第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、「人の可能性を引き出し 才能を最適に配置することで 新産業を創出し続ける。」というミッションを掲げ、人の創造性と生産性を最大化させる配置(労働市場におけるマッチングだけでなく、組織内における人員配置も含む概念)による新産業創出をとおして、新産業領域の人と組織の可能性が引き出され活気づく社会を目指し、少子高齢化・人口減少する日本社会において不可欠なイノベーションの源泉たる人材創出を中心とした新産業領域における人材創出事業として「新産業領域における才能の最適配置を目指すプラットフォーム」を提供しております。「人の可能性を引き出す」とは、キャリア支援・メディア開発・採用支援のみならず、組織におけるダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(注)1の推進やリカレント教育(注)2・人材育成等も含む概念であります。また、「才能の最適配置」とは、新卒学生や若手社会人の就業機会にとどまらず、デジタル人材の不足や女性経営人材の不足、社外取締役の不足、若手の早期離職、中小企業における経営承継等の労働市場の歪みを対象とした概念であります。そして、「新産業創出」とは、人材・デジタル・グリーン(注)3・サステナビリティ(注)4等の様々なトランスフォーメーション(変革)によって持続可能な社会を実現するために行われる企業活動を対象とした概念であります。

 少子高齢化・人口減少が進み、マクロトレンドとしての経済成長に課題を抱える日本社会において、未来社会の発展・成長のためにはスタートアップ・ベンチャー企業をはじめとした新産業領域の企業におけるイノベーションが必要であり、そのイノベーションの源泉となる人材が不可欠であることから、「新産業領域への人材移動」と「労働市場の流動化」が重要であると考えられます。しかしながら、年功序列や終身雇用を中心とした伝統的な雇用慣行、企業のブランド力や知名度により採用の成否が決まる採用市場の影響により、新産業領域の企業では依然として人手不足が続いております。そのような環境下において、当社グループは、新産業領域への挑戦意欲や成長志向の高い新卒学生を発掘・育成し、求人企業との最適なマッチングを提供する厳選就活プラットフォーム「Goodfind」の運営を2006年に開始して以降、新卒学生の行動変容を生み出し新産業領域でのキャリア機会を創出するとともに、新産業領域の企業に対する新卒学生の人材供給に注力することで、新卒からスタートアップ・ベンチャー企業に挑戦する人材を創出してまいりました。また、その周辺分野においても新規事業を展開することで、複雑性の高い労働市場において、「新産業領域への人材移動」と「労働市場の流動化」を推進しており、今後も、少子高齢化・人口減少する日本社会において不可欠なイノベーションの源泉たる人材を創出し続けてまいります。

 

(注)1.「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン」とは、企業、学校、自治体等の組織における社会の多様性(ダイバーシティ:Diversity)、公平性(エクイティ:Equity)、包摂性(インクルージョン:Inclusion)を高めるための取り組みのことを言い、DE&Iと略します。

2.「リカレント教育」とは、社会人が教育機関に入り直して改めて教育を受けるということ及びそのような活動を支援する制度や取り組み、考え方のことを言います。

3.「グリーン」とは、経済産業省が策定し、2020年12月に公表した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において選定された14の重要分野を言い、洋上風力産業、燃料アンモニア産業、水素産業、原子力産業、自動車・蓄電池産業、半導体・情報通信産業、船舶産業、物流・人流・土木インフラ産業、食料・農林水産業、航空機産業、カーボンリサイクル産業、住宅・建築物産業/次世代型太陽光産業、資源循環関連産業、ライフスタイル関連産業であります。

4.「サステナビリティ」とは、持続可能性を意味し、自然環境や人間社会等が長期にわたって機能やシステムを失わずに、良好な状態を維持させようとする考え方であります。

 

(2)経営戦略等

① 基本戦略

 当社グループは、上記の経営方針の下、人にまつわる市場における歪みを解消し続けることを基本戦略としております。人にまつわる市場の歪みとは、就職・転職におけるブランド選好が強すぎることで起こる新産業領域における人材不足や、年功序列・終身雇用を中心とした日本の伝統的な雇用慣行から生まれる人材の流動性の低さによるキャリア機会の喪失、新産業領域における情報の非対称性や誤解などが挙げられます。日本の労働市場においては歪みが大きく存在しており、歪みを解消し続けることが当社グループの事業機会となり、長期的な事業成長を生み出すと考えています。そうした歪みを解消するためのアプローチとして、新産業領域における企業への支援により獲得される組織の在り方に関する知見と、フィットする人材の理解力及び活用力を生かし、「人」を軸とした事業展開を行っております。キャリアサービス分野においては、新卒、中途及び長期インターンの各領域において、人手不足が続く新産業領域の企業に対して、新産業領域への挑戦意欲や成長志向の高い人材を発掘・育成し、最適なマッチングを提供しております。メディア・SaaS分野においては、新産業領域の企業の情報を整理・発信することで情報の非対称性と認知の歪みを解消し、新産業領域に興味・関心を持つ人を増やすためのビジネスメディア「FastGrow」や、育成や組織活性をとおして人と組織の成長支援を目指すSaaS型HRサービス「TeamUp」、バイアスやモノの見方にフォーカスした独自の動画コンテンツにより、経験学習モデルを活用した継続的な学習機会の提供を行う動画×経験学習プラットフォーム「メタノビ」を提供しております。

 

② 中期成長戦略

 当社グループは、上記基本戦略の下、次のとおり中期成長戦略として、顧客数及び顧客単価の継続的な拡大を基本としながら、プラットフォーム型・プロダクト型の強化、人の可能性を引き出す組織づくりの実践と商材化の3つを重点成長戦略としております。

 

