第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営方針

当社では、歩むべき方向性を明確にするため、経営理念を2003年4月に制定しております。この理念に則り、半導体をコアビジネスに技術力と創造力の革新に努め、独自技術によるグローバルな事業展開を進めるとともに、企業に対する社会的要請や環境との調和に対する着実な対応を通じて企業価値を最大限に高めるべく、確固たる経営基盤の確保に邁進してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社では、2021年4月から向こう3ヵ年にわたる中期経営計画(以下、「21中計」といいます。)を策定しております。本計画では、21中計最終年度である2023年度連結目標として、営業利益率13%以上、売上高1,700億円以上、ROE12%以上と設定しております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社では、長期的に目指す姿を「独自性のある技術、人と組織のパフォーマンスで成長し、社会のイノベーションに貢献する高収益企業の実現」と設定し、21中計では、事業ポートフォリオをパワーモジュール、パワーデバイス、センサーとして、半導体の市場成長率を上回る売上成長を目指します。21中計達成に向けた経営方針につきましては以下に記載の通りです。

 

21中計の経営方針


 
 
 

市場・製品

電動化・デジタル化が加速する未来市場に適合した製品での
売上・利益拡大

技術・開発

SPPの浸透・徹底によりスピード、実行力で差別化を図り

技術的に認められる企業への変革

生産

革新的ものづくりの追求、強固なバリューチェーンの確立による
グローバル競争力の確保

販売

成長市場におけるマーケティング強化と

グローバルな販売戦略構築による売上拡大


 
   

改革

働き方改革とデジタル化の推進、絶え間ない改革による

成長戦略の実現

組織

多様性を尊重すると共に、

ステークホルダーからの信頼をかさねていく組織文化の実現

SDGs

地球環境保全に寄与する製品・技術開発と、

環境負荷低減活動による持続可能な社会の実現に貢献

 

 

 

(4)会社の対処すべき課題

今後の世界経済は、中国でのアフターコロナによる経済回復が期待され、また、欧米においてはインフレ抑制など金融政策の変化が見込まれるものの、特に米国景気の減速による生産・消費活動への影響が想定され、先行きの見通しは不透明な状況です。

当社グループが想定する中長期的な市場環境においては、xEVやADASなど自動車のパワートレーンや安全機能の面で、パラダイムシフトへの動きが想定されます。また、世界の電力量の多くを消費するルームエアコンや業務用空調ではインバータ化、DCモータ化が進み、更には、ヒートポンプ式暖房への急速な転換など、ますます省エネ機能が強化されて行きます。これらに使用される高効率・高耐圧・高放熱のパワー半導体は更に重要度を増していくものと思われます。

 

21中計最終年次である2024年3月期、当社グループでは、サンケンコアの収益性改善とアレグロの一段の成長の総仕上げを図り、これら中長期の市場環境を見据えた成長に向けた戦略投資を進め、次の24中計に繋げていく所存です。成長戦略を実現するためのリソース配分として、21中計期間中に連結全体で400億円を予定していた設備投資については、同期間で増額し、旺盛な需要増にタイムリーに対応できる強靭なサプライチェーンを構築してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する取組みは、2020年にSDGsを経営に取り込み、重点課題(マテリアリティ)を「本業(省エネ・高効率化)によるCOの削減」と「事業活動を通じた環境負荷の低減」と定めて活動を行っております。また、これらの活動を支える動きとして「働きやすさの価値創造」を目指し、安心・安全な職場の実現や柔軟な働き方への志向、そして社員の健康の向上を図っております。こうしたサステナビリティへの動きを一層活発化させるため、2021年10月にサステナビリティ委員会を設置し、ESG経営としての施策の明確化・指標化を行うなど、推進体制の整備を実施しております。

また、当社グループでは、「持続可能な社会環境の実現に向け、高い信頼性と最先端の技術を用いたパワーエレクトロニクスとその周辺領域の製品の開発・生産・販売を通じて、国際社会の発展に寄与」することをグループCSR基本方針のひとつとして掲げています。持続可能な社会環境を実現するためには、気候変動への対応が重要課題であると認識しており、国内外のサステナビリティ開示で広く利用されている「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の提言に沿った取り組み並びに情報開示を進めております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 

 

(1)ガバナンス

ESG経営を推進するにあたり「サステナビリティ委員会」を中心に、環境・社会・ガバナンスの3部会と気候変動等のテーマごとのチーム活動を展開しています。この部会・チーム活動は当社グループのメンバーで構成されており、グループ一丸の活動体制としています。各部会・チームからサステナビリティ委員会への報告は、半期に一回行われています。その結果は、代表取締役社長を最高責任者とする業務執行の最高意思決定機関である「経営会議」に報告され、取締役会にも上申されています。そこで協議・決議された内容が、サステナビリティ委員会および配下の各部会・チームにフィードバックされています。2022年度は、臨時開催を含め、サステナビリティ委員会は3回、各部会は4回ずつ、チームの会議は50回開催されました。また、サステナビリティに関する事項は、経営会議へ13回答申されました。サステナビリティ委員会の委員長は「ESG担当役員」である取締役 吉田智が務めております。

 また、TCFD提言の「ガバナンス」項目では、気候関連のリスクと機会に対応するガバナンス体制の設置と開示が求められており、当社では「ESG経営」を組織横断的に審議する「サステナビリティ委員会」がその役割を担っています。サステナビリティ委員会では、気候関連のシナリオ分析・気候変動に関するリスクと機会の特定・評価とそれに対する対応策の検討・対応策の進捗状況の確認に関する協議・審議を行っております。

