第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サッポログループの経営理念

 サッポログループは、「潤いを創造し 豊かさに貢献する」を経営理念に掲げ、「ステークホルダーの信頼を高める誠実な企業活動を実践し、持続的な企業価値の向上を目指す」ことを経営の基本方針として、企業活動を実践しています。

 時代とともに変容する“豊かさ”の本質によりいっそう向き合い、明日につながる、自然、社会、心の“豊かさ”に貢献していきます。

 

(2)中期経営計画(2023~26)

 1876年の創業以来、様々なイノベーションを発揮し、お客様に潤いと豊かさをもたらす商品やサービスをお届けしてきた当社グループは、2026年に創業150周年を迎えます。

 150年を越えて独自の存在価値を発揮し続けるために、2023年~2026年までの4か年の経営計画を2022年11月に発表しました。本計画は「Beyond150 ~事業構造を転換し新たな成長へ~」を基本方針とし、そのポイントは、事業ポートフォリオの見直しと、各事業のポジショニングに沿ったグループマネジメントを実現し、資本効率を高め企業価値を向上させていくことです。詳細は以下のとおりです。

 

(構造改革)

 不確実性の高い環境に適応するべく、各事業を市場環境、独自の強み、サステナビリティ、収益性、シナジー、リソース配分の6つの視点から考察し、事業ポートフォリオの整理を行いました。

 事業整理に位置付けた事業は速やかに整理を進め、再編に位置づけた事業は抜本的な見直し等、構造改革を断行します。

 

(強化・成長)

 海外酒類は8月末に子会社化したSTONE BREWING CO.,LLCとのシナジー創出により成長を加速し、海外飲料はシンガポールを起点にマレーシア、中東等での売上拡大を目指します。国内酒類は缶ビール、RTDの更なる強化により低収益から構造転換し成長軌道に乗せます。不動産は長期的な時間軸で賃貸中心から総合的に資産価値向上を図る事業体に転換し、収益性と資産効率を向上させます。

 

(財務目標)

・ROE:8%

・EBITDA年平均成長率(CAGR):10%程度

・海外売上高年平均成長率(CAGR):10%程度

 

(主な非財務目標)

・CO2排出削減

スコープ1、2 SBT認証レベル(4.2%/年削減)

スコープ3 SBT認証レベル(2.5%/年削減)

SBTイニシアチブへコミットメントレター提出、受理済

・女性役員比率、女性管理職比率:12%以上

 

(3)財務戦略

 「持続的成長と資本効率重視」をテーマに、構造改革・事業成長による収益力強化と、資産や事業ポートフォリオの見直しにより資本効率を高め企業価値向上を確かなものにします。

 財務の健全性は、現状格付けを維持することを基本とします。投資については、営業キャッシュフローとのバランスを取りながら、海外への投資を優先することで成長促進を図ると共に、サステナビリティ関連の投資も推進します。なお、M&A等の成長投資の機会には、現状格付を確保できる範囲で機動的に対応します。

 株主の皆様への利益還元は、経営上の重要政策と位置付けており、業績や財務状況を勘案して安定した配当を行うことを基本方針としています。今後の配当水準につきましては、連結配当性向30%以上を基本に、現状水準を下限として、企業価値向上を伴わせた配当水準の向上を図ります。なお、特殊要因にかかる一時的な損失や利益計上により、当期利益が大きく変動する場合は、その影響を考慮して配当金額を決定することがあります。

 

(4)対処すべき課題

①中期経営計画(2023~26)の推進とモニタリングについて

 当社グループは、「中期経営計画(2023~26)」の達成に向けて、内部運用ならびに外部開示の2つの観点からモニタリング体制を構築し、運用して参ります。内部運用の観点では、各事業セグメントにおける構造改革および成長戦略に関する具体的なアクションプランの進捗について、取締役会等を通じて綿密なモニタリングを行い、計画達成の裏付けを強化して参ります。また、外部開示の観点では、当社グループの取り組みを、従来以上に具体的に分かりやすく、且つタイムリーにステークホルダーの皆様にお伝えすることで、計画達成の蓋然性に対する信頼性の向上に努めて参ります。

 

②サステナビリティ経営の推進について

 サッポログループは、中期経営計画(2023~26)の策定にあたり、グループを取り巻く社会情勢や事業環境の変化に対応してサステナビリティ重点課題を全面的に見直しました。「サッポログループ サステナビリティ方針」のもと、取り組みの軸となる新しいサステナビリティ重点課題9項目に対し、それぞれ新たな目標を設定し、その達成に向けて、進捗をモニタリングしながら取り組みを推進していきます。

 これからも、世界中のサッポログループ従業員と、ステークホルダーとのパートナーシップのもとに、社会価値と経済価値の創出を両立させ、持続可能な社会の実現に向けて取り組んで参ります。

 

サッポログループ サステナビリティ方針

「大地と、ともに、原点から、笑顔づくりを。」

 

サステナビリティ推進体制

 サッポログループのサステナビリティ活動推進のための全体方針を策定し、グループ内の連携・調整を行うための機関として、代表取締役社長を委員長とする「グループサステナビリティ委員会」を設置しています。

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サステナビリティ重点課題とリスク・機会

 上述のとおり、2022年8月にサステナビリティ重点課題を全面的に見直しました。今般の見直しにおいては、幅広い社会課題について、各事業との関連性を「事業による社会・環境への影響度」と「社会・環境による自社財務への影響度」の両面から、リスク・機会の観点で評価し、新たなサステナビリティ重点課題9項目として特定しました。各課題の具体的取組を進めることで、経済価値創出に繋げます。中でも、グループの事業との関連性およびリスクと機会の影響度の大きさから、「脱炭素社会の実現」、「地域との共栄」、「多様な人財の活躍」を最注力課題と位置づけています。

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最注力課題3点に対する目標

 サステナビリティ重点課題に対し、それぞれ目標を設定し、その達成に向けて、進捗をモニタリングしながら取り組みを推進しております。最注力課題3点の目標は以下のとおりです。

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*会社名の表記については以下の略称を使用しています。

SH:サッポロホールディングス㈱、SB:サッポロビール㈱、PS:ポッカサッポロフード&ビバレッジ㈱、SGF:サッポログループ食品㈱、SRE:サッポロ不動産開発㈱、SLN:㈱サッポロライオン、SBL:SLEEMAN BREWERIES LTD.、SVL:SAPPORO VIETNAM LTD.、PK:POKKA PTE. LTD.

