事業方針の実現に向け、着実に取り組みを進めてまいります。
(中期事業方針の進捗状況)
注力領域及び成長に向けた投資の具体的な取り組みについては次のとおりであります。
(注力領域の進捗)

2022年度の注力領域の売上収益は1,250億円と、2020年度の970億円から、年率14%の伸びとなりました。
2023年度は次のとおり注力領域にそれぞれ取り組んでまいります。
・デジタル製造業
日本製鉄㈱向けで培ったデータ利活用領域を中心にビジネス展開
・プラットフォーマー支援
引き続き旺盛なIT投資意欲に対応すべく、社内人材のリソースシフトや外部成長施策を推進し、対応力を拡充
・デジタルワークプレースソリューション
ソリューション群の更なる拡充・強化
・ITアウトソーシング
マルチクラウドをはじめとするIT環境の複雑化や要求水準の高度化に対応し、インフラ運用のあるべき姿を描くデザイン力、運用におけるITガバナンス強化
(成長に向けた投資)
成長に向けた投資への取り組みは次のとおりであります。
当社では、2022年4月に開示した「成長投資の資金確保に向けた政策保有株式の売却予定金額設定に関するお知らせ」のとおり、成長投資の原資とすることを目的に、政策保有株式の売却を進めております。
2023年3月期末時点における当社グループが保有する政策保有株式残高は、上場株式:368億円、非上場株式:29億円となりました。

②サステナビリティ経営の推進
サステナビリティ経営の推進にあたっては、当社が目指す社会的存在意義のパーパスを起点に価値創造プロセスを整理し、以下の5つのマテリアリティの実現に向け取り組んでおります。
・ITを通じた社会課題の解決
・社会インフラとしてのITサービスの安定供給
・多様な人材が活躍できる場の創出
・環境負荷低減
・信頼される社会の一員としてのガバナンス/コンプライアンス追求
当社のマテリアリティ別の取り組みは次のとおりであります。
(マテリアリティ別取り組み)

③リスクマネジメントの徹底
事業成長を支えるリスクマネジメントにつきましては、2020年2月に公表した当社の一部の物品仕入販売型取引事案に関する再発防止策等の浸透・定着化に引き続き取り組みます。また、再構築した内部統制PDCAに基づき、各部門が中期・年度事業計画に連動させたリスクマネジメント活動を推進し、網羅的なリスク体系に照らした重要リスク認識の確認及び更新を行います。これらに基づき、リスクコントロールに向けた規程類の整備と運用状況のモニタリング、リスク感度の向上施策等、リスクマネジメントプロセスの一層の強化と当社グループ全体への浸透・定着化に向けた活動を持続的に推進してまいります。あわせてトップメッセージの発信や社員のコンプライアンス教育等を通じ、法令・規則を遵守し高い倫理観をもった行動に努めます。
重要なリスクと認識している、システム構築プロジェクト、サービスビジネス、情報セキュリティ及び労務管理におけるリスク等について引き続き対応に注力してまいります。
システム構築プロジェクトにつきましては、プロジェクト規模の拡大や複雑化・高度化するプロジェクト実態を踏まえプロジェクトリスク管理機構を再構築し、運営しております。引き続き、リスクの早期発見、早期対応を図ります。
サービスビジネスリスクにつきましてもリスクモニタリングを強化するとともに、重大障害発生時の訓練など実施することで、引き続き対応力強化を行います。
情報セキュリティにつきましては、ウイルス対策、EDR(Endpoint Detection and Response)導入、多要素認証等のシステム実装面での対策に加え、規程やガイドラインを改訂し、過誤防止や負荷軽減のため業務プロセスの整備を行うとともに、e-learningやインシデント訓練を通じセキュリティレベルの向上をさらに推し進めてまいります。
労務管理リスクについては、勤務実態の適正な把握、管理を行うとともに、業務プロセスの標準化、システム化の促進等による業務負荷軽減に取り組みます。またハラスメントリスクに対して、意識啓発活動の継続や教育の徹底、ヘルプライン活用強化等を通じて徹底防止を図ります。
また、大規模な地震、風水害等の自然災害の発生のリスクにつきましては、事業活動継続のための対応力の維持、強化に努めます。事業継続計画(BCP)に基づく定期的な防災訓練の実施や安否確認システムの整備の他、クラウドサービス型の社内開発環境プラットフォーム「TetraLink」の活用による国内外での分散開発体制の拡大等、引き続き事業継続リスクへの対応力強化に取り組んでまいります。
④経営体制の充実
当社は、意思決定の迅速化を図り、取締役会における経営方針等の議論をより充実させるとともに、取締役会の経営に対する監督機能を強化しコーポレート・ガバナンスの一層の充実を図ること等を目的として、「監査等委員会設置会社」を採用しております。
当社は、定款において取締役の定員を13名以内、取締役のうち、監査等委員である取締役は3名と定め、現在13名の取締役を選任しており、取締役会全体としての、経験・識見・専門性のバランスやジェンダー・国際性等多様性を考慮した上で最適な構成にすることとしております。なお、当社取締役会における社外取締役の割合は3分の1超(13名中5名)であり、取締役会における多角的な検討と意思決定の客観性の確保、経営に対する監督機能の強化が図られております。
引き続き取締役会の実効性評価により抽出した課題や、ジェンダー等多様性を取り入れた取締役会の運営改善等、取締役会を中心としたコーポレート・ガバナンスの充実に取り組み、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は企業理念として、真の価値の創造により、お客様との信頼関係を築き、ともに成長を続け、社会の発展に貢献する旨を定めており、これに基づき、当社は豊かな社会づくりに向けてESGの観点で様々な事業活動に取り組んでまいりました。当社は、社会的な存在意義であるパーパスを定め、このパーパスをサステナビリティ経営の起点かつ中核として社員に浸透・定着を図るとともに、国際的なフレームワークに準拠した「価値創造プロセス」を整理し、下記の5つのマテリアリティ(サステナビリティ重要課題)を定めました。
このパーパスを起点とした価値創造プロセスに基づきサステナビリティ経営を推進することで、真の企業価値の向上を図ってまいります。
(価値創造プロセス)

(1)戦略
マテリアリティに基づき、社員一人ひとりが事業活動を通じて、「ITを通じた社会課題の解決」「社会インフラとしてのITサービス安定供給」の実現に取り組むとともに、ESGへの取り組みを積極的に推進しております。
・環境(Environment) :「環境負荷低減」
・人権等の社会(Social) :「多様な人材が活躍できる場の創出」
・ガバナンス(Governance):「信頼される社会の一員としてのガバナンス/コンプライアンス追求」