 

※ESG経営推進体制図


 

(2)-1 重要なサステナビリティ項目と戦略

当社グループは、「本業(省エネ・高効率化)によるCOの削減」と「事業活動を通じた環境負荷の低減」を重点課題(マテリアリティ)と定めて活動を行っております。グローバルの大きな変化に対する迅速な対応を強化するとともに、事業機会の拡大と社会課題の解決を目指し、柔軟で強靭なESGガバナンスを構築し、ESG経営の推進体制の整備を実施しております。

また、TCFD提言に基づき、気候関連リスク・機会の特定・評価を全社の統合リスクマネジメントに組み込んでおります。具体的にはまず考えられる、直接操業における気候変動リスクと機会を部門ごとに列挙します。その後本社・工場の各部門長により、重要度を①リスクが顕在化した場合に受ける影響の大きさ(財務的・戦略的)、②影響を受けるタイムスケール(短期、中期、長期の視点から)、③発生頻度(リスクが顕在化した際に影響を受ける頻度はどの程度か)、④顕在化する可能性(リスクが顕在化する可能性はどの程度考えられるか)、⑤顕在化する時期(リスクが顕在化するのはどの程度先の将来か)の5項目について、「大」「中」「小」の3段階で分析、審議します。この審議の結果、特定されたリスクと機会は、サステナビリティ委員会が気候変動関連リスクを含むESGに関する事業リスクを組織横断的に評価しております。また、サステナビリティ委員会は、年に2回以上、経営会議に付議・審議した議案を取締役会に報告しており、適宜情報開示も行っております。

■リスクと機会の特定方法

製品及びそのサプライチェーン全体に係る気候変動関連のリスク及び機会を各STEPに従い特定しました。

STEP1

考えられるリスクと機会の列挙

STEP2

本社・工場の各部門長により、重要度を以下の5項目基準、3段階分類にて分析

 ・リスクが顕在化した場合に受ける影響の大きさ(財務的・戦略的)

 ・影響を受ける期間(どの程度の期間、影響が続くか)

 ・発生頻度(リスクが顕在化した際に影響を受ける頻度はどの程度か)

 ・顕在化する可能性(リスクが顕在化する可能性はどの程度考えられるか)

 ・顕在化する時期(リスクが顕在化するのはどの程度先の将来か)

STEP3

結果の集計(項目の重みや重要度高の頻度も考慮)と類似項目をまとめ、

リスク5個、機会3個を特定し、その重みを「大」「中」「小」に評価・分類

 

(要約)

 ・1.5℃、2℃の分析のために3つのシナリオ、4℃の分析のために2つのシナリオを使用。

 ・リスクとして炭素税導入による、電気代高騰、原材料価格、輸送費用高騰等を考慮。

 ・リスク低減の施策として多面的な省エネ活動、水力由来の電力など自然エネルギーの購入。

・機会として、気候変動による低炭素商品ニーズが高まる中で、「EV向けパワーモジュール」等の販売拡大の期待。

   SiC等の次世代デバイスの開発加速を見込む。

 ・リスク管理体制として、サステナビリティ委員会(ESG各部会)と危機管理委員会等が連携し監視。

 

(2)-2 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

21中計(中計期間2021~2023年度)の人材戦略について、「自立」した人と組織を目指し、全社員が最大のパフォーマンスを発揮できる環境づくり、人材育成の促進、また組織変革を進めています。

 

1)働きがいをもって働ける環境づくり

当社は多様な人が効率的な働き方ができる場所の提供を通じて、新たな「価値創造」に結び付けるという発想のもと、ダイバーシティや働き方改革を推進し、誰もが安心して働きがいをもって働くことができる環境づくりを進めています。

①人材の多様化の推進

 国籍や性別等に関係なく、多様なバックグラウンドをもつ人材の採用を推進し、女性活躍だけでなく、シニア社員の活用等、組織変革の土台として人材基盤の強化を図っています。

②働く環境の整備

 フレックスタイムやテレワークなどの柔軟な勤務制度を整えるだけでなく、2022年度からは有給の産後パパ育休制度導入と育児休業の取得を原則必須化することで取得に後ろ向きになりがちな男性社員の取得促進を後押しする等、更なるワークライフバランスの充実を図っています。また併せて、自宅での勤務が難しい社員や出張者が最寄りで利用できるサテライトオフィスの導入や国内生産拠点を含めたオフィスの完全フリーアドレス化を実施するなど、働く場所の多様化だけでなく、よりフレキシビリティの高い働き方やコミュニケーションの活性化に繋げる取り組みを継続推進しています。

 

2)人材育成の促進

社員の成長は会社の成長につながるという考えの下、「人材育成ポリシー」を制定し、様々な成長支援、自立支援を行っています。

<人材育成ポリシー>

●会社は、成長機会を提供し、自己研鑚・OJT・研修を基本とし、社員一人ひとりの成長を積極的にサポートしながら、「学ぶ風土」、「育てる風土」を醸成する。

●管理者は、部下の成長支援の責任がある。成長意欲の醸成、成長機会の提供、フィードバックを行うと共に、率先垂範し、自己成長に努める。

●社員は自己成長に責任を持ち、主体的・計画的に取り組む。

●管理職の部下育成力の強化、社員の成長・自立を支援する。

 

<教育体系と主な施策> 


 

①Sanken Nexus School(技術学校)

