第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは、経営理念である「ユーザーのための研究開発」をモットーに、境界領域(モノとモノとの接点における摩擦や磨耗など)におけるニーズに応えることによって、社会に貢献できる企業を目指してまいりました。現中期経営計画(2021~2023年度)においては、次の5項目を中期経営方針に掲げております。

① 当社グループの経営資源を最大限活用し、持続可能社会の実現に貢献する。

② 営業と開発の強みを相互に活かし、事業の付加価値向上と新事業分野へのチャレンジを加速する。

③ 継続的な技術革新によりものづくりの競争力を強化し、製造原価の低減と品質の向上を図る。

④ 管理部門の抜本的な改革により業務効率の改善を図り、MORESCO流働き方改革を推進する。

⑤ コンプライアンス・リスクに対して高い意識をもち、ステークホルダーの信頼を高める。

 

(2) 経営環境、経営戦略および優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

我が国経済は、新型コロナウイルス感染症が収束しつつある中、社会経済活動の回復が期待できる状況にあります。一方、世界経済は昨年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻から1年以上が経過しましたが、収束の兆しが見えず情勢は予断を許しません。また、米国・欧州等における金融情勢の不安定さ、日本においても物価の上昇傾向が顕著であることから、経済情勢の不透明感には注視を要します。
 一昨年の下期以降、上昇し続けていた原材料価格は、目下のところ落ち着きを見せていますが、販売価格への転嫁を継続し、利益確保に努めてまいります。
 当社は事業の付加価値向上と持続可能社会の実現に向け、2022年に制定した「MORESCOグループサステナビリティ基本方針」および以下の経営ビジョンのもとで、2022年11月にはTCFD提言への賛同を表明し、脱炭素社会に向けた活動について積極的に情報開示を行っております。

 

地球にやさしいオンリーワンを世界に届けるMORESCOグループ

未来のために もっと化学 もっと輝く

 

環境関連分野では、サーキュラーエコノミー(循環型経済)推進の一環として、難燃性作動液の回収・再生率向上、モニタリングシステム導入による製品の長寿命化等、サステナブル社会に合わせ新たなビジネスを推進しています。また、バイオマスマーク商品として認定された植物由来樹脂配合のホットメルト接着剤、環境負荷低減に寄与する低VOC型ホットメルト接着剤等の開発をさらに進め、持続可能社会実現に貢献していきます。

エネルギーデバイス分野では、食品包装分野、水素エネルギー分野に向けて、ガス・水蒸気透過度測定装置の開発を推進しています。2023年度内には、水素社会実現への貢献として、水素に特化した透過度測定装置を上市予定です。また、有機薄膜太陽電池(OPV)はフレキシブルで軽量なフィルム状の太陽電池であり、半透明で意匠性も高いことから、商業施設、研究機関、公的機関、官公庁への展開を推進しています。OPVに蓄電されたエネルギーは、CO ₂ を大幅に抑えたクリーンな再生可能エネルギーであり、大学とともに材料開発にも注力し環境にやさしいエネルギーデバイスとして、企業を中心にOPVの拡販を進めております。

ライフサイエンス分野では、当社の強みである有機合成技術を生かし、オートファジーを制御する新規化合物の共同研究開発を進めております。また、水に溶けにくい有効成分を当社の特許技術であるナノエマルジョンテクノロジーで水溶化することで皮膚や腸からの吸収を促進させる技術を生かし、大手化粧品会社等での採用に向け活動を続けています。

海外においては、これまでの中国担当の執行役員に加え、北米担当、東南/南アジア担当を新たに選任し、従来以上に各地域でのニーズ把握、新製品開発等に注力してまいります。

研究開発においては、各市場において顧客ニーズに即応する製品開発に重点を置いた体制を構築してきましたが、今後は事業部を横断した連携や、海外子会社、大学との連携をより図る等、既存技術と新規技術をシンクロさせながら社会課題に対応できる両利きの研究開発を進めてまいります。

