第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

以下の記載事項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

《経営理念》信頼と限りなき挑戦

 2018年に創業100周年を迎え、創業者である浅野総一郎の理念を踏まえ、当社の、現代の存在意義と将来に向けた夢

のある発展を追い求めるため、2013年の持株会社体制への移行を機にグループ経営理念を掲げました。

 当社グループは、社会と人々に貢献することが使命と考えます。そのためには「継続ある事業基盤の確立」と「不朽

なる技術の進展」は不可欠であります。ステークホルダーからの信頼確保を第一に、研究開発体制の整備、M&Aや海外

進出を含む新規事業への積極的な展開を図りながら、新製品の開発と新規事業の開拓を行ってまいります。

 社員一同、世界に信頼される「カーリットグループ」となるよう、飽くなき挑戦を日々積み重ねてまいります。

 

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、「社会が何を求めているか」、「社会の成長にどう寄与するか」といった社会課題を、事業活動を

通じて解決することを使命とし、「モノづくり」を通じて「社会」と「会社」の持続性ある相互成長の関係を築き上げ

ていくように努めています。

 その実現のために、数ある社会的に影響のある項目について、ステークホルダーにとっての重要性、自社にとっての

重要性、環境・社会にとっての重要性という3つの視点から、新たに以下の「マテリアリティ」(重要課題)をCSR推進

委員会にて特定いたしました。

 ・安心・安全で活き活きとした職場環境づくり

 ・信頼性・透明性・収益性のある安定した経営基盤の強化

 ・地域社会との共生

 ・豊かな社会創造への貢献

 マテリアリティに取り組むにあたり、土台となるグループの経営基盤強化が重要であるという認識のもと、既存事

業の基盤固めと高い付加価値を有する新製品開発の促進に一層注力して参ります。

 

 今後の経済見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、急激な経済環境の悪化および

人消費の落ち込みが発生しており、消費マインドの大幅な低下の影響等も重なり、先行きの見通しが困難な状況が続

くものと予想されています。

 当社グループにおいては、以下のような影響が見込まれます。

 化学品事業部門においては、自動車用緊急保安炎筒が新車販売台数の減少や車検の期限延長の影響による減販、ま

たパルプ漂白用の塩素酸ナトリウムが紙需要減少による減販を見込んでいます。さらに、原油価格の下落も大きな減

販要因となります。

 ボトリング事業部門においては、ペットボトル飲料の需要低下による減販を見込んでいます。

 産業用部材事業部門においても、自動車・建設機械向けばね・座金製品の減販が見込まれます。

 このような厳しい市場環境ではありますが、当社グループは「利益指向で事業の足場固めを積み重ね、新たな取り

組みに向けて経営資源を投入する」ことをテーマとした中期経営計画「ワクワク21」の実現に向け、付加価値の高い

製品やサービスを創出し、新たな事業領域を切り拓いていくための諸施策を遂行してまいります。

 

 

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において当社グループが判断したものであり、事業のリスクはこれらに限られるものではありません。

 

1. 為替相場の変動リスク
 当社グループは国内販売を中心に営業活動を展開しておりますが、製品の価格競争力を強めるため、原価低減の一環として原材料の一部を輸入品により調達していることから、為替相場の変動や海外政情・海外物流事情等により安定調達面で影響を受ける可能性があります。また、海外での事業や輸出に関連した取引においての為替レートの急激な変動により影響を受ける可能性があります。これらに対し、複数購買による調達リスクの分散、為替予約により仕入れ価格をあらかじめ確定させるなど、変動の影響を極力軽減する方策を採っており、その結果当社グループの業績及び財務状況に重大な影響を及ぼすには至らないと認識しています。

 

2. 法的規制のリスク
 当社グループでは事業の特性上、化学物質の取り扱いに関する法令等により規制を受けております。環境問題に対する意識の高まりなどから、化学物質を対象とした各種規制は、ますます強まる傾向にあり、対象製品の製造・販売に支障が生じた場合には当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。環境問題、化学物質、輸出等の業務に係る法規制改正動向を常に注視し、コンプライアンスを徹底しつつ、適正な業務運営を行っております。

 

3. 技術革新のリスク
 電子材料製品、機能材料製品、シリコンウェーハ製品等については、技術革新のスピードと市場のニーズの変化が非常に速いことに加え、販売価格の下落圧力が強いことなどから、既存製品が陳腐化する可能性があります。当社グループとしては可能な限り顧客からの要求に応え、生産設備を安定的に稼働させることを基本戦略とすることからある程度の価格下落圧力は容認せざるを得ません。絶えず原価低減に努めるものの、同一製品を製造・販売し続ける限りにおいては長期的には利益が低下傾向となります。これに対応するべく、製品ラインアップの拡充、新製品の市場投入により利益水準の維持・向上を図りますが、ニーズの変化があまりに急激である場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