ⅰ.顧客数及び顧客単価の拡大

 デジタルやグリーン、サステナビリティ等の変革を志向する大企業を含め、新産業領域の企業のカバー範囲を広げることで顧客数の拡大を図ります。また、人にまつわる市場の歪みを起点とした新規事業分野及び新規プロダクト・サービスの展開により顧客企業1社に対して提供できる価値の総量を増やすことで、顧客単価の拡大を図ります。なお、当社グループの顧客数及び顧客単価の推移は次のとおりであります。

 

2019年2月期

2020年2月期

2021年2月期

2022年2月期

2023年2月期

顧客数(社)

442

491

431

464

460

顧客単価(千円)

2,489

2,970

3,041

3,056

3,198

 

ⅱ.プラットフォーム型・プロダクト型の強化

 「FastGrow」をプラットフォーム型のプロダクトとして強化し、月額利用課金やコンテンツ課金等の新たな収益機会の獲得を図ります。また、コンテンツの動画ライブラリ化・アセット化により、労働集約性を低減し、企業向け研修や人事支援のプロダクトの開発を検討いたします。

 

ⅲ.人の可能性を引き出す組織づくりの実践と商材化

 一人ひとりの成長・学習支援及びキャリア支援を強化する仕組みの自社実践を継続的に行い、顧客企業への展開を検討いたします。また、組織カルチャーの浸透や1on1による対話、フルリモートワーク等柔軟な働き方の実現等による、多様な人材が活躍できる組織づくりを強化いたします。

 

(3)経営環境

① 企業構造

 本書提出日現在、当社グループは当社及び連結子会社1社(チームアップ株式会社)並びに持分法適用関連会社2社によって構成されております。また、「Goodfind」、「FactLogic」、「Intern Street」、「Goodfind Career」、「G3」、「FastGrow」及び「メタノビ」は当社が、「TeamUp」はチームアップ株式会社が運営しております。なお、報告セグメントは新産業領域における人材創出事業の単一の報告セグメントであります。

 

② 対象市場の状況

 当社グループは、新産業領域に関連する市場及び人材トランスフォーメーション(注)5に関連する市場において事業を行っております。当社グループは、日本の労働市場において、伝統的な雇用慣行や就職観念、人事・組織制度等により、40代以降に差が生まれるキャリアトラックとなる傾向に着目し、経営人材としての可能性を早期に発掘及び開発し、20代・30代で経営人材になれるキャリア機会を創出することで、人材トランスフォーメーションを推進しております。人材トランスフォーメーションに関連する市場としては、人材関連ビジネス市場、教育産業全体市場及びHRTech市場が含まれますが、主にキャリアサービス分野における各事業が属する人材関連ビジネス市場が対象市場であり、そのうち、人材紹介業、求人広告業及び人材コンサルティング業を中心とした採用関連市場が主な対象市場であります。さらに、当社グループの主要サービスである新卒学生向け厳選就活プラットフォーム「Goodfind」は、新卒採用関連市場を対象市場としております。また、新産業領域に関連する市場としては、当社グループがターゲットとしている新産業領域の企業について、主要顧客はスタートアップ・ベンチャー企業となっており、スタートアップ・ベンチャー企業を取り巻く環境についても、当社グループが影響を受ける市場であります。

 新産業領域における採用関連市場においては、少子高齢化・人口減少が進み、マクロトレンドとしての経済成長に課題を抱える日本社会において、未来社会の発展・成長のためにはスタートアップ・ベンチャー企業をはじめとした新産業領域の企業におけるイノベーションが必要であり、その担い手となる若く挑戦意欲・成長志向を持つ人的資本の価値は今後高まると考えております。そのような市場環境においては、産業の転換とともに、中長期的には次のような変化が起こると予想しております。

 まず、挑戦意欲・成長志向を持つ人材の志向性について、これまでは資本集約型の伝統的大企業で長期安定的なキャリアを志向する傾向にありましたが、今後は、知的集約型の産業で20代・30代から経営人材を志向する傾向に変わっていくことが予測されます。次に、当該変化に伴い、新卒及び中途採用市場における考え方についても、「新卒学生の就職は伝統的大企業、スタートアップ・ベンチャー企業は中途採用」という考え方から、「新卒からスタートアップ・ベンチャー企業へ就職し、スタートアップ・ベンチャー企業も新卒採用」という考え方に変わっていくことが予測されます。さらに、そのような環境においては、伝統的大企業の採用活動についても、ブランド力や知名度による新卒一括採用では若い挑戦意欲・成長志向を持つ人材を採用することが困難となり、従来型の採用手法に変革ニーズが生まれると考えております。

 以上のような変化の中で、新産業領域に関連する市場及び人材トランスフォーメーションに関連する市場は中長期的に成長拡大を続けていくものと予測しております。

 

(注)5.「人材トランスフォーメーション」とは、組織における人材の持つ価値を最大限引き出すために行う採用、配置、育成、文化浸透等の組織施策における変革と当社で定義しております。

 

ⅰ.人材関連ビジネス市場及び新卒採用関連市場の状況

 2019年12月に確認された新型コロナウイルス感染症の感染拡大により経済活動が著しく制限されたものの、ワクチン接種の開始や緊急事態宣言の解除後は段階的な経済活動の再開により景気回復の兆しが見られ、2020年度に一時的に減退した人材関連ビジネス市場全体は、2021年度以降は採用意欲の回復によりプラスに転じるものと見込まれております。新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、オンライン化の進展により働く場所を問わない就業スタイルの浸透が進み、これまで地理的制約から就業機会がなかった求職者にとっては新たな就業機会を獲得する契機となり、新しい就業スタイルへの変化の適応力が高いベンチャー・スタートアップ企業を中心とした新産業領域の企業にとっては、人材獲得機会を増加させる環境変化となっていると考えております。また、人材関連サービスを提供する事業者においては各種サービスやコンテンツのオンライン化、求人企業においては採用活動における企業説明会や面接等のオンライン化が進んだことで、求職者にとってもオンラインでの採用活動がメインとなりました。これは、特に地方に居住する新卒学生にとっては就職活動における機会の格差を解消することとなり、従来に比べて就業機会を多く得られる環境となりました。また、求人企業にとっても、地方に居住する人材へのアプローチが可能となり、より多くの候補者と接点を持つことが可能となりました。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により急速に進んだデジタル化は、デジタル領域でサービスを提供するDX・SaaS関連企業(注)6にとって大きな事業機会となり、事業成長を後押しする環境となりました。その結果、DX・SaaS関連企業における求人ニーズは、人材関連ビジネス市場全体が先行き不透明な状況においても、高まっているものと考えております。