当社が価値を提供し続け、当社パーパスである「ともに未来を考え 社会の新たな可能性を テクノロジーと情熱で切り拓く」ためには、まずは地球が存続していくこと、そして新たな変化を起こしていくためのヒトの力が必要であり、上記5つのマテリアリティの中でも、「多様な人材が活躍できる場の創出」と「環境負荷低減」が当社にとって特に重要な課題(マテリアリティ)であると考えております。
①多様な人材が活躍できる場の創出
変化の激しい時代において当社が持続的に成長するためには、多くの優秀かつ多様な人材が当社に集まり、そのひとりひとりが自律的に活き活きと働き、成長を続けることが重要であります。
そうした観点から当社は、「多様な人材が活躍できる場の創出」を、マテリアリティの一つとして設定し、以下に取組んでおります。
(ア) 高度ITプロフェッショナル人材の採用・育成・創出
(イ) ダイバーシティを推進し、誰もが活き活きと働ける組織
(ウ) 人権の尊重、他者を大切にし、お互いに認め合う文化を醸成
<具体的な取り組み>
(ⅰ) 優秀な人材の創出・採用・育成に向けた取組
・新卒採用によって将来の当社の中核人材となる人材を安定的に確保しております。また、事業成長のさらなる加速に向け、キャリア採用にも積極的に取り組んでおります。
・戦力把握の仕組みを構築し、人材の見える化を推進することで、高度IT人材の育成を強化しております。また、多様な学習の場の提供、「自己選択型」の能力開発施策の拡充、「NSSOLアカデミー」*により社員の自律的成長を支えております。
*中核社員がコミュニティ活動・イベント等を自律的に運営する後進育成の仕組み
・自律的なキャリア形成を支援する観点から、キャリアデザイン支援制度や社内公募制度、兼業・副業制度を設けております。
・変化への対応力強化の観点から、事業牽引層である管理職に対しては役割による処遇の徹底を進めるとともに、若手社員の早期登用を進めております。
(ⅱ) 多様な人材が活き活きと働くための組織作り
・多様な人材が活躍できる組織作りに向け、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する専任組織を設置し、各種の制約や悩みを取り除くための活動を推進しております。
・健康経営を推進する観点から、専任組織を設置し、社員一人ひとりの健康と生活の質の向上につながる施策を推進しております。
・「グローバル・ビジネス・コンダクト」や「人権方針」を制定し、当社の人権に対する考え方を社内外に発信するとともに、人権課題に関する諸課題への対応を進めております。
・戦略・組織が多様化する中において、会社と社員の向かう方向を一致させるため、パーパス、ビジョン、バリューの明確化とその浸透に向けた取り組みを推進しております。
②環境負荷低減
当社は、企業の社会的責任として自らの事業活動に伴う環境負荷の低減に努めるとともに、事業を通じて社会全体の環境負荷低減を図り、気候変動問題への対応を含む地球環境の保全と持続可能な社会の実現に貢献することが重要と考えております。
そうした観点から当社は、「環境負荷低減」を特に重要な課題(マテリアリティ)の一つとして位置づけ、以下に取り組んでおります。
(ア)事業を通じて、社会全体の環境負荷を低減
(イ)再生可能エネルギーを積極的に活用
(ウ)自らが利用する電力等、資源の効率化
(ⅰ)気候変動のリスクと機会
当社は2022年4月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD: Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言への賛同を表明しております。TCFDのフレームワークに基づき、2℃未満シナリオと4℃シナリオを用い、2050年までを考慮したシナリオ分析を実施しております。
2℃未満シナリオにつきましては、法規制強化やCO2削減の社会的要請の高まりに伴う電力調達コスト増のリスクや対応遅れによるレピュテーションリスクがある一方、省エネ・効率化等のDXニーズを事業機会と捉えることができます。
4℃シナリオにつきましては、異常気象の激化により、対応の遅れでデータセンターの操業停止やオフィスの機能停止等、事業活動への重大な影響が懸念されますが、気候変動への対応を図ることにより、事業継続性の向上や販売機会を確保していきます。
(ⅱ)環境マネジメントシステム
当社は、本社地区のオフィスとデータセンターにおいて、環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001の認証を取得しております。またISOに準拠した取り組みに、TCFD提言への対応を加えた当社独自の環境マネジメントシステムであるNSSOL EMSを構築し、環境負荷低減への取り組みを推進しております。2022年度からは国内の地方拠点や連結会社に対象範囲を拡大しております。

①D&I推進目標
*育児休業及び当社独自休暇である配偶者出産休暇、福祉休暇を含む
②環境目標
当社は、環境負荷低減への取り組みとして、GHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)排出量削減目標を定め、オフィス電力のグリーン電力への切り替えを推進する等、その目標の実現に資する取り組みを進めております。
<GHG排出量削減目標>
・2030年度:Scope1・2排出量の50%削減(2015年度比)
・2050年度:Scope1・2排出量のカーボンニュートラル
<GHG排出量実績推移>

(3)ガバナンス
当社では、サステナビリティ経営の推進体制として、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しております。
サステナビリティ委員会ではマテリアリティへの取り組み方針、対応の推進状況等を審議するとともに、下部組織として「環境管理委員会」と「D&I・人権委員会」を設置し、機動的・効率的な運営を図っております。
また、サステナビリティ委員会は、重要事項につきまして経営会議及び取締役会に報告しております。

(4)リスク管理
サステナビリティに関するリスクと機会につきまして、サステナビリティ委員会で全社横断的に分析・対応策等を審議するとともに、サステナビリティ委員会は重要事項につきまして経営会議及び取締役会に報告します。
このサステナビリティに関するリスクと機会対応を含め、当社が構築・整備している自律的内部統制を基本とした内部統制システムの中で、各部門が事業上のリスクの把握・評価及びコントロール等のリスクマネジメントを実行し、機能部門がその実行・遵守状況をモニタリングします。各部門及び機能部門の活動状況につきましては、内部統制・監査部が内部監査で把握・評価し、この状況につきまして内部統制委員会に報告を行います。このうち重要事項につきましては、経営会議及び取締役会に報告します。