『社員一人ひとりが繋がり(Nexus)、次世代の個人と会社の成長・成功に繋げる』という理念のもと、今年度4月に技術学校を開校し、コアビジネスとなるパワー半導体について、理系・文系を問わず学ぶ事ができる基礎教育と、技術者がより専門的な技術知識を身に付けるための講座を実施しています。

フレックス スタディー

社員のビジネス基礎スキルの底上げを目指し、デジタル学習コンテンツ(動画)を使い、いつでも・どこでも学び、成長する楽しさを実感し、学習の習慣化に結びつける教育を今年度から実施しています。

 

3)社員の健康づくり

当社グループでは、従業員の健康・維持に向けた積極的な取り組みが、企業全体の持続的な成長に影響を与える重要な要素であることに鑑み、グループ一丸となって職場の健康づくりを推進しています。

 

4)組織の変革

①ES調査をベースとした対話会

組織の変革を目的として、2018年からES調査を年1回実施しています。この調査を活用し、組織の良さや不満、強み・弱みなど現状の課題を全員で共有し、ありたい組織の姿を語り、自分たちで創り出していける組織を目指し、経営層による対話会、また職場単位の対話会を実施しています。

②グループ・コーチング

役職や立場に関係なく、社員同士が信頼関係で結ばれ、傾聴・質問・フィードバックなど本質的な議論・対話ができる組織を目指し、昨年度から管理職に対し、グループ・コーチングを実施しています。

 

(3)気候変動リスクと機会に対応するプロセス

前述(2)のプロセスを経て特定・評価された気候変動リスクと機会はサステナビリティ委員会において戦略的な取り組み方針が定められ、具体的対応策の検討が行われております。サステナビリティ委員会の下に環境 (E)・社会 (S)・ガバナンス (G) に特化した部会が設置されており、その社会 (S) 部会の下に危機管理委員会を設置し、自然災害や情報管理リスクなどに対応しております。さらにガバナンス (G) 部会の下に内部統制推進委員会を設置することで、各部門における業務の点検を支援するとともに、全社レベルおよび業務プロセスレベルにおける統制活動の有効性を審査・評価しております。これらのリスク管理の内容はサステナビリティ委員会に報告され、そこで気候変動関連リスクを含むすべての事業リスクについて統合的に管理しております。

詳細については、3 事業等のリスクをご参照ください。

気候変動が事業に及ぼす移行・物理的リスクおよび機会については、TCFDガイダンスに沿ったシナリオ分析により適切に把握しております。

■リスク

種類

主なリスク

施策

重要度

移行リスク

施策および規制

化石燃料価格上昇により、電気代が高騰し操業費用が上昇

CO排出量の削減

・省エネ活動

・再生可能エネルギーの電力置換え

・生産時の効率化

・輸送の最適化

・リサイクルの促進

炭素税導入により、操業費用が上昇

気候変動の新たな規制の強化により、既存製品の需要減少に伴う売上の減少

中期経営計画による省エネ・高効率の新製品開発で売上拡大

評判

気候変動対策が遅れることにより、ステークホルダーからの信頼が下がり、市場評価が低下

カーボンニュートラル実現に向けた計画を策定し実行

物理リスク

急性

自然災害等により生産への影響、サプライヤーの操業停止や物流機能被害によって売上が減少

危機管理体制の充実等リスク管理の強化

 

 

 

■機会

種類

主なリスク

施策

重要度

製品およびサービス

カーボンニュートラルに向けた商品の市場拡大(車載・白物家電等)により売上増

・インバータ向け製品の開発

・IPMの開発

・高効率電源デバイスの開発

・次世代半導体の開発

資源の効率

生産ラインおよび社内インフラの省エネ・省資源化

DX・スマートファクトリー導入

評 判

生産段階のカーボンニュートラルを推進することでステークホルダーからの信頼向上

カーボンニュートラル実現に向けた計画を策定し実行

 

 

 

(4)指標及び目標

2015年のパリ協定の決定を踏まえ、シナリオ分析を行った結果、気候変動により平均気温が4℃上昇するシナリオでは物理的リスクとして拠点の洪水等被災リスクの上昇による財務リスク、低炭素経済に移行する1.5℃シナリオでは移行リスクとして炭素税の導入、電力価格高騰による財務リスクが大きいことがわかりました。また一方で、1.5℃シナリオにおいては、自動車のEV化の進展により、当社グループが製造するxEV向け半導体デバイスの売上機会が生じることも判明しました。

これら気候関連リスク・機会のうち、炭素税の財務インパクトが最も大きく、最優先で取り組むべき気候関連課題であることが判明しました。この結果を踏まえ、中長期温室効果ガス排出削減目標を策定しました。これは2020年を基準年とし2030年度までにScope1, 2を33%削減、2050年カーボンニュートラルを目指すものです。この目標達成に向け既に行っている取り組み事例として、2022年4月、福島サンケンにおいて使用電力の100%を再生可能エネルギー由来に切り替えております。また、石川サンケン堀松工場は2025年までの電力使用によるCO2排出ゼロを目指し、再生可能エネルギーの導入・省エネ施策を進めております。

なお、上記記載の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在における情報に基づいております。

 

■当社グループの中長期GHG(温室効果ガス)排出量削減のための具体策及び事例

 ①具体策

  ・国内外省エネの活動の推進

  ・太陽光発電の導入

  ・再生可能電力への転換

 

