第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは1946年の創業以来、美を通じて人々に夢と希望を与え続けることを使命としてまいりました。1991年には、CIの導入を契機にこの想いを存在理念:「英知と感性を融合し、独自の美しい価値と文化を創造する」として明文化し、現在に至るまで着実に成長を続けてまいりました。また、同時に発信した「美しい知恵 人へ、地球へ。」というコーポレートメッセージの中にも、「美の創造企業」として、「美」にまつわるあらゆる知恵を出し合い、人々のために、そして大切な地球のために役立てるという強い決意を込めております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、売上高営業利益率及び総資産事業利益率(ROA)、自己資本当期純利益率(ROE)の向上を重要な経営指標としております。

注) 総資産事業利益率=(営業利益+受取利息・配当金)/総資産(期首期末平均)×100

自己資本当期純利益率=親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(期首期末平均)×100

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

当社グループは、創業80周年に向けて更なる成長ステージを目指した中長期ビジョン「VISION 2026」を推進しております。

 

◇◇コーセーグループの将来像:世界で存在感のある究極の高ロイヤルティ企業◇◇

「日本を代表する化粧品メーカーとして、日本独自の化粧文化を創造する」という自覚を持ち、“一人ひとりのきれい”を追求し、世界に先駆けて“独自の価値”を創出し続け(唯一無二の存在)、オリジナリティと魅力あふれる多彩なブランドをお届けすることで、一人でも多くのステークホルダーの皆さまに選ばれる企業(憧れの存在・かけがえのない存在)となることを目指しております。

 

■コーセーグループ中長期ビジョン「VISION 2026」

◆定量目標

・売上高 5,000億円

・営業利益率 16%以上

・ROA 18%以上

・ROE 15%以上

◆ロードマップ

・PhaseⅠ:「グローバルブランド拡充と顧客接点の強化」

・PhaseⅡ:「世界での存在感拡大と更なる顧客体験の追求」

・PhaseⅢ:「世界のひとりひとりに存在感のある顧客感動企業への進化」

◆基本戦略

① 3つの成長戦略

1) ブランドのグローバル展開加速

2) 独自性のある商品の積極的開発

3) 新たな成長領域へのチャレンジ

② 2つの価値追求

1) デジタルを活用したパーソナルな顧客体験の追求

2) 外部リソースや技術と連携した独自の価値追求

③ 3つの経営基盤

1) 企業の成長を支える経営基盤の構築

2) ダイバーシティ&インクルージョン経営の実践

3) バリューチェーン全体にわたるサステナビリティ戦略の推進

 

(4) 新型コロナウイルス感染症への対応

新型コロナウイルス感染症への対応については、「第2 事業の状況2.事業等のリスク」に記載しております。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響が及ぶ可能性のあるリスク並びに投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項には、以下のようなものがあると考えております。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が主要なリスクと判断したものでありますが、ここに掲げられているものに限定されるものではありません。

 

当社では、将来にわたる事業の継続性と安定的発展の確保のため、全社横断的な組織として、「リスクマネジメント推進委員会」を設置し、リスクを網羅的に洗い出し、定性的な分析・評価を行うとともに、甚大な影響を及ぼす可能性のあるリスクに対し、必要な対策を講じております。具体的には、毎年、関係会社及び各部門の責任者へのアンケートを通じて、リスク項目を抽出するとともに、「リスクが顕在化した場合の経営成績等の状況に与える影響」「リスクが顕在化する可能性の程度」の2つの評価軸で優先付けを行っております。

 

リスクアセスメントで抽出したリスクは、リスクカテゴリーごとに集約し、「戦略リスク」「事業・財務リスク」「政治・経済リスク」「事故・災害リスク」「人事・労務リスク」「法令違反・賠償リスク」に分類し、定期的にそれぞれのリスク対応の現状と進捗状況をモニタリングする仕組みを構築・運用しております。

 

2023年の世界経済は、物価上昇に対する中央銀行による利上げと、ロシアによるウクライナ侵攻が長引き、経済活動の重しとなることが予想されます。

 