 

(注)6.「DX・SaaS関連企業」とは、テクノロジーや情報システム、AIやロボティクスの活用、メディア運営等のITを活用した課題解決を事業とする会社及びこれらの会社に対するサービス提供を行う会社と当社で定義しております。

 

ⅱ.スタートアップ・ベンチャー企業を取り巻く環境

 2022年1月4日の岸田内閣総理大臣年頭記者会見において、市場原理に全てを任せるのではなく、成長領域に投資しながら分配していくことで成長と分配の両立を目指す「新しい資本主義」が掲げられ、これを実現するための決意の一つとして、「戦後の創業期に次ぐ日本の第2創業期を実現するため、本年をスタートアップ創出元年として、『スタートアップ5か年計画』を設定して、スタートアップ創出に強力に取り組みます。」との発言があり、2022年11月には「スタートアップ育成5か年計画」が策定されました。さらに、2022年3月に日本経済団体連合会が提言した「スタートアップ躍進ビジョン」においては、日本経済全体を浮揚させ、再度競争力を取り戻すための最も重要な課題として、スタートアップエコシステムの抜本的強化が提言されており、5年後(2027年)までにスタートアップの裾野、起業の数を10倍にすることなどが目標として定められております。

 新規IPO件数(東京証券取引所マザーズ、グロース、スタンダード及びJASDAQの合計件数)については、株式会社日本取引所グループがHPで公表する「新規上場基本情報」によると、2016年68社、2017年67社、2018年77社、2019年69社、2020年77社、2021年109社、2022年81社と推移しております。2022年のIPO件数は減少いたしましたが、これは、ロシアのウクライナ侵攻や原油高騰、原料高によるインフレ傾向が発生し、各国で政策金利引き上げが行われた影響などによるものであると考えられます。また、株式会社ユーザーベースが運営するスタートアップ情報プラットフォーム「INITIAL」が公表した「Japan Startup Finance 2022」によると、2022年の国内スタートアップ資金調達額は過去最高の8,774億になったとされております。このように、日本市場の潜在的成長性は十二分にあり、今後もスタートアップ・ベンチャー企業が誕生しやすくかつ成長を促進する環境を整備することができれば、日本のスタートアップ・ベンチャー企業を取り巻く環境が益々活性化する可能性を秘めております。

 以上のように、新産業領域の企業に関連する市場が年々拡大する一方で、人口減少・少子高齢化による労働力不足の流れ、デジタル化及びテクノロジー(AI・Robotics等)による産業革新の流れ、機械による失業への対応(再教育・再配置、独立支援)が求められております。また、2020年9月に経済産業省より発表された「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書~人材版伊藤レポート~」にもあるように、持続的な企業価値向上に向けて人的資本及び人材戦略の重要性は高まる一方であり、多くの日本企業にとって人的資本の最適化及び新しい事業・産業の創造は重要性の高いテーマとなります。

 

③ 競合他社に対する競争優位性

 新卒学生向け厳選就活プラットフォーム「Goodfind」が当社グループの主要サービスであり、「Goodfind」のビジネスモデルが競争優位性の源泉となります。「Goodfind」ではこれまで、挑戦意欲・成長志向の高い新卒学生とベンチャー企業のマッチングを行ってきましたが、これを行うためには学生に対してベンチャー企業への興味喚起を行うこと及び成長可能性の高いベンチャー企業を厳選することが必要となります。しかしながら、社会人経験がなく就職活動により得られる様々な情報により志向性が日々変化する学生に行動変容を生み出し、ベンチャー企業へ興味喚起することは困難であり、かつ数ある企業の中から成長可能性の高いベンチャー企業を厳選してマッチングすることはさらに困難となります。「Goodfind」では、3つのケイパビリティ(顧客の目利き力/行動変容を生み出す力/マッチング力)へ注力することにより、競合他社に対する競争優位性を高めております。

 

ⅰ.顧客の目利き力

 ベンチャー企業を中心とした過去の取引実績から、新産業領域において構築された情報取得のネットワークにより、成長性の高い新産業領域の企業を厳選して開拓しております。

 

ⅱ.行動変容を生み出す力

 社会人経験がなく就職活動により得られる様々な情報により志向性が日々変化する学生に対して、ブランドイメージ等により企業を選好する等のバイアスを取り除くコンテクスト及びコンテンツを、メディアによる情報提供に加えて、インキュベーションパートナーによる個別面談やセミナー・イベント等を通じて伝えることで、行動変容を生み出しております。

 

ⅲ.マッチング力

 顧客の目利き力によって厳選された新産業領域の企業と、行動変容を生み出す力により形成された挑戦意欲・成長志向の高い学生とを、「プロダクト(Goodfind)」と「人材」による複合的な価値提供を行うことで適切なマッチングを生み出すことが可能となります。

 

④ 顧客基盤

 当社グループの顧客基盤は、主にベンチャー企業で構成されております。さらに、今後の市場規模の拡大が見込まれ、成長性の高いDX・SaaS関連市場において事業を展開するDX・SaaS関連企業が主要顧客となります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 「売上高及び営業利益の継続成長」及び「超過利益の再投資」を財務規律とし、収益性のみならず、高い成長性を継続実現することによる持続的成長と企業価値向上のため、売上高成長率、営業利益成長率及び売上高営業利益率を客観的な重要指標としております。