 

<TCFDへの対応>

 気候変動のリスクと機会に関する評価・管理、情報開示を促すTCFDの提言に賛同しています。気候変動対応は最重要課題の一つであると認識し、「緩和」と「適応」の両面から課題解決に向け、将来発生する可能性のある事業環境をシナリオ分析により複数想定した上で、リスクと機会を洗い出し、その結果を戦略や取り組みに反映しています。

 

ガバナンス

 「サステナビリティ推進体制」に記載の体制にて、取締役会による監督の下、グループの環境方針や世の中の動向を踏まえた各課題を検討し、統括・モニタリングをしています。また、事業会社では各事業特性にあわせた環境保全推進体制をとっています。

 

戦略

 「サッポログループ環境ビジョン2050」に基づき、脱炭素を志向した事業構造改革、省エネ対策の徹底に加え、再生可能エネルギーの活用で脱炭素社会の実現に向けた取り組みを進めています。再生可能エネルギーの活用としては、サッポロ不動産開発㈱において、2023年4月以降に全保有物件について同社が調達する全電力量に相当する非化石証書を購入することにより、電力の脱炭素化を実現する方針も掲げています。こうしたグループ全体での徹底した脱炭素の取り組みと、ビール事業で培ってきた原料づくりの取り組みで、気候変動へ緩和と適応の両面から課題解決に挑んでいます。なお、気候変動による影響が想定されるビール原料農産物の調達地域を対象としたシナリオ分析を実施し、戦略に反映しています。

 

リスクと機会

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指標と目標

緩和策

・スコープ1,2 SBT認証レベル(=基準年より4.2%/年)でのCO2排出削減

・スコープ3 SBT認証レベル(=基準年より2.5%/年)でのCO2排出削減

・2050年までに自社拠点からのCO2排出量ゼロを目指す

適応策

・2030年までに気候変動に適応するための新品種(大麦、ホップ)を登録出願

・2035年までに気候変動に適応するための新品種(大麦、ホップ)を国内で実用化

・2050年までに上記品種の他、新たな環境適応性品種を開発し、国内外で実用化

 

 まだ十分に解析できていないリスクや機会、その対応策、財務インパクトなどについては、引き続き把握を努めるとともに、開示情報の拡充を進めていきます。また、社会情勢の変化により見直しも適宜実施します。

 

<サッポログループ人財戦略>

 サッポログループは、中期経営計画の基本方針である「Beyond150 ~事業構造を転換し新たな成長へ~」を実現する上で、「ちがいを活かして変化に挑む 越境集団となる」を掲げ、人財戦略を経営基盤の柱として位置づけております。人財戦略においては「スピードある成長に向けた積極投資」「多様性の促進」「エンゲージメント向上と健康促進」「経営人財育成」を重点施策として定め、より具体的なアクションプラン、KPIに基づき、確実に経営戦略の実行を支えていきます。

 

グループ人財戦略2023-26

 サッポログループでは、北海道開拓使をルーツとする、創業以来の私たちの強みをベースとして、すべての従業員が「ちがいを活かして変化に挑む 越境集団となる」ことを目指しています。より具体的には、以下グループ人財戦略の三本柱に基づき、それぞれに優先課題とKPIを定め、経営戦略を実行する上での基盤強化に努めてまいります。

戦略① 多様性を高め、活躍の場をより流動的にし、変化に挑んでいる

・経営陣、役職者の多様性促進

・事業ポートフォリオに即した人財アロケーション

・女性中堅層の早期育成

・高度キャリア人財の採用

 

戦略② 成長と生産性向上に向けた人的資本投資を行い、個と組織が強くなっている

・グローバル、DX・IT人財の確保・育成

・経営後継者人財の計画的育成

・HRテック活用

・リスキリング

 

戦略③ 健康、安全・安心、人権尊重を推進し、個の持てる力を100%発揮できている

・魅力ある会社へ更なる変革(業績・報酬・制度)

・多様な価値観に対する柔軟な働き方

・メンタルタフネス支援

 

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人財育成に関わる基本方針

 サッポログループは、人財は私たちすべての価値創出の源泉であると考え、それぞれが個々の強みを最大限に発揮し、主体的なキャリア形成ができるよう、グループ全体で推進しています。当社では、多様性の促進、経営人財育成、DX(デジタルトランスフォーメーション)やグローバル等スピードある成長に向けた人的資本投資を実行することで、個人の成長とともに企業価値向上を牽引していきます。また、これら戦略を実現するために、グループ各社の特性を踏まえた人財育成の支援をしていきます。

 サッポログループで働く多様な人財が、心身ともに健康で、元気で明るく前向きなエネルギーをもって新たな領域に挑戦・越境し、次々と新しい価値を創出できる企業を目指し、社内環境整備に取り組みます。

③DXの推進について

 大きな環境変化が続く中で、サッポログループでは新たな時代のニーズに即した価値を創出する手段として、DXを推進しております。

 以下のとおり「サッポログループDX方針」を策定し、グループ内でのDX・IT人財の育成と活用を進めております。

 

「サッポログループDX方針」

○お客さまとつながり、理解を深め、寄り添うこと

○お客さま起点で考えぬかれた新たな価値の創造と、稼ぐ力を増強すること

○サッポログループにかかわるあらゆるステークホルダーと共に成長し続けるため

自分たちの仕事をもっと楽に、もっと楽しく、働くことに誇りを持てるものにしていくこと

 

DX推進体制

 グループのDX・ITに関する経営資源配分の支援・調整・確認を行い、方向性を決定するための機関として、DX・IT担当役員を委員長とする「グループDX・IT委員会」を2022年4月1日付で設置しております。

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DX推進戦略

 2022年より「DX・IT人財育成プログラム(DXP)」をスタートし、「全社員DX人財化」を目指すと共に、2023年までに650名規模のDX・IT推進人財(AIを始めとした最新技術の知識を持ち、内部・外部支援を活用しながら課題を解決できる人財)の育成を進めてまいります。

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2【事業等のリスク】

1.当社のリスクマネジメント体制

①リスクマネジメントに関する基本的な考え方

 当社グループは「事業と環境に関わるリスクを包括的に把握し、重点的に対応すること」により事業の永続性を図っております。

 リスクを「将来に向けた不確実な事象」と定義し、会社にとっての「機会」と「脅威」に分け、未だ顕在化しない広義のリスクと既に具現化した狭義のリスクを、それぞれ担当する機関がアプローチし、リスク管理を重点化することで、脅威の極小化、機会の最大化に努めております。

 なお、経営会議及びグループサステナビリティ委員会、グループリスクマネジメント委員会は、相互の役割を認識し、それぞれの機能に応じたアクションプランを設定して、「機会」及び「脅威」のリスクに対応しています。また、取締役会、経営会議では四半期又は半期ごとに各機関から報告を受け、リスク管理のモニタリングを行っています。

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②グループリスクマネジメント体制及び運用フロー

 当社グループは、業務執行上の重要な意思決定ないし事業遂行等に内在するリスクは、経営会議において管理することとし、同会議における審議、報告事項等に対して、経営企画・総務・経理・法務等の管理部門がそれぞれ想定されるリスクを分析し、必要な報告を行う体制を構築しております。

 緊急事態の発生、あるいは緊急事態につながるおそれのある事実が判明した際は、グループリスクマネジメント委員会が事業会社の危機管理組織等と連携して、情報開示も含む対応策を協議し、迅速かつ適正な対応を行い、早期解決及びリスクの低減に取り組んでいます。

 

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2.事業等のリスク

 当社グループの経営成績及び財務状況等(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性のあるリスク要因を以下に記載しています。以下に掲げるリスクは、当社グループを取り巻くリスク事象のうち脅威とその対応について示しております。なお、文中の将来に関する事項は、2022年12月31日現在において当社グループが判断したものです。

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(1)新型コロナウイルス感染症等について

 新型コロナウイルス感染症等の感染拡大への対応について、当社グループでは、酒類や食品飲料の製造や外食に携わる企業として、お客様への供給責任を果たすべく、感染症リスク低減に対策を講じながら国内及び海外における各事業拠点で生産・物流業務を継続しています。また、政府指針や感染の拡大状況等を踏まえて、従業員の勤務ルールを変更する等、適宜必要な対応を行っております。あわせて、不動産事業において管理・運営する複合商業施設やオフィスビル等においても、感染拡大防止に向けた取組を継続してきました。このように、従業員並びにお客様や取引先の新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止及び地域社会との連携・協力に努めており、引き続き政府指針等を踏まえた対策を講じてまいります。