日本については、ウィズコロナの経済活動再開を背景に景気の持ち直しは続く一方、海外景気の減速の影響を受け、経済成長は鈍化する可能性があります。

 

アジア・米国においては、中国ではゼロコロナ政策からの転換を受けて個人消費の回復が見込まれ、化粧品需要は本格的に回復すると予想されます。韓国においては、免税事業における中国との競争激化により苦戦が続く見通しであります。米国ではインフレは鈍化傾向を示すも、高インフレ・高金利が続くと予想されるため、景気は減速する見通しであります。

 

 

リスクカテゴリー

主要リスクの内容

主な取り組み

戦略リスク

価格競争

ブランド価値の毀損

市場シェアの低下

マーケットニーズ・顧客志向の変化を考慮した商品開発・マーケティング・販売活動を行うとともに、機能的・情緒的な付加価値での差別化により、競合優位性を維持・向上させるべく取り組んでおります。

競合の新規参入

異業種からの参入や競合他社の新たなチャネル進出による市場シェアの低下

お取引先や営業・販売現場からの情報を随時把握するとともに、定期的な消費者調査により、市場の情報をタイムリーに把握することに取り組んでおります。また、積極的に異業種と協業し、外部リソースや技術と連携することで、独自の価値追求にも戦略的に取り組んでおります。

研究開発の遅れ

ブランドの市場競争力の低下

イノベーションの減退

先端技術研究所においては、データサイエンスを用いた基礎的・応用的な研究を行うとともに、フランスのリヨンに分室も開設し、最先端の皮膚科学研究に取り組んでおります。また、外部リソースを活用したオープンイノベーションにも積極的に取り組んでおります。

消費者嗜好の変化

消費者ニーズとの乖離によるブランド価値の低下

消費者の情報を適切に入手するための市場調査の定期的な実施と、日本国内の消費者調査に加え、海外進出国における調査も強化しております。またデジタルの積極的な活用による新たな顧客体験を追求しております。

 

気候変動対応への遅れ

低炭素化社会に対応できないことによる事業収益性の低下

 

温室効果ガス削減をはじめとした気候変動の緩和に向けた様々な取り組みを積極的に行っております。また「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」の提言に基づく気候変動が事業に及ぼす「リスク」と「機会」についての情報開示など、国際的な動きへの対応にも努めております。

 

 

 

リスクカテゴリー

主要リスクの内容

主な取り組み

事業・財務リスク

原材料の価格高騰

原料高騰による利益率の低下

市場リスクを最小限にするために、海外を含めたグローバル調達を推進しております。また、サプライヤー様と良好な関係を保ちながら、必要な原材料や外注生産品を適切な価格でタイムリーに調達できるよう努めております。さらに、「原価在庫低減推進委員会」の設置により、適切な原価の維持や在庫を確保するための取り組みも行っております。

原材料の供給途絶

製品の安定的な供給への支障

売上高・利益率への影響

当社の信用の低下

政治・経済リスク

法的規制の改変・対応

需要変動のリスク

商品の輸出への影響

事業に関連する法規制の情報を日々収集するとともに、製品開発においては、法規制変更に伴う原料規格内容の見直し、代替原料の確保に向け、国内外の情報ネットワークを有効活用し、対応を進めております。

海外進出国エリアの政治情勢の急変

需要変動による売上への影響

従業員の安全リスク

海外現地法人・取引先様との連携を高め、各国、各エリアの経済・政治・社会的状況についてタイムリーな情報収集を通じて、必要な対策を講じております。

事故・災害リスク

自然災害(地震・噴火・津波など)

生産・物流機能の停止による事業活動の停滞や中断

災害発生や感染症が蔓延した場合、速やかに対策本部を設置し、対応策を協議の上、実行いたします。また、災害時に備え、危機管理マニュアルを作成し、職場安全性の確認及び不具合箇所の是正、代替手段の確保にも努めております。

強毒性の感染症の蔓延

生産・供給・販売など事業活動の停滞や中断

人事・労務リスク

優秀な人材の確保

企業競争力の低下

多様な人材が活躍できる環境づくりの取り組みを進めるとともに、採用活動においては、職種別採用の実施による専門人材の獲得や、ビューティーコンサルタント職の処遇制度の改定による優秀な人材の獲得を進めております。