また、当社は2021年から2023年まで3年連続で「健康経営優良法人(大規模法人部門)」の認定を受けておりますが、今後も従業員の健康を会社の財産と考え、従業員のワークライフバランスやメンタルヘルスを重要視し、健康増進のため最大限の支援を継続いたします。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

第9次中期経営計画(2021年度~2023年度)の最終年度である2023年度においては、目標を下記のとおり定めております。

 

2022年度

(実績)

2023年度

(計画)

売上高(百万円)

30,333

34,500

営業利益(百万円)

523

1,400

経常利益(百万円)

1,046

1,600

親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)

615

700

経常利益率(%)

3.4%

4.6%

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 海外市場での展開について

当社グループは、中国、タイ、インドネシア、米国およびインドで現地法人設立による生産販売拠点を設置し海外事業を推進しております。当社グループの海外売上高は、中国、東南アジアをはじめとするアジア地域を中心に、2022年2月期10,484百万円、2023年2月期11,492百万円であり、売上高に対する比率はそれぞれ、38.4%、37.9%であります。これらの海外市場における景気変動、通貨価値の変動、政治情勢の変化、災害・疫病の発生および法規制の変化等が、当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。

 

(2) 気候変動について

当社グループでは、気候変動を経営上の重要課題であると捉え、気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識しております。

気候変動リスクとしては、移行リスクとしてコストの上昇や市場の変化、物理的リスクとしてサプライチェーンリスク等が重要度と発生確率が高いものと認識しております。

このような認識の一方で、当社グループは、気候変動をリスクだけでなく機会と捉え、「持続可能社会の実現」と「中長期的な企業価値の向上」を両立させつつ事業を運営し、社会課題や環境課題の解決により一層貢献するべく、サステナビリティ課題に対して積極的に対応していきます。

 

(3) 製品の製造に関するリスクについて

① 自然災害およびパンデミックまたは事故等に伴うリスク

当社グループは、国内外に生産拠点を有しており、安定供給への重大な責任を有しております。これら拠点が大規模な自然災害やパンデミックの発生または事故等により、製品の供給が困難な事態に至った場合には、当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。

② 特定の生産拠点への集中

(合成潤滑油部門)

当社では、高温用潤滑油製造のための合成設備を赤穂工場で、またハードディスク表面潤滑剤製造設備は本社・研究センター内でそれぞれ保有しており、万一、工場、本社において重大なトラブルが発生し、設備の稼働が長期的に停止する事態になった場合には、製品の供給が一時的に停止する可能性があります。在庫量につきましては約1.0ヵ月であります。

(素材部門)

当社では、流動パラフィンならびにその連産品であるスルホネートを硫酸精製法により生産しております。硫酸精製法のメリットは、連産品としてスルホネートを生産できることですが、デメリットとしては製造過程において廃棄物として廃硫酸が発生することがあげられます。当社においては、隣接する廃硫酸リサイクル企業との間をパイプラインで直結し、廃硫酸処理を含めた一貫生産ライン(クローズドシステム)を構築しておりますが、廃硫酸処理を他社の設備で行っているため、当該他社工場の移転、縮小等、設備に変更が生じた場合、素材部門の生産能力に影響をおよぼす可能性があります。

また、当社では流動パラフィンならびにスルホネートを千葉工場のみで生産しており、万一工場において重大なトラブルが発生し、工場の稼働が長期的に停止する事態になった場合には、製品の供給が一時的に停止する可能性があります。工場の在庫量は約1.0ヵ月であります。

以上のような製品の製造に係るリスクに対して当社グループでは、拠点ごとでの事業継続計画(BCP)の策定、定期的な設備の保守点検および防災訓練の実施等、リスク発生の回避と発生時の被害最小化を図る取り組みを行っております。

 

(4) 製品の品質について

当社グループは、ISO9001の認証取得を含む厳しい社内品質保証体制に基づき製品の品質と信頼性の維持向上に努めておりますが、製品の品質不良に伴うリスクを完全に排除することは不可能であり、予期せぬ不良等が発生した場合、訴訟等のリスクがあります。当社グループの製品に品質保証問題が生じた場合には、補償費用が発生し、また、製品の信頼を損なって顧客の喪失等に結びつき、当社グループの業績に影響をおよぼす可能性があります。当社グループは、製造物賠償責任請求に対しては保険に加入しておりますが、最終的に負担する賠償額をすべてまかなえるという保証は無く、製品の欠陥が当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。