 ②事例

  ・福島サンケン:2022年4月から使用する全ての電力を100%「再生可能エネルギー」由来に切り替え。

 

 ③Scope1,2 の削減実績 (※1)                  単位:[Kt-CO2]

 

2020年度

2021年度

2022年度(※2)

Scope 1

6.3

5.8

6.5

Scope 2

83

78

69

 

  ※1 算定範囲:サンケン電気本社、石川サンケン、山形サンケン、福島サンケン、大連三墾電気

  ※2 2022年度データは暫定値。第三者検証機関により検証実施中(2023年6月16日時点)。

 

 

また、上記(2)-2 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略において記載した事項に関する主な指標の目的と実績につきましては、次の通りであります。

 

主な指標(目標及び実績)[提出会社及び国内グループ会社]

 

目標値

(2025年度)

実績

2022年度

男性育児休業取得率

80%

74.3%

女性管理職比率

11%

6.3%

 

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクとして以下を想定しております。
 なお、本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において判断したものであり、不確実性を内在しているため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますのでご留意ください。

 

(1) 事業上のリスク

①国際情勢

当社グループの企業活動がさらにグローバル化する中、ロシア・ウクライナ情勢、米中関係の複雑化などの地政学的リスクの高まりや、法制度・規制変更、エネルギー不足、原材料価格・物流価格の高騰などにより、生産・物流・営業活動が制限を受け、顧客への製品供給に支障をきたす場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクに対し、各所管部門の統制及び現地法人による政治経済情勢、市場動向、税制、法規制動向などの情報収集、モニタリング、法令順守対応を行っております。不測の事態への対策については、「非常時対応マニュアル」の中で発生した事象の性格とその重大性、影響度に応じて対応する社内体制を定めており、危機管理委員会に状況報告されます。

海外拠点の人的安全管理に関しては「国際危機対策マニュアル」を策定するとともに、平常時から危機管理委員会は情報の収集及び共有を行う事で、非常時の迅速な対応と事業活動への悪影響の最小化を図っております。

 

②新製品開発

当社グループは、市場のニーズに合った製品を開発し、市場に投入していく必要がありますが、製品のタイムリーな市場投入が出来なかった場合、あるいは市場に受け入れられなかった場合、当社グループの収益性が低下し業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクへの対応として、各事業部門による市場動向・顧客ニーズ・競合製品に関する情報収集と、マーケティング機能による情報分析に基づく市場戦略の立案・管理及び次世代製品の企画策定を推し進めるとともに、本社ものづくり開発センターを核とする開発改革の推進により新製品開発活動を加速させ、顧客の潜在ニーズを先取りした製品開発、タイムリーな市場投入と収益性の改善に取り組んでおります。

 

③価格競争

半導体業界における価格動向は需要変化により上下するものの、長期的には価格低減による競争力確保が必要となります。競合企業の台頭が当社製品の価格決定に大きな影響を及ぼしており、価格競争は今後とも厳しさを増していくことが想定されます。当社グループの価格引下げへの対応力を上回るような競合企業による低価格製品の出現、取引先の需要の変化、エネルギー価格及び原材料価格の大幅な高騰等による収益性の低下といったリスクが存在しております。

これらのリスクに対して一層の原価低減に努めるとともに、当社固有の技術を生かした高付加価値製品の市場投入、設計段階からの部材共通化・材料コストダウンといった調達改革により対応を図っております。

 

 

④為替変動

当社グループは、日本国内のほか、アジア、北米、欧州等の海外各国において部材の調達、生産、および販売を行っているため、当該各地域における経済動向などの環境変化は、為替レートの変動を通じて当社グループの業績、および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは当該各国、地域における現地通貨、もしくは米ドルにて会計処理を行っていることから、円換算時の為替レートにより業績に影響が及ぶ可能性があります。また、当社グループが部材調達、および生産を行う国の通貨価値の上昇は製造コストの押し上げ要因となり、業績に影響が及ぶ可能性があります。

これらのリスクに対し、当社グループは、製品並びに原材料の海外調達の拡大による債権債務・取引高のバランスヘッジ並びに為替予約取引等によるリスクヘッジを行い、米ドル及び円を含む主要通貨間の為替レートの短期的な変動による悪影響の最小化を図っております。

 

⑤資金調達

当社グループは、設備投資、研究開発などのための必要資金の調達方法として、社債の発行、コマーシャル・ペーパーの発行、コミットメントライン契約、銀行借入等を行っております。当社グループに対する債券市場あるいは金融機関からの信用が低下した場合、こうした資金調達手段が制限されるか、もしくは調達コストが上昇し、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対し、当社グループは将来のキャッシュ・フロー予測に基づく資金計画を策定し、計画の進捗状況を随時把握・報告し、適切な経営判断を下すことにより、財務規律を遵守した事業活動に取り組んでいます。また、資金調達においては手段の多様化とともに、保有資産に応じた期間・満期を考慮することによりリスクの軽減を図っています。当社グループは今後もディスクロージャーの透明性に一層努めるとともに、事業・財務状況についての市場、金融機関、信用格付機関との適切なコミュニケーションの維持により、安定的な資金調達を実現していきます。

 

⑥知的財産権

一部海外の国や地域では、知的財産権の保護が不十分な場合があり、第三者が当社グループの知的財産を用いた類似製品の製造を効果的に防止できない可能性があります。一方、当社グループの事業に関連した知的財産権が第三者に成立した場合、または、当社グループにおいて認識し得ない知的財産権が存在した場合には、第三者による知的財産権侵害の主張に基づき、ロイヤリティーの支払、当該知的財産権の使用禁止もしくは訴訟の提起がなされる可能性があり、これらにより費用負担の増加または製品の開発・販売の制限といったリスクが存在しております。