本項においては当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項を記載しております。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。
なお、本項の記載内容のうち、将来に関する事項を記載している場合には、当該事項は本書提出日現在において判断したものであります。
(1)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の異常な変動
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の異常な変動はありません。
ただし、経済情勢の変化等によるシステム投資動向、競合状況、大型プロジェクト案件の存否、個別プロジェクトやサービス案件の進捗状況・採算性等により、経営成績が変動する可能性があります。また、一時点で収益が認識される機器の販売等の個別案件の売上収益の計上時期により、四半期・半期ごとの経営成績が変動することがあります。
(2)特定の取引先・製品・技術等への依存
現時点で、該当する事項はありません。
当社グループは、製造業、流通業、運輸業、通信業、金融業及び官公庁等幅広い顧客からご支持をいただいております。その中で日本製鉄㈱とは安定的な取引を継続しており、当社グループ最大の取引先である同社に対する当連結会計年度の販売実績は57,912百万円(割合19.9%)となっております。また、当社グループは、顧客のIT戦略立案等のコンサルティングから、企画、構築、運用・保守というシステムライフサイクルを通じたソリューションメニューを提供し、特定の製品・技術等に偏ることなく事業を展開しております。
(3)情報サービス業界特有の法的規制・取引慣行・経営方針、及びその他事項
(情報セキュリティに関するリスク)
顧客システムの開発・運用等を通じて取得した顧客情報に加え、当社グループの個人情報や事業上の機密情報が、人為的な過失、コンピュータウイルスやランサムウエア感染及び不正なアクセス等により、外部への流出や改ざん等の事態が発生した場合は、顧客等からの損害賠償請求、当社の信用失墜等の事態を招く可能性があります。また、中国や東南アジア各国において個人情報保護法の制定・施行が活発化しており、当該国での事業推進においては情報の取り扱い、越境につきまして十分な注意が必要になっております。
当社は、社長を委員長とする情報セキュリティ委員会のもと、情報セキュリティ専門組織である情報セキュリティ部を設置し、社内ルールや体制の整備、e-learning等を通じた教育啓発活動、技術的セキュリティ対策等の諸施策を実施するとともに、プライバシーマークをはじめとする各種認証取得に積極的に取り組む等、顧客情報や機密情報等の保護に努めております。
(情報システム構築に関するリスク)
情報システムの構築ビジネスは、一般的には請負契約によって受託することが多く、通常、プロジェクトを受注する際には、当該プロジェクトに必要な工数を見積った上で請負金額を確定させるため、当初の総費用の見積りにおいては不確実性は相対的に低いものの、システム構築は、案件ごとの個別性が強く、納期までに顧客の要求に沿ったシステムを完成・納品する完成責任を負っており、システムへの要求が一層高度化かつ複雑化するとともに、短工期の完成・納品が求められる中、契約当初に予見しなかったプロジェクト進捗の阻害要因が発生した場合は、その変化した状況や緊急対応要素の程度を判断したうえで、その対応に必要な工数を追加的に見積った結果、契約当初の納期及び作業工数見積りどおりにプロジェクトを完遂させる場合、当初の想定以上の費用を要する可能性があります。プロジェクトを完遂できない等で契約不履行が生じた場合、顧客等からの損害賠償請求、当社の信用失墜等の事態を招く可能性があります。
さらに、業務の受委託に伴う他社との協業機会が多く、委託先管理において労働関連法規制に抵触した場合や、公共入札案件における独占禁止法抵触リスクが発現した場合等、行政処分、当社の信用失墜等の事態を招く可能性があります。
これらのリスクに対し、当社はプロジェクトリスク管理機構を設け、プロジェクトの提案段階からリスク洗い出しと対策検討を徹底して行って契約面からのリスク回避に努めるとともに、受注後の実行段階においても組織的なレビューを持続的に行って課題の早期検知と対策実施を進めております。
(ITサービス提供に関するリスク)
データセンターサービスやクラウドサービス等当社が提供するITサービスにおいては、電力・通信障害、機器・設備の故障、人的作業ミス等により、当社のサービスに障害等が発生した場合は、顧客等からの損害賠償請求、当社の信用失墜等の事態を招く可能性があります。
これらのリスクに対し、当社はプロジェクトリスク管理機構を設け、プロジェクトの提案段階からリスク洗い出しと対策検討を徹底して行って契約面からのリスク回避に努めるとともに、受注後の実行段階においても組織的なレビューを持続的に行って課題の早期検知と対策実施を進めております。
(知的所有権に関するリスク)
製品及び技術の複雑化等に伴い、提供するサービス又は製品に対して第三者から知的所有権の侵害を理由とする訴訟提起又は請求を受け、その結果、当社グループが損害賠償を負担し、又は代替技術の獲得若しくは開発をしなければならなくなる可能性があります。
当社では各部門内に知的財産責任者を配置するとともに、法務・知的財産部を中心として知的所有権に関する社内教育の徹底、他者特許侵害の監視等を行い、リスクの発現防止に努めております。
(4)労務管理に関するリスク
労務管理リスクにつきましては、当社社員の勤務実態の適正な把握、管理を行うとともに、業務プロセスの標準化、システム化の促進等による業務負荷軽減に取り組みます。またハラスメントリスクに対して、意識啓発活動の継続や教育の徹底、ヘルプライン活用強化等にグローバルで取り組み、徹底防止を図ります。
(5)自然災害・感染症等の発生
当社が事業活動を展開する地域が大規模な地震、津波、風水害等に見舞われ、事業拠点及び従業員、パートナーに大きな被害が発生した場合、また、感染症の発生・拡大により、事業活動に支障が生じる可能性があります。
当社は、これら災害等による事業継続リスクへの対応力強化として、事業継続計画(BCP)の策定、安否確認システムの構築、防災訓練及び建物の耐震調査、在宅勤務制度の拡充、テレワーク環境整備等の対策を講じております。また当社のデータセンターにつきましては免震又は耐震構造を採用し、自家発電による無停電電源装置を装備するとともに、強固なセキュリティを確保しております。システム開発につきましては、クラウドサービス型の社内開発基盤「TetraLink」の活用による国内外での分散開発体制の拡大等に取り組んでおります。