 これらの重要指標について、2022年5月30日提出の「有価証券報告書」においては、売上高成長率25%以上及び営業利益成長率30%以上を継続すること、並びに2032年2月期までに売上高営業利益率30%を超えることを経営目標としておりましたが、当連結会計年度において、主要サービスである厳選就活プラットフォーム「Goodfind」における2024年卒会員の会員数及び利用率の低下等により売上高成長率が鈍化したことを踏まえて、2024年2月期は継続的な高収益・高成長を実現するための土台づくりを行うこととし、その達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、営業利益及び営業利益率としております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、2005年の創業時からスタートアップ・ベンチャー企業を中心とした新産業領域における人的資本投資という領域で事業を展開し、当該事業領域の新規性とスタートアップ・ベンチャー企業の急成長により、新しい市場の開拓とともに成長してまいりました。しかしながら、このような経営環境における成長の一方で、当社グループが持つ価値源泉及び競争優位性の構築と磨き込みが後手になったことで、新産業領域における人的資本投資市場の拡大やコロナ禍に伴う経営環境の変化に適応することができず、当連結会計年度において売上高成長率は減少し、減益となりました。

 このような現状において、まずは今後の継続的な高収益・高成長を目指すための土台づくりが経営における重要課題であると考えており、一人当たり営業利益を経営上の重要指標とし、その改善に向けた施策を実行してまいります。具体的には、「組織・人材・カルチャー」と「事業マネジメントシステム」という2つを重要なテーマとして位置付けております。「組織・人材・カルチャー」においては、事業及び組織の好循環の起点となる良質なリーダーを再現性高く輩出するためのスローガン流リーダーチップ開発や、それらを通じたカルチャーの醸成と浸透等を実行してまいります。「事業マネジメントシステム」においては、業績及びKPIマネジメントの見直しや改善による深度向上と施策創出、相対優位性の高いオペレーションの構築による価値源泉の継続的な強化等を実行してまいります。これらの施策の結果、高品質・高付加価値なサービスの提供により一人当たり営業利益を改善し、継続的な業績成長による企業価値向上に努めてまいります。また、事業上の優先的に対処すべき課題は以下のとおりであります。

 

① 主要サービス「Goodfind」における学生会員の利用率改善と求人企業とのマッチング創出

 学生の行動や思考変化に対して、主に2023年卒及び2024年卒学生会員に対するコンテンツがフィットしておらず、学生会員のサービス利用率が低下したことで、顧客企業とのマッチング数も期待を下回る水準で推移いたしました。その結果、2024年卒向けサービスの販売進捗が想定を下回ったことで、当連結会計年度における学生向けサービスの売上高成長率は減少しており、まずは学生会員の利用率改善が重要な課題であると認識しております。

 当該課題に対しては、これまでオンライン中心であったコンテンツについて、オフラインを取り入れた施策を実施することや、学生会員にフィットする様々なコンテンツの提供を行うことで、学生会員の利用率改善に努めてまいります。

 

② 転職市場における競争優位性向上

 キャリアサービス分野における社会人向けサービスでは、キャリアエージェントの育成不足及び転職候補者の集客力不足に起因し、当連結会計年度において大幅な減収となりました。転職市場における参入事業者は多く、激しい競争環境において、特に求職者の集客における競争優位性の構築は重要な課題であると認識しております。

 当該課題に対しては、「Goodfind」や「FastGrow」とのサービス間連携を強化し、当社グループの既存データベースを活用した集客施策の実施による競争優位性の構築に努めてまいります。

 

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)事業環境に関するリスク

① 市場環境の動向について

 発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 当社グループが対象とする人材関連ビジネス市場は、社会情勢や経済情勢、雇用環境の動向や法律の動向の影響を受けやすい市場であります。当社グループの主要取引先を、デジタルトランスフォーメーションをはじめとする様々なトランスフォーメーション関連のスタートアップ・ベンチャー企業を中心とした新産業領域の企業に厳選し、求職者側も新産業領域への挑戦意欲の高い人材に注力することで、景気・市場のマイナスの変動の影響を最小限にするように努めております。しかしながら、今後、市場環境の予想以上の悪化による景気減退や新興市場が成長減退となり、当社グループの主要取引先であるスタートアップ・ベンチャー企業を中心とした新産業領域の企業もその影響を受けることとなった場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合他社の動向について

 発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 当社グループは、創業以来、新産業領域の企業を厳選することや、新産業領域への挑戦意欲の高い人材を発掘・育成し、新産業領域の企業に適性のある人材を見極めることに関する知見を有しており、その結果として、人と組織の良質なコミュニティが形成されていることが競争力の源泉となっております。しかしながら、既存事業者によるシェアの拡大や、新たな参入事業者の登場により競争が激化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 新卒採用環境の動向について

 発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 当社グループの売上高構成比が最も大きいサービスはキャリアサービス分野における新卒学生向けサービスであり、現在のところ直接の法的規制は受けておりませんが、国公私立の大学、短期大学及び高等専門学校で構成する就職問題懇談会による「大学、短期大学及び高等専門学校卒業予定者にかかる就職について」の申合せや、政府の関係省庁連絡会議による就職・採用活動に関する要請等、学校や企業の団体による申合せ等は、当社グループが事業活動を行う上で考慮すべき事項であると考えております。

 政府から行われた就職・採用活動に関する要請においては、卒業・修了予定の学生等を対象とした就職・採用活動の日程について、広報活動開始は卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降、採用選考活動開始は卒業・修了年度の6月1日以降、正式な内定日は卒業・修了年度の10月1日以降というルールの遵守が経済団体・業界団体等に要請されております。

 これまでに、法的規制や上記申合せ等の変化が当社グループの事業活動に大きな影響を与えた事実はありませんが、今後の政府・経済界・大学等の方針の動向を注視して当社グループの事業活動へのマイナスの影響が出ないように事業活動を調整してまいります。しかしながら、これらの方針が当社グループで予測・把握していた範囲から大きく変化した場合には、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(2)事業内容に関するリスク