 新型コロナウイルス感染症等の感染拡大により経済状況が悪化した場合は、原材料や資材コストの高騰、外出自粛要請による消費の減退、外食産業の低迷、業務用商品の需要低迷等により、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は、翌期以降においても常にあるものと認識しております。

 

(2)経済情勢及び人口動態の変化について

 グローバルな経済情勢の変化により、景気が悪化し、主要製品の出荷変動や保有資産の価値の低下につながる可能性があり、競争関係がさらに激化した場合は、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は、翌期以降においても常にあるものと認識しております。

 また、当社グループでは、多様な人財が活躍できる環境を整備するために、ダイバーシティ&インクルージョンの環境整備や、ワーク&エンゲージメント向上策等を推進しています。しかしながら、国内の少子高齢化に伴う需要の縮小や、それに伴う従業員の雇用に関する競争激化、人財の流動化、また、職場環境の悪化による生産性の低下や退職者増加による人財不足等により、事業活動に必要な人材を十分に確保できない場合は、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は、翌期以降においても常にあるものと認識しております。

 

(3)気候変動によるリスクについて

 当社グループでは、「サッポログループ環境ビジョン2050」を踏まえ、中期経営計画とあわせて、サステナビリティ重点課題を全面的に見直し「環境との調和」「社会との共栄」「人財の活躍」及び「責任ある飲酒の推進」「安全な製品、施設の提供」の実現に向けて、取組を推進しております。また、当社は、2019年5月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同しました。当社は今後も、環境保全に関する活動を一層強化しながら、TCFDの提言を踏まえた情報開示に取り組んでまいります。なお、本報告書では、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」において、TCFDの提言を踏まえた記載をしております。

 しかしながら、将来的な気候変動によって主要な原材料や必要な水資源が確保できない場合、操業停止による機会損失が発生する可能性があり、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は、翌期以降においても常にあるものと認識しております。

 

(4)法的規制等の影響について

 当社グループは、酒税法や食品衛生法、環境・リサイクル関連法規、景品表示法等の様々な法的規制の適用を受けております。また、事業を展開する各国の法的規制の適用も受けております。このような中、法的手続による権利の保全にも万全を期しておりますが、将来において新たな法的規制等が設けられる可能性もあり、これらの法的規制等の適用を受けることとなった場合、事業活動の制限や、新たな費用が発生するなど当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、酒税や消費税の増税等が実施されることによる需要の減少、ビール・発泡酒を始めとする酒類の広告に対する規制や、酒販店店頭での販売時間、酒類販売場所に対する規制が広がっていく場合など、需要の減少や新たな規制に対応するための費用等が発生する可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は、翌期以降においても相応にあるものと認識しております。

 

(5)特定事業分野への依存度について

 当社グループの売上収益において酒類事業の占める割合は約7割となっており、またその多くは国内市場での売上となっております。さらなる収益性の拡大を目指すため、事業ポートフォリオの見直しを適宜進め、海外市場での事業活動の拡充を図っております。

 しかしながら、依然、国内市場への依存は高く、国内市場での需要が減少する中での競合他社との価格競争、2020年から段階的に実施されている酒税の税率変更、消費者の嗜好の変化、原料・資材及びエネルギーコストの高騰を受けた商品値上げ、冷夏や長期間にわたる梅雨等の要因によって売上が減少した場合、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は、翌期以降においても常にあるものと認識しております。

 

(6)海外における事業活動について

 当社グループは、海外市場での事業活動を拡充することにより利益の拡大を図っており、米国・カナダを中心に酒類事業を拡充しております。アジアにおいては、シンガポールを起点にマレーシア、中東などで飲料の事業活動を行っております。また、ベトナムにおいては、ロンアン工場で製造されたビールをベトナム国内で販売するとともに輸出も行っています。

 事業活動を行う海外子会社との連携を密にして、現地の経営環境を踏まえた事業運営の適切な管理・サポート等を実施するとともに、経営管理・リスク管理体制の整備にも努めております。しかしながら、これらの当社グループの海外における事業活動においては、経済の動向、競争環境の変化や為替相場の変動に加えて、投資、貿易、税及び為替等に関する法的規制の変更、商慣習の相違、労使関係、地域紛争、テロリズム、伝染病並びにその他の政治的・社会的・経済的混乱等の要因により、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は、翌期以降においても常にあるものと認識しております。

 

(7)R&Dの影響について

 当社グループでは「おいしさ」と「健康」を基軸に、お客様ニーズや生活様式の変化に対応した価値を提案できる研究開発、商品提案を継続的に実施しておりますが、消費者嗜好の変化や技術革新、法改正等によって予測できない事業環境の変化が起こり、市場における競争力が低下した場合には、グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は、翌期以降においても相応にあるものと認識しております。

 

(8)食品の安全性について

 当社グループでは、お客様への安全な商品提供を最優先課題とし、グループ各社の関係部門・部署に対してリスクマネジメント、リスクコミュニケーションに関する仕組みの維持及び啓発・講習を実施する等、品質保証体制の確立に向けて取組を強化しております。しかしながら、当社グループ固有の品質問題のみならず、社会全般にわたる一般的な製品及び原料に係る品質及び表示の問題等が発生した場合、製品回収、出荷不良品発生、製造物責任を追及される等の可能性があります。外食事業においては、食中毒が発生した場合、一定期間の営業停止等を命ぜられ、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は、翌期以降においても相応にあるものと認識しております。

 

(9)製造委託品及び仕入商品の安全性について

 当社グループは一部の商品について外部に製造委託を行っております。また、仕入商品も取り扱っております。製造委託商品や仕入商品についても品質等については監査等により万全を期しておりますが、取組の範囲を超えた品質等の問題が発生した場合、販売休止、製品回収等の可能性があり、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は、翌期以降においても常にあるものと認識しております。

 

(10)原料・資材調達及び価格について

 当社グループの使用する主要な原料・資材には、その価格が商品相場や為替市場等の状況により変動するものがあります。また、継続する地域紛争は、グローバルサプライチェーンに悪影響を与えることがあります。市況の最新情報収集強化、調達先の分散・多様化、適正在庫の水準の維持、為替予約等様々な対策を進めておりますが、それら原料・資材の価格が高騰することにより、売上原価が上昇し、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は、翌期以降においても常にあるものと認識しております。

 

(11)サプライチェーンに係るリスクについて

 当社グループが主に事業展開する、酒類・食品の製造販売業界において、サプライチェーンは重要な機能となっております。国内の物流環境は、少子高齢化による労働人口減少に加え、電子商取引の増加による運送ドライバーや荷役作業員の人手不足の拡大が予想されます。必要な物流機能を適切なコストで維持することが安定的な事業展開には不可欠ですが、サプライチェーン全体でのコスト上昇や機能低下により、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、サプライチェーンにおける人権侵害や環境破壊等の問題が発生した場合、安定的なサプライチェーンを維持できず、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は、翌期以降においても相応にあるものと認識しております。

 

(12)事業・資本提携について

 当社グループでは、成長に向けた競争力強化の一環として国内外他社との事業・資本提携を実施する可能性があります。その場合、対象会社の財務内容や契約関係等について、詳細なデューデリジェンスを行い、将来の損失を最大限回避するように努めております。しかしながら、市場環境や事業環境の変化等によっては、当初想定していた成果を得られず、場合によっては、提携先及び出資先の事業、経営及び資産の悪化等が生じた場合、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は、翌期以降においても相応にあるものと認識しております。

 