(6)重要な訴訟事件等の発生
(実在性を確認できない取引に関する事項)
当社は2019年11月中旬、国税当局による税務調査の過程で、当社の一部の物販仕入販売型取引に関し、その実在性に疑義が生じたことから特別調査委員会を設置し調査をいたしました。その結果、実在性を確認できない取引が明らかとなったため、当該取引を取り消し、入金額及び出金額を仮受金46,404百万円及び仮払金44,753百万円として計上するとともに、その純額をその他の非流動負債に含めて表示しております。
上記仮払金の対象となった取引のうち、2021年7月27日付で一部の取引先から1,275百万円の返還を受けたため、上記仮払金残高は同額減少しており、当連結会計年度末における純額2,926百万円を、その他の非流動負債に含めて表示しております。
また、上記の他、受発注済みの未処理案件があり、当該案件に関連して、みずほ東芝リース株式会社より、2020年3月31日付(当社への訴状送達日は、2020年6月24日)で、東京地方裁判所にて、違約金請求訴訟の提起を受けました。なお、同訴訟につきましては、2021年1月18日付で、予備的請求として、売買契約に基づく代金支払請求を追加する旨の訴えの変更がなされております。
同訴訟は、同社が、2019年8月、当社との間で、当社が同社よりサーバ及びその周辺機器等を購入する旨の売買契約(以下「本売買契約」)を締結したところ、同年11月に当社が本売買契約を解約した旨主張して、当社に対し、当該売買代金と同額の違約金を請求するとともに、予備的に、本売買契約に基づき当該売買代金を請求するものであり、請求額は10,926百万円及びこれに対する遅延損害金であります。当社としましては、当該請求の棄却を求める等、適切に対応して参ります。当該案件の今後の状況によっては当社の財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。
(7)役員・大株主・関係会社等に関する重要事項等
(当社の株式について)
当連結会計年度末日現在、日本製鉄㈱は当社の発行済株式総数91,501,000株のうち58,033,800株(出資比率63.4%)を保有しております。
※当社グループは当連結会計年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)より、従来の日本基準に替えてIFRSを適用しており、前連結会計年度の数値をIFRSに組み替えて比較分析を行っております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度のわが国経済は、一部に弱さが見られるものの緩やかに持ち直しておりますが、世界的な金融引き締めなどによる海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクがあり、先行き不透明な状況が続いております。また、物価上昇、供給面での制約、金融市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
企業収益は総じてみれば改善しておりますが、一部に弱含みの傾向が見られ、顧客企業におけるシステム投資については、緩やかな増加となりました。
当社グループは、2021-2025年度中期事業方針(2021年4月公表)に基づき、「デジタル製造業」「プラットフォーマー支援」「デジタルワークプレースソリューション」「ITアウトソーシング」の4領域について事業成長を牽引する「注力領域」として定め、お客様のDX推進に伴うニーズを最大限に獲得し、事業拡大に取り組んでおります。
デジタル製造業領域につきましては、日本製鉄㈱向けに、各製鉄所製造拠点データを一元管理する無線IoTセンサ活用プラットフォーム「NS-IoT」を構築し、設備の早期異常検知を目的とした実運用を4月より開始したほか、経営情報やKPIをリアルタイムに把握し的確なアクションを可能とする統合データプラットフォーム「NS-Lib」を構築するなど、同社のDX推進に向けた取り組みを進めてまいりました。各製鉄所で個々に蓄積しているデータや経営上必要とするデータを統合するこれらの取り組みが高く評価され、一般社団法人日本データマネジメント・コンソーシアム主催の「データマネジメント2023」において同社が大賞を受賞することに貢献いたしました。また、当社の統合データマネジメントプラットフォーム「DATAOPTERYX(データオプテリクス)」についてDXを推進する企業様向けに提供を開始し、製薬企業と共同で統合データ利活用基盤を構築いたしました。加えて、製造業のお客様向けには、工場内の天井クレーンの遠隔運転の実現に向けたローカル5Gソリューション「nsraven(エヌエスレイヴン)」の提供を開始するなど、製造現場のDX推進支援を進めてまいりました。
プラットフォーマー支援領域ではネットサービス・EC(エレクトロニックコマース)事業者などのプラットフォーマーや金融サービス分野のDX推進、デジタルワークプレースソリューション領域では仮想デスクトップサービスである「M³DaaS@absonne(エムキューブダース・アット・アブソンヌ)」のセキュリティ強化などの機能拡充、ITアウトソーシング領域ではマルチクラウド化を推進するソリューションの提供など、注力領域の成長に向けそれぞれ取り組んでまいりました。
この他、成長に向けた取り組みとして、DXニーズへの対応力強化を図るべく、AI領域、データ利活用領域、業務プロセスのデジタル化支援、豊富なDX人材リソース等、それぞれ強みを有する各企業との資本業務提携や戦略的パートナーシップの契約締結を行いました。加えて、電力取引・リスク管理サービス「Enepharos(エネファロス)」、金融機関向けクラウド活用最適化サービス「FINARCH(フィナーチ)」、食品業界の需給計画業務DXを支援するクラウドサービス「PPPlan(ピーピープラン)」、従業員エンゲージメントの向上を狙うキャリアリフレクションツール「なやさぽ」等の新規ソリューション開発に取り組みました。
サステナビリティ経営の推進にあたっては、当社が目指す社会的存在意義であるパーパスを起点に価値創造プロセスを整理し、5つのマテリアリティを定め、取り組んでおります。マテリアリティの一つである「環境負荷低減」については、TCFD提言へ賛同を表明しGHG排出量削減目標を定め、その実現に資する取り組みを進めております。また、当社グループの人権方針を策定し、「多様な人材が活躍できる場の創出」への取り組みも進めており、LGBTQ+などの性的マイノリティに関する取り組みの評価指標である「PRIDE指標2022」で最高位の「ゴールド」を受賞しました。当社はこれらの取り組みを踏まえマルチステークホルダー方針を公表いたしました。この他、小学校高学年向けに製鉄の生産管理をテーマとしたプログラミング学習コンテンツを日本製鉄㈱と共同開発し、出張授業を行うなどのプログラミング教育活動の実施や、中高生をはじめとした若年層の金融リテラシー向上を支援する取り組みを開始するなど、豊かな社会づくりに向けてESGの観点から様々な事業活動に取り組んでおります。これらの取り組みの結果、ESG投資のための株価指数である「FTSE4Good Index Series」及び「FTSE Blossom Japan Index」に加え、新たに「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」構成銘柄に選定されました。