これらのリスクに対し、当社グループでは、自ら開発した技術とノウハウを用いて競合他社との製品の差別化を図っており、これら独自の技術を保護するため、日本、米国、中国を中心として必要に応じ可能な限りの知的財産権の出願、登録を行っております。

 

⑦情報セキュリティ

情報セキュリティに対する侵害又はその他の不正行為があった場合、当社グループのブランドイメージ及び評判や事業に悪影響を及ぼす可能性や、当社グループが法的な責任を追及される可能性があり、その結果、個人情報を含むビジネス情報の消失、破壊、漏洩、悪用、改変、または承諾を得ない第三者による不正アクセスが発生するなど、情報セキュリティに係る事象によって、当社グループや取引先の情報システム等が損害を受ける可能性があります。また、サイバー攻撃については年々高度化しており、攻撃のためのツールやリソースを専門知識が無くとも容易に利用できる環境となっていることから、そのリスクは上昇しておりますが、これら不正アクセス等に対し完全に安全な情報セキュリティを確保できる保証はありません。

これらのリスクに対し、システム管轄部門によるサイバー攻撃対応、不正侵入の防止あるいは検知、データアクセスへの制限や対応訓練の実施など、損害防止に向けた対応を行っております。また、内部監査部門による監査においては、情報の管理方法、特に書類の保管状況についての確認が行われているほか、情報管理に関する教育を都度実施しており、情報管理強化を図っております。毎年度実施しているコンプライアンス教育においても情報管理の項目を設けており、情報管理についての意識向上を図っております。

 

 

⑧災害リスク

近年各地で発生している自然災害において、ゲリラ豪雨、記録的大雨、大型台風、大型地震、大雪などの異常気象などにより、事業活動の停止やサプライチェーンの寸断が想定され、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対し、危機管理委員会による自然災害等に関するリスクの把握と対策、備蓄品の準備、防災訓練等を実施しており、また、同委員会と各拠点による緊密な連携によりさらなる体制強化を図っております。当社グループの生産拠点の多くは、地震リスクが比較的高い日本国内にあり、大地震が起きた場合に備えた基本方針として、大地震発生に伴う直接被害を最小限に抑え、早急かつ円滑な操業再開を可能とすべく、当社及びグループ企業の地震災害対策の計画・具体化を進めています。平常時の取組みとしては、災害発生に備え、災害対策マニュアル(地震、風水害、雷害、電力停止、火災)を策定しており、災害避難訓練についてはフリーアドレス化やフレックスタイム制度導入に伴い、従来の部署毎の点呼確認や役割分担を改め、新たに避難時の点呼方法をシステム構築により対応するなど、重大災害への対応力をさらに高めるべく、継続的に取組んでいます。また、安否確認システム(ECS)を導入し、危機発生時には迅速に安否を確認し、速やかな支援に繋げる体制を構築しております。事業継続に関する取り組みとしては国内、海外ともに生産拠点毎に事業継続マニュアルを策定しており、災害発生時の被害を最小限に抑え、早急かつ円滑な操業再開が可能となるよう努めております。

 

⑨法的規則

当社グループは、日本国内のほか、海外各国、地域において開発、生産及び販売拠点を有し、各国、地域の定める様々な法令、規則、規制等(以下、「法的規制」)の適用を受け、事業が成立しております。また、当社グループが全世界において開発、生産及び販売等と遂行する為に必要な技術・製品・材料等の輸出入につきましては、展開する各国、地域の定める関税、貿易、為替、戦略物資、特定技術、独占禁止、特許、環境等に関する法的規制の適用を受け、事業活動を展開しております。万一、これらの法的規制を遵守できなかった場合、当社グループの事業活動が制限されることはもとより社会的信用の低下を招き、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクに対し、法的規制については、各事業の所管部門、グループ会社、法務部門における情報収集・分析・検討を実施し、必要に応じて弁護士等の外部専門家への相談・助言を得られる体制を構築しております。また、役職員の行動規範である「サンケンコンダクトガイドライン」をはじめとする社内規程の整備と、定期的な研修実施による周知・啓発を推進しております。重大な影響が予想されるものについては、取締役会または経営会議での審議を経て対応を検討することとしております。

 

⑩感染症の拡大

当社グループは、日本国内のほか、海外各国、地域において生産及び販売を行っております。当該各地域での感染症拡大が経済活動に悪影響を与えるリスクがあります。新型コロナウイルス感染症による影響は次第に低下している状況にありますが、未だ感染再拡大の可能性は存在しております。

こうしたリスクに対し、基本的な感染予防対策としての構内各所へのアルコール噴霧器の設置等を継続し、感染が再拡大した場合においては、経営会議メンバーを委員とした特別対策委員会を設置し、影響の最小化と事業継続のための施策検討を行うこととしております。また、当社グループ各社においても当社との連携・情報共有を図ることとしております 。

 

(2) 品質・環境リスク

①品質問題

当社グループは、顧客の品質基準及び当社の品質基準を満足する各種製品を供給しております。品質管理体制を維持向上させるため、品質管理に関する国際基準ISO9001及びIATF16949の認証を取得し、必要に応じてUL規格等、製品の安全規格への適合認定も取得しています。しかしながら、将来、全ての製品について欠陥がなく、また製品の回収、修理等が発生しないという保証はありません。大規模な製品の回収、修理等及び損害賠償責任につながるような製品の欠陥は、多額のコストや社会的信用の低下を招き、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