 

(5) 原料購入に伴うリスクについて

当社グループの製品は、潤滑油、石油化学製品、化成品等を主な原料としており、これらの原料は、原油価格・ナフサ価格の変動の影響を受けます。原油価格・ナフサ価格は、今後とも国内外の需給動向等により大きく変動することがあります。また東日本大震災では原料製造工場の被災による影響を受けましたが、今後とも災害・事故等による供給停止や、供給者側の事業・製品の統廃合等にともない原料の入手に支障をきたす可能性もあります。

当社グループとしては、原料価格の変動による影響に対しては特殊潤滑油の主たる販売先との間で原油・ナフサ価格に連動した製品価格の改定を行っているなど、製品価格への転嫁を進めるとともに、コスト削減および高付加価値製品への転換を図ってまいります。所要原料の確保については、グローバルレベルでの原料調達先の確保・使用原料の多様化により対処してまいりますが、これらの対処が十分にできなかった場合には、当社グループの業績に影響をおよぼす可能性があります。

 

(6) 研究開発に関するリスク

当社グループでは、新製品開発が収益性の向上や将来の成長に寄与するものとの認識のもと、新製品の開発に多くの経営資源を投入しております。特に、2021年度より開始した第9次中期経営計画では、「持続可能社会の実現への貢献」と「事業の付加価値の向上と新事業分野へのチャレンジの加速」を経営方針に掲げ、「環境関連分野」「情報関連分野」「エネルギーデバイス分野」「ライフサイエンス分野」の4分野に重点を置き、研究開発に取り組んでおります。

このような経営方針のもと、研究開発部門と営業部門が密接に連携を取りながら、社内外のネットワーク(人脈、技術等)を活用し、市場ニーズの的確な把握と研究成果の早期結実に努めておりますが、投資に見合った収益が得られなかった場合には当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。

 

(7) 特許の出願方針について

当社グループが開発した新技術に関して、基本的には特許を出願する方針でありますが、製造方法に関する特許等で侵害発見が容易でないものおよび特殊潤滑油に関する特許等で組成を開示することにより配合ノウハウが他社に漏洩する可能性があるものについては、秘密保持のため、出願を控える場合があります。このため他社が、当該事項に関する特許を出願した場合には、特許が成立する可能性があります。当社としてはこうした事態に備え、社内での当該事項の実施記録を残すことにしており、「先使用権による通常実施権」を主張することができるよう対処しております。

 

(8) 法的規制について

当社の製品および各事業所を規制する主な法的規制・行政指導は、以下のとおりであります。なお、新たな法規制、条例等の改正により、当社グループの業績に影響をおよぼす可能性があります。

・化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律

・労働安全衛生法

・消防法

・水質汚濁防止法

・廃棄物の処理及び清掃に関する法律

・石油コンビナート等災害防止法

今後、環境に対する意識の高まりから「水質汚濁防止法」「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」の更なる法改正が進められる可能性が考えられ、当社工場からの廃棄物、排水等の処理に更なる規制の強化が図られた場合には、工場内での処理方法の開発、排出前処理のための設備投資等が必要となり、当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。

 

(9) コンプライアンスに関わるリスク

当社グループでは、全ての役職員が「経営理念」「MORESCO行動憲章」および「内部統制システムの整備に関する基本方針」に沿って企業活動に従事し、ステークホルダーから支持される企業となるため、「コンプライアンス方針」を制定し、これに基づきコンプライアンス遵守体制の整備と推進を実行しております。またグループ各社を対象とした内部監査の実施により、コンプライアンス遵守体制の維持、改善に努めております。

こうした取り組みにも関わらず、重大な法令違反を起こした場合、社会的信用の低下等により、当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。

 