当連結会計年度の売上収益は、プラットフォーマー向けが堅調に推移したことに加え、官公庁向け大型基盤構築案件や日本製鉄㈱及び日本製鉄グループ向けの増があったことから、291,688百万円と前連結会計年度(270,332百万円)と比べ21,355百万円の増収となりました。DX加速投資、事業基盤強化投資により販売費及び一般管理費は増加となりましたが、増収による売上総利益の増が上回ったことから、営業利益は31,738百万円と前年同期(29,886百万円)と比べ1,851百万円の増益となりました。
当連結会計年度をサービス分野別(業務ソリューション、サービスソリューション)に概観しますと、次のとおりであります。
(業務ソリューション)
業務ソリューションにつきましては、当連結会計年度の売上収益は189,776百万円と前連結会計年度(175,680百万円)と比べ14,095百万円の増収となりました。
産業、流通・サービス分野
産業、流通・サービス分野向けにつきましては、運輸系で大型案件の反動減があったものの、プラットフォーマー向けが堅調に推移したことにより、売上収益は前年同期と比べ増収となりました。
金融分野
金融分野向けにつきましては、売上収益は前年同期と同水準となりました。
公共公益分野
公共公益分野向けにつきましては、官公庁向け大型基盤構築案件により、売上収益は前年同期と比べ増収となりました。
(サービスソリューション)
サービスソリューションにつきましては、当連結会計年度の売上収益は、101,911百万円と前連結会計年度(94,651百万円)と比べ7,259百万円の増収となりました。
ITインフラ分野
ITインフラ分野につきましては、クラウド事業を中心に、売上収益は前年同期と比べ増収となりました。
鉄鋼分野
鉄鋼分野につきましては、日本製鉄㈱及び日本製鉄グループ向けがともに好調で、売上収益は前年同期と比べ増収となりました。
② 経営成績の分析
当連結会計年度の売上収益は、前連結会計年度の270,332百万円に対し7.9%増収の291,688百万円となりました。サービス分野別の状況は以下のとおりであります。
業務ソリューションにつきましては、当連結会計年度の売上収益は189,776百万円と前連結会計年度(175,680百万円)と比べ14,095百万円の増収となりました。
サービスソリューションにつきましては、当連結会計年度の売上収益は、101,911百万円と前連結会計年度(94,651百万円)と比べ7,259百万円の増収となりました。
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度の209,883百万円に対し7.6%増加し225,752百万円となりました。その結果、売上総利益率は、前連結会計年度の22.3%に対し0.2%向上の22.6%となりました。
販売費及び一般管理費は、営業力強化、採用・教育、社内基盤整備他の実行により前連結会計年度の30,014百万円に対し10.0%増加し33,007百万円となりました。
当連結会計年度の持分法による投資損益、その他の収益及びその他の費用は、和解金が減少したものの、減損損失が増加したこと等により、前連結会計年度の△547百万円に対し117.5%増加し△1,189百万円となりました。
当連結会計年度の営業利益は、販売費及び一般管理費が増加したものの、売上総利益の増益により、前連結会計年度の29,886百万円に対し6.2%増加し31,738百万円となりました。
金融収益と金融費用を合わせた当連結会計年度の金融損益は、投資事業組合運用益の減少等により、前連結会計年度の800百万円に対し54.7%減少し362百万円となりました。
当連結会計年度の税引前利益は、前連結会計年度の30,687百万円に対し4.6%増加し32,101百万円となりました。
当連結会計年度の法人所得税費用は、前連結会計年度の9,512百万円に対し1.3%減少し9,385百万円となりました。
当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度の20,521百万円に対し7.2%増加し22,000百万円となりました。また、基本的1株当たり当期利益は、前連結会計年度の224.27円に対し7.2%増加し240.46円となりました。
③生産、受注及び販売の状況
当社グループは情報サービス単一セグメントでありますが、サービス分野別の当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)の生産実績、受注実績及び販売実績を示すと、次のとおりであります。
(注)金額は販売価格によっております。
最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末325,764百万円から5,855百万円減少し、319,908百万円となりました。主な内訳は、その他の金融資産の減少△17,922百万円、使用権資産の減少△6,336百万円、営業債権及びその他の債権の増加9,918百万円、現金及び現金同等物の増加5,616百万円等であります。なお、その他の金融資産の残高は60,604百万円であり、そのうち上場株式の金額は36,774百万円、非上場株式の金額は2,855百万円であります。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末121,194百万円から9,085百万円減少し、112,108百万円となりました。主な内訳は、繰延税金負債の減少△7,297百万円、リース負債の減少△6,107百万円、契約負債の増加3,970百万円等であります。
当連結会計年度末の資本は、前連結会計年度末204,569百万円から3,230百万円増加し、207,800百万円となりました。主な内訳は、当期利益22,715百万円、その他の包括利益△12,767百万円、配当金の支払△6,703百万円等であります。その結果、親会社所有者帰属持分比率は62.7%となります。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、101,322百万円となりました。前連結会計年度の現金及び現金同等物の増減額が17,126百万円であったのに対し、当連結会計年度の現金及び現金同等物の増減額は5,616百万円となりました。各活動区分別には以下のとおりであります。