法令違反・賠償リスク

製品事故に関わる問題

重篤な製品事故発生による、お客様からの信用損失と企業

ブランド価値の低下

お客様に安全・安心な商品をお届けすることを第一に考え、商品づくりに取り組んでおります。当社グループの品質に対する考えを「品質方針」として表現し、それを象徴する品質方針メッセージと5つの活動宣言を定め、日々活動しております。

機密漏洩・個人情報の漏洩

情報の漏洩による信用損失・損害賠償

「コンプライアンス推進委員会」によるコンプライアンスの啓蒙に加え、個人情報については法律や経済産業省のガイドラインに基づき「個人情報管理委員会」を設置するとともに、情報セキュリティの強化により、万全な管理体制の構築に取り組んでおります。また、社内研修を定期的に実施し、リスクの共有、防止を徹底しております。

 

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

前連結会計年度より当社及び3月決算であった連結対象会社は決算日を3月31日から12月31日に変更いたしました。この変更に伴い、当社とすべての連結対象会社の決算日が統一され、前連結会計年度においては、当社及び3月決算であった連結対象会社は4月1日から12月31日までの9ヶ月間、12月決算である連結対象会社は1月1日から12月31日までの12ヶ月間を連結対象期間としております。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 

セグメントの名称

2021年12月

(調整後)

2021年12月期

2022年12月

(調整後)

前期比較

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

化粧品事業

189,082

84.0

217,742

80.9

234,969

81.3

17,226

7.9

コスメタリー事業

34,351

15.3

49,185

18.3

52,234

18.1

3,048

6.2

その他

1,549

0.7

2,064

0.8

1,933

0.7

△130

△6.3

売上高計

224,983

100.0

268,992

100.0

289,136

100.0

20,144

7.5

 

 

区分

2021年12月

(調整後)

2021年12月期

2022年12月

(調整後)

前期比較

金額

(百万円)

売上比

(%)

金額

(百万円)

売上比

(%)

金額

(百万円)

売上比

(%)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

営業利益

18,852

8.4

15,672

5.8

22,120

7.7

6,448

41.1

経常利益

22,371

9.9

22,050

8.2

28,394

9.8

6,343

28.8

親会社株主に帰属する
当期純利益

13,341

5.9

11,135

4.1

18,771

6.5

7,637

68.6

 

※前期比較(調整後増減)は、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を遡及適用したと仮定して前年同一期間(2021年1月1日から2021年12月31日)と比較した増減であります。

 

当期(2022年1月1日から2022年12月31日まで)における日本経済は、ウィズコロナへの移行が進められ、経済社会活動が正常化しつつあり、景気の緩やかな回復基調が続きました。

当社グループが主に事業展開しているアジア・米国においては、中国では新型コロナウイルス感染症拡大によるロックダウンおよびその後のゼロコロナ政策にともなう移動制限の影響を受けました。2022年12月にゼロコロナ政策が大幅に緩和されましたが、新型コロナウイルスの感染急拡大により経済活動は大幅に減速しております。それ以外のアジア各国では着実に持ち直しの動きがみられます。米国においては、急速に進行するインフレや金利上昇が逆風となり、前年からは景気減速いたしましたが、底堅い雇用環境が個人消費を下支えいたしました。

日本の化粧品市場においては、行動制限の緩和による消費活動の再開により、回復基調にあります。
 アジアの化粧品市場においては、中国では、ロックダウンの解除後、中国本土および海南島を中心としたトラベルリテールでの需要が回復傾向にあります。それ以外のアジア各国についても、着実に回復しております。米国の化粧品市場は、底堅い個人消費に支えられ順調に成長しております。

 

このような市場環境の中、当社グループは中長期ビジョン「VISION2026」を推進しており、「世界で存在感のある企業への進化」を目指しております。2022年度からは「PHASEⅡ:世界での存在感拡大と更なる顧客体験の追求」の段階に入り、基本戦略の下、グローバルな事業展開の促進、事業領域および顧客層の拡大、デジタルコミュニケーションの強化、成長を支える経営基盤の構築に取り組んでおります。