(13)アルコール関連問題について

 アルコールは、適正飲酒が健康で明るい生活や豊かさに貢献する一方で、過度の摂取による健康面、社会的側面での悪影響が指摘されています。当社グループでは、「20歳未満飲酒」「飲酒運転」「アルコールハラスメント」等の不適切飲酒撲滅に向けた啓発活動を推進しておりますが、将来は世界的に規制の強化が行われることが予想され、健康志向の高まりにより、アルコールに対する消費者需要が縮小し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は、翌期以降においても相応にあるものと認識しております。

 

(14)固定資産の減損について

 当社グループでは、減損会計を適用しております。重要かつ企業価値向上に資する買収・合併及び設備投資について、その事業環境や収益性に鑑み、慎重な投資を実施しておりますが、将来、当社グループが保有する固定資産及び企業結合により取得したのれん等について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により、減損損失が発生した場合、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は、翌期以降においても相応にあるものと認識しております。

 

(15)金融負債について

 当社グループでは、各事業の必要資金の多くを、社債や金融機関からの借入れにより調達しており、金融市場のリスクに晒されております。資金調達先の分散、借入期間の適正化、金利環境等を勘案のうえで必要資金の調達を行っておりますが、当社グループでは成長戦略の遂行に伴い大規模な投資等を行うことにより、さらに金融負債が増加する場合もあります。また、今後、市場金利が上昇した場合や、格付機関が当社の格付を引き下げた場合には、金利の負担や、資金調達の条件の悪化等により、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は、翌期以降においても相応にあるものと認識しております。

 

(16)退職給付債務について

 当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等の数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。企業年金基金に適切な人材を配置し、運用状況の適宜モニタリングを実施しておりますが、制度資産の公正価値の変動、金利の変動、年金資産の変更等、前提条件に大きな変動があった場合、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は、翌期以降においても相応にあるものと認識しております。

 

(17)自然災害の発生によるリスクについて

 当社グループは、国内外に事業拠点を有しております。各拠点では自然災害に対する防災、事業継続性の確保に努めております。しかしながら、大規模な自然災害及び二次災害の影響により、想定をはるかに超えた震災や風水害及び土砂災害等が発生した場合は、当社グループの所有する建物、設備等に損害を受ける可能性があります。一時的な事業停止や物流網の混乱に伴い商品供給に支障を来し、機会損失、製品廃棄による損失等が発生した場合、当社グループの業績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は、翌期以降においても常にあるものと認識しております。

 

(18)コーポレートガバナンス上のリスクについて

 当社では持株会社体制のもと、グループ内における業務監督機能の強化及び、グループ各社における内部統制の整備・運用に努めております。しかしながら、コーポレートガバナンスや、グループ内における内部統制が機能不全に陥った場合、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は、翌期以降においても相応にあるものと認識しております。

 

(19)コンプライアンスに関するリスクについて

 当社グループでは、従業員への啓発活動や内部統制の強化を通じて、コンプライアンス違反の防止に努めております。しかしながら、グループ内において不正行為や犯罪行為、贈収賄など法令や社会要請に反した行為が行われることがあれば、当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。また、そのことが各種メディアやSNS等で非難を受けることにより、会社のブランド、信用にも悪影響を与える可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は、翌期以降においても相応にあるものと認識しております。

 

(20)訴訟や罰金等の発生するリスクについて

 当社グループでは、事業の遂行に当たり従業員啓発のための研修等コンプライアンスの推進により、各種法令違反等の低減に努めております。しかしながら、国内外の事業活動の遂行上、当社グループ各社及びその従業員の法令等に対する違反の有無にかかわらず、製造物責任法、知的財産法、税務等の問題で訴訟を提起される、又は罰金等を科される可能性があります。訴訟が提起される事態、また訴訟の結果によっては、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は、翌期以降においても相応にあるものと認識しております。

 

(21)情報セキュリティについて

 当社グループでは、事業運営を行うために様々なシステムがあり、多くの重要情報を取り扱っております。外部からの攻撃に対して多層的な防御・監視体制を構築するとともに、標的型攻撃メール訓練による従業員への啓発を行い、情報システムの適切な管理体制の構築に努めております。しかしながら、サイバー攻撃等により、重要情報の改ざん、個人情報の流出等が発生した場合、業務運営に支障を来し、当社グループの業績や財政状態に重大な影響を与える可能性があります。当該リスクは、翌期以降においても相応にあるものと認識しております。

 

(22)得意先の信用リスクについて

 当社グループは、得意先や投資先の信用リスクに備えておりますが、予期せぬ倒産等の事態により債権回収に支障が生じた場合、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性は、翌期以降においても相応にあるものと認識しております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)業績等の概要

①業績                                        (単位:百万円)

 

売上収益

事業利益(※)

営業利益

親会社の所有者に

帰属する当期利益

2022年12月期

478,422

9,312

10,106

5,450

2021年12月期

437,159

8,142

22,029

12,331

増減率(%)

9.4

14.4

△54.1

△55.8

 ※事業利益は、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社グループ独自の利益指標です。

 

<売上収益>

 売上収益は、食品飲料事業及び不動産事業が減収となった一方で、外食需要の回復やアメリカの売上数量が好調に推移したことで酒類事業が増収となり、全体では前期比9.4%増、413億円増収の4,784億円となりました。

 

<事業利益>

 事業利益は、不動産事業が減益となった一方で、構造改革効果が寄与した外食事業や食品飲料事業が増益となり、全体では前期比14.4%増、12億円増益の93億円となりました。

 

<営業利益>

 営業利益は、事業利益が改善した一方で、前年の投資不動産の売却益の反動等により、119億円減益の101億円となりました。

 

<親会社の所有者に帰属する当期利益>

 親会社の所有者に帰属する当期利益は、営業利益の減益等により、前期比69億円減益の54億円となりました。また、基本的1株当たり利益は69.96円(前期158.30円)となり、親会社所有者帰属持分比率は26.0%(前期27.3%)となりました。

 

以下、報告セグメント別の概況は記載のとおりです。

 

〔酒類事業〕

・売上収益は、業務用市場の回復、価格改定、アメリカの家庭用市場における好調な販売、2022年8月末に持分の100%を取得し、連結子会社化したSTONE BREWING CO.,LLCが当社グループに加わったこと等により、前期から増収となりました。

・事業利益及び営業利益は、原材料高騰等により変動費が増加したものの、増収効果及び外食事業の構造改革効果により、前期から増益となりました。

 

 ■売上収益 3,346億円(前期比450億円、15.5%増)

 ■事業利益   77億円(前期比23億円、42.1%増)

 ■営業利益   89億円(前期比68億円、315.0%増)

 

 酒類事業に属する国内酒類、海外酒類、外食の詳細は次のとおりです。

 

(国内酒類)

・当期は、新型コロナウイルスの感染の波が断続的に繰り返されたことにより、業務用市場の需要は一時的に落ち込むこともありましたが、前期の緊急事態宣言発出等による飲食店での酒類提供制限時より影響は穏やかでした。また、価格改定による需要減退の影響も限定的であったこともあり、日本国内のビール類総需要は、前期比103%程度になったと推定されます。

・そのような中、当社グループの国内におけるビール類合計の売上数量は、業務用商品の売上数量の増加により、前期比103%となりました。また、RTD(※)の売上数量は前期比103%となり、引き続き好調に推移しました。

 

 

(海外酒類)

・新型コロナウイルス感染症対策により経済再開が進み、業務用市場の需要は前期より回復傾向にあるものの、北米におけるビール類総需要は、アメリカ、カナダともに前期を下回ったと推定されます。