(10) 情報セキュリティについて

近年、外部からのサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルス感染等により、企業が保有する情報が流出する事件が多発しています。当社としましては、「情報セキュリティポリシー」およびこれに関連する規程の整備および運用、情報セキュリティ対策製品の導入、並びに役員、従業員を対象とした情報セキュリティ教育の実施等により、その防止に努めております。

しかしながら、不測の事態により情報の流出等が発生した場合には、社会的信用の低下等により、当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。

 

(11) 棚卸資産の評価に関わるリスク

当社グループは、「棚卸資産の評価に関する会計基準」を適用しております。市場環境の急激な変化等により収益性が低下していると判断し、保有する棚卸資産に対して評価損を計上する場合に、当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。

 

(12) 固定資産の減損に関わるリスク

当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により、保有する固定資産について減損損失を計上する場合に、当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態および経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費の回復等により、回復基調で推移しました。世界経済においては、インフレ圧力が顕在化する中で、欧米各国は金融政策を引き締め方向に転換させました。このような金融情勢の中、ドル円相場は激しく変動しました。中国においては、ゼロコロナ政策下での厳しい行動制限や同政策終了後の感染急拡大による混乱が景気を下押ししました。

このような状況のもと、当連結会計年度の財政状態および経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて3,009百万円増加し、32,017百万円となりました。これは主に、売上債権が752百万円、棚卸資産が979百万円、投資その他の資産が537百万円それぞれ増加したこと等によるものです。

負債は、前連結会計年度末に比べて2,321百万円増加し、10,778百万円となりました。これは主に、仕入債務が836百万円、短期借入金が1,822百万円それぞれ増加した一方で、未払法人税等が244百万円減少したこと等によるものです。

純資産は、前連結会計年度末に比べて688百万円増加し、21,240百万円となりました。これは主に、利益剰余金が242百万円、為替換算調整勘定が373百万円それぞれ増加したこと等によるものです。

 

b.経営成績

当連結会計年度の売上高は、原材料価格高騰等に伴う販売価格の是正により、30,333百万円(前期比11.1%増)となったものの、販売価格への転嫁までにタイムラグが生じていることから、営業利益は523百万円(前期比63.5%減)となり、経常利益は1,046百万円(前期比48.0%減)となりました。また、前期の特別利益(固定資産売却益833百万円)の剥落もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は615百万円(前期比66.0%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

日本

全体的には販売価格の是正により増収となりました。部門別の販売の状況は次のとおりです。

特殊潤滑油部門では国内自動車生産台数は前期を上回ったものの、主要顧客での生産台数減少の影響を受け、数量は前期を下回りました。ホットメルト接着剤部門では、主力の衛生材用途が堅調に推移したことに加え、粘着用途での新規獲得による増加等により数量は前期を上回りました。素材部門では、ポリスチレン可塑剤用途での数量が、顧客工場での大型定期修理等の影響で減少しました。合成潤滑油部門では、高温用潤滑油が顧客での在庫調整の影響を受け、またハードディスク表面潤滑剤はデータセンター投資の冷え込みの影響により、ともに数量は前期を下回りました。

以上の結果、当セグメントの外部顧客への売上高は19,637百万円(前期比6.8%増)となりましたが、原材料価格高騰等の影響によりセグメント利益は33百万円(前期比96.0%減)となりました。

 

中国

特殊潤滑油は販売価格の是正と円安の進行により増収となりました。ホットメルト接着剤は、空気清浄機用フィルター用途での需要が一段落したこと等により減収となりました。

この結果、当セグメントの外部顧客への売上高は3,814百万円(前期比5.2%増)となりましたが、原材料価格高騰等の影響によりセグメント利益は311百万円(前期比28.2%減)となりました。

 

東南/南アジア

特殊潤滑油は需要の回復により前期を上回る数量となり、また販売価格の是正と円安の進行により増収となりました。ホットメルト接着剤はインドおよびインドネシアでの数量増により増収となりました。

この結果、当セグメントの外部顧客への売上高は5,870百万円(前期比30.4%増)となりセグメント利益は123百万円(前期比42.7%増)となりました。

 