 

 

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a. 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ39,581百万円増加359,600百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ18,499百万円増加し、84,251百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ21,081百万円増加し、275,349百万円となりました。

 

b. 経営成績

当期における当社グループの業績については、中国での断続的なロックダウンの影響に加え、韓国において減収となりましたが、日本の百貨店・専門店チャネルにおけるハイプレステージ、欧米を中心に展開する「タルト」が実績を牽引したことにより、売上高は調整後前期比7.5%増の289,136百万円(為替の影響を除くと2.7%増)となり、連結売上高に占める海外売上高の割合は43.6%となりました。

利益については、増収に加え、原価率の低減および販管費の抑制によって増加し、営業利益は22,120百万円(調整後前期比41.1%増)、経常利益は為替差益の大幅な増加により28,394百万円(同28.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は18,771百万円(同68.6%増)となりました。

 

1) 化粧品事業

化粧品事業においては、ハイプレステージにおいて、「コスメデコルテ」や「アルビオン」が日本で引き続き好調に推移しましたが、中国(トラベルリテール事業を除く)や韓国では苦戦いたしました。それ以外のブランドでは、「ジルスチュアート」、「アディクション」が、日本のメイクアップ市場の需要回復に伴い業績が伸長いたしました。欧米で展開する「タルト」は、SNSでのプロモーションが功を奏し、主力商品や新商品の売上を伸ばしました。プレステージの主力ブランド、「雪肌精」は下期から回復基調にあります。これらの結果、売上高は234,969百万円(調整後前期比7.9%増)、営業利益は25,407百万円(同28.5%増)となりました。

 

2) コスメタリー事業

コスメタリー事業においては、コーセーコスメポート㈱のヘアケアブランド「ビオリス」が苦戦した一方、同社の「クリアターン」に加え、メイクアップブランドの「ヴィセ」、ヘアケアブランドの「スティーブンノル ニューヨーク」などが好調に推移した結果、売上高は52,234百万円(調整後前期比6.2%増)、営業利益は1,101百万円(同182.0%増)となりました。

 

3) その他

その他の事業は、ホテルやゴルフ場向けアメニティ製品の販売やOEM生産の受注が減少した結果、売上高は1,933百万円(調整後前期比6.3%減)となりました。営業利益は売上原価率が低下したことにより1,067百万円(同36.9%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より12,187百万円増加94,063百万円(前期比14.9%増)となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、20,261百万円の収入となりました。主な要因は税金等調整前当期純利益27,867百万円、非資金費用である減価償却費9,743百万円、棚卸資産の増加3,008百万円、売上債権の増加7,444百万円、退職給付に係る資産の増加3,757百万円、その他の資産の減少1,700百万円、仕入債務の増加2,082百万円及び法人税等の支払い5,646百万円等であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、6,311百万円の支出となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出4,250百万円及び無形固定資産の取得による支出2,852百万円、定期預金の払戻による純収入1,662百万円等であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、7,313百万円の支出となりました。主な要因は配当金の支払額7,416百万円等であります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

  至 2022年12月31日)

金額(百万円)

調整後前年同期比(%)

化粧品事業

158

86.4

コスメタリー事業

34

93.2

その他

1

100.4

合計

194

87.6

 

(注) 1.金額は製造会社販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.「調整後前年同期比」は、前連結会計年度の実績を当連結会計年度と同一の期間に組み替えた「前期同一期間」との比較であります。

 

b. 受注実績

重要な受注生産を行っておりませんので記載を省略しております。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

  至 2022年12月31日)

金額(百万円)

調整後前年同期比(%)