4. 市場動向変動のリスク
 当社グループでは、ボトリング事業において、多様化する消費者の飲料に対する嗜好に応えていかなければならないブランド各社の販売戦略や天候状態に大きく左右される可能性があります。当該事業部門では、ブランド各社と関係を強化することで安定受注に努めてまいりますが、天候等の要因による販売量の増減は完全には避けられず、当社グループの業績及び財務状況に顕著な影響を与える可能性があります。

 

5. 事故・災害のリスク
 当社グループでは、化学品事業において、火薬類、塩素酸塩類などの危険物を数多く扱っており、事故・災害等について最大限の安全対策を講じております。重大事故等の発生可能性は極めて低いものの、万一大きな事故・災害が発生した場合は、設備の損害、事業活動の中断等により、当社グループの業績及び財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。工場内の定期的巡視を実施し事故を未然に防止し、また災害発生時に備え消火訓練等を強化し被害を最小限に抑える対策をとっています。

 

6. 原材料価格変動のリスク
 当社グループの原材料調達については、複数購買を基本戦略とし、安定調達を図っておりますが、原材料価格の変動を製品価格に転嫁出来なかった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。重油、LNG価格の変動は、ボトリング事業では燃料費への影響、また、化学品事業の製造にあたっては相当量の電力を使用するため、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

7. 資産評価の変動リスク
 当社グループは、時価のある有価証券等を保有しているため、株式相場が大幅に下落した場合、また、固定資産について回収可能額を測定した結果が帳簿価額を下回る場合、これらの資産評価により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。


 

8. 金利変動のリスク
 当社グループは、事業運営に必要な資金調達を行っており、金利が上昇した場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

9. 訴訟のリスク

 当社グループは、事業活動または知的財産権について、訴訟、係争、その他法律的手続きの対象となる可能性があり、重要な訴訟等が提訴されることにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。契約締結・取引開始時の所管部門の審査、およびトラブル発生時の適切な初動対応によりリスクの低減を図っております。

 

10.自然災害等によるリスク

 当社グループの事業拠点は国内を中心に分布しております。大地震や津波、台風、大雨等の自然災害、感染症の発生等の際には、当社の生産設備や人的資源への影響、損害や、顧客の需要動向に大きな変化が起こる可能性があります。特に2020年に入り拡大した新型コロナウイルス感染症については今後の見通しがつかない中、在宅勤務等により事業を継続しますが、影響が継続・拡大した場合には当社や顧客の稼働悪化要因となり、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

11.情報セキュリティに関するリスク

 当社グループは、顧客および取引先の機密情報、開発、生産、販売などの情報ならびに会計、企業戦略等様々な情報を有しており、これらの情報は外部流出や破壊、改ざん等が無いようにグループ全体で管理体制の構築ならびに従業員教育、ITセキュリティ等の強化策を継続的に実施しております。しかしながら、対応不可能な技術による外部からの攻撃や、内部的過失、盗難および自然災害や事故等によりこれらの情報の流出、破壊、改ざんまたは情報システムの停止等が引き起こされる可能性があります。このような事態が発生した場合は当社グループの信用が低下し、また損害賠償等の費用の発生、業務の停止等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

12.品質に関するリスク

   当社グループの事業は多岐にわたっており、各社の事業に合致した品質管理体制が要求されます。グループ各社に

  おいて、原材料調達から製品製造・出荷まで、一貫した品質管理体制の構築、運用を行っていますが、予期せぬ事態

  により製品の品質問題が発生した場合には、該社のみならず当社グループの信用が低下し、また製品の回収、手直

  し、代替製品の納入および製造に係わる費用の発生により、当社グループの業績及び財務状況に少なからず影響を及

  ぼす可能性があります。当社グループにおいては、大きな品質問題として顕在化する前の兆候の段階から品質担当者

  間で情報を共有化し、異なる業種からの視点も参考にしつつ対応を検討して実施するとともに、グループ各社への水

  平展開により品質管理体制の向上を図っています。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 米中貿易摩擦の長期化等に起因する世界経済の不透明な動向が、引き続き第4四半期連結累計期間の業績の低迷をもたらしました。特に、化学品事業部門では電子材料分野が、産業用部材事業部門ではシリコンウェーハとば

ね・座金製品がこの影響を強く受け、いずれの事業部門も売上高および利益を大きく押し下げられました。

 また、ボトリング事業部門において第2四半期期間中に発生した一部の製造ラインの不具合に起因する影響

が、第4四半期連結累計期間にも継続しました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

  当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ47億8千7百万円減少489億2千4百万円となりまた。