① 求職者の確保について

 発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 キャリアサービス分野における長期インターン、新卒及び中途の人材紹介業は、その事業特性上、求職者の確保が重要であることから、当社グループでは、既存ユーザーからの紹介やWebマーケティング等により求職者の募集を実施しております。求職者の確保に向けて重要となる求職者の満足度を高めるために、細やかな対応と個々の求職者に最適な就業機会の提供を行っております。また、全体の求職者の中でも、新産業領域への挑戦意欲の高い人材を中心とすることで、全体の世代人口減少の影響を受けにくい構造にもなっております。しかしながら、このような施策を行ったとしても、少子高齢化による将来の労働人口の減少や労働市場の変化等によって、企業側の求人ニーズに予想外の変化が生まれたり、その結果として求人ニーズを満足させる求職者が確保できなかったりした場合には、求職者及び求人企業双方にマッチングサービスを十分に提供できなくなり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② 個人情報の管理について

 発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 当社グループは、人材紹介業及び求人広告業を行っているため、多数の登録者(職業紹介希望者、求人案件応募者等)の個人情報を有しております。そのため当社グループでは、人材関連業務に関わる企業の果たすべき責任として、「個人情報保護に関する法令、規範」に基づき個人情報保護方針を策定し、役員及び社員への徹底、技術面及び組織面における合理的な予防・是正措置を講じております。また、当社は2018年に「個人情報保護マネジメントシステム-要求事項JIS Q15001」に基づくプライバシーマークを取得しております。

 当社コーポレート部が中心となって、当社グループ関係者全員に対して定期的な教育・指導及び必要な対策を実施し、当社内部監査担当者が随時管理状況をチェック・監査しております。

 このような当社グループの取り組みにもかかわらず、各規程等の遵守違反、不測の事態等により個人情報が外部に漏洩した場合、損害賠償請求や、社会的信用の失墜等により、当社グループの事業運営に大きな支障をきたすとともに、業績及び財政状態に大きな影響を与える可能性があります。

 

③ 情報セキュリティについて

 発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 当社グループは、展開する各サービスの運営過程において、個人情報を含む顧客情報やその他の機密情報を取り扱っております。これらの情報の外部への不正な流出を防止するため、情報の取り扱いに関する社員教育、セキュリティシステムの改善、情報へのアクセス管理等、内部管理体制の強化に継続して取り組んでおります。しかしながら、当社グループや委託先の関係者の故意・過失、又は悪意を持った第三者の攻撃、その他想定外の事態の発生により、これらの情報が流出又は消失する可能性があります。そのような事態が生じた場合、当社グループの社会的信用の失墜、競争力の低下、損害賠償やセキュリティ環境改善のために多額の費用負担等が発生し、当社グループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 人材紹介に関する法的規制について

 発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大

 当社は、有料職業紹介事業者としての許可を厚生労働大臣から受けております。当社が有している有料職業紹介事業者の許可の取消については、職業安定法第32条の9に欠格事項が定められております。現時点において認識している限りでは、当社は法令に定める欠格事由(法人であって、その役員のうちに禁錮以上の刑に処せられている、成年被後見人もしくは被補佐人又は破産者で復権を得ないもの等に該当する者があるもの)に該当する事実を有しておりません。しかしながら将来、何らかの理由により許可の取消等が発生した場合には、当社の事業運営に大きな支障をきたすとともに、当社グループの業績及び財政状態に大きな影響を与える可能性があります。また、当該法規の改正等により法的規制が強化された場合には、当社の事業に制限が加わる可能性があります。

 当社が保有している有料職業紹介事業許可の許可番号及びその取得年月日等は次のとおりであります。

所轄官庁等

取得者名

許可番号

取得年月

有効期限

厚生労働省

スローガン株式会社

13-ユ-302267

2007年6月1日

2025年5月31日

 

⑤ 求人広告に関する法的規制について

 発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 求人広告に関する法的規制としては、求人広告に関して職業安定法において、職業紹介並びに労働者の募集方法、労働条件の明示及び虚偽の求人広告等に関する規制が定められております。また、職業安定法の他、労働基準法による「男女同一賃金の原則」等、法的規制の他、業界団体による自主的規制があります。

 当社グループでは、このような規制の趣旨に沿って、広告掲載規程を定め、求人メディアごとに策定したガイドラインに基づく運営を行い、不適切な求人広告を排除するように努めており、これらの規制は直接的には求人企業である広告主が規制対象でありますが、当社グループも求人広告制作者として間接的に規制を受けているため、当社グループの事業活動に制約を受ける可能性があります。

 

⑥ 知的財産権の侵害等について

 発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 当社グループで開発・設計しているソフトウエアやプログラムは、当社グループが独自に設計・開発したものであり、他社の特許権侵害に該当していないかの調査等を行っております。また、商標の出願・登録についても、第三者の商標権を侵害しないように留意しております。

 しかしながら、第三者から特許権侵害や商標権侵害を理由とする損害賠償請求や差止請求を受ける可能性は完全には否定できず、その場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 業績の季節的変動について

 発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 当社グループの売上高構成比が最も大きく、主要事業である「Goodfind」においては、顧客企業の新卒学生向けの採用活動が活発に行われる時期に売上が集中いたします。新卒学生に係る人材紹介手数料については、入社日基準により売上高を認識しているため、新卒学生の多くが入社する4月に売上高が集中いたします。この結果、第1四半期に売上高及び営業利益が集中する傾向にあります。将来的に会計基準等の改正により収益認識基準が変更になった場合には、当社グループの売上高及び営業利益の偏重時期に影響を及ぼす可能性があるため、当社グループの経営成績の四半期毎の比較は当社グループの経営成績の推移を判断するための参考にはならない可能性があります。

 