・そのような中、海外ブランドのビールの売上数量は、カナダでは業務用市場の回復により前期を上回りました。さらに、サッポロブランドビールの売上数量は、アメリカでの業務用市場が回復したことや、家庭用への取り組みの強化が奏功したことによりアメリカにおける売上数量は前期比110%となり、前期に引き続き過去最高を記録しました。

・また、特にアメリカにおけるサッポロブランドビールの更なる伸長に向けた製造拠点の獲得と、新たなブランド獲得によるビール事業の拡大等を目的として、2022年8月末にSTONE BREWING CO.,LLCの持分を100%取得し、連結子会社化しました。

 

(外食)

・新型コロナウイルスの影響を受け、パブレストラン・居酒屋業界の需要は不安定な状況が続いていますが、営業上の規制が解除された2022年4月以降、新型コロナウイルス感染症の再拡大等により上下動はありながらも、緩やかな回復基調に転じております。コロナ禍において進めてきた不採算店舗の閉鎖等の構造改革が貢献し、前期と比較し大幅に赤字が縮小しました。

 

※ RTD : Ready To Drinkの略。購入後そのまま飲める、缶チューハイ等のアルコール飲料

 

〔食品飲料事業〕

・売上収益は、カフェ事業の売却、郊外型の自販機オペレーター子会社1社の清算と、それに伴う自動販売機の削減による売上数量の減少等もあり、前期から減収となりました。

・事業利益及び営業利益は、原材料高騰の影響を受けたものの、価格改定の実行、カフェ事業の売却等の構造改革による利益改善の効果が寄与し、前期から増益となりました。

 

 ■売上収益 1,229億円(前期比25億円、2.0%減)

 ■事業利益   18億円(前期比11億円、148.2%増)

 ■営業利益   23億円(前期は34億円の損失)

 

・業務用市場や自動販売機における需要は、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を受けてはいるものの、各種制限緩和により回復し、国内における飲料総需要は、前期比102%と推定されます。

・そのような中、国内では、キレートレモンは7年連続で過去最高出荷を更新する等、健康意識の高まりを背景にレモン飲料が堅調に推移したものの、不採算自動販売機の削減による売上数量の減少等により、飲料全体の売上数量は前期比98%となりました。

・海外では、シンガポールにおいて、新型コロナウイルス感染症の拡大による各種制限が緩和されたことで、シンガポール国内の売上収益は前期比103%となりました。また、シンガポール国外への輸出も好調に推移し売上収益は前期比115%となりました。

・なお、伸長するレモン事業を中心とした成長分野へ経営資源を集中させるため、2022年4月にカフェチェーン「カフェ・ド・クリエ」を展開するポッカクリエイト社の全株式を譲渡しました。また、2022年11月には郊外型の自動販売機オペレーター子会社であるパブリックベンディングサービス社を清算しました。

 

 

〔不動産事業〕

・売上収益は、2021年6月の「恵比寿ファーストスクエア」の売却や、当期から開始した「恵比寿ガーデンプレイス」でのオフィスの空調更新工事による稼働率低下の影響等により、前期から減収となりました。

・事業利益は、売上収益の減収の影響により、前期から減益となりました。

・営業利益は、前期の「恵比寿ファーストスクエア」の売却益の反動等により、前期から減益となりました。

 

 ■売上収益 207億円(前期比11億円、5.2%減)

 ■事業利益  65億円(前期比18億円、21.5%減)

 ■営業利益  54億円(前期比238億円、81.4%減)

 

・首都圏のオフィス賃貸市場では、稼働率及び平均賃料水準は2022年年初より回復には至っておりません。

・そのような中、当社グループの不動産事業では、大型複合施設の「恵比寿ガーデンプレイス」のオフィス稼働率が、市況悪化の影響や空調機能の長期修繕の開始もあり、低下しました。一方で、2022年11月のセンタープラザ開業後の来館者及び売上は順調に推移しています。

 

②財政状態の状況

 当連結会計年度末における資産、負債、資本の状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

 

 

(単位:百万円)

区分

2021年12月期

2022年12月期

増減額

流動資産

167,806

179,431

11,625

非流動資産

426,745

459,687

32,942

資産合計

594,551

639,118

44,568

流動負債

210,535

219,515

8,979

非流動負債

220,688

252,402

31,714

負債合計

431,224

471,917

40,694

資本合計

163,327

167,201

3,874

負債及び資本合計

594,551

639,118

44,568

(資産)

 資産合計は、連結子会社の売却により売却目的で保有する資産等が減少した一方、STONE BREWING CO.,LLCの買収によるのれん、有形固定資産の増加等によって、前連結会計年度末と比較して446億円増加し、6,391億円となりました。

(負債)

 負債合計は、未払法人所得税、連結子会社の売却により売却目的で保有する資産に直接関連する負債の減少等があった一方、社債及び借入金(流動)、シンジケートローンによる借入を実施したことにより社債及び借入金(非流動)の増加等によって、前連結会計年度末と比較して407億円増加し、4,719億円となりました。

(資本)

 資本合計は、期末配当の実施による利益剰余金の減少等があった一方で、為替相場の変動によるその他の資本の構成要素の増加により、前連結会計年度末と比較して39億円増加し、1,672億円となりました。

(各種財務指標)

 流動比率は、流動資産が116億円増加し、流動負債が90億円増加したことにより、前連結会計年度の79.7%から81.7%に2.0ポイント増加しております。

 親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度の27.3%から26.0%に減少しております。これは、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上、在外営業活動体の換算差額の増加等により親会社の所有者に帰属する持分が増加した一方、STONE BREWING CO.,LLCの買収等により資産合計が増加したことによるものです。

 親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は、前連結会計年度の7.9%から3.3%に減少しております。これは、前年の投資不動産の売却益の反動等により親会社の所有者に帰属する当期利益が減少したことによるものです。

 ネットD/Eレシオは、前連結会計年度の1.1倍から1.4倍に増加しております。これは、親会社の所有者に帰属する持分が増加した一方で、社債及び借入金(流動及び非流動)の増加等でネット有利子負債が増加したことによるものです。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ20億円、11%減少し、当連結会計年度末には154億円となりました。

 当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

 

 

(単位:百万円)

区分

2021年12月期

2022年12月期

増減額

営業活動によるキャッシュ・フロー

30,308

7,814

△22,493

投資活動によるキャッシュ・フロー

20,729

△46,137

△66,867

フリー・キャッシュ・フロー

51,037

△38,323

△89,360

財務活動によるキャッシュ・フロー

△53,080

36,465

89,546

現金及び現金同等物に係る換算差額

777

△131

△908

現金及び現金同等物の増減額(△減少)

△1,266

△1,988

△722

現金及び現金同等物の期首残高

19,734

17,368

△2,366

売却目的保有に分類される処分グループに係る資産に含まれる現金及び現金同等物(△は減少)

△1,100

1,100

現金及び現金同等物の期末残高

17,368

15,380

△1,988

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、78億円(前期比225億円、74%減)となりました。これは主に、法人所得税等の支払額100億円、退職給付に係る資産及び負債の増減額57億円、棚卸資産の増減額50億円の減少要因があった一方、減価償却費及び償却費212億円、税引前利益114億円の増加要因があったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、461億円(前期は207億円の収入)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入19億円があった一方で、STONE BREWING CO.,LLC買収による連結の範囲の変更を伴う子会社株式等の取得による支出226億円、投資不動産の取得による支出127億円、有形固定資産の取得による支出80億円があったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は、365億円(前期は531億円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出166億円があった一方、シンジケートローンの長期借入による収入500億円があったことによるものです。