前連結会計年度は、税引前利益30,687百万円、減価償却費及び償却費11,637百万円、営業債権及びその他の債権の増減額△148百万円、契約資産の増減額△352百万円、棚卸資産の増減額△1,013百万円、営業債務及びその他の債務の増減額4,611百万円、法人所得税等の支払額△7,299百万円等により38,406百万円となりました。一方、当連結会計年度は、税引前利益32,101百万円、減価償却費及び償却費12,620百万円、営業債権及びその他の債権の増減額△9,848百万円、契約資産の増減額△2,449百万円、棚卸資産の増減額△1,846百万円、営業債務及びその他の債務の増減額4,542百万円、法人所得税等の支払額△10,912百万円等により26,032百万円となりました。
前連結会計年度は、有形固定資産及び無形資産の取得による支出△5,337百万円、その他の金融資産の取得による支出△4,089百万円、その他の金融資産の売却及び償還による収入1,067百万円等により△8,540百万円となりました。一方、当連結会計年度は、有形固定資産及び無形資産の取得による支出△4,400百万円、その他の金融資産の取得による支出△6,942百万円、その他の金融資産の売却及び償還による収入5,812百万円等により△5,635百万円となりました。
前連結会計年度は、リース負債の返済による支払額△7,459百万円、配当金の支払額△5,261百万円等により△12,939百万円となりました。一方、当連結会計年度は、リース負債の返済による支払額△8,189百万円、配当金の支払額△6,496百万円等により△14,943百万円となりました。
当社グループは将来にわたり競争力を維持強化し、企業価値を高めていくことが重要と考えております。
そのため、進展するDXニーズの着実な取り込み、高付加価値事業と総合的な企業価値の持続的向上、優秀な人材の獲得・育成の一層の強化、内部統制・リスクマネジメント徹底の継続等による事業成長に伴う資金需要及び広域災害等の事業リスクに備えて内部留保を確保するとともに、利益配分につきましては株主の皆様に対する適正かつ安定的な配当等を行うことを基本としております。
配当につきましては、連結業績に応じた利益還元を重視し連結配当性向30%を目安といたします。
当社グループの主要な資金需要は、材料費、外注費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに設備投資等であります。これらの資金需要につきましては自己資金により充当しております。
手許の運転資金につきましては、当社及び一部の国内子会社において当社のキャッシュマネージメントシステム(CMS)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理をしております。また、当社は、日本製鉄㈱のCMSを利用しており、当連結会計年度末における預入額95,315百万円を現金及び現金同等物に含めて表示しております。
突発的な資金需要に対しては、大手各行及び親会社である日本製鉄㈱に対し当座借越枠を確保することにより、流動性リスクに備えております。
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。
その作成には、経営者による見積り、判断並びに仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債、及び開示期間の収益・費用の金額に影響を与えます。これらの見積りにつきましては過去の実績等、連結財務諸表及び財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき、合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるためこれらの見積りと異なる場合があります。
特に、受注損失引当金につきましては重要な会計上の見積りが必要となります。当該見積り及び仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に生じる影響等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表、要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更は、次のとおりであります。
なお、日本基準により作成した要約連結財務諸表につきましては、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
また、日本基準により作成した要約連結財務諸表につきましては、百万円未満を切り捨てて記載しております。
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(連結の範囲の変更)
当連結会計年度より、新たに設立した株式会社Act.を連結の範囲に含めております。
「収益認識に関する会計基準」等
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用し、約束した財又はサービスの支配が顧客に移転した時点で、権利を得ると見込む対価の額で収益を認識することとしております。これにより、受注制作のソフトウェアに関して、従来、進捗部分について成果の確実性が認められる契約については工事進行基準(進捗率の見積りは原価比例法)を、その他の契約については工事完成基準を適用しておりましたが、財又はサービスに対する支配が一定の期間にわたり顧客に移転する場合には、履行義務を充足するにつれて財又はサービスの対価の額を、一定の期間にわたり収益を認識する方法に変更しております。履行義務の充足に係る進捗度の測定は、各報告期間の期末日までに発生した原価が、予想される原価見通しの合計に占める割合に基づいて行っております。
収益認識会計基準等の適用については、収益認識会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従っており、当連結会計年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額を、当連結会計年度の期首の利益剰余金に加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用しております。この結果、当連結会計年度の売上高は1,950百万円減少、売上原価は1,624百万円減少、営業利益は325百万円減少、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ340百万円減少、1株当たり純資産額は17円62銭増加、1株当たり当期純利益は2円43銭減少しております。なお、潜在株式が存在しないため潜在株式調整後1株当たり当期純利益への影響額は記載しておりません。また、利益剰余金の当期首残高は1,834百万円増加しております。