前連結会計年度(自 2021年3月1日 至 2022年2月28日)                 (単位:千円)

 

第1四半期

連結会計期間

第2四半期

連結会計期間

第3四半期

連結会計期間

第4四半期

連結会計期間

通期

売上高

492,258

287,125

341,621

297,376

1,418,373

営業利益又は

営業損失(△)

233,171

33,153

58,640

△66,255

258,710

 

当連結会計年度(自 2022年3月1日 至 2023年2月28日)                 (単位:千円)

 

第1四半期

連結会計期間

第2四半期

連結会計期間

第3四半期

連結会計期間

第4四半期

連結会計期間

通期

売上高

548,531

299,026

295,344

328,687

1,471,590

営業利益又は

営業損失(△)

230,876

△5,211

△25,816

8,814

208,662

 

(3)経営及び組織体制に関するリスク

① 人材の採用、育成及び欠員の発生について

 発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中

 当社グループの事業領域である新産業領域に関連する市場は今後も拡大が見込まれ、膨大な事業機会が生まれると認識しております。当社グループのミッションを実現していくためには、その機会をいち早く捉え様々なサービスを数多く生み出し続ける必要があり、社会からの要請を真摯に受けとめ主体的に変化へ対応できる人材の採用及び育成が非常に重要と考えております。そのため、当社グループでは、積極的な採用活動、最適な人材マネジメントの整備及び研修体制の構築等に取り組んでおります。しかしながら、今後人材の採用や育成が計画どおり進捗しない場合や離職等により多くの欠員が生じた場合には、当社グループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)その他のリスク

① 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 発生可能性:大、発生する可能性のある時期:1年以内、影響度:中

 当社は、当社役員、従業員並びに当社子会社役員及び従業員に対して、優秀な人材の確保・獲得及び経営参画意識の向上のためのインセンティブとして、新株予約権を付与しております。本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は139,500株であり、発行済株式総数2,744,575株に対する割合は5.08%となっておりますが、権利行使期間において段階的に行使が可能となる条件を付与することで、希薄化の影響が分散するようにしております。なお、新株予約権の詳細については、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」に記載のとおりであります。

 しかしながら、これらの新株予約権が行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化することになり、将来における株価へ影響を及ぼす可能性があります。

 

② 配当政策について

 発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小

 当社の配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。

 当社では、今後、記載の方針に基づき配当額を決定していくため、当社の業績が配当額の算定に影響を与える可能性があります。

 

③ 新型コロナウイルス感染症等の影響について

 発生可能性:中、発生する可能性のある時期:1年以内、影響度:中

 新型コロナウイルス感染症を含む感染症の発生及び流行拡大については、当社グループのリスク管理施策により抑制できるものではありませんが、リモートワークを基本とした働き方への変革や役職員の感染予防対策の実施、各事業におけるサービス提供体制のオンライン化により、事業の継続性に関する影響を可能な限り抑制しながら、感染症の拡大によりサービス提供が滞らない体制を構築しております。

 また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う採用市場への影響はあるものの、コロナ禍で急速に進んだデジタル化は、デジタル領域でサービスを提供するDX・SaaS関連企業にとっての事業機会となり、事業成長を後押しする環境となりました。その結果、当社グループの主要顧客であるDX・SaaS関連企業における求人ニーズは高まっているものと考えております。

 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により景気の悪化が深刻化するような状況が発生した場合や新たな感染症が発生した場合には、顧客企業が採用活動に慎重になる可能性や顧客企業内の感染症対応の繁忙等により当社グループのサービス導入の意思決定が遅延する可能性があります。また、当社グループ内での感染拡大や当社グループの業務委託先等が事業活動の縮小等を余儀なくされることも考えられます。そのような場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当社グループは新産業領域における人材創出事業の単一の報告セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

①財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は1,898,503千円となり、前連結会計年度末に比べ100,991千円減少いたしました。これは主に、投資有価証券が67,926千円増加した一方で、現金及び預金が160,641千円減少したことによるものであります。

 投資有価証券の増加は、当連結会計年度において設立されたUT創業者の会有限責任事業組合及びUT創業者の会投資事業有限責任組合への出資によるものであります。現金及び預金の減少は、主に未払金の支払、法人税等の支払に伴う支出の増加によるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は525,880千円となり、前連結会計年度末に比べ245,936千円減少いたしました。これは主に、未払金が60,762千円、前受金が133,164千円減少したことによるものであります。

未払金の減少は、主に前連結会計年度末に実行した成長投資の支払いによるものであります。前受金の減少は、主に新卒採用に係る人材紹介手数料の減少によるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は1,372,623千円となり、前連結会計年度末に比べ144,944千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加139,625千円によるものであります。

この結果、自己資本比率は72.3%(前連結会計年度末は61.4%)となりました。

 

②経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に対して、ワクチン接種が進んだこと、及び政府により水際措置の緩和や、行動制限を行わない方針が掲げられたこと等から、国内の経済活動は持ち直しの動きがみられます。一方で、長期化するウクライナ情勢悪化による資源価格上昇や日米金利差拡大を受けた急速な円安の進行による物価上昇、世界的な物価上昇を背景に米国をはじめとした各国での金利引き上げなど、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 人材関連ビジネス市場においても、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける一方で、オンライン化の進展により働く場所を問わない就業スタイルの浸透が進んだことや、オンラインでの採用活動が定着したこと等により、これまで時間的制約や地理的制約等から就業機会を失っていた求職者にとっては、新たな就業機会を獲得する契機となり、求人企業にとっても、より多くの人材獲得機会を得ることができると考えております。