  当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ42億4千4百万円減少227億1千5百万円となりまた。

  当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ5億4千2百万円減少262億9百万円となりました。

 

b.経営成績

  当連結会計年度の連結売上高は497億4千5百万円(前年同期比 43億3百万円減、同8.0%減)となりました。連結営業利益は15億9千9百万円(前年同期比 7億2千9百万円減、同31.3%減)、連結経常利益は17億3千2百万円

 (前年同期比 8億1千9百万円減、同32.1%減)となりました。

  上記製造ライン不具合に関連した諸施策の費用等として9億4千5百万円の特別損失が発生し、受取保険金とし 2億3千3百万円の特別利益を計上しました。また、投資有価証券の売却による特別利益3億2千万円、老朽化設備

 の除却等による固定資産除却損2億7千9百万円を計上しました。これらにより、親会社株主に帰属する当期純利益は6億9千万円(前年同期比 8億8千8百万円減、同56.3%減)となりました。

 

 セグメント別の業績は、以下のとおりです。

(単位:百万円)

区  分

連 結 売 上 高

連 結 営 業 利 益

前 期

当 期

前 期

当 期

化学品

23,629

22,027

1,250

858

ボトリング

19,617

17,591

425

196

産業用部材

9,056

8,005

297

△40

小 計

52,303

47,624

1,972

1,015

その他・消去

1,745

2,121

355

583

合 計

54,049

49,745

2,328

1,599

 

 

 

②キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度における現金および現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて3億3千6百万円増加し、46億2千2百万円となりました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度における営業活動によって得られた資金は28億9千9百万円(前年同期比5千万円の増加)となりました。税金等調整前当期純利益が10億4千8百万円となり、減価償却費が20億3千6百万円、売上債権の減少額が30億6千9百万円、仕入債務の減少額が21億3千9百万円、法人税の支払額が10億5千3百万円あったことなどによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において投資活動に使用された資金は11億4千5百万円(前年同期比6億8千7百万円の減少)となりました。主に固定資産の取得による支出が14億9千3百万円、投資有価証券の売却による収入が5億5千1百万円あったことなどによります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 当連結会計年度において財務活動に使用された資金は14億2千4百万円(前年同期比4億7千1百万円の増加)となりました。主に借入金の減少額が8億2千5百万円、配当金の支払額が2億8千7百万円あったことなどによります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

化学品事業

9,625

△4.0

ボトリング事業

17,109

△10.8

産業用部材事業

5,264

△10.2

 報告セグメント計

31,999

△8.7

その他

合計

31,999

△8.7

 (注)1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

b.受注実績

 当社グループは主として見込み生産によっているため記載すべき事項はありません。

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

化学品事業

21,666

△6.9

ボトリング事業

17,591

△10.3

産業用部材事業

7,827

△11.0

 報告セグメント計

47,084

△8.9

その他

2,660

12.4

合計

49,745

△8.0

 (注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

     2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱伊藤園

18,276

33.8

16,002

32.1

3.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績

 1)財政状態

 (総資産)

 当連結会計年度末の総資産は、前期末に比べ47億8千7百万円減少し、489億2千4百万円となりました。これは、受取手形及び売掛金が31億8千8百万円減少、投資有価証券が15億5千1百万円減少したことなどによりま

す。

 流動資産は、前連結会計年度末に比26億8千1百万円減少205億3千9百万円なりました。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べ21億6百万円減少283億8千5百万円となりました。

 

    (負債)

 当連結会計年度末の負債は、前期末に比べ42億4千4百万円減少し、227億1千5百万円となりました。これ

は、支払手形及び買掛金が21億7千7百万円減少、未払法人税等が3億4千9百万円減少、繰延税金負債が3億8千5百万円減少、その他流動負債に含まれる未払消費税が2億4千7百万円減少有利子負債が9億9千万円減少した

ことなどによります。

 流動負債は、前連結会計年度末に比29億5千2百万円減少126億2百万円なりました。

 固定負債は、前連結会計年度末に比12億9千1百万円減少101億1千2百万円となりました。

 

    (純資産)

 当連結会計年度末の純資産は、前期末に比べ5億4千2百万円減少し、262億9百万円となりました。これは、当期純利益等の計上により利益剰余金が4億3百万円増加、その他有価証券評価差額金が9億5千5百万円減少したことなどによります。