化粧品事業

234,969

107.9

コスメタリー事業

52,234

106.2

その他

1,933

93.7

合計

289,136

107.5

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.「調整後前年同期比」は、前連結会計年度の実績を当連結会計年度と同一の期間に組み替えた「前期同一期間」との比較であります。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は下記のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。なお、本表作成に際しては経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告に影響を与える見積りが必要ですが、この判断及び見積りには過去の実績を勘案するなど、可能な限り合理的な根拠を有した基準を設定した上で実施しております。しかしながら、事前に予測不能な事象の発生等により実際の結果が現時点の見積りと異なる場合も考えられます。

当社グループの連結財務諸表で採用した重要な会計上の見積り及び見積りに用いた重要な仮定は、第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]の[注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]の[注記事項](重要な会計上の見積り)に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
1) 財政状態

当連結会計年度末の流動比率は361.8%、当座比率は250.1%であり、前連結会計年度末に比べそれぞれ5.7ポイント、2.7ポイントの減少となりました。主な理由は下記のとおりであります。

資産は、前連結会計年度末に比べ39,581百万円の増加となりました。現金及び預金の増加11,253百万円、受取手形及び売掛金の増加8,240百万円、商品及び製品の増加2,791百万円、原材料及び貯蔵品の増加1,999百万円、リース資産の増加7,596百万円、投資有価証券の増加2,444百万円、退職給付に係る資産の増加4,826百万円、建物及び構築物の減少1,775百万円、機械装置及び運搬具の減少1,218百万円、工具、器具及び備品の減少894百万円等によるものであります。

負債は、前連結会計年度末に比べ18,499百万円の増加となりました。電子記録債務の増加2,055百万円、未払金の増加2,416百万円、未払法人税等の増加1,319百万円、未払費用の増加596百万円、短期借入金の増加761百万円、繰延税金負債の増加3,041百万円等によるものであります。

なお、有利子負債残高は10,178百万円、デット・エクイティ・レシオは0.04倍となりました

 

2) 経営成績
(売上高)

当連結会計年度の売上高は、289,136百万円(調整後前期比7.5%増、20,144百万円増)となりました。

これをセグメントごとに分析すると、当社グループの主力事業である化粧品事業及びコスメタリー事業の売上高がそれぞれ234,969百万円(同7.9%増、17,226百万円増)、52,234百万円(同6.2%増、3,048百万円増)となりました。その他の事業の売上高は1,933百万円(同6.3%減、130百万円減)となりました。

(営業費用)

当連結会計年度の売上原価は、83,620百万円(調整後前期比3.1%増、2,527百万円増)となりました。

販売費及び一般管理費は、183,395百万円(同6.5%増、11,168百万円増)となりました。販売費及び一般管理費の売上高比率は0.6ポイント減少いたしました。

(営業外損益)

当連結会計年度の営業外損益は、6,273百万円の利益(調整後前期比1.6%減、104百万円減)となりました。当連結会計年度は為替差益4,306百万円(同2.3%増、98百万円増)を計上しております。

(特別損益)

当連結会計年度の特別損益は、526百万円の損失(調整後前期比51.0%減、548百万円減)となりました。固定資産処分損266百万円を特別損失に計上しております

 

3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より12,187百万円増加94,063百万円(前年同期比14.9%増)となりました。当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因につきましては第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況に記載のとおりであります。

当社グループは「VISION 2026」実現に向け、生産設備の新設及び更新、新規市場進出のための投資、デジタルトランスフォーメーション推進への投資などを実施してまいります。それぞれの投資のタイミングにつきましては、資金残高及び資金調達のバランスを検証し、優先順位をつけて実施してまいります。

自己資金による事業運営、設備投資、株式投資、配当などを行っておりますが、金融機関とは28,000百万円のコミットメントラインを締結しており、事業運営上必要な投資などへの資金につきましては、外部調達も可能となっております。

当社グループの財務状況、安定した業績については、金融機関及び金融市場からの評価は高く、自己資金が不足した場合においても外部調達は可能と判断しております。

利益配分につきましては安定配当を基本としておりますが、今後の事業拡大のための内部資金の確保に配慮しつつ、財政状態、業績、配当性向などを勘案し、配当金額を決定しております。

 

b. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

化粧品市場においては、国内外におけるEコマース売上規模の拡大、交通インフラの発展や、経済成長に伴う所得水準の上昇により、中国をはじめトラベルリテール事業の売上も好調に推移いたしました。