 なお、当連結会計年度末のセグメント別の設備投資額等の内訳は、以下のとおりです。

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

酒類

食品飲料

不動産

その他

全社又は消去

連結合計

EBITDA(注)

 2022年12月期

18,898

4,385

11,495

18

△4,916

29,879

 2021年12月期

15,477

3,747

13,687

37

△4,308

28,639

 増減

3,422

638

△2,192

△19

△608

1,241

設備投資

(支払ベース)

 2022年12月期

6,391

2,144

12,785

1,006

22,326

 2021年12月期

7,143

5,068

8,218

845

21,274

 増減

△752

△2,924

4,567

161

1,052

減価償却費及び

償却費

 2022年12月期

11,843

2,617

5,036

1,738

21,234

 2021年12月期

11,166

4,132

5,461

0

1,901

22,660

 増減

677

△1,515

△425

△0

△163

△1,426

(注) EBITDA(事業利益+減価償却費)算出の際の減価償却費につきまして、飲食店舗の家賃にかかるリース資産の減価償却費を除いております。

 

(2)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は、以下のとおりです。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来に関する事項には不確実性を内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。

連結財務諸表の作成においては、連結会計年度末日における資産・負債の金額及び偶発債務の開示、並びに連結会計年度における収益・費用の適正な計上を行うため、見積りや前提が必要となります。当社グループは、過去の実績又は各状況下で最も合理的と判断される前提に基づき見積りを実施しています。

重要な会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績の分析

 「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ① 業績」に記載のとおりです。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすと思われる事項については、概ね「2 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 中でも、当社グループでは海外での事業展開を進めており、日本国内の景気動向のみではなく、事業活動を行っている国・地域の経済動向及びその他の要因により影響を受ける可能性があり、リスク管理体制を一層強化する取り組みを進めます。

 経営環境が依然として不透明な状況が続く中、環境変化への対応力を一層高める取り組みを進めます。

 

④事業戦略と見通し

・次期は、「Beyond150 ~事業構造を転換し新たな成長へ~」をテーマに、「中期経営計画(2023~26)」の1年目として、構造改革を断行し、成長戦略の実現を目指します。

・ウクライナ情勢や原材料高騰による物価上昇により、消費者の生活防衛意識が高まることが懸念される等、依然として先行きは不透明な状況が続くことが想定されます。しかしながら、国内・海外共に新型コロナウイルスと共存する「ウィズコロナ」の生活様式が浸透する中、新型コロナウイルスの影響は限定的となることが想定され、外食事業や業務用商品の需要は緩やかな回復が続く見通しです。

・このような中、当社グループは構造改革の断行と成長の加速により収益力の強化を図ります。酒類事業や食品飲料事業においては、更なる原材料高騰が見込まれますが、価格改定に加えて、コスト削減や不採算事業の抜本的な見直し等の構造改革で利益を確保して参ります。不動産事業では、長期的な時間軸で、賃貸中心から総合的に資産価値向上を図る事業体に転換し、収益性と資産効率の向上を図ります。また、海外事業では、北米酒類、海外飲料の売上拡大を図り、グループの成長ドライバーにしていきます。これらの取り組みにより、グループ全体の収益力向上に努めます。

・以上により、売上収益4,900億円、事業利益135億円、営業利益95億円、親会社の所有者に帰属する当期利益55億円を見込んでおります。

 

〔酒類事業〕

(国内酒類)

・次期は、2023年10月の酒税改定を見据えたビール強化とRTD強化により一層注力します。RTDは売上の成長と共に、仙台工場のRTD設備稼働により、生産性向上に努めて参ります。原材料高騰は当期に引き続き国内酒類の業績に強く影響を与えるものの、価格改定や品種ミックス改善に努めること等によりその影響を吸収していく見通しです。

 

(海外酒類)

・成長ドライバーとなるアメリカにおいて、STONE BREWING CO.,LLCとの早期のシナジー創出を図り、サッポロブランドビールの売上成長と生産及び物流体制の確立に向けて取り組むことにより収益力の強化に努めて参ります。カナダにおいては、原価高騰の影響を大きく受ける見通しでおりますが、スリーマン社のプレミアムブランドのビールの強化及びコスト構造改革により収益力回復を目指します。

 

(外食)

・新型コロナウイルスの影響により、パブレストラン・居酒屋業界の需要は不安定な状況が続くことが想定されるものの、緩やかな回復が続く見通しです。そのような中、外食ではポストコロナを見据えた強固な経営体制の構築を図るべく、YEBISU BAR、銀座ライオンといった注力業態へのリソースシフトを進め、更なる収益力改善に努めて参ります。

 

〔食品飲料事業〕

(国内食品飲料)

・次期は、成長事業であるレモン事業へのリソース集中に向けた取り組みを加速させて参ります。更なる原材料高騰が見込まれますが、価格改定に加えて、コスト削減やSKUの大幅な削減による生産性向上、不採算事業等の整理に伴う構造改革を実行することにより収益力の強化を図って参ります。

 

(海外飲料)

・海外飲料は、原材料高騰の影響を受けるものの、価格改定等によりその対策を講じます。シンガポールを起点にマレーシア、中東等の成長余地のある国で販売及びマーケティングの体制を強化することで、グループの成長ドライバーとしていきます。

 

〔不動産事業〕

 次期は、恵比寿及び札幌エリアのコア物件の価値向上とまちづくりの推進により競争力強化を図りながら、資産回転型ビジネスモデルの構築を進めていきます。長期的な時間軸で、賃貸中心の収益基盤から、総合的な資産価値の向上に努めて参ります。

 

⑤当連結会計年度末の連結財政状態の分析

 「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりです。

 

⑥資本の財源及び資金の流動性についての分析

ⅰ)キャッシュ・フローの分析

 「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 また、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下のとおりです。

 

2021年12月期

2022年12月期

親会社所有者帰属持分比率(%)

27.3

26.0

時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%)

28.6

40.0

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

8.3

37.9

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

20.1

4.5

親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分÷資産合計

時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額÷資産合計

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー÷利払い

(注)1 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

   2 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

   3 有利子負債は連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象

としております。

 

ⅱ)資金の流動性及び資金の調達について

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、生産・販売活動のための製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資として酒類事業及び食品飲料事業における工場整備への投資、不動産事業による投資不動産への投資、また海外事業や新規事業等の成長分野に対するM&Aへの投資等によるものであります。

 当社グループは、主要な連結子会社にキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、日本国内のグループ内資金を当社が一元管理しています。各グループ会社において創出したキャッシュ・フローを当社に集中することで資金の流動性を確保し、また、機動的かつ効率的にグループ内で配分することにより、金融負債の極小化を図っています。

 現在そして将来の営業活動及び債務の返済等の資金需要に備え十分な資金を確保するために、資金調達及び流動性の確保に努めています。必要な資金は、主に営業活動によって得られるキャッシュ・フロー、金融機関等からの借入れによって調達しています。

 

⑦経営者の問題認識と今後の方針について

 経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。

 今後の方針につきましては、「中期経営計画(2023~26)」の基本方針である「Beyond150 ~事業構造を転換し新たな成長へ~」をテーマに、経営課題への取り組みを推進します。

 

(3)生産、受注及び販売の実績

①生産実績

 当連結会計年度における生産実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(kl)

 

前期比(%)

酒類事業(ビール・発泡酒・新ジャンル等)

754,002

2.8

酒類事業(ワイン・焼酎・RTD等)

98,326

5.2

食品飲料事業(飲料水等)