②環境問題

当社グループは、各生産拠点が存在する国の環境汚染、公害防止に関する法的規制を遵守することは勿論のこと、SDGsへの取り組みとして、中期経営計画において当社としてのマテリアリティを明確化し、環境問題の解決に貢献する企業像を目指しております。製品の製造過程で使用する環境負荷物質及び製品に含有する環境負荷物質につきましては、その把握・削減に努めております。サステナビリティへの取り組みにつきましては、気候変動への取組み、環境マネジメント、環境リスク管理、省資源・生物多様性への取組み、環境データに関し、当社ホームページでの情報開示を進めるとともに、TCFDガイダンスに沿ったシナリオ分析により、気候変動が当社の事業に及ぼすリスクと機会を把握し、今後の対応について明確にしています。環境に係る規制を遵守できなかった場合、環境負荷物質を大量に漏洩させる事故を起こした場合、あるいは含有が禁止されている環境負荷物質を製品から排除できなかった場合、その改善のために多額のコストが生じるほか、事業活動の制限、顧客への賠償責任、社会的信用の低下を招き、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

これらリスクに対し、サステナビリティ委員会に設置された環境・社会・ガバナンスの各部会のうち環境部会において、環境・気候変動に関連するリスクを管理し、その内容はサステナビリティ委員会に報告・集約され、そこで気候変動関連リスクを含む事業リスクについて、統合的な管理を実施しております。

 

(3) 上場子会社の取り扱い

当社グループの上場子会社につきましては、開発戦略、事業ポートフォリオ戦略といった成長戦略との整合性の観点から、互いの得意分野を組み合わせた製品の開発及び共同マーケティングなどにおいて、今後もシナジー効果の向上と一体的運営を継続すべきと考えており、これが、当社グループとしての企業価値最大化の実現に繋がるものと認識しております。しかし、経済・事業環境の変化、将来の不確実な要因、予期できない要因などにより、想定していた効果を得られない可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 

(財政状態)

当連結会計年度末における資産の部は、3,019億51百万円となり、前連結会計年度末より572億18百万円増加いたしました。これは主に、棚卸資産が172億58百万円増加し、有形固定資産が139億45百万円増加し、投資その他の資産が98億38百万円増加したことなどによるものであります。
 負債の部は、1,287億55百万円となり、前連結会計年度末より214億27百万円増加いたしました。これは主に、社債が70億円増加し、未払費用が44億37百万円増加し、コマーシャル・ペーパーが40億円増加し、支払手形及び買掛金が22億44百万円増加したことなどによるものであります。
 純資産の部は、1,731億95百万円となり、前連結会計年度末より357億90百万円増加いたしました。これは主に、非支配株主持分が196億71百万円増加し、為替換算調整勘定が45億61百万円増加し、利益剰余金が88億4百万円増加したことなどによるものであります。

 

(経営成績)

当連結会計年度における経営環境は、世界的なインフレの拡大と為替・金融動向の大幅な変動、中国におけるゼロコロナ政策とその緩和後の感染再拡大、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化の影響などから、消費経済の先行きに不透明な状況が継続しました。

こうした環境下、当社グループでは、サンケンコアの収益性改善とアレグロの一段の成長を目標に掲げた2021年中期経営計画(21中計)の二年次として、「構造改革の成果出し」「成長戦略の実現」「ESG経営」「DX推進」「財務戦略の強化」の各重点項目に取り組んでまいりました。最重要課題であるサンケンコアの収益性改善を実現するためのKPIである新製品売上高比率につきましては、SPPコンセプトを主体とした研究開発に注力するとともに、スマートファクトリー化での生産性向上を狙った生産ライン構築による新製品投入を行い、目標であった15%に達しました。また、米国子会社Polar Semiconductor, LLCに対するPEファンドを引受先とする第三者割当増資の実施を決定いたしました。これにより、安定的なウェーハ調達力の拡大と長期的視点から見た設備投資等の負担軽減につながる「ファブ・ライト戦略」を進め、連結損益の改善と実質的な生産能力の確保の両立を図っております。一方、成長戦略に向けては、将来的に需要の増加を見込むEVトラクションモータ用パワーモジュールの生産能力拡大に向けた検討を進め、新たな生産子会社となる新潟サンケン株式会社の設立を決定いたしました。他方で、ESGの取組みとしましては、TCFD提言に基づく取り組みや経営に注力し、GHG排出削減目標を具体的に設定したほか、ガバナンスのさらなる強化のため、本年6月23日開催予定の第106回定時株主総会での承認を前提とし、「監査等委員会設置会社」への移行と、社外取締役の過半数選任を同総会に上程することを決定いたしました。DXの取り組みにつきましては、サイバーセキュリティの強化など、DX基盤の整備を進めてまいりました。

 

当連結会計年度における市況環境は次の通りです。

自動車市場向け製品は、xEV・電動化、及びADASなど環境対応や安全機能への展開が拡大したことから、好調に推移しました。白物家電市場向け製品は、欧米・中国における市況悪化の影響から、顧客の在庫調整局面が継続しました。産機市場向け製品につきましては、クリーンエネルギーやFA市場向けの需要が大幅に伸長したことから、売上が大幅に増加しました。