今後につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による消費マインドや、雇用・所得環境の悪化の改善、経済回復時期も不透明なため、市場変化に対するタイムリーな対応の成否が、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすことが想定されます。

 

c. 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの資金調達の状況につきましては、事業継続に必要と考える資金は確保していると認識しております。

今後の資金使途につきましては、内部留保により財務体質の強化を図る一方、設備投資やM&Aに取り組むことで将来のキャッシュ・フローの創出につなげ、資本効率の向上を図ってまいります。また、一時的な余剰資金の運用につきましても、安全性を第一に考慮し運用商品の選定を行ってまいります。

 

d. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、売上高営業利益率、総資産事業利益率(ROA)及び自己資本当期純利益率(ROE)の向上を重要な経営指標としております。総資産事業利益率(ROA)及び自己資本当期純利益率(ROE)の前連結会計年度、当連結会計年度推移と「VISION 2026」でのそれぞれの目標に対する進捗については、以下のとおりです。

 

 

前連結会計年度

(調整後)

前連結会計年度

当連結会計年度

「VISION 2026」

総資産事業利益率(ROA)

6.1%

5.2%

6.7%

18%以上

自己資本当期純利益率(ROE)

5.8%

5.1%

7.5%

15%以上

売上高営業利益率

8.4%

5.8%

7.7%

16%以上

 

 

 

当連結会計年度は全て(調整後)前連結会計年度を上回りました。その要因は、経営成績が前連結会計年度を上回ったことによります。当連結会計年度における各重要な経営指標につきましては、第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況で述べたとおりであります。

(注) 総資産事業利益率=(営業利益+受取利息・配当金)/総資産(期首期末平均)×100

自己資本当期純利益率=親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(期首期末平均)×100

 

e. セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
1) 財政状態
(化粧品事業)

セグメント資産は、現金及び預金の増加5,003百万円、売掛金及び受取手形の増加8,479百万円、棚卸資産の増加4,599百万円、有形固定資産の増加4,450百万円、無形固定資産の減少146百万円等により、前連結会計年度末に比べ27,124百万円増加243,672百万円となりました。

(コスメタリー事業)

セグメント資産は、現金及び預金の減少108百万円、棚卸資産の増加974百万円、有形固定資産の増加22百万円等により、前連結会計年度末に比べ771百万円増加43,911百万円となりました。

(その他)

セグメント資産は、現金及び預金の減少188百万円、売掛金及び受取手形の減少226百万円等により、前連結会計年度末に比べ771百万円減少3,747百万円となりました。

 

2) 経営成績

当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績につきましては、第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b. 経営成績で述べたとおりであります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、お客様のニーズに合った化粧品を市場に提供するために、主に、以下の国内二拠点を中心として研究開発活動に取り組んでおります。

コーセー製品開発研究所‥‥‥‥‥‥‥製品開発研究・管理、海外市場研究、薬事戦略、

サステナビリティ研究、研究戦略・管理

コーセー先端技術研究所‥‥‥‥‥‥‥先端技術研究、皮膚科学研究、基盤技術研究、品質保証研究、

IT関連技術開発・管理

当連結会計年度におきましては、さらなる顧客価値創出のための技術開発力と品質保証体制の強化、グローバル化への対応を進め、研究開発活動のより一層の向上に努めました。

当連結会計年度における研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。

製品研究分野の研究成果として、当連結会計年度において開発いたしました主な製品は以下のとおりであります。

 

スキンケア製品・ヘアケア製品

製品名称等

特徴

セグメントの名称

コスメデコルテ リポソーム アドバンスト リペアクリーム

リポソームを配合した高機能クリーム。1兆個(1g中の概算値)のリポソームが角層に作用し、濃密なハリ感、ツヤ、弾力性を具現化。睡眠不足でも3時間多く眠ったような肌に。