 この結果、1株当たり純資産は、前期末に比べて24.06円減少し1,106.00円となり、自己資本比率は前期末49.8%から53.6%となりました。

 株主資本は、前連結会計年度末に比べ4億1千5百万円増加236億1千3百万円となりました。

 その他の包括利益累計額は、前連結会計年度末に比べ9億5千8百万円減少25億9千6百万円となりました。

 

    2)経営成績

    (売上高)

 当連結会計年度の連結売上高は前連結会計年度の540億4千9百万円から43億3百万円減497億4千5百万円、前年同期比8.0%減となりました。

 (売上原価、販売費及び一般管理費)

 売上原価は、前連結会計年度の452億8千7百万円から35億5千2百万円減の417億3千5百万円となりました。売上に対する比率は前年同期の83.8%から0.1%増の83.9%となりました。

 また、販売費及び一般管理費は前連結会計年度の64億3千2百万円から2千1百万円減の64億1千1百万円となりました。売上高に対する比率は前年同期比の11.9%から1.0%増加し12.9%となりました。

 (親会社株主に帰属する当期純利益)

 営業利益は、前連結会計年度の23億2千8百万円から7億2千9百万円減の15億9千9百万円となりました。営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は、前連結会計年度の2億2千3百万円の収益から、9千万円減の1億3千3百万円の収益計上となりました。

 その結果、経常利益は前連結会計年度の25億5千1百万円から8億1千9百万円減の17億3千2百万円となりました。

 特別利益から特別損失を差し引いた純額は、前連結会計年度の1億9千6百万円の損失から6億8千3百万円の損失計上となりました。

 以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度の23億5千5百万円から13億6百万円減の10億4千8百万円となり、法人税、住民税及び事業税や法人税等調整額を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度の15億7千9百万円から8億8千8百万円減の6億9千万円となりました。

 

b.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

 米中貿易摩擦の長期化等に起因する世界経済の不透明な動向が、引き続き第4四半期連結累計期間の業績の低迷

をもたらしました。特に、化学品事業部門では電子材料分野が、産業用部材事業部門ではシリコンウェーハとば

ね・座金製品がこの影響を強く受け、いずれの事業部門も売上高および利益を大きく押し下げられました。

 また、ボトリング事業部門において第2四半期期間中に発生した一部の製造ラインの不具合に起因する影響が、

第4四半期連結累計期間にも継続しました。

  なお、2020年3月期においては、当社グループにおける新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、軽微

 でありました。

 

 c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、2019年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画「ワクワク21」を策定し、スタートさせました。

 最終年度である2021年度の数値目標は売上高650億円、営業利益30億円、ROE8%を掲げております。(策定時の判

断に基づくものであり、経営環境の変化や会計基準の変更等により数値の変更が見込まれます。)

 「利益指向で事業の足場固めを積み重ね、新たな取り組みに向けて経営資源を投入する」ことを掲げ、付加価値

の高い製品やサービスを創出し、新たな事業領域を切り拓いていくための諸施策を遂行します。

 グループ経営理念である「信頼と限りなき挑戦」の下、少子高齢化やAI・IoT、SDGs等の社会課題と向き合い、研

究開発、新規事業、M&A、海外事業等への取り組みをより積極的に行い、既存・周辺事業についても基盤強化を図っ

てまいります。

 

 d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(化学品事業部門)

 化薬分野においては、産業用爆薬は土木向けの受注の減少により減販となりました。自動車用緊急保安炎筒

は、新車販売台数と車検入庫台数の減少により減販となりました。高速道路用信号炎管は増販となりました。煙火

関連はテーマパーク向けの需要減により微減となりました。これらにより、分野全体として減販となりました。

 受託評価分野においては、危険性評価試験は減販、電池試験は微増となり、分野全体としては減販となりまし

た。

 化成品分野においては、固体推進薬の原料である過塩素酸アンモニウムは打ち上げスケジュールが計画通りに進

み増販、過塩素酸と除草剤も増販となりましたが、パルプ漂白用の塩素酸ナトリウムは市況の影響により減販とな

り、分野全体としては減販となりました。

 電子材料分野においては、近赤外線吸収色素は大幅な増販、アルミ電解コンデンサ向け材料・チオフェン系材

料・電池材料向けの過塩素酸リチウムは増販となりました。一方で、米中貿易摩擦の影響を受けて機能性高分子コ

ンデンサ向けピロール関連製品と電気二重層キャパシタ用電解液は大幅な減販に、イオン導電材料などの機能材料

が減販となり、分野全体としては減販となりました。

 セラミック材料分野は工作機械・砥石業界向けの不調の影響を受けて減販となりました。

 その他では、販売商社である佳里多(上海)貿易有限公司、三協実業株式会社ともに減販となりました。

 これらの結果、当事業部門全体の売上高は220億2千7百万円(前年同期比 16億1百万円減、同6.8%減)、営業

利益は8億5千8百万円(前年同期比 3億9千1百万円減、同31.3%減)となりました。

 また資産は、前連結会計年度の262億1百万円から10億2百万円増の272億3百万円となりました。

 