こうした市況環境及び為替による影響から、当連結会計年度の業績につきましては、連結売上高は過去最高となる2,253億87百万円となり、前連結会計年度比497億27百万円28.3%)の大幅増となりました。損益面につきましても、売上の大幅増に伴い、連結営業利益は261億56百万円と、前連結会計年度比124億36百万円90.6%)の増、連結経常利益につきましては、272億29百万円と、前連結会計年度比135億28百万円98.7%)の増、親会社株主に帰属する当期純利益につきましても、95億33百万円と、前連結会計年度比63億28百万円197.5%)の増となり、それぞれ過去最高値を計上いたしました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、638億14百万円となり、前連結会計年度末に比べ63億70百万円の増加となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、192億円のプラスとなり、前期に比べ55億24百万円の収入増となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の増加によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、276億79百万円のマイナスとなり、前期に比べ150億81百万円の支出増となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出の増加によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、117億12百万円のプラスとなり、前期に比べ183億4百万円の収入増となりました。これは主に、前期において社債の償還を行ったこと、当期においての社債の発行による収入によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(生産実績)

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

半導体デバイス事業

251,224

141.2

 

(注)1 金額は、販売価格で表示しております。

 

(受注状況)

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

受注高

受注残高

金額(百万円)

前年同期比(%)

金額(百万円)

前年同期比(%)

半導体デバイス事業

229,206

123.6

88,825

97.3

 

 

(販売実績)

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

増減率(%)

半導体デバイス事業

174,784

99.5

225,387

100.0

50,602

29.0

パワーシステム事業

875

0.5

△875

△100.0

合計

175,660

100.0

225,387

100.0

49,727

28.3

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 相手先別販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、相手先別販売実績及び総販売実績に対する割合の記載を省略しました。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当社グループの財政状態、経営成績については以下の通り分析しております。
  なお、本項に記載した将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月23日)現在において判断したものであり、不確実性を内在しているため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますのでご留意ください。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績等の分析

(売上高及び営業損益)

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ497億27百万円(28.3%)増2,253億87百万円となりました。自動車市場向け製品は、xEV・電動化、及びADASなど環境対応や安全機能への展開が拡大したことから、好調に推移しました。白物家電市場向け製品は、欧米・中国における市況悪化の影響から、顧客の在庫調整局面が継続しました。産機市場向け製品につきましては、クリーンエネルギーやFA市場向けの需要が大幅に伸長したことから、売上が大幅に増加しました。

当連結会計年度の売上原価は、売上高の増加に伴い、前連結会計年度に比べ212億30百万円(17.6%)増1,417億6百万円となりましたが、売上原価率は前連結会計年度に比べ5.7ポイント良化し、62.9%となりました。 
 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ160億60百万円(38.7%)増575億24百万円となりました。これは主として、労務費の増加によるものであります。売上高販管費比率は前連結会計年度に比べ1.9ポイント悪化し、25.5%となりました。
 この結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ124億36百万円増261億56百万円の利益となりました。

 

(為替変動の影響)

当社グループの海外売上高は1,747億74百万円で、連結売上高総額の約77.54%を占めており、そのほとんどを米ドル建で取引しております。また、主要な在外連結子会社の財務諸表は米ドル建で作成されております。このため、為替相場の変動は、円高が売上減少、円安が売上増加の方向に影響する傾向があります。
 一方、原価面でみますと、ほぼ同じ外貨ボリュームがあることから、売上高への影響額は利益段階では縮小することになります。

 

(営業外損益及び経常損益)

当連結会計年度の営業外損益は、前連結会計年度に比べ10億92百万円収益(純額)が増加し、10億72百万円の収益(純額)となりました。これは主として、投資有価証券評価益を計上したことなどによるものであります。
 この結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ135億28百万円増272億29百万円の利益となりました。

 

(特別損益)

当連結会計年度の特別損益は、前連結会計年度に比べ5億53百万円損失(純額)が増加し、9億78百万円の損失(純額)となりました。これは主として、固定資産売却益が減少したことなどによるものであります。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ63億28百万円増95億33百万円の利益となりました。

 

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、2021年4月から向こう3ヵ年にわたる中期経営計画において、最終年度である2024年3月期の目標値を連結売上高1,700億円、連結営業利益率13%、ROE12%として、主要課題に取り組んでまいりました。上記に記載した影響等もあり当連結会計年度の売上高は2,253億87百万円と目標値を上回る結果となりましたが、営業利益率は11.6%、ROEは9.3%と目標値を下回る結果となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フロー)

当社グループの資金状況は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、192億円の収入(対前年度比55億24百万円増)となりました。前年度比の主な要因は、税金等調整前当期純利益の増加によるものです。「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、276億79百万円の支出(対前年度比150億81百万円増)となりました。前年度比の主な要因は、有形固定資産の取得による支出の増加によるものです。「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、117億12百万円の収入(対前年度比183億4百万円増)となりました。前年度比の主な要因は、前年度において社債の償還を行ったこと、及び当年度において社債の発行を行ったことによるものです。これにより、当連結会計年度末における有利子負債残高は820億90百万円となり、有利子負債依存度は27.2%となりました。これらの活動の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、638億14百万円(対前年度末比63億70百万円増)となりました。

 

(財務政策)