北米

メキシコにおける日系自動車メーカーの稼働率低下の影響等により数量は減少しましたが、販売価格の是正と円安の進行により増収となりました。

この結果、当セグメントの外部顧客への売上高は1,011百万円(前期比28.1%増)となりましたが、原材料価格高騰等の影響によりセグメント利益は87百万円(前期比18.6%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて532百万円増加し、4,186百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

営業活動によるキャッシュ・フローは515百万円の収入(前期は2,333百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益等によるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは1,172百万円の支出(前期は603百万円の収入)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出等によるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは1,227百万円の収入(前期は2,937百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額等によるものです。

 

③ 生産、受注および販売の実績
a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年3月1日

至 2023年2月28日)

前年同期比(%)

日本(百万円)

18,366

108.7

中国(百万円)

2,754

90.4

東南/南アジア(百万円)

6,870

118.9

北米(百万円)

272

123.0

合計(百万円)

28,261

108.9

 

(注) 金額は販売価格によっております。

 

b.受注実績

当社グループの化学品事業は、主として見込み生産を行っているため、受注実績は記載しておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年3月1日

至 2023年2月28日)

前年同期比(%)

日本(百万円)

19,637

106.8

中国(百万円)

3,814

105.2

東南/南アジア(百万円)

5,870

130.4

北米(百万円)

1,011

128.1

合計(百万円)

30,333

111.1

 

(注) 1.従前は、セグメント間の内部売上高を含めてセグメント別の売上高を記載しておりましたが、当期より外部顧客への売上高のみを記載する方法に変更しております。

2.前連結会計年度および当連結会計年度における主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

当連結会計年度

(自 2022年3月1日

至 2023年2月28日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

松村石油株式会社

4,354

15.9

4,809

15.9

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度における経営成績につきましては、売上高は30,333百万円(前期比11.1%増)となりました。全般的に販売価格が上昇したこと、インドおよびインドネシアでのホットメルト接着剤の増販および東南アジアでの特殊潤滑油の需要回復等によるものです。利益面については、原材料価格高騰による原価率の上昇により、営業利益は523百万円(前期比63.5%減)となり、経常利益は1,046百万円(前期比48.0%減)となりました。また、前期の特別利益(固定資産売却益833百万円)の剥落もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は615百万円(前期比66.0%減)となりました。

財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態および経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりです。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性に係る情報

当連結会計年度においては、営業活動で得られた収入および財務活動で得られた収入を主な財源として、有形固定資産の取得を行いました。詳細は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

当社グループの資本の財源および資金の流動性については、必要資金は自己資金のほか金融機関からの借入等で確保しております。自己資金に関しては、営業活動によるキャッシュ・フローにより、継続的、安定的な資金の獲得を行っておりますことに加え、グループ各社の資金集約化により、資金の効率的な運用に努めております。また、金融機関からの借入に関しては、主要取引金融機関と当座貸越契約を締結し、資金の流動性を確保しております。

 

③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)に記載しております。

 

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当連結会計年度は第9次中期経営計画(2021年度~2023年度)の2年目でありました。当該計画立案当初における当連結会計年度の目標数値の達成状況は次のとおりであります。

 

 

2023年2月期

(目標)

2023年2月期

(実績)

達成率(%)

売上高(百万円)

27,700

30,333

109.5%

営業利益(百万円)

1,670

523

31.3%

経常利益(百万円)

1,870

1,046

55.9%

親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)

1,070

615

57.4%

経常利益率(%)

6.8%

3.4%

 

(注)目標は2021年2月22日公表値です。

 

また、2023年度の目標数値は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであり、その達成のための対処すべき課題は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営環境、経営戦略および優先的に対処すべき事業上および財務上の課題」に記載のとおりであります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、多様化する顧客ニーズや持続可能社会の実現に対応していくため、また、新たな分野での事業創出のため積極的に研究開発活動に取り組んでおり、原材料の精製・合成・変性・配合による高機能付与および顧客要求条件に合致した製品特性の評価技術を基盤に、カーボンニュートラル社会に適合した、特殊潤滑油、合成潤滑油、ホットメルト接着剤および新規事業開発の各部門で研究開発を進めております。研究開発拠点は日本に置き、中国・東南アジア・米国には技術者を日本から派遣し、セグメント間の連携を図りながら現地に根ざした製品開発するとともに、現地の開発力の向上を推進し、各拠点での迅速な開発が可能な体制づくりを行っております。