(ボトリング事業部門)

 第2四半期期間中に一部の製造ラインの不具合が発生し、当該ラインの稼働を一時的に停止し、全面的なリニュ

ーアルを実施いたしました。当該製造ラインのリニューアルは第2四半期期間中にすべて完了しており、以降は安

定稼働を再開していますが、諸施策の費用等が第4四半期累計期間においても影響を及ぼしました。

 これらの結果、当事業部門全体の売上高は175億9千1百万円(前年同期比 20億2千5百万円減、同10.3%減)、

営業利益は1億9千6百万円(前年同期比 2億2千9百万円減、同53.8%減)となりました。

 また資産は、前連結会計年度の71億3千5百万円から17億2千9百万円減の54億6百万円となりました。

 

(産業用部材事業部門)

 米中貿易摩擦等の影響により、半導体向けシリコンウェーハ、自動車・建設機械向けばね・座金製品とも減販と

なりました。

 耐火・耐熱金物は、リテーナは増販となりましたが、主力製品であるアンカーの減販と不採算品目からの撤退等

により全体では減販となりました。

 これらの結果、当事業部門全体の売上高は80億5百万円(前年同期比 10億5千万円減、同11.6%減)、営業損失

は4千万円(前年同期は2億9千7百万円の営業利益)となりました。

 また資産は、前連結会計年度の85億7千6百万円から9億3千8百万円減の76億3千8百万円となりました。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

  当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

   当社グループの資本の財源及び資金の流動性

 

 (契約債務)

 2020年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

年度別要支払額(百万円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

短期借入金

3,140

3,140

長期借入金

4,906

1,634

2,423

847

リース債務

1,520

163

1,034

199

122

 

 上記の表において、連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に

含めております。

(財務政策)

 当社グループは、必要な資金は銀行等金融機関からの借入及び増資等の最適な方法により調達しております。

入金のうち、短期借入金は主に営業取引に係る資金調達であり、長期借入金(原則として5年以内)は主に設備投

資に係る資金調達であります。

 

 ③重要な会計上の見積もり及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これらの連結財務諸表の作成にあたり、開示すべき財政状態および経営成績の報告数値に影響を与える見積りや仮定設定を行わなければなりませんが、当社経営陣は、売上債権等の貸倒見積額、たな卸資産の評価、繰延税金資産の回収可能性等に関して継続してその妥当性の評価を行い、過去の実績や状況に基づき合理的な判断を行っております。

   新型コロナウイルス感染症の影響により沈滞している社会経済活動が、概ね2021年3月期の下期以降には回復でき

  る環境が整ってくることを前提として、固定資産の減損及び繰延税金資産の回収可能性の判断等の会計上の見積りを

  行っております。

   なお、当該見積もりは現時点の最善の見積もりであるものの、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動への

  影響については不確定要素が存在し、将来において、第二波、第三波と感染が広がることで、世界経済の低迷がより

  長期化した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に少なからず影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)

  連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

5【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発費の総額は1,031百万円となりました。

当社では、R&Dセンターがグループ全体の研究開発活動を司り、事業会社と連携しながら研究開発を進めています。R&Dセンターでは、研究開発の進捗や研究テーマなどを管理する開発企画室を中心に、高エネルギー研究所、環境エネルギー研究所、ライフサイエンス研究所、新材料技術研究所の4つの研究所で研究開発活動を行っています。

当連結会計年度における研究開発活動の状況については以下のとおりです。

 

化学品事業部門:628百万円

当事業部門では、高エネルギー分野で固体推進薬関連、環境エネルギー分野でリチウムイオン二次電池関連材料 及びライフサイエンス分野でヘルスケア製品関連の研究開発を行いました。

 

ボトリング事業部門:11百万円

当事業部門では、ライフサイエンス分野でバイオリファイナリー製品関連の研究開発を行いました。

 

産業用部材事業部門:2百万円

当事業部門では、新材料技術分野で半導体加工用材料関連の研究開発を行いました。

 

その他事業部門:390百万円

 当事業部門では、環境エネルギー分野で色素増感太陽電池用電解液関連、ライフサイエンス分野で健康食品原料関連、新材料技術分野で赤外線吸収色素材料製品関連及び電子材料製品関連の研究開発を行いました。

 

 

<研究開発体制図>

 

0102010_001.jpg