当社グループの資金調達の手段は、社債の発行、コマーシャル・ペーパーの発行、コミットメントライン契約、銀行借入などでありますが、2023年3月31日現在の残高は、1年内返済予定の長期借入金を含む短期借入金309億33百万円、コマーシャル・ペーパー100億円、社債120億円、長期借入金263億72百万円となっております。当社グループは、運転資金及び設備投資資金の調達は内部資金によることを基本としておりますが、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、未使用のコマーシャル・ペーパー発行枠200億円、当座貸越未実行分219億円及びコミットメントライン契約166億円などにより調達可能と考えております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は、当社の米国における連結子会社であるポーラー セミコンダクター エルエルシー(以下、「PSL」)に関して、当社、当社の米国における連結子会社であるアレグロ マイクロ システムズ インク(米国NASDAQ市場「ALGM」、現在、PSLの少数株主)及びOne Equity Partners(以下、同社が運営するファンドも含めて「OEP」)と協議を重ね、2023年1月27日の取締役会において、PSLが第三者割当増資を行い、OEPから過半数の出資を受け入れることを決定いたしました。本第三者割当増資が実行されると、PSLは当社の連結対象から外れ、持分法適用関連会社となる予定です。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは事業ドメインを「Power Electronics」と定め、この分野において一段上の企業像を目指すべく研究開発活動を進めております。基本方針としては、エコ・省エネ、グリーンエネルギー市場を核とした成長戦略の実現及び技術マーケティングの確立と効率的な開発マネジメントによる新製品開発の促進を掲げ、連結子会社にも研究開発部門を有し、グループを挙げて研究開発に取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発費の総額は売上高の11.99%に当たる27,024百万円であります。
 

半導体デバイス事業においては、製品開発における技術マーケティングの導入により成長市場へのシフトを担う製品開発に注力するとともに、共通コンセプトによる設計改革、業務改革を推進し開発スピードのアップを図っております。また、成長著しい新興国向けの汎用品の製品開発にも積極的に取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発の主な成果は次のものがあります。

 

 

・現行品に比べ大幅にノイズ特性を改善し、多様なアプリケーション対応が可能な産業機器向けモータドライバIPM SAM212M10BF1を開発

・従来のGen.2構造に対しセルの微細化、N drift層と基板の低抵抗化により、単位面積当たりのオン抵抗を2.5mΩcm2に低減し、チップサイズを約24%縮小、高耐圧・高効率の材料SiC(シリコンカーバイド)を用いた第三世代(Gen.3)1200V SiC-MOSFETを開発。

・トレンチ設計、不活性領域の外周構造及びSub層を見直すことで、低IRを維持したまま低VF化とプロセス工程削減を可能にした第二世代(Gen2)トレンチSBDを開発。

・車載ADAS用デジタルPMIC「MD6801」を用い、オフセット誤差並びに温特誤差を補正する手法をアナログ制御電源及びデジタル制御電源ともに構築し、高精度な電源システムを開発。

・外部抵抗のみで変更可能な定電流制御機能と駆動電流の急速遮断機能を有し、高電圧、大電流用途のコンタクタの制御回路に最適なxEV高圧バッテリー用コンタクタドライバLS1908を開発。

・Webカメラを用いたオンライン会議で使用するLED光源の分光強度分布による顔の印象に与える影響について検証し、光源開発を行う。

・高電流密度化したFS-IGBTを搭載し高効率化を実現、放熱経路を見直し、DCB基板を採用することで放熱性を維持しつつ小型化、端子数と端子配置を最適化し、小型化と端子間絶縁性を両立させた高圧三相モータドライバIC SIM2-151を開発。

・IPM用途に特化し、従来のプレーナ型MOSFETと比較して低オン抵抗化を行いつつ、スイッチング時のノイズ発生を抑えた新SJ-MOSFET構造のS2J-MOSFET(Soft Super Junction MOSFET)を開発。

・出力スイッチング素子、プリドライバ、制限抵抗付きブートストラップダイオード及び温度検出用サーミスタを1パッケージとした、車載高圧補機システムの三相モータの駆動に最適な三相ブラシレスモータ用ドライバ SAM265M50AA1を開発。

・臨界モードのPFC制御とLLCタイプの電流共振制御を内蔵しており、小型で高効率、かつ低ノイズな電源を提供、小型SSOP24パッケージに電流共振外れ検出機能など豊富な保護機能を集約し、安全性に優れた高品質な電源を容易に設計できる臨界モードPFC内蔵LLC共振電源用IC SSC4S913を開発。

・低VF特性により低損失を実現、低IR化により高い熱暴走限界温度を確保し、熱設計が容易、汎用性の高いリード挿入パッケージであるTO-220Fを採用したスイッチング電源2次側整流ダイオード FMESシリーズを開発。

・紫外成分を抑え、展示物を変色させにくい効果が期待でき、高い演色性が求められるタスクライト、美術館、博物館などの照明機器の光源にも使用可能な超高演色LEDデバイス SEP1AQ1L92LL / SEP1AQ1L92SSを開発。

 

なお、SiCデバイスに関しては、2023年度のNEDO先導研究プログラムで『SiCスマートパワーIC技術の研究開発』が産業技術研究所との共同提案で採択されました。本研究内で、現状Si製のゲートドライバーをSiC化することで、SiCモジュールの高速・高信頼性化を検討する計画です。

GaNデバイスに関しては、NEDO基盤技術研究促進事業で得られたGaN on Si技術を活かし、横型HEMTデバイスのカスタム製品を少量出荷中です。並行して、GaN基板を用いた縦型デバイスの検討を、名古屋大学中心に進められているGaNコンソーシアムに参画し行っております。