358,768

12.6

 

②受注実績

 当社グループでは、ほとんど受注生産を行っておりません。

③販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

 

前期比(%)

酒類事業

334,644

15.5

食品飲料事業

122,914

△2.0

不動産事業

20,724

△5.2

報告セグメント計

478,282

9.4

その他

140

△15.5

合計

478,422

9.4

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

国分グループ本社㈱

53,187

12.2

62,061

13.0

 

4【経営上の重要な契約等】

(業務提携)

 バカルディ ジャパン株式会社との業務提携

当社の子会社であるサッポロビール㈱は、2011年5月19日付で、ラムブランド「バカルディ」等多くの有力ブランドを所有するバカルディ ジャパン㈱と同社が日本国内で販売権を有するスピリッツをはじめとする各ブランドの、日本国内における独占販売に関する業務提携契約を締結しました。

 

(持分取得に関する契約)

 当社は、2022年6月24日開催の取締役会において、当社の連結子会社であるSapporo U.S.A.,Inc.が、Stone Brewing Holdings, LLC(以下、Stone Holdings社)の保有するSTONE BREWING CO.,LLCの持分売買契約を締結し、同社を子会社化することを決議し、同日に当該契約を締結しました。

 なお、STONE BREWING CO.,LLCはビール類製造販売事業・飲食店事業・酒類卸事業を有しておりましたが、酒類卸事業を切り離し、Stone Holdings社の新設子会社に譲渡した後で、Sapporo U.S.A.,Inc.がSTONE BREWING CO.,LLCの持分を取得しました。

 STONE BREWING CO.,LLCの資本金の額は当社の資本金の額の100分の10以上に相当し、特定子会社に該当します。

 

1.被取得企業の概要

 被取得企業の名称   STONE BREWING CO.,LLC

 事業の内容      ビール類製造販売等

 資産合計       155,544千USD(2021年12月期)

 売上収益       230,130千USD(2021年12月期)

 当期利益       △11,921千USD(2021年12月期)

(注)上記は、新設会社に酒類卸事業が譲渡される前のSTONE BREWING CO.,LLCの業績(ビール類製造販売事業・飲食店事業・酒類卸事業)です。

 

2.持分の取得の理由

 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 7.企業結合」に記載しております。

 

3.持分取得の時期

 2022年8月31日

 

4.取得する持分の数、取得価額及び取得後の持分比率

 取得持分       100%

 取得価額       183,832千USD(STONE BREWING CO.,LLCの持分の内、現金による取得分162,682千USD、  条件付対価18,000千USD、取得関連費用3,149千USD)

 持分比率       100%

(注)STONE BREWING CO.,LLCの業績に応じStone Holdings社に対し持分取得対価として追加の支払いを行う可能性  があります。

 

5【研究開発活動】

 当グループの研究開発は、さまざまな分野で培ってきたコア技術と強みとする素材とをかけ合わせ、さらにはオープンイノベーションも推進しながら、基盤研究から応用研究、商品技術開発までを協働して行い、世界に広がる『酒』『食』『飲』で個性かがやくブランドカンパニーを目指します。また、サステナビリティ重点課題の解決に向けて設定した中長期目標の達成に取り組んでいます。

 当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は26億円です。

 

 セグメントの状況は次のとおりです。

 

[酒類事業]

1.研究開発について

 サッポロビール社は「価値創造フロンティア研究所」「原料開発研究所」「技術開発部」「商品・技術イノベーション部」及び「R&D企画推進部」の体制で研究開発を進めております。これら5部門で総勢約80名(うち約20名が女性)が研究開発に取り組んでおります(研究補助者は含みません)。

 2022年8月に開催された2022年度日本味と匂学会第56回大会にて、サッポロビール社は日本味と匂学会(※1)から「ホップに由来する冷涼感寄与成分の探索:3成分の相互作用による新たな冷涼感形成メカニズムの発見」で「2022年度優秀発表賞」(※2)を受賞しました。近年、クラフトビールのブームに代表される多様なビールが求められる時代において、世界中で様々な香りのホップが育種、開発品種化されており、その中にはミントのような冷涼感をビールに与えることができる品種もあります。本発表は、このようなホップがメントール(※3)などの既知の冷涼感成分をほとんど含まず、単独の成分ではなく3つのホップの香り成分の相互作用によって冷涼感に寄与しているという新たなメカニズムを明らかにしたものです。同学会においてビール醸造技術をテーマとした発表の受賞は初めてであり、この受賞はビールの味わいの多様性につながる取り組みが評価されたものと考えています。

 2022年4月、6月には「原料開発研究所」が育成し、2021年に品種登録したホップ品種「フラノマジカル」(商標名)の特長を活かした新商品「サッポロ クラシック 春の薫り」、「サッポロ セブンプレミアム上富良野大角さんのホップ畑から」がそれぞれ限定発売されました。「フラノマジカル」を含むホップの香り成分に着目した研究においても、2報の研究論文を発表しております(※4)。米国を中心にクラフトビールが発展を遂げる中、米国醸造家の間で人気を博したサッポロビール社開発品種「ソラチエース」やホップ香り成分の研究成果では、引き続き世界をリードし国際的にも高評価を得ております。

 また、同研究所が開発したLOXレス大麦品種(※5)「CDC PlatinumStar」「CDC Goldstar」「きたのほし(商標名)」はカナダ及び北海道で協働契約栽培により生産されており、「旨さ長持ち麦芽」として「サッポロ生ビール黒ラベル」等のサッポロビール社商品で採用しております。また、豪州においても、新たに開発したLOXレス大麦品種の普及を計画しています。

 サステナビリティ視点の研究では、「温暖化による降雨量増加への耐性とビールのおいしさを両立できる大麦の発見」について、2022年3月に開催された日本育種学会(※6)第141回講演会で発表しました。気候変動への対応策として、本研究成果も活用し、「気候変動に適応するための大麦・ホップ品種を開発し、2035年までに国内で実用化する」ことで、持続可能な原料調達に貢献することを目指してまいります。

 これらの研究成果を商品開発技術に応用し、これからもビールテイスト飲料のさらなる魅力を引き出すことで、多様なビールの楽しみ方を提案してまいります。また、品質保証研究では、これまで以上にお客様の安全・安心志向や健康意識に応えるため、原料・製品の安全性分析及びそれを支える分析新技術の研究に継続して取り組んでまいります。

 「R&D企画推進部」では、経営・商品開発・研究開発が三位一体の関係を形成できるような仕組みづくり及びグループ内各社の研究開発を横断的に結合する活動を行っております。

 

※1 「日本味と匂学会」は、1967年に始まった「味と匂のシンポジウム」を前身として、1991年に学会として設立された味と匂に関する科学の広汎な研究の進展を図ることを目的とする学会。国内の大学・研究所・企業・病院などに所属する多くの味覚・嗅覚研究者によって構成・運営されている。

   日本味と匂学会ホームページ:http://jasts.com/

※2 日本味と匂学会の年次大会でポスター発表された一般演題から内容の優れたものに授与される賞。

※3 ミントの冷涼感のもととなっている成分。

※4 「フラノマジカル」の特長的な香りに関する研究論文について。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001954.000012361.html

※5 ビールの風味を劣化させる成分(LOX-1<ロックスワン>:脂質酸化酵素)を持たない大麦。

※6 「日本育種学会」は、1951年に設立された作物の育種に関する研究及び技術の進歩、研究者の交流と協力、および知識の普及をはかることを目的とする学会。国内の大学・研究所・企業などに所属する多くの育種関連の研究者によって構成・運営されている。日本育種学会ホームページ:https://jsbreeding.jp/