 当社グループの事業領域であるスタートアップ・ベンチャー企業をはじめとした新産業領域における人的資本を取り巻く環境では、政府が掲げる「新しい資本主義」において、スタートアップの育成及び人への投資の抜本的強化が重点戦略の中に位置づけられており、スタートアップの育成が日本経済のダイナミズムと成長を促し、社会課題を解決する鍵であるとして、2022年11月28日に「スタートアップ育成5カ年計画」が発表されました。政府はその中の3本柱のひとつとして、スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築を掲げており、人的資本の重要性が高まっております。さらに、2022年3月15日に提言された経団連の「スタートアップ躍進ビジョン~10X10Xを目指して~」においても、5年後までに起業数10倍、成功レベル10倍(ユニコーン企業数約100社・デカコーン企業数2社以上)が成長目標に据えられ、そのために起こすべき7つの変化の一つが「人材の流動化、優秀人材をスタートアップエコシステムへ」となっております。2022年8月には、これらのスタートアップ政策の司令塔として、「スタートアップ担当大臣」のポストが追加されるなど、少子高齢化・人口減少による経済停滞という社会課題を解決するための重点投資領域として、「人」と「スタートアップ・ベンチャー企業」が位置づけられ、今後さらに取り組みが強化されていく中で、当社グループの事業機会もより拡大していくものと考えております。

 このような経営環境の中、当社グループは、「人の可能性を引き出し 才能を最適に配置することで 新産業を創出し続ける」というミッションを掲げ、新産業領域における人材の最適配置を中心として、人の持つ可能性に着目した「新産業領域における才能の最適配置を目指すプラットフォーム」を提供してまいりました。

 また、2022年11月16日の取締役会において、代表取締役及び取締役の異動による新経営体制への移行を決定し、2023年3月1日から新経営体制への移行が完了しております。本サクセッション(経営継承)により、第二創業期として様々な変革を推進し、当社グループの成長力のさらなる向上を目指してまいります。本件の詳細につきましては、2022年11月16日に公表いたしました、「代表取締役及び取締役の異動に関するお知らせ」をご参照ください。

 当連結会計年度において、キャリアサービス分野では、当社グループの主力サービスである新卒学生向け厳選就活プラットフォーム「Goodfind」を含む学生向けサービスの売上高が前期比1.6%増加と同水準で推移しましたが、社会人向けサービスにおいて、求職者と求人企業とのマッチングを行うキャリアエージェントの育成が遅延したこと等の内部要因により入社人数が減少し、売上高は前期比40.3%の減少となりました。その結果、キャリアサービス分野の売上高としては、前期比3.7%の減少となりました。一方で、メディア・SaaS分野では、売上高が前期比43.8%増加と大幅に成長いたしました。これは主に、前期から販売戦略の改善に取り組んできた若手イノベーション人材向けビジネスメディア「FastGrow」における1社当たり販売価格の向上によるものであります。販売費及び一般管理費については、主に業容拡大に伴う人員強化による人件費の増加により、前期比9.7%の増加となりました。

 この結果、当連結会計年度の当社グループの経営成績は、売上高1,471,590千円(前連結会計年度比3.8%増)、営業利益208,662千円(同19.3%減)、経常利益209,985千円(同26.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益139,625千円同(同32.8%減)となりました。

なお、当社グループの売上高は、当社グループの売上高構成比が最も大きく、主要事業である「Goodfind」において、顧客企業の新卒学生向けの採用活動が活発に行われる時期に売上が集中いたします。さらに、新卒学生に係る人材紹介手数料については、入社日基準により売上高を認識しているため、新卒学生の多くが入社する4月に売上高が集中いたします。この結果、第1四半期に売上高及び営業利益が集中する傾向にあります。当該傾向については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク (2)事業内容に関するリスク ⑦ 業績の季節的変動について」に記載のとおりであります。

当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しておりますが、当該会計基準等の適用による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に与える影響は軽微であります。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は1,656,762千円となり、前連結会計年度末に比べ160,641千円減少いたしました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は63,106千円(前年同期は441,806千円の獲得 504,912千円減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上206,895千円、未払金の減少額66,196千円、前受金の減少額133,164千円、法人税等の支払額88,550千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は82,862千円(前年同期は56,253千円の獲得 139,115千円減)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出67,000千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は14,672千円(前年同期は493,943千円の獲得 508,615千円減)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出19,992千円によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループは新産業領域における人材創出事業の単一の報告セグメントであるため、事業部門別に記載しております。

事業部門

当連結会計年度

(自 2022年3月1日

至 2023年2月28日)

金額(千円)

前期比(%)

 

キャリアサービス分野

1,153,201

96.3

 

学生向けサービス

1,063,490

101.6

社会人向けサービス

89,711

59.7

 

メディア・SaaS分野

318,388

143.8

 

合計

1,471,590

103.8

(注)1.上記事業部門別の売上高は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づくEY新日本有限責任監査法人の監査は受けておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先が存在しないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える将来に関する見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状、その他さまざまな要因を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表作成において採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による会計上の見積りへの影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、1,471,590千円(前期比103.8%)となりました。当社グループは、新産業領域における人材創出事業の単一の報告セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しておりますが、売上高については、キャリアサービス分野及びメディア・SaaS分野を事業部門として区分し、さらに、キャリアサービス分野は、学生向けサービス及び社会人向けサービスに細分化して分析しております。

 

事業部門

前連結会計年度

(自 2021年3月1日

  至 2022年2月28日)

当連結会計年度

(自 2022年3月1日

  至 2023年2月28日)

金額(千円)

前期比(%)

金額(千円)

前期比(%)

キャリアサービス分野

1,196,949

111.9

1,153,201

96.3

 

学生向けサービス

1,046,685

114.2

1,063,490

101.6

 

社会人向けサービス

150,263

97.9

89,711

59.7

メディア・SaaS分野

221,423

91.7

318,388

143.8

合計

1,418,373

108.2

1,471,590

103.8

(注)上記事業部門別の売上高は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づくEY新日本有限責任監査法人の監査は受けておりません。

 