「時価の算定に関する会計基準」等
「時価の算定に関する会計基準」(企業会計基準第30号 2019年7月4日。以下「時価算定会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用し、時価算定会計基準第19項及び「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号 2019年7月4日)第44-2項に定める経過的な取扱いに従って、時価算定会計基準等が定める新たな会計方針を、将来にわたって適用することとしております。なお、連結財務諸表に与える影響はありません。
資産除去債務の見積額の変更
当社グループにおける本社地区の新川と虎ノ門の2拠点体制化を始めとした、オフィスの再編成及びオフィス環境の整備が完了したこと、並びにテレワークの積極活用によるオフィス環境の変化を背景として、当社グループにおけるオフィスの利用期間について従来の見積り前提を見直しております。
このことから、第1四半期連結会計期間において不動産賃貸借契約に伴う原状回復義務に対応する資産除去債務について、退去時に必要とされる原状回復費用及びその使用見込期間に関して見積りの変更を行いました。
また、当連結会計年度末において、一部の賃借物件における原状回復費用について新たな情報を入手したことに伴い、当該賃借物件の退去時に必要とされる原状回復費用に関して見積りの変更を行いました。
この見積りの変更により、資産除去債務残高が2,895百万円増加し、従来の方法に比べて当連結会計年度の営業利益、経常利益、税金等調整前当期純利益は302百万円減少しております。
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
時価の算定に関する会計基準の適用指針
「時価の算定に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第31号 2021年6月17日。以下「時価算定会計基準適用指針」という。)を当連結会計年度の期首から適用し、時価算定会計基準適用指針第27-2項に定める経過的な取扱いに従って、時価算定会計基準適用指針が定める新たな会計方針を将来にわたって適用することとしております。なお、連結財務諸表に与える影響はありません。
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「36.初度適用(IFRSへの移行に関する開示)」をご参照ください。
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(のれんの償却)
日本基準では合理的に見積られたのれんの効果が及ぶ期間にわたって定額法によりのれんを償却しておりましたが、IFRSでは企業結合により発生したのれんは、償却せずに毎期減損テストを行っております。この結果、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が465百万円減少しております。
(退職給付に係る費用)
日本基準では確定給付制度による退職給付について、勤務費用、利息費用を純損益として認識しておりました。また、当該制度から生じた数理計算上の差異及び過去勤務費用についても発生年度の純損益として認識しておりました。一方、IFRSでは確定給付制度による退職給付について、当期勤務費用及び過去勤務費用は純損益として認識し、利息費用は確定給付負債(資産)の純額に割引率を乗じた金額を純損益として認識しております。また、確定給付負債(資産)の純額の再測定はその他の包括利益として認識し、発生時にその他の資本の構成要素から、純損益を通さずに、直接利益剰余金に振り替えております。この結果、IFRSでは日本基準に比べて、売上原価並びに販売費及び一般管理費が485百万円増加し、その他の包括利益が335百万円減少しております。
(資本性金融資産に係る会計処理)
日本基準では投資有価証券売却損益を純損益として認識しておりましたが、IFRSでは資本性金融資産をその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産に指定し、その売却損益を純損益として認識しておりません。この結果、IFRSでは日本基準に比べて、特別利益が3,397百万円減少し、その他の包括利益が2,357百万円増加しております。
(リース)
日本基準では、借手のリースについてファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分類し、オペレーティング・リースについては通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行っておりましたが、IFRSでは借手のリースについてファイナンス・リース又はオペレーティング・リースに分類せず、リース取引について使用権資産及びリース負債を認識しております。この結果、IFRSでは日本基準に比べて、使用権資産及びリース負債が22,399百万円及び22,088百万円増加しております。
該当事項はありません。
研究開発活動につきましては、技術進化・ビジネストレンド・社会環境・人々の価値観の変化等の不確実な状況を踏まえ、新技術の探索、評価・検証、顧客企業への新技術導入支援等において長年にわたって蓄積してきた経験とノウハウを基に、社会全体の「サステナビリティ」の実現に向けた将来像を3つの「未来目標」として設定しております。
未来目標1「究極のデジタルツイン(注1)」 - すべてをデジタルな世界に転写して再現しよう
未来目標2「業務を理解・実行できる人工知能」 - 機械の知的能力をとことん人間に近づけよう
未来目標3「サステナブルな企業情報システム」 - 変化への対応力があり長持ちするシステムにしよう
当連結会計年度においては、未来目標からバックキャストすることで解決すべき課題や必要となる技術を検討して、研究開発活動に取り組みました。当連結会計年度における研究開発費の総額は、
(1)未来目標1:究極のデジタルツイン
製造業のデジタルツインを実現するシステム「Geminant(ジェミナント)」(注2)は実フィールドでの検証を行いデータモデルやGIS(注3)の整備を進めております。同様にIoX(注4)関連技術・エッジ技術につきましても実フィールドへの適用からのフィードバックにより、技術知見の蓄積に加えて学習コンテンツ等の整備が進んでおります。