化粧品事業

インフィニティ アンリミテッド キー

たっぷりの美容オイルを凝縮した多数のオイルカプセルを配合した、機能と外観審美性に優れた美容液。

化粧品事業

コスメデコルテ アイピー ショット プルリポテント ユース コンセントレイト

iPS細胞研究から生まれた美容液の進化商品。日本発のトラネキサム酸(美白)とナイアシンアミド(シワ改善)のW有効成分で高機能を具現化。

化粧品事業

ONE BY KOSÉ ダブル ブラック ウォッシャー

肌に直塗りして洗い流すという新しい使い方で、セルフスキンケア感と皮脂除去効果が高い炭配合の洗顔料。

化粧品事業

スティーブンノル アフターカラー シャンプー・トリートメント

ヘアカラー直後の色落ちがしやすい7日間に使用する色落ち防止とダメージ補修に優れたヘアケアアイテム。自社オリジナルのポリクオタニウム-104を配合して機能性を具現化。

コスメタリー事業

サンカット プロディフェンス オールインワンUV ムース

ジェルよりもふんわり軽い使用感で紫外線をしっかりカットしながら透明感を演出するムースタイプの日やけ止め。

コスメタリー事業

 

 

メイクアップ製品

製品名称等

特徴

セグメントの名称

コスメデコルテ

ゼン ウェア フルイド

素肌の美しさを際立たせ、自然な仕上がりが続くリキッドファンデーション。粉体分散技術を用いて墨のようになめらかで肌にとけこむ使用感を叶えると共に、高いカバー力とラスティング効果(化粧もち)の両立を実現。

化粧品事業

アディクション スキンプロテクター カラーコントロール

美容液をたっぷり配合したみずみずしい日やけ止めカラープライマー。SPFとみずみずしい使用感を両立し、素肌感を叶える品質を具現化

化粧品事業

エスプリーク

アクアリー スキンウェア

マイクロメッシュを通してクリームファンデーションがみずみずしい美容液ファンデーションに変化。なめらかに薄膜で均一に仕上がるファンデーションを開発。

化粧品事業

ヴィセ

エッセンス リッププランパー

マスク着用習慣でますます顧客ニーズが高まっているリップケアアイテムとして、保湿感に加えジンジン感と清涼感の絶妙なバランスによる心地よい効果感とプランプ効果を併せ持つ多機能リップエッセンスを開発。

コスメタリー事業

アディクション ザ アイシャドウパレット

パール剤や顔料を厳選しながら、発色と化粧持続性の良い新たなベースを開発。肌に溶け込む上質な質感と絶妙な色との組み合わせによるブランドを象徴するセットアイシャドウを実現。

化粧品事業

 

 

 

基礎研究分野では様々な研究を進めております。肌の色むら原因を明らかにする研究を通じて、表皮細胞の横方向への分裂がメラニンを過剰に含む細胞の重層化を誘発し、シミ形成に関与していることを発見いたしました。新たな取組みとしてグラッドストーン研究所へ研究員を派遣し、老化メカニズムの解明を進め、皮膚の若返りを目指す研究にも着手しております。またマイクロバイオーム(細菌叢)と皮膚状態の関係性を網羅的に解析し、皮膚マイクロバイオームの多様性(複数の常在菌が共存している状態)と肌老化との関係を明らかにする研究なども進めております。

一方でデジタル技術を駆使した先端的な研究にも取り組んでおります。新しいプロジェクションマッピング技術を化粧品分野へ応用し、動きのある顔上でも実際に化粧をしているような自然な仕上がりを実現できる没入感のあるメイクシミュレーターの開発に成功いたしました。これら研究成果は様々な分野の学会にて発表・投稿を実施しており、優秀賞などを受賞しております。今後、これらの基礎研究から得られる成果を、新製品の開発や顧客満足に繋がるカウンセリングツールなどに随時応用していく予定であります。また、ウェルビーイング領域やサステナビリティ推進に向けた研究も、今後強化していく方針であります。

 

以上の結果、当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は6,092百万円であり、セグメントごとの内訳は、化粧品事業4,962百万円、コスメタリー事業670百万円、その他の事業60百万円であります。また、各事業部門に配分できない基礎研究費用は399百万円であります。