2.商品開発について

 酒類の商品開発については、2020年に策定されたサッポロビール社の経営ビジョンのもと「お酒と人との未来を創る」商品をお届けすべく活動を行ってまいりました。

 「サッポロ生ビール黒ラベル」は“麦のうまみと爽快な後味の完璧なバランス”を目指し、「フレッシュキープ製法」「旨さ長持ち麦芽」「泡品質を向上させる継続的な取り組み」はそのままに、「生のうまさ」へのこだわりをより一層進化させたリニューアルを2022年2月製造分から実施するなど、お客様の満足度向上に取り組んでまいりました。

 ヱビスブランドでは、2021年からの新コンセプト「Color Your Time!」のもと、「ヱビス プレミアムホワイト」「ヱビス プレミアムメルツェン」「ヱビス ホップテロワール」など個性的な限定商品も積極的に展開し、「ひとりひとりの彩りあるビール時間を創るブランド」としてヱビスならではの多様なビールの味わいをご提案してきました。

 「サッポロ生ビール黒ラベル」の麦芽と「ヱビスビール」のホップを一部使用し、サッポロビール社の技術と信念をつぎ込んだ新ジャンル「サッポロ GOLD STAR」が、新ジャンルの市場が縮小傾向にある中、2年連続前年超えを果たしました。さらにお客様の新しいアルコールの選択肢として、アルコール度数0.7%の微アルコールビールテイスト飲料「サッポロ The DRAFTY」を2021年9月に発売し、新しい市場の創造にも挑戦しました。

 また、お客様との共創によるビールづくりを展開する「HOPPIN' GARAGE」は、定期的に新作ビールが届く会員制サービスを2021年4月に開始して以来、多くの魅力的な方々と当社の醸造技術を掛け合わせた共創を行ない、個性豊かなビールを皆さまにお届けしてきました。ブランドの主力サービスである「ホッピンおじさんの新作定期便」の登録人数は約3,000名となり、一般購入も含めた売上数量は前年比約2.5倍まで成長しました。

 RTD(※1)では「サッポロ 濃いめのレモンサワー」のお客様支持が拡大しました。またグレフルサワー専門ブランド「サッポロ 三ツ星グレフルサワー」を発売するなど、RTD市場成長が鈍化する中、前年を超える当社史上最高1,219万ケース(※2)を販売しました。またRTS(※3)からは、レモンサワーの素に次ぐ濃いめブランドの新商品として「濃いめのグレフルサワーの素 500ml瓶」を発売し、好評をいただいています。

 酒類事業の研究開発費の金額は15億円です。

 

※1 RTD:Ready to Drink の略。栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料

※2 250ml×24本換算

※3 RTS:Ready to Serve の略。氷やソーダ等で割るだけで楽しめるお酒

 

[食品飲料事業]

1.研究開発について

 「おいしさを探す」一環として、ポッカサッポロフード&ビバレッジ社が、レモンの摂取による健康状態への効果を調査する研究を、国産レモンの産地である広島県の大崎上島町にて、ここ数年にわたって地元自治体や大学と協働して進めています。さらに同地では、国産レモンの省力化栽培・供給拡大を念頭に、ICT(情報通信技術)を活用して天候に応じて自動で最適な肥料や水やりを行うレモン栽培、休耕田のレモン栽培への活用等の研究開発を継続しております。また、アルビレックス新潟のU-18の選手を対象として、レモンと牛乳の摂取が骨の健康維持に及ぼす影響についての食育活動の試験を進めています。

 さらに、レモン由来のモノグルコシルヘスペリジンの「むくみ」の改善効果を(一社)日本果汁協会主催の第63回果汁技術研究発表会にて発表を行い、本研究成果を具現化した機能性表示食品「キレートレモンMUKUMI」を発売しました。

 

2.商品開発について

 食品飲料における商品開発については、ポッカサッポロフード&ビバレッジ社の経営ビジョン「おいしい以上の価値」のもと開発活動を行いました。

 レモンでは、「キレートレモン」ブランドにて、レモン1個分の果汁(※1)、ビタミンC1,350mg、クエン酸1,350mgが入り、レモンの果皮から抽出されたレモン由来モノグルコシルヘスペリジンの働きで一時的に自覚する顔のむくみ感を軽減することができる、機能性表示食品「キレートレモンMUKUMI」を上市し、多くのお客様からの支持を得て好調に推移しています。

 スープでは、主力ブランド「じっくりコトコト」シリーズにおいて、従来の「冷製缶スープ」が野菜を補給したい時の食事の一品や、小腹がすいた時の間食としても利用されることが多いことから、より野菜を摂取したい気持ちや小腹を満たしたいシーンに寄り添う「やさいのじっくりコトコト」シリーズとしてリニューアルしました。また、カップ入りタイプでは、従来の「じっくりコトコトこんがりパン1食分の野菜」シリーズを、スープをサラダ感覚でお召しあがりいただけるよう「じっくりコトコトこんがりパン温サラダ」と名前を変更し、中身設計も見直しました。「温かいサラダ」をコンセプトに、刷新前と比べ、使用している野菜の種類を増やし、野菜の濃厚さと美味しさ・野菜の食感と素材がより感じられる味わいへと魅力を高めました。“ほうれん草チャウダー”“ミネストローネ”“オニオンチャウダー”の3種類のラインナップで、すべて「1食分の野菜」(※2)入りです。また、「おうちスープ」は、大容量タイプの袋入りスープとして、2021年に数量・期間限定で販売しましたが、2022年8月より、定番の「コーン」と「ポタージュ」の2種類で上市しました。

 植物性食品では、豆乳ヨーグルト「SOYBIO」ブランドにて、植物性のプロテインである大豆プロテイン8g(※3)が入っており、乳酸菌やイソフラボンなどの成分と一緒に手軽にプロテインを摂ることができる「SOYBIO豆乳ヨーグルト SOYPROTEIN」を上市しました。また、シチリア産レモン果汁を使用したレモンソース(※4)で仕上げた爽やかなレモン味をおいしく楽しむことができる「ソヤファーム 豆乳で作ったヨーグルト シチリアレモン」を上市しました。

 飲料では、コロナ禍においてテレワーク等の普及や、オフィス需要が減少するなかで、日本において紙製飲料容器「カートカン」からは初となる水「Green Pack Water」を新たに発売しました。また、“顔缶”の愛称で親しまれている「ポッカコーヒー」から、ブラジル最高等級豆である「ブラジルNo.2」を100%使用した、ほどよい苦みと芳醇なコクのプレミアムタイプ「ポッカコーヒープレミアム微糖」を新たに上市しました。

 神州一味噌社は即席みそ汁主力ブランドの「おいしいね!!」において、2022年春からカップみそ汁フタ薄肉化および3食入り袋の材質構成見直しによりプラスチック原料を年間約6.7トン削減しました。

 食品飲料事業の研究開発費の金額は11億円です。

 

※1 レモン1個分は、レモン果汁約30mlとして1本当たり1個分以上の果汁が含まれています

※2 1日の野菜摂取目標量は350g(厚生労働省「健康日本21(第2次)」より)。本品ではその1/3量を使用しています(生野菜換算、日本食品標準成分表2020年版(八訂)より)。加工した野菜と生野菜の栄養価は異なります。

※3 大豆たんぱく質相当量(100g当たり)です。

※4 レモンソース中にシチリア産ストレートレモン果汁を12%使用しております。