アンビエント技術(注5)につきましては、HCMIコンソーシアム(注6)と共同で「溶接技能伝承」をテーマとしたVR(注7)溶接シミュレーターの研究開発を行っており、プレス向けに研究成果発表会を実施しました。国際ウェルディングショーへの出展や特許出願を行うと同時に、HCMIの枠組みを活かし日本溶接協会等とも連携しながら、日本のものづくりにおけるディープデータ(注8)の活用や競争力向上に取り組んでおります。
最適化技術及びシミュレーション技術(注9)につきましては、日本製鉄等の実フィールドへの適用検討と検証を行いつつ、研修やワークショップを整備することで人材育成メニューを拡充しております。
匿名加工技術を中心としたデータセキュリティにつきましては、秘匿性の確保とデータ活用の両立が必要な製薬業界の顧客企業と共同で統合データ利活用基盤を構築してプレスリリースを行い、コンサルティングのケイパビリティ強化と相まって、同業種からの引き合いが増加しております。
(2)未来目標2:業務を理解・実行できる人工知能
大規模言語モデル/LLM(注10)は、ChatGPT(注11)にて利用される等、世の中で急速に活用と議論が進んでおります。当社では、これらを含めた自然言語処理に関する研究開発を、2014年頃から継続的に行っており、実フィールドにて業務の自動化、ナレッジ抽出、情報検索等への実案件適用を進めるとともに、世間での認知度の高まりに応じて教育コンテンツの拡充を進めております。
そうした人工知能(AI)技術を、これまで注力してきたシステム開発高度化の研究開発に応用することを進めてきました。自然言語だけでなく、画像・ビッグコードを含むマルチモーダル(注12)なドキュメント処理モデルでは、オープンなモデルの検証と活用に加え、独自データセットと基盤モデル(注13)の開発を行っております。例えば、文章の意味を理解し、同時に画面レイアウトを理解するマルチモーダルなAI技術を用いて、Web画面テスト自動化AI「Curatis(キュラティス)」を開発し、実証実験と実用性向上を進めております。これにより、システムの素早い提供と工数の大幅な削減に貢献します。
AI開発プロセスの改善にも取り組んでおります。AI開発案件の振り返りを元に、ボトルネックとして認識された精度評価の時間短縮を図るツールを開発し、ある実証実験では1人月程度かかっていた作業を数人日に短縮する効果が得られております。
(2022年度の主なコンペティション成績)
国際的画像認識コンペ「Google Universal Image Embedding」で1022チーム中第5位に入賞
データ分析世界大会“Kaggle”でGold Medal獲得
~「G2Net Detecting Continuous Gravitational Waves」で936チーム中第10位に入賞~
~「1st and Future - Player Contact Detection」で939チーム中第9位に入賞~
(3)未来目標3:サステナブルな企業情報システム
この目標は、環境変化に対して柔軟に対応できるように最新技術の活用によって、システム自体のサステナビリティを担保しながら、サステナブルな社会やビジネスを支えるシステムの実現を目指すものであります。
開発プロセスにつきましては、データドリブン(注14)なプロジェクト管理をプロアクティブに行うために「プロジェクト状況可視化ダッシュボード」を開発し、機能の充実を進めております。また、開発効率化やレビューの高度化のための「レビュー支援Bot」を開発し、実案件に適用して効果を検証しております。
システムの設計ノウハウの展開に対しては、クラウドネイティブ技術(注15)の研修コンテンツとして「クラウドネイティブ設計標準」及び「コンテナセキュリティ及びマイクロサービス(注16)認証認可に関する設計標準」を作成して、ゼロトラスト(注17)セキュリティにおけるID管理/認証認可の検討ポイントを整備しております。また、「クラウドネイティブ可用性設計ガイド」を策定して実案件に適用し、レジリエンシー設計に活用しております。
今後の企業情報システムでは、アジリティを重視するDXと、品質や安定性が重視される基幹系を含む既存の情報システムにおいて、一見相反する要求を両立しなければなりません。それらのエンタープライズレベルでの統合を実現する組織分担・開発プロセス・システムアーキテクチャの研究開発を進めております。
(注1) デジタルツイン:工場の設備・製品等の実世界のオブジェクトをデータとしてデジタルな空間に転写・再現することで、リモートからの監視・制御や、過去の状況の再現・未来の予測シミュレーション等を可能にすること。
(注2) Geminant(ジェミナント):当社が開発したデジタルツイン可視化のためのプラットフォーム及び部品群。
(注3) GIS:地理情報システム(Geographic Information System)。
(注4) IoX:機械・部品が互いにつながる「IoT(モノのインターネット)」と、ヒトがIT武装によって互いにつながる「IoH(ヒトのインターネット)」が、高度に連携・協調することにより大きな成果を出すコンセプト。
(注5) アンビエント技術:環境に溶け込み、ユーザーが促さなくてもいつでも支援を提供できる技術。
(注6) HCMIコンソーシアム:産業技術総合研究所の産学官連携プラットフォーム。
(注7) VR:仮想現実(Virtual Reality)。
(注8) ディープデータ:特定の対象について長期的あるいは様々な観点から詳細に収集したデータ。
(注9) シミュレーション技術:合理的に最適条件を導出する技術をコンピュータ上でシミュレーションすること、実験や試験と比較して、時間やコストを抑えられる場合が多く、有用な技術。
(注10) 大規模言語モデル/LLM:従来のモデルに比べて1,000倍ほど巨大な自然言語処理のモデル。少量の学習データでも高い精度で問題を解くことを実現した技術。
(注11) ChatGPT:OpenAIが2022年11月に公開した人工知能チャットボット。
(注12) マルチモーダル:複数状態、複数形式等を意味し、例えばマルチモーダルAIでは数値、画像、テキスト、音声等複数種類のデータの組み合わせを処理できる単一のAIを意味する。
(注13) 基盤モデル:大量で多様なデータを用いて訓練され、様々なタスクに適応(ファインチューニング等)できる深層学習モデル。
(注14) データドリブン :収集した様々なデータをもとに意思決定を行う手法。
(注15) クラウドネイティブ技術:クラウドの提供する機能を徹底的に活用して、スケーラブルで信頼性・回復性のある疎結合なシステムを開発する設計技術。
(注16) マイクロサービス:アプリケーションを機能ごとのサービスに分割して、それらが連携して動作するアーキテクチャ。開発のアジリティ、スケーラビリティ、可用性の向上等が期待される。
(注17) ゼロトラスト:社内外のネットワーク環境の「境界」という概念を取り去り、情報資産にアクセスするものはすべて信用せずに、安全性を検証することで情報資産の脅威を防ぐとするセキュリティの考え方。