主として当社の本社・研究センターに、事業部門に関連した開発部および新規事業開発を担う研究開発部を置き、環境関連、情報エレクトロニクス関連、エネルギーデバイス関連、ライフサイエンス関連の各分野での新材料開発・新技術開発・新製品開発および既存製品の改良開発を推進しております。研究開発スタッフは101名であり、これは従業員全体の12.9%に当たっております。

当連結会計年度における各セグメント別の研究開発の主要課題、研究開発成果および研究開発費は次のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は1,246百万円となっております。

 

(1) 日本

(特殊潤滑油部門)

主に、機能材事業部内に設置している各分野の開発課において、ダイカスト用油剤、難燃性作動液、熱間鍛造潤滑剤、金属加工油等の研究開発を行っております。

持続可能社会の実現に向けた環境負荷低減や省資源化・リサイクル化に貢献できる新製品開発を始め、IoT・AIやセンサーを用いた基盤技術構築、更に油剤長寿命化や使用量削減が可能な周辺装置開発にも注力しております

ダイカスト用油剤では、少量の塗布で使用可能な油剤による工場内環境改善、品質・生産性向上を実現する、製品開発を完了していますが、今後更には各自動車メーカーのEV化・軽量化で貢献できる少量塗布型新製品開発を推進します。また効率的な少量塗布を実現・サポートするための塗布シミュレーション技術の開発も進めて参ります。

難燃性作動液では、国内No.1水グリコール系作動液メーカーとして環境への取り組みを加速し、劣化作動液から主成分を回収利用するリサイクルシステムのブラッシュアップに併せ、作動液の長寿命化を実現するための自動モニタリングシステムの開発により廃棄物低減による環境負荷の低減への貢献も進めています。

熱間鍛造潤滑剤では、黒鉛代替可能で環境改善可能な白色系潤滑剤の開発を進め、特にサイクルタイムの早い加工を行う工程に用いることのできる潤滑剤の製品開発を成功させました、引き続き自動車軽量化で適用が期待されるアルミ鍛造分野への取り組みを推進しております。

金属加工油では、環境改善や生産性向上に貢献できる水溶性切削油のコア技術の更なる深耕を進めると共に、加工油剤の長寿命化を実現するための自動モニタリングシステムの開発を行い、加工性能の安定化や廃棄物低減による環境負荷の低減への貢献を進めています。

 

(合成潤滑油部門)

合成潤滑油開発部において、ハードディスク表面潤滑剤、ハードディスクドライブ内部品用グリース基油・半導体製造装置用の特殊油剤等の研究開発を行っております。独自の分子構造設計と合成・精製ノウハウによりオンリーワン製品の開発に注力しております。

ハードディスク表面潤滑剤では、さらなる記録密度向上のために必要とされる低浮上性(低すきま性)を実現する新規化合物が主要ディスクメーカーで採用され始めております。品質安定化のための製造基盤技術強化を進めるとともに、次世代ハードディスクの要求特性に対応した新規化合物の分子設計に注力しております。具体的には、大容量磁気記録技術として期待されている、MAMR(マイクロウェーブアシスト磁気記録)やHAMR(熱アシスト磁気記録)などに要求される耐久性・耐熱性に優れた新しい構造の潤滑剤の開発を続けております。

ハードディスクディスクドライブ内部品や半導体製造装置用の特殊油剤では、アウトガス発生の原因となる低揮発成分が嫌われるため、これを徹底的に除去した高度精製油剤の開発を行っており、市場評価も進んでおります。

また、新しい事業構築を目標として、バイオマス材料を用いた材料開発や添加剤合成の分野への挑戦も開始し、潤滑性や導電性、サステナブル社会への貢献といった市場動向の要求に沿って、独自性の高い高機能添加剤の開発を行うともに、合成技術を活かし他部門やグループ会社との協業による市販原材料とは異なる機能を有した新たな原材料設計・添加剤設計・製品開発に引き続き注力してゆきます。