当連結会計年度における売上高が1,471,590千円(前期比103.8%)となった主な要因は、「FastGrow」及び「TeamUp」で構成されるメディア・SaaS分野の売上高が318,388千円(前期比143.8%)と増収した一方で、社会人向けサービスの売上高が89,711千円(前期比59.7%)と大幅に減少したこと及び、学生向けサービスの売上高が1,063,490千円(前期比101.6%)と前年と同水準に留まったことにより、キャリアサービス分野が減収となったことによるものであります。なお、サービスモデルの詳細については、「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載しております。

当社グループの主力事業である学生向けサービス「Goodfind」においては、2022年卒業、2023年卒業学生会員の利用率低下に伴い顧客と学生のマッチングが伸び悩み、成功報酬型人材紹介サービスの売上高が前年と同水準となったこと及び、2023年卒業、2024年卒業学生の採用に係る人材紹介一体型コンサルティングサービスの売上高は微増した一方でメディアサービスの販売が減少した結果、前期比微増に留まりました。

学生向けサービスにおけるサービスモデル別売上高は次のとおりであります。

 

(単位:千円、%)

サービスモデル

前連結会計年度

(自 2021年3月1日

 至 2022年2月28日)

当連結会計年度

(自 2022年3月1日

 至 2023年2月28日)

金額

構成比

前期比

金額

構成比

前期比

成功報酬型

人材紹介サービス

253,234

24.2

132.4

253,100

23.8

100.0

人材紹介一体型

コンサルティングサービス

299,468

28.6

107.5

327,099

30.8

109.2

メディアサービス

493,983

47.2

110.7

483,291

45.4

97.8

合計

1,046,685

100.0

114.2

1,063,490

100.0

101.6

(注)上記サービスモデル別の売上高は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づくEY新日本有限責任監査法人の監査は受けておりません。

 

メディア・SaaS分野の当連結会計年度の売上高が318,388千円(前期比143.8%)となった要因は、「FastGrow」において、前期から販売戦略の見直しに取り組んだ結果取引社数が増加したこと及び、「TeamUp」においてMRRが堅調に推移したことによるものであります。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度における売上原価は、49,360千円(前期比93.0%)となりました。これは主に、「FastGrow」においてメディア掲載コンテンツの制作原価の増加した一方で、社会人向けキャリアサービス「Goodfind Career」において人材紹介に係る手数料原価が減少したことによるものであります。

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、1,213,566千円(前期比109.7%)となりました。これは主に、業容拡大に伴い前期から積極的に人的資本投資を実施したことにより人件費が増加したことによるものであります。また業容拡大及び生産性向上、効率化を目的としてIT関連費が増加している一方で、2022年7月に減資を実施したことにより、租税公課等は減少しております。

この結果、営業利益は208,662千円(前期比80.7%)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

営業外収益は、4,436千円(前連結会計年度は33,699千円 29,262千円の減少)となりました。これは主に、前期計上した投資有価証券の売却に伴う投資有価証券売却益32,645千円が当期発生しなかったことによる減少及び組合事業組合運用益3,882千円を計上したことによるものであります。営業外費用は、3,113千円(前連結会計年度は8,448千円 5,335千円の減少)となりました。

この結果、経常利益は209,985千円(前期比73.9%)となりました。

 

(特別損益、法人税等合計、親会社株主に帰属する当期純利益)

特別損失は、前連結会計年度は発生がありませんでしたが、当連結会計年度において3,089千円が発生しております。これは減損損失3,089千円を計上したことによるものであります。

法人税等合計は、課税所得の増加により法人税、住民税及び事業税が増加した一方で、法人税等調整額が減少したことにより、67,270千円(前連結会計年度は76,147千円 8,876千円の減少)となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は139,625千円(前期比67.2%)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析及び検討内容

キャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローについては、新規サービスの開発に係る無形固定資産の取得及び投資有価証券の取得を行ったことにより、投資支出となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローについては、主に借入金の返済に伴う支出が新株予約権行使による株式の発行による収入を上回ったことなどにより財務支出となりました。

 

 

④資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの資金需要として主なものは、人件費、人材獲得のための採用費、業務委託費、新規顧客企業獲得や求職者獲得のための広告宣伝費であります。これらの必要資金については、営業活動により獲得した自己資金を充当することを基本方針としながら、今後の資金需要や金利動向等を勘案し、必要に応じて金融機関からの借入やエクイティファイナンス等による資金調達を検討する予定であります。なお、これらの資金調達方法の優先順位は、資金需要や資金使途等に合わせて最適な方法を検討・選択する予定であります。

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,656,762千円であり、本書提出日現在における資金需要に対して必要な資金は確保されております。なお、当社は取引銀行1行と当座貸越契約を締結しており、当連結会計年度末における当座貸越極度額及び借入未実行残高は100,000千円であります。金融・資本市場の流動性が低下した状況下においては、当該当座貸越極度額を使用することによって流動性を確保いたします。

 

⑤経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループが目標とする経営指標については、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、当連結会計年度は、売上高成長率、営業利益成長率及び売上高営業利益率を客観的な指標として掲げております。なお、当連結会計年度の経営方針に則った通期業績予想について、業績動向等を踏まえ、2022年4月14日に公表した各経営指標の予想値を修正し、2022年10月12日に改めて公表しました。

当連結会計年度の業績予想の達成状況は次のとおりであります。

指標

業績予想

実績

予想比

売上高成長率

9.5%

3.8%

△5.7ポイント

営業利益成長率

0.5%

△19.3%

△18.8ポイント

売上高営業利益率

16.8%

14.2%

△2.6ポイント

 

2024年2月期は、売上高、営業利益及び営業利益率を客観的な指標として掲げており、売上高1,428百万円(当連結会計年度比2.9%減)、営業利益30百万円(当連結会計年度比85.3%減)、営業利益率2.1%(当連結会計年度は14.1%)を計画しております。なお、2023年4月13日に公表した「2023年2月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」における業績予想から変更はありません。

 

⑥経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。