 

(ホットメルト接着剤部門)

ホットメルト事業部内に設置しているホットメルト開発部において、人や環境に配慮した低臭気・無揮発成分(VOC)の接着剤の開発に加えて、省エネルギーを実現しうる低温塗工タイプの新製品やホットメルトの弱点である耐熱性不足を克服しうる新製品などの開発を行っております。

主要市場のひとつである衛生材料業界向けには、顧客の海外進出に追随し、現地調達可能な材料を用いた新製品開発とともに現地生産拠点への生産技術支援に引き続き取り組んでおります。また紙おむつなどの衛生材料市場の製品について、低臭気化のニーズにあわせたホットメルトの低臭気化技術や、接着界面の分析・解析技術の向上により、少ない塗布量でも十分な接着力を発揮できる低塗布量対応型ホットメルトの技術を開発し、ユーザーの安心感向上に貢献できる新製品開発に注力しております。

さらに近年、環境問題に対する意識が世界的に高まっており、資源の有効活用や循環型社会の形成に有効と考えられる「バイオマス」の利活用が盛んに検討される中、カーボンニュートラルに貢献し、機能面でも特長のある製品を増やし、お客様の多様性に沿ったラインナップを準備致しました。また自動車内装用向けの反応型ホットメルトの性能向上に成功し新たな自動車メーカーでご採用頂きました。ホットメルトはもともと有機溶剤を含まず、人体や環境に優しい粘接着剤ですが、原料そのものについても、バイオマス由来原料の特長を活かした粘接着剤の開発に取り組んでいきたいと考えています。

 

(新規事業開発部門)

環境関連、情報エレクトロニクス関連、エネルギーデバイス関連、ライフサイエンス関連などの分野をキーワードとし、引き続き新規事業創出を目指した種々の研究開発を行っております。

エネルギーデバイス関連分野に関しては、有機ELデバイスの封止材を主軸とする製品開発と販売に取り組んでおります。次世代有機デバイスとして期待されているフレキシブルタイプ向け、マイクロLED向け、そしてペロブスカイト型太陽電池向けの封止部材についても開発に注力しており、顧客評価が進んでいます。加えて、フレキシブルタイプに使用するフィルム等のガス・水蒸気透過度測定装置について販売および受託分析を継続しており、国内を中心として実績が拡大しております。更には水素透過率を測定できる新装置の開発も進んでいます。

有機薄膜太陽電池(OPV)については海外メーカーとの製品・材料での協業も取り入れながら、Roll-To-Rollでの独自の試作が可能な点を生かしながら販売を開始しております。

ライフサイエンス関連部門では複数の大学や研究機関と連携し、加齢に伴い悪化する各種生活習慣病とも関係すると考えられているオートファジーという細胞内の恒常性維持現象の活性化薬に関する創薬研究を進めています。また各種薬物の吸収性を飛躍的に高めることができる独自のナノエマルジョン技術を開発し、手始めに化粧品原料に応用し、実用化に向けた研究開発を進めております。その他の新規事業開発においては、長期経営計画をベースに、上記の開発テーマ以外にも、バイオガスからの非石油石炭由来オイルの製造開発なども進めている。またさまざまな調査活動や情報解析活動にも取り組んでおり、新たなプロジェクトの継続的な孵卵を進めております。

日本セグメントに係る研究開発費の金額は1,146百万円であります。

 

(2) 中国、東南/南アジアおよび北米

主としてダイカスト用油剤および金属加工油に関して、現地のニーズに合致した製品開発に注力し、研究開発要員が駐在し、現地開発体制の強化を進めております。ダイカスト用油剤においては、リーディングカンパニーとしての開発ノウハウを共有化し、現地ニーズに対応した製品開発をタイムリーに行うことにより、ローカルユーザーを含めた市場シェアアップに努めております。金属加工油では、日本で培った水溶性切削油開発におけるコア技術の共有化を図り、現地ニーズに合致した新製品開発を進めています。

中国、東南/南アジアおよび北米セグメントに係る研究開発費の金額は100